☆或る旅人の日記 小さな街の映画会
https://www.youtube.com/watch?v=8MP4xL5LxkI

 作品に流れる空気、というのかな、そういうのを色合いや曲で、見事に醸し出している。

 夕方と言っても背景色を朱鷺色や橙色と言った如何にもな日暮れの色にしない。
 夜が迫ってくる時間の独特の匂いを出している。
 ウェットな情景を描こうと思えば描けただろうに、その誘惑を振り切っている。

 一つ一つの動作も相変わらず細かい。
 スープを飲む際にスプーンでかき混ぜる。
 スープの粘度っていうのかな、さらっとした感じのものなのかなとか。そういうのまで描写されている。
 くまが匂いを嗅ぐのも、堂に入っている。
 人間観察の巧みさ、みたいなのが透けて見える。

 そしてセリフが素敵。
 ほんと比の打ちどころがない。
 「その子供たちの笑い声は、夕食の代わりに私の心を満たしてくれた」
 うーん。