民主的な地方自治を残すためだったら、あの時点で死んじゃダメだろ。
トリューニヒトみたいに、何が何でも生き延びて、ローエングラム王朝内である程度の権力を持って、
そういう方向にローエングラム王朝が向かうように誘導しないと。

マル・アデッタでビュコックが目指したのは、ローエングラム王朝が民主主義を弾圧しないコトだよ。
もっと厳密に言えば、皇帝ラインハルトを苦戦させたビュコック元帥と言う名将が民主主義のために死ぬことによって、
「ビュコック元帥と言う名将を馬鹿にすることは、皇帝ラインハルトへの侮辱である。
だから、名将ビュコックが命に代えても守ろうとした民主主義を尊重しないことは、
ローエングラム王朝を侮辱することに繋がる」
という軍国主義的な論理をローエングラム王朝に押し付けた。

その目的があるから、ビュコックはヤンに合流できなかった。
ヤンとビュコックが自由惑星同盟の滅亡を傍観した後ラインハルトと戦った方が、勝率を上げられたかもしれないが、
ソレをやってしまえば、既にローエングラム王朝内にあるヤン個人に対する敬意を増やすだけで、
現時点では、恐らく既に存在する「ヤンを自ら追放した」民主共和制への軽蔑を増し、
終には、ローエングラム王朝による民主主義の弾圧に繋がるコトも考えられた。