>>399
米国は太平洋戦争中、すでに戦争終結後を見据え、日本と日本国民の分析を進めていた
文化人類学者ルース・ベネディクトの日本文化論 『菊と刀』 も、そうした研究成果のひとつ

米国が日系移民や戦場での捕虜を対象に面接を重ねていった結果、日本国民の多くが天皇
を深く敬愛しているという実態が浮かび上がってくる
当時の兵士(捕虜)をふくめた日本人全般に行き渡っていた認識は、戦争を始めたのは政府
や軍隊であり、天皇に責任はないというものだった

こうした研究や分析結果を受け、米国は戦後の日本の統治で、天皇を利用することに決めた
天皇を通じ米国の意向を伝えることで、日本国民をコントロールする方針を取ったともいえる
とくに、旧日本軍閥に対し天皇の絶大な権威が有効に働くことは、米国も熟知していた

米国がそういった判断をくだした背景には、日本側の敗戦降伏を主導したのが天皇だったと
いう事実も大きく影響していた
天皇が敗戦を宣言した玉音放送をめぐっては、戦争継続を主張する兵士たちが反乱を起こし
皇居を占拠するという事件も起きており、当時の日本側敗戦手続きの困難さを物語っている

そういうわけで、象徴天皇制をふくめた戦後の日本の姿は、米国主導で作られた面が大きい

いずれにしても、憲法改正議論の中で、日本人は自衛隊の問題だけでなく、天皇制をこのまま
維持し続けるのか廃止するのかという問題も、いつか国民みずからの意志で決めなければなら
ないときがやってくるだろうし、それは、日本という国の将来をデザインし作り上げていくうえでも
避けて通れない課題の1つであると思う