☆PINK☆
 ニコニコ動画から

 第一回紅白Flash合戦に提出されたFlash。
 随所にあるFlash板ネタは確かに内輪ネタなのだが、物語の根幹はぶっ飛んでいるようでしっかりしているので、けっこう楽しめる。と思いたい。
 うん、2chと言う日陰だからこその味というか「俺たちのもの」と言った独占欲みたいなものがあるのも確かだが。
 これをもっと世間で認められている題材で作っていたら、どんな評価を受けたのだろうとの勿体なさもある。

 日本刀のインパクトは強い。
 カブトムシは意外にもファンシーで不気味可愛い。
 それも一発ネタではなく、ストーリー展開で果たす役割は大きい。
 そうした電波っぽい装飾がありながら、ストーリーを転がすのにそれらが上手く機能していて、奇術のように展開に乗せられてしまう。

 色々と寓意性の高い比喩の解釈の楽しみは大きい。
 例えば。
 オチの温泉を掘りあてる。
 というのは額面通りハッピーエンドだろうか。
 確かにこれを才能の発露、表現の開拓、居場所を作ると言う比喩にもとれる。
 だが、温泉を掘り当てるのは偶然性の高い、もっとはっきり言えば運が良かっただけとも取れる。
 何というか、墓になっていた、掘り当てたのがマグマだった可能性も残っていたのだ。
 そうした危うさ。
 中途半端に状況に流され続けて生きていく主題は、変わっていない。

 この危うさは、翌年の紅白Flash合戦で「Dead(PINK2)」に引き継がれる。