SFがどうこうというよりも、むしろ日本人全体の読解力が急落している方を心配している。

こうした日本人の読解力の低下について、佐藤優さんは次のように述べている。

  むしろ情報や知識にたくさん触れているのに、自分の考えや先入観に凝り固まり、
  他人の意見や自分とは異なる考え方を聞き入れようとしない人が増えているよう
  に感じます。

  素直にテキストを読まない、素直に人の言うことを聞かない。自分の考えが先に
  あって、異質なものを受け入れない。たくさん本を読んでも、情報に触れても、
  自分に都合のいいものだけを受け入れ、都合の悪い情報は捨ててしまうのです。
  これでは本を読むほど、情報を集めるほど、思考が偏ってしまいます。

自分が何をどう読んで理解したのかを示すために、自分の意見とともに原文を引用して見せるというのが学術分野では普通に行われている常識なのだけど、日本人にはそうした簡単な手間を惜しむ人間が多い。

記事の客観性の高さという点では、Wikiの日本語の記事も「何を参考に書いているのか分からない」信頼性の低いものが多い。
一方、英語圏のWikiには、参照した文献をきちんと挙げて元となった情報を追えるよう、記事の内容の信頼性を担保しているものが多い。
この両者の違いが、そのまま研究者や大学生の知識の広さや人材の厚みの違いにもつながっている。

たとえば以下の「準結晶」の記事などは、何を参考にしたのかまったく示されていない典型的な日本語の解説。

準結晶
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%96%E7%B5%90%E6%99%B6

一方、英語の準結晶(Quasicrystal)の記事には、解説を書くさい参考にした文献が53項目にわたり示されている。

Quasicrystal
https://en.wikipedia.org/wiki/Quasicrystal