極限的・根源的状況は想定しつつ最終的結論は留保する、って部分は小松左京氏の作品にはあると思うね

というか、小松左京氏に限らず、
日本のSF系統またはファンタジー系統の作家(文章表現であれ、画像表現であれ)の人たちの大多数は、
根源的な部分に於いて二元論的な世界観のもとに作品を紡いでいると思われる節がある
敢て二元論的な世界観そのものをストレートに表出することは少ないかもしれないが、
西洋系または中東系の作家の人たちならば敢て選ばないだろう世界観を背景・基盤にして描いていると読み取れる作品が、日本の著名な創作家の作品には相当多い
例えば小松左京氏や光瀬龍氏、或いは(宮崎駿氏の直弟子に当たる)庵野秀明氏の場合、そうした世界観自体を極めてストレートに描いた作品もある
とはいえもちろん、そうした世界観がより根源的に妥当な世界観として作品描写やその後の社会的影響力できちんと機能するかどうかはともかくとしてだが

ただし、小松左京氏の場合には、「より根源的で大きな世界観」を追究する契機となったのはダンテの「神曲」に接したことからということだそうで
ダンテ自身の世界観は二元論ではなく、トマス・アクィナス思想に基礎を置く一元論だったといえる