PAS-NNLM のモデルとしての表現力 SVO に関しては, 本実験では PAS-NNLM の学習後のモデルを用
いた ‘PAS-NNLM comp’ により, ‘PAS-NNLM add’よりも高い相関係数 (0.42) を得た. これは Tsubaki
ら [10] の C-NLM による結果 (0.38) を上回るものである. この C-NLM は, 動詞と目的語のペアのみに着目
して NNLM を学習するモデルである. しかし, 同じくTsubaki ら [10] の CoC-NLM による相関係数 (0.47)
には及ばなかった. CoC-NLM の優れている点は, 一種の語義曖昧性解消の手法を, 動詞-目的語の組み合わせ
の意味構成に取り入れたことである. また, Kartsaklisと Sadrzadeh [7] も, 単語からの意味構成の前に語義
曖昧性の解消を行うことの重要性を示している. 本研究の PAS-NNLM では, 品詞の情報は用いているものの,
その他の明示的な語義曖昧性の解消を行っていない. より文脈に依存した語義曖昧性解消の手法を取り
入れることにより, さらなる性能向上が考えられる.
http://www.logos.t.u-tokyo.ac.jp/~hassy/publications/nlp2014/paper.pdf

言語学における語彙意味論の立場からすれば,その名詞の意味構造に記載すべき内容は語を成立させる最低限の要素に
限るというのが基本的な立場であろう.これは本研究の枠組みでいうならば情報抽出システムをソフトウェアと捉えた場合,
システム辞書が持つ基本オブジェクトデータと捉えることが出来る.つまり,評判やその診療所 (インスタンス) に関する人
からみた認識などは,既存のオブジェクトデータに対して動的に加えられた属性項目と考えられる.人の言語表現はまさに発
話者の認識において,抽象的に聞き手と共有するオブジェクトに対して個別の情報を加えることで新たな情報を提供している
と捉えるならば,こうした名詞意味構造の属性の拡張は取り込むべき機能であり,ソフトウェアにおけるオブジェクト指向の
枠組み?6で情報抽出システムを構成していく必要がある.
https://kaigi.org/jsai/webprogram/2014/pdf/679.pdf