Flashレビュー集 [無断転載禁止]©2ch.net

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
2017/08/04(金) 05:00:38.82ID:SAhaQmuk
 
なつみSTEP 
https://www.youtube.com/watch?v=H0SNJIgSB5M

 二分と言う短時間に、密度の濃い中身が詰め込まれている。複数回の視聴によって観た印象が変わっていき、同時に作品へとハマる。快作。

 細かく且つコミカルに描かれた背景の伏線への細かい言及は他に譲るとしよう。

 しかし何故、複数回を観る気にさせるかというと、圧倒的な楽しさがあるからだ。
 それは背景だけではない。物語中ぐりぐりと動く、なつみの喜怒哀楽が豊かで、見ていて自然と好感を感じさせる。
 BGMも慣れ親しんだ「線路は続く」のPOPバージョンで、ワクワク感を高める。

 特になつみの表情は出色で、中でもギコしぃカップルへの軽い羨望のようなジェラシーのような目線は、巧みだ。これはまたストーリーの伏線となっている点でも巧み。
 そして何故なつみの表情に焦点が当たるかと言うとモブをアスキーアートが担当しているからだろう。
 その記号的な表情は、なつみの人間的な表情と対になっていて、装飾過多に陥らせない。
 見せるところは見せ、他は単純化させるという手腕が遺憾なく発揮されていて、様々な伏線が入り組みながらも、複雑になりすぎない。その塩梅の心地よさ。

 こうして一挙手一投足を観ていく内に、なつみにすっかり好感を持ち、自分は彼女になら撲殺されてもいい、とまでは行かずとも。
 ひと時の作中の天国の体験が、心の暗がりを晴らしてくれたのならば、路を戻ることは出来なくとも、心に踏ん切りをつけさせてくれたのならば。と胸に迫る余韻に浸ってしまうのだった。
 萌え、というものに絶妙にアプローチした作品だと思う。
 狭い私見ながら、ここまでキャラクタの感情の動きに魅了されるFlashを、増して三分以内の短編なぞ、自分は他に知らない。
2017/08/04(金) 05:25:45.08ID:SAhaQmuk
☆魔女と森の妖精
http://koshiandoh.com/swf/majomori/index.html

 キャッチ―だが、後味は薄い。
 何故か?

 メルヘンな世界観、ダークながらも暗くなりすぎない可愛らしいデザイン、詰め込まれたストーリー。
 これらはなつみSTEPの頃と比べ、より先鋭化されている。
 ただなつみ主軸のそれと比べ、本作は魔女と妖精と軸を二つにし、その交流も含めたより多角的なアプローチに挑んでいる。

 挑んでいるのは良いが、奏功しているとは言い難い。と言うのもストーリーが複雑化し過ぎているように思うのだ。
 一言で言って「わかりにくい」。
 なつみSTEP同様、三分弱の長さだが、ストーリーの収まりの悪さを感じる。

 複数回を見せることを意識しただろう魚と犬の伏線も、ただそこに設定を置いただけのように見える。
 それを解いたときにストーリーそのものの反転、再解釈を求められるなつみとは異なり、魚と犬の違和感がただ猫になり納得という単純な導線になってしまっている。

 ここまでなつみとの比較を中心にレビューしたが、同作者、同イベント出品、似たような形式と、比較されざるを得ない宿命を背負った不幸な作品だった。

 少なくとも本作が三分で纏められなければ、丁寧にもっと相応しい長さで綴られていれば、受ける印象は大きく変わったことだろう。
 何とも消化不良感が残る。惜しい。
2017/08/04(金) 05:41:51.41ID:SAhaQmuk
☆魔法使い!?まなみ
https://www.youtube.com/watch?v=X1W4mBvOjx0

 設定、デザイン、遊び心に富んでいる。
 骨格は今はやりの異世界召喚現代主人公モノなのだけど、丁寧な作りがチープさを感じさせない。

 やはり作品の印象を大きく決めたのが、楽曲との妙。
 短い尺ながらもインパクトは抜群で、作品の少女趣味を楽しげなものに変えている。

 尺的都合で勿体ない、より膨らませた作品を観たい、オチが変則的でやや肩透かしと言った不満を、抜群にはまる選曲でカバーしている。

 間隙を考えさせるストーリーテリングは今回は良好で、
 この設定で、このオープニングでどのような話が展開されるだろうかという軽い飢餓感が程よく残る。
2017/08/04(金) 06:30:19.85ID:SAhaQmuk
☆サイオン
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/saion.html

 何とも郷愁を誘う。
 切なさとも違う。
 何というか、過ぎ去ったものへの距離感。

 夕暮れの色彩が効果的だ。無音でも魅せるのは絵による力が大きい。
 そして無音であることがテーマと絡んで、強い説得力がある。
 どのような音でもこの思いは表現は妨害されてしまうだけだろう。

 構図の巧みさ。
 少年が採った音を「見せてあげるよ」と披露する際に、おじさんの顔のアップだけを見せる。
 音は観覧者にも見せない。
 だからこそ、ここからおじさんを軸に音が見えないことに同感させ、読み手とおじさんをシンクロさせていく。

 音は見えなくとも、「ごめんな」と言うその心に、大人の気遣いと諦念が滲み、ノスタルジーだけでは終わらない何とも言えない後味を残した。
 
 短い中でも確実に複雑な余韻を与える、設定の妙とさり気ない工夫が光る。
 夏に見たくなる一品。
2017/08/04(金) 06:41:42.86ID:SAhaQmuk
☆花火
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/hanabi.html

 花火と青春とエロス。
 音楽の持つ上品な乾いた色っぽさを、上手いことストーリーに絡めている。
 色彩豊かに、でも上空を彩る花火は直接は見せない奥ゆかしさに心打たれた。

 見事な和の情緒が漂う。
 線香花火の終わりを、二人の関係の終わりに掛けた調和もあり、収まりもいい。
 穏やかに心に積もるものを何といったら良いのだろう。
 感動とか驚きとは遠いのだけど、何かレビューを残したくなった。
2017/08/04(金) 06:52:10.56ID:SAhaQmuk
☆真夏
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/nmis.html


 機械的な反復運動が、この場合アジになっている。音楽と共に中だるみさえも夏独特の気怠い雰囲気に、一役買っている。
 夏。溶ける。投げ出したくなる。と思いきや、作品は纏まっている。その安心感。
 その一方、所どころの色彩のサイケさに……
 後半は、壊す方向に持っていったらどうなったのだろう、と言う妙な期待感すらも抱いてしまった。
2017/08/04(金) 07:08:38.93ID:SAhaQmuk
☆12月16日
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/2004-nam1216-drw.html
 光の表現が多種多様で、それぞれが綺麗で雰囲気がある。
 風景の夕焼け、月明かり、室内のテレビ、電灯、幻想世界の灯りと、それぞれ意識的に使われていて、その繊細さに目を見張る。

 構成も上手で何処にでもある、誰にでもある出来事を、ファンタジックに魅せることに成功している。
 これは同作者の失恋もそうだが、現実にファンタジーが混じることによる快楽、豊かな表現の可能性の広がりを開拓する心地よさ。
 ガラス細工のような雰囲気、隙のない描き込みが、セリフなしの比較的長丁場の「ありふれた」物語に、目を離せないドキドキを与えている。
2017/08/04(金) 16:48:21.27ID:SAhaQmuk
☆夏宵
http://www.w-room.net/flash/flash/natuyoi/natuyoi.htm
 Flash終了後、手紙部分を拡大すると手紙の内容、その中での隠しリンクを辿ると続きが見れる三段仕掛け。

 ノーヒントで辿るのはやや厳しいけど、心憎い工夫だと思う。
 文章を三つに分けることで、それも映像Flash、テキスト、テキストを中心としたFlashとそれぞれの趣向が決まっていて、長文を読む飽きをきちりと防止している。
 三つをスムーズに読ませる読者への導き、三つ目のパートをもうちょい演出できたんじゃないかと言う不満は残る。
 が、そのチャレンジ精神を褒めたたえたい。
 文章の長所と短所を知っていて、その良いところを活かしたFlashだ。

 ひなたのにおいするてのひら。蝶を取るのが上手な人。
 の相手への無防備な好感。幼い打算のない視点を捉えている。

 初めは音楽は補助的な作用、次に文章とテンポを合わせ歌詞的な役割、最後に音楽だけ流してセリフを伏せることで醸し出される上質な読者への秘密。
 そのまま進み、単体では時を経て二人が結ばれたとも取れるミスリードとちょっとした疑問を残して作品は終わる。

 作中の設定はわからないが、時代風景なのかもしれないが、絵から感じられる二人はとても幼い。
 小学生中学年くらいに見える。
 ぎりぎり中学生辺りにしておくと、大人になるまで囚われ続けるような恋の説得力が出たのではないだろうか。とても幼い。


 ここからテキストを中心に作品が淡々と痛切に綴られていくのだが、これは見ていて辛い。
 時の残酷さとそれに洗われない純な心との葛藤が、痛い。
 大人になった、ことで丁寧語で語られる。その子供には戻れない距離感が重い。
 好き「です」の切なさ。決してその成就が狙いではない。離別を決意した何とも言えないすがすがしい切なさが残る。
2017/08/04(金) 17:04:57.78ID:SAhaQmuk
 テレビパン
https://www.youtube.com/watch?v=qxFbbfyhYHg

 一発ネタのようで全編に笑いが散りばめられている。
 摂取した人の割合、数式、文集、たどたどしい隣人と、如何にもテレビ的なフォーマットをなぞりながら、パンと言うギャップで落差を付ける。

 この手の時事ネタは時と共に旬も過ぎるものだが、その射程は今も有効だ。
 それだけテレビの定式が変化しない、マスメディアの闇が根深いとも言えるのだろうけど。

 ナンセンスなギャグだが、一本芯が通っているのは犯人の如何にもな不審者っぽい妖しさ。
 これが作品を荒唐無稽なものにせず、説得力を与えている。

 既存権力を思いっきり皮肉り、それでも説教臭い提言、アンチテーゼ臭を感じさせないバランスの良さが光る。
 映像は笑わせるのに徹していて、考えるのは受け手に委ねている。その潔さ。
2017/08/04(金) 17:26:30.35ID:SAhaQmuk
☆S2F
http://www.geocities.jp/n_kouhaku/s2f.html
 2chがAAがまだ存在感があった時代。その頃の夢。懐かしい。
 圧倒的に情報量が多い。
 が、ごちゃっとせず綺麗な画面展開、色彩によって区分されている。
 
 やはり戦闘シーンが山場となるが、一つ一つの攻撃がネタに直結し、笑いと燃えが高めあう密度の濃い時間を提供する。
 これだけの詰め込みにも拘わらず、終わった後には炭酸飲料のような清涼感が残る。
 多分、情報そのものに重い価値を置かない、無価値にも近い映像のラッシュによるものじゃないだろうか。

 それにしても嘘の上手な作品だ。
 アスキーアートもそうだし、アニメしている戦闘、無謀なストーリー分岐、肥大している設定と舞台、当時でも斜陽の格闘ゲームと言うジャンル。
 プロモーションビデオとしてやってみたいと思わせる見栄え映りはする。
 けれど、これを基にゲームを作ろうとすると破綻する。
 そんな気がする。
 何とも夢を観させてくれる。そんな仮想現実感。
2017/08/04(金) 17:49:47.33ID:SAhaQmuk
☆ハクシャクノテンシ
http://www2.atpages.jp/ngravity2/html/haku_nae_n-gravity.html

 可愛らしいキャラクタに抑えめの音と色調、童話的なストーリーを組み合わせ、ほろ苦くも温かい余韻に浸らせる。

 作中でも屈指の雰囲気を醸すのが、屋台の場面。
 時間の流し方、心境の変化が自然と、巧みに描かれる。
 山場となる吸血後の間も、ぴりりと痺れる出来だ。

 物語は劇進行で進む。
 人は何かを演じなければ為らないと言う社会の舞台性を引き立てている。
 そして役者だからこそ映える一世一代のお芝居がクライマックスで引き立つ。
 ドラキュラになれない青年はドラキュラとなり、天使になれない少女は天使ではなくなり、演じ手の必要なくなった舞台は幕を閉じる。
 終劇の別れのつんとする余韻と言ったら。
2017/08/04(金) 19:28:40.08ID:SAhaQmuk
☆SG
http://www.geocities.jp/yebisu_malts/SG.html

 何も考えずに気軽に見れるノンストレスな作り。
 動きがありつつ、とても分かり易い構成が心地いい。
 
 高さの表現。
 敵との身長差で力差を煽り、見下ろすアングルで不安を高める。
 そこで一転、慌てふためく巨体を高所から見下ろす安全マンの力強さ。
 強い、と言うのを構図で醸し出している。
2017/08/04(金) 19:42:19.83ID:SAhaQmuk
☆二人紅白フラッシュ合戦
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Yurinoki/9963/sai.htm

 ズーンとキター定番ネタに押されそうだが、中々どうして小ネタが光り、それもストーリーに上手く機能することで清々しい謎の感動を与えている。
 ストーリーと笑いの入れ方がこなれていて、低労力で如何に飽きさせない楽しませる作品を作れるか、を実践した作品だと思う。
 しかし、この路線はセンスが無いと痛い目に合いそうだ。
2017/08/04(金) 20:28:05.75ID:SAhaQmuk
☆みちしるべ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~card-card-book/bundou.html

 不思議な作者サイト名、「絵本のカド」に恥じない作品に仕上がっている。
 リズミカルな文章と、その文章の配置、表現。文章の出し入れはかなり凝っていて、注視するとその工夫具合に嘆息が出るほど。

 それに柔らかな挿絵が、とてもマッチしている。
 特に世界へと飛び出した先に、否応もなく高揚感を掻き立てる演出が待っている。

 中盤、もうちょい世界に厚みを持たせる挿絵などが欲しい。
 人物が一人だけでは寂しい。
 が、文句を付けられるのは些末なこの箇所くらい。

 後半の展開も、先を読ませず、それでも滅茶苦茶にならない確かな伏線の配置がある。
 やさしいタッチ、すらすらと入る文章とは対照的に、骨太な作品。
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
5ちゃんねるの広告が気に入らない場合は、こちらをクリックしてください。

ニューススポーツなんでも実況