>>411
佐藤史生先生の漫画『夢見る惑星』を、久々に読み返しております。単行本を最初に読んだ際、少女漫画でありながら本格的なSFを描いていることに驚いた記憶が蘇ります。今、改めて1巻を読み進めていますが、その衝撃は変わりません。

本作は1984年から1986年にかけて『プチフラワー』に連載された作品です。物語の舞台は、1990年代。作者は、2000年を目前にした世紀末の社会を、当時としては大胆な視点で描き出しています。お掃除ロボットが登場する一方で、電話は固定式のみ。インターネットは、現在のものとは異なるアナログな通信方式が用いられているようです。コンピューターの画面は、1980年代の初期のモデルを思わせるシンプルなデザインです。林立する高層ビルや華やかなファッションからはバブル期の雰囲気が漂い、同時に、アメリカの巨大資本が世界を支配する未来が暗示されています。

物語は、古い未来と斬新な未来が奇妙に混在しています。仏教、ヒンドゥー教、インド哲学といった宗教的な要素と、当時の最先端科学技術が融合された世界観は、読者を不思議な魅力へと引き込みます。

佐藤先生は、竹宮恵子先生の助手をされていたとのことです。本作が連載されていた『プチフラワー』には、竹宮恵子先生をはじめ、萩尾望都先生、大島弓子先生、秋里和国先生、木原敏江先生、ささやななえ先生など、日本の少女漫画史に名を残す多くの漫画家たちが作品を発表していました。これらの作家たちが活躍した時代は、少女漫画が新たな可能性を模索していた時代と言えるでしょう。萩尾望都先生は、当時の出版社が少女漫画に対して抱いていた固定観念について言及されています。しかし、時代は変わり、多様な作品が読者に受け入れられるようになったのは喜ばしいことです。

『夢見る惑星』のあとがきで、山田正紀氏の『神狩り』が紹介されていました。私は最近『神狩り』を読んだばかりだったので、人間の目には見えない存在、すなわち神の存在について深く考えさせられました。宗教や哲学を融合させた作品としては、夢枕獏氏の『上弦の月を喰べる獅子』も思い出されます。

今後の展開が非常に楽しみです。引き続き、本作を読み進めていきたいと思います。