>>873
最後に、菅野氏から性的暴行を受けた被害者が裁判の結審で意見陳述した内容を一部抜粋する。
「私は性的暴行を受け、5年の長きにわたる間カウンセリングに通い、今もまだ通院中です。私は今も、知らない男性と二人きりになったり、被告(菅野氏)に似た人を見かけると、体が硬直し、冷や汗をかき、呼吸が苦しくなります。私にとって、この被害は過去のことではなく、現在進行形です」
「『性暴力事件を起こした人間がメディアに堂々と出る』などということは、あってはならないと思います。ましてや係争中の人間が。この点においても、私は(ジャーナリストの山口敬之氏からのレイプ被害を訴えた)詩織さんがどれほどつらかったかわかります。私がつらいのは、ただ被告がメディアに出ているからではありません。そのメディアの行動が『次の被害者を作る』ことに繋がるからです」
「私は何度も、死にたくなりました。怒っても絶望しても悲しくても、私には反論できる場がありません。ただ安定剤を飲んで耐えるしかない。自分のことを『間違っていない』と言い聞かせるしかない」「私はよく思います。『もし、最初から被告がすべてを認めて誠意ある謝罪をしていたら?』ただそれだけで、私の人生はどれほど楽になったことか。彼が得意げに語る『慰安婦』問題と根源は同じです」「私は、あの日、被告が家を出たあと、気持ち悪くてすぐ(被告が使った)コップを捨てました。襲われた日に着ていたお気に入りの服を捨てました。『殺されるかもしれない』と怯え、空腹を訴える被告に出したレトルトのカレーを今は食べられません。被告に呼び出され初めて会った新宿の喫茶店のそばを通ると今も具合が悪くなります。トラウマは数え上げたらキリがありません。何一つ、私にとって過去ではなく、生活の中の一つ一つが苦しみの連続です」
「二次被害の中で、『押し倒されたくらいで』と被害を矮小化したり、『強かんされたわけではないから大したことはない』と『勝手な被害の大小』で語られることがよくあります。その人たちに伝えたい。性暴力被害というのは、一人一人違う個別の案件であり、その一人ずつに計り知れない痛みがあって、『レイプ神話』を信じ込んで語ったとき、被害者がどう感じるのか考えてほしい。そしてそれがまた、被害者の口を封じることに繋がり、加害者を利することになるのだ、ということを知ってほしい。そして、今話したことすべてが『性暴力被害』であり、その日、その時起こったことだけが加害ではない、ということを知ってほしい」
「人の人生を壊すのが性暴力です」――。