0952この名無しがすごい!2020/03/25(水) 16:17:58.67ID:p7XY5Ltd
>>951
感想ありがとうございます!
姉が大好きが故に、姉が身につけている物にも執着しちゃう弟も可愛いなあって思いましてw
そうですよね!ガンマンのライバルといえばまさしく侍だと私も強く思います!
レイチェルVS謎の忍者回を書いた時も感じたのですが、銃と刀の対決を文で上手く表現するのって結構難しいです
次また対決する話を書く時は、もっと迫力感を出せるよう頑張りたいです
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!どちらのシリーズもまた次回をお楽しみに! (2/3)
「ォオオオオオオオアアアアアアアッ!!!」
怒りに震えて飛びかかる落ち武者は、まるで一個の砲弾のようで、だから。
洋輔は、正面からそれに向かって突っ込んだ。
「えっ!?」
「ナッ!!」
二人の驚く声が木霊するが、その間にも落ち武者との距離はゼロに近付いていく。
想定外の行動に動揺しながらも、落ち武者は振り上げた刀を振り下ろそうとし、けれど遅い。
自分自身の速度が仇となって、落ち武者が刀を振るう頃には洋輔は落ち武者の懐に潜り込んでいた。
落ち武者の胴体に、白光の刃先を突き立てる形で。
「ガァッ……」
「オォォッ!!」
洋輔が、貫いた勢いを捻って落ち武者の体を横に並ぶブロック塀まで押し付け、縫い止める。
尋常ならざる切れ味の空音の刀はやすやすとコンクリートの塀を貫き、標本のように落ち武者の動きを封じた。
「キ、サマァッ!」
「ぐ、がっ! 絶対に、はな、すかよ……っ!」
白光の効果なのか、弱まった力で、けれど不死身に近い落ち武者は洋輔を殴りつける。
だが頭から、頬から血が流れても、洋輔は刀を放すつもりはなかった。そして。
「――ヨーちゃん」
背後から、声がかかる。それは銀鈴が鳴るような、聴き慣れた涼やかな、けれど優しい声で。
「ごめんね、ありがとう。未熟な私を助けてくれて。ヨーちゃんはいつも、そうやって私を助けてくれるよね。……だけど」
柔らかな声に、決意が宿る。振り向いた洋輔の目に飛び込んできたのは、眩い光の帯に包まれた幼馴染の姿だった。
光の帯が弾け、その中から、カードに描かれていた衣装の空音が現れる。夕暮れの街を、けれどさらに強い輝きで昼へと変えるほどの、力の奔流。
覚悟を瞳に宿した空音は、まるで。
「今度は私も!あなたを、助けるから!ーー世界を照らせ、生命と力、浄化と焔よ!『太陽の暗示(アルカナ)』!」
地上に光る、一個の太陽であるかのようだった。
「グォ、グァアアアアアッ!!」
「っ、肩の傷が!?」
突然、空音の放つ光を浴びた落ち武者と洋輔が焔の中に燃え上がる。
しかし落ち武者は苦痛に叫び、洋輔は自らの傷が癒えていくのを見て驚愕を顔に浮かべた。
「『太陽の暗示』の炎は、仲間を癒し、敵だけを灼くの。特に不死の『吊られた男(ハングドマン)』のあなたには、浄化の炎は熱いでしょう?」
太陽の輝きを放つドレスを纏った空音には、まるで先程までとは別人のような落ち着きがあった。
けれどそれは、きっと落ち武者のように力に呑まれてしまったからではない。洋輔が空音を守ろうとしたように、空音もまた洋輔を守ろうとしてくれたからだ。そう思うと、どこか胸が熱くなるのを感じた。
「グ……コンナ、トコロデ……ニンゲン、ナドニ……ッ!」
半ばまでが灰に変わりつつある落ち武者が、最後の力を振り絞って洋輔に刀を突き立てようとする。自分にも突き刺さる向きだったが、道連れにしようとする気なのかもしれない。
(3/3)
だが、洋輔にもう恐怖はなかった。
「させない!」
「ギ、ガァアアアアアアアアアアアアッ……!!」
空音が太陽の輝きを絞り、落ち武者へ焔を集中させると、落ち武者は力を失い、やがて全身が焼き消えていった。
空音の炎が消えると、跡には炭化した骨すらも残ってはいなかった。落ち武者が、元よりこの世の存在ではないからなのかもしれない。
代わりにーー
「……これは?」
治ったばかりの傷の痛みも、二人で生き延びたことへの安堵感さえ、少しの間忘れて。洋輔は、目の前に浮かぶ一枚のカードを見つめていた。
「『吊られた男の暗示』のカード。強力な不死の力があるけど、強すぎる力に呼応して、自我を持って暴走してしまったの。……でも、カードはあなたを選んだみたい」
空音が太陽のドレスを解除し、私服姿になって
洋輔の傍へと歩み寄る。
洋輔はそちらへと振り返り、
「カードに選ばれた……じゃあ、もしかして」
「……うん。私も、そうやってカードへの適合者になったから、アルカナのメンバーとして戦うことになったんだ」
「ってことは、俺も?」
「うん。今はまだ、ヨーちゃんが適合者になったことは、誰にも知られてないだろうけど。遅かれ早かれ、招集が来ると思う。……でも、危険な仕事だよ、ヨーちゃんがやりたくないなら、私は……」
戦っていた時とはまるで違う不安そうな顔で、空音は俯く。おおかた、アルカナという組織に背いてでも洋輔のことを隠し通すと言いたいのだろう。
ころころとよく変わる表情も、お転婆なわりに優しすぎるその性格も。二人で遊んだ子供の頃から、本当は空音は何も変わってなんかいなかったんだと、洋輔は思った。
「その危険な仕事を一人でやってるのは誰だよ? 心配すんな、隠したりなんかしなくていい。これからは俺も空音と一緒に戦う。もう一人で抱え込まなくて、いいんだよ」
背の低い空音の頭に、洋輔は安心させるために、ポンと手を置いてやる。
昔、子供の頃には、空音が無茶をして転ぶとよく泣いていた。そんな空音のことを、洋輔はこうしてよく撫でてやっていた。
そんなことも、ようやく思い出せたのだ。
「ヨーちゃん……!」
ホッとしたのか、空音は目尻に涙を浮かべて花が咲くような笑顔になる。
洋輔は腕の中に空音を抱きながら空を見上げる。沈みかけた夕陽が、けれどこれから登る朝日に見えた。
雲の上の太陽に、手を伸ばせ。
その隣に立ちたいと、ずっと願ってきた想いだけは。
誰にも、負けることはないのだから。
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』 完】
一応間に合った、のかな? 途中でPCからスマホに変えたので行頭空け変わってますねすみません
普段書いてる長編に近いジャンルを書くのは新鮮で楽しかった、けど世界観設定に一貫性持たせるために読み込むのが結構ハードだった……!提出ギリギリでごめんなさい
次があったら1番希望してみようかな
おおお
二番手のものです、良かった……!
文体がクライマックスにピッタリでハマってんじゃないこれ?
とにかく、自分のがキラーパスとはならなかったようで何より
【入道退治】(2/2)
******
「人喰いの……なんて話は、枕詞の様なもんでな」
子ダヌキを拾って店まで戻ると、頼光はほうじ茶を出しながら、話始めた。
「本当に人を食べてるって事じゃないんだ」
「ならば、なぜ、本所のご老人はそんなデマを」
「お前を試したんだろう? 気が付くかどうか」
「むっ」
事の起こりは、瀧の姉である翼が頼光の店に来た事だった。
先祖代々続く退魔の家系である矢来の、その後継者の証である鬼切丸を瀧が授けられたのだ。
その初めての実践として、退魔の元締めである本所の老人に指定されたのが今回の話だったのだが、その助っ人として、頼光が指名されたのである。
だが、瀧の方はと言えば、初任務であるため張り切り、頼光に、手助けをする事に難色を示した。
しかし、元締めの言葉を蔑ろにする事もできず、同行だけは許すが、手出しは無用としたのだ。
だが、最初から違和感を感じていた頼光は、翼から話を聞き、本所の老人の意図に気が付き介入したのである。
「昔話何かじゃ良くある話さ。人喰いの化け物だと嘯いていた入道の正体が、タヌキのイタズラだった何て事はな」
「しかし、そのタヌキが化け物だと言う事には変わりない」
「あのな、人を驚かしたってだけで殺してたら、全ての化け物は敵になっちまうだろうが」
「しかし!!」
頑なな態度の瀧に、頼光は溜め息を吐く。
「闇は敵じゃないんだ。常に傍らに居るモノだ。古来から日本人はそうやって生きてきた。お前に必要なのは余裕と寛容さだ」
「第一……」と言って、頼光は親指をさす。
そこには翼にモフられ倒し、ぐったりした子ダヌキがいた。
「あれが、退治が必要に見えるか?」
「ぬっ」
モフモフフェチだったのか、存分にモフったおかげで、やけにツヤツヤした顔の翼と、白目を剥いた子ダヌキを交互に見ていた瀧だったが、やがてガックリと肩を落とし、溜め息を吐いたのだった。
0962三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t 2020/03/29(日) 22:17:12.32ID:n1b/6BE9
0963この名無しがすごい!2020/03/29(日) 22:18:01.83ID:MxZ0vLGt
トライアル
0964この名無しがすごい!2020/03/29(日) 22:18:09.12ID:oOIj1k/4
レビュー
0965この名無しがすごい!2020/03/29(日) 22:22:10.55ID:G3ox2JvB
クリスタル
0966この名無しがすごい!2020/03/29(日) 22:24:26.96ID:XIcVtIRH
『マシマシ』
リレーのやつ、実を言うと途中まで一番さんの要素拾い上げながらジョジョネタをぶちこむのに夢中で完全にお題のこと忘れてたっていう
言葉だけだしとこって入れた「ディスプレイ」の6文字だったわ
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