「偉大な種族」について挙げないわけにはいかない。
復刊ドットコムの幻魔大戦下巻についてまた触れよう。
私がそれを読んだ時、「うわあああああああっ」と叫んだわけではないのだが、少なからずぎょっとした。
完全に謎であった「偉大な種族」とは「コレ」のことなのか、と。
この言葉が指すものの起源が「ソレ」なのだとすれば、平井和正は当初の構想を完全には捨て切っておらず、新幻魔大戦(仕立て直された幻魔大戦)にて、なんらかのかたちに直して活用しようとしていたわけだ……、「あのシーン」を越えるために。
当然だが、当時「真・幻魔大戦」の構想はなかったのだ。平井和正は、幻魔との戦いのSFストーリーを、「新・幻魔大戦」でケリをつけるつもりだったのだろう。

新幻魔大戦では、あの月影が「偉大な種族」から精神感応を受けている。「おおがらす」だ。
これを呼び出したのが、例によって山風忠庵だ。彼が最重要人物であることは疑いようがない。
おそらく……彼ら「おおがらす」は、大連盟とも無関係ではなく、「あのシーン」を超えるための最大の布石として、最重要存在として用意されたのだろう。
これもまた別の意味での種蒔きだ。「東丈の時代」における重要な伏線だ。