☆或る旅人の日記 真夜中の珈琲屋
https://www.youtube.com/watch?v=KqVR3SEgePg

 タイトルから独特の雰囲気があるけど、作品でもそれは変わらない。

 シックな落ち着いた色彩で静かな空間。深夜と言う時間帯とカフェインの取り合わせ。
 何かあったのだろうか。
 昔を思い出したり中途半端に寝付けなかったり。
 いやいや、これが旅人の普段着の姿などだ。などと思考は一回転する。

 ほんとうに、ほんとうに細かな所作を切り取っている。
 砂糖壺から角砂糖を取り出すときの、くいっくいっとするあのじれったい所作。
 これ一つで没入感がぐっと高まった。

 最後の一言。
 味わいがある。
 想像した寂し気に待ち続ける旅人の姿は、何処かユーモラスだ。

 広がりがある。世界の広がり、空間の広がり、時間の広がり。
 些細な日常の奥に横たわる作品のスケール感が、異世界へと持っていかれたような余韻を残す。