shared_ptr単独では完全なスレッドセーフではない、という問題もある。
shared_ptrで排他制御される対象はreference counterの増減だけであり、指している値の読み書きはもちろん排他制御されない。
したがってshared_ptrはスレッドセーフだから安心だと誤解していると、危険なプログラムが出来上がるリスクがある。
C++ではプログラマーがこれらの誤解や見落としやミスを全くしないことを求められ、それに依存するためプログラムの安全品質は危うい。

Rustではその点も安全で、Arc<T>はTへの書き込みが出来ないため、排他制御の問題は起きない。
書き込みしたいならば、Arc<Mutex<T>>やArc<RwLock<T>>など必要となる排他制御の種類に合わせて選び、組み合わせて利用する。
それら組み合わせにより、Tへの書き込みができるようになるが、必ずロックで排他制御されるため問題は起きない。
たとえプログラマーが見落としやミスや使い間違えをしても、Rustコンパイラがエラーを出し、該当箇所を教えてくれるため、常に安全性が保証される。