ブルプロが死んだのは私が高二の時である。
ブルプロは全くろくでもないゲームであった。ズルくてイジワルで怠け者で、優良誤認ガチャはするし、プレイヤー散々な目に遭った。
そんなブルプロのXデーは、8月の爽やかな水曜の夜に突然訪れた。
19時頃、フレンドが「ちょっと来とくんな、ブルプロが息してないよ」と呼んでいる。私はビックリして公式に行った。
なるほど、TKは息をしておらず、あんぐり口を開けたまま動かなかった。あまりのバカ面に、私もフレンドも、力が抜けたままなんとなく笑った。
まもなく噂を聞き付けたプレイヤーが来て、重要なお知らせをひと目見るなり「これはサービス終了ですね」と言った。死因は運営の中でも最悪な要素のひとつである”夜逃げ”であった。

23時頃、続々とプレイヤーが集まってきた。こんな大騒ぎにもかかわらず、FF14を遊んでるフレは熟睡している事を思い出したので、私は慌てて起こしに行った。
「ブルプロが死んだよ」と私が言ったとたん、彼女はバッタのように飛び起きた。
「うそっ」と言いつつ、その目は期待と興奮で光輝いていた。私は彼女の期待をますます高める効果を狙い、「いい? ブルプロ信者の死に際は、それはそれは面白いよ。口をパカッと開けちゃってさ、ムンクの叫びだよあれは。でもね、決して笑っちゃダメだよ、なんつったってサービス終了だからね、どんなに可笑しくても笑っちゃダメ」としつこく忠告した。

彼女は恐る恐るブルプロ公式を開け、重要なお知らせをチラリと見るなり転がるようにして台所の隅でうずくまり、コオロギのように笑い始めた。
死に損ないのゴキブリのような彼女を台所に残し、私はナッポスレ観察に行った。誰も泣いている人はいない。ここまで惜しまれずに死ねるというのも、なかなかどうしてできない事である。