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病院外での治療

低体温症の初期であれば、乾いた温かい衣類に着替えさせ、毛布でくるみ熱い飲みものを飲ませることで回復します。
意識不明で発見された場合は、体温がそれ以上低下することを防ぐため、可能であれば濡れた衣類をそっと脱がせて、
乾いた温かい毛布にくるみ、救急車の手配をして、暖かい場所で待つようにします。

何らかの生存の徴候がみられる場合(検知するのは非常に難しい可能性があります)は、
病院以外での心肺蘇生(特にバイスタンダーによるもの)は推奨されていません。
特に訓練を受けていない人にとって、かすかな呼吸や脈拍を検知するのは困難です。
脈が触れず、鼓動が聞こえなくても、心臓は動いていることがあります。
また、重度の低体温症の人を突然揺さぶると、致死的になりうる不整脈を誘発する可能性があるため、そっと扱う必要があります。

病院内での治療

病院では、温めた酸素の吸入や、温めた液体の静脈内投与またはカテーテル経由での膀胱、胃、腹腔、胸腔への投与などを行って、体を温めます。
さらに血液透析装置(血液を体外に取り出し、加温装置の付いたフィルターを通過させて体内に戻す)や人工心肺装置(血液を体外に取り出して温め、
酸素を加えて体内に戻す)を使って温めることもあります。

患者の呼吸を助けるために、医師が合成樹脂製の呼吸用チューブを口から気管に挿入し(気管挿管)、
人工呼吸器を用いることがあります。心臓が停止している場合は、心肺蘇生を行います。

低体温症で病院に運ばれ、搬送時には生命の徴候がみられなかった人でも回復した事例があるため、
医師は患者の体が温まるまで、または心拍やその他の生存の徴候がみられないことが確認されるまでは、蘇生のための医療行為を続けます。

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