俺の友達A君はプログラマーになった。
A君はマイクロソフトの開発環境であるVisual Studioを使うことになった。
言語はVisual Basicだった。
当時はC#はなかった。
A君はいつも言っていた。
「C++ Builder? そんな小企業の開発環境なんていつなくなるか分からないから使えない。」
「マイクロソフトは大企業だ。Visual Studioはずっと残るさ。アハハ」

ある日、A君チームが納入したプログラムに客からクレームがついたそうだ。
「遅い、こんな遅いの使えないよ」だった。
しかたなく、外注の力を借りて作り直して納品しなおした。
その外注は、C++ Builderを使っていたので高速に動くプログラムを作れたのだ。
そのプロジェクトで大赤字を出してしまったが、遅くても我慢してくれる客もいたのでA君はプログラマーを続けることができた。

しかし、マイクロソフトがVB6のサポートをやめてしまう。
A君は会社からJavaを勉強するように言われたが、覚えられずに会社をやめたのだった。
やめてからもA君はJavaを個人的に勉強していたが再就職に失敗して、全然関係ない営業の仕事に就いた

A君はこう言った
「俺、当時はマイクロソフトは大企業だからVisual Studio使っていれば間違いないと思ってたんだ。」
「でも、大切なのはVisual Studioとか大企業かどうかではなくて言語だったんだ。俺もおまえみたいにC言語やってりゃこんなことにはならなかった。」

涙をぼろぼろ流しながら語るA君の姿を今でも忘れない。