要塞対要塞はケンプの昇進試験。それ以上でもそれ以下でもない。
だから、ラインハルトもアドバイスができなかった。それは、運転免許の卒業検定で教官が補助ブレーキを踏むようなものだから。

ケンプも決して愚かではないから、これが自分の昇進試験でなければ、いくらでも援軍を要請したことだろう。
だが、昇進試験なので、それはやりたくなかった。まして要塞をぶつけて壊すなどもっての他。
ケンプが要塞をぶつけることを思い付いたのも、艦隊戦で敗北して自分の昇進が絶望的になり吹っ切れた時だった。

ケンプの昇進試験だった。その1つの事実が、多くの局面でケンプの判断を誤らせたのだと思う。