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安価・お題で短編小説を書こう!8
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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 23:04:08.60ID:n1b/6BE9
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
使用お題と【】でタイトルを明記してください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス+予備1レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
※R18は板ルールで禁止です。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、権利者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【当スレへ投稿する前に】投稿してください。
当スレへ投稿せず、別サイトへ投稿してリンクを貼るのも可。
リンク先のタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、使用お題、タイトル、URLを書き込んでください。
※なろうのURLは規制されていますので、KASASAGIか俺Tueee.Net!のURLで代替してください。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
安価・お題で短編小説を書こう!3
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1522770910/
安価・お題で短編小説を書こう!4
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1529860332/
安価・お題で短編小説を書こう!5
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1541947897/
安価・お題で短編小説を書こう!6
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1557234006/
安価・お題で短編小説を書こう!7
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1572191206/
0002三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/29(日) 23:05:25.92ID:n1b/6BE9
☆お題→『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→4/5の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0003この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 23:14:17.45ID:RUAVnTuT
>>1
乙です
何だかんだで8スレめですね
参加してくださっているスレ民に感謝を
0004この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/30(月) 11:36:26.70ID:ITGnekmf
>>1
乙です!
これからも楽しく小説を書きまくっていきたいです!
0005この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/30(月) 13:50:31.86ID:ITGnekmf
それでは早速

>>2
使用するお題→『トライアル』『クリスタル』『午前零時』

【洞窟の中の冒険】(1/3)

今日も女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨って、自由気ままにさすらいの旅を続けていた。
緑の木々に囲まれた山道を歩いていると、目の前に大きな洞窟が見えてきた。

「どうやらこの洞窟を抜けないと、次の町には行けないみたいね」

少し不安ではあったが、他に遠回りしていく手段を思いつかなかったため、その洞窟の中を通っていくことに決めた。

「サンセット、なるべくゆっくり行くわよ」

サンセットはシンディの言う通りに無闇に走ったりせずに、ランプの灯りを頼りに慎重にゆっくりと進む。
洞窟の中であるため、音を立てて走ったりしてその衝撃で落盤を起こして生き埋めになったりしたらお終いだ。
洞窟に入って10キロほど歩いただろうか。一旦止まって休憩することにした。

「この洞窟、それにしても長いわね。ちゃんと出られるといいんだけど…」

食糧の入った袋からビーフジャーキーを一枚取り出して齧る。
やけに心配しているシンディの姿を見て落ち着かせようとしているのか、サンセットは彼女の顔を優しくペロッと舐める。

「ありがとうサンセット、大丈夫よ」

少しお腹が膨れると、再び歩き始める。洞窟の中というのは冒険心をくすぐられる。
しかし、シンディは父のバイロンを落石事故で失ったことが、今でも忘れられないトラウマとなっている。
いざ落盤でも起こったら逃げ場などどこにも無い。その岩石で覆われ、閉鎖された空間に恐怖心を抱いてしまったようだ。

「(何を恐れてるのよ、私のバカ!洞窟なんて怖くない、怖くない!)」

必死に自分に言い聞かせて落ち着こうとする。しばらく歩いていると、青く綺麗な光が微かに見えてくる。

「もしかして出口?サンセット、こうなったら一気に突っ切るわよ!」

その光のする方に向かって走る…しかし、残念ながらそこは出口ではなかった。

「そ、そんなあ。って、あれ?」

よく辺りを見回すと、そこは青く美しく輝くクリスタルに包まれた空間だった。
その綺麗なクリスタルにシンディはつい心を奪われてしまう。

「すっごく綺麗ね、こんな場所があったなんて信じられない…」

サンセットから降りると、クリスタルに手を触れる。

「こんなにいっぱいあるんだから、ちょっとくらい削って持ち帰ってもいいよね?あ、それに高く売れるかも!」

一瞬、お金のことに目が眩んでしまうシンディ。彼女の金へのがめつさにサンセットは呆れてしまう。

「おい、ここだ!クリスタルルームはここだぞ!」

突然、後ろの方から男らの声が響いてきた。
0006この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/30(月) 13:51:19.76ID:ITGnekmf
【洞窟の中の冒険】(2/3)

「おお、これが伝説と言われる神秘のクリスタルルームか!」

華奢で痩せ細った長身の男と小柄で小太りな男の2人組が現れた。

「やったぞ、これでガッポガッポ儲けられるぞ。億万長者間違いなしだ!」

急いでクリスタルの陰に身を潜めるシンディとサンセット。シンディはその2人組に見覚えがあるようで、すぐに手配書リストを確認する。

「(あいつら、ジェフとダレルね…)」

ジェフとダレル、彼らは銀行や罪の無い一般市民を無差別に襲撃して奪った金品で金儲けをしている強盗コンビだった。

「(飛んで火に入る夏の虫とはこのことね。捕まえて金にする絶好のチャンスだわ)」

背後から気付かれないよう接近していくその時、うっかり手を滑らせて持っている銃を落としてしまった。その銃の落ちた音で、ジェフとダレルはシンディの存在に気付く。

「し、しまった!」
「あっ、こいつ確かシンディだぜダレル!無法者狩りの賞金稼ぎ、まさに俺達の敵だ!」
「そうだなジェフ!こうなったら仕方がないから殺してしまおう!」

ヤバい!シンディは急いで落とした銃を拾おうとするが、ジェフがそうはさせまい!と素早い動きで彼女の腹を勢いよく蹴り上げる。

「グヘッ!!」

怯んだシンディの頭を後ろからダレルが乱暴に踏みつける。

「大人しくしろ!生意気な女ガンマンめ」

ジェフとダレルはある物と一緒にロープでシンディの体を強く縛って、身動きが取れないようにした。
それはなんと小型の時限爆弾だった。

「これは超高性能の時限爆弾だ。爆発時間は午前0時に設定してある」
「爆発してグチャグチャになった女ガンマンとか想像しただけで笑えるぜ!」
「(サ、サンセット、あなただけでもいいから早く逃げて…!)」

シンディは陰で隠れているサンセットに向かって、彼らに気付かれないように首を振って合図する。
サンセットまでもが存在を気付かれたら終わりだ。シンディの合図を察し、サンセットはそこからゆっくりと去る。
シンディが動けないのをいいことに、ジェフとダレルは彼女の髪を引っ張ったり、飲んでいた酒を顔に吹きかけたりして楽しんだ。
その後、周りにあるクリスタルを全てドリルで削り取り、時限爆弾と共にロープで縛られたシンディを置き去りにする。

「じゃあな、無様で哀れな女ガンマン!アッハッハ!」

時限爆弾がピッピッピッと音を立て始める。もうタイムリミットの午前0時まであと数分だ。
そして午前0時に到達、もう一巻の終わりで死を覚悟したシンディだったが一向に爆発する気配がない。

「あれ?」

すると、シンディはあることに気付いた。それと同時に逃げたはずのサンセットが突如現れ、ロープを噛みちぎって彼女を解放する。
ジェフとダレルも爆発音が聞こえてこないので不思議に思った。

「おい爆発音がしないぞ、どうなってるんだ!」
「おかしいな」

すると一つの銃弾がジェフの腕を貫通した。

「痛っ!な、何だ!」
0007この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/30(月) 13:53:17.05ID:ITGnekmf
【洞窟の中の冒険】(3/3)

「ま、まさか!」

後ろを振り返ると、そこにはサンセットに跨ったシンディの姿があった。

「い、一体なぜ爆発しないんだ!」
「マヌケな強盗さん、こんなのが付いていたわよ」

シンディはその時限爆弾を投げてダレルに渡す。
ビックリして受け取ってみると、そこには白い紙が付いてあり、「試作品のため失敗する場合も有り。ご了承を」と小さな文字で書かれていた。

「ふ、ふざけんな!あの店主、俺達を騙しやがったな!」
「騙されたあんた達がバカなだけでしょ?」

そう言うと、シンディは容赦なくダレルの胸に目がけて銃を放つ。ダレルが倒れるや否や、保安官とその部下らしき男達数人が現れた。

「やっと見つけたぞ!散々迷惑をかけやがって!」

実はサンセットはあの場から逃げ出した時、なんとか出口を見つけて洞窟を飛び出し、近くの町の保安官に救助を求めたのだ。
ジェフとダレルはお縄となり、同時に削って奪ったクリスタルも回収された。

「クリスタルルームのクリスタルは天然記念物。お前ら禁固30年だ、覚悟するんだな」

保安官曰く、クリスタルルームのクリスタルを奪うなどの犯行を働いた者には、禁固10〜30年の処罰を下しているとのことだ。
それを聞いたシンディは、クリスタルを少し削って持ち帰ろうと考えた時のことを思い出す。
もし魔が差してでもやっていたら…と想像すると、冷や汗をタラタラと流すのだった。

「あなた達のおかげで、こいつらを逮捕することができた。感謝する」

とりあえず懸賞金をゲットでき、シンディは満足するのだった。

「サンセット、本当にどうもありがとうね」

シンディに頭を優しく撫でられ、サンセットは嬉しそうに好物のリンゴを頬張る。
そんな愛馬の姿に心が癒されるシンディなのであった。
0009三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/31(火) 00:37:56.19ID:RG0HhYV+
8スレも続くなんてすごいですよね・・

>>5
そしてやっぱりこの人w
『トライアル』? ある種の試練、それに裁判、『クリスタル』ルーム、『午前零時』の爆弾
うっかりガンマンと間抜けな強盗w、あっさり逮捕ですが、もしかしたら再登場もありでしょうか
0010この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/31(火) 07:49:10.51ID:yZNvXajo
>>9
感想ありがとうございます!
シンディ、一見クールそうに見えて結構うっかりやさんですw
強盗コンビのことをマヌケと罵ってましたが、君もあまり人のこと言えないでしょと内心ついツッコんじゃいましたw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0011この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/01(水) 17:56:07.16ID:xdAJTX6u
>>2
使用するお題→『レビュー』『クリスタル』『午前零時』

【変態ストーカー、その名はノーマン】(1/3)
※スレ6>>776【一つ目の悪魔】を最初に読んでおくことをオススメします

ある深夜のこと、とある高級アパートの一室に住む一人の男がパソコンで何かをニヤニヤと閲覧していた。
それはレストランの口コミサイトで、その男が見ているのはライアンとレイチェルのレストランだった。
「料理がすっごく美味しい!」「女ガンマンの余興が愉快で楽しくてサイコー!」と、高評価のレビューでたくさんだ。

「ほぉ、このガンマン姿の姉ちゃんがレイチェルっていうのか。可愛いじゃねえか」

彼の名はノーマン。亡くなった両親の莫大な遺産で高級アパートに住み、ろくに働かずに怠惰な生活を送っているニートだ。

「レイチェルは俺の妻にピッタリな女だ。必ず俺のものにしてやるぞ…」

そう言うと彼はパソコンの電源を切るのだった。

・・・・・・・・・・・

ある朝の8時、ライアンとレイチェルはレストランの準備で大忙しだった。

「それじゃあ材料買いに行ってくるね、ライアン!」
「事故には気をつけるんだよ、レイチェル!」

レイチェルがドアを開けて外に飛び出したその時、何かに足を躓いて転んでしまう。

「痛たたた…!もう何なの?」

足下に落ちていたのは、ピンクのリボンで飾り付けがされた白い箱だった。

「何かしら?」

不審に思いつつも、とりあえずリボンを解いて箱を開けてみるとそこには綺麗なクリスタルのアクセサリーが入っていた。

「綺麗!で、でも何でこんな所に置いてあるのかしら?誰かさんの忘れ物?」

そのクリスタルのアクセサリーの入った箱をライアンにも見せる。するとライアンは箱の隅の小さな隙間に、一枚の紙切れが入っているのに気付く。
取り出して見てみると、そこには「レイチェルへ、大ファンである俺からのプレゼントだ」と書かれていた。

「レイチェル、どうやら君へのプレゼントのようだね」
「で、でもいきなりこんな高級品受け取ってって言われても何だか気味が悪いわ。どこに名前も書かれていないし」
「ということは誰かのイタズラかな?でも一応こっちで預かることにしよう」

近くの草木の茂みに隠れていたノーマンが、レイチェルの姿を双眼鏡で窺っていた。

「誰からのプレゼントか分からなくて動揺してやがる、可愛い奴だなレイチェル…」

それ以降、ノーマンは毎日のようにレストランの扉やキッチン近くのドアの前にレイチェルへのプレゼントとして、
ネックレスや帽子、可愛いぬいぐるみ等の入った箱を置きに置きまくったのだった。

「(レイチェル、俺からのプレゼントだから大事にしてくれよな…)」

一方のレイチェルは、知らない誰かからのプレゼントの数々に底知れぬ不安と恐怖を抱いていた。

「ライアン、私なんだか怖いよ…!」
「もうこうなったら警察に言うしかない」

ライアンの通報により、すぐに警察が駆けつける。彼から大まかに事情を聞くと、それらの
プレゼントを回収してくれることとなった。
0012この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/01(水) 17:57:13.49ID:xdAJTX6u
【変態ストーカー、その名はノーマン】(2/3)

「最初は単なるお客の忘れ物かと思ったんですけど、それにしてはあからさますぎて…」
「分かりました。また何かございましたらすぐに一報を入れてください」

せっかくのプレゼントを警察に回収されたと知り、ノーマンは自分の好意と善意を踏みにじられたように感じ、取り乱すがすぐに冷静さを取り戻す。

「まあいい、俺は寛大で優しい男だからな。あっそうだ、良い事思いついたぞ…!」

午前0時の深夜のこと、レイチェルはライアンより先に寝室のベッドでスヤスヤと眠りについていた。
カーテンが開いたままの窓から、こっそりと誰かが覗いている。他でもないノーマンだ。

「ゲヘヘ、レイチェルの可愛い寝顔いただき!」

手に持っているスマホで彼女の寝顔を撮影する。その次にノーマンが狙ったのは毎週火曜日だった。
次の日が水曜日で定休日のため、レイチェルが夜更かししてリビングのソファーでテレビを見ている確率が高いからだ。

「ソファーにもたれてテレビを見るレイチェル、こいつも最高だなあ!」

少し開いたカーテンの隙間から、そんなレイチェルの姿もスマホで撮っていく。
おかげでスマホのアルバムはレイチェルの写真でいっぱいになっていた。

「うひょー!近くにレイチェルがいる気分だぜ!だがなあ…」

嬉しくて興奮するノーマンであったが、レイチェルの夫であるライアンの存在が憎くてたまらなかった。

「このライアンがマジで邪魔でウザくてムカつくぜ、吐き気がする!そうだ!」

ノーマンはつい最近、趣味で購入したばかりの新品の銃でライアンを殺害しようと考えたのだ。
1週間後の早朝、ノーマンは銃を片手にレストランへと歩み寄る。しかし、彼は近くで居眠りをしている野良犬の存在に気付かず、尻尾を踏みつけて起こしてしまう。
怒った野良犬はノーマンのお尻や脚にガブガブと噛みついた。

「お、おいやめろ!痛えじゃねえか!あっち行け!」

野良犬をなんとか追い払えたものの、鋭い牙で噛みつかれた尻や脚は血だらけだった。持っていた銃は、野良犬と格闘している間にどこかに落として紛失してしまう有様だ。

「犬に噛まれてケガするし銃は無くすし…もう勘弁してくれ!」

仕方なくそのまま病院に行って治療してもらうのだった。包帯で巻かれた尻や脚がヒリヒリと痛み、
ソファーに寝転がってしばらく安静にすることに決めたノーマンだったが、別の手段は既に考えてあった。

「よーし、こうなったら強硬策だ」

そう、彼はお客となってレストランに入ることに決めたのだ。
レストランの客を装い、ノーマンはライアンの料理を食べながら余興の時間が来るのを待つ。

「(ライアンの料理結構うめえじゃねえか。本人はウザくてムカつくけどな)」

余興の時間となり、ガンマン衣装に着替えたレイチェルがギターを手に持って現れた。

「みなさーん!今日も楽しく元気にやってるかしら?それじゃあ行くわよぅ!」

ニコニコ笑顔で楽しくギターを演奏するレイチェルの姿にノーマンの瞳はハートの形になり、口からヨダレがダラダラと流れ落ちていた。
そして一旦レストランを出ると、閉店時間の夜9時になるまで忍耐強く待つ。
0013この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 17:58:20.87ID:xdAJTX6u
【変態ストーカー、その名はノーマン】(3/3)

夜の9時になり、レストランは閉店。レイチェルが外に出てきたのを確認すると、勢いよく茂みから飛び出して彼女に突進する。

「わっ!な、何!?」

ノーマンはレイチェルを両腕で強く抱き締めるように捕まえる。

「捕まえたぞレイチェル!もう放さないぞ!」
「い、一体誰なのよ!」
「俺はノーマンだ!」

ノーマンはお構いなしにレイチェルの頭から帽子を脱がすと、彼女の髪を思いきりワシャワシャして乱れさせる。

「放して!放してってば!」
「こんな可愛い女ガンマンを放して逃がすようなことするバカがいると思うか?」

一瞬の隙を突いてレイチェルはノーマンの腕に噛みつく。
痛ッ!と声を上げてノーマンが腕を放した瞬間、レイチェルは急いでライアンのところへ走って逃げようとする。

「そうはいくか!」

ノーマンはレイチェルのコートを掴み、今にもビリッと破けそうな勢いで強く引っ張ってきた。

「ライアン助けて!助けてー!!」

レイチェルの叫び声を聞いたライアンが、咄嗟にキッチンのドアから飛び出してきた。

「お前、レイチェルに何やってるんだ!」

怒ったライアンに脇腹を勢いよく蹴られ、グヘエッとノーマンは倒れる。

「ライアン!」
「レイチェル大丈夫かい?お前、よくもレイチェルを攫おうとしたな!」

急いでポケットからスマホを取り出して警察に連絡するも、ノーマンはいつの間にか姿を消していた。
駆けつけた警察に逃亡したノーマンの容姿、レイチェル誘拐未遂の件などを全て詳しく説明するのであった。
事情聴取が終わって警察が帰った後、ライアンはレイチェルをギュッと抱き締め、彼女の頭を優しく撫でる。

「大丈夫だよ、レイチェル。また来たら容赦なくブッ飛ばしてやるよ」
「う、うん…」
「さあ今日はもう遅いから寝よう」

一方、ノーマンはアパートに戻り、また別の計画を練っている最中だった。

「ライアンがあんなに強いとは思わなかった、大誤算だった。まあ、レイチェルは必ず俺のものになるから覚えておけよ…」

その1ヶ月後、ノーマンの恐ろしい魔の手が迫ることをライアンとレイチェルはまだ知る由もないのだった…。
0014三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/02(木) 00:35:15.45ID:W4T32KCe
>>11
久しぶりの本編、スレ6エピソードの前日譚w
『レビュー』を閲覧する男、『クリスタル』のアクセサリー、『午前零時』の不審者・・・
とんでもないやつだったw、しかし憎めないところもある悪役ですねぇ
0015この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/02(木) 05:50:17.25ID:J8+SNyZu
>>14
感想ありがとうございます!
はい、今回はノーマンがどんな人物かをじっくりと書いた回でした
初登場回はいきなり誰?と困惑した人もきっと多かったと思いましたのでその前日譚です
もはやノーマンはナタリーと並んでレイチェルシリーズの代表的な悪役的存在ですねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0016この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/02(木) 20:45:36.99ID:J8+SNyZu
>>2
使用するお題→『レビュー』『マシマシ』『午前零時』

【レンタルお姉ちゃん】(1/3)

夕方、学校から帰ってきたカナミが自分の部屋で宿題をしている時だった。
コンコン!と誰かがドアをノックする音が聞こえてきた。

「だーれ?」
「僕だよー!」

ドアを開けて入ってきたのはケンスケだった。

「ケンスケ、今は宿題で忙しいから一緒に遊べないわよ」
「ううん、そういう事じゃないんだ。ちょっとお姉ちゃんに相談があるんだ…」
「相談?」

とりあえず宿題を早めに終わらせ、夕飯を済ませた後、リビングのソファーに座ってカナミはケンスケからの相談を聞く。

「相談って何かしら?」
「あの、お姉ちゃん、来週の土日って暇かな?特に用事ない?」
「うーん、特にないけどそれがどうかしたの?」
「それがね…」

ケンスケは早速話し始めた。ケンスケには西口ヒロトというクラスメートの友達がいるのだが、
そのヒロトが来週の土日だけでいいからカナミに自分のお姉ちゃんになってほしいとのことだ。
一人っ子で姉がいるケンスケが羨ましくてたまらないから、という彼からのお願いだった。

「お姉ちゃん、お願いだよ。来週の土日だけでいいからヒロトのお姉ちゃんになってくれないかな」
「そうなの。分かったわ、この私に任せなさい!」
「本当!?ありがとう!」

翌日、ケンスケはヒロトに姉からのOKが出た事を伝えると、ヒロトはとても喜んだ。
そして土曜日、カナミは弟にヒロトの家に案内してもらう。ヒロトの家に来ると、既に彼が嬉しそうに玄関の前で前っていた。

「わあ、ケンスケのお姉ちゃんだね!えっと、確かカナミさんでしたっけ?今日から2日間だけだけど、よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね、ヒロト君」
「早速だけどお姉ちゃんって呼んでいいですか?」
「ウフフ、いいわよ」

ヒロトは顔を少し赤らめ、照れながらカナミをお姉ちゃんと呼ぶ。ケンスケはそれを見て安心すると、家に帰っていった。

「それじゃあお姉ちゃん、ゲームでもして遊ぼうよ!」

家の中に入ると早速ゲームで勝負開始。ゲームで楽しく遊んでいると、いつの間にかお昼の時間になっていた。

「お姉ちゃん、お腹が空いたね。近くにいいラーメン屋があるからそこで食べない?」
「ラーメン?いいわね、行きましょ!」

ヒロトの知っているという近くのラーメン屋に向かう。
0017この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/02(木) 20:47:27.06ID:J8+SNyZu
【レンタルお姉ちゃん】(2/3)

「僕ね、この近所にある飲食店はちゃんとレビューとかで調べて、良い店をきちんと把握してるんだ!」
「へえ、なかなか几帳面で偉いわね」
「でしょ?もっと褒めてほしいな」

そのラーメン屋に入るとヒロトは豚骨、カナミは醤油ラーメンを選ぶ。

「おっちゃん、どっちもネギとメンマをマシマシでお願い!」
「はいよっ!」

そこのラーメンはとても美味しく、カナミもとても満足気な様子だった。
一方その頃、ケンスケは家に帰る途中で公園に立ち寄り、キーコーと音を立てながらブランコに座っていた。

「おっ、ケンじゃねえか!」
「ハヤト兄!」

近くを通っていたハヤトがケンスケに気付き、駆け寄ってきた。

「あれ、今日は大好きなお姉ちゃんと一緒じゃないのか?珍しいな、いつもセットなのによ」
「お姉ちゃんはちょっと友達の頼みで明日まで家にいないんだ…」
「ん、どういうことだ?」

・・・・・・・・・・・・・・

お昼を食べ終えた後、カナミとヒロトは近くの繁華街をのんびりと散歩していた。

「お姉ちゃんと一緒に散歩はすっごく楽しいな!」
「そう言われると嬉しいわ」
「僕、両親が共働きであまり家にいないし、一人っ子だから余計に寂しいんだ…」
「それは辛いわね…でも明日までは私がそばにいるんだから安心して」
「うん!」

のんびり楽しくおしゃべりしながら散歩していると、いつの間にか夕方になっていた。
夕飯もヒロトが知っている行き先の美味しいレストランで済ませる。家に戻ると、ヒロトはカナミをリビングに案内する。

「お姉ちゃん、何か見たいアニメの映画とかある?」

見たいDVDを選ぶとディスクを入れ、リビングのソファーにもたれて楽しむ。

「とっても面白いわね!」
「まるで映画会みたいだよねアハハ!」

映画を楽しんだ後、風呂に入って歯を磨き、カナミは持ってきたパジャマに着替える。

「今日はとっても楽しい一日になったね、明日も良い日になるといいな」
「そうね!それじゃあもう寝ましょうか」

ヒロトが敷いてくれた布団に入り、カナミはスヤスヤと眠りにつく。
午前0時の深夜、カナミは突如ただならぬ気配と殺気を感じて目を覚ます。
目を開けると、自分が寝ている布団のすぐ隣に包丁を持った少女が立っているのに気付き、カナミは一瞬心臓が止まりそうになる。

「あら、目を覚ましたようね」
「あ、あんたは6年の西口トモエ!と、ということはまさか!」
「そのまさかだよ!」

そのヒロトは、なんとあの意地悪で傍若無人な6年女子の一人である西口トモエの弟だったのだ。
0018この名無しがすごい!
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2020/04/02(木) 20:48:16.76ID:J8+SNyZu
【レンタルお姉ちゃん】(3/3)

「ひ、一人っ子というのは全くの嘘だったのね…!」
「そうだよ。僕の大好きなお姉ちゃんがどうしても君を完膚無きまでに叩きのめしたがってるんだ、協力しないわけがないだろ?」
「そうよ。七尾、あんたはまんまと私達の罠にはまったというわけ」
「ケンスケも僕に姉がいるってこと全く知らずに、お願いを聞き入れるんだから本当バカだよね」
「さあ観念しな!」

包丁を片手にトモエがカナミに迫ってくる。逃げる場所などどこにもなく風前の灯火、まさに絶体絶命!と思った次の瞬間だった。

「七尾ー!」
「お姉ちゃーん!」

家のドアを力合わせて蹴り飛ばし、ハヤトとケンスケが中に突入してきた。

「ケンスケ!それに宮坂君!」

「ヒロト、まさかあの西口トモエの弟だったとは全然知らなかったよ…!友達だと思ってたのに裏切ったんだね!」
「そんなのお前に教える義理なんてあるはずないだろ、ケンスケ。でも何で急にそれが分かったんだよ」
「俺がお前らが陰でこそこそと話し合ってるのを見たんだよ」

つい先日、ハヤトが休み時間に体育館の近くを通った時、その陰でヒロトとトモエが何やらこそこそと作戦を練っているのを見て、とても怪しんでいたのだ。

「絶対何かとんでもないことをしでかすと思ってたけどやっぱりだったな!」
「まあ今更気付いても遅いわ、七尾はここで最期を迎えるのよ!」
「そうはさせるか!」

ハヤトは勢いよくジャンプすると、トモエの脳天に目がけて踵落としを食らわせる。
ギャー!の悲鳴と共にトモエはそのまま倒れてしまい、それにヒロトが動揺する一瞬の隙を狙ってケンスケが飛びかかり、彼を取り押さえる。
ハヤトは急いで警察に連絡し、駆けつけた警察によってトモエとヒロトは逮捕されたのであった。

「七尾、ケガはないか!?」
「大丈夫よ、本当にどうもありがとう!」
「友達だと思っていたのに、お姉ちゃんの命を狙っていただなんて…。お姉ちゃん、僕が騙されたせいで危険な目に遭って本当にごめんね…」
「ケンスケはちっとも悪くないわ、気にしないで」

気付くと既に太陽が顔を出し、朝が来ていた。

「じゃあ気をつけて帰れよ、また月曜に学校で会おうな」
「うん!本当に色々どうもありがとうね宮坂君!」
「なんか悪い予感がしてたんだ、第六感というやつさ」

そう言うとハヤトは去っていき、カナミとケンスケは家路につくのだった。

「お姉ちゃん、早く帰ろう。お母さんもお父さんも心配しているだろうし」
「そうね!」
0019三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/03(金) 12:58:25.12ID:Zmx5QnUm
>>16
今回は狂気との対決!
『レビュー』で調べたラーメン屋で『マシマシ』、『午前零時』の危機一髪
昼間はただデートしてただけw、からの斬新な手口、最後は安心の救出劇でした
0020この名無しがすごい!
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2020/04/03(金) 14:34:55.40ID:creGcaW4
>>19
感想ありがとうございます!
話が進むに連れて狂気度がどんどん上がってきているなあ、と確かに書いてて思いましたw
それでもどんなお話も最後はなるべくハッピーエンドで締め括る、それが私の小説を書く上での信条です
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0021この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 21:22:16.94ID:1dJ33h6X
>>2
お題:『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』

【トライアルセクション】(1/2)


 埠頭は、午前零時を過ぎたと言うのに、煌々と灯りがともり、疎らであるが人影も出ている。
 都内へと運ばれる物資が、次々と運び込まれ、湾岸用リフトが絶え間なく動いていた。

「大忙しだな、仕方がないが……」

 その、復興の為の支援物資の積み降ろしを尻目に、男は、寂れた倉庫街へと歩みを進める。
 待ち合わせ場所である倉庫へと赴いた天津 恒は、その廃墟然とした佇まいに眉根を寄せた。

「本当に、ここで合ってるのか?」

 待ち合わせは午前零時三十分、場所は湾岸倉庫17番。記憶と照らし合わせた場所は、確かにここだ。

「待っていましたよ? 天津さん」

 やけに耳に残る老人の声に、恒は、ビクリと肩を震わせ振り返る。
 いつの間にそこに居たのか、老人は杖をついた姿勢で佇んでいた。

「あんたが……あー」
「はい、依頼人の山田 太郎です」

 あからさまな偽名に恒が溜め息を吐く。
 しかし恒は、ここに仕事をしに来たのだ。特に彼の場合、依頼人が訳ありと言うのも良くある事だった為、その事はスルーする事にした。
 山田に連れられ、倉庫へと入る。と、途端に地面か揺れ、倉庫中央にポッカリと穴が開いた。
 山田は躊躇うことなくその穴に入って行く。
 恒も、渋面を作りながらも、その後に続いた。
0022この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 21:26:41.73ID:1dJ33h6X
【トライアルセクション】(2/3)


 ******

 クリスタルガラスで広く視界を取られたエレベーターで降りた先に有った物に、恒は驚きのあまり息を飲んだ。

 20m近い人形のそれは、彼の認識に間違いがないのならば、“ロボット”と呼ばれる物だろう。

「……何だ? 映画の撮影でもやろうってのか?」
「それも楽しそうですがね、貴方にお願いしたいのは、アレのパイロットですよ」
「!! ……冗談だろ?」
「本気です」

 天津 恒と言う男は運び屋だった。今まで、有りとあらゆる手段、乗り物を使って、頼まれたモノを運んできた。
 その為、今回も、その類いだろうと思って来たのだが……

「いや、流石に筋違いだろう? 俺は、単なる運び屋で……」
「謙遜しないでください、我々とて、色々と調べましたよ? バイク、自動車、航空機から船舶、果ては重機まで自在に操り、有りとあらゆる場所へ荷を運ぶ」
「買い被りすぎだ」

 確かに恒は、あらゆる乗り物を乗りこなし、その、依頼達成率は100%に近い。
 だからと言って、ロボットの操縦など、あまりに毛色が違うだろう。それに……

「コイツに乗せようって事は、つまり、アレと戦えって事だろう?」
「はい、その通りです」

 この所、日本にはエイリアンが襲来していた。
 全長20m近い、その来訪者は、日本全国に降り立っては、何かを探すかの様に荒らし回っていた。
 各国は、当初こそ、このエイリアンに対処すべく動いていたが、彼等の目的が日本であると分かった途端に、軍を引き上げ、全ての対処を日本に任せる事にしたのだ。
 それでも一応、支援物資を日本に送る程度の援助はしているのだが……

 日本政府は、このエイリアンに対抗する為、国防相だけでなく、民間にも広く対応策の依頼をし、各企業がそれに応えた。

 この、山田からの依頼も、そう言った物の1つだろう。

「無茶を言う。第一、ここまで作ったんだ、テストパイロットだって居たはずだろう?」
「いや〜、お恥ずかしい話ですが、先任は寿退職致しまして……」
「えっと、おめでとう?」
「授かり婚だそうです、ウチの整備員と……」

 居たたまれない空気に、恒が視線を逸らす。

「お願いします!! 国防相のトライアルまで、1ヶ月を切ってしまったんです!!」
「いや、同情はするが、さすがの俺も、ロボットの操縦なんか自信ないって!」
「大丈夫です! 調査の結果、貴方か一番適正があったのです!!」

 そう言えば、恒の事を調べたのだと山田は言っていたか。
 確かに今までも、命ギリギリの仕事はしてきた。しかし、ロボットに乗ってエイリアンと戦うと言うのは、勝手が違い過ぎる。

「悪いが、他を……」
「料金はマシマシ! 特別手当てと、危険手当ても付けますので!! お金が必要なのでしょう? 妹さんの……」

 その言葉に、恒の動きが止まる。

「当然、もしもの時の、保険も付けます」
「そこまで調べたのか?」
「…………」
0023この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 21:29:28.91ID:1dJ33h6X
【トライアルセクション】(3/3)


 渋面を作る恒とは対照的に、山田が笑っていない笑みを作る。
 恒は、舌打ちを1つすると、降参だとばかりに両手を上げた。

「分かったよ、アレに乗って、宇宙人をブッ飛ばせば良いんだな?」
「あくまで、実践テストです。テストの結果いかんでは、そのまま正規パイロットと成っていただいても構いませんよ?」

 ******

 ブスッとした顔で、パイロットスーツの恒がロボットに乗り込む。
 一週間の訓練で、恒は、このロボットの特性は掴んでいた。
 そして今日、初の実戦である。
 エイリアンが襲来したからだ。
 コクピットが密封され、シリコンリキッドが充填される。

(何度体験しても慣れんな、これは)

 それでも、衝撃を吸収するこのリキッドがなければ、恒の命に関わるだろう為、我慢するしかない。
 コクピット内がシリコンリキッドで満たされ、水中にも拘らず呼吸が出来るようになると、恒は、操縦用の水晶を握った。
 網膜に直接映像が投射され、恒の視界がロボットのソレとリンクする。

『では、発進シーケンス開始します。良いですか? 天津さん』
(オッケーだ、何時でも良いぜ!)
『あ、後、帰還後は、直ぐにレビューを提出してくださいね?』
(発進直前に、気を削ぐ様な事、言うんじゃねぇよ!!)

 管制室で、クスリと笑う山田を恒は感じた。

『では、ご無事にお戻り下さる事を願っています』
(了解だ!! 天津 恒、ゲイル・バインダー、出る!!)

 もしかしたら、初出動で緊張する自分の力を抜かせる為の、彼なりのジョークだったのかもしれないな、等と考えながら、射出された恒は、まだ視界に捉えられぬエイリアンを睨み付けたのだった。
0024三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/05(日) 22:09:37.39ID:V+Tt0GwQ
お題→『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』締切

【参加作品一覧】
>>5【洞窟の中の冒険】
>>11【変態ストーカー、その名はノーマン】
>>16【レンタルお姉ちゃん】
>>21【トライアルセクション】
0026三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/05(日) 22:11:53.26ID:V+Tt0GwQ
ではでは、今回も通常お題5つでお願いします

お題安価>>27-31
0027この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 22:14:51.65ID:ujJstVlM
『恐竜』
0028この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 22:16:48.25ID:wmyYL/UF
コネクト
0029この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 22:18:29.26ID:SqxzWFdW
満月
0030この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 22:24:03.23ID:COqefagk
カブ
0032三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/05(日) 22:50:48.35ID:V+Tt0GwQ
☆お題→『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→4/12の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0033三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/05(日) 22:54:58.09ID:V+Tt0GwQ
なんかよく分からない組み合わせw
あと様子を見て、次回か、その次は、企画お題をやりたい・・

作品もお題もありがとうございます
8スレ目もどうぞよろしく〜
0034この名無しがすごい!
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2020/04/05(日) 23:32:53.94ID:1dJ33h6X
>>11
本当に怖いストーカー被害ですね
相手の心情をおもんばかる訳でもなく
身勝手な想いを一方的に押し付けるのは愛情でも何でもないですよね

>>16
例え、どれ程憎いと思っていたところで
実際に手を出してしまったらアウトですね
ソレをした時、その後どんな事に成るか、想像できないのは痛ましい事です
0035この名無しがすごい!
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2020/04/06(月) 00:03:00.28ID:KrT35l98
>>2、一発目から供養枠で申し訳ないです

使用お題→『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』

【コートの向こう側に】(1/4)

 最後のカードは『バーサーク・ブレイズ・ライオン』だった。めくられると同時に立ち上る霊気。
「これでダメージマシマシだぜ!」
 百獣の王。その姿を借りた召喚獣が、その場に出現する。一度だけ大きく咆哮(ほうこう)すると、それは瞬く間に形を失い、光を放つ粒子となって、対戦相手のアバターに吸い込まれる。
「今度こそ、俺が勝つ!」
 カードの力を取り込んだアバター。そのたてがみを震わせ、闘志もあらわに拳を構えると、全身から炎が吹き上がった。
「さあ、どうする。残りのカードを使うよな! なあ!」
 もちろんそのつもりだけど、もう少しだけ引っ張ってもいいだろう。
「使わないなら遠慮なく行くぜ! オラァ!」
 その拳は、速くて、重い。だけど。
「オラ! オラ! うらあ! うぉああああ!! なぜ! 俺の! 届かない! パンチが!」
 まだまだ、だね。私のアバターは攻撃をすべて回避する。一発でも食らえば、たちまちノックアウト。かすっただけでも炎に焼かれてしまうだろう。
「ああああ!!」
 ラッシュに続けてキックも飛んでくる。不意打ちのつもりだろうけど、全部見えてるよ。落ち着いてよける。
 相手の動きが止まる。こちらは相手から少し距離を取る。
「じゃあ、そろそろ、今度は私から行くよー!」
 伏せられたカードは残り二枚。私はその両方を同時にめくる。
「ララ、レレ、出番だよっ!」
『あいよ、ポン!』
『よしきた、コン!』
「またそいつらかよ!」
 コートの反対側から文句が飛んでくるけど。
「いいでしょー、これが強いんだから! 対策してないそっちが悪いのよー」
 かわいくデフォルメされた、タヌキとキツネの召喚獣。『スウィフト・ファントム・ラクーンドッグ』と『ソニック・ブレード・フォックス』だ。二匹は一瞬で分解され、その光の粒は一つに混ざって、私のアバターへと流れ込む。
「さあー、覚悟しな!」
「くっそー! 俺は負けねえ!」
 相手の攻撃が再開される。いよいよ勢いを増した炎と、それをまとって繰り出される神速のパンチは、しかし、今やちっとも怖くない。
 拳が追い付いた、それは残像。私のアバターは駆け回る。火炎を吹き消す音速の剣(つるぎ)、カードで強化された短剣を相手のリーチぎりぎり範囲外からたたき込めば、面白いようにダメージが入る。
「これで……終わり!!」
 カードのアクティブスキルを発動する。残像は分身となり、迷子の猛獣を閉じ込める。切っ先を一斉に振りかざすと、それを無慈悲に突き立てた。

『対戦終了、りこぢゃよの勝利です』

「あああー!! また負けた!」

『お疲れ様でした』

 *

「ちくしょー、なんで勝てねえんだ……」
 そのままコートに座り込んで、対戦相手、四十万(しじま)レオンが愚痴をこぼす。
「だからさー、パワータイプにこだわり過ぎなんだって。いくら強い攻撃だって、当たらなきゃ意味ないんだから」
「うるせー。俺が腕力を捨てたら、それは俺じゃねえよ」
 腕力……つまりは筋肉馬鹿だ。そのこだわりも、嫌いじゃないけどね。
「じゃあ、もっとうまくなろ。それで次こそは、あたしを倒してね」
「おいレオン、莉子(りこ)、終わったんなら早く場所空けろー。次だ、次」
「おーう、悪い」
 せっつかれて、のろのろと立ち上がるレオン。そこで私はふと、彼の向こう側、コートの外からの視線を感じる。
 目が合った……と、思う。
 レオンの肩が持ち上がってきて、視界が遮られる。
「お前さ、トライアルには出るよな?」
「……うん。多分ね。そのつもりだけど」
 黒髪ショート。女。捕食者の目。見掛けない顔だけど……どこかで、見たような。
「俺、応援してるから。お前ならきっとプロになれるって」
「だといいけどね。ありがと」
0036この名無しがすごい!
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2020/04/06(月) 00:03:34.88ID:KrT35l98
【コートの向こう側に】(2/4)

 部活を終えて帰宅する。家の中は薄暗い。
「ただいまー。って言っても、誰もいなけど」
 父も母も忙しく、遅くまで帰ってこない。兄は大学進学と同時に一人暮らしを始めたので、家では私一人の時間が多い。
「あっ、お母さんだ」
 視界の隅っこで通知が点滅する。視線で操作して、メッセージを開く。
『今日も遅くなります。晩ご飯は適当に食べてください』
 作り置きがあったはずだ。冷蔵庫を確認しようとして、次のメッセージがポップアップする。
『部活もいいですが、勉強も頑張ってください。お父さんはああ言ってますが、あなたも大学に行った方がいいと思います』
「……返信。『分かりました。なるべく早く帰ってきてね』」

 *

 兄の影響で始めたAR対戦ゲーム。『AURA CARD MONSTERZ(オーラカードモンスターズ)』。
 実用的なARグラス(現実世界にCG映像をかぶせて表示する、眼鏡型の透明なディスプレイ)が登場して間もなく、専用アプリの一つとして発表された。
 その完成度とゲーム性の高さから、ゲーム情報サイトのレビューでは軒並み最高評価を獲得。一大ブームを巻き起こし、ARグラスの普及を大きく後押しすることとなった。
 ゲームの公開直後から遊び始めた兄は、対戦相手を必要としていた。それで私を引き入れた。
 私は最初、動物のカードを集めるゲームだと思っていた。対戦は『おまけ』。勝っても負けても楽しかった。
 やがて兄はこのゲームで遊ばなくなり。私はと言うと、才能があったのだろうか、近所に並ぶ者なし。そのままやめ時を逸してしまい、高校に上がっても、eスポーツ部で、競技として続けている。

 *

 午前零時。母は帰宅して、今は寝ているようだ。父は、今日は帰れないと連絡があった。
 なんだか寝付けなくて、近所の公園まで散歩することにした。公園には対戦用のコートがある。このゲームの面倒なところ。ARグラスだけでは遊べないのだ。
 公園の片隅、街灯に照らされたその場所。テニスコートよりも少しだけ狭い。
 真ん中に『対戦ステーション』が埋め込まれている。半球状の小さな機械。筐体(きょうたい)の中には、無線の親機と、モーションキャプチャのセンサーが入っている。
「接続、アバターをロード」
『接続が確立されました。りこぢゃよのアバターをロードします』
 コートの端に立って、対戦の準備をする。私と対戦ステーションとの間にアバターが立ち現れる。私よりも一回り、頭一つ分くらい小さな人形。デッサン人形を思わせる、曲面と無機質さ。色は淡い黄色。
「オンライン……じゃなくて、トレーニングモード」
『トレーニングモードを開始します』
 アバターの見た目は、もっと飾り付けることも可能だ。ただ、カードのエフェクトが派手なので、こちらはシンプルな方がバランス良く見える。
 軽くトレーニングメニューをこなす。私の動きに合わせて、アバターも、歩いたり、走ったり、ジャンプしたり。私とアバターの動きは一対一では対応しておらず、私の動きは小さく、アバターの動きは大きくなる。
 このプレイヤー側の動き。無関係な人の目には、ちょこちょこと中途半端に映る。そんなこともあって、運動部の人や、場合によっては文化部の人からも、ちょっと下に見られたり。

「……あっ」
「こんばんは」

 昼間、学校のコートで私を見ていた人だ。彼女のARグラスが、街灯の光を反射して、クリスタルのようにきらめく。
「この辺りは詳しくないの。引っ越してきたから。地図を見て、家から近いコートを探してきたの」
「……そうなんだ。髪、切ったの?」
「ええ。邪魔してごめんなさい。私のことは気にしないで、どうぞ続けて」
 やっぱり。私はこの人を知っている。もちろん初対面だけど。
「あのー、もし良かったら、対戦してくれませんか? 駄目ならいいけど」
 そんな言葉が口をついて出た。
「駄目じゃないわ。ただこんな時間だから、一戦だけね」

 *

 彼女のアバターは真っ白だった。始めたばかりで何も設定していない、初心者のような。
「お待たせ。準備できたわ」
 だけどその身のこなしは、一般プレイヤーとは一線を画している。もちろん、私の不格好な動きとも。
「……じゃあ、対戦開始」
「対戦開始」
『対戦を開始します』
0037この名無しがすごい!
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2020/04/06(月) 00:04:24.56ID:KrT35l98
【コートの向こう側に】(3/4)

 彼女が最初に出してきたのは『スウィフト・フリーイング・ラビット』だった。同時に三連射。一発目、二発目は回避したけど、最後の一発は受けてしまう。
 私のカードは『ディフューズ・ミラー・トータス』。最大で二秒に一度、受けた攻撃を無効化する。だからダメージはない。ここまでは想定通り。
 今回の相手は、距離を取って小銃で狙撃してくるタイプだ。このゲームの銃は、現実の銃とは違って、射線が全員の画面に表示される。だから、ちゃんと見ていれば、よけること自体は難しくない。
 私のアバターは、相手のアバターに突進する。銃撃の直後は、いわゆる技後硬直が発生するためだ。動けないところを狙う。
 相手は当然対策をしている。それが最初のカードで、硬直時間を短縮する効果と、任意の方向への逃走スキルを持っている。
「どうかしら」
「えっ!」
 二枚目のカード。『トゥイステッド・トラップ・スネーク』! めくるのと同時に、発動エフェクトもキャンセルして、私のアバターを足止めする。
「くっ、このっ!」
 私はとにかく短剣を振るう。形だけでも反撃しておかないと、相手は硬直明けに撃ってくる。私の必死の攻撃は、銃身でガードされる。相手はまだ固まってるはずなのに。
 逃走スキルは使わずに、相手は悠々と後退する。足止めも解除されるが、突進するには距離がある。
「それじゃあ三枚目」

 *

 相手のカードは残り一枚。こっちは残り二枚だ。ここまでよく持ったと思う。
「学校で見たときも思ったけど、あなた、なかなかやるね。プロでも通用しそう」
 向こうには落ち着いて話すだけの余裕がある。こっちは、ごめん、息が切れている。呼吸を整えてから、ゆっくりと返事をする。
「……やっぱり見てたんだ。って言うか、こんな状態で褒められても、うれしくないな」
 ははっ、と、息を吐き出して笑うと、相手も薄く笑みを浮かべた。
「最後。これで勝負」
 黒く揺れるエフェクトの中から、ゆっくりと立ち上がる影。『ソニック・リープ・ウルフ』は、彼女の代名詞とも言えるカードだ。
「じゃあ、こっちはこれ!」
『大丈夫かい、ポン!』
『楽しそうだな、コン!』
「いいね! それっ!」
 オオカミの牙が迫る。同時に相手は射撃動作に移る。飛ばしたオオカミで相手を押さえて、遠くから一方的に狙撃するつもりだ。こっちはとにかく逃げ回る! 捕まったら終わりだ。蜂の巣だ。
 一発。外れ。二発。外れ。三――――
「やあああ!!」
 本体に突っ込む! オオカミは残像の方に飛んでいる。分身スキルを発動して、ハンターを取り囲む。
「ふんっ!」
 小銃が振るわれて、分身の一体が殴り倒される。返す刀でもう一体。オオカミが戻ってくる、その前に。
 分身二体で、前後から斬り掛かる。正面はするりと、背後の方は銃床で受け止められる。駄目だ、次!
「はあああ!!」
 残り四体で同時に斬り付ける。相手は銃身を振り回し――――

「…………とどめを刺して」

 彼女の体が、突然、がくんと傾いた。アバターの動きが止まる。私も、反射的に動きを止める。
 一年前、突然の引退を余儀なくされた、当時のトッププロプレイヤー、黒沢千浪(くろさわちなみ)。その完璧なルックスも相まって、カリスマ的な人気を誇っていた。
 引退の原因は、病気とも事故とも言われた。結局それは明かされることなく、彼女は表舞台から姿を消した。

「あなたの勝ちよ。とどめを刺して」
 彼女は淡々と要求する。私は動けない。
「なんで――」
「とどめを刺せ!!」
 私はびくりと震えた。体が動くようになる。そして短剣を。

『対戦終了、りこぢゃよの勝利です』

 なんで。

『お疲れ様でした』

 なんで――――
0038この名無しがすごい!
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2020/04/06(月) 00:04:59.76ID:KrT35l98
【コートの向こう側に】(4/4)

「なんで、あなたが泣いてるの?」
 気が付くと、目の前には彼女が立っていた。ハンカチが差し出される。
「涙を拭いて。今夜はありがと。楽しかったわ。じゃあね」

 *

 翌朝、遅刻しそうになりながらも、教室に滑り込む。結局あの後は一睡もできなかった。
 すぐに先生が入ってくる。先生が何かを言う。それから、見知らぬ女子生徒が――――

「ええっ!」
「川崎、うるさいぞ」
「……初めまして。黒沢千浪と言います。よろしくお願いします」

 眼鏡を外して、二度見した。
 中途半端な現実に、鮮やかな黒が加わった。
0039三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/06(月) 00:17:11.08ID:KrT35l98
いいとこ取りしつつバトルも書きたいなぁ → 説明説明説明長文

なぜなのか
0041三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/06(月) 19:16:57.99ID:KrT35l98
>>40
そうなのかも、、とりあえずなんか一生懸命書いたよ感は伝わったかもですねw

>>21
なんか趣味性が発揮されてる感じw
『午前零時』の埠頭、『クリスタル』ガラスなど、国の『トライアル』、料金『マシマシ』、機体の『レビュー』
結果として独特と言うか、ある種の大人主人公で、世界観と雰囲気にも魅力がありますよね
0042この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/06(月) 21:37:21.60ID:uqdQywUv
>>32
使用するお題→『満月』『カブ』『新生活』

【シチリアでの新しいスタート】(1/2)

レイチェルはライアンと結婚、彼と共にイタリアにあるシチリアへと旅立った。
そのシチリアでレストランを開業するのがライアンの夢である。そんな彼のためにレイチェルはとことん尽くそうと強く決意していた。
そこで始まる新生活は、レイチェルとライアンにとってまさに夢と希望に溢れているものだった。

「ねえ、ライアン。レストランはどこに建てるか決めてあるの?」
「もちろんだよ、レイチェル」

タクシーに乗り、レストランが建設される土地へと向かう。そこに着くと、既にクレーンやダンプカーなどの重機が集まって建設が始まっていた。

「わあ、もう始まってたんだ!ビックリ!」
「ちゃんと予め下見もしたからね。もう準備は整っているよ」

ライアンはこの時のためにハリウッドで立派な俳優になる修行を積む中、たくさんのバイトを兼業して貯金していたのだ。

「ここで君と一緒にレストランを営業していくと考えると、もうそれだけでワクワクして楽しくてたまらないよ」
「うん!私もライアンとずっと一緒にいられると思うと、それだけですっごく幸せ!」
「レイチェル…!」

レストラン兼マイホームが完成するまでの間、2人は近くにあるアパートを借りてそこで住むこととなった。

「お待たせレイチェル!今日はニシンのフライとカブのピクルスだよ!」
「待ってましたー!!」

ライアン手作りの美味しい料理にレイチェルはもう夢中だ。

「私、小さい時からカブが苦手なんだけど、ライアンがこうピクルスにしてくれると大丈夫なのよね」
「ありがとう、それで君の好き嫌いが直ると思うとなんだか嬉しいな」
「ライアンがちゃんと栄養のバランス考えてくれるから助かるわ。私、料理が下手で一人だった時は冷凍食品中心で栄養が偏りがちだったから」

料理を作るのが下手なレイチェルにとっては、まさにライアンは心強くて頼もしい存在である。
彼には秘密にしているが、4キロほど太ってしまって必死にダイエットしていた時期があった。

「もうライアンの料理最高!」
「でも食べ過ぎちゃダメだよ、アハハ」
0043この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/06(月) 21:38:19.39ID:uqdQywUv
【シチリアでの新しいスタート】(2/2)

夕食を食べた後は、軽く近くまでのんびりと散歩を楽しむ。今夜は大きな満月だ。

「綺麗な満月ね」
「大学生で一緒にキャンプに行った時も、確か満月の夜空で美しかったよね」
「うん!またあの時みたいに一緒にアウトドアに行こうね、ライアン」
「もちろんさ!」

アパートに住んでいる間、レイチェルは近所のスーパーマーケットでパートとして働く一方、余興でのギター演奏の練習に励んでいた。

「いいね!それにしてもレイチェルって楽器を扱うの本当に上手だよね」
「私のお爺ちゃんが若い頃ピアニストで、それで興味持ってピアノを弾き始めたのがきっかけなの」

数ヶ月後、注文していたウエイターとウエイトレスの制服が届き、ライアンとレイチェルは早速試着する。

「わあレイチェル、すっごく似合ってる!」
「そ、そう?何だか照れちゃうな…」

そして遂に念願のレストラン兼マイホームが完成した。

「遂にできたよレイチェル!これから一緒にレストランを盛り上げて楽しく過ごしていこう!」
「もっちろん!この私がいつもそばにいるから心配しないでね、ライアン」
「ありがとう、僕の可愛いガンマンちゃん。まだ夢の第一歩は始まったばかりだけど、こうやって君と過ごせる日々をずっと待ち望んでいたんだ」

そう言うとライアンはレイチェルをギュッと抱き締め、頭を優しく撫でるのだった。
念願のレストラン生活がスタートした。徐々にではあるが口コミなどで話題を集め、ライアンの美味しくてバリエーション豊富な創作料理だけでなく、
そんな彼が考案したレイチェルによる楽しい余興も好評を博し、今ではすっかり地元で人気のレストランとなった。

「大好きだよレイチェル」
「私もよライアン」

シチリアでスタートしたライアンとレイチェルの新しい生活。
そんな2人に待ち受けるワクワクドキドキのハプニングの数々を一緒に楽しんでいこうではないか。
0044この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/07(火) 00:02:27.10ID:R1RtNplT
>>42
シチリアビギニングですね
これから、あの数々の事件を経て、さらに絆が深まっていくのですね

>>41
感想ありがとうございます
ロボットは大好きです
小説を書く前に、フルスクラッチで主役機を作り始めるくらいに(本末転倒)w
0045三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/07(火) 19:25:28.31ID:s46lF4g+
>>42
正に希望溢れる
シチリアでの『新生活』、『カブ』のピクルス、今夜は『満月』
楽しいなぁ・・、キャラがしっかりしてるので、こういう振り返り的な話にも違和感がないですよね
0046この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/07(火) 19:42:24.93ID:TS4jcpsx
>>44
>>45
感想ありがとうございます!
レイチェルがライアンと結婚してシチリアに旅立ってまだ間もない頃の小話です
ここからあの忘れられない楽しい思い出、トラブルやハプニングの数々が始まると同時に
レイチェルとライアンの絆が強く結ばれていき、最高の夫婦になっていくのです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0047この名無しがすごい!
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2020/04/07(火) 19:56:20.14ID:TS4jcpsx
>>34
少し遅れてしまいましたが、こちらも感想ありがとうございます!
あのレイチェルへのただならぬ執念が大変な事件へと繋がっていくというわけです
もしノーマンがナタリーと手を組んだら…というIFを想像したことがあるのですが、あまりに怖くて身震いしてしまいましたw
そして意地悪で傍若無人な小6女子軍団の暴走はまだまだ止まりません
姉弟とハヤトはそんな彼女らの暴虐の数々を完全に止められる日は果たして来るのか、乞うご期待!
どちらのシリーズも楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0048三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/11(土) 14:32:08.45ID:iliIYR5s
ところで次回ですが、先日ご提案のあった、2つ固定+1つ選択をやろうかと
固定の2つは互いに組み合わせやすいものを、選択のは固定用とは離れたものを3つ取ります

先に3つ取って、固定用2つを後に、合計5つ
特に最後の人は自由度が低いと思いますが、とりあえずやってみたい
0049この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 21:06:21.85ID:1VBXebO5
☆お題→『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』

「ダイジョーブッ!」

コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
カーテンを開け、朝の暖かい日差しに一分間当たる。
洗濯機を回し、掃除機を手に取る。
掃除を終えると、コーヒーをカップに注ぎ、テレビのスイッチを入れる。
後は午前九時頃までテレビを眺め、コーヒーを啜る。
そんな朝木道代の朝は夫の死後も変わることはなかった。

昨年、道代の夫である寿貴が亡くなった。
車で川に転落するという単独の交通事故、即死だった。
警察からの聴取を受けた。
恐らくは自殺や他人の関与という線を考慮していたからだろうと道代は思った。
結局、疑いはなく寿貴の死は事故として処理されて今日、つまり一年後の命日に至る。

インターフォンが鳴った。
珍しいこともあるものだと、道代はインターフォン血備え付けてあるカメラをのぞいた。
「あ、おはようございます。朝早くに申し訳ありません」
そこに映し出されたのは、気弱そうにスーツを着た若い男だった。
「どなた?」
道代の問いに男は刈り上げた頭をかきながら気まずそうに笑う。
「保険調査員の木場、と言います。保険金の関係で本日はお伺いさせていただきました」
道代は短く息を吸い込んだ。
0050この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 21:21:09.42ID:1VBXebO5
「ダイジョーブッ!」ニ

「どうぞ」
声は震えていなかったはずだ。
道代はそう思いながら、玄関のドアを開いた。
「お時間を取らせて申し訳ありません。少しだけ、お時間を頂けますか?」
「ええ」
拒否感は顔に出ていなかっただろうか。
不安が次から次へとやってくる。
椅子を勧め、木場にコーヒーを渡す。
「ブラックですが」
「ありがとうございます。頂きます」
口をつけた木場は目を見開いた。
「……おいしいですね!」
これに関しては道代に悪気はなかった。
元から濃いブラックしか飲まないのだから。
「しかし、ご立派なお宅ですねぇ。そういえば旦那様は銀行員だったとか」
どきりとした。
「お話、初めていただけますか?」
話を断ち切った道代に木場はキョトンとしたがすぐ様柔和な表情に切り替わる。
若いのか、慣れているのか。
道代には見極めきれなかった。

「そうですね。では、始めましょうか」
木場は鞄から出した書類の束をテーブルに並べると手を組んだ。
「率直に申し上げますと」
木場は指を伸ばした。
細く、骨張っていた。
「今回の保険金に関しまして少しばかり疑問がございますのでそれについて確認させていただきたく本日はお伺いした次第なのです」
「事故のはずですが」
「その割にあなたは新生活を満喫してらっしゃるようですね」
道代は強くテーブルを叩いた。
「私を疑ってらっしゃるんですか!?」
「まさか。むしろ私はその事故の点を疑っているんですよ」
木場の丸い目が細まるのを見て、道代は血が引いていくのを感じた。
0051この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 21:43:05.69ID:1VBXebO5
「ダイジョーブッ!」三

木場は頭を下げた。
「気を悪くされた点につきましては謝罪いたします」
しかし、すぐに顔を上げる。
「話を戻しましょう。これは旦那様が生前親しくされていたご友人から聞いたお話なんですが、旦那様は博物館、それも恐竜の展示がお好きだったようですね」
「何が関係あるんですか?」
事実だった。
道代は寿貴に付き合って博物館に何度も足を運んだものだった。
「あるんですねぇ、これが。このご友人が言うには博物館にご一緒した際、旦那様は自分はティラノサウルスのようだ、と言っていたと。聞き覚えはありますか?」
「……いいえ」
嘘ではない。道代は聞いたことがなかった。
「左様ですか。ちなみにですがティラノサウルスはこれまでのイメージと違って屍肉を貪るハイエナのような生態だと言われているようです」
「何を言っているんですか?」
道代の声は震えていた。
木場は構わず話を続ける。
「貴方にその言葉を言わなかったのはきっと、これまで培っていたご自分のイメージを崩したくなかったのかもしれませんね。なんせこのご友人、消費者金融の方なんです。ご主人は多額の借金を抱えていたようですね。プライベートで株(カブ)式の運用を失敗した結果で」
借金のことは道代も知っていた。そして、寿貴はプライドが高い人間だったから、木場の言うことも正しいだろう。

「さて、この事実をコネクト、つなげて行きますと私は一つの推察に行き着いたんですね。もしかしたら、と言う話なんですけどね」
道代はポケットの中にあるスマホを握りしめた。
「奥様あなた、遺書、またはその意を記したメッセージをご主人から受け取っていませんか?」
0052この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 21:55:42.79ID:1VBXebO5
「ダイジョーブッ!」

誰もいない公園に木場はいた。
ベンチに腰掛け、カップ酒を開ける。
ベンチの空いているところに同じカップ酒を置いた。
「心配しすぎなんですよ、あなたは」
彼は言った。
そばには誰もいない。
「大体見せるわけないでしょ。自殺と事故じゃ話が変わってくるんですから」
置いたカップ酒の表面が揺れる。
「と言っても、あんだけ分かりやすい顔しときながら最後まで抵抗してきたのは正直驚きましたけどねぇ。心配するのもわからなくはない」
木場はカップ酒を煽る。
頭上に見えた満月を散りゆく桜がなぞる。
「もう逝きますか?」
木場の前で旋風が舞う。
桜の花弁を巻き込んだそれは一瞬、人形を模したように見えた。
「ダイジョーブッ! いらん心配せずにさっさと成仏してくださいな。あの人ならあんたがいなくとも生きていけますよ。それに保険金が出れば差し押さえられたお宅も帰ってくるでしょうしね」
吹く風が穏やかになった。
木場は微笑んだ。
「嫌な性分だわ。ホント」
満月の夜、深夜二時。
彼の耳は死者の言葉を運ぶ。
「あのおっさん……」
置いていたカップ酒に手を伸ばすと、それはすでに空だった。
0053この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 21:58:45.10ID:1VBXebO5
>>32.49.50.51.52
安価忘れておりました。
申し訳ありません。
そして挑戦したはいいけどこのネタは無理がありました
orz
0054この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:03:02.75ID:mHrRJVc+
>>32
お題:『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』

【士官学校の問題生】(1/3)
 朝日が窓から差し込み、微睡んでいた意識を覚醒へと誘う。
 見慣れぬ天井を眺め、ここが実家ではない事を思い出した。

「あぁ、俺、士官学校に入ったんだっけ」

 新生活も始まり、既に数日が過ぎたが、それでも未だに寮生活に慣れたとは言えない。
 四人一組で生活するという事で、同年代の友人が増える事を期待していた俺だったが、それは叶わぬ夢と成っていた。
 たった1つの事故によって、何故か今、上級士官候補生の寮に連れ込まれていたからだ。

「何をやっているの? 早く起きなさい!! それでも、栄え有るバーケスタ公爵家の従僕なの!!」
「ハイハイ、分かりましたよ!! リンゼお嬢様!!」

 朝っぱらからかしましいのが、俺、トウヤ・イチジョウジが仕えているって事に成っているリンゼ・フォン・バーケスタお嬢様だ。

 なぜ、“仕えている事に成っている”なんて言い回しをしたのかと言えば、それが全くの嘘だからだ。

 ******

 深紅の髪を靡かせながら、気の強そうな美貌をさらに不機嫌さで染め上げたリンゼお嬢様は、俺の前をカツカツと歩いて行く。
 俺は従僕らしく、彼女の鞄も持ち、アクビをしながら後に続いた。

「チッ」
「……公爵家令嬢として、そう言う舌打ちとかどうなんすかね?」
「わ、わたくしは、貴方の事なんて認めてないわ!! お父様が従僕としなさいと仰らなければ、とっとと無礼打ちにしているところよ!! あ、貴方が、ああんな……」

 そう言いながら、耳まで真っ赤にするお嬢様。
 あぁ、あの時の事を思い出したんだな。
 そう、それは俺とお嬢様が始めて出会った時の事だ。
 田舎から出てきたばかりの俺は、士官学校の入学式に向かう途中、ちょっとした事故に巻き込まれて、学校への到着が遅れていたんだ。
 だから、ショートカットの意味も含めて、学校の周囲に広がる大森林を昼夜を問わず突っ切っていた。

「おっし、これで大分時間短縮できたかな?」

 そうやって、もう少しで学校に着くと言う時だった。
0055この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:06:56.98ID:mHrRJVc+
【士官学校の問題生】(2/3)



「……魔竜の死骸か?」

 俺の目の前に現れたのは5mを越す魔竜の死骸。魔竜は、リュウとは付くが、古代龍とは全く別の系譜で、大昔に居た恐竜の子孫らしい。
 要は大型爬虫類だな。
 その魔竜の所々焦げ痕の付いた死骸を目にし、なぜ、こんな所にと言う疑問を持つのは当たり前の話だろう。

 その時だった。

 チャポン。

 水の跳ねる音。
 俺は警戒を強めながら、水音のした方に歩みを進めた。
 魔竜の仲間か、それとも、あの死骸を作り出した方か……
 木々の間に出来た、小さな泉。真円の月光に映し出されたそれは……

 炎の様な燃える赤髪が真っ白な肢体にまとわりつき、滑らかな曲線を描く身体の表面を弾かれたかの様に水滴が滑り落ちる。
 満月の下に描かれたそれは、どんな絵画よりも完成された一枚絵の様に見えた。

 だからこそだろう、その絵画に一点の染みを認め、思わず飛び込んでしまったのは。

「危ない!!」
「え? キャアァ!!」

 彼女の背後に見えた、魔竜の濁った黄色い目。俺は、飛びかかって来る中型の魔竜と、その少女との間に割って入ると『ワード』を叫んだ。

「コネクト!!」

 それは、異次元に干渉し、その次元から力を引き出す能力。そのほとんどは『アームズ』と呼ばれる武器の形で顕現する。
 コネクトし、俺は、自分の武器である刀型アームズ「虎徹」を抜き放つ。

 水面の満月が割れ、魔竜が両断される。

 水月華斬。俺の奥義の1つ。

 バシャリと水音が鳴り、魔竜は泉に沈んだ。

「ふう、危なかった」
「コネクト……」
「え?」

 既に魔竜は倒したにも関わらず、攻撃態勢をとる少女に思わず俺が振り返ると、そこには全身をアームズで包んだ彼女の姿があった。

「ウソ、だろ?」

 アームズの大きさは、そのままコネクト能力の大きさに比例する。

「わ、わた、わた、わたくしの肌をぉ!! 死になさい!! 死んで懺悔をなさい!! この、不埒者ぉ!!」

 そう言えば、大型犬魔竜を倒したかもしれない相手を探していたんだったと思い出したのは、彼女のメガブラスターから逃げている最中だった。
0056この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:10:03.47ID:mHrRJVc+
【士官学校の問題生】(3/3)



 ******

 “夫と成るもの以外に、肌を晒しては成らず”そんなしきたりが公爵家には有ったらしい。
 彼女が激昂したのも、そんな理由があるからだろう。
 さて、俺がこうして五体満足でいられるのには訳がある。
 彼女は公爵家令嬢で、俺は庶民だ、この、高飛車お嬢様との結婚なんてゴメンだが、そもそも身分が違いすぎる。
 だからと言って、公爵様も、俺を無礼打ちにする積もりはないらしい。
 そもそも、あんな所で肌を晒していたお嬢様にも非は有るのだ。
 そこで公爵様が提案したのが従僕と成る事だった。
 詰まりは“下僕は人間の範疇じゃないから見られてもオッケー”って事らしい。
 死ぬか、従僕に成るかの二択なら、従僕に成るしかない。
 そんな理由で、俺は、リンゼお嬢様仕える羽目に成ったのだ。

 ******

「何か文句でも?」
「いいえ、何も〜」

 そんな会話をしていると、不意にサイレンが鳴り始める。

『魔竜が確認されました。警護官、準警護官は、迎撃の準備をしてください』

 士官学校と言えど、軍の下部組織に過ぎない。
 その為、こうして魔竜が出た場合には、俺達学生も引っ張り出されるのだ。
 もっとも、本来なら入学したばかりの俺は免除されるハズなんだけどね。
 まぁ、俺、従僕だし、「お嬢様が戦っているのだからお前か戦わぬとは何事だ!!」って訳。

「行きますわよ!!」
「ハイハイ、了解です、お嬢様!!」

 俺の士官学校生活、最初っから問題だらけだ。
0058この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:13:12.00ID:GDo339ET
>>32

使用お題→『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』

【森の向こう側の私たち】(1/4)

 森の奥には空き地があって、その周囲は柵で囲まれていた。柵の材料は人骨で、柱の上からどくろが見下ろしている。
 空き地の中に目をやると、大きな足、恐竜のように大きな、ニワトリの足が見えた。その足の上に、三角屋根の小屋が建っている。
「すみませーん!」
 大きな声で呼び掛けるが、反応はない。恐らく聞こえていないのだろう。
 空き地を横切って、小屋に近付く。するとニワトリの足が動き出し、小屋はぐるぐると回転し、こちらに背を向けるようにして止まる。
「すみませーん! アカデミーの方から、来ましたー!!」
 再び大声で叫ぶが、返事はない。さてこれはどうしたことだろう。
 小屋の正面に回ろうと思い、私が移動を始めると、足が直ちに反応する。私が幾ら歩いても、見えるのは小屋の背中だけ。私が止まると、足も止まり。私が走ると、足も素早く動いた。
 歩いて、走って、歩いて。歩き疲れて立ち止まり。そこでようやく、私は教えられた呪文を思い出した。
「小屋よ、小屋よ! 森には背をもって、私には表(おもて)をもって立て」
 すると足が動きだし、そしてなんとも都合良く、小屋がこちらを向いて止まる。それで大人しく待っていると、正面の戸が左右に開かれて、そこから老婆が顔を出した。
「誰だい! さっきからうるさいやつだ! あたしになんの用だ!」
「こんにちは、おばあさん! 私、アカデミーの方から来ました!」
 老婆が身を乗り出す。
「あー!? どこから来たってー?」
「アカデミーですー!」
「あー、あんたが、そうかー! とりあえず上がってきな! だけど、うそだったら容赦しないからねー!」
 正面の戸から中に入る。ごちゃごちゃと物が置かれた室内。薄暗く狭苦しい空間で、老婆の目が光る。
「身分証を出しな」
 私は荷物の中から言われた物を取り出す。
「はい……これです」
「ほーう、どうやら本当のようだね。訪問販売かと思ったが。最近多いんだよ、老人を食い物にしようってやからがね」
 本当なのか冗談なのか分からないが、だけど、もし本当だとしたら。
「もちろん、そいつら全員、あれさ」
 老婆の鼻が、広場の周囲を指し示す。不思議と恐怖は感じない。
「ともかく、怠けず、しっかり、働いておくれ。もしちょっとでも怠けようものなら――――」
 こうして私の新生活が始まった。

 *

 私はケシの実をすり潰す。ごりごり、ごりごり。手作業でやるには面倒な作業だ。
 ごりごり。
「――世界――――」
「おい」
 ごりごり。
「――――走り出した――――」
「おい」
 ごりごりごり。
「――――怖く――」
「おい!」
「はい! ……なんでしょう?」
 私は、作業をしながら、ぼうっとしていたようだった。振り返れば老婆が立っている。
「鼻歌をやめな。許諾契約を結んでないんだから」
「えー、平気ですよー。こんなの引用にもなりませんって。お題なんですから、勘弁してくださいよー」
 私がそう言うと、老婆は苦虫をかみつぶしたような顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。
 私は作業を続ける。
「それが終わったら、次は畑に行くぞ。カブの収穫だ」
0059この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:13:39.10ID:GDo339ET
【森の向こう側の私たち】(2/4)

「……けーき、けーき、まぁるい――」
「だから! やめろと言ってるだろ」
「まぁるいしんがたこ――」
「替え歌も駄目だ!」
 私は徒歩で、老婆は臼に乗って、畑まで移動する途中だ。
「シンガータコ? 何にタコ?」
「なんの話だ。タコはお前だ!」
 今のところ、老婆には、私を殺したり、追い出したりするような気配はない。
 言われた仕事はこなせている。ここまで問題はないはずだ。
「大体、リフレ政策が駄目なんですよー。やる前から分かってたじゃないですか。緊急事態に打つ手なし!」
「知るか」
「そう言えば、こないだスカウトされたんですよねー。JKのコスプレで稼ぐやつです」
「なんだそりゃ。うちは副業禁止だ。ちょっと顔がいいからって、調子に乗るんじゃない!」
 恐ろしげな顔の――実際に恐ろしいのだが――老婆に怒られてしまった。
 仕方がない。テレビもネットもスマホもない。ソシャゲアニメなど見れるはずもない。
「短期取引で――」
「やめとけやめとけ。素人がアルゴリズムにかなうもんか」

 *

 畑に着いた。森を切り開いたのだろう、小さな畑には、大きなカブが植わっていた。
 老婆は、カブをちょっと引っ張ってから、こちらを向いて言った。
「これを抜くのは、少しばかり骨が折れそうだ。あたしがカブを引っ張るから、あんたはあたしを引っ張るんだ」
 私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、カブは抜けなかった。
「誰か! 誰かいるかい。手伝う者はいるかい!」
 老婆が叫ぶと、しばらくして、誰かが森の中から顔を出した。それはおじいさんだった。
「お呼びですか、おばあさん」
「ああ呼んだよ、おじいさん」
「おばあさん、こちらの方はどなたですか?」
 私がそう質問すると、その時初めて、おじいさんは私に気が付いたようだった。
「なんだ君は!?」
 老人の頭の中で、何かが切り替わったのだろう。猫背気味だった背筋を真っすぐ伸ばし、仁王立ちした老人が、私に向かって一喝した。
「えっと、アカデミーの方から来ました」
「アカ……なんだって? よう聞こえん! もっと大きな声で話せ!」
 なるほど、私の声が小さかったのかと思い、私は腹に力を込めて言い直す。
「アカデミーです!」
「あ!? なんだって?」
 そんなに聞こえないものだろうか。私は、不審に思いながらも、声を張り上げた。
「ア、カ、デ、ミー、の、者、です!!」
「あー!? 何を言ってるのか、全然聞こえん!」
 そんな馬鹿な。そりゃないだろう。その時、老婆が口を開く。
「アカデミーから派遣されてきたんだよ。あたしの手伝いをしてるんだ」
 老婆がそう告げると、老人の様子が再び変化した。私に気が付く前のぼんやりとした表情に戻ると、優しげな口調でこう言った。
「そうか、アカデミーか。それは、ご苦労さん」
0060この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:14:35.56ID:GDo339ET
【森の向こう側の私たち】(3/4)

「それじゃ、あたしがカブを引っ張るから、あんたはあたしを、あんたはこの娘を、それぞれ引っ張るんだ」
 老人が私を――――

「変なとこ触りました?」
「触ってないよ」

 ――――私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、カブは抜けなかった。
「誰か! 誰かいるかい。手伝う者はいるかい!」
 そう老婆が叫んだ。
「それで、このおじいさんはどなたなんでしょう?」
 誰かが出てくるまで、雑談をして待つことにしよう。私はそう考えた。
「当ててみな」
「……ドロッセルマイヤーさん?」
「違う」
「結核で亡くなられた方ですか?」
「違う」
「ヒント下さい、ヒント」
 すると老人が口を挟んできた。
「どうも最近、故国では、私を街中に放ったらしいよ」
「……文豪か」
「そうです、私が肺炎で死んだおじさんです」
「お呼びですか、おばあさん」
 その時、また誰かが森の中から顔を出した。それはワニだった。
「ああ呼んだよ。遅かったじゃないか」
「おばあさん、こちらの方はどなたですか?」
 そのワニは、二足歩行で、手にはアコーディオンのような楽器を持っていた。
「ワニさ。見りゃ分かるだろ」
「本物ですか? 死んでるんですか?」
 私が畳み掛けると、ワニが返事をした。
「本物かどうかは分かりませんが、私はまだ死んでいませんよ、多分」
「そのアコーディオンはなんですか?」
「……残念だけど、命日は、年に一度だけなんですよ」
0061この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:14:58.59ID:GDo339ET
【森の向こう側の私たち】(4/4)

「それじゃ、あたしがカブを引っ張るから、あんたはあたしを、あんたはこの娘を、ワニはこの老人を、それぞれ引っ張るんだ」
 ワニが老人を、老人が私を――――

「変なとこ触ってませんよね?」
「もちろん、触ってないよ」

 ――――私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、カブは抜けなかった。
「誰か! 誰かいるかい。手伝う者はいるかい!」
 老婆が叫ぶと、またしばらくして、誰かが森の中から顔を出した。それは娘と若者だった。
「ここは……どこだ。ヘーケの隠れ家か?」
「違うと思いますが……」
「あれっ、ハクアたん……ではないな。あれー?」
「何をごちゃごちゃと言ってるんだ。こっちへ来て手伝いな」
 二人は少なからず混乱した様子だったが、老婆に言われるまま、ワニの後ろに付いた。
「それじゃ、あたしがカブを引っ張るから、あんたはあたしを、あんたはこの娘を、ワニはこの老人を、あんたはワニを、あんたはそっちの若いのを、それぞれ引っ張るんだ」
 娘が若者を――――

「変な所を触らないでくれ」
「触ってないでございますよ」

 ――――若者がワニを、ワニが老人を、老人が私を、私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、カブは抜けなかった。
「誰か! 誰かいるかい。手伝う者はいるかい!」
 老婆が叫ぶと、すぐに誰かが森の中から顔を出した。その人の頭には猫耳が生え、顔は仮面で隠れ、はんてんのような上着の袖に小麦色の肌が見えた。
「お呼びですかにゃー」
「ああ呼んだよ。早いね」
「おばあさん、こちらの方はどなたですか?」
 私がそう質問すると、猫耳の人が答えてくれた。
「にゃーの名前はニャンダモですにゃー。本人ですにゃー。ちなみに、この仮面は、感染症対策とは全然関係ないですにゃー」
 猫耳の人が、さっきの娘の後ろに付いた。
「それじゃ、あたしがカブを引っ張るから、あんたはあたしを、あんたはこの娘を、ワニはこの老人を、あんたはワニを、あんたはそっちの若いのを、猫はその娘を、それぞれ引っ張るんだ」
 猫耳の人が娘を――――

「もし変な所を触ったら、たたっ切るでございますよ」
「分かりましたにゃー。触らないですにゃー」

 ――――娘が若者を、若者がワニを、ワニが老人を、老人が私を、私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、カブは抜けなかった。
「これじゃ切りがない。……我がしもべよ、親愛なる友よ、カブを抜くのを手伝っておくれ!」
 すると足が三本と、老婆の小屋まで、その場に現れた。
 小屋の足が足の一本を、その足が別の足を、別の足が残りの足を、残りの足が猫耳の人を、猫耳の人が娘を、娘が若者を、若者がワニを、ワニが老人を、老人が私を、私が老婆を、老婆がカブを、引っ張って、引っ張って、とうとうカブが抜けた。
 抜けたカブは、勢い余って飛んでいき――――

「満月ですにゃー! ムーンライズですにゃー! ……新月ですにゃー!」

 ――――太陽に張り付いた。

 昼と、太陽と、夜が、同時に訪れた。黒い太陽が頂く黄金の冠は、より一層激しく燃え上がった。
「脱獄の物語ですにゃー! ねこのゆめですにゃー!」
 こうして大きなカブはすっかり焼き上がった。私たちは全員でカブを食べた。それでみんな丸々と太ってしまい、今でも森の中で、ごろごろと転がっている。
0062三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/12(日) 22:17:25.53ID:GDo339ET
順番待ちがあったとは言え、また完全遅刻・・・
しかも意味不明過ぎる超長文
すみません

作中では伏せてますが、老婆はバーバ・ヤガーです
0063三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/12(日) 22:19:03.92ID:GDo339ET
お題→『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』締切

【参加作品一覧】
>>42【シチリアでの新しいスタート】
>>49【ダイジョーブッ!】
>>54【士官学校の問題生】
>>58【森の向こう側の私たち】
0064三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/12(日) 22:25:41.21ID:GDo339ET
えーと、では
予告通り、2つ固定+1つ選択の企画をやります

先に3つ、通常お題
先の3つとはなるべく関係『ない』ものを固定用に1つ
固定用の1つとなるべく関係『ある』ものをもう1つ、です

いつものお題安価>>65-67
固定用の1つ目>>68
固定用の2つ目>>69
0065この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/12(日) 22:26:07.47ID:Emg9IqK0
刺繍
0066この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:26:30.80ID:KwVtR+88
厳選
0067この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 22:28:42.55ID:KjDeFnq9
プリンセス
0068この名無しがすごい!
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2020/04/12(日) 23:42:32.32ID:Leav1gYI
絹のドレス
0070三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/13(月) 02:04:52.61ID:4A5O7hrZ
☆お題→『絹のドレス』『白いスーツ』+『刺繍』『厳選』『プリンセス』から1つ選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→4/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0071三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/13(月) 02:24:49.44ID:4A5O7hrZ
今回は全選択できないルールです
『絹のドレス』『白いスーツ』は必ず使い、『刺繍』『厳選』『プリンセス』からは1つだけ
つまり3つ選択

企画の意図としてはアンチシナジーが欲しくて、説明にも書いたつもりだったんですが、伝わってねぇ
シナジーしかねぇ
逆に書きやすそうではあります

ともかく、お題、作品、感想、ありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくですー
0072この名無しがすごい!
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2020/04/13(月) 07:58:33.19ID:lWzyZ7n/
>>49
男は心配し然れど女は逞しく生きるですね
読み終わって、往年の名作漫画『死○くん』を思い出しました

>>58
オールスターな『大きなかぶ』と言った所でしょうか?
スラブのトリックスターは邪悪と言われながらも、何だかんだで主人公を助けてくれる存在ですよねw
0073三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/13(月) 20:40:42.21ID:4A5O7hrZ
>>49
これはー、お久しぶりですね(人違いだったらすみません!
奥様の『新生活』、『恐竜』の例え、『カブ』で失敗、事実を『コネクト』、『満月』と桜
やっぱりセンスある、やっぱり『コネクト』は難しかったw
無理があるって感じでもなく、読みやすく面白く仕上がってるのではないかと

>>54
なんやこの現地人主人公ラブコメw
士官学校での『新生活』、『恐竜』の子孫、『満月』の下の彼女、呪文『コネクト』、『カブ』どこwメ『ガブ』ラスター
なんか、、アンラッキースケベ、主人公悪くないのに問題だらけw
難しい『コネクト』も、『カブ』は分かんないですけどw、うまく処理した感じー

>>72
感想ありがとうございます
今回は大甘ですw
0074この名無しがすごい!
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2020/04/13(月) 21:05:59.47ID:zN4xIebc
>>70
使用するお題→『絹のドレス』『白いスーツ』『プリンセス』

【可愛いプリンセスは危険の香り?】(1/2)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。
次の町へと向かう途中、微かにだが遠くに何かがあるのが見えてきた。

「サンセット、ちょっと止まって!」

シンディは走るサンセットを止まらせる。背中から降りて近づいてみると、白い絹のドレスを身につけた少女が倒れていた。

「こんな所でどうしたの?大丈夫なの?」

ちゃんと息をしている、生きているのは確かだ。体を少し揺すると、その少女は目を覚ました。

「お嬢ちゃん、こんな荒野のど真ん中で何やってるの?」
「私、パパとはぐれて迷子になっちゃったの。必死に探している途中で空腹になっちゃって意識を失ってたみたい…」
「迷子?それは大変ね、もしよかったらパパを探すの手伝ってあげるわよ?」
「ほ、本当!?それは嬉しいわ!」

シンディは携帯している食糧を少し少女に食べさせると、彼女をサンセットの背中に乗せて走り出す。

「自己紹介がまだだったわね。私はシンディ、それからこの子が愛馬のサンセットよ。一緒にさすらいの旅を続けているの」
「へえ、そうなんだあ。私はメアリー、ここから遠く離れた場所にお城があってね、そこに住んでいるプリンセスよ」
「プリンセス?綺麗な白いドレス着ているから貴族の出身かなとは思ったけど、まさかそうだったとはね…」
「うん、パパと楽しく散歩していたら砂嵐に巻き込まれて飛ばされちゃったの。ここ、砂漠が近くて砂嵐が発生しやすくて危険なんだ」

メアリーの言う通り、今走っている地域はサボテンでさえもほとんど生えておらず、荒野というよりは砂漠に近い場所だった。

「少しルートを変えた方がいいわね」

砂漠に入って砂嵐に巻き込まれては大変だ、と思いシンディは南東の方に向きを変えて走ることにした。
途中、休憩しながらも走り続けて4時間ほどが経過した。すると遠くに白い服を着た痩せた男の姿が見えてきた。

「シンディさん、ちょっと止まって!」

メアリーにそう言われて、シンディはサンセットを止める。メアリーは咄嗟に降りると、その男の方に向かって走り出す。

「パパなの?ねえ、パパなの!?」
「も、もしかしてメアリーなのか!?」

その白いスーツを着た、痩せて髭を生やしメガネをかけた男がどうやらパパのようだ。
無事に娘が見つかり、男は嬉しそうにギュッと抱き締める。

「会えて本当によかった!」
「あのシンディさんって人が迷子の私を見つけて助けてくれたんだ!」
「おお、ありがとうございます。私はメアリーの父のマークと申します。どうお礼をすれば良いのやら…」
「お礼なんて別にいらないわ(もしお金をくれるなら、ありがたく受け取るけど)」

その時だった。近くの岩陰から誰かが現れて銃を放ち、その銃弾がシンディの左脚に命中した。

「ウグッ!い、一体何なの!?」
「まんまと引っかかったな、マヌケな女ガンマンめ」

突然、マークが歯を剥き出しにして意地悪く笑い始める。メアリーもニヤリと不気味な笑みを浮かべている。
0075この名無しがすごい!
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2020/04/13(月) 21:06:54.00ID:zN4xIebc
【可愛いプリンセスは危険の香り?】(2/2)

近くの岩陰に隠れてシンディに発砲したのは、かつて無法者集団のリーダーで腕利きの殺し屋と恐れられたゴールドタンクという男だった。

「ここでシンディを殺せる日が来るとはな!」
「あ、あんた達、私を罠に嵌めたということ?」
「ああ、その通りだ。全ては金のためだからな!」

マークとメアリーは没落貴族で住む場所を追いやられ、いつか必ず這い上がるため
ゴールドタンクと手を組んで、賞金首を片っ端から捕まえては懸賞金を荒稼ぎしていた。

「今、お前を捕まえれば大金を得ることができるのさ!」
「わ、私、賞金首じゃないんだから捕まえても賞金が出るわけないじゃない…!」
「それがさ違うんだよ、これを見な!」

マークが出したのはシンディの顔が描かれた手配書で、なんと100億ドルもの懸賞金がかけられていた。

「だ、誰よ、こんなデタラメな手配書を作ったのは!」
「まあ、それはお前を捕まえた後に教えてやる!やれゴールドタンク!」

ウッス!の返事と共にゴールドタンクは今度は右腕を撃つ。左脚と右腕を撃たれ、血をダラダラと流しながら、シンディは地面に膝をついて倒れてしまう。
メアリーはアハハと笑いながら、倒れたシンディのお腹を勢いよく蹴り上げる。

「グヘッ!!」
「情けない女ガンマンね!哀れすぎて笑っちゃうわ!」
「サ、サンセット、あなただけでもいいから、に、逃げて!」
「そうはさせるか!」

サンセットに向かってある物を放つ。麻酔銃だ。サンセットの意識は朦朧とし気絶、バタッと倒れてしまった。

「サンセット!」
「これでお前の愛馬もどうすることもできない!さあ、お前にもだ!」

シンディも同じく麻酔銃を撃たれ、そのまま気絶してしまう。

「よーし!これでシンディの捕縛は成功だ!」
「やったねパパ!これで私達はまた栄光を手に入れられるのね!」
「もちろんだメアリー!」

シンディをロープ、サンセットを鎖で全身を縛ると大きな荷馬車に乗せる。
彼女達は一体どこに連れて行かれるのだろうか、そして運命や如何に!!
0076この名無しがすごい!
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2020/04/13(月) 22:14:49.75ID:8k+6nl46
>>73
進行様、ご無沙汰しております
過去に十代目未だ休めず等を投稿した者です
そのように言っていただけるとありがたいです
確かにコネクトは難しかったですが、そこはこのスレの醍醐味と言いますか、楽しみがあるというものです
また一休の続編も投稿していきたいと思います
0077この名無しがすごい!
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2020/04/13(月) 23:31:34.66ID:lWzyZ7n/
>>74
絶体絶命の大ピンチですね
つまりはあの方の出番でしょうか?

>>73
感想有り難うございます
一時期、こんな感じのラノベが流行ってたよなぁと思いながら書いていましたw
かぶは、士官学校が軍の下部(かぶ)組織と言う事でw
0078この名無しがすごい!
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2020/04/14(火) 08:17:59.02ID:N+a7yoKY
>>77
感想ありがとうございます!
シンディ、まさに絶体絶命!まさか破格の懸賞金がかけられていたとは…!
「あの方」は果たして出てくるのか?次回をどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0079三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/14(火) 13:15:13.77ID:4ivS4qr0
>>74
早速wと思ったら新しい挑戦が
『絹のドレス』の『プリンセス』、『白いスーツ』の男
一体誰が懸賞金を、本当に100億ドル払う気があるのかw
続きが気になります!

>>76
良かった人違いじゃなかったw、続編も待ってますー

>>77
そこか!! なんで見落としたんでしょう・・
0080この名無しがすごい!
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2020/04/14(火) 13:57:01.27ID:N+a7yoKY
>>79
感想ありがとうございます!
今回は一話で決着せず次回へと続くまさかの展開でした
幼い子供までもが金のために狂気に走るというまさに世紀末です。次回をどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0081この名無しがすごい!
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2020/04/14(火) 20:29:47.66ID:N+a7yoKY
>>70
使用するお題→『絹のドレス』『白いスーツ』『厳選』

【思い出は走馬灯のように駆け巡っていく】(1/2)

レイチェルはとてもワクワクしていた。今日は3ヶ月ぶりにライアンがハリウッドから帰ってくる日なのだ。
大好きなライアンに会えない日々が続き、寂しくて泣きそうになる時もあったが、
そんな時は夢のハリウッドで俳優として活躍する彼の姿を思い浮かべる。
そうすると寂しい気持ちは自然と収まっていき、ニッコリと笑顔になっていくのだ。
それに今はジュディも近くにいる。幽霊であるため姿は見えないものの、ライアンとレイチェルはそんな彼女の気配をしっかり感じ取ることができるし、声も聞こえられる。

「ねえレイチェルさん、今日は久々にライアンさんが帰ってくるんでしょ?嬉しい?」
「もちろん嬉しいに決まってるじゃない!ジュディ、大人をあまりからかっちゃダメよ」
「ごめんなさーい!」

ライアンは今夜の7時頃に帰宅する予定だ。それまでの間、レイチェルは寝室のクローゼットにある色々な衣類の整理をすることにした。
ほとんど着なくなったジャケットやコート等を、近くの小学校で行われるヤードセールに出すために箱に入れていく。
きっちりと整理していく中、レイチェルはたまたま純白の絹のドレス、そして白いスーツを
見つける。

「こ、これは…!」
「レイチェルさん、どうしたの?」
「懐かしいわ、このドレスにスーツ!ライアン、ずっと保管してくれていたのね」

そもドレスとスーツはシチリアへと旅立つ前の大切な結婚式のために、ライアンが厳選して用意してくれたものだ。

「レイチェル、そのドレスすっごく似合ってるよ!可愛い!」
「ライアンもその白いスーツとてもイカしてるわ、まるで王子様みたい!」

お互いに試着した時の会話を思い出す。それを思うと懐かしくて、気付かないうちに目からポロリと涙がこぼれてきた。
あの結婚式はとても盛大で最高のものとなった。

「う、うぅ。ライアン…!」
「ライアンさんとレイチェルさんの結婚式、私も見たかったなあ」
「確かちゃんと録画されたDVDがあるから、また後で見せてあげるわ」
「本当!?やったあ!!」

ジュディが出してくれたハンカチで涙を拭くと、レイチェルはまた荷物の整理を続ける。
するとまた懐かしい服が出てきた。

「あーっ!レイチェルさんがすごく愛用してた黒猫の衣装だー!」
「あ、愛用だなんて…!」

そう、シチリアでレストランを開いていた時に余興でよく身につけていた黒猫のコスチュームだ。
これもライアンが余興をもっと盛り上げるために、厳選して買ってきた物だ。

「ど、どう?ライアン…」
「す、すっごく似合ってるよレイチェル!その猫耳に尻尾可愛いよ!」
「そ、そう?ニャ、ニャーン!」
「レイチェル、最高だよ…!」

また試着した時の会話やその場面を思い出す。
あくまで余興オンリー、自分の本来の姿は女ガンマンだとレイチェルはずっとそう思っていた。
しかし、あるハロウィンの夜、攫われたライアンと奪われたガンマン衣装を取り戻すべく、黒猫の衣装に身を包んで、犯人である市長の女秘書と闘ったのだ。
それ以来、余興だけでなくハロウィンの季節になると着ることもあったが、いつの間にか全く着なくなり、クローゼットに放置したままだった。
0082この名無しがすごい!
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2020/04/14(火) 20:31:04.20ID:N+a7yoKY
【思い出は走馬灯のように駆け巡っていく】(2/2)

「すっかり忘れてたわ…。ライアン、これもちゃんと大事に保管してくれてたのね…」
「私、黒猫姿のレイチェルさん大好き!もしかしたらガンマンのよりも好きかも」
「こ、こらジュディ!あ、あんまりからかうと怒るわよ!」
「えへへ、ゴメンゴメン!でも黒猫姿のレイチェルさんもカッコいいのは本当だもん!」
「あ、ありがとう。そう言われると、何だか、て、照れちゃうわ…」

いつの間にかトマトのように顔が赤くなっているのが自分でもよく分かった。
余興の時以外着るのはあまり好きじゃなくて、身につける度に恥ずかしがっていた。
その時の自分を思い出すとますます顔が赤くなり、湯気が出てきそうな勢いだ。
するとレイチェルは今着ているガンマン衣装を脱ぐと、その黒猫の衣装に身を包んだ。

「ニャーン!私は黒猫のレイチェル、闇夜の戦士よ!」
「レイチェルさん、やっぱり似合ってるよ!」
「ジュディ、今回だけのスペシャルサービスよ!ライアンには秘密にしてね」
「もう見てるよ」
「「へっ!?」」

レイチェルとジュディが後ろを振り返ると、なんとまだお昼だというのにライアンが家に帰ってきていたのだ。

「えっ、確か7時ぐらいに帰ってくるはず…」
「予定より早く終わってさ、帰りの飛行機のチケットも早いのが取れたんだ。レイチェル、またその黒猫衣装を着るなんてビックリだよ」
「えっと、そ、その・・・・ニャ、ニャーン!!」
「アハハ、やっぱり可愛いね!ただいまレイチェル、それからジュディ!」
「おかえりライアン!」
「ライアンさん、すっごく寂しかったよ!」
「ジュディ、ライアンがいないから寂しくて泣いてたのよ」
「それはレイチェルさんでしょ?」

互いに体を強く抱き締めて笑い合う3人なのであった。
豪華なディナーを済ませた後、レイチェルとライアンは互いに結婚式の時に着たドレスとスーツを身につける。
その姿にジュディはパチパチと拍手しながら、嬉しそうにはしゃいでいる。

「2人ともすっごくお似合い!本当にラブラブカップルって感じ!」
「本当に最高の結婚式だったよね、ライアン」
「ああ。君に出会えて、そして人生のパートナーになれて本当に幸せで嬉しい」
「私も今、全く同じこと考えていたわ。ありがとうライアン!」
「アハハ、ありがとうレイチェル!」

そしてあの結婚式の時と同じように、互いにキスをするのだった。
それを見たジュディは太陽のように明るい笑顔で、そのままレイチェルとライアンに飛びついた。

「私もこの2人と同じ家族になれて本当に幸せ!ありがとうライアンさん、そしてレイチェルさん!」
0083この名無しがすごい!
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2020/04/15(水) 07:47:20.81ID:XXBJiO1Y
>>81
品物を整理していると、それにまつわる思い出で、ついてが止まってしまう事、良く有りますよね
レイチェルさんは、特に楽しかった事も多いので、手を止める回数が多そうです
0084三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/15(水) 13:10:54.95ID:hQA7CpKo
>>81
本編の後日談で、衣類にまつわる思い出
ライアンが『厳選』した『絹のドレス』と『白いスーツ』・・・など
ガンマン衣装は普通に着てた、黒猫衣装も捨てるわけがなかったw
忙しくても they lived happily ever after なら、、、ですね
0085この名無しがすごい!
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2020/04/15(水) 13:43:37.02ID:O4LCY15U
>>83
>>84
感想ありがとうございます!
今回は懐かしの衣類を通して、これまでの楽しくて素敵な思い出を振り返るといったお話でした
黒猫のコスチュームも何だかんだでレイチェルにとっては、楽しい思い出がたくさん詰まった大切な衣装なんです
それから現在はアメリカに帰ってきた後の誕生日に、ライアンがプレゼントとして買ってくれた新しいガンマンの衣装を着ているという設定ですw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0088この名無しがすごい!
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2020/04/15(水) 19:29:06.90ID:O4LCY15U
>>86
はいw
最終回(スレ7>>284【夢は決してあなたを裏切らない】)の最初辺りを読めば分かるのですが、
10年以上も長いこと愛用してきたガンマン衣装はすっかりボロボロになっているんですよね
レイチェルにはいつまでもガンマンの姿でいてほしいという、ライアンの彼女への強い想いです
でもたまにでも良いから黒猫になってくれたらもっと嬉しい、というのが彼の本音でもありますw
0089この名無しがすごい!
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2020/04/19(日) 17:46:07.20ID:ualw9ROp
>>70
お題:『絹のドレス』『白いスーツ』+『厳選』

【週末の黄昏】


 家に帰ると、即座にPCを立ち上げる。
 起動している間に冷蔵庫から落花生を取り出し、バターと塩で軽く炒めた。
 サイドボードからはウィスキーのシングルモルトを引っ張り足すと、PCのフォルダから『厳選』とタイトルされたソレを選択する。
 グラスにウィスキーを注ぐ。
 常温で良い。常温が良い。

 ピートのフレーバーを嗅ぎながら、ソルトピーナッツを一摘まみ口に放り込む。

 画面では白いスーツのロックスターが情感たっぷりに、名曲『絹のドレス』を歌い上げていた。

 ストレートをノーチェイサーで飲み干す。
 少しはかりの酒気の混じった息で、フラりと立ち上がると、本格的に腹を膨らまそうと、キッチンに立った。

 パスタを茹でながら鼻唄を歌う。当然曲名は『絹のドレス』だ。

 高潔な女と口ずさみながらホールトマトを潰し、使い古されたフライパンで混ぜながら炒める。

 PCフォルダの『厳選』を選択し、白いスーツのロックスターを再生する。

「我が青春に」

 そう言いながら、パスタを肴にウィスキーを呷った。
0090この名無しがすごい!
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2020/04/19(日) 21:54:30.07ID:yOC/nJJu
>>70
前スレ578の続編です

使用お題→『絹のドレス』『白いスーツ』+『刺繍』

【向こうで立ち話をされているのは聖女様と神官長様ですね】

「聖女様、神官長様、いかがされたのですか?」
 深刻な表情のお二人は、一瞬、虚をつかれたお顔になって、けれども、すぐに笑顔を向けてくださいます。
「明日の朝ご飯のご相談ですか? そう言えば、騎士団の新人の方は、やっぱりすご……はっ!? もしや! 新人さんのせいで朝ご飯の予算が不足しているのでは!? 私の朝ご飯!」
 お二人の笑顔に安心した私は、分かっています、悪い癖なのです、つい自制心を失って、まくし立ててしまうのです。
「いえ、そうではなく……」
 こんな私に対してさえ穏やかに接してくださる、神官長様。白い祭服が貧相……失礼、とてもスマートに見える、しわしわでひょろひょろのおじいちゃんです。
「……いえ、そうですね、予算の問題ではありますが」
 このおじいちゃん、神殿で一番偉いお方です。信仰に関して一番偉いのは聖女様ですが、お財布を握っているのは神官長様なのです。
 そのお方が、にこやかな表情で、しかし冷静に、恐ろしいことをおっしゃいます。
「予算の問題なんですか! 私の朝ご飯……」
 愕然(がくぜん)とする私ですが、そんな私を安心させるように、聖女様の口からお言葉が紡がれます。
「朝ご飯の予算は大丈夫ですよー。予算は予算でもー、結婚式の予算なのでー」
「けっ、結婚式ですか!」
 どなたの結婚式なのでしょう。まさか聖女様と神官長様ではないと思いますが!
 今日も聖女様はお美しい……ピッカピカです、人体発光現象です!
 そんな聖女様と、失礼ですが今日ぽっくりでもおかしくない神官長様です。それはいくらなんでもないなー……ないといいなー……。
「王子様とー、貴族のご令嬢ですよー」
「……へっ? 何がですか?」
「結婚式ですよー」
「そうなのですか! 良かった……」
 聖女様の未来は救われました。
「それが良くないのですー。今の王家にはお金がないらしくー、結婚式を神殿で執り行うこととー、その費用を神殿持ちとするよう言われているのですー」
 全然救われていませんでした。ビンチだったのは聖女様ではなく神殿でした。つまり。
「今ご説明頂いた通りですね。この費用をどうやって工面するか、二人で頭を悩ませていたところです」
 それはつまり、朝ご飯の予算が削られる可能性……。
「ああ、ひょっとして、何か良いお考えがおありなのでは。あなたと聖女様、いつもお二人で、楽しそうにお話しされていますよね」
 私の朝ご飯が減らされる! そうなっては大変です。
「そうですね、いい考えがないかと聞かれたら、ありますとお答えする、私はそう心に決めております!」
 だから私の朝ご飯を減らさないでください!
「ですので、そうですね……。結婚式に来られた方々から、なんらかの名目で、お金、ご祝儀を徴収するというのはいかがでしょう?」
「なるほど、それはいいかも知れませんね」
「ですが、ただお金を集めるだけでは、けちんぼな神殿、金欠神殿だと、皆様に思われてしまうでしょう」
 事実ではありますが。金欠なのは否定できません。
「ごもっともです」
「そこで……何か……そう、何か記念になるような品物……記念品を渡すのです」
「素晴らしい。その記念品は、どんな物を渡したら良いでしょうか」
「それは……」
 私は、聖女様のお顔を見て、神官長様のお顔も見て、それから、しばし黙考します。
 聖女様、結婚式、ドレス……ではなく……聖女様、予算、手作り……。
「……聖女様。聖女様は確か、刺繍(ししゅう)がお得意でいらっしゃいますね」
 実は、聖女様は、さる大貴族のご令嬢なのです。……まさか王子とやらの結婚相手は聖女様なのでは。気になりますが、考えないようにします。
「ええ、得意ですよー」
 そして貴族のご令嬢であるからには、刺繍の一つや二つお手の物なのです。
「神殿の皆に、刺繍のやり方をお教えください。素敵な刺繍入りの記念品を作るのです。ハンカチなんていいかも知れません」

 *

「なんで俺までこんなことを……」
「聖女の前でー、ぶらぶらしてるのが悪いんですよー」
「仲間外れにしたら悪いかなと! そう思いまして!」
 後日、聖女様と私と騎士団長様で、試作品を作ることになりました。絹のドレスの花嫁と白いスーツの花婿をイメージした絵柄です。ところが。
 王家の金欠が相手方に伝わってしまったようなのです。
 結果、婚約はうやむや、結婚式は中止。私たちの手元には、試作品の素敵なハンカチだけが残されたのでした。
0091三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/19(日) 22:11:05.03ID:yOC/nJJu
お題→『絹のドレス』『白いスーツ』+『刺繍』『厳選』『プリンセス』締切

【参加作品一覧】
>>74【可愛いプリンセスは危険の香り?】
>>81【思い出は走馬灯のように駆け巡っていく】
>>89【週末の黄昏】
>>90【向こうで立ち話をされているのは聖女様と神官長様ですね】
0092三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/19(日) 22:13:22.70ID:yOC/nJJu
ではでは、今回は通常お題5つです

お題安価>>93-97
0093この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/19(日) 22:15:27.90ID:Y4uziaP2
ハンマー
0094この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/19(日) 22:20:06.04ID:qshG1yKS
乙女ゲーム
0095この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/19(日) 22:24:10.24ID:JnVVVU5D
ポテトチップス
0098三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/19(日) 22:45:05.84ID:yOC/nJJu
☆お題→『ハンマー』『乙女ゲーム』『ポテトチップス』『邪神』『アマビエ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→4/26の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0099三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/19(日) 22:54:49.82ID:yOC/nJJu
これはw
なかなかユニークな組み合わせでは

お題、作品、感想、ありがとうございます
まぁやっぱり過疎ですが、引き続きお題スレをよろしくー、皆様のご参加もー
0100三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/19(日) 23:00:56.33ID:yOC/nJJu
>>89
これはストレートw
『厳選』フォルダ、『白いスーツ』のあの人w、名曲『絹のドレス』
簡潔に、雰囲気が出てるお話でしたー
0101この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/19(日) 23:42:31.58ID:ualw9ROp
>>90
相変わらずの直感行動ですね
それでも良い方向に行くのが凄い
そして巻き込まれるのがお約束の騎士団長
お疲れ様ですw
0103三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/04/20(月) 12:36:42.17ID:UuDH0v8H
>>101
感想ありがとうございます!
勢いだけの主人公に、頼れる騎士団長ですw

・・・今見直したら誤字発見・・・誤字探しクイズを開催します><
0104この名無しがすごい!
垢版 |
2020/04/20(月) 20:55:03.33ID:JRHh2Z5e
>>98
使用するお題→『ハンマー』『ポテトチップス』『邪神』

【姉弟の仁義なきドタバタバトル】(1/3)

ある日のこと、カナミの背後にケンスケがニヤニヤしながら歩み寄ってくる。彼の手にはおもちゃのマジックハンドがあった。
姉は弟が背後にすぐ近くまで迫っているのに気付いていない。まさにその瞬間だった。

「それっ!」

ケンスケはマジックハンドでカナミのポニーテールを掴むと、少し強めにグイッと引っ張った。

「わ、ワワワワッ!!い、一体何なの!?」
「アハハ!」
「ケンスケ!また…!」

ケンスケは時々、マジックハンドを使って姉のポニーテールを掴んで引っ張ったりとイタズラをすることがあるのだ。

「それで髪を掴んで引っ張るのはやめてって、前に何回も言ったでしょ?」
「だ、だってお姉ちゃんのポニーテールって見てたら掴んで引っ張りたくなっちゃうんだ」
「どういう理由よ。まあ今度やったら許さないわよ、分かった?」
「う、うん…」

弟の返事を聞くと、カナミは自分の部屋に戻り、宿題を始める。

「ケンスケったら全くしょうがないんだから。あの頼りない返事からすると、またやるに違いないわね…」

宿題をしながらブツブツと呟いていると、突然いいことを思いついた。

「そうだ!確かあれがあったはず!」

クローゼットを開けて、ある箱を取り出す。その中には幼稚園の頃によく遊んでいたが、今はほとんど使わなくなったおもちゃや小道具が入っていた。

「あった!あった!」

カナミが手にしたのはピコピコハンマーだった。幼稚園の頃、夏祭りに行った時に輪投げの景品で貰った物だ。

「ウフフ、またケンスケが何かしたらこれで…」

ある土曜の午後、カナミはリビングのソファーに寝転んでスヤスヤと気持ち良さそうに昼寝をしていた。
そんな姉にケンスケがニヤニヤしながら音を立てずにゆっくりと近づいてくる。彼の手にはもちろんマジックハンドがあった。

「お姉ちゃんったら本当に無防備だね」

そう言ってマジックハンドで姉のポニーテールを掴もうとしたその時だった。

「引っかかったわね!」
「へっ!?」

カナミはいきなり目を覚ますや否や、背中に隠し持っていたピコピコハンマーでケンスケの頭をポコっと叩く。
突然のハプニングに弟は動揺し、一瞬怯んでしまった。

「ね、寝てたのは演技!?」
「そうよ、まんまと引っかかっちゃって笑えるわね。今度はこっちのターンよ!」

カナミはピコピコハンマーで逃げる弟の頭をポコポコ叩きながら追いかける。
0105この名無しがすごい!
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2020/04/20(月) 20:56:00.45ID:JRHh2Z5e
【姉弟の仁義なきドタバタバトル】(2/3)

「わっやめて!やめてよー」
「アハハ、まだまだよ!」

カナミは逃げるケンスケを食卓の隅っこにまで追い詰めた。

「ケンスケ、もう逃げられないわよ。観念しなさい」
「お願いだから頭をポコポコ叩くのやめてよ」
「ううん、なんか楽しいからやめない」
「ぼ、僕の心の中に潜む小さな邪神が僕を唆したんだ。お姉ちゃんのポニーテールを引っ張れって。最初は必死にそんなことできないって拒否したんだけど、邪神が全然離れなくて…」
「要するに魔が差した、ってことでしょ?」
「うん、そういうこと。降参するからさ、もうバトルは終わりにしようよ」

するとケンスケは近くの棚に置いてあったポテトチップスの袋を手に取る。

「終戦したということで一緒にポテチでも食べよう、お姉ちゃん」
「それはいいわね」

袋を開けると、姉弟は仲良くポテチを食べ始める。

「ポテチはコンソメパンチが一番だよねー」
「うんうん、分かるわ」

袋の中のポテトチップスを全部食べ終えたその瞬間だった。

「ふー、美味しかったわね」
「スキあり!」

ケンスケは素早い動きで、マジックハンドでカナミの左足の方のハイソックスの爪先の部分をガシッと掴んだ。

「な、何!?」
「お姉ちゃんこそ、まんまと引っかかったね。僕が潔く降参したことにすっかり気が緩んじゃってさ」

マジックハンドで爪先を掴んだまま、弟は姉のハイソックスを勢いよくズルッと脱がした。
その拍子にカナミはドテッと尻餅をついて倒れてしまう。

「お姉ちゃんのハイソックス、ゲットだー!」
「まんまと私を騙すとは、良い度胸してるわね。こうなったら超本気モードでいくわよ!」

姉弟の凄まじいバトルがまた始まった。それはとても強烈なものだった。

「私を怒らせたことを後悔するがいいわ!」
「僕は怒ったお姉ちゃんにビビるほど弱くないよ!」
「生意気なこと言っていられるのも今のうちよ」

カナミのピコピコハンマーとケンスケのマジックハンドが互いにぶつかり合い、バチバチと火花が散っている。
弟がマジックハンドで、ピコピコハンマーを持つ姉の右手首をガシッと掴む。
しかし、姉は咄嗟に左手にハンマーを持ち替え、弟のお尻をポコっと叩く。

「ウ"ッ!!」
「腕はなかなかだけど詰めが甘い。あんたのことよケンスケ!」
「そ、そんなぁ!」
0106この名無しがすごい!
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2020/04/20(月) 20:57:02.30ID:JRHh2Z5e
【姉弟の仁義なきドタバタバトル】(3/3)

ケンスケの手からマジックハンドが落ちる。これで決着か、と思いきやカナミは手からピコピコハンマーを放して床に置く。

「ケンスケ、ここまで来たら互いに武器を捨てて戦いましょ」
「望むところだよ、お姉ちゃん!」

お互いに武器を捨て、素手だけでのバトルとなった。

「行くよ、お姉ちゃん!」
「どこからでもかかってきなさい!」

その時、カナミが膝をついて倒れてしまう。彼女は思い出した。終戦の意としてポテチを食べた後、一瞬の隙を突かれて弟にハイソックスを脱がされたことを。
そう、ハイソックスを片方でも脱がされてしまうと、カナミはパワーダウンしてしまうという弱点があるのだ。

「す、すっかり忘れてたわ…」
「僕はお姉ちゃんの弱点をちゃーんと分かってたんだ」

ケンスケは姉に近づくと、コチョコチョとくすぐり攻撃を始めた。

「アハハ、くすぐったい!や、やめてワハハ!」
「ううん、楽しいからやめない!さっきポコポコ頭を叩かれた時のお返しだよー!」

しかし、さっきまで素早かったケンスケの動きが次第に鈍くなっていき、攻撃の手が弱まってきた。
そう、ケンスケは体力が少なくて実は長期戦が苦手という弱点があった。姉とのバトルは開始から既に4時間を超えており、スタミナ切れを起こしていた。

「ち、力がこれ以上出ない…」
「私はケンスケの弱点をちゃーんと分かってる」
「だ、だから、わざと長期戦に持ち込んだということだね」
「その通りよ!」

パワーダウンとスタミナ切れでは、まだ僅かにではあるがパワーダウンの方に分がある。

「ケンスケ、残念だけど私の勝ちね」
「そ、そんなぁ…!」

まさに決着の瞬間、と思ったその時だった。

「あんた達、いつまで激しくじゃれ合ってるのよ。猫じゃあるまいし…」

買い物と銀行に出かけていた母が、ちょうど家に帰ってきたところだった。

「「あ、お母さん!おかえりなさい!」」
「大雨で外で遊べないのは分かるけど、家の中で暴れるのはやめてちょうだい。分かった?」
「「ハ、ハイ!」」

母の介入?により、4時間にも渡った姉弟のバトルは互いに引き分けという形で幕を閉じた。
夕食を終えると、2人はリビングのソファーに座って今日のバトルを振り返った。

「お姉ちゃんのピコピコハンマーには、どう足掻いても勝てなかったな。強すぎるよ」
「ケンスケのマジックハンドも大したものだったわよ。でも油断しすぎなところと、詰めが甘いところは克服した方がいいわね」
「油断しすぎなのはお姉ちゃんも一緒じゃん」

顔を合わせてアハハと笑うと、互いに背中に隠し持っていたピコピコハンマーとマジックハンドを出す。

「次のバトルはいつにする、お姉ちゃん?」
「私はいつでもいいわよ」
「今度は負けないからね」
0107三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/21(火) 13:46:25.76ID:b+KkR0xE
>>104
今回は平和な世界w
ピコピコ『ハンマー』、小さな『邪神』w、『ポテトチップス』で・・・
これは結構な力作だったw、形勢が二転三転して面白かったです
0108この名無しがすごい!
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2020/04/21(火) 20:24:57.13ID:tTsKsS5o
>>107
感想ありがとうございます!
姉と弟の壮絶なバトル(というよりじゃれ合い?)でしたw
終戦としてポテトチップスを食べてからの再戦の流れが一番書いてて楽しかったです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0109この名無しがすごい!
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2020/04/24(金) 10:44:00.03ID:dzV01ZBq
>>104
姉弟のじゃれあいですね
お互いの弱点を把握しつつの攻防
仲良くケンカをして欲しいものです
0110この名無しがすごい!
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2020/04/24(金) 15:59:36.47ID:j6txoLOZ
>>109
感想ありがとうございます!
姉弟は仲良くケンカすることでお互いに絆を深めていってほしいなあ、とよく考えていますw
今回も楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0111この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 19:41:46.08ID:cex0aX7W
>>98
お題:『ハンマー』『乙女ゲーム』『ポテトチップス』『邪神』『アマビエ』

【楽しいお仕事】(1/2)
 わたしの名前は天宮 洋子! どこにでも居る、ちょっとおっちょこちょいな女の子。
 今日から新学期だっていうのに、わたしは寝坊して遅刻ギリギリに成っちゃった!

「あ〜ん、遅刻遅刻ぅ!!」

 朝食のパンを咥えながら走るわたし! あの角を曲がれば学校だわ! よ〜しラストスパート!!

 ドッシーン!!

「きゃあ!!」
「うわ!!」

 尻もちをついたわたしの前には、カッコイイ男の子が。

「おい! 気を付けろよ!!」

 カッチーン。

 確かに急いでて確認しなかったわたしも悪いけど、そっちだって同じでしょ!!
 確かにカッコイイけど、だからって、何を言ってもいいって事には成らないんだからね!
 そう思っていると、ソイツが急に顔を赤らめて視線を逸らした。

 え? 何?

 わたしは今の自分の姿をよく見てみた。ぶつかった衝撃で尻もちをつき、その事でスカートがめくり……

 ******

「没」
「ええ! 何でですか栗山さん!!」

 企画書を途中まで読んでた企画リーダーの栗山 環は、「なぜ」と食い下がるシナリオ担当の小山 修一に呆れた様な目を向けた。

「おい、シュウ、お前、この企画が何なのか分かってんのか?」
「え? はい、ブラウザ乙女ゲーム『らぶ☆レボリューション(仮)』ですよね?」
「分かってて、これか?」
「いや、でも、対象年齢の事を考えて、感情移入しやすい何処にでもいる女の子を主人公に……」

 環が頭を押さえ、溜息を吐く。

「古い!! 古すぎるんだよお前の頭の中!! こんなもん、今時、乳児ですらソッポ向くわ!!」
「いや、乳児はそもそもブラウザゲーム何て……」
「そう言う、いらん所拾わなくていいんだよ!!」

 スパーン! と、修一の書いた企画書を丸め、彼の頭を叩く。

「今の子はな、オンリーワンを求めてんだよ!! 『誰にもまねできない特別な自分』を求めてんだ!
 お前は、そこが分かってない! いいか! 次、同じシナリオ書いたらシナリオライターから外すからな!!」
「いや、栗さん、さすがにまんま同じ事書く様な奴はいないんじゃ……」
「だから、そう言う、いらん所拾わなくていいんだよ!!」
0112この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 19:42:42.83ID:cex0aX7W
【楽しいお仕事】(2/2)


 ******

「オンリーワンの主人公って、ったく、そんなもん簡単に思いつくなら、マンガの編集なんていらないってぇの」

 修一はブツブツ言いながらもアイデアを探してネットを漁っていた。

「はやり、流行り、Hayari〜っと……へぇ、最近ってこんなの流行ってるんだな……え? マジ? これOKなの?」

 「ふーん」と腕を組む修一。そのすぐ後に、何かを思い付いたらしくニンマリと笑みを浮かべると、猛然とキーボードを叩き始めたのだった。

 ******

  わたしの名前は亜 麻美恵! どこにでも居る、ちょっとおっちょこちょいなアマビエ。
 今日は浦和の方に預言を持って行かなくちゃいけないんだって言うのに、わたしは寝坊して遅刻ギリギリに成っちゃった!

「あ〜ん、遅刻遅刻ぅ!!」

 朝食のポテトチップスを咥えながら走るわたし! あの角を曲がれば浦和だわ! よ〜しラストスパート!!

 ドッシーン!!

「きゃあ!!」
「うわ!!」

 尻もちをついたわたしの前には、カッコイイ邪神が。

「おい、大丈夫か?」

 カッコイイ邪神は触手をウネウネさせながら、前足を伸ばして来る。
 やだ、イケメン!

 助け起こされたわたしがちょっとボーッとしていると、邪神の触腕がわたしの顔に……
 ああ、ここでわたし、大人に成っちゃうのね。そう覚悟を決めたんだけど、その触腕はするりとわたしの髪に伸びる。

「こんな所にハンマーが付いてるよ?」
「え?」

 きゃー恥ずかしい!! そう言えば昨日ベッドで日曜大工をしてたんだったわ!
 顔を赤らめるわたしにカッコイイ邪神が……

 ******

「どうです? 流行りを取り入れながらもオンリーワンな展開!! これならイケるでしょう?」
「……か」
「はい? 何です?」
「あ・ほ・かあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 スッパアアアアァァァァァーーーーーーーン!!!!!!
0116三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/26(日) 22:14:10.80ID:ZULDVdTL
お題→『ハンマー』『乙女ゲーム』『ポテトチップス』『邪神』『アマビエ』締切

【参加作品一覧】
>>104【姉弟の仁義なきドタバタバトル】
>>111【楽しいお仕事】
0117三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/26(日) 22:15:20.02ID:ZULDVdTL
ではー、今回も通常お題5つです

お題安価>>118-122
0118この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 22:15:38.13ID:12RpDfBP
ピンクの悪魔
0119この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 22:15:42.99ID:yUnUobm8
恋愛頭脳戦
0120この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 22:18:06.99ID:Unh+Aukl
最終兵器
0121この名無しがすごい!
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2020/04/26(日) 22:19:10.58ID:4NROLjAA
レモネード
0123三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/26(日) 22:29:12.48ID:ZULDVdTL
☆お題→『ピンクの悪魔』『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』『銀河最強』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→5/3の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0126三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/26(日) 22:53:29.24ID:ZULDVdTL
すげー速度で集まった・・・絶対書きにくいお題w
てか今更だけど、出題だけじゃなくて作品を書いてくれてもいいのよ
誰が書いてもいいスレなので!

次回は企画を・・・ご意見ご要望も受け付けております
引き続きお題スレをよろしくー
0127三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/26(日) 23:10:22.51ID:ZULDVdTL
>>111
これはひどいww
『乙女ゲーム』の企画、主人公『アマビエ』、朝食の『ポテトチップス』、イケメン『邪神』、い・・『ハンマー』!
シュウくん、あなた憑かれ、、疲れてるのよ・・・とりあえず全消化の抱腹絶倒でした!w
0128この名無しがすごい!
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2020/04/27(月) 05:17:29.45ID:bZePPZdi
>>127
感想有り難うございます
奇をてらってりゃ良いと言うもんじゃないと言う見本ですねw
0129この名無しがすごい!
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2020/04/27(月) 21:14:12.68ID:+brAySck
>>123
使用するお題→『ピンクの悪魔』『レモネード』

【伯母の陰謀】(1/3)
>>74【可愛いプリンセスは危険の香り?】の続きです

「…こ、ここは、一体どこなの…?」

麻酔銃を撃たれて気絶していたシンディが少しずつ意識を取り戻す。目を開けてみると、そこは薄暗く、周囲には何もない部屋の中だった。
全身を鎖でキツく縛られているため、身動きが取ることができない。
すると目の前の扉がギイッと音を立てて開き、火の灯ったランプを持ったピンクのドレス姿の老婆が入ってきた。

「どうやら目を覚ましたようね、シンディ」
「あ、あんたは一体誰なの?」
「私はフローラ。今は亡きあなたの母ジェーンの妹よ」
「マ、ママの妹?ということは私の伯母!?」
「そういうことね。まあ色々と話してあげるから聞きなさい」

そのフローラと名乗る老婆は、シンディの母親であるジェーンの妹だった。彼女は大富豪でお金こそ全てだという考えの持ち主で、何不自由ない生活を送っていた。
ジェーンがシンディを産んだと聞いた時、彼女からシンディを奪おうと企んでいた。しかし父親であるバイロンは、そんな強欲なフローラにシンディを渡そうとしなかった。
一旦は退くものの、シンディを諦めきれなかったフローラはバイロンが乗ったトラックを狙って、崖から大量の石を落としたのだ。
そう、あのバイロンが巻き込まれて死亡した落石事故は自然で起きたことではなく、全て彼女が装ったものだったのだ。

「あの憎きバイロンが死んで、あなたが私の物となると思いきや、あなたはいつの間にか姿を消していた。私は様々な手を使って消息を追った、そしてやっと見つけた」
「ま、まさか、あんたが大好きなパパを殺しただなんて!絶対に許さない!」

これ以上ない怒りに溢れるシンディだったが、体は鎖で縛られており身動き一つできない。

「無駄な抵抗はやめなさい、シンディ。この私が何と呼ばれているか分かる?そう、ピンクの悪魔よ!」

開いたままの扉から、あの没落貴族の親子であるマークとメアリーが入ってきた。2人は、フローラから懸賞金である100億ドルを貰って大喜びだった。

「これで私達はまた貴族の仲間入りね、パパ!」
「もちろんだメアリー!それじゃあな、哀れな女ガンマン!」
「あ、あいつら…!!」
「シンディ、あなたはもう私の娘となるの。お金は山のようにあるから好きなだけ贅沢できるのよ、幸せだと思わない?」
「お金があるから幸せ?バッカみたい!」

シンディは悪あがきするかのように、フローラの顔に向かってプッと唾を吐きかける。

「どうやら教育が必要なようね。とりあえずその汚い帽子とかコートを脱ぎなさい」
「ちょ、ちょっと帽子取らないでよ!」
「こんな薄汚れたカウボーイハット被っちゃって。後でゴミとして捨てておかないとね」
「や、やめて!」

突然、暗い密室の中であるにも関わらず風が吹いてくる。

「か、風!?一体どこから!?」

どこからともなく強く吹いてくる風にフローラは驚く。その風と共に、タヌキのお面を被った着物姿の女が姿を現した。

「あ、あなたは…!!」
「鎖で縛られちゃって…。無様な姿ね、まったく…」
0130この名無しがすごい!
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2020/04/27(月) 21:17:16.61ID:+brAySck
【伯母の陰謀】(2/3)

「シ、シグレ!!」

そう、あの遥か遠くの日本という国から来た女のサムライ・シグレだ。

「情けない姿ね、シンディ。あなた、それでもアメリカのガンマンなのかしら?」
「シ、シグレ?サ、サムライ?」
「何、この禍々しい桃色の暑苦しいドレス姿の婆さんは?なんか見てて腹が立ってくるわね」

シグレは鞘から刀を取り出し、大きく振り被る。それで発生した深い霧がフローラを包み込む。
深い霧で視界が遮られ、フローラはどうすることもできない。すると真っ赤に光る瞳が見えてくる。

「必殺、霧狐斬(キッコザン)!!」

牙を剥き出しにした赤い瞳の白いキツネが、フローラの首にガブッと噛みついた。しかし、それはシグレが見せた幻想だ。
凶暴なキツネの幻想に動揺したフローラの背中をそのままスパアッと刀で斬りつけた。

「グ、グハッ!!」

吐血し、背中から血をダラダラと流しながらフローラは倒れ、そのまま息絶えてしまった。
シンディの体を縛っている鎖も切り裂き、彼女は自由になった。

「シグレ、あ、ありがとう!」
「か、勘違いしないでね。何も助けに来たわけじゃない。ライバルが苦しんでいるのを見てるのが嫌だっただけよ」

シンディは嬉しかったのか、シグレに思いきり抱きついてきた。

「や、やめてシンディ。とりあえずこんな暗い場所から早く出ましょ」
「そうね!」

シンディとシグレは走り出す。

「そういえばサンセットは!」
「あなたの馬なら既に解放してある」

階段を駆け上がっていき、大きなダンスホールに飛び出す。目の前にフローラの屈強な部下達が立ち塞がってくるが、
シンディとシグレの敵ではなく、スピーディーな銃撃と華麗な剣術で次々に無双していく。

「相手に一切隙を見せない銃さばき、さすがガンマンね」
「エヘッ!そうでしょ、これがアメリカってものよ!」

思う存分大暴れするガンマンとサムライのコンビに太刀打ちできるわけがなく、大きな屋敷はあっさりと崩壊してしまった。
フローラは崩れ落ちた屋敷のガレキの下敷きとなってしまった。すると、ヒヒーン!の元気な泣き声と共にサンセットが姿を現した。

「サンセット!」

サンセットに特に大きなケガはなく無事のようで、シンディはとても安心した。

「シンディ、まだやることがあるんじゃないの?」
「あっ、そうだった!乗ってシグレ!」

シンディとシグレを背中に乗せると、サンセットは勢いよく走り出した。

「あの没落貴族親子と殺し屋も許さないわ!」

一方、マークとメアリー、そして2人に雇われた殺し屋のゴールドタンクは、近くの農夫を殺して奪ったトラックに乗って逃げているところだった。
0131この名無しがすごい!
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2020/04/27(月) 21:18:13.73ID:+brAySck
【伯母の陰謀】(3/3)

「100億ドルは俺達の物だー!ウヒョー金って本当にサイコー!!」
「本当にサイコーなのかしら?」
「ヘッ?」

すぐ近くまで追いかけてきたシンディの姿に彼らはビックリした。

「な、何でこんな所にいるんだ!?」
「あんた達も地獄に送ってやるから覚悟しなさい!」

シグレはサンセットの背中から勢いよくジャンプすると、トラックのタイヤを全て刀で切り裂く。

「ゴ、ゴールドタンク!こうなったらシンディとあの変な女を殺してしまえ!」

ゴールドタンクは銃を構えるが、シグレの電光石火による斬撃で銃はバラバラになり、使い物にならなくなってしまう。
動揺するゴールドタンクとマークの心臓を目がけてシンディは発砲する。それに続くかのように、シグレが2人の首元をズバッと斬りつけてトドメを刺した。
父と頼りにしていた殺し屋が一方的にやられてしまい、メアリーは狼狽える。急いで100億ドルの入ったトランクケースを持って逃げようとするが、目の前は断崖絶壁だった。

「その100億ドルと一緒に死にな!」

シンディは勢いよく彼女を蹴り飛ばし、崖から突き落とした。キャーッ!の悲鳴と共に、メアリーは100億ドルと共に真っ逆さまに数百メートル下に落ちていった。

「これで一件落着、といったところかしらシンディ?」
「そうね。これで死んだパパが帰ってくるわけじゃないけど、私はパパの分まで生きるって決めたんだから!」

その後、近くの街まで向かい、そこでレモネードを買う。もちろん自分とシグレの2人分だ。
姿を見られると怪しまれるに違いないため、シグレは馬小屋の裏に隠れていた。

「これがレモネードよ。どう、美味しいでしょ?」
「レモネード?初めて飲むけど、なかなかイケるわね」

レモネードを飲んで、激しい戦いで疲れた体を癒す。

「今日は本当にどうもありがとう、シグレ。あなたが来なきゃ、私は伯母の奴隷にされてたかもしれない」
「シンディ、あなたは私の大切なライバル。いずれ決闘する時が必ず来る。それまで誰にも負けないで」

レモネードをグイッと飲み干し、そう言い残すとシグレは風を起こしてそのまま姿を消してしまった。

「そういうシグレも誰にも負けないでよね!負けたらこの私が許さないんだから!」

その町の宿で一夜を明かすと、次の朝早くシンディはサンセットに跨り、再び広大な荒野に飛び出すのであった。
0132この名無しがすごい!
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2020/04/27(月) 22:56:33.52ID:G9KOted3
>>129

急転直下からの反撃ですね
やはり、ライバルとは、真の敵を前にした時には助け合わないといけません(個人的見解)
0133三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/28(火) 00:59:03.59ID:UB5sZbze
>>129
来た来た待ってた、待望の続き
『ピンクの悪魔』の陰謀・・・『レモネード』を飲む
黒幕が謎でしたけど、すごい話になってしまった・・・
でもしっかり助けに来ましたねw
0134この名無しがすごい!
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2020/04/28(火) 05:57:01.57ID:95TkIvjD
>>132
>>133
感想ありがとうございます!
もしかするとシグレは本当はシンディをライバルというより、友達として見ているかもしれません
あ、最後辺りでシグレが普通にレモネードを飲んでいましたが、お面をつけていても飲食は可能ですw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0135この名無しがすごい!
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2020/04/29(水) 20:26:16.39ID:Pkh0eJtr
>>123
使用するお題→『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』

【私のせっかちは治らない、でもそれでいい】(1/3)
※スレ5>>880【せっかちなんて百害あって一利なし】の続編かつ完結編です

私の名は白石ホノカ、どこにでもいる普通の高校生。ある朝、私は寝坊して遅刻しかけていた。
昨夜きちんとセットしてあった目覚まし時計が、いつの間にか電池切れを起こしてアラームが鳴らなかったのだ。

「ウワーッ!遅刻だー!」

急いでパジャマから制服に着替え、1階の食卓に向かう。テーブルに置かれたトーストとホットミルクを一気に口に入れる。

「ホノカ、朝食はちゃんとゆっくり食べなさい」
「寝坊したのにゆっくり食べる暇なんてないわよ!お母さんってホントおっとりというか呑気なんだから!」

歯磨きも済ませてバッグを手に取ると、勢いよく外を飛び出して学校へと向かう。

「急がなきゃ!今日は中間テストの日だっていうのに!」

なんとか死に物狂いで走ったため、学校には何とか間に合った。「おはよう!」の挨拶と共に教室に入ったその時、クラスメート達が自分の方を見て笑い始めた。

「な、何?私の顔になんかついてる?」
「白石、足を見てみろよ」
「へっ?」

足下に目を向けてみると、なんとローファーではなく、お母さんのサンダルを履いてきているではないか。
そう、あまりに急いで家を出た為、ちゃんと確認していなかったのだ。ホノカは恥ずかしくなり、顔はトマトのように真っ赤になった。
クラスメートに笑われながら自分の席に着くと、近くにいた一人の男子がからかってきた。

「よう、白石!サンダルを履いて登校とはたまげたぜ」
「う、上田…!」

彼の名は上田ミノル。自分によくちょっかいを出したり、からかってくる変な奴だ。

「お前ってさ、本当にせっかちなところあるよな。人生、もう少しのんびりに行くべきだと俺は思うぜ」
「べ、別にせっかちというわけじゃないわよ!ただ、寝坊して必死だったから…」
「ふーん。まあ、でもお前って面白いよな!」

9時になってチャイムが鳴り、テストが始まった。テストをする中、ホノカはふとミノルのことが頭に浮かんできた。

「(あいつ、やたらと私にちょっかい出してきて…。私のことが好きなのかな・・・ってダメダメ!ホノカ、今はテストに集中しなきゃ!)」

3日間の中間テストが無事に終わり、昼過ぎの下校時間となった。校門を出たその時、ミノルが駆け寄ってきた。

「おーい白石!」
「な、何よ上田。私になんか用?」
「なんか用ってお前、教室出た時に財布落としてったぞ。ほら」

よく見るとバッグが開いているままだ。今日は試験が終わったということで早く家に帰って、
撮り溜めていたドラマを見るため急いで帰宅しようとして急いでいたのだ。その拍子に財布を落としたというわけだ。

「あ、ありがとう上田。そ、その、キツい態度取ってゴメン…」
「別に気にしてねえよ。でも、そのせっかち治した方がいいぜ。それじゃ、気をつけて帰れよ!」

家に帰る途中、ホノカの頭の中にはとにかくミノルのことでいっぱいだった。

「(上田が私のことを好きかもしれない。それに私も上田のことが好きなのかもしれない…)」
0136この名無しがすごい!
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2020/04/29(水) 20:27:34.24ID:Pkh0eJtr
【私のせっかちは治らない、でもそれでいい】(2/3)

一方のミノルは家でベッドに寝転び、楽しそうに漫画を読んでいた。そんな中、ふとホノカのことを思い出す。

「(白石って本当に面白いというか可愛いよなぁ…。あのせっかちなところがやっぱりチャームポイントなんだろうなぁ)」

翌日、ホノカが学校に向かっていると途中、偶然にもミノルと出くわした。

「おっ白石!おはよう!あれ、今日はゆっくり歩いているんだな、いつも必死に走ってそうなイメージなのに。珍しいこともあるんだな、雪が降るかもな」
「あ、あんたは余計な一言が多いのよ上田!それ以上からかうとケツ蹴り飛ばすわよ!」

そして特に会話もせず、黙り込んだまま教室に入る。互いに顔を合わせなかったものの、2人とも顔が赤くなっていた。

「「ま、まさかこれが恋!?こうなったら徹底的に勝負するしか他にない!!」」

それ以降、ホノカとミノルの密かな恋のバトルが始まった。どちらが先に屈して(?)告白するかだ。

「おい白石、お前の靴下に糸屑いっぱいついてるぞ」
「あ、ありがとう」

まずはミノルの番のようだ。ミノルはホノカのハイソックスについた細かい糸屑を丁寧に取っていく。
次はホノカの番だった。休み時間、ミノルがジュースを飲んでいる時に後ろから話しかける。
いきなり話しかけられビックリしたミノルは思わずジュースを吹いてしまい、ブレザーがジュースで濡れてしまう。

「あっ大丈夫!?すぐに拭いてあげるから待って!」

急いで近くの水道でハンカチを濡らし、ジュースでビショビショになったミノルのブレザーを拭く。

「急に話しかけてきたからビックリさせちゃった?ごめんね!」

このような些細でしょうもない恋愛頭脳戦(というべきなのか)が、1週間も続いたある日のことだ。

「急がなきゃ!急がなきゃ!」

全ての授業が終わって下校時間となった。今日は予約していたDVDの発売日で、ホノカは行きつけの書店へとにかく急いで向かおうとしていた。

「早く急いで家に帰って見なくちゃ!」

とにかくせっかちで急いでいる時のホノカは周りが見えなくなることがよくある。必死に走る中、左足の方のローファーが脱げ落ちてしまうが彼女は気がつかない。
今度は居眠りしている野良犬の尻尾を気付かず踏んでしまう。眠りを邪魔されて怒った犬がホノカを追いかける。
ワンワン!とうるさく吠える声に気付き、後ろを振り返った時にはもう遅かった。
犬は彼女のスカートに勢いよく噛みつき、グイグイと乱暴に引っ張り始めた。

「ウ、ウワワッ!や、やめて!スカート引っ張らないで!あっち行って!」

しかし犬は怒り狂っており、頑なにスカートを放そうとしない。スカートがビリッと音を立てて破け始める。

「いい加減放してよー!」

涙目になるホノカ。その時、何かが犬の頭にゴン!と直撃し、犬はキャンキャンと鳴きながら逃げて去っていった。
怖くて目を瞑っていたホノカが目を開けると、足下には自分のローファーが落ちていた。

「お前のせっかち、もはや病気だな。笑えてくるレベルだぜ」
「う、上田!」

ようやく、ローファーがいつの間にか脱げ落ちていたことに気付く。ミノルが自分のローファーを野良犬に投げてぶつけて助けてくれたのだ。
0137この名無しがすごい!
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2020/04/29(水) 20:28:27.02ID:Pkh0eJtr
【私のせっかちは治らない、でもそれでいい】(3/3)

「ほ、本当にありがとう上田。な、何というか、その、私って本当にせっかちでバカよね…」
「まあ、そのせっかちなところが可愛いんだけどな。でも、お前のローファー役に立ったぜ、まさに最終兵器だ。これしかお前を助ける手段無かったからな」
「さ、最終兵器って…。ね、ねえ今可愛いって言わなかった?」
「べ、別に。お前の空耳じゃねえのか?」

しかし、2人は互いに顔を合わせてアハハと笑い合う。ミノルはホノカを自分の家に連れて行き、
犬に引っ張られて破れてしまった彼女のスカートのプリーツを綺麗に縫って直してくれた。

「これでよしっと!」
「ありがとう!ってか上田、あんた裁縫得意なのね。すっごく意外!」
「小学生の時から母さんがよく教えてくれたんだ」

その後、ミノルはレモネードとチョコの詰め合わせを持ってきてくれた。

「レモネード美味しい!上田、本当に色々とどうもありがとう。もう感謝しきれなくらいだわ」
「そこまで感謝されるほどでもないさ。お前のことが放っておけなかっただけだ」
「カッコつけちゃって!上田って本当に面白いよね!」
「面白いのはお前の方だ、白石」

レモネードとチョコを楽しみながら、ミノルはふと口に出す。

「あのさ、俺、白石のこと、めっちゃ好きなんだ!なんというかスッゲー可愛い!せっかちなところもだけど、特に横顔が!」
「ウフッ!私も上田のこと大好き!ひょうきんなところがイイ!というか、横顔フェチだったのね」
「べ、別にフェチじゃねえよ!」

それ以降、ホノカとミノルは恋仲となった。高校卒業後、同じ大学に行き、そして遂に結婚した。

「それじゃあ行ってくるぜ、ホノカ!」
「行ってらっしゃい!あと、それから事故にはくれぐれも気をつけてね」
「お前もせっかちでトラブル起こすんじゃないぞ」
「失礼ね!それくらい分かってるわよ!」

仕事に向かうミノルを嬉しそうに手を振って見送るホノカなのであった。


THE END
0138三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/30(木) 13:28:04.86ID:TS15lz2R
>>135
まさかの続編w
密かな『恋愛頭脳戦』、ローファー『最終兵器』、『レモネード』とチョコ
相変わらずのせっかちから、過程を経て、ハッピーエンド・・・
でもせっかちは治した方がいいと思うw
0139この名無しがすごい!
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2020/04/30(木) 15:09:04.72ID:uwQy9NRz
>>135
中々フェチな頭脳戦ですねw
どうでも良い事ですが、"惚れた方の負け”みたいな風潮って、何なんでしょうね?
0140この名無しがすごい!
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2020/04/30(木) 20:14:20.85ID:D4ukgult
>>138
>>139
感想ありがとうございます!
はい、まさかの続編ですw お気に入りの作品でしたので続きを書きたくなっちゃいました
そうですよね、恋愛は惚れた方も惚れられた方も最終的に結ばれて、幸せになればそれで十分ですよね
勝敗とかそんなの気にしてちゃ、恋愛というものは一切成り立たないと私は思います
こちらも楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0141三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/02(土) 13:07:49.47ID:qh/fNXlH
ところで次回の企画ですが、ジャンル指定か、リレー企画か、どちらかと考えています
どうしよう
0142この名無しがすごい!
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2020/05/02(土) 14:26:35.64ID:062cmyZ7
ジャンル指定がいいな
0144この名無しがすごい!
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2020/05/03(日) 20:40:05.09ID:x50wE0Y6
>>123

使用お題→『ピンクの悪魔』『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』『銀河最強』

【今回は痛い作文でお茶を濁します】(1/2)

 筆者は居直った。必ず、かの難攻不落のお題を消化しなければならぬと決意した…………こんな駄文を投稿したのが、一年と少し前である。
 長いことスレに居座って、好き放題書き散らしてきた。それなりの作品を、まずまずの頻度で……と言いたいところだが、筆者の実感としては、実力以上のものを、継続的に、という方が近い。
 筆者は、同じネタを使い回さないようにしている。半分は読者のため、もう半分は自分のために、そうしている。
 意図して繰り返す場合でも、例えばパロディなら一度きり、連作ならヘビロテに注意する。もちろん例外はあるし、それとは別に、同じ人間が書く話なので、似通ってしまうことはある。
 要するに何が言いたいか。今回は例外の方に近い。今回はお題が難しいので、あからさまなやり口でもって、筆者の弱みを見せるいい機会だと思ったのである。

 最初に、お題の話をする。
 日曜深夜、筆者はお題を見て、よく分からないものはリサーチする。今回特に問題なのは『ピンクの悪魔』と『恋愛頭脳戦』である。
 まず『ピンクの悪魔』でググる。実際にググれば分かるが、カー○○さんである。あとGG○である。なるほどね。
 筆者は○○ビーさんで遊んだ記憶がない。筆者はゲーム機を持っておらず、筆者の竹馬の友も同様であった。
 ならばGG○だが、筆者はS△○に関心がなく、つまりは、シリーズの作品を、どれも読んだことがないのである。そりゃねーだろ、という話だが、筆者の読書経験は割合貧弱な方で、こういう穴は結構多いのだ。
 次に『恋愛頭脳戦』である。こちらはググるまでもないが、一応は調べてみる。とりあえずテンプレっぽいラブコメなのね、というのが筆者の理解である。

 なぜこんな話をするか。
 別に筆者の無知を自慢したいわけではない。そりゃ誰にだって知らないことはある。そうではなく、筆者の狙いは緊張の緩和である。
 『同じネタを使い回さないように』書くことは、ともすると、読者を作品で殴り続けることにもなる。そこまで力のあるものを書いた覚えはないが、筆者は、読者が疲れてしまうことを恐れている。
 筆者は、種明かしが必要だと、考えている。なんであれ、仕組みが分かれば、大したことがないと思えてくるものだ。

 お題の話を続ける。
 『最終兵器』は、ほぼ自明だろう。少し調べるだけだ。『レモネード』はシンディ専用。『銀河最強』は、またカ○○ーさんのようだが、筆者としては、オラわくわくする方だ。
 オラわくわくしてきたぞ。

 ここまで、お題を一つ一つ検討してきた。次に、この成果を実作に取り入れることを考える。
 まずは、単純に足し合わせてみる。『ピンクの悪魔』は、主人公か敵対者のどちらかだろう。物語の内容は『恋愛頭脳戦』である。途中で『最終兵器』が登場する。『レモネード』は分からない。そして誰かが『銀河最強』だと判明する。
 一見して問題なさそうだ。だが、筆者に言わせれば、これでは文字通り話にならない。前述の『成果』が、ちっとも反映されていないからだ。
0145この名無しがすごい!
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2020/05/03(日) 20:40:31.87ID:x50wE0Y6
【今回は痛い作文でお茶を濁します】(2/2)

 ここで「構造」について話すことにする。これは、構造主義の『構造』ではなく、大江健三郎の著作『小説の方法』の用語である。
 例えば「文学表現の言葉」には「構造」がある。『文学表現の言葉』とは、これも同書の用語だが、要するに、詩や小説に見られる印象的な表現のことだ。その目的は読者の注意を引くことにある。
 それで肝心の『構造』だが、これは単に、少しふわっとした、広い意味の用語だと思っておけば良い。
 この「構造」の中身は、小説家が勝手気ままに考えるものではない。これは現代文学の理論なので、前述の例だと、その言葉の同時代における意味や使われ方が中心となる。

 小説に関するあらゆる概念に「構造」はある。
 もちろん、お題にも「構造」がある。言葉としての意味、係る文脈、出題の意図は、お題の「構造」ということになる。
 この「構造」を取り込んだ作品は、実利的な言い方をすると、含蓄のある、つまりは読んで面白いものとなる。
 また、こうした「構造」のあれこれは、先述の通り、『小説家が勝手気ままに考えるものではない』ので、読者の理解を助け、作品を読みやすくする効果がある。あとネタを自力で考えずに済む、というのもある。
 以上が、お題を検討し、その『成果』を用いる理由である。

 手始めに、『恋愛頭脳戦』に戻って考えることにする。これが話の本筋となるからだ。
 元ネタに倣えば、ラブコメを書くことになる。だが、ここで筆者のブライドが邪魔をする。元ネタと同じことをやっても意味がない。
 ならばシリアスな恋愛ものはどうか。『ピンクの悪魔』に『最終兵器』なんて、いかにもな題材である。ただ前者の構造は使いにくいので、『ピンク』と『悪魔』に分けて考えることにする。
 ヒロインは『ピンクの悪魔』、すなわちサキュバスである。彼女は元は人間だったが、なんらかの理由で『悪魔』に改造されてしまったのである。
 ヒーローは、ヒロインがまだ人間だった頃の恋人である。二人は互いに未練がある。同時に、ヒロインは悪魔なので、同族のために働かなくてはならない。そして、実はヒーローは、悪魔をやっつける勇者様である。
 つまり、ヒロインは、対勇者の『最終兵器』というわけだ。『恋愛頭脳戦』でノクタ池を回避しつつ、バッドエンドからは逃れられない、という趣向である。

 正直なところ、ここまで書いて筆者は力尽きた。つーか話が重いな。筆者は、愛の戦士にはなれそうもない。その割に、あらすじから漂うラブコメ臭である。

 男女逆ではどうだろうか。ヒロインは、聖女様か女エクソシストである。ヒーローは悪魔だ。
 少し考えると、この設定は駄目っぽいことが分かる。
 ヒーローがフツメンだとする。フツメンの悪魔など許されない。気持ちよく除霊して終わりである。
 ヒーローがイケメンだとする。ノクタかムーンライトか、どちらか行きである。悠長に頭脳戦をしている場合ではない。それに、イケメンの悪魔なんて、想像するだに腹立たしいコンセプトである。まったくひどい。

 目先を変えて、TSヒロインならどうだろうか。ヒーローは元親友である。
 筆者は少し考える。駄目ではなさそうだ。ただしラブコメ一直線である。しかもTSだ。
 『銀河最強』にかわいいヒロインと、『レモネード』を飲むデートである。オラわくわくしてきたぞ。
 ……率直に言って誰得である。

 そう言えば、『恋愛頭脳戦』の元ネタには、ピンク頭のキャラもいるのだった。この路線なら……とも思うのだが……。

 そんなこんなで時間切れである。あーあ。
 おちもあとがきもなし。
0147この名無しがすごい!
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2020/05/03(日) 21:55:15.20ID:I5IlU/Ra
>>123
お題:『ピンクの悪魔』『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』『銀河最強』

【ぐーたら女神にやらされる異世界生活】(1/3)
「あっの、ピンクの悪魔(女神)め!!」

 坂口 醍醐の口から、思わずそんな愚痴が零れる。
 周囲は見渡す限りの荒野であり、醍醐はそんな荒野を既に5時間近く彷徨っていたからだ。
 醍醐にした所で、好きこのんでこんな所に来た訳では無い。彼は日本から、このレネスティ―の世界に転移させられたのだ。ピンク髪の女神を名乗る者によって。

 ******

「最近、地球ってさ、人口増え過ぎなのよね、他の世界との兼ね合いもあるしさ、バランス管理がピーキーに成っちゃって、面倒くさいのよ」
「は?」

 醍醐の眼前にある、階段の数段上に設えてある板間の敷物の上に“それ”は寝転んで、ストローを咥えていた。
 ピンク色の髪をした、目も覚める様な美人ではあるが、面倒臭そうな表情で透明なカップの飲み物を啜っている様子は、あたかも休日の姉を思わせる姿で、何とも残念この上ない。

「聞いてる? だからさ、ちょっと減らそうと思ってたのにさ、他の女神がうるさいのよ、あのブリッコ、ちょっと男神の受けが良いからって、チョーシに乗り過ぎ」
「いや、ちょっと待って、何の話? ってか君は誰?」
「は? 女神よ、女神。見て分かるでしょう? ひれ伏しなさい、頭が高いわよ」

 不機嫌そうに身を起こした女神は、胡坐をかきながら、どこからともなく取り出したポテトチップスをバリバリと食べる。
 一方の醍醐はと言えば、気が付くとこんな場所にいて、目の前にそんな女性が居たのだ。混乱するし、訳が分からない。

「そもそも、リソースだって有限なの、この間までは植物がバリバリ減ってたからバランスとれてたんだけどさ、エコとかって植林したり、動物の保護とかって言って管理し始めてるじゃない? 流石に他の世界分のリソースが足りなくなってきちゃった訳なのよ」
「いや、だから、何の話?」
「は? 魂よ、魂の数。頭の回転悪くない? さっきっからそう言ってるでしょ?」
「いや、そんな事、ひとっことも言って無いよ!?」
「は? アタシが言ってんだから、即座に理解しなさいよ! 鈍いわねぇ」

 イライラした様子で女神が言う。醍醐は、どうにかこうにか女神の話をすべて聞き、それをまとめると、こう言いう事らしい。

 彼女は複数の世界を管理する女神なのだが、最近の地球は、人口が増えるだけではなく、エコロジーやらなんやらで、動植物の数も増えているのだと言う。
 それだけなら、むしろ良い事なんじゃと、醍醐は思うのだが、しかし、管理している側からすると都合が悪いらしい。
 彼女の管理している全ての世界の合計の魂の量は決まっており、一つの世界だけで生物……動植物や精霊、妖精全てを含めて……が増え過ぎると、他の世界に割り当てるリソースが足りなくなるのである。
 それでも最初は、精霊や妖精やらに割り振っていた魂を人間の方に使っていたので、何とかなっていたらしいのだが、今はそれでも足りなくなっていると言う。

 ただ、それだけなら、世界の発展度を考えて、一時的に他の世界の生き物の総数を減らすだけでも良い、しかし、あまりにも減らしすぎると、次元の狭間から‟良くない物”が入り込んで来るのだとか。
 俗にモンスターとか邪神だとか言われる物がそうらしい。
0148この名無しがすごい!
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2020/05/03(日) 21:58:50.21ID:I5IlU/Ra
【ぐーたら女神にやらされる異世界生活】(2/3)
 なので、大災害を起こして地球の人口を減らそうとしたら、他の世界を管理する女神に止められてしまったそうなのだ。
 他の世界の湧き出るモンスターを減らさせつつ、リソースを増やす努力をしなさいと。

 このピンクの女神(自称)は、最初リソースは一定量しかないと言っていたが、醍醐が根掘り葉掘り聞くと、実は増やせる物であると白状した。
 生物に自らの魂を鍛えさせ、その量を増やさせる事で、分割に耐えうる量を確保できる様に成るからだ。
 その為、他の世界の神達は、これはと言う人材を見つけては試練を課し、魂を鍛えさせるのである。

 たが、このピンクの女神(悪魔)は面倒くさがってそれをサボっていたのだ。

 それを聞いて、醍醐は他の世界の女神に感謝した。が、同時に思い至る事があった。

「え? つまりそれって……」
「邪神とか倒せば、魂の練磨になるでしょ? モンスターが湧き出してるとこ(世界)に送ったげるから、精々がんばって倒しなさいよ。アタシの為に」
「ちょ、ま!!」
「このアタシが見込んであげたんだから、結果残さなかったら、アンタ来世はミジンコね、これ、決定事項だから。あー、たった一人の人間(下等生物)の為に力を使ってあげる、アタシってマジ女神!!」
「いや、こら! 待てよ、おい!!」
「あ、そう言や、あのブリッコ女神、試練を課す時は神器か加護を与えなさいとか言ってたわね…… じゃ、これでいっか、はい」

 そう言ってピンクの悪魔(女神)が放り投げて来たのは、さっき彼女が飲んでいた透明カップだった。
 慌てて醍醐がそれを受け取ると、あっという間に視界がホワイトアウトする。

『じゃ、ヨロ〜』

 こうして、醍醐は異世界に放り出されたのであった。

 ******

 女神に投げ渡された、神器のカップから沸き出す飲み物で、渇きを癒す。いくらでも飲み物が湧き出すこのカップは、さすが神器と言う性能だった。
 湧き出す飲み物は、おそらくあの時女神が飲んでいた物なのだろう。レモネードであり、悔しい事に、疲れを癒すには最適だった。
 ただし、あくまで“飲み物”としては最適なだけで、それ以外には使い様が無いのだが。

 ジリジリと肌を焼く太陽の光に、少しでも休息を取りたくはあるが、しかし、周囲に身を隠す様な場所は無い。
 神器のレモネードのお陰で、疲労感は軽減されるが、しかし、足を動かし続けるしかないと言う現状に、精神的に疲弊していた。

「?」

 その時、醍醐の耳に、風のうねりとは違う音が確かに聞こえる。

「人か? いや、人じゃなくても何か別の何かでも……」

 代り映えしない現状に辟易していた為だろう。醍醐は警戒心も無く音のする方へと走り出し、足場が無くなった。

 ******

 少女の眼前に居る魔獣は、そのドロリとした闇色の複眼で獲物を見つめていた。
 ハアハアと肩で息をし、体中に幾つもの傷。手に持ったナイフも既にひびが入っている。
 しかし、その目には未だ力を宿し、この絶望的な状況の中でも希望を捨てていない事がうかがえた。
0149この名無しがすごい!
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2020/05/03(日) 22:09:32.55ID:I5IlU/Ra
【ぐーたら女神にやらされる異世界生活】(3/3)
「……そろそろ、いい加減諦めなんし。往生際が悪すぎるでありんすよ?」
「うるさいにゃ! 僕の限界は、僕が決めるにゃ!! 僕は諦めないにゃ!! ぜったい、銀河最強になってやゃるにゃ!!」
「ふう、威勢の良い台詞も聞き飽きたでありんす、そろそろ、わっちの経験値になりなんし」

 魔虫使いの女がその下僕に「やれ」と合図を送る。
 横にいた魔虫が、その外骨格の前肢を振り上げた。 振り下ろされるそれを、少女が必死にガードする。だが、彼女に出来たのはそれだけだった。踏ん張りの効かない足では、その威力に勝てず容易く吹き飛ばされ、岩に激突する。
 ろっ骨が折れたのか、激しい痛みで呼吸すらできない。
 しかし、彼女は諦める事は出来なかった。
 銀河最強になる。
 その夢を諦められない……いや、それは少し誤謬があるか。正確には、銀河最強になる事で叶えたい夢があるからだ。
 数年前、丁度モンスターと呼ばれる怪物が出始めた頃だろう。この世界に、一つの“神託”が下った。

『この銀河で最も強くなりなさい。そうすれば、あらゆる願いをかなえてあげるわ』

 銀河……と言う言葉が何を指すのかわからない者も多かった。しかし、最強と言う言葉が何を指すのかは分かる。
 あらゆる者達が、自身の望みを叶える為、最強を目指したのである。

(アタシは最強になるにゃ!! 最強になって、ご主人様の所へ!!)

 彼女にはある記憶があった。この世界に生まれる前の、大切な……
 気力はある。だが、悲しいかな体は付いて来ない。
 ギリリと、奥歯を噛み締める。

「上手く受け止めた様でありんすが、どうやら、ここまでの様ですわねぇ……では、本当に、これでさよならでありんす」

 思わず少女が目を瞑る。その直後、ドゴオオオオォォォォォォォン!!!!!! と言う地響きが轟いた。
 恐る恐る彼女が目を見開くと、そこには潰れて緑の体液をまき散らした魔虫と、それを見て呆然とする魔虫使いの女。
 そして、その魔虫の上でキョロキョロと周囲を見回す黒髪黒目の少年がいた。

「……ご、ご主人様にゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 体の痛みも忘れ、思わず飛びつく少女。しかし、その後少年の口から出た言葉に、思わず凍り付いた。

「は? 君誰?」

 ******

 醍醐の眼前には白髪の美少女が頬を膨らませてながら歩いていた。少女の名はエミュウ・バステト。その整った容姿もさることながら、目を引くのは、頭部に生えた猫耳と腰から伸びるしなやかな尻尾。そして、金と銀のテヘロクロミアの瞳。

 醍醐を「ご主人様」と言った事も謎だが、今、こうして膨れているのも謎だった。
 恐らく、彼女の機嫌が悪いのは自分の事を覚えていない事であろう。しかし、醍醐にしてみれば、あのピンクの悪魔(女神)に、今日突然送り込まれた世界であり、当然、知り合いなど居るはずも無い。
 だがエミュウの方は、自分の事を知って居る事は当然と言う様子だった。

(でも確かに、何か、既視感が……)
「あら、そんな小娘を熱心に見つめるなら、わっちを見ておくんなまし」
「ちょ、アドニアさん!!」

 ふっと、醍醐の耳に息を吹きかけるのはプテューゲル・アドニア。魔虫使いの女。
 醍醐が落ちて来た当初こそ、自らの最終兵器とも言うべき大型魔虫を潰された事に憤ってた彼女だが、エミュウの彼に対する態度を見た途端、こうして醍醐に絡む様に成って居た。

「わっちの大事な物を奪ったでありんすんから、そんな小娘を相手にしないで欲しいんでありんす」
「ちょ、言い方!! 確かにアドニアさんの魔虫を潰したのは悪かったですが!!」
「プテューゲル……と呼んでくれなんしぃ」
「フーーーーーーー!!!!」

 銀線が走り、エミュウの右手が醍醐の頬を掠める。プテューゲルは、それを読んで居たかの様に後ろに身を翻えす。
 醍醐を挟んで二人の攻防が始まる。
 彼の旅は始まったばかりだった。
0151三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/03(日) 22:12:29.50ID:x50wE0Y6
お題→『ピンクの悪魔』『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』『銀河最強』締切

【参加作品一覧】
>>129【伯母の陰謀】
>>135【私のせっかちは治らない、でもそれでいい】
>>144【今回は痛い作文でお茶を濁します】
>>147【ぐーたら女神にやらされる異世界生活】
0152三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/03(日) 22:13:30.72ID:x50wE0Y6
ではー、ひさしぶりにジャンル指定です
ジャンルは引き続き、なろう準拠ではなく、進行が独自に調整したものを使います
0153三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/03(日) 22:15:16.05ID:x50wE0Y6
ジャンルは次の中から1つ選択→
『恋愛』『ファンタジー』『歴史』『推理』『ホラー』『コメディー』『SF』『童話』
『冒険』『幻想』『日常』『人生』『家族』『戦争』『動物』『スポーツ』

お題安価>>154-157
ジャンル安価>>158
0154この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/03(日) 22:18:07.58ID:cV5ZTSdf
悪夢
0155この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/03(日) 22:38:04.92ID:SjBQ+OE/
『絶対領域』
0157この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/03(日) 22:43:59.27ID:YBgydtBF
釣り
0159三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/03(日) 22:49:54.09ID:x50wE0Y6
☆お題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』『円満破局』『釣り』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→5/10の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0161三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/03(日) 23:32:35.18ID:x50wE0Y6
今回も無事にお題が集まった・・・ありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくです

>>147
また大作が・・・3レス目は60行制限ですね・・・
姉を思わせる『ピンクの悪魔』、神器の『レモネード』、『銀河最強』になる、『最終兵器』の魔虫、『恋愛』、、ってほどでもない『頭脳戦』w
いい加減な神託だにゃ、、姉、、女神に対する憎しみがw

>>160
感想ありがとうございますw
もう全然締切を守る気がないやつですねぇ><
0162この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/04(月) 09:27:41.31ID:Ukkwl/WS
>>161
感想、有り難うございます
書いて居た時は、合計170行だったので3スレで間に合うと思ったのですが……
ゴッソリ削る事に成りましたorz
おかげで、エミュウの前世が醍醐の飼い猫だったとかの情報が抜けて、良く分からないオチに
0163この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/05(火) 20:12:18.72ID:ojp+YgoP
>>159
使用するお題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『円満破局』『釣り』

【女騎士と謎の剣士】(1/3)

ここは、ありとあらゆる多種多様な種族が住む、魔法と想像で創り出された魔法の世界。そんな世界に一人の女騎士が旅をしていた。
彼女の名はシャロン。美しい藍色に輝く鎧を身に纏い、銀色の長髪をポニーテールにして束ねている。
華麗な剣さばきで敵をバッサバッサと討ち取る腕利きの騎士として知られ、彼女を尊敬する者もいれば、同時に畏怖する者も少なくなかった。
ある日、シャロンが深い森の中を歩いている時だった。

「ねえシャロンさん待ってよー!」
「もう、しつこいわね。いい加減ついてくるのはやめて」

フクロウの姿をした少年が空中からシャロンについてくる。その少年の名はクルック。
人間とフクロウのハーフである種族「ナイトウィング」の一人で、フクロウの如く暗闇の中でも正確に獲物を捕らえる能力、そして高い飛行能力を兼ね備えている。
彼は以前、敵に襲われ翼を負傷し息絶えそうになっていたところを、偶然通りかかったシャロンに手当てされて救われたのだ。
それ以来シャロンを命の恩人として好きになり、旅のパートナーになろうと後ろから必死に飛んでついて来ている。

「私はパートナーなんていらないの。あの時はただケガをして何だか可哀想だったから助けてあげただけ。そもそも人助けなんて大嫌いなの、誤解しないで」
「シャロンさんがそう言っても僕はついて行くよ!」
「ったく、生意気なフクロウ小僧ね。焼いて食ってやろうかしら」

しばらく歩いていると、大きな湖を見つける。シャロンは湖の近くに腰を下ろすと、どこからともなく釣竿を取り出して釣りを始めた。

「シャロンさん、お腹空いたの?僕が何か美味しそうな獲物捕まえてきてあげるよ」
「うるさい。私は今、焼き魚でも食べたい気分なのよ」

釣りを始めて10分頃が経過した時、釣竿の糸がグイッと引っ張られる。魚がエサにかかったようだ。
よし来た!とシャロンが釣竿を強く掴んで、勢いよく引っ張り上げてみると巨大な魚が姿を現した。
体は真っ赤で全身に鋭いトゲが無数に生えている。ビックリしたシャロンは急いで剣で一刀両断にしようとするが、
魚は一瞬の隙を突いて彼女の足に食らいつき、そのまま湖の中に引きずり込んでいった。

「シャロンさん!」
「おい何をする!放せッ!!」

クルックは急いでシャロンを助けようとするも、水中に潜られてしまうとどうすることもできない。
水中では重い鎧のせいで上手く動くことができず、抵抗することさえもできない。

「ま、まずい!このままでは溺れ死んで魚のエサになってしまう・・・」

まさに絶体絶命、死を覚悟したその時だった。何者かが素早い動きで魚を微塵切りにし、意識を失ったシャロンを抱えてそのまま湖の中から引き上げた。

「ゲ、ゲホッ!」
「大丈夫かい?」

意識を取り戻し、目をゆっくりと開けてみると、紫色の髪をした好青年が立っていた。どうやら彼が助けてくれたようだ。

「あ、あなたが助けてくれたのね。本当にどうもありがとう。名は・・・」
「俺はシェイン、自由気ままに旅をしている剣士だ。って、あれ?その藍色の鎧に銀色の髪、もしかしてシャロン?あの腕利きの女騎士の!」
「わ、私のこと知っているの?」
「知ってるも何も有名じゃないか!俺、あなたの憧れなんだ!」

そのシェインと名乗る剣士はシャロンにもう夢中だった。

「ねえ、家族にならないか!幸せで楽しい生活を一緒に送ろう!」
「はあ?」

突然のプロポーズ?にシャロンは開いた口が塞がらなかった。
0164この名無しがすごい!
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2020/05/05(火) 20:14:30.23ID:ojp+YgoP
【女騎士と謎の剣士】(2/3)

唐突ではあるがシャロンとシェイン、そしてその場にいたクルックはその勢いで家族となった。
彼らは森の外れにある小さな滝の近くに、家を建てて暮らすことになった。

「ねえ。家族になったのはいいけど、どうしてフクロウ小僧も一緒なのよ!」
「いいじゃないか、家族は多い方が楽しくていい」
「シャロンさんと一緒だなんて、僕すっごく嬉しいよ!」

しかし、シャロンは不思議な気持ちになっていた。彼女は盗賊の両親の間に生まれたのだが、ろくに相手もされず、
愛情を持って育てられたことがほとんどなくて、ずっと寂しい思いをしてきたのだ。
それがその日偶然出会った剣士に、突然プロポーズされて家族になったのだ。

「(家族ってのもいいかもしれない・・・)」

シャロンは今までずっと見に纏っていた鎧を捨てると同時に、長い髪をバッサリと切った。
もう騎士としての自分は終わった、これからは平凡でも楽しい毎日を過ごしていこう、そう決意したのだ。
シェインとの生活は本当に楽しかった。明るくて優しく、そしてユーモラスな彼の存在は彼女の荒んでいた心を癒してくれた。
そんな楽しい生活が始まって、早くも一年が経過したある日のことだった。

「グ、グ、グアッ!!」
「どうしたのシェイン!」

妙なドス黒いオーラに包まれ、シェインがひどく苦しんでいる。突然、どこからともなく声が聞こえてきた。

「シェイン、お前は暗黒魔族であるフィアースの一員で、邪悪な魔術師になってこの世を暗闇と悪夢で覆い尽くすのが使命なのに何を遊んでいる!」
「お父さん、僕はフィアースの名を捨てたんだ。邪悪な魔術師になんてハナからなりたくなかった、立派な剣士になるのが夢なんだ!」
「そう言うのなら強硬手段に出るしかないな」
「アッ、アグッ、ウガッッアアアー!!!」
「シェ、シェイン!!」

黒い煙に包まれ、シェインの目は赤く光り、頭からは悪魔のようなツノが生え、牙は猛獣のように鋭くなった。
フィアース、それは異次元の暗黒世界に住む邪悪な魔族で、世界を暗闇と悪夢で包み込んで乗っ取るのが目的だ。

「シェイン、目を覚まして!落ち着いて!」

しかし、理性を失ったシェインにはシャロンの声は全然届かない。シェインは自分を止めようとする彼女を殴り飛ばすと、目から黒いビームを発射し、青い空を黒く染めていった。
空は完全に真っ暗になり、まさに闇の世界と化してしまった。こうなったら、力ずくでもシェインを止めるしか他に方法はない。
しかし、自分には鎧や剣はもうない。成す術なし、もはや諦めるしかなかった。

「シャロンさん、泣かないで。ここは僕に任せて」
「ク、クルック…!」

シェインを救うことができず、絶望に打ちひしがれるシャロンの前に立ったのはクルックだった。

「僕はフクロウ。フクロウには暗闇なんてちっとも怖くない」

クルックは瞳を金色に輝かせると、翼を大きく広げて空中に舞う。

「荒療治かもしれないけど、こうするしかないね!」

勢いよく急降下し、鋭い嘴や足の鉤爪でシェインに攻撃していく。

「暗闇なんてフクロウにとっては遊園地みたいなもんさ!」
「ガッ、グワッ!!小賢しいフクロウめ!やめろ!」
「アハハ!まだまだだよ!」
0165この名無しがすごい!
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2020/05/05(火) 20:15:20.19ID:ojp+YgoP
【女騎士と謎の剣士】(3/3)

音も一切立てずに、暗闇の中でも確実に獲物を捕まえる。まさにフクロウの真髄、ここにありだ。
さすがの暗黒魔族フィアースの一人であるシェインでさえも反撃することができない。
全身が傷だらけになり、シェインはとうとう膝をついてしまう。

「シャロンさん、今だよ!」

シャロンは立ち上がって走り出す。しかし、今の彼女には鎧も武器となる剣もない。

「シェイン、お願い!目を覚まして!」

シャロンはシェインを思いきりギュッと抱き締める。シェインの全身に彼女の温かさが伝わってくる。

「(こ、これが愛というものなのか・・・は、初めて身に染みて感じる・・・!!)」

シェインの身を包む黒いオーラは自然と消えていき、黒く染まった空も綺麗な青色に戻っていく。
悪魔のような姿に変貌した彼の姿はついに元に戻った。

「お、俺、なんてことを!シャロン、迷惑をかけて悪かった!」
「気にしないでシェイン。あなたはちっとも悪くない」
「本当に、本当にありがとうシャロン!」

シャロンとシェインはそのまま互いに強く抱き締め合うのだった。

・・・・・・・・・・・・・・

「シャロン、それからクルック。暴走した俺を止めてくれて本当にありがとう」
「シェイン、これからどうするの?」
「俺はフィアースの野望を阻止するため、そしてフィアースそのものを滅ぼすために異次元の世界に戻って戦うよ」

シェインはハアァァッ!と大きな叫び声を出して空間を歪ませ、異次元の世界へと結ぶ穴、そう入り口を作り出す。

「異次元の世界に飛び込めば、俺はもう二度とこの世界に戻ることはできない。でも、それでみんなが平和に幸せに暮らせるなら十分さ」
「シェイン、あなたのことは絶対に忘れない。僅か一年暮らしただけだったけど本当に楽しかった」
「ありがとう、シャロン。俺はもう行かなきゃ。楽しく、幸せに暮らせよ」

そう言うとシェインは異次元の世界に飛び込み、入り口である穴は閉じて無くなってしまった。
騎士としての自分を捨てた今、シャロンは違う人生を歩もうと決心した。でも、一人ではなんだか心細い。

「シャロンさん、僕がいるじゃないか!」
「クルック!今まで邪険に扱って、本当にごめんなさい・・・」
「全然気にしてないよ。僕がシャロンさんを守るから安心して」
「ウフフ、ありがとう」
「シャロンさんは鎧ない方が優しい感じがして、僕は好きだなあ」
「えっ、そ、そうなの?」

シャロンの顔がポッと赤くなる。この世界、一体何が起こるか分からない。
しかし、そばに頼れるパートナーがいればそんなのちっとも怖くない。
今こそ新たな人生スタートへの第一歩を踏み出した、歴史的瞬間なのである。
0166この名無しがすごい!
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2020/05/06(水) 11:58:24.18ID:VF/vib0Y
>>163
数奇な出会いと別れですね
一途な愛と、自らの運命に準ずる覚悟
どちらも確かな愛だと思います
0167三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/06(水) 12:43:22.00ID:fuJfO/t2
>>163
なるほど、、これは考えたな、という感じですね・・・!
『ファンタジー』世界、『釣り』を始める、暗闇と『悪夢』・・・『円満破局』!
ちょっと神話的な感じもする、お題に忠実な話でした!
0168この名無しがすごい!
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2020/05/06(水) 15:12:48.53ID:7T8iYWAS
>>166
>>167
レイチェルシリーズの者です、感想ありがとうございます!
かなり久々の新作です。『円満破局』をどんな風に書けばいいか結構頭を悩ませました
それに至るまでのシャロンとシェインの恋愛をもっとじっくり書きたかったなと思いました
バトルでは脇役のクルックがめっちゃ活躍してましたね、真の主人公は彼かもw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0169この名無しがすごい!
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2020/05/07(木) 13:08:43.40ID:vwIYozzj
>>159
使用するお題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』

【私のニーソに憑依する悪魔】(1/3)
※スレ6 417【登校中の悲劇】の続編かつ完結編です

ある日の正午、一人の女子高生が暗い気持ちで家路に着いていた。彼女の名は稲村エリナ。
今朝、エリナは寝坊して学校へと必死に走る中、水たまりに足を突っ込んでしまったり、野良犬にニーソを噛みつかれたりと色々と散々な目に遭ったのだ。
特に野良犬に噛みつかれて引っ張られた左足のニーソは、縫い目から思いきり破けてしまっていて酷い状態だ。
家に帰ると破けてしまった左足の方のニーソを母に渡すと、今朝のアクシデントを母に全て話す。
母は苦笑いしながら、破けてしまった縫い目を綺麗に丁寧に縫って補修してくれた。
しかし、そのニーソは部屋着のみとして使用することになり、登校かつ外出用に別の新しいニーソを買ってくれたのだが、エリナの気持ちは晴れなかった。
寝坊したのはもちろん自分の責任で、あんなアクシデントに見舞われてしまった運の悪さを恨むしか他にない。
しかし、登校だけでなく外出でも愛用していた、とてもお気に入り黒ニーソだったため、エリナはとても落胆していた。
それ以降、新しいニーソを履いていくことになったわけだが、缶ジュースを持って走っていた男の子が目の前で転んでしまったために、
ジュースがニーソにかかってビショビショになったりと、ニーソに関して何かとアクシデントに見舞われることが多くなった。

「私のニーソ、なんか呪われてるのかしら?」

そう考えると、エリナはだんだん怖くなってきた。

・・・・・・・・・・・・・

「あ、あれ?何で私、ベッドでなくて床で寝ているの?」

ふと目を覚ますと、エリナは自分が床の上にいることに気付く。寝ている間にベッドから転げ落ちてしまったのだろうか。
違和感はそれだけに留まらなかった。やけに周囲の物が非常に高く、大きく見えるのだ。体が縮んでしまったのか。それに体を上手く動かすことができない。
近くに鏡が置いてあったので、それで自分の姿を見た途端、彼女は絶句した。
なんといつの間にかニーソに変わっていたのだ。

「な、何よこれ。私、ニーソになっちゃったの!?」

すると部屋のドアが開き、誰かが中に入ってきた。母だった。

「お母さん、私よ!何故か分からないけどニーソになっちゃったの!助けて!」

しかし母にエリナの声は全然伝わらない。母は彼女を掴んで拾い上げる。

「このニーソ、もう捨てなくちゃね」
「す、捨てる!?や、やめて!!」

母は手に持っていたゴミ袋にそのままエリナをポイっと入れる。そのまま袋をキュッ!と強く締めると、他のゴミと共に捨ててしまう。

「だ、誰かここから出して!助けて!」

・・・・・・・・・・・・・

「ウワアアアッッ!!!」

大きな叫び声と共にエリナは目を覚ます。どうやらさっきのは全部夢だったようだ。
夢であったことに安堵するものの、同時に心臓がバクバクしていた。

「悪夢だったわ、本当に・・・」

すると突然、窓の方から青く眩い光がガラスをすり抜けて部屋の中に入ってきた。
0170この名無しがすごい!
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2020/05/07(木) 13:09:39.68ID:vwIYozzj
【私のニーソに憑依する悪魔】(2/3)

「な、何?まさか幽霊?」
「幽霊ではありません。私は精霊です、エリナさん」
「せ、精霊?というか喋った!?それに何で私の名前知ってるの?」

その精霊と名乗る青い光がエリナに話しかけてくる。

「私は靴下の楽園であるソックストピアからやって来た精霊、ソックーと申します。エリナさん、あなたを救うためにここに来たのです」

エリナは今の状況をイマイチ掴みきれなかった。そんな彼女のためにソックーは説明する。
エリナが最近やたらとニーソに関してアクシデントに見舞われるのは、そのニーソに悪魔が憑依しているからだという。
その悪魔はデビックスと呼ばれ、さっき見た悪夢もそのデビックスの仕業ということだ。

「エリナさん、デビックスを倒すため私と一緒にソックストピアに向かいましょう!タンスの一番下の引き出しを開けるのです!」
「う、うん!」

ソックーに言われるがままに、エリナはタンスの一番下の引き出しを開ける。すると眩い光に包まれ、彼女は中に吸い込まれていった。
しばらくして目を開けると、そこはソックストピアと呼ばれる靴下の楽園で、様々な靴下が生きており楽しく生活していた。

「く、靴下が喋ってる。不思議な世界ね」
「そうでしょ?それより今はデビックスのアジトへ向かうのです」

ソックーに導かれ向かった先には、大きくて黒く禍々しい建物があった。そこがデビックスのアジトだった。

「イッヒッヒヒヒヒ!この稲村エリナって奴の絶対領域はなかなかだな。こいつのニーソはイジメがいがある」

デビックスは自分の分身にして部下である子分達をエリナのニーソに憑依させていく。

「そこまでだデビックス!」
「何だ!ソックー、それにあのエリナだと!?何故この世界にいるんだ!」
「お前の野望を阻止するために私が連れてきたんだ」
「デビックス、お願いだから私のニーソから離れて!」
「うるさい!誰がやめるものか!」

エリナはデビックスを捕まえようとするが、デビックスはヘビのように体をくねらせて逃げていく。
するとエリナはあることに気がつく。よく見てみるとデビックスの体には、大きく破けた跡があったのだ。

「その破れ穴、一体どうしたの?」
「ん?何だ、これか?本当は話したくないけど特別に話してやろう、せっかくだからな」

デビックスは元々、一人の女子高生に愛用されていた綺麗な白ニーソだった。ある日、うっかり茂みの枝に引っかけてしまい、それで破けてしまったのだ。
破れはしたが、すぐに補修できてまだ履ける程度なのにゴミとして捨てられてしまったのだ。
それ以来、彼は人間を心の底から憎むようになり、それ以来愛用されている靴下、特にニーソを狙うようになった。

「デビックス、あなた・・・!」
「ふん、同情なんていらないぞ!俺の靴下としての人生はとっくに終わったんだ!」
「ううん、まだ終わってない!私があなたの新しい持ち主になる!」
「えっ!?」

エリナの突然の言葉にデビックスは一瞬動揺し、心の整理がつかなくなってしまう。
0171この名無しがすごい!
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2020/05/07(木) 13:10:24.37ID:vwIYozzj
【私のニーソに憑依する悪魔】(3/3)

「お、俺は一体、どうしたらいいんだ?な、何だこの不思議な感情は!」

赤や青、緑や黄色など様々な色が混ざり合って汚れたデビックスの姿は自然と綺麗になっていき、元の雪のように綺麗な白ニーソに戻っていった。

「エリナさん。あなた、デビックスの汚れた心を浄化させたのです。その優しいお言葉で!」
「彼が寂しくて心を病んでいたのにすぐに気付いたの。でも、もう大丈夫」

デビックスの野望を無事阻止することができたエリナは、ソックーの力で元の世界に戻った。
既に朝が来ており、小鳥が元気よく鳴いている。彼女の手には、デビックスの全身である白ニーソがあった。

「さてっと始めようかしら!」

裁縫箱を持ってくると針に糸を通し、破け穴を丁寧に縫って補修していく。

「これでよしっと!これからは私があなたの新しい持ち主よ!」

それ以来、エリナはニーソのことでアクシデントに見舞われることは一切無くなった。
そして登校する時やどこかに出かける時は、いつもその白ニーソを履いていく。

「エリナ、白のニーソを履くなんて珍しいわね。いつもは黒なのに」
「そう?ちょっとした気分転換かな」

また廊下を歩く度に、近くから男子の声が聞こえてくる。

「なあ、あのC組の稲村って子の絶対領域サイコーだよな!」
「そうそう、白のニーソもかなり似合ってるよな!」

その会話を聞くと、エリナはとても嬉しくてついニヤニヤしてしまう。
朝が来て着替える度に、エリナは白ニーソにこう優しく話しかけるように言う。

「今日もよろしくね。明日は楽しいお出かけよ」


THE END
0172三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/07(木) 21:34:30.86ID:k6t7OEoW
>>169
おお、またも続編ですが・・・なんだこれ!w
ニーソの『悪夢』、『ファンタジー』靴下世界w、主人公の『絶対領域』
作者様の持ちネタをやってるだけなのに、不思議で独特で突き抜けた話になってますね
なんかすごかった
0173この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/08(金) 09:08:17.48ID:xAWjODYN
>>169
ニーソの精霊の国w
自分が不幸な目に遭ったからと言って、お気に入りの娘を不幸にして良いはずがないですよね
そして、そんな理不尽な心を救うのはアガペーですね
0174この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/08(金) 16:31:55.46ID:y2cvcWFG
>>172
>>173
感想ありがとうございます!
こちらもまさかの続編ですw 以前書いた【マイライフ・アズ・ブーツ】のニーソ版、といった感じですね
単純に成敗するのではなく、主人公が辛い気持ちをしっかりと受け止めることで悪が浄化するという展開は
今まであまり書いたことがなかったので結構新鮮でした
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0175この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/10(日) 22:02:33.23ID:S5GsawUB
>>159
お題:ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』『円満破局』『釣り』

【宮廷闘争の間違った治め方】(1/3)
「さて、クライマックスだ」

 俺、クライクン・フォン・ベネガルドはそう呟きながら襟元を正す。ここ数か月余り奔走して来たのは今日この日の為だ。
 俺の隣にはベネティクト・フォン・シェザール。シェザール公爵家令嬢で、俺の共犯者の女性でもある。
 艶やかな赤毛とやや吊り目がちながら整った顔。そしておみ足が素敵な御令嬢だ。前方から見ると太ももまでしかないデザインのスカートに合わせた、膝上までのストッキング。白い絶対領域が眩しいぜ! ありがとうございます。

「……クライクン?」
「っと、悪りぃ、でも、ちょっとばっかし足癖が悪うございませんかね? お嬢様」

 つい、しゃがみ込んでガン見してしまったらしい。ベネティクトの膝蹴りを躱しながら俺は謝る。
 彼女がこう言った変則的なドレスを好むのは、蹴り技が得意だからと言うもっぱらの噂だが、それは真実だったらしい。

 再び、横並びとなり、彼女の手を取る。こう言ったパーティーでエスコートして入って来る女性は、家族か恋人に限定される。

 だからこそ噂を流したし、その為の偽装工作もして来た。

 パーティー会場までもう少し。そんな俺達の前に、立ち塞がる者が居た。

 ******

 親父に呼び出された俺は、酷く面倒臭そうな顔をしていただろう。
 苦笑した親父は「まぁ、座れ」と、席を勧めた。

「クライクン、お前に頼みがある」
「断って良い?」
「ダメだ。お前が適任だからな」

 なら頼みとか言わないで欲しい。それ、命令だから。

「お前にはシェザール公爵家のご息女と婚約をして貰いたい」
「シェザール公爵……ベネティクト様と!?」
「もちろん、欺瞞工作だが」
「何だウソかよ」

 うん知ってた、知ってた。兄貴ならともかく、俺だと釣り合いが取れない才女だ。

 さて、何故そんな話に成っているかと言えば、まぁ、宮廷に良く有る派閥抗争の為だ。親父、ベネガルド侯爵は、第一王子派な訳だが、昨今のお国のパワーバランス的な事も有り、軍部に支持基盤を持つ第二王子派の連中が幅を利かせている。
 俺なんかは、平和主義者の第一王子がトップに立ってくれた方が良いと思うんだが、戦争で手柄を立てたい人達は、隣国との戦争がご希望らしい。

 その派閥のトップがグレゴリー辺境伯。隣国との戦争が起きて最も利するからってのも当然だが、小競り合いを続けている辺境伯としては、感情的にも戦争肯定な訳だ。

 シェザール公爵は第二王子派ではあるが、今は積極的戦争を避けたいと思っている。中央付近の飢饉の影響で、国力が弱まっているからだ。
 このタイミングで戦争を強行すれば、例え勝ったとしても土地の意地が難しいと言う判断らしい。
 それ故に、グレゴリー辺境伯の発言力を少しばかりそぎ落としておこうって訳だ。

 その為の偽装婚約。つまりは本当には婚約などしないが、そう、匂わせる事で相手にアクションを行わせようって事だ。
 何せ、第一王子派トップの子息と第二王子派トップの御息女の婚約だ、上手く行ってしまえば、第一王子派、第二王子派の和解なんて事にもなりかねない。
 それも、こっちは次男坊。実質的に第一王子派に下るって言う宣言に等しい訳だ。

「……なぁ、親父」
「ベネガルド候と呼べ」
「ベネガルド候、それって、俺が狙われる事に成りませんかねぇ」
「そうだな」
「おい」
「大丈夫、お前ならやれる!!」
「黙れ!! クソ親父!!」
0176この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:04:41.36ID:S5GsawUB
【宮廷闘争の間違った治め方】(2/3)


 ******

 と言う会話がされたのが3ヶ月ほど前の話。ベネティクトの方にも話は行っていたらしく、顔合わせはすんなり行った。うん、顔合わせだけは……

「お話はお父様から聞いていますので仕方ありません。ですが、私の3m以内に近付く事、許しませんので」
「そうです! ベネティクト様の言う通りです!!」

 うん、想像以上に御令嬢様だったわ。そんな状態で、どう親密さをアピールしろと?
 だが、俺は頑張った。
 声を掛けても無視され、近付こうものなら攻撃されながらも、周囲には仲が良いですよアピールをし、時にはわざわざ王立学園にまで迎えに行き、手紙を送り花束を贈り、と頑張った。

 その間には嫌がらせを受けたり暗殺者を送り込まれたり……悪夢の様な数ヶ月だったね。

 さて、そんなこんなで過ごした数ヶ月、最初こそ非協力的だったベネティクトも何とか隣に侍る事を許してくれる程度には態度を軟化してくれた訳だ。

 そんな俺達二人の前には、貴公子然とした男が取り巻きと共に立ち塞がっている。
 メルメール・フォン・グレゴリー。グレゴリー辺境伯の息子だ。
 この男が、俺に嫌がらせを続け、暗殺者を送り込んだ張本人。で、この男、有体に言えばベネティクトに恋慕してる。
 そんな彼等には、このパーティーで、俺とベネティクト嬢が婚約発表をすると言う偽情報を流してある訳だ。

「……クライクン、ベネティクト嬢から手を引きたまえ」
「何の事です?」
「君とベネティクト嬢では釣り合いが取れない」
「……それは、親が決める事で、自分が意見できる事ではありませんよ」

 男心を弄んでいる様で気分は良くないが、バカ息子が釣れた事に、俺は内心ニヤリと笑った。

「あくまで、手を引かないと言うのなら仕方が無い。身の程を知るがいい」

 メルメールがそう言うと、取り巻き達が俺を取り囲むべく動き出した。
 マジか、コイツ等、ベネティクトまで巻き込もうってのか?
 俺は咄嗟に、彼女を巻き込まない様に中庭に飛び出した。

「フッベネティクト嬢の前で、恥をかきたまえ! 今後、彼女の前に現れようと思わなく成るようにな!!」

 多対一、それも、取り巻きを嗾けるだけで、自分の手を汚さないとか……

「やれ!!」

 メルメールの号令で、俺に襲い掛かる取り巻き達。でもさ、遅いよ?
 俺は、取り巻きの1人に詰め寄ると、その足を払い転がす。呆気に取られるその横の男を蹴り飛ばし、続いて手を取るとクルリと向きを入れ替えて関節を極めつつ、盾にしてもう1人にぶつけた。

「な!!」

 ベネガルドの無能な次男坊。そう思っていたんだろうけど、別に格闘技が苦手な訳じゃない。兵の上下関係が苦手なだけだ。

 あっと、言う間に取り巻きを伸した俺をメルメールは蒼い顔で見ると、何を考えてるんだか、ベネティクトの方へ駆け寄って行く。

「べ、ベネティクト嬢! あ、あいつはこんな野蛮な男なんですよ!! あ、貴方にはふさわしく……ぷぎぇ!!」

 駆け寄って行ったメルメールに、ベネティクトは綺麗なハイキックを喰らわせていた。

「あら、私、結構野蛮なんですのよ?」

 うん、知ってる。
0178この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:05:57.26ID:S5GsawUB
【宮廷闘争の間違った治め方】(3/3)


 ******

 こうして、闇討ちなんて言う不名誉な事をやらかした息子の失態を隠してもらうと言うカードで、グレゴリー辺境伯は引き下がるしかなくなった。
 あの後、改めてベネティクトは、弟のクローズくんとパーティー会場に入って行った。
 俺はと言えば、御独り様で会場入りして、紳士淑女の皆様に眉を顰められた訳だ。

「クライクン、お前に頼みがある」
「断って良い?」
「ダメだ。お前が適任だからな」

 この件、既視感が有るんだが?

「お前にはシェザール公爵家のご息女と婚約をして貰いたい」
「おい、それは終わったんじゃなかったか?」

 円満に破局となった筈だ。

「先方からの強い要望だ」
「マジか……」

 え? 俺、また嫌がらせと暗殺者を送られる日々が始まるの?

 悪夢だ。
0180この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:08:06.08ID:yUDcsa2B
>>159

使用お題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』『円満破局』『釣り』

【機知に富んだ竜騎士ドン・タローテ】(1/3)

 遠く中世ヨーロッパ風ファンタジー世界に一人の竜騎士がいた。
 彼は三度の飯よりも仕事が好きで、起きている間は訓練を欠かさず、戦場に出れば多くの敵を討ち滅ぼした。そのために敵の魔法使いたちの呪いを受け、寝床に入れば悪夢にうなされ、食事は喉を通らず、最後にはすっかり体を壊してしまった。
 戦う力を失った彼は、多額の退職金を手に国を去ることとなった。乗っていたドラゴン『イマナンテ』の払い下げを受け。敬愛する主君『ハクア姫』のグッズを集められるだけ集め。かつての英雄は、今しも放浪の旅に出んとするところである。

 *

 ここは町外れ、早朝の街道だ。遮るもののない陽光に照らされて、二つの人影が揺れている。
「行ってしまわれるのでございますね」
「うむ。これが今生の別れである」
 そう告げる我らが竜騎士の前に立つのは、彼の従者であった『<赤い凶星>ハチベー・ヤギュー』である。
 幾多の戦場を共にした二人の、血湧き肉躍る冒険の日々。いつまでも続くと思われたそれは、今この時をもって幕を閉じるのだ。
「……いやその、ハチベーよ、もしお前が――」
「タローテ様、今までありがとうございました。おさらばでございます!」
 そう言ってにっこりとする彼女である。
 ドン・タローテは、続く言葉を飲み込んだ。腹に力を込めると、大音声で呼ばわる。
「ヘイ、イマナンテ! 出立だ!!」
 そう呼ばわったものの、何も起こらない。
 少しばかり間抜けな空気が漂うも、我らが竜騎士は動じない。
 やがて。
「…………イマ……ナンテー!」
 ドラゴンにしては珍しい叫び声。青空に出現したゴマ粒が、たちまちの内に大きな影となる。
 二つの小さな影を塗り潰し、あわや地面にぶつかるか、というところで、それは速度を落とすと、街道の真ん中に下り立った。
 ドン・タローテは、このドラゴン、イマナンテの背中に乗ると、努めて厳かな声色で、次のように言った。
「さらばだハチベー! 達者で暮らせ」

 *

 飛んでは休み、休んでは飛び、竜騎士とドラゴンは、とある海岸までやってきた。
 相変わらずの快晴であるが、ドン・タローテの目には、なぜだか周囲の景色がかすんで見えた。それと、心なしか気温が高いようにも感じられる。
「どれ、イマナンテの昼飯でも釣れるかな」
 細かいことは気にしない。ドン・タローテは岩場で釣り糸を垂れた。
 実に気持ちのいい天気である。イマナンテは大人しくしている。と言うか眠りこけている。
 かつて竜騎士と共に暴れ回った怪物は、今や年老いて、少し動いただけで疲れてしまう。
 ドン・タローテは、釣り糸の先を見詰める。
 ただ黙って見詰める。
 いつの間にか目を覚ましたイマナンテも、ドン・タローテと一緒に当たりを待つ。
「釣れんな……」
「イマ……ナンテ……」

 *

 突如。すさまじい力で釣りざおが引っ張られた。
「ああっ! 俺の釣りざおが……!」
「イマナンテー……!」
 釣りざおはドン・タローテの手を離れ、海中に引き込まれてしまった。
 立ち尽くす一人と一匹であったが、次の瞬間には、辺りの様子が一変する。
 海面がぶくぶくと沸騰するように泡立ち、立ち上る水蒸気で視界が白く染まる。
 その真っ白い中に、何やら強い光を放つものが現れる。
「ううむ、これは……これは△.□.フィールドか……!? イマナンテ、中和だ! 中和せよ!!」
「イマナンテー!!」
 ドン・タローテの指示で、イマナンテが鼻息を噴射した。
 視界を遮る水蒸気は吹き飛ばされ、光るものの正体が……。
「……あっ、あなた様はハクア……ではなく…………ア○ビ○様ですか?」
0181この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:08:36.25ID:yUDcsa2B
【機知に富んだ竜騎士ドン・タローテ】(2/3)

 その人物は海面に浮かぶようにして立っていた。全身が光り輝いており、顔も服装も判然としない。ただその輪郭から女性であるように思われた。
「いいえー、私は○マ○エではないですー。私は泉の仙女ですー」
「そっ、そうなのですか。しかし、泉など見当たりませんが……」
「実はー、この海岸にはー、温泉が湧いているのですー」
「なるほど……かすんで見えた風景と、妙に温かい空気は、それが原因だったのですね」
 ドン・タローテがそう言うと、仙女はうなずくような動きをしつつ、ある物を取り出した。
「そうなんですー。それでー、この釣りざおなんですけどー、これはあなたが落とした釣りざおですかー?」
「はっ、はい! それは私が落とした釣りざおです」
 それは間違いなく、ドン・タローテがたった今なくした釣りざおだった。
「そうですかー」
「はい」
「それでー」
 仙女は釣りざおを隠してしまった。ドン・タローテは困惑するも、次に彼女が取り出すものを見て、ひどく動揺することとなる。
「これなんですけどー」
「そっ、そいつは……!」
「この妖魔なんですけどー、これはあなたが落とした妖魔ですかー?」
「モリモリ」
「……い……いえ……」
「モリー!」
 それはドン・タローテが以前討伐した妖魔だった。全身を覆う緑色の毛が、今は水を吸って垂れ下がっている。
「……いや、はい、確かに、そいつには見覚えがあります。かつてそいつと決闘をして、最後は川に突き落としたと記憶しておりますが……」
「そうですかー」
「まさか生きていたとは……」
 仙女は醜悪な妖魔を海に沈めた。緑色がすっかり見えなくなると、次に彼女は、どこからか一冊の本を取り出した。
「それでー、これなんですけどー」
「はて……見覚えも心当たりもありませんが……」
「これはー、いにしえの魔法使い『ケン・ザブロー』によって著されたSAN値直葬の魔導書『ロゴスノミコン』――」
「あの仙女様! 魔法使いどもは私の天敵です。どうかその忌まわしい紙の束は、どうかお願いですから、千切ってちり紙にでもするか、とにかく私の前から消し去ってください」
「そうですかー」
 仙女は本を仕舞った。
「それでー、これなんですけどー」
 そうして次に彼女が取り出したのは、またもドン・タローテが見知ったものだった。
「はっ、ハチベー!」
「これはあなたの従者ですかー?」
「はい! いえ、確かに先日まで私の従者を務めておりましたが」
 目にも鮮やかな赤、黒、白の装束に、小柄な彼女の絶対領域が映える。
「ハチベーよ、一体全体どうしたことだ。国に残してきたはずのお前が、どんな魔法を使ったら、こんな遠くの海岸に現れるのだ」
 ドン・タローテの問い掛けに、ハチベーは次のように答えた。
「タローテ様、申し開きの仕様もございません。わたくし、タローテ様の退職き……いえその……大食漢! そう、大食漢のイマナンテの食費が気になってしまい、タローテ様の跡を追うこととしたのです」
 ここまで聞いたドン・タローテは、ハチベーの説明に口を挟む。
「大丈夫だハチベー。イマナンテは年老いて、昔ほどは食べなくなった。お前も知っておろう」
「そっ、そうでございますね」
 ハチベーは説明を続ける。
「それで出立いたしまして、道を歩いていたところ、川がございまして」
「うむ」
「橋のない川で、慎重に渡っていたのでございますが」
「うむ」
「うっかり足を滑らせてしまい、川を流され、気付いた時にはこちらの仙女様のお宅で……」
「そうか……」
 ハチベーの話を最後まで聞くと、ドン・タローテは仙女に話し掛ける。
「仙女様! まずはハチベーをお助けくださり、ありがとうございました。その者は私の従者で間違いございません。他の何も要りませんから、どうかハチベーをお返しください」
「そうなんですかー。うーん、どうしましょう」
「あのタローテ様」
0182この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:09:06.78ID:yUDcsa2B
【機知に富んだ竜騎士ドン・タローテ】(3/3)

 ハチベーが、その小さな両手をドン・タローテに向けて差し出した。
「わたくし、手土産にハクア様と握手してまいりました」
「仙女様!! なんだったら私の優秀で勇敢なドラゴン、イマナンテを差し上げますから、どうかハチベーをお返しください!」
「イマナンテー!?」
「大食漢は間に合っておりますー」
「そうですか……」
 ドン・タローテは落胆した。
「ですがー、あなたは正直者ですねー。そんなあなたに免じてー、釣りざお、妖魔、従者、すべてお返ししますー」
「ありがとうございます! ですが妖魔は要らないです!」
「モリー!!」
「それとー、この魔導書をー、特別価格でご提供しますー」
「いえ仙女様――」
「妖魔を取るかー、魔導書を取るかですー」

 *

 ドン・タローテは少なくない金額を支払って、妖魔を除くすべてを取り戻した。
「タローテ様、申し訳ございませんでした。わたくしのために貴重な退職金が目減りしてしまいました」
「言うな。竜騎士には従者が必要なのだ。イマナンテも機嫌を直してくれ」
「イマナンテー?」
「それにしても……」
 ドン・タローテは、売り付けられた魔導書に視線を落とす。
「これはどうしたものやら」
「誰か必要とする者に売れば良いのではございませんか?」
「駄目だ、それは危険だ。しかし、折角買ったものでもある……」
 ドン・タローテは好奇心にあらがえず、魔導書の表紙をめくってしまった。
「ううむ、これは……分からん……」
「タローテ様?」
「これは……コレハ……ワカラン……」
「タローテ様? タローテ様!?」

 *

 その後。
「これは英雄の物語……」
 ドン・タローテは、魔導書のせいで正気を失ってしまった。
「竜騎士の物語でございますよー」
「イマナンテー」
 しかし、それと引き換えに、類いまれなる詩作の才能を授かったのである。
 吟遊詩人となった彼の作品は、後の世の研究者によってまとめられた。
 それこそが、現代にまで伝わる『超能力竜騎士ドン・タローテム物語』なのである。
0183三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 22:10:34.29ID:yUDcsa2B
同じく遅刻すみません!

ナーロッパと騎士道物語の世界の、中間くらいのイメージで・・・
0184三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 22:13:51.66ID:yUDcsa2B
お題→ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』『円満破局』『釣り』締切

【参加作品一覧】
>>163【女騎士と謎の剣士】
>>169【私のニーソに憑依する悪魔】
>>175【宮廷闘争の間違った治め方】
>>180【機知に富んだ竜騎士ドン・タローテ】
0185三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 22:15:19.04ID:yUDcsa2B
では通常お題5つです

お題安価>>186-190
0186この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:15:32.82ID:DgHlH+Cf
マインドコントロール
0188この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 22:28:03.07ID:uC0DsA8L
媚薬
0189この名無しがすごい!
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2020/05/10(日) 23:14:32.67ID:vR7+Coen
理科室の実験
0191三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 23:23:36.57ID:yUDcsa2B
☆お題→『マインドコントロール』『百人組み手』『媚薬』『理科室の実験』『レモン』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→5/17の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0192三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 23:41:09.83ID:yUDcsa2B
ちょっと懐かしい気がするお題ですね
今週もお題スレをよろしくです・・・

そして次回の企画をどうするか・・・
ご意見ご要望はいつでもどうぞですー
0193三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/10(日) 23:41:31.30ID:yUDcsa2B
>>175
これは面白い!、と言うか個人的には好きな話!
『ファンタジー』世界の貴族、『絶対領域』ドレス、『釣り』合いで釣る、『円満破局』なのに『悪夢』が終わらない!
設定はテンプレを踏襲しつつ、見せ場もあるし、お題も完璧に消化してて、これはさすがです
0194この名無しがすごい!
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2020/05/11(月) 07:53:51.26ID:bFG9x7uo
>>180
急転直下の引退劇からの転職物語w
あくまでもビジネスライクな元従者と主人公の一途な恋心(?)がw

>>193
感想有り難うございます
PCの前で、リアルに転げ回りながら書いた甲斐がありましたw
最も悩んだのは絶対領域ドレスですが、『天空の城をもらったので〜』のお姫様のドレスを見て、吹っ切れました
0196この名無しがすごい!
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2020/05/15(金) 20:18:17.22ID:g7d0414H
>>191
使用するお題→『マインドコントロール』『百人組手』『理科室の実験』『レモン』

【懲りない親友】(1/3)
スレ7 710【親友は大食い】を先に読んでおくことをオススメします

ランドセルを背負い、カナミが元気よく学校へと向かっている中、途中で親友のリナと会った。

「あっリーちゃん、おはよう!」
「おはようカナちゃん!」

リナは食べるのが大好きだ。以前、意地悪な小6女子の一人である赤沼ミチエの罠にハマり、
彼女が経営する焼肉店の超濃厚なサムギョプサルに夢中になって激太りしたことがあった。
カナミやクラスメート達の助けもあって何とか元の体型に戻り、それ以来食べる量を少しではあるが減らしているようだ。
ぽっちゃり体型ではあるが、前よりも少し痩せているように見えた。

「リーちゃん、少し痩せた?」
「そう見える?だったら嬉しいな。私ね、最近お母さんとお父さんと一緒によくセミナーに通っているの」
「セミナーって?」
「スタイリッシュな体型を目指すあなたへ!というものなの」

リナ曰く、華奢で美しい体型になりたい人がよく通うセミナーだという。彼女の両親も肥満体型でとにかく痩せようと頑張っているのだが、
基本出不精であまり動きたがらない性格のせいで、なかなかダイエットが上手くいかないのに悩んだ結果、そのセミナーに一緒に通い始めたのだ。

「講師の人がね、すっごくイケメンで優しくてホント素晴らしいことを言うの!それが最高でね!」
「う、うん(単にその講師がイケメンでそれ目当てに行ってるだけじゃ・・・)」

カナミは内心呆れつつも、リナの話に相槌を打つ。

「ジョギングとか腕立て伏せみたいな面倒な運動無しで、食生活を変えれば普通に痩せていくって本当に楽でいいわー」
「(い、いやそれなりの運動も必要でしょ。普通に考えてさ)」

学校に着き、1時間目の授業は早速体育だった。体操服に着替えて運動場に出るが、リナの姿が見当たらない。

「あれ、リーちゃんがいない・・・」

よく見てみると、彼女はブランコに座ってのんびりと寛いでいた。

「おい森野、体操服に着替えないで何をしているんだ。忘れたわけじゃないんだろう?」
「うん、別に忘れてはないけど、これから体育の授業はお休みさせていただきます」
「何を言っているんだ?」
「ダイエットに無駄な運動は禁物だってセミナーで言われたんです」
「バカなことを言うな!」

体育の先生に怒られても一切動じず、リナは体育の授業に出ようとしなかった。そんな傲慢な親友の姿に、カナミは呆れかえっていた。
放課後のこと、公園にトラックの焼き芋屋さんが止まっているのを見て、リナが嬉しそうに駆け寄る。

「おじさーん!焼き芋4個ちょうだい!」
「リ、リーちゃん、確か今まで2個までだったでしょ?」
「焼き芋はね、栄養満点だからいくら食べてもエネルギーになるから大丈夫!」
「・・・・・」
0197この名無しがすごい!
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2020/05/15(金) 20:19:05.06ID:g7d0414H
【懲りない親友】(2/3)

家に帰ると、ケンスケが楽しそうに格闘ゲームの百人組手に挑戦していた。

「あと3人倒せばクリアだ!」
「ねぇケンスケ!」

急に声をかけられてビックリした弟はうっかりミスをしてしまい、98人目の敵に倒されてしまいクリア失敗となってしまった。

「お姉ちゃん、急に話しかけないでよ。あと少しだったのにさあ」
「ご、ごめん。あのね、協力してほしいことがあるの」

ケンスケに説明すると長めの黒いコートを羽織り、父のサングラスと母の帽子を借りて身につける。

「また探偵ごっこだね!」
「うん。まぁ、ごっこと言うほどでもないんだけど」

その日の夕方6時、カナミとケンスケは9時までには帰ると両親に告げると家を出て、リナの家の近くまで向かう。
電柱の陰に隠れて20分ほど経った時、リナが両親と一緒に家から出て行くのを確認し、気付かれないように尾行する。
リナ達が着いたのは町の公民館だった。ここでセミナーが開かれるようで、他に10数人ほど集まっている。
しばらく待っていると講師であろう若い青年が現れ、セミナーが開始する。

「いいですか。健康でスタイリッシュな体型を目指すには、栄養バランスの整った食事と適度な運動が重要なのです」

窓から覗いて講師の説明を聞いてみると、リナから聞いているのと全く違っていた。適度な運動が大事であるときっちり主張している。
よく見てみると、リナの瞳はハートになっており講師の話をちっとも聞いていない様子だ。

「リーちゃん、全然聞いていない。こりゃ講師がイケメンってだけで通っているようなもんね」
「かなりの面食いなんだね」

講師がイケメンなのに夢中になって、彼が言う事全てを違う方向に理解してしまっているという、何ともおかしなマインドコントロールに陥ってしまったようだ。

「またとんでもないことになりそうな予感・・・」

カナミの悪い予感は的中した。それ以来、リナはとにかく食べる一方で、ろくに体育の授業に出たりせずに運動を怠るため、また激太りしてしまった。

「リーちゃん、また・・・」
「あれ、私また太っちゃったかな。テヘッ!でもバランスの良い食生活を心掛けているから大丈夫」

特に酷いのが給食の時間だった。カレーの残りを独り占めしたり、余ったデザートをジャンケンで決めたりせずに勝手に奪う始末だ。

「森野のやつ、また変なものにハマってしまったのか?」
「うん、あのね・・・」

カナミはハヤトにセミナーのことを全て説明する。ハヤトも思わず呆れて、開いた口が塞がらなくなりそうだった。

「正直もう見てられないわ」
「でも、まあこの際何とかして助けようぜ」
0198この名無しがすごい!
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2020/05/15(金) 20:20:04.63ID:g7d0414H
【懲りない親友】(3/3)

放課後、カナミとハヤトは先生の許可を得て、理科室を利用してある物を作ることにした。
自宅の花壇に咲いてあるチューリップと、近くの店で買ってきたレモンを用意する。
図書室で借りた図鑑を見ながら、早速実験を始める。

「チューリップのエキスとレモンの果汁を混ぜれば・・・!」

持っていたフラスコからボンッと音を立てて煙が出てくる。香水の完成だ。

「完成!この香水を使えばリーちゃんの食欲を極力抑えられるはず!」
「これで森野を止められるといいんだけどな」

翌日、チューリップのエキスとレモンの果汁が混ざってできた香水をリナに渡す。

「リーちゃん、お腹が空いた時はこの香水の匂いを嗅いで!」
「うっレモンの香りがする!私、レモンとか梅干しとか酸っぱいもの嫌いなの!」
「いいから使って!」

リナが酸っぱい食べ物が苦手なことはカナミは知っていた。その匂いを嗅ぐことで食欲を抑えられる、と判断したのだ。
リナは言われた通り、食事の時間になるとその香水を嗅ぐ。最初は何が何だかよく分からなかったが、その匂いのおかげで自然と彼女の食欲は抑えられていった。
そのおかげで少しずつではあるが、リナの体型は元に戻っていった。

「あれ、体が前より軽くなった気がする」
「リーちゃん、食べるのもいいけど運動もちゃんとやらなきゃね」

しかし、終わり良ければ全て良し、というわけではなかった。その後、リナはワガママな理由で体育の授業をサボってきたため、
体育の先生に思いきり怒られてしまい、罰として校庭100周を毎日やらされるはめになってしまった。

「ヒィ、ヒィ!もう勘弁してー!」
「うるさい!今まで体育をサボった分を取り戻すまで許さないぞ!」
「そ、そんなぁ!」

必死に校庭を走るリナを見て、カナミとハヤトは思わずアハハと笑うのだった。
0199三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/16(土) 15:52:58.22ID:UDvQ3jWu
>>196
懲りないあの子が帰ってきたー
『百人組み手』の途中、おかしな『マインドコントロール』講師悪くないw、『理科室の実験』で『レモン』の香水
今回は平和な話w、しっかりオチまで付いて、めでたしめでたしでしたw
0200この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/16(土) 19:15:18.30ID:z2+QbOA4
>>199
感想ありがとうございます!
はい、あの懲りない子がまたトラブルを起こしちゃいましたw
あの食欲ぶりじゃまた何かやらかしてしまいそうですね、しっかり見張っておかないと(笑)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0201三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 15:56:51.16ID:XqeqbzCz
それにしても過疎ですね・・・スレ8になって悪化しておる

枠が埋まるか分かりませんが、次はリレー企画をやっておこうと思ってます・・・
0202この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 20:39:52.02ID:GqpR/1wR
>>191
お題:『マインドコントロール』『百人組み手』『媚薬』『理科室の実験』『レモン』

【乙女心と春の空】
 ゴロゴロと雷が鳴り、一瞬の稲光がその部屋の惨状を映し出す。一人の少女がゼイゼイと息を荒げ、手に持ったスチール椅子をガタリと落とした。
 疲労感に膝をつく。かつて彼女が部活で行った、百人組手を終わらせた時さえ、ここまで疲れ切ってはいなかっただろう。
 やや虚ろな瞳で部屋の中で倒れている男女を見る。

(やってしまった)

 少女は、そう思った。

 ******

 鼻唄を歌いながら、白衣の少女が人参を刻みレモンを絞る。ジューサーに牛乳を入れてそれらを混ぜ合わせると、小鍋に入れて火にかけた。
 傍から見ている限りは料理でもしている様に映るだろう。ここが、理科室で無ければだが。

「ちょと、ミーナ!! 解いて!! ほ〜ど〜い〜て〜!!」
「……」
「ちょと、高梨、アンタもなんとか言ってよ!!」
「桧山先輩、仲代先輩が本気なら抵抗しても無駄ですから」

 理科室の端には一組の男女の生徒が縄で縛られていた。女生徒の名は桧山 詠美。女子空手部ではあるが、白衣の少女、仲代 美奈代の幼馴染と言う事で、ちょくちょく彼女の“実験”に巻き込まれている薄幸の美少女である。

「ふっふぅ〜。エイミー、大丈夫だよぉ〜、ちょぉっとした実験に付き合って貰うだけなんだからぁ〜」
「それが嫌だって言ってんのよ!! てか、高梨、何でお前は平然と縛られてんのよ!!」
「いや、下手に抵抗するより、大人しく従った方が色々と良い目も見られますんで」

 美奈代の後輩で同じ科学部の高梨 陽太は、縛られたまま諦観の籠った目でそう言う。

「だよねぇ、高梨君は良い子良い子!」

 そう言って美奈代が陽太の頭を抱きしめながら良い子良い子する。意外に豊満な胸に抱きしめられた陽太は、鼻を膨らませ、濁った瞳でニヤケていた。

「ダメだ、こいつ、洗脳されてやがる」
「ぶ〜、誰も高梨君にマインドコントロールなんてしてないよぉ?」

 確かに彼女にそんな気は無い。だが陽太は、実際“堕ちて”いるのではあるが。そこが天然ぽよんぽよん系女子である美奈代の恐ろしい所だろう。
 その事実に、詠美は頬を引き攣らせる。

「って、言うか、無理矢理アタシを連れて来て、何しようって言うのよ!!」
「ぶ〜、わたしは無理矢理になんて連れてきてないもん!」
「あ、ホルマリンを嗅がせて、椅子に縛り付けたのはオレです」
「ちょ、犯罪!! てか、じゃぁ、何でアンタも縛られてるの!?」
「趣味です」

 (ダメだ、コイツ何とかしないと)……詠美はそう思った。

「ふっふぅ〜。今日は媚薬の実験をします」
「は?」
「!!」

 ガタッ!

「は〜い、高梨君は落ち着いてねぇ」
「え? いや、ホントに?」
「本当にぃ〜」
「え? 何で?」
「ふっふぅ〜、昨日、クッ〇パッ〇で、『自宅で簡単、媚薬レシピ』(注、有りません)って言うレシピ紹介を見付けたからぁ〜、やってみたくなっちゃってぇ」
0203この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 20:41:34.73ID:GqpR/1wR
【乙女心と春の空】 (2/3)


 隣で鼻息を荒くする陽太からガタガタと距離を取りながら、詠美が顔を顰める。

「い、いやよ、そんな物の実験なんて、むしろ、自分で試しなさいよ!」
「う〜ん、それでも良いんだけどぉ、外から観察できないとねぇ」
「!!」

 ガタタッ!!

「は〜い、高梨君は落ち着いてねぇ」

 そう言いながら美奈代は、3種類の試験管を持って来た。一つは先程彼女が作っていた媚薬である。

「男の子用と女の子用があってねぇ? 男の子用はぁ、蜂蜜とワインを混ぜたものだから、味も良いんだけどぉ、女の子用は、ちょっと味はあんまりなんでぇ、自主的に飲んでくれると嬉しいかなぁ」
「絶っ対っ嫌!!」
「……桧山先輩、所詮は科学的根拠の無い代物です。ここはさっさと飲んで済ませてしまいましょう」
「ぶ〜、βカロチンとビタミンcの同時摂取で、女性ホルモンの分泌を増加させるんだよぉ! 科学的根拠は有りますぅ〜!!」
「……科学的根拠の無い代物です! さっさと飲んでしまいましょう!!」
「後ろでミーナが何か言ってるけど?」
「……科学的根拠の無い代物ですから!!」

 キリリとした表情で繰り返す陽太だったが、しかし、彼の下半身を見る限り説得力は無かった。

「ムチャクチャ期待してんじゃないのぉ!!」
「ふう、我儘ばかり言って、しょうがない人だ」
「当然の主張だと思うけどぉ!!」
「ふっふぅ〜、大丈夫だよぉエイミー。別に危険な事なんて無いんだしぃ」
「アタシの貞操の危機なんですけど!?」

 詠美がそんな事を言っていると、いつの間にか縄を解いていた陽太が、試験管の中のドロリとした液体を飲み干し、フシューと息を吐く。

「みなぎるるるるるぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 ビキビキと体中の筋肉が膨張し、パンプアップを完了した陽太が、もう一本の試験管を手に縛られたままの詠美にニジリ寄って来た。

「ちょ、ミーナ! あれ、本当に蜂蜜とワインなの? なんか変な物混ざってない!?」
「う〜ん、プラシーボ効果かなぁ?」
「ふうぅ……桧山先輩、だあぁい、じょおおぉぉぶですよおおおおぉぉぉぉ、科学的根拠なんてありませんからああああぁぁぁぁぁぁ。もしあったとしてもおぉぉ……天井の染みの数を数え終わる前にいいいぃぃぃ、終わりますからあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 目を血走らせ、襲い掛かって来る陽太。

「何も大丈夫じゃないぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「エイミー! ファイトぉ!!」
「だまれぇ!!!! アンタって娘はああぁぁ!!」

 さすがの美奈も一歩後退り、しかし、スマホを録画モードで起動していた。
 陽太は詠美に媚薬を飲ませようと手を伸ばす。詠美は咄嗟に……
0204この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 20:42:24.95ID:GqpR/1wR
【乙女心と春の空】 (3/3)


「!!」
「うっわぁ……」

 足を延ばすと、陽太のウイークポイントを捻りを加えて蹴り飛ばしていた。
 股間を押さえ、崩れ落ちる陽太。

「……縄、解きなさい」
「あ、はいぃ」

 大人しく詠美の縄を解く美奈。

「…………」
「あ、あのね? エイミー、わたしもこんな事に成るなんて……」
「……い」
「え?」
「アンタはもうちょっと後先考えなさいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「ご、ごめんんなさいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 容赦なく詠美が美奈にチョップをかます。さすがに悪いと思ったのか、涙目で謝る美奈を前に、多少なりともスッキリとした詠美がため息を吐いた。そんな時だった。

 ゴクッゴクッゴクッ……

 三本目の試験管の中身を飲み干した陽太が、制服の上からでも分かるほど発達させた胸筋をピクピクとさせながら立ち上がる。

「ちょ、ミーナ、あれも媚薬なの?」
「え? うん、クミン、シナモン、コリアンダーなんかを混ぜたぁ、本命中の本命だったんだけどぉ」
「ふうううううぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「な、何か変なオーラ出してるんだけど?」
「そ、そうだねぇ〜……」
「ちょ、マズくない?」
「プラシーボ効果かなぁ……」

 二人が一歩後退ったその瞬間、陽太の制服が爆ぜた。
 「ふしゅう」と言う呼吸音と共に、虚空に七つの星の形を描き出す陽太。
 上半身は世紀末救世主、イヤ、性紀末吸精主の様に漲り、下半身は羅王、イヤ、裸王の如く漲っていた。

「絶対!! 媚薬じゃないでしょ!? あれぇぇぇ!!!!」
「……エイミー、ファイトぉ!!」
「アンタって娘はあああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 襲い掛かる猛獣。詠美の決死の抵抗が、今始まったのだった!

 ******

 放課後になったばかりの時は晴天だったハズの空は、いつの間にか掻き曇り、稲光りがその部屋の惨状を映し出した。
 一人の少女がゼイゼイと息を荒げ、手に持ったスチール椅子をガタリと落とす。
 疲労感に膝をつき、やや虚ろな瞳で部屋の中で倒れている男女を見る。

「ひゃ、百人組手でだってこんなに疲れなかったのに」

 少女は、そう呟いた。
 こうして、詠美の乙女の怒りが炸裂し、悪は滅んだ。
 詠美は、やってしまったと思いながらも、その心は晴れやかだった。
0206この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/17(日) 20:47:52.34ID:GqpR/1wR
>>205
すみません、誤爆しましたorz

>>196
思い込みの激しい娘さんですね
思い込んだら一直線と言うか、視野が狭いと言うか
周りの言葉もちゃんと聞かないといけませんよねw
0208この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/17(日) 21:46:07.05ID:XqeqbzCz
>>191

使用お題→『マインドコントロール』『百人組み手』

【機知に富んだ達人ドン・タローツ】(1/2)

 遠く東洋の神秘薫る地に一人のカラトマスターがいた。
「ではー、次の相手でー、九十七人目ですー」
「残り三……ではないな、四人か……」
 広いドージョーの中。観客や関係者がコートを取り囲んでいる。その中心で対戦相手を待つ、この男。
「だが……残り何人であっても……俺に取っては同じことである……」
 今は百人組み手と呼ばれる荒行の最終盤である。ここまで九十六人と対戦した男は、とっても疲れて、立っているのもやっとの様子である。
「相手が誰であれ……俺は勝つ……。全員に勝利した暁には……『<マスター東洋>ドン・タローツ』改め『<マスター世界>ドン・タロート』を名乗ろうぞ……!」

 *

「モリー! 次はこのモリ、『<ネオヘーケ総統>ドンキー・モリージ』が相手だモリ!」
 全身毛むくじゃらの怪人が現れた。顔も体も緑色の、異様な姿である。
「ふっ、モリよ……お前はもう負けている……」
「モリモリ。疲労で頭がおかしくなってるモリ。その回らない頭で、モリの前にひれ伏すモリー」
 酔拳もかくや、ふらふらのドン・タローツに対して、元気一杯の怪人だ。これだけを見れば、ドン・タローツに勝ち目などないように思える。
「皇帝はマインドコントロールでモリの言い成りだモリ。モリは『<六波羅大要塞>グリーンヒルコ』も復活させたモリ。これで世界はモリに服従するモリー。世界征服だモリー♪」
 普通に聞けば意味の分からない妄想だが、見るからにおかしな風体の人物が自信満々に言い切ると、そこには言い知れぬ説得力があった。
「ふっ、世界征服だと……? ふふふふ……ふははっ……ふははははっ!」
「モリモリ。いよいよ本当に頭がおかしくなったモリ」
 観客の中には、モリージ勝利の雰囲気が広がりつつあった。だが、ドン・タローツは動じない。
「モリよ……<マスター東洋>をなめるでない……。タローツ拳法最終奥義『俺の両手から放たれる幻想破壊拳』で、お前のドリームは粉みじんだ……」
「モッ、モリモリ」
「おごれるモリも久しからず……。見よ……大要塞は……緑のジャングルに沈んでいる…………」
「モリモリ……」
「…………爆発ッ!!」
「モリーッ!?」

 *

 モリージを撃破したドン・タローツ。次なる対戦相手は。
「『<前回世界大会チャンピオン>イマナント』選手ですー」
 馬っぽい顔の男である。過去には無敵を誇った大物だが、最近は音沙汰がない。
「これが諸行無常か……イマナントよ……お前はもう負けている……」
「今なんと?」
 イマナントの『絶対恐怖反射』。相手は精神崩壊する。
「あらー? イマナント選手、反則負け、一発退場ですー」
 最近のルール変更で、イマナントの必殺技、絶対恐怖反射は禁止されてしまったのだ。
「恐ろしい相手であった……」
0209この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 21:46:42.11ID:XqeqbzCz
【機知に富んだ達人ドン・タローツ】(2/2)

「次は……そろそろ……あいつか……」
「九十九人目はー、『<赤い主人公>スーパーハチベヱ』選手ですー」
 全身が赤っぽい女である。
「タローツ様、次はわたくしがお相手いたします!」
「うむ……だがハチベヱよ……お前はもう負けている……」
「何を言っているでござ……おおっと、危ないところでございました」
 二人は同じドージョーで修行する者同士であり、互いの手の内を知り尽くしていた。
「タローツ様。わたくし、昔のままのわたくしではございません。ここ数日間の修行で超進化を遂げた、華麗なる頭突きの技、とくとご覧あれでございます!」
 言うとハチベヱは、目にも留まらぬ速さでジャンプし始めた。
「ここここれれれれがががが! わわわわたたたたくくくくししししのののの」
「ハチベヱよ、何を言っているのか分か……おおっと、危ないところであった」
「これが流派野牛究極奥義『頭突きでコインがっぽがっぽ』でございます。相手は粉みじんです」
 ハチベヱは、勝利を確信した表情で仁王立ちした。
「さすがだ……さすがハチベヱ……だが……」
 ドン・タローツは、懐から何かを取り出した。
「この現金が目に入らぬか……」
「それは……その紙幣の束は……!」
 ハチベヱは降参した。

 *

 長かった闘いは、とうとう最後の一人となった。
「それでは百人目ですー」
「ふっ。このドン・タローツ、誰であろうと負ける気が…………っ! まさか……」
 全身白っぽい女が入場してきた。
「まさか……まさかあなたは……」
 もはやドン・タローツには何も聞こえなかった。言葉もなく立ち尽くし、その女の他には何も見えなくなった。
「あなたは……」
 女は、ドン・タローツの前まで歩いてくると、そこで立ち止まった。
「あなたは…………!」

 ドン・タローツは握手してもらった。

「ハクアたん……!」

 試合には負けた。
0211この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 22:07:06.12ID:GqpR/1wR
>>208
惚れた弱みと言う奴ですね
他には果たしてどんな相手が居たのか? 気になりますw
0212三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 22:09:36.06ID:XqeqbzCz
お題→『マインドコントロール』『百人組み手』『媚薬』『理科室の実験』『レモン』締切

【参加作品一覧】
>>196【懲りない親友】
>>202【乙女心と春の空】
>>208【機知に富んだ達人ドン・タローツ】
0213三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 22:11:39.57ID:XqeqbzCz
では一応リレー企画ですが、お題は普通に5つです

お題安価>>214-218
0214この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 22:11:53.60ID:Q0gMEoLg
難民
0216この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 22:13:45.37ID:IFSMpXSw
金物屋
0217この名無しがすごい!
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2020/05/17(日) 22:15:54.25ID:EFHA9SZw
変形
0219三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 22:46:03.23ID:XqeqbzCz
☆お題→『難民』『女言葉』『金物屋』『変形』『転校生』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→5/24の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0220三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 22:47:45.74ID:XqeqbzCz
【リレー企画の参加者を募集します】

・定員は3名で、早い者勝ちです
・今回お題から各自1つ以上選択します
・企画参加作品の締め切りは、企画の成否にかかわらず、2週間後とします

参加希望の方は、ポジション【1/2/3】のいずれかを明記の上、このレスに安価してください

・ポジションが取れ次第【1】の方は書き始めて頂いて結構です
・作品のタイトルは【1】の方が決めてください
・投稿の際【リレー企画:作品のタイトル(1)】のように、企画作品であることを明記してください
・【1】【2】の方は、次の方のために、自分の担当レスの提出予定日を宣言してください
0221三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 23:19:35.19ID:XqeqbzCz
今回のお題も、結構調子良く集まりましたね・・・ありがとうございます
作品も感想もありがとうございます

リレー企画もよろしくですー
0222三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/17(日) 23:20:55.04ID:XqeqbzCz
>>202
勢いと内容・・・w
『理科室の実験』で『レモン』を絞って作った『媚薬』、『マインドコントロール』された後輩、『百人組み手』よりも疲れた・・・
面白かったけどコメントしづらいw、一応、普通にお題を足し合わせれば出てくる話・・・のはず?w

>>211
感想ありがとうございます
きっと訳の分からないやつらですw
0223この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 00:22:38.89ID:iNQmA3wX
>>222
感想、有り難うございます
最初に書いたのは、もっとノクターン寄りなお話でしたのでw
0224この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 08:24:24.12ID:SWpNslFV
>>206
感想ありがとうございます!
今回はまた傍若無人な小6女子の仕業か、と思いきや本人がただ暴走しただけでしたw
またトラブルを起こした時、ちゃんと止められるのか正直不安でございます(笑)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0225この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 14:14:47.78ID:SWpNslFV
>>219
使用するお題→『難民』『女言葉』『金物屋』『変形』

【金物屋の美女】(1/3)

さすらいの女ガンマン・シンディは今日も愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。
途中、川辺を見つけ、そこで休憩することにする。土埃や泥で汚れたサンセットの体を綺麗に洗った後、シンディは草の上に寝そべる。
すると、ふとブーツの拍車を目にやる。その銀色の拍車は、旅に出始めてから長いこと使い込んでいたため所々錆や傷が目立ち、歪に変形していた。

「そろそろ新しいのに変えた方がいいわね。次の町に金物屋はあるかしら?」

とりあえず少し居眠りして体を休ませると、再びサンセットに跨って走り出す。
2時間ほど走っていると、ようやく町に辿り着いた。しかし、その町には人らしい人がおらず、ゴーストタウンと化しているようだ。

「なんか気味が悪いわね。本当に幽霊でも出そう」

しばらく探索していると、金物屋らしき店を見つける。
ラッキー!とシンディは思いつつも、一応扉をノックして確認する。しかし返事は来ない。
扉を開けて、こっそりと金物屋の中に入ってみると、たくさんの金具や器具がビッシリと揃えられていた。

「やけに品揃いの良い店ね」

新品の拍車は無いかと探していると、突然女の声が聞こえてきた。

「誰かいるのかしら?」

その声にビクッとしてシンディは一瞬立ち止まる。するとカウンターの奥から、一人の黒い長髪の美女が姿を現した。

「ゆ、幽霊!?」
「失礼ね、ちゃんと生きてるわよ」
「か、勝手に入って悪かったわ。ノックしても返事が無かったらつい・・・」
「別に気にしなくていいわ。私はこの金物屋の支配人をやってるエリィよ」
「私はシンディ、さすらいの旅を続けるガンマンよ。どうぞよろしく」

エリィと名乗るその女は、8年ほど前にこの町に来て金物屋の営業をスタートしたのだ。
その時は人が多くて賑やかだったのだが、次第に他の町との交流が少なくなると同時に去る者も多くなって廃れていった。
今、この町に住んでいるのは彼女だけなのだ。

「今、まともにあるのはこの店だけね。でも久々に客が来てくれて嬉しいわ、何か欲しい物があったらどれも安くするわ。大サービスよ」
「新しい拍車が欲しいの。長いこと酷使させちゃって、もうボロボロなの」
「それなら良いのがあるわ」

そう言ってエリィが持ってきてくれたのは、金色に美しく光る拍車だった。

「これは天然の黄金を加工して作られた、世界にたった一つしかない特別な純金製の拍車よ」
「こんなに美しい拍車、今までずっと見たことない・・・」
「非常に丈夫で、ちょっとやそっとでは絶対に折れたり傷ついたりしないわ」
「その拍車欲しい!いくらするの?」
「本当は3000ドルはするんだけど、1000ドルにまけるわ」
「よし買った!」
0226この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 14:15:32.93ID:SWpNslFV
【金物屋の美女】(2/3)

シンディはその黄金の拍車を早速購入し、ブーツの踵に装着する。しっかりと丁寧に加工された純金製で軽く、足にあまり負担がかかることがなかった。

「これすっごくいい!ありがとうエリィ!」

エリィに感謝し、1000ドルを払って店から出たその時、雷がゴロゴロと鳴って雨がザーザーと降り出してきた。

「これじゃあ今夜は嵐ね。今日はここで泊まっていくといいわ」

シンディは今夜はこの金物屋で一夜を明かすことにした。エリィの作ってくれた美味しい料理を楽しんだ後、
今は使われなくなった寝室のベッドを使わせてくれることになり、そこで寝ることになった。
ベッドに寝転んだその時、床に一枚の紙が落ちているのに気付き、拾い上げて見てみると、それは手配書で、エメット・コッパーという名前の男の写真があった。
そのエメットという男はとても中性的な容姿をしており、女と見間違えるほど美しかった。

「なんかこの男、エリィと結構似てる。もしかして・・・」

翌朝、シンディは店を出る前に思いきってエリィに話しかけてみた。

「あ、あのエリィ、昨日の夜にこんな手配書を見つけたんだけど」
「そ、それは!!」
「何か心当たりはある?」

エリィは全てを話すことに決めた。

「その手配書にあるエメットって男は私のことなの。エリィというのは偽名なの」

エメットはまさにエリィ本人だった。
エメットはアメリカの遥か南部に位置する、ある国で家族と一緒に平和に暮らしていたのだが、
突如現れた数百人にも及ぶ無法者集団の手によって無残に国を滅ぼされてしまったのだ。
家族どころか住人は全員虐殺されてしまい、命からがら逃げたエメットが唯一の生き残りとなったのだ。
難民となったエメットは髪を伸ばし、女言葉を使ったりして女を装い、名前も変えて追っ手に狙われないように逃げてきたのだ。
そしてこの町に辿り着き、金物屋としてなるべく目立たないように生きてきた、というわけだった。

「・・・ということなんだ。お願いだからこれは誰にも言わないで!」
「心配しないでエリィ、いやエメット。絶対に誰にも言わない。そもそも、あなたは何も悪いことをしていないのよ」

突然、一人の大男が扉をバンッ!と乱暴に蹴り開けて中に押しかけてきた。

「おぅエメットじゃねえか!やっと見つけたぞ!」
「ち、違う!私はエメットじゃない!エリィよ!」
「うるせえ!バレバレなんだよ!」

男は乱暴にエメットの胸ぐらを掴んで持ち上げる。
0227この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 14:16:27.21ID:SWpNslFV
【金物屋の美女】(3/3)

「ちょっと!彼に手を出さないで!」
「ん?てめえはシンディじゃねえか!よくも俺の仲間や傘下を潰してくれやがって!」

その男の名はジャーヴィス。かつて一大勢力を築いていた無法者集団の一角を担っていた「ロッテンクロウズ」のボスだったが
しかしシンディによって壊滅してしまい、今は賞金首として狙われる日々を送っているというわけだ。

「この際だからエメットも一緒にてめえも地獄に送ってやるぜ!」

ジャーヴィスはどこからともなく導火線に火のついたダイナマイトを取り出し、店の中に放り投げた。
ドカン!と凄まじい爆発音と共に、エメットの金物屋は跡形もなく吹き飛んでしまった。

「よくもこんなことを!」

怒り狂うシンディが銃を取り出した瞬間、ジャーヴィスはナイフを取り出してエメットの心臓を勢いよく刺した。
グハッ!とエメットは吐血し、そのまま倒れてしまった。

「今度はてめえの番だ!シンディ!」

シンディは突進してくるジャーヴィスに向かい発砲しようとしたが、弾切れを起こしており、撃つことができない。

「しまった!弾の補充をすっかり忘れてた!」
「銃のないガンマンなんて、ガンマンと呼んでもいいのか?フハハハハ!!」

すると昨日、エメットから買った黄金の拍車の存在に気付く。

「これがあった!」
「死ねえ!シンディ!」

シンディはジャンプしてジャーヴィスの攻撃を回避すると、そのまま踵落としするかのように彼の脳天に勢いよく拍車を当てる。

「ぐ、ぐわあ!!」

ジャーヴィスが頭から血を流して倒れた瞬間、持っていたナイフを奪って彼の首をグサッと突き刺す。

「エメットが味わった痛み、あんたも味わいなさい!このクズ!」

そのままジャーヴィスは大量出血して息絶えてしまった。彼が死んだことを確認すると、シンディは急いでエメットの方に駆け寄る。

「エメット、しっかりして!」
「シ、シンディ、そ、その拍車大事にしてね。あ、あなたを、す、救う強い味方となるわ・・・」

エメットはそのまま力尽きて死んでしまった。シンディは吹き飛んでしまった金物店の近くに、エメットの墓を立てた。

「エメット、あなたの分まで私は強く生きる。この拍車も大切にするわ」

シンディはそう強く誓うとサンセットに跨り、再び旅に出るのだった。
0228この名無しがすごい!
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2020/05/18(月) 22:06:50.40ID:iNQmA3wX
>>225
理不尽さを己が力で捻じ伏せるのが荒野の掟
強きを挫き、弱きを踏み付ける西部では、ただ儘に生きる事も難しいのですね
0229三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/19(火) 00:24:45.62ID:U7xhAy1o
>>225
相変わらず絶好調ですねぇ
『変形』した拍車、『金物屋』の美女、『難民』で『女言葉』
このシリーズらしい無常の世界、、って言うかほんと行く先々で潰した悪党と出会いますよねw
0230この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/19(火) 16:20:17.86ID:9YPE4qlC
>>228
>>229
感想ありがとうございます!
そうですね、悲しいですがこの弱肉強食といえる西部で力無き者は容赦なく潰される一方です
確かにシンディに壊滅されたにも関わらず運良く?生き残っているボスがやたらと多いですねw
今までのを改めて読み返してみると、あまりにも無法者が多すぎて「あ、こんな奴いたな」状態です(笑)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0232三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/23(土) 13:28:39.97ID:lpdGCHS/
静か過ぎてつらいw

リレー企画も駄目っぽいしー
いつまで続く閑散期、、って感じですね><
0233この名無しがすごい!
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2020/05/23(土) 17:33:12.41ID:TAU+rbXN
雑談は他のスレでも事足りるからなぁ…

じゃあいくつか質問

@ここは短編スレだけどみんなは普段長編書いてるの?

A普段書いてるのはどんな話?

B創作のインスピレーションは何処から得ている?

C思いついたアイデアをどういう手順で作品に反映している?

Dコロナ禍で創作活動にどんな影響があった?
自宅時間が増え筆が乗ったり、取り扱う題材に変化があったり、同人イベントが中止になったりと変化はあった?
0234この名無しがすごい!
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2020/05/23(土) 17:33:53.38ID:TAU+rbXN
>>233

自分で答えるなら

@No 短編オンリー

A普段はシリアスな話を書いてる。ジャンルは難しいが現代劇とSFが多いかな?SFはハードなものじゃ無く星新一的な少し皮肉の効いたものを目指してる。

B現実のニュースや映画、ゲームなど映像媒体の影響が強い気がする。逆に小説や音楽などにはあまり触れない。書く題材にもよるが実体験もほぼない。

C日々の生活の中で突然、設定やシーンなど断片的なアイデアが沸いてくるのですぐにそれをメモ。ニュースや映画を見ていて面白いと思ったこともメモ。そうしているうちに自然と自分の中で断片的なアイデアが結びついてくるのでそこから話を膨らませている。

D自宅待機とは無縁の立場でむしろ以前より忙しくなってしまった。ここ3ヶ月ほどはろくに筆を取っていない。
0235この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/23(土) 18:52:14.31ID:Lk1gYRdX
>>233
自分ですと……

@長編も書いてます。と言うか、書き溜めてはいます

Aコメディー寄りのストーリー物を……基本的にはハイファンタジーです

Bおそらく、今まで読んだ小説やマンガなどから。ただし、自分は思考が突拍子も無いと言われますから、色々混ざっているのかと思います

Cお題を頭の中で転がしていると、それを使ったシーン等が浮かんでくるので、それに肉付けする感じで広げて行きます

D特に休みが増えたりした訳では無いので、あまり変化は有りません

こんな感じですね
0236この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/23(土) 21:22:49.35ID:roPtzGwJ
>>233
レイチェルシリーズの者です。私ですと…

@長編はかなり書いてますね

A基本的にドタバタ日常コメディ中心、時々シリアスなアクションといった感じです。
頑張るお姉さんとか姉弟ものを書くのがとにかく大好きです

Bやっぱり好きな映画やゲーム等からですね

C上手く言えないのですが、そのキャラの性格をなるべく崩壊させないように
思いついたネタを迷わずどんどん盛り込んでストーリーを展開させています。

D普段から特に休みが多いというわけではないのですが、面白いストーリーを思いついたら
とにかく空いた時間を利用してサクサクッと勢いが落ちてしまわないうちに書くのを心掛けています

簡単な説明でしたが以上の通りです
0237三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/23(土) 22:13:18.89ID:lpdGCHS/
>>233
雑談助かるー

@書いてない、、書けてないw

A書けてないw、自分で思ったのは、不条理やナンセンスが好きみたいです

Bお題や他作品、なろうテンプレ、ゲーム、アニメ・・・実体験は僅かに、映画や漫画はあまり

C大枠はパ、、パスティーシュが多いので・・・細部もBの組み合わせか、その派生が多いはず

Dあまり変化なしです
0238この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/24(日) 20:09:20.15ID:jXpw1ELr
>>191
前回お題作品です

使用お題→『媚薬』『理科室の実験』『レモン』

【愛にあふれた令嬢ハチベーヌ・ヤギュー】(1/2)

 遠く学園ハーレムラブコメのナーロッパ世界に一人のヒロインがいた。
「これで……このレモンの香りで味をごまかすでございますよ……」
 ここは学園の理科室。制服の上に白衣をまとった少女が、何やら怪しげな液体を調合する真っ最中である。
「……ふぅ。疲れたでございます。ですが休んではいられません」
 彼女の他に人影はない。これは秘密の実験、内緒の薬である。
「これをタローテ様に飲ませて、そのご寵愛(ちょうあい)を独占するでございますよ……!」

 *

 ハチベーヌ・ヤギューは子爵令嬢である。彼女の家は子爵家の親戚で、彼女自身は庶民であった。
 子爵家には跡継ぎがなかった。このままでは爵位も財産も取り上げられてしまう。それで養子を取ることとなった。そうして選ばれたのがハチベーヌである。
 跡継ぎの地位に納まったハチベーヌは、色々あって、良家の子女が通う学園に潜り込んだ。そこで彼女は運命の出会いを果たす。その相手たる人物こそ、彼女の同級生、タローテ王子であった。
「ふっ、王位など下らん。俺は冒険者になるぞ! ハチベーヌ!!」
 尊大な物言いをする男。浮世離れしている。頭がおかしい。それが周囲の彼に対する評価だった。
 その評価自体は間違っていない。ハチベーヌ自身も、出会った当初は、身分が高いだけの不審者だと思っていた。
「ハチベーヌよ、今日は遺跡の探索だ! うおおおお! 冒険王に……いや、王ではない。冒険魔王……冒険勇者……神…………そう、冒険ゴッドに、俺はなる!!」
 彼が何を言っているのか、ハチベーヌには分からなかった。だが、引っ張られて一緒に行動する内に、ハチベーヌの考えは変わっていった。
「ここが遺跡の最奥部だ……。ハチベーヌよ、頭上に気を付け(頭をぶつける音)いってーっ!」
 この男は、将来本当に冒険ゴ……有名な冒険家になるのではないか。そして一杯お金を稼ぐのでは。もし違っても王子なので、生活に困ることはない。
 中身が庶民のハチベーヌは、子爵家の財産のことなどすっかり忘れている。
「……恐ろしいわなであった…………っ! あれは……なんだ?」
 ハチベーヌの将来が定まった。

 *

 王子の評判は相変わらずである。相変わらずであるはずなのだが、彼の周囲には、なぜだか女性が集まるようになった。
「今なんて?」
 王子とハチベーヌが遺跡で発見したのは、古代文明のホムンクルスだった。
 彼女、つまり女性型であるホムンクルスは、今やタローテ王子と同居している。こうなるとハチベーヌは気が気でない。
 頭が少し縦長であるものの、人間では有り得ない美貌である。十人並みの容姿を自覚しているハチベーヌには到底太刀打ちできない相手だ。
「今なんて?」
 少し耳が遠いようだが、そんなことは問題ではない。ハチベーヌに取っての脅威、第一号である。
0239この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 20:09:52.18ID:jXpw1ELr
【愛にあふれた令嬢ハチベーヌ・ヤギュー】(2/2)

「タローテ殿下、モリーと勝負するモリですわ!」
 脅威、その第二号は、悪役顔の公爵令嬢である。
「今なんて?」
「あなたではありませんモリ! モリーは殿下とお話ししているモリですわ!」
 学業において、王子もハチベーヌも平凡な成績であった。一方、全教科で常に学年トップという、奇特な人種も存在する。それがこの、語尾のなまった変な女である。
「モリーは、常に一番たれ、下々の鑑(かがみ)たれと、そう教えられて育ってきましたモリ……。そんなモリーが、殿下みたいな……失礼……失礼ですが殿下みたいな人間に負けるなど、あってはならないモリですわ!」
 話を聞くに、どうも二人は幼なじみらしい。
 自由過ぎる王子と、まったく自由のない公爵令嬢。
 血筋を嫌う男と、逆にそれを誇る女。
 凡人と秀才。
 二人は水と油だった。そして最近まで、二人の関係は、王子が下で彼女が上だった。
「モリーよ、何度言えば分かるのだ。あれはまぐれだ。俺が適当に書いたのがたまたま正解で、お前は風邪を引いていたではないか」
 たった一度、テストで負けた。それが彼女の自尊心を傷付けた。王子も彼女自身も、そう思っている。
「モリモリモリモリモリ! 言い訳無用モリですわ! 今だって女をはべらせて、モリーを馬鹿にしてるモリですわ!!」
 この場で一番の長身はホムンクルスである。次が王子、その次が公爵令嬢、最後がハチベーヌだ。
 多分。昔は彼女の方が見下ろしていた。それが逆転されつつある。
「モリーは……モリーは、殿下には負けないモリですわ!」

 *

 ホムンクルスも公爵令嬢も、恐ろしい相手なのは間違いない。だが、本当の脅威は他にあった。
「ああ……ハクアたん……」
 王子の視線の先には、透明感のある美少女。
「ハクアたんとお話がしたい……俺だけのハクアたんになってもらいたい……」
 学園一の美少女が、友人たち(全員それなりに美少女である)と談笑している。
「今なんて?」
「あんな素性の知れない女の何がいいのかモリですわ!」
 外国の王族か、成り金の子弟か、それとも誰ぞの隠し子か。その身分は伏せられていた。
「あっ、ハクアたんと目が合った! 手を振ってくれた! ハクアたん……!」
 ハチベーヌの不安は募るばかりである。

 *

 この三人の他にも、潜在的な脅威は存在している。例えば保健室の美人な先生。タローテ王子に対して妙に優しい。
「いつでも入信お待ちしておりますー」
 優しい理由はよく分からないが……。ともかく、王子はモテモテであった。

 *

 そしてここは理科室。ハチベーヌ一人だけである。
「…………これで完成……媚薬(びやく)の完成でございますよ……!」
 図書室の片隅に古びた本があった。それに載っていたレシピ通り……には、材料がなくて無理だったので、ハチベーヌなりにアレンジした。
「完成はしましたが、いきなりタローテ様に使って、何かあってはまずいでございます。どういたしましょうか……」
 ハチベーヌは頭を悩ませるが、何一ついい考えが思い浮かばない。
 やがてハチベーヌは、疲れていたのか、眠ってしまった。
 学園の生徒たちの声が遠く響く。

「ハチベーヌ様……? あどけない寝顔モリですわ。……モリモリ? これはなんでしょうかモリ。少しくらい味見してもばれないモリですわよね?」
「…………うしし……タローテ様……はっ! モリー様!? 駄目です、それを飲んでは! ……モリー様? モリー様!?」
0240三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 20:11:11.97ID:jXpw1ELr
できれば今回お題でも書きたかったけど、さすがに無理でした・・・><
0241この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 21:56:23.82ID:XzIq+uZj
>>219
お題:『難民』『女言葉』『金物屋』『変形』『転校生』

【第8王子の錬金術】(1/4)


「ノイン殿下につきましては、ご機嫌麗しく、御尊顔を拝謁する事、誠に光栄に存じます」
「堅苦しい挨拶は良いよ、こんな早朝からここに来たって事は、お願いした物が出来たって事?」
「はい」

 僕の目の前に居る男は、慇懃な態度で首を垂れる。王宮内の僕の私室にまでは入れる相手なんて殆ど決まっているけど、彼はその内の1人。金物屋のベルサ・オールゴーユ。
 金属関係なら何でも取り扱っている商人で、信用の置ける相手の1人だ。
 今日、彼が僕の所に来たのは、前々から僕が頼んでいた“とある物”が完成したからだ。
 
 チラリと視線を送り、彼の部下が“ソレ”を僕の目の前に持ってくる。
 僕は思わずニヤリと笑みを浮かべ、それを手に取ると、早速試してみようとソレを前にかざす。
 しかしそこに、鈴の音の様な凛とした声が割って入った。メイド長のエリィだ。

「……ご満悦の所申し訳ありません、ノイン殿下。そろそろ登校のお時間です」
「…………もう少しだけ、待てないかな?」
「ダメです」
「………………分かった」

 僕は大きく溜息を吐くと、ベルサを下がらせ、待機していた侍女達に支度をさせる。これから早速“試してみよう”と思ったのだが、どうやら、学園からかえるまでお預けの様だ。

 ******

 僕等の暮らしているアスタール王国は、自然に恵まれた小国の一つで、連なる山々から採れる鉱物資源や岩塩の輸出で成り立っている。
 そんなお国柄のせいか、鍛冶に従事する者や、加工された商品を売る金物屋なんかの数も多い。
 特に、鉱物資源として『魔鉱石』や『魔晶石』と言った魔法鉱物の産出も多い為、それらを使った商品の研究開発も盛んだ。

 僕は、そんなアスタール王国の第8王子、ノイン=スフェルティア・フォン・アスタールとして生まれて来た。王族ではあれど王位争いからは程遠い。
 そんな身分であり、例えコネを利用できたとしても、精々王宮騎士の部隊長か宮廷魔導士地位に捻じ込めるかと言った程度の、まぁ“利用価値”の薄い王子な訳だ。
 とは言え、王子は王子。それなりの生活はさせて貰ってるし、王様……僕の父上にも、程々に目を掛けて貰ってる。

 とは言え、王位継承権の低い僕は、兄さん達の様に家庭教師を付けて貰える訳でも無く、こうして普通に王立学園に通わせられ、まぁ、適当な上級貴族の所に婿入りできるだけのコネを作らされてる訳だ。

「はぁい! 静かにしなさい、ホームルームを開始するわよ!」

 クラス担任のカーミュラ・ゼウン先生がパンパンと手を叩く。先生は男性では有るけど、貴族女子も所属する王立学園に赴任するにあたり、男性機能を失わされた人で、そのせいか中性的な美貌を備えている。
 その為、クラス女子は元より、クラス男子にも人気のある先生なんだけど、これって、逆効果だったんじゃないかな? って時折思う。

「はい! 今日は転校生を紹介するわよ!」

 カーミュラ先生がそう言うと、褐色の肌の、束ねた銀髪を揺らした少女が教室に入って来た。
0242この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 21:58:03.08ID:XzIq+uZj
【第8王子の錬金術】(2/4)


「エベルーツ王国、第3王女、シュリー・カウペック・マギラ・エベルーツです。短い間ですが、よろしくお願いします」

 彼女の自己紹介に、教室内が騒めく。
 当たり前だ。エベルーツ王国は、つい先日、ガルッツェ帝国に落とされたばかりの同盟国なのだから。

 ガルッツェ帝国はこの辺り一帯で最も力の強い国で、その軍事力も頭一つ飛び抜けている。
 アスタール王国とエベルーツ王国は同盟国とは言え、海を挟んでいる為、派兵こそ出来なかったけど、その分、食糧支援等はしていた。真逆であるアスタールから、国境際での軍事演習などで圧力をかけたりとかね。
 だけど、そんな支援の甲斐もなく、開戦したガルッツェ帝国は圧倒的軍事力を見せつけ、エベルーツ王国を攻め、そして王都マギラは陥落したと聞いている。事実上の敗北だ。
 ガルッツェ帝国は苛烈な軍事政策をしていて、敗戦国なんて言ったら、男は労働奴隷として最前線へ送られ、女子供も戦争奴隷として使い捨ての労働力とされる。
 その為、今はエベルーツから、すごい勢いで難民が国外へ脱出している。
 確か、家の国も貿易船を利用しての難民受け入れが始まっていると言っていたはずだ。

 だけど、彼女はこの場で自分の事を『エベルーツ王国第3王女』だと宣言して見せた。
 これは、まだ王家は存在していると、自分達はまだ負けた訳では無いと宣言しているに等しい。

 周りが騒めくのも無理はない。
 彼女は、これからも戦争を続けると言っている様な物なんだから。

「えっと、そのじゃぁ、ノイン殿下、このクラスでのカウベック様の面倒を見て差しあげて下さる?」

 この時の僕の顔は形状し難い物になっていただろう。
 確か、事前に話しを聞いていた限りでは、彼女は亡命者である事を受け入れており、待遇としては公爵家令嬢相当となっていたはずだからだ。

 その為、彼女のエスコート役はミュンハウゼン公爵令嬢のリリエルが行う事に成っていたのだが……

 リリエルも困惑した様子で僕の方をチラチラと見る。
 しかし、彼女が王女であると宣言をしている限り、王族のエスコートになる為、王族か受け持たなければならない。
 つまり、シュリーは、王族である僕がこのクラスに居る事を分かっていて、名乗ったと言う事だ。
 おそらく、この国の王族と積極的に繋ぎを作る為に。そして、この国を戦火に巻き込む為に。

 ……全く、厄介な事をしてくれる。

 ******

「……何でついて来るのですか?」
「あら、貴方が私の世話役なんでしょう? なら、色々と案内して下さらない?」

 放課後だと言うのに、僕はシュリー王女に付きまとわれていた。僕としては早くアレを試してみたいと言うのに。
 彼女の考えは分かって居る。なるべくこの国の王族と懇ろな所を見せ、ガルッツェ帝国に攻め込む理由を作りたいんだろう。
 だが、彼女のこれは、分の悪すぎる賭けだ。確かに戦争に於いて王族を根絶やしにする事は後々の禍根を打ち消す為に必要な事であり、シュリーがエベルーツ王族を名乗る限り、ガルッツェ帝国は我が国に彼女の引き渡しを要求して来るだろう。
 確かに、この状況でシュリーを引き渡す事は、国家的に弱気な姿勢と取られかねない。つまりは実質的な属国宣言だ。
 だが、あまりに彼女が強引に事を進め様とすれば、必ずこの国の貴族連中からの反発を生み、人身御供の様に引き渡されかねない。
 実際、現状でもかなり不味い事をしている。

「……世話役と言っても、学園内の話です。第一、自分と貴女はそれ程親しくはないはずですが? カウベック嬢?」
「あら、私は貴方と仲良くしたいですわよ? ええ、とっても」

 その物言いに僕は眉を顰めた。

「貴女は!!」
「何かしら?」
0243この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 22:00:48.73ID:XzIq+uZj
【第8王子の錬金術】(3/4)


 そう言ったシュリーの瞳の奥に渦巻く、濁った昏い劫火を見た僕は、思わず息を呑んだ。

(ダメだ。この人は自分の復讐が成るのなら、ありとあらゆる物を犠牲にしても良いと思ってる)

 そう、それこそ、他の国の国民の命でさえもだ。

「貴女は危険だ」
「そうかしら? 危険なのは、あの帝国の野心の方じゃなくて?」

 それも確かだろう。おそらくガルッツェ帝国は侵略戦争を止める事は無く、そして今、最も次の候補として高いのは、我がアスタール王国だ。
 だからと言って……

「世間知らずの王女様の破滅願望に付き合わされたくはないのですよ」
「誰だ!!」

 僕の誰何に、黒ずくめの男が出てくる。

「第8王子につきましては、ご機嫌麗しく」
「……影か」
「御意」

 アスタール王国諜報部隊。通称『影』。
 アスタールにおける情報収集や操作、そして、後ろ暗い任務をこなす者達。

 成程、シュリー王女の言動を危険と感じ、『修正』する為に来た……と言う所か。

「殿下、何も見なかった事にして、この後の事は我々にお任せを」
「う、うそ」

 シュリーの顔が青ざめる。実質、この国からも見放されたのと同義な訳だから無理も無い。

「待ってくれ! 彼女はまだ心の整理がついていないだけだ!」
「だとしても、それが許される立場ではありません」
「分かって居る、だが、ここは僕に任せて貰えないか?」

 復讐に逸る彼女の気持ちも分かる。理不尽に戦争を吹っ掛けられ、家族を失ったのだから。
 それに、まだ彼女は14才の少女でしかない。第3王女だと言うなら、なおの事、政治に立ち入らせてはもらえなかった筈だ。
 なら、彼女は何も知らぬまま、突然すべてを失ったに等しい。心の整理を付ける為の時間が足りなすぎるんだ。

「……立場が、許さないと言ったはずです」
「今朝の発現かい?」

 影が首肯する。彼女にしてみれば決意表明だったのだろう。しかし、この国の反戦争派にとってはガルッツェ帝国に対する宣戦布告にも等しく聞こえたはずだ。危険視するのも分かる。
 それでも、僕はシュリーには時間が必要なのだと思う。

「だとしても、だ、今は彼女を渡せない」
「……殿下を傷つけたくは無かったのですが……」

 そう言うと、影の気配が分散する。いや、潜ませていた他の影が気配を隠すのを止めたのだろう。
 この人数差と実力差なら、すぐに僕を組み伏せると踏んだんだ。
 だから僕は、腰に佩いていたソレを目の前にかざす。

「何、を?」
「無駄な足搔きさ……『開け!』」

 僕がかざした豪奢な造りの太刀が、展開し、変形する。ソレは僕の身を包み、蒼い鎧へと姿を変えた。
0244この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 22:03:17.88ID:XzIq+uZj
【第8王子の錬金術】(4/4)


「な!」

 刹那の隙。僕は身に纏った魔導鎧の出力を最大にして、一人の影に体当たりをした。
 続けざまにその隣にいた影に蹴りを入れようとするも、それはすぐに躱される。

「流石と言っておきましょうノイン殿下。やはり、爪を隠しておられたのですね」
「……良いから、掛かって来なよ」
「御意」

 例え魔力によって身体能力を上げられる魔導鎧を着こんでいたとしても、基礎能力が違い過ぎた。
 最初こそ攻撃を捌いていたけど、次第にそれもままならなくなってくる。
 容赦ない攻撃を全身に叩き込まれ、遂に僕は膝をついた。

「天才……と言う言葉は殿下の為に有る様な物ですね」

 僕を見下ろす影が、そんな賛辞を送って来る。彼の声に蔑みの色は無い、たぶん、本当にそう思っているんだろう。

「ふふ」
「殿下?」
「良いのかい? そんな余裕を見せてても」
「何ですと? ……!!」

 どうやら、彼等にも周囲のざわめきが聞こえて来た様だ。ここは学園の人気の無い場所とは言え、決して人が通らない場所と言う訳じゃない。
 時間さえ稼げれば、人通りはあると踏んだ、僕の予想通りだ。

「成程、やられましたな。ここは、殿下の心意気に免じ、見逃しましょう」
「うん、そうしてくれると助かる」

 僕がそう言うと、影の1人が前に出る。

「……良いのですか?」
「良い、それとも殿下の面目を潰すつもりか?」
「……いえ」

 シュリーをかばう様に前へ出た僕を見て、その影も大人しく引いてくれる様だ。

「ここは引きます、ですが……」
「分かってる」

 僕がそう言うと、影達は引いてくれた。全く、高い貸だ。
 魔導鎧の鎧化を解くと、変形し、元の太刀形態に戻る。
 いくら、鎧を付けていたとしても、良い様に攻撃を受け過ぎた。僕は思わず膝をついてしまった。

「……あ、貴方、なぜ」
「巻き込んだ君が言うのかい? 少し冷静に成れたようだから言っておく、君がやろうとしたのは、これだ。理解してくれ」
「うっ」
「よく考えるんだ、本当に、胸を張れるやり方なのかどうかをさ」
「……」

 シュリーが黙り込む。彼女だって、今のやり方が正しいなんて思っていなかったんだろう。だけど、それ以外のやり方を思い付かなかった。そう言う事だ。

「もし、君が納得が行く、胸を張れるやり方を思い付いたら、僕に言って欲しい」
「え?」
「それが、共感できる方法だったなら、僕も手を貸そう」

 その答えを聞いて、シュリーは涙を流した。
 先の事は分からない。だけど、この時、僕は長く続く戦いへの道へと一歩踏み出したんだと、確かに思った。
0246三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 22:10:35.31ID:jXpw1ELr
お題→『難民』『女言葉』『金物屋』『変形』『転校生』締切

【参加作品一覧】
>>225【金物屋の美女】
>>241【第8王子の錬金術】
0247三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 22:12:27.66ID:jXpw1ELr
では通常お題5つですー

お題安価>>248-252
0248この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 22:13:58.66ID:NWGJeg27
誕生日
0249この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 22:18:04.66ID:z0LjCUq2
たこ焼き
0252この名無しがすごい!
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2020/05/24(日) 22:20:05.02ID:cuenQGTI
過疎
0253三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 22:27:34.64ID:jXpw1ELr
☆お題→『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→5/31の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0254三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 22:30:54.69ID:jXpw1ELr
お題の集まりが良過ぎる・・・!
なんでや・・・!

ともかく、引き続きお題スレをよろしくですー
0256三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/05/24(日) 23:22:24.70ID:jXpw1ELr
これ言ったら負けなんだけど、ほならねw

>>241
超大作が来てしまった・・・!
朝から『金物屋』、『女言葉』の先生、『転校生』の『難民』王女、『変形』するアレ
なるほどお題から生えてきた感、なんか書いちまった感がありますねw
0257この名無しがすごい!
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2020/05/25(月) 08:06:27.05ID:o3x2FJi8
>>238
キャラクターの女体擬人化ですねw
主人公は主人公と言うだけでモテる理不尽が

>>256
感想有り難うございます
何とか3レスに納めたかったのですが……
これでも700字近く削ったのですが、これ以上は無理でした(色んな意味で)
0259この名無しがすごい!
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2020/05/25(月) 20:05:43.65ID:3/MzKS12
>>253
使用するお題→『誕生日』『たこ焼き』『過疎』

【懐かしのシチリアへ】(1/2)
※スレ6 943【とある教会での出来事】及びスレ7 284【夢は決してあなたを裏切らない】を先に読んでおくことをオススメします

「ハッピーバースデー!ライアン!」
「おめでとうライアンさん!」
「アハハ!ありがとうレイチェル、それにジュディ」

今日はライアンの誕生日だ。そんな彼のために、レイチェルとジュディは一緒に手作りのバースデーケーキを作ったのだ。

「ケーキすっごく美味しい!最高だよ!」
「私とジュディの愛が詰まってるから当然よ」

無我夢中にケーキを頬張るライアンを見て、レイチェルとジュディはニコニコ笑う。

「映画の撮影も順調でさ、一週間ほど休みをもらったんだ。久々にあそこにちょっと旅行しないかい?」
「あそこって?」
「シチリアだよ」

シチリア、その言葉にレイチェルとジュディは思わずハッとする。
シチリアで10年以上楽しいレストラン生活を送り、この生まれ故郷アメリカに帰ってから早くも4年が経過していた。

「シチリア・・・懐かしいわね。行こうライアン!」
「うんうん行く行く!!」
「OK!じゃあ明日、早速飛行機のチケットを予約しておくよ」

2日後、飛行機に乗って懐かしのイタリア・シチリアへと向かうライアンにレイチェル、そしてジュディ。
飛行機を降り、空港を出るとシチリアの懐かしくて美味しい空気を全身に感じる。
レンタカーを借りて、ある場所へと向かう。その場所とは・・・

「ここを覚えてるかい、レイチェル?」
「当たり前じゃない、ライアン。忘れるわけないでしょ」

そう、そこはかつて2人のレストラン兼マイホームが建てられていた場所だった。
廃業されてすぐに解体されたようで、今は跡形も無くなった状態であるが、レイチェルとライアンはしっかりと覚えている。

「ここで夢のレストラン生活が始まったんのよね」
「ああ。楽しいこともいっぱいあればトラブルや事件もいっぱいあったけど、どれも忘れられない大切な思い出だよ」

その後、ライアンが調べたところによると、このレストランが建てられた地域周辺は過疎化が著しかったようだ。

「そうだったんだ。確かに年が進むに連れて、お客さんが減っていくような感じはしていたのよね」
「でも、毎日のようにレストランを訪れる常連さんがいっぱいいて賑やかで楽しかったよ」
「そういえば、あのレストランはまだあるのかしら?」
「あのレストランって?」
0260この名無しがすごい!
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2020/05/25(月) 20:06:58.23ID:3/MzKS12
【懐かしのシチリアへ】(2/2)

それは自分達のレストランがある場所から、数キロ離れた所に建てられた新しいレストランのことだった。

「気になるね、ちょっと見に行ってみようか」

興味津々で行ってみると、そのレストランはまだ健在だった。世界各国のあらゆる料理を多種多様に扱える、ということで話題を呼んだスゴいレストランだ。

「ランチがてらに何か食べていかないか?」
「それはいいわね」

レストランに入り、ウエイターから渡されたメニューを開いて見てみる。

「この日本のタコヤキ?ってのが美味しそうね。これにしない?」

日本のたこ焼きを早速注文する。数分後、たこ焼きが完成しテーブルに置かれる。

「アチチ!中にタコが入っててホクホクしてて美味しい!」
「日本の料理って初めて食べるけど結構イケるね!このソースが良い感じ!」

たこ焼きを存分に味わい、レストランを後にする。

「レイチェルさん、ライアンさん」
「ん?どうしたんだいジュディ」
「私、他に行きたい場所があるの」

ジュディが行きたいというある場所、レイチェルとライアンはすぐに理解した。そう、エターナル・サンライズという教会だ。
一度は廃墟と化していたのだが、レイチェルのおかげでまた立派な教会に復活したのだ。
かつて、その教会で神父を代々努めてきたサニースマイル一族の一人にして末裔であったジュディはそこが気になって仕方がなかった。

「よし早速行こう!」

車を走らせ、そのエターナル・サンライズへと向かう。見てみると建物自体はそのまま残っていたものの、今はすっかり幼稚園に変わっていた。
園児達がキャーキャーと楽しそうに遊び、走り回っている。もうすっかり教会ではなくなっているが、ジュディはとても嬉しそうだ。

「みんなすっごく楽しそうでよかったわ。教会じゃなくても、みんなの素敵な笑顔が溢れる場所なら、私は何でも構わない」

満面の笑みを浮かべるジュディを見て、レイチェルとライアンは安心すると同時にニッコリと微笑む。
その後はまだ行ったことのない場所を色々と観光して楽しむ。そしてアメリカに帰る中、飛行機の中で思い出を語り合う。

「シチリアって本当に素敵な場所よね。ここに住めて本当に幸せだったわ」
「僕もシチリアを選んで正解だったと今でもずっと思ってる」
「本当にありがとうライアン。また休みをもらったら旅行しようね」
「もちろんだよレイチェル」

そんな中、ジュディはレイチェルの膝の上に座り、気持ち良さそうに眠りについているのだった。
0261この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/25(月) 20:33:25.09ID:3/MzKS12
今気付いたのですがレイチェルシリーズを書き始めたのが去年2019年5月22日で、
既に1年が経過していて思わずビックリしちゃいましたw
楽しく長編を書き続けていると時間もあっという間に過ぎていくんだなと感じました
0262三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/26(火) 00:51:32.82ID:kpxb1dJT
>>259
レイチェルシリーズの誕生日だったとは・・・もう1年ってすごいなぁ・・・
ライアンの『誕生日』、『過疎』の地域、例のレストランで『たこ焼き』
安定感があるのと、お題と設定の一致がちょっと面白いw
それにしても・・・あの短編からここまで広がるとは・・・
0263この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/26(火) 08:17:25.07ID:1cqc9Kdn
>>259
思い出の土地巡りですね
アメリカからシチリア、そしてまたアメリカへ
ワールドワイドな活躍です
0264この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/26(火) 16:19:16.16ID:1GlLae9N
>>262
>>263
感想ありがとうございます!
そうですね、あの何気なく思いついて書いた短編がここまで大きく展開されるとは私も想像がつかなかったです
これも全てレイチェルやライアン、みんなのおかげですね。改めて彼女達に感謝したいです
楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0265この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/28(木) 18:54:50.66ID:GcS/b+M6
それにしてもめっちゃ過疎ってるね
全スレは多少波があってもまだ勢い感じられたけど
0266この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/28(木) 18:55:49.19ID:GcS/b+M6
ごめん訂正

×全スレ
○前スレ
0267三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/28(木) 21:49:12.19ID:RJwZvk7I
ねー

数え間違えてなければ、レギュラー3人と一休の人、合計4人しか書いてない
レイチェルとベテランと進行が頑張って書き続けるスレになっちゃってる
0271この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/29(金) 19:17:12.24ID:21Wxf2vf
2スレほど前から話題?になっているレイチェルシリーズが気になって
最初から一気に読んだけどキャラがどれもみんな濃くて楽しかった
ガンマンレイヤーの些細な日常からあそこまで展開が広がっていくものだから最後まで全然飽きなかった
0272この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/30(土) 04:08:30.01ID:HOZqG0Zu
そういやkasasagi貼ってもいいんだよな
その場合字数制限って8000文字?
いやまぁ別にやる予定もないんだけどさ
0273三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/30(土) 12:55:17.84ID:sFsESbAo
もちろん復帰も歓迎ー

>>272
6000〜8000字くらいが上限かなぁと
これは単に目安で、極端に長くなければ何文字でも可だと思います
0274この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/30(土) 19:24:58.98ID:fsMXYm0L
>>271
ありがとうございます、そう言われると照れちゃいます///
当初は特に続ける予定はなかったのですがレイチェルが勝手に動くものですから、いつの間にか長編になっていましたw
今は他にもスピンオフ的長編のシンディシリーズや、カナケン姉弟シリーズなども書いておりますのでこれらも是非!
0275この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 03:15:10.20ID:P5MKlGtT
『誕生日』

真っ暗な闇だけがそこにあって、けれどそれが終わりでないことは知っていた。

外の音が、遠く聞こえた。私は身じろぐ。壁は厚く柔らかい。
温もりは手放し難く、けれど永遠ではない。

そして、わたしの朝が訪れる。わたしの夜明けが。わたしの――。
わたしは。今、世界に在ろうとしている。
「オギャア! オギャア!」

「まぁ! 元気な赤ちゃんですね。お母さん、抱いてあげてください!」
0276この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 03:16:10.83ID:P5MKlGtT
ごめん修正、だいぶ久々なのでリハビリ……
>>273
お題:『誕生日』

【闇の終わりと、はじまり】

真っ暗な闇だけがそこにあって、けれどそれが終わりでないことは知っていた。

外の音が、遠く聞こえた。私は身じろぐ。壁は厚く柔らかい。
温もりは手放し難く、けれど永遠ではない。

そして、わたしの朝が訪れる。わたしの夜明けが。わたしの――。
わたしは。今、世界に在ろうとしている。


「オギャア! オギャア!」

「まぁ! 元気な赤ちゃんですね。お母さん、抱いてあげてください!」
0277この名無しがすごい!
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2020/05/31(日) 05:31:16.60ID:esIAnN6c
>>273
使用お題→『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』
タイトル:【イセイの街】
https://kasasagi.hinaproject.com/access/top/ncode/n8530gg/

これでいいのかな?せっかくだからなろうからの参加を試してみた。
極端に長くなければという言葉に甘えてしまったがさすがに1万文字越えは長すぎたな。
この内容ならもう少し削れたはず。
0278この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 14:28:12.48ID:P5MKlGtT
>>277
異端の街に混じった者は、自らも異端となってしまう……いいね
古典を感じさせる
0279この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 17:53:19.71ID:XIKbf8wZ
>>275
全ての子供は祝福されて生まれてくるそうですから
お題にストレートなお話ですね

>>277
主人公の緊張感が伝わって来るお話でした
謎を含んだ終わり方も、奇妙な物語風で良いですね
0280三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 18:01:57.14ID:QHtHuJhk
>>276
まずは肩慣らし、って感じですね
『誕生日』の話、これがはじまりなんや・・・

>>277
また読み応えのある・・・って言うかこちらもお久しぶりの作者様!
『過疎』地でもなく、主人公の『誕生日』、『たこ焼き』パーティー、『女装』して移動、『ダブルミーニング』の街・・・
なるほど作風は以前のと共通で、しかし題材が全然違いますがw
主人公の苦悶を追体験する、かなり本格的なSFでした・・・

あと余計なお世話ですが作者名がw、『なろう 作者名』で検索して、作者名リンクを有効にした方がいいと思います
0281この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 18:11:31.28ID:XIKbf8wZ
>>253
お題:『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』

【ディスタンス】(1/3)


 白い息が筋を引き、北風が吹きすさぶ。
 駅前のコンビニで買ったたこ焼きを頬張ると、木佐田 臣はその光景を何と無く眺めていた。
 シャッター街と言うのも憚られる寂れた街並み。アーケードから見えるのは、店のシャッターどころか打ち付けられたベニヤ板や工事用のガードフェンス。
 下手をすれば、三角錐の赤いコーンと呼ばれる物で、境界を示しているだけの場所さえある。
 そこから覗く風景が更地ですらなく、朽ちた家の基礎だけと言うのが、この街がどれ程過疎化しているのかを表していた。

「昔はなぁ……」

 学生時代の思い出を幻視し、思わずそんな呟きが漏れる。
 都会の喧騒と他人との柵に疲れ、臣が田舎に帰って来たのはつい数ヶ月前の事だった。
 落ち着いた環境で再起を図ろうと、故郷で就職先を探してはいるが、その結果は芳しくなく、結局今は、年老いた両親のスネをかじりながらの家事手伝いをやっている。

 向こうに居る内に、手に職を付けておけばよかった。そんな事も思うのだが、如何せん、欲望と誘惑に溢れたあの街では、そんな事をしている時間など有りはしなかったのだ。もっとも、それは彼女の怠惰の所為でもあるのだが。

「だぁ〜れだ?」
「阿藤 岬」

 不意に視界を遮られ、声を掛けられる。聞き覚えのあり過ぎる声色に眉根を寄せながら、臣は岬の名を告げた。
 そもそも彼女をここに呼び出したのは彼なのだ。

「うん、あたり!」

 視界が開かれ、振り向いた先に有ったのは肩口で切りそろえられた黒髪と、うっすらとされたナチュラルメイクの女性の顔。
 臣は思わず「へ?」と言う間抜けな声を漏らした。しかし、その顔には確かに面影が残っていた。

「あ、えっと、岬の……妹さん?」
「ブー! あたりって言ったじゃん。本人だよ! 僕が岬本人!!」

 耳障りの良いソプラノボイスは、確かに記憶に有る岬の物だ。しかし、30手前の男性だと考えれば違和感を抱く。
 だが、外見と合わせれば何ら違和感はなく、むしろ普通に女性としか思えなかった。
0282この名無しがすごい!
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2020/05/31(日) 18:15:09.60ID:XIKbf8wZ
【ディスタンス】(2/3)


 ******

「ん、熱ひ……おっきひぃ……」
「変な声を出さないで!」

 たこ焼きを食べる岬の言葉に眉を顰めながら、臣はその頭部にチョップをかます。
 悪戯心のこもった上目遣いに、臣は自分がからかわれてると感じてはいたが、しかし、外気の冷たさと相まって、頬が熱を持つのを止める事は出来なかった。

「昔っから、臣ちゃん、百合っ気があったもんね?」

 そう言われ、彼女の眉間に皴が寄る。確かに、男の子よりは女の子と一緒にいる方が心地よかったが、しかしあれは、思春期の子供なら誰でもそう言う物では無いのだろうか? 臣はそう思った。
 何より一番一緒に遊んでいた岬に、そんな風に思われていた事が納得いかなかった訳だが。

 当時の岬は女の子と言っても良い程の可愛い顔の少年で、どちらかと言えば女子グループに良く混じっていた。それは、幼馴染である臣が彼を誘っていた事も理由ではあるが、他の男子が女子に対し距離を取る様な時期でもあったからだろう。
 中性的な美少年であった岬は、何と無く他の男子に距離を取られ孤立しかかっていたからだ。

 それに手を指し伸べたのが臣であり、彼女の友人達もそれを歓迎してくれていた。
 ただ、岬本人は、自身の事をハッキリと男子であると意識して居たし、女の子っぽい扱いに対しては断固として拒否をしていたのだが。
 その為か、女子グループの中では、彼の事は“意地っ張りな弟”扱いとなっていた為、岬はさらに意固地になっていた所は有る。それが更に意地っ張りな弟扱いに拍車を掛けていたわけであるが。

 そんな岬が女装姿で自分の前にいる事が、彼女には不思議でたまらなかった。

「……何でそんな恰好? もしかして性一致障害?」
「ん? ただのドッキリ」
「……ドッキリって」

 その為だけに女装姿で駅前まで出て来たのかと考えると、何やっての? と思わなくはない。

「それと、臣ちゃんなら、こう言うタイプの娘が好きかなって」
「こう言うって、男の娘?」

 確かに、一瞬ドキリとはしたが、女装した男の子を愛でる趣味は臣には無い。

「んー、ちょっと違うんだけど、まぁ良いよね?」
「いや、一つもアタシの疑問に答えて無いんだけど?」
「そう言えば、女の子同士のキスってノーカンだって言うけど、ホント?」

 唐突な話題変換に臣が首を傾げる。
 確かに学生時代の事を思い出すと、遊び半分でキスをする事も有ったが、全てはスキンシップの内だろう。実際、きわどい所は有っても決定的に唇同士と言う事は無い。

「そう言う所は有るけど……」

 そう言った、臣の顔に影が落ちる。
 湿った感触に、臣は思わず動きを止めた。

「誕生日プレゼント」
「は? はい?」
「貰ったから」

 臣の顔が赤く染まり、頬が熱を持つ。

「ちょ、あんた!!」
「ノーカンでしょ? 今は……」

 その為に態々岬は女装をして来たのだろうか? そんな事を臣は思う。だからと言って許容できる訳ではない。そもそも、岬は男性なのである。
 ただ、そう言えば今日が彼の誕生日だったと、その時初めて臣は思い出した。
0283この名無しがすごい!
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2020/05/31(日) 18:16:28.36ID:XIKbf8wZ
【ディスタンス】(3/3)


「だからって……」
「僕は臣ちゃんが好きだよ? 君は僕が嫌い?」
「そう言う聞き方は、ズルい……」

 そう臣が言うと、岬は悪戯っぽく笑みを浮かべた。

「ねぇ、遊びに行こうよ、久しぶりに会ったんだし」

 屈託なく言う岬に、臣は溜息を吐く。

「良いわよ、でも、条件があるわ」
「うん?」
「女装は止めて」
「うん」

 ******

 数分後、ちゃんとした男性の姿で岬が戻って来た。昔よりもがっしりとして見える体躯には、先程までの女性じみた雰囲気は無くなっている。
 それでも、その面影は確かに同じであり、知らずに臣は自分の唇を指先で詰っていた。

「じゃ、行こうか」

 先程とは違うテナーボイス。男性としては高めではあるが、岬には良く似合っている。
 臣の心臓がトクンと鳴る。

「ちょっと、待って」
「うん?」

 首を傾げる岬に手を伸ばすと、臣は彼の頬に唇を押し付けた。

「……臣ちゃん?」

 少し惚けた様な岬の呟きに、頬を真っ赤に染めながら視線を逸らして臣が言う。

「これは、ノーカンじゃないから」
「うん」

 手を繋ぎ、誰も居ない道を歩く。
 上機嫌な岬の横顔をチラ見しながら、臣は(永久就職でも良いかな?)と、思った。
0284三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 22:09:54.05ID:QHtHuJhk
お題→『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』締切

【参加作品一覧】
>>259【懐かしのシチリアへ】
>>276【闇の終わりと、はじまり】
>>277【イセイの街】
>>281【ディスタンス】
0285三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 22:11:55.56ID:QHtHuJhk
では今回も通常お題5つですー

お題安価>>286-290
0287この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 22:12:26.06ID:bO21dMWG
ゲップ
0288この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 22:14:25.92ID:UL19l4Wo
エクスタシー
0289この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 22:16:00.73ID:bPuvjKxA
メイド
0291三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 22:43:38.30ID:QHtHuJhk
☆お題→『アンドロイド』『ゲップ』『エクスタシー』『メイド』『オートマータ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→6/7の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0292三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 22:45:39.73ID:QHtHuJhk
今回も結構早いな・・・

前回は沢山のご参加、と言っても+2作ですがw、ありがとうございました
スレの今後は分かりませんがー、引き続き当スレをよろしくですー
0293三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/05/31(日) 22:47:44.42ID:QHtHuJhk
>>281
なんか最終的にはイチャイチャしてるだけの話が来たw
『過疎』の街、『たこ焼き』を食べ『ダブルミーニング』、『女装』した彼の『誕生日』
都会と田舎の距離・・・過疎の描写がわろえない・・・w
0296この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 23:25:09.60ID:XIKbf8wZ
>>293
感想有難うございます
考えまくって書けた話がこれと言うorz
過疎描写は東京近郊の駅前の街がモデルですw
0297この名無しがすごい!
垢版 |
2020/05/31(日) 23:35:34.59ID:XIKbf8wZ
>>294
空中都市の騎士と言った所でしょうか
果たして、オートマータを差し向けているのは何者なのか?
そして主人公の本当の名前はw!?
0298この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/01(月) 05:29:59.42ID:chf+vfOR
>>278-280
感想ありがとうございます。
作者名の件は初めて知りました。運営がまさかこんな卑劣な罠を仕掛けているとは…。

>>294
早っ!
もしかして最速記録じゃないか?
ほんと速筆の方が羨ましい。
人類が空に住んでて上ではなく下を指向して生きているというのは中々面白い設定でグッときました。
0299この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/01(月) 06:21:38.82ID:chf+vfOR
>>281
こっちが恥ずかしくなるくらいのイチャイチャ。
前回のシンディーシリーズの女装も美人だったし、小汚い女装に需要はないのね。
幼馴染みの男女、久しぶりの再会、女顔ここまでは一緒なのにこうも差がつくとは…。
0300この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/01(月) 08:20:46.72ID:5A9EUBo7
>>299
感想、有り難うございます
最初はそれほどイチャイチャさせる予定ではなかったのですが、なぜこうなったのかorz
自分の中でのビジュアルイメージは、うたたね○ろゆきでした
0301この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/01(月) 09:27:42.15ID:acHcUQEr
>>297
感想ありがとうございます!
無人機=オートマータで通ってよかったです笑
和名で考えてて、適当に打ってたらモィミになったので訛り設定が湧きました
>>298
ああいやその……!だいぶズルで!
ちょうどお題見る前から途中まで書いてたんですよねこれ、前に一時間ちょいでタイムアタックしたことはあるのでそれと同じくらいだと思います
空って良い舞台ですよね、ツインスター・サイクロン・ランナウェイとか意識してました
0302三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/01(月) 19:31:05.99ID:f/9ny0Zs
>>294
タグに『お題スレ投稿作品』を入れてください(他スレでの自作晒しと同等のルール)
それでまぁ、転用にしても速いと思いますが・・・w
ガジェット感?も分量もありつつ、スピーディーで読みやすい話に仕上がってますねぇ
0303この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/01(月) 21:38:19.92ID:acHcUQEr
>>302
すみません、入れてきました!
順調にリハビリができてきて嬉しいです、前もここで書いてたら長編書けるようになったのでまたがんばりますー
0304この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/02(火) 19:06:50.75ID:O3GHnAr0
>>291
使用するお題→『メイド』『オートマータ』

【恐怖のカラクリ人形】(1/3)

「ハァ、ハァ…!なんて鬱陶しいヤツなのかしら!!」

綺麗な満月に照らされる深夜の荒野の中を、一人の着物姿の女が腕から血を流しながら走っていた。
どうやら何者かに追われているようだ。

・・・・・・・・・・

まだ空気がヒンヤリとした早朝の荒野を、さすらいの女ガンマン・シンディが愛馬のサンセットに跨って颯爽と駆け抜けていた。

「サンセット、止まって!」

遠くに誰かが倒れているのに気付いたシンディは、サンセットを止めて背中から降りて歩み寄る。

「ま、まさか!!」

着物姿でタヌキのお面を被った女、まさに見覚えのあるその姿はライバルである女サムライのシグレだった。
頭や腕、足から血を流し、意識が朦朧としている状態だった。

「シグレ!しっかりして!!」

すぐにシンディは自分のコートやスカーフを破き、それらで止血し手当てをする。

「ん、うぅ・・・」

数分後、シグレの意識が回復し、シンディの姿を認識する。

「シ、シンディ、あ、あなたなの?」
「シグレ、目を覚ましたのね!よかった!」

シンディは嬉し涙をポロポロ流しながら、シグレをギュッと抱き締める。

「あなたの身に一体何があったの?こんなに傷だらけになっちゃって」
「どうやら私に恨みを持つ誰かさんが、私を殺すために刺客を送り込んだみたい・・・」
「し、刺客?」
「おっと、そこまでだシグレ!」

突然シグレの名を呼ぶ謎の声が聞こえてくる。よく見ると、近くの崖の上に一人の男が立っていた。
その男はシグレと同じように着物を身につけていた。

「おや、女ガンマンのシンディも一緒じゃないですか。あんた、シグレと知り合いだったんですね。こりゃあビックリだ」
「あんた、一体誰なの!シグレになんて酷いことをするの!」
「うるさい女だ。おっと申し遅れた、我輩の名はアカミネ。カラクリ人形職人である」
「カ、カラクリ人形?」
「まあ、このアメリカではオートマータと呼ぶべきか」

するとアカミネと名乗る男の隣に、キコキコと音を立てながら木製のロボットのような物体が現れた。

「あ、あのカラクリ人形にやられてしまったの。自慢の斬撃が一切通用しない、手強い相手だったわ」
「我輩の可愛いマサコにやられるがいい。いけっ!!」
0305この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/02(火) 19:07:42.66ID:O3GHnAr0
【恐怖のカラクリ人形】(2/3)

マサコと名付けられたカラクリ人形が崖から思いきりジャンプし、シンディに接近してきた。
マサコの体から突然、銃口のような装備が露わになり乱射を始める。

「そんな銃撃で私に対抗しようってわけ?出直してきなさい!」

シンディはマサコの乱射を軽い身のこなしで回避し、一瞬の隙を狙って発砲する。
しかし、銃口から勢いよく放たれた弾丸はマサコの体に傷一つつかなかった。

「ど、どうして?ただの木製なのに銃撃が効かないなんて・・・!」
「マサコは、日本の丈夫で厳選された樹木で作られた我輩の最高傑作!メイド・イン・ジャパンの恐ろしさを思う存分味わうがいい!」

斬撃も銃撃でさえも一切通用しない、その無敵なカラクリ人形の前には、刀や銃なんてもはやただの玩具にしか過ぎない。

「もうこうなったら、取っ組み合いで勝負するしかないわね」
「シ、シンディ、無茶はやめて!」
「心配しないでシグレ。私は負けないんだから」

手に持っている銃を放り投げると、シンディはマサコに走り寄り、勢いよくパンチをする。
少しではあるがマサコの体がグラグラと振動する。

「ガンマンは銃撃だけが得意だと勘違いしないで。銃撃を極めるには、体術もしっかり鍛えないと意味がないのよ!」
「怯むなマサコ!その生意気な女ガンマンを容赦なく潰してしまえ!」

マサコも体術でシンディに攻撃するがいくら頑丈とはいえ、鈍くてぎこちない動きでは生身の人間に追いつけるはずがなかった。

「動きがトロいわ!ほらドンドンいくわよ!」
「マサコ!負けるな!」

シンディの俊敏な動きから繰り出される連続パンチに、マサコは一切立ち向かうことができずタコ殴りにされる一方だ。
するとシンディは、マサコの胸にある赤い歯車に気付く。

「それが心臓ね。心臓さえ壊せば、何もかも機能が停止する!」

シンディは勢いよくジャンプする。

「私、どちらかというとキックの方が得意なの!自慢の飛び膝蹴りを食らいなさい!」

右脚による膝蹴りが命中するその数秒前、マサコが回避したせいで、シンディはその後ろにある岩に思いきり膝をぶつけてしまう。

「グ、グヮッッ!!」

右脚からボキッと骨が砕けたような鈍い音がする。膝から血が流れ出し、シンディは身動きが取れなくなってしまう。

「マヌケな女ガンマンだ!そんな派手な大技を無闇に繰り出そうとするからそうなるんだ!今がチャンスだマサコ!」

アカミネがシンディの失敗を見て嘲笑う。マサコが負傷したシンディに近づいてくる。
もはや一巻の終わりかと死を覚悟したその時、ふと何かを思い出しブーツの方に目を向ける。
そう、以前金物屋のエリィことエメットから受け取った金色に美しく輝く拍車だった。

「(これなら・・・!!)」

マサコがもう数センチ目の前に近づいてきた瞬間、シンディは力を振り絞って左脚を振り回し、その黄金の拍車を彼女の歯車に勢いよくぶつける。
歯車は粉々に砕け、マサコはガガガッと音を立てて暴走し、そのままアカミネの方にビューン!と飛んでいった。

「うわわわわ!こっちに来るな!」
0306この名無しがすごい!
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2020/06/02(火) 19:08:30.60ID:O3GHnAr0
【恐怖のカラクリ人形】(3/3)

ドカーン!とマサコは大爆発を起こし、それに巻き込まれたアカミネはあっけなく絶命してしまった。

「や、やったわ!」

安堵し、地面に背をつけるように倒れたシンディにシグレが咄嗟に駆け寄る。

「シンディ、あんたって人はもう。どうしてそんな無茶をするの、勝てたからよかったものを」
「アメリカのガンマンというのは、死を恐れた時点で負けなのよ」

その後、小さな川のほとりでシグレはシンディの負傷した右脚を手当てする。

「ほら、そのまま足に水をつけて動かないでじっとして」
「心配しすぎよシグレ。骨折なんて旅を始めてから、もう何度も味わってきたわ」

ブーツを脱ぎ、ジーンズを捲りあげて見えるそのスラッとした脚には、生々しい傷の跡でいっぱいだった。腕も同様だ。

「そういえばあのアカミネって奴、一体何だったの?」
「実はね・・・」

シグレは、生まれ故郷である日本において「居合の化身」と恐れられており、シンディと同じくさすらいの旅を続けていた。
旅をする一方で、とある町を訪れた時、悪政を働き、善良な庶民を苦しめる大名や殿様を許せずに容赦なく斬り倒したのがきっかけでお尋ね者となり、
その追っ手から逃れるために日本を飛び出し、小さな小舟で荒れ狂う波を乗り越え、ここアメリカに逃げてきたのだ。

「これまで私を狙う刺客は現れる度に斬ってきたけど、まだまだいるから安心はできない」
「私と境遇が似てるわね。私も結構、多方面から恨みを買って狙われてるけど絶対に負けない、そして屈しない」
「その素直で前向きな心意気、さすがアメリカのガンマンね」
「エヘヘ、照れちゃうわね」
「今回は助けてくれて本当にありがとう、シンディ」
「そんなにかしこまらないで。私だってあなたに命を救われた身なんだから。それにさ・・・」
「それに、何?」
「ライバル同士お互いに助け合って強くなるのって、すっごく素敵よね」
「私はあまり仲間、というのを信じていないけど、それだけは少し分かるわ。少しだけどね」
「あんまり素直じゃないわね」
「それじゃあ、また会いましょうね・・・」

そう言うとシグレは風と共に姿を消してしまった。
シンディは川の綺麗な水で傷を癒すと翌朝、サンセットに跨って再び旅を始めるのだった。
0308この名無しがすごい!
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2020/06/02(火) 22:42:06.29ID:hbhulP+Y
>>304
『強敵』と書いて『友』と読む関係ですね
そして出てきたのはジャパンからの刺客
次に来るのは、何処の刺客でしょうね?
0309三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/03(水) 14:01:29.20ID:cW+8BIwO
>>304
また毛色の違う敵が来たw、ありそうであんまり見掛けないタイプ
お題の消化も、色々と面白みのある展開も、なかなかユニークで素敵
0310この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/03(水) 14:25:55.07ID:xlITqLXC
>>308
>>309
感想ありがとうございます!
今回はシグレがピンチに陥ってシンディが助ける番となっています。
もうこの2人は親友といっていいくらいの関係ですね、でもライバル同士でありますからいずれ戦う日は来ます
それにしてもシンディは本当に無茶をするものですから見ててハラハラしちゃいますよw
楽しんでいただけて本当に嬉しいです!次回をどうぞお楽しみに!
0311この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/03(水) 14:36:28.64ID:xlITqLXC
>>307
感想ありがとうございます!
あんな銃撃や斬撃が一切通用しない樹木がある日本恐ろしい…と書いてて思っちゃいましたw
まあ、あれはカラクリ職人が相当の手練れだったからこそ生み出すことのできた悪魔の作品ですね
楽しんでいただけて本当に嬉しいです!次回をどうぞお楽しみに!
0312この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/07(日) 00:28:55.96ID:O87CH5t3
>>291
お題:『アンドロイド』『ゲップ』『エクスタシー』『メイド』『オートマータ』

【オートマータはカラクリ羊の夢を見る】(1/3)


 (予想外の出来事が起きると、頭の中が真っ白になるってのは本当なんだなぁ)と、棚子 洋司は考えていた。
 ぼんやりとした薄明かりの灯る地下らしき一室、唐突にそんな場所に放り出された洋司は、茫然と座り込んだまま動く事もできずにいた。

 ……全裸の状態で。

 彼の前面の壁には女性の胸像の様な物が、半ば壁に埋まる様にして存在している。
 いや、壁に埋まる様にと言うのは御幣の有る表現か? その壁の様に見えるソレは幾本もの管であり、配線であり、その中には、まるで鼓動するかの様に、謎の液体やらなんやらが移動しているのだ。
 その様子は、洋司に、かつて見たSF作品で人型インターフェースだと説明されていたアンドロイドのヒロインを思い起こさせた。

(あの作品は、全ての元凶が彼女だったんだっけか……)

 ブルリと身を震わせ周囲を見回す。SFとはかけ離れた、むしろゴシックホラーじみた部屋の様子に顔を顰める。巨大なガラス製らしきシリンダーの中には、クリーチャーと言うよりは魔獣と言った方が良い怪物が封入されていた。

 そこを抜き出せば、あるファンタジーゲームの、魔獣から魔力を抜き出す為の実験室を思い起こさせる。
 (確かあれは、ファンタジー系のゲームの割には近未来風だったな)等と洋司は愚にもつかな事を思い出していた。

「……とにかく、何か着る物を」
 
 そう呟き、のたのたと洋司が立ち上がる。
 一瞬前まで、彼は自宅で至福の時間を過ごしていたはずだった。
 お気に入りのメイド物の動画を観ながら、エクスタシーフィニッシュを決めたと思った瞬間、こんな場所に彼は居たのである。

 どうでも良い話だが、彼は全裸派なのだった。
0313この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/07(日) 00:30:28.71ID:O87CH5t3
【オートマータはカラクリ羊の夢を見る】(2/3)


 ******

 研究室だと言うのなら、白衣くらい置いてあるだろう そんな風に思って色々と探し回ってみたものの、服やそれの代わりになりそうな物は置いて無い。
 とりあえず入口らしき所は見つけたのだが、現代っ子でモヤシっ子な洋司では、どう踏ん張っても開ける事は出来なかった。

 ぐぎゅるうと腹が鳴る。こんな場所に放り出されてからどれ程の時間が経ったのだろうか? 洋司の腹は随分と減っていた。
 食べられそうな物も部屋には無い。もしかすればライトノベルの様に魔獣が食べられるのかもしれないが、シリンダーの中の魔獣を見ると、それを実行する気にはなれなかった。
 それまでは意識しない様にしていたが、こうなって来ると壁の少女像も調べて見なければいけないだろう。
 あの時のSF作品の主人公の様に少女に洋司は近付いて行く。確かあの作品ではゆっくりとアンドロイドの少女が目を開け、主人公との語らいが始まったのだったか。

「でも、突然目を開けられても怖いよなぁ」

 そう、洋司は呟いた。あの主人公はイケメンの特殊捜査官で、臆することなくアンドロイドの少女と相対していたが、それと比べれば洋司は平々凡々なパンピーで、小心者。その上今は全裸である。

 少女像に手を伸ばし、しかし不意に、その直前まで握っていた洋司棒とエクスタシーフィニッシュを決めた時に手に掛かった生命のスープの事が気になり、スンスンと手の匂いを嗅いでみた。
 あの後、結局、拭き取る事すらできていなかった訳だが。

「平気……かな?」
「何ガ平気ナノデスカ?」

 唐突に問いかけられ頭を上げると、胸像の少女と目が合う。

「ひぃ!!」

 その可能性も考えてはいたものの、実際にそうなってしまうと、あまりの恐怖と驚愕に、洋司は腰を抜かしてしまったのだった。

 ******

「成程、ワカリマシタ」

 無表情で頷く少女に、洋司は(どんな状況だよ)と頭を抱えたくなった。
 今、洋司と少女はお互いに膝を突き合わせている。
 へたり込んでしまった洋司をしばらく観察していた少女だったが、、周囲の管や配線をシュルシュルと体内に取り込むと、身体に継ぎ目こそあるものの、美少女と言って過言では無い姿になっていた。
 ただし、事前に洋司が調べていた通り、この部屋に洋服に類する物はなかった為、お互いに全裸である。

 本来であればここに居るはずの無い存在の洋司に対し、少女は質問の嵐を投げかけ、それに彼は分かりうる限り答えた。
 その上で、彼女は何かに納得したらしい。

 ジッと自分を見つめる少女の視線を気にしながらも、気恥ずかしさで洋司は身動ぎをする。
 例え作り物とは言え、美少女にしか見えない相手である。そんな存在が一糸纏わぬ姿で目の前に鎮座しているのだ。気にならないと言う方が嘘だろう。
 だが、相手がまるで気にもしていない状況で、自分だけが意識してしまっていると言うのも何と無く気まずい。
 チラチラと彼女の事を盗み見ていた洋司だが、しかし、次の少女の言葉に思わず絶句してしまった。

「ツマリ貴方ハ、異世界人ト言ウ事デスネ」
「……は?」

 短時間で色々あり過ぎて、洋司はすでにお腹いっぱいでゲップまで出そうだった。その上さらに異世界転移だ。
 もしかしたらテクノブレイクからの異世界転生かも知れないが、新機軸すぎて毒者ですらつかないだろう。

「え? ちょっと待って。え? 異世界? 本当に?」
「私ノ持ツ知識ニ照ラシ合ワセルト、ソウ言ウ結論ニナリマス」
「え? じゃぁ、帰れないって事?」

 最近のライトノベルの展開としては良く有るパターンだ。洋司は、一生この世界で生きて行かなければならないのかと蒼白になった。
 今まで暮らしていた生活の基盤を失うと言う事もさることながら、両親や友人。恋人こそ居なかったものの、残して来た相手は多い。
 それにぼんやりとだが、向こうの世界でやりたい事、やり残して来た事も多かったからだ。
 絶望に顔色を悪くする洋司に対し、少女は無表情なまま口を開く。
0314この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 00:31:11.76ID:O87CH5t3
【オートマータはカラクリ羊の夢を見る】(3/3)


「ソウトモ言エナイカモ知レマセン」

 少女の言葉に、洋司は目を瞠った。

「起因と思ワレル事象ガ有ルノデスカラ、ソレヲ再現シ、ソコカラ何ラカノふぁくたーヲ探シ出セバ良イノデス」

 そう言われ、洋司が直前までやっていた行動を思い出す。

「は? え? 無理! 無理ムリ無理ムリ無理ムリ無理ムリ無理ムリ無理ムリ無理ムリ!!!!」

 少年らしき羞恥心と、目の前に居る美少女の存在。そして彼女の前で致すと言う事に対し、洋司は真っ赤になって首を振った。

「……私ノ存在ヲ問題ニシテイルノデアレバ、オ気ニナサラズ。私はおーとまーたデスノデ、人デハアリマセン。家具ノ様ナ物ダト思ッテクダサイ」

 そうは言われても気にしない方が難しいだろう。何せ彼女は人間にしか見えない、それも全裸の美少女なのだから。
 逡巡する洋司に、オートマータの少女が首を傾げる。
 だが、一瞬後、ポンと手を打った。

「成程、再現と言ウニハ、めいどガ足リマセンデシタネ。確カニ、コレデハ片手落チデス」

 そう言うと立ち上がった少女は、不思議な彩光を指先に灯し、幾何学的な文様を空中に描き始める。と、彼女の周囲に光が集まり、少女の身体がメイド服に包まれた。

「サア、御存分ニ私ヲオ使イニナッテ下サイ」
「お使いにって!! いや、それより、それ、どうやったの!?」
「魔法デスガ、何カ?」

 狼狽えながら平生を保とうとする洋司だったが、しかし少女は、彼が確かにメイドに反応した証拠を見逃さなかった。

「成程、体ハ正直……ト言ウやつデスネ」
「どこでどんな言葉覚えたの? 君、オートマータなんでしょ!?」
「世ノ中ニハ、家具ニ欲情スル変態モイラッシャルノデスヨ」
「知りたくなかった! そんな情報!!」
「ホラホラ、ココハコンナニナッテイマスヨ」
「い〜〜〜やぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 もしかしたら、彼女は全て知っていてやっているのでは? と言う疑念が洋司に湧き起る。それこそ、かつて見たSF作品の様に。

「ドウシタノデスカ? 嫌ト言イツツモ、ココハコンナニ」
「ら、らめええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 人里離れた洋館に、少年の嬌声にも似た悲鳴が響き渡った。

 ******

 この後、洋司が無事、元の世界に戻れたのかは定かではない。
0315三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 22:02:18.73ID:d4D3eHqm
>>312
感想遅れましたが、お題そのまんまの話^^;
別に元の世界に戻れなくても、ある種の夢があるw
0316三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 22:09:08.37ID:d4D3eHqm
お題→『アンドロイド』『ゲップ』『エクスタシー』『メイド』『オートマータ』締切

【参加作品一覧】
>>294【空の果て、軌道都市、二人】
>>304【恐怖のカラクリ人形】
>>312【オートマータはカラクリ羊の夢を見る】
0317三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 22:11:46.97ID:d4D3eHqm
では、、企画を忘れてたわけではないのですが・・・通常お題5つで

お題安価>>318-322
0318この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 22:12:25.25ID:e5S5PYAY
グッドダンス教団
0319この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 22:13:30.38ID:mdmzqL4U
目玉焼き
0321この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 22:18:11.45ID:1C4GUAXP
『あんハピ』
0322この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 22:24:08.25ID:zU0QxTht
スミロドン
0323三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 22:27:17.47ID:d4D3eHqm
☆お題→『グッドダンス教団』『目玉焼き』『コロシアム』『あんハピ』『スミロドン』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→6/14の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0324三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 22:34:16.61ID:d4D3eHqm
ちょうはやい

謎の固有名詞2つ、進行的にはお前かよ古代生物1つ
ともかく、、引き続きお題スレをよろしくですー
0325この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 23:34:20.74ID:O87CH5t3
>>315
感想有難うございます
オートマータメイドの出てくる作品、多いですよねw
その一方、アンドロイドと言えばスマホのOSがメジャーに……
18禁に成らない程度に下ネタを攻めたのですが、不快に感じる方がいらっしゃったのなら、申し訳ないorz
0326この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 23:58:02.16ID:d4D3eHqm
>>253
スレ6→294の続編、前々回お題作品です

使用お題→『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』

【彼女たちと僕の一日】(1/3)

 ここは迷宮の第六層。

「わわわきゃっ! 魔法使いさまー、やっぱりっ、ちょっとっ、無理ですー! 攻撃が重いですー!」
「やっぱり無理かー。ファイアボール!」

 小さなドワーフの少女が、大きな盾で、オーガファイターの拳を受け止めている。
 単調で工夫のない攻撃だが、両手で盾を支える彼女、新人探索者のカリンは、相手の腕力に対して力負けしているようだ。
 そんな彼女を尻目に、僕は後衛のゴブリンメイジに集中する。

「あわわわ、助けてっ……あっ、ありがとうございます、ダリアさん」
「いえ、あとちょっとだけ耐えてくださいね」

 横でレッドゴブリンの相手をしていたダリアが、一度だけオーガファイターに斬り付けた。
 途端にオーガファイターの動きが鈍る。竜人の剣か、ドワーフの盾か。分かりやすく迷っている。

「ファイアボール! ……当たらない!」

 今日は調子が悪い。魔法三発で倒せるはずの相手に、六発も費やしてしまった。
 ダリアは既にレッドゴブリンを片付けて、カリンと二人でオーガファイターを囲んでいる。
 カリンの後ろから魔法を連発する。オーガファイターは四発目で息絶えた。

「あ、危ないところでした。ダリアさん、魔法使いさま、ありがとうございました」
「いえ、やっぱり第六層は、私たちには早かったようですね」
「ごめん、なんか調子悪くてさ。魔法が当たらなかった」

 ダリアが、いつもと変わらない表情を僕に向ける。

「第六層からは、ゴブリンたちの動きが素早くなります。魔法が当たらないのは、きっとそのせいです」

 そうなのか。なんかそんな気はしてた。

「今日はもう上がった方がいいでしょう。カリンさんはお疲れでしょうし、ご主人様の魔力切れも心配です」

 不慣れな階層で、経験者の言葉に逆らう理由はない。僕たちは来た道を戻る。
 各階層の入り口には転送装置があり、迷宮ギルドの係員が待機している。
 人もゴブリンもいない通路の先。暇そうに突っ立っている人影が、僕たちの心を落ち着かせる。
 三人分の手数料を支払って、僕たちは地上へと帰還した。

 *

「なんか、初めて迷宮都市に来た時のことを思い出します」

 地上の雑踏を目にして、そんな言葉がカリンの口から飛び出した。

「どゆこと?」
「……私の故郷って、すっごい過疎の村だったんですけど。第六層みたいな。第五層は、まだ人がいたじゃないですか。だけど第六層は、人がすごく少なくて」

 どこか遠くを見る目で、そんなことを語り始めた。

「今、地上に出てきて。ああ、私って、こんな都会にいるんだって。ここで頑張るんだって。そう思っちゃいました」

 彼女なりの詩情、とでも言うのだろうか、僕にはよく分からなかった。
 ダリアはどう思ったんだろう。
0327この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 23:58:29.77ID:d4D3eHqm
【彼女たちと僕の一日】(2/3)

 僕たちは大通りを歩く。少し早く切り上げた分、まだ日が高い。
 人々の熱気と、照り付ける西日。暗くて涼しい迷宮からの、大き過ぎる変化だ。頭がくらくらする。

「ブレイズオクトパスのたこ焼きだよー! 第十三層のたこ焼きー」
「へー、おいしいんでしょうか。おいしいなら食べてみたい。ダリアさんは、食べたことありますか?」
「いえ、私は、ああいうのは」

 くらくらしているのは僕だけのようだ。
 ダリアは迷宮ギルドから借りている奴隷だが、カリンは違う。
 彼女は、つい最近、ここ迷宮都市にやってきたらしい。探索者になって一旗揚げるために。
 力が強くて体が丈夫なドワーフ。武器の扱いに長じた者も多く、仲間にいれば心強い存在だ。

「魔法使いさまは、たこ焼き、食べたことありますか?」
「いや、僕もないよ。食べてみようか」
「はい!」

 三人分のたこ焼きを買った。ぶつ切りを串焼きにしたものだ。吸盤の形が生々しい。

「お代ですけど」
「いいよいいよ、僕のおごりで」
「わあ、ありがとうございます! 実は私、もうすぐ誕生日なんです」

 そう言って、屈託のない笑顔を向けてくるカリン。この性格、それに顔も結構かわいいので、僕はどきどきしてしまう。

「少し早めの誕生日プレゼントですね。ありがとうございます!」
「いや、どういたしまして。誕生日かー。実は僕も、もうすぐ誕生日なんだよね」
「そうなんですか! おめでとうございます!」
「それは……おめでたいですね」

 いや、まだ誕生日じゃないし……カリンはともかく、ダリアさん? そんな目で見ないで!

「……ご主人様、ちょっと場所を変えましょう」
「うん? どした……ああ、分かった」
「どうしたんですか?」

 *

 人込みを避けて、裏通りを歩く。

「ふゎ……これ、硬いです……」
「あんまりおいしくないね」
「おいしいですよ! でも、食べにくいです……。ところで」

 たこ焼きを手にしたカリンが、気になっていたであろう疑問を口にする。

「さっきのは……どうしたんですか?」
「うん、あれね」

 ダリアが『場所を変えましょう』と言ったことだ。

「僕ってさ、どう見える?」
「どう、って……立派な魔法使いさまに見えます」
「そうだね。立派かどうかはともかく、ちょっと……調子に乗ってるように見えるでしょ」
「はあ」

 以前の僕であれば、ダリアと並んだ時、彼女が主人で僕が従者のように見られていた。
 今は違う。装備も服装も良くなった。前と比べれば、だが。
 身に着けている物だけは、人を使う『ご主人様』、パーティーで一番偉い『魔法使い様』らしく見える。
0328この名無しがすごい!
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2020/06/07(日) 23:59:00.79ID:d4D3eHqm
【彼女たちと僕の一日】(3/3)

「分不相応に見えるんだよね」
「どういうことですか?」

 うーん、なんて説明しよう。その時、ずっと黙っていたダリアが口を開く。

「若くて羽振りのいい探索者が、女を連れて遊んでいるように見える、ということです」
「そんな!」

 カリンは、心外だ、とでも言いたそうな、いつもの彼女からは想像も付かないような、本当に嫌そうな表情を浮かべた。

「はっきりとした敵意までは感じませんでしたが、用心するに越したことはありません」

 ダリアがそう続けると、カリンは一転して悲しそうな顔をした。

「それは……きっと私のせいです」

 新人であるカリンが、僕たちと一緒にいる理由。それは迷宮ギルドからの紹介、もっと言うと、彼女の面倒を見るように頼まれたからだ。

「私、クビになっちゃいますか?」

 彼女は最初、同じような新人同士で、男女混成のパーティーを組んでいたらしい。それで迷宮の第一層や第二層で戦っていた。
 彼女には最初から問題があった。ドワーフなのに、武器の扱いが下手なのだ。
 剣もハンマーも、長いのも短いのも。唯一まともに扱えたのが、両手で支える大型の盾だった。

「まさか。クビになんてしないよ」
「カリンさんがいなければ、第六層には進めません」

 第五層から、特に第六層よりも先では、敵の攻撃を受け止める役が必須となる。だが、浅い階層では、いてもいなくても同じだ。
 しばらくの間は、それでも必要とはされていたようだ。ただそれは戦力としてではなかったのだろう。
 ある時、何かいざこざがあって、彼女は迷宮の中に置き去りにされた。
 そのまま身動きが取れずにいたところを、ギルドの巡視員に保護されたのだった。

「でも、私のせいで、魔法使いさまが悪く見られるんですよ」
「そんなことないって。気を付けてれば大丈夫だから」

 優しく言い聞かせるが、納得できない様子だ。

「でしたら」

 ダリアが出し抜けに声を上げた。

「いえ、やっぱり駄目ですね」

 そう言って僕の顔を見詰める。

「何かな?」
「なんでもありません」

 そう言いつつ、なおも僕から目を離さない。こんな彼女は初めてだ。

「本当に、どうしたの?」

 重ねて問い掛けるが、それでも彼女は口を閉じたままだ。僕が立ち止まって、彼女の瞳を見詰め返すと、それでようやく観念したらしく。

「……その、女装、なんていかがでしょう。ご主人様が女装をすれば、女三人で好き勝手しているように見えるかも知れません」
「わあ、それ素敵です!」

 ……しないよ? 女装。
0329三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/07(日) 23:59:44.78ID:d4D3eHqm
前回お題を見てからとかではなく、いつもの遅刻常習犯です><

書くに当たって女内密さんを読み返したんですが、やっぱり面白いんだよなぁ・・・
0333この名無しがすごい!
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2020/06/12(金) 02:08:30.98ID:WD0oIQNL
リレーやるのであれば参加はできる、かも?
他の企画を募るとかでもいいかもですが
0334三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/12(金) 12:26:02.85ID:iQRfZApf
リレーかー

こないだ全力で滑ったばかりだけど、他に案がなければやりましょうw
0335この名無しがすごい!
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2020/06/12(金) 21:06:45.82ID:w0Klr3ad
>>323
使用するお題→『目玉焼き』『コロシアム』

【姉弟の仁義なきバトル再び?】(1/3)

「僕、お姉ちゃんのこと嫌い!」
「私だってケンスケと話もしたくない!」
「こうなったら、本気で決着つけるしかないね」
「負けた方は勝った方に絶対服従ってルールで問題ないわよね?」
「ああ、一度決めたことに二言は無いよ」

いきなりだが何故このような展開になったのか。その発端は今朝の朝食だった。

「「お母さんの目玉焼き美味しい!」」

姉弟が母の作った目玉焼きを楽しんでいた時のことだ。

「目玉焼きにはやっぱりケチャップがピッタリよねー」
「僕はマヨネーズだなあ」

カナミが目玉焼きにケチャップをかける一方で、ケンスケはマヨネーズをかける。

「私、いつも思うんだけどさ。目玉焼きにマヨネーズって卵に卵をかけるようなもんよね、何か変な感じ」
「えっ、目玉焼きにマヨネーズって結構合うよ。卵に卵をかけるってのは確かにそうだけど、変な感じってことはないんじゃない?」
「私はちょっと理解し難いと思うなあ。目玉焼きにはケチャップでしょ、白に赤で見栄えが良いし」
「お姉ちゃん、マヨネーズ派をバカにしているの?」
「べ、別にバカにしているわけじゃないわよ」
「もう頭に来た!お姉ちゃんなんてもう知らない!」

ケンスケは目玉焼きを一気に放り込んで食べ、牛乳をグイッと飲み干すと不機嫌そうに食卓から出て行った。

「きゅ、急に何を怒っちゃってるのよ・・・」

その後、早めに宿題を終わらせたカナミはケンスケの部屋へと向かう。

「ケンスケ、一緒にゲームして遊ばない?」
「・・・・・」

ケンスケは無視するかのように姉の言葉に一切反応しない。

「ねえケンスケ、聞いてるの?」
「僕は今、虫の居所が悪いんだ」
「マヨネーズのことで怒ってるの?」
「そうだよ!せっかく美味しく食べてる時にあんなこと言われちゃ怒るよ!」
「だからっていつまでも不機嫌になることないでしょ!」
「あーもう怒った!こうなったら本気で喧嘩だ!」
「喧嘩?いいわ、そっちがその気なら受けて立つわよ」

・・・ということで姉弟の仁義なき?バトルがまたも勃発したのだ。
あの時と同じくカナミの手にはピコピコハンマー、ケンスケの手にはマジックハンドと互いに愛用の武器を持っていた。
0336この名無しがすごい!
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2020/06/12(金) 21:07:49.68ID:w0Klr3ad
【姉弟の仁義なきバトル再び?】(2/3)

「負けたらずっと服従、この言葉絶対に忘れないでよ」
「私に勝てるつもりでいるの?甘いわね」
「そう言っていられるのも今のうちだよ、お姉ちゃん。いやカナミと呼ぶべきか」

今のケンスケはカナミを「お姉ちゃん」と呼ばず、赤の他人として見ていた。
家の中はさすがにまずいので、広い裏庭で戦うこととなった。両親は今は買い物に出かけていて不在だ。

「この裏庭は今は戦場、そう"コロシアム"だ」
「最後に笑うのはどちらかしらね?」

いざ姉弟の仁義なきバトルがスタートした。互いに一歩も引かない、互角の戦いを繰り広げる。

「あら前よりもかなり腕を上がってるわね、感心しちゃうわ」
「嫌味でも言ってるつもりかい?前の僕と同じと思ってちゃ、今に痛い目に遭うよ」

体力に自信が無く、長期戦が苦手なケンスケはとにかく早めに決着をつけようと考えていた。
自慢の俊敏な動きでマジックハンドを駆使し、カナミのポニーテールをギュッと掴む。

「グッ!髪を掴むなんて汚いと思わないの?」
「ふん、戦場に綺麗も汚いもないよ!勝てば全てなんだよ!」

ポニーテールを掴まれて一瞬怯むも、カナミは自慢のピコピコハンマーで負けずに応戦する。
5秒に20発も繰り出されるピコピコの猛攻に、ケンスケは思わず受け身になってしまう。

「ほらほら!容赦なんて一切しないから覚悟しなさい!」

カナミはやはり強かった。マジックハンドではピコピコハンマーに勝つのはキツい、ケンスケはそれを痛く実感した。
バトルが始まって既に2時間が経過していた。

「ハァ、ハァ!」

ケンスケはとうとうスタミナ切れを起こし、その場にバタンと仰向けに倒れてしまった。

「初っ端から飛ばしすぎたんじゃないかしら?ホント詰めが甘いよね。さあ、これが最後の一撃よ!」

カナミのピコピコハンマーがケンスケに迫ってくる。

「甘いのはどっちの方かな?」

ケンスケは近づいてきたカナミの足に向かって、思いきり足払いを食らわせて転倒させる。

「うわっ!!」

カナミが転倒した瞬間、ケンスケは素早く体を起こして飛びかかり、動けないよう彼女を押さえつける。

「ま、まさかこれを狙って、わざと一方的に攻撃を受けてやられたフリをしてたのね!」
「そうだよ。ここは戦場だよお姉ちゃ、いやカナミ。正々堂々とか卑劣なんて一切関係ないんだよ!」

ケンスケはゲラゲラ笑いながら、カナミのポニーテールを引っ張ったり、こめかみをグリグリしたり、頬をペチペチ叩いて楽しむ。

「アハハ、愉快だ愉快!僕の勝利だ!僕に一生服従、跪いて忠誠を誓うがいい!」
0337この名無しがすごい!
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2020/06/12(金) 21:08:53.99ID:w0Klr3ad
【姉弟の仁義なきバトル再び?】(3/3)

すると一瞬、ケンスケは今朝の事をふと思い出してしまう。
姉に目玉焼きにマヨネーズなんて少し変って言われただけで何故か怒り、このようなバトルに発展させてしまったことを。
本当に些細なことなのに、そこまでブチギレるようなことじゃないのに・・・そう考えると
次第に今の自分が酷く愚かに思えてしまい、目から涙をポロポロと零し始めた。

「ウッ、ウッ・・・」
「ケ、ケンスケ、どうしたの?」
「お、お姉ちゃん、そ、その、ご、ごめんなさい」

ケンスケは涙を流しながら、カナミに謝罪する。

「マヨネーズがどうのこうのとか些細なことなのに、こんな喧嘩を始めちゃって本当にごめんなさい」

ケンスケはすぐに倒れていた姉の体を起こし、服についた砂埃を払って落とす。
泣いて謝る弟にカナミはニコッと微笑んで全てを許し、頭を優しく撫でる。

「全然気にしてないよ。それに私もあの時バカにして本当に悪かったわ」

そもそも目玉焼きにマヨネーズをかける弟をからかった自分自身が、この喧嘩の元凶であるとカナミはしっかりと理解した。

「ほらもう泣かないで。ハイ、喧嘩はもう終わり!」

家の中に戻る姉弟。その後、何事も無かったかのように仲良くゲームして遊び、夕食を食べ、リビングで寛ぐのだった。

「お姉ちゃん、あの・・・」
「どうしたのケンスケ」
「あの時、強く足払いして倒してしまってごめん。痛くなかった?」
「あー、あれのこと?」
「骨が折れてたらどうしようかと思ってさ」
「大丈夫よ、私は軟弱じゃない。でも結構気迫感じたわね、あの時は」
「本当に今日はごめんね」
「だーかーらー、もう気にしてないって!」
「で、でもね」
「でも何なの?」
「お姉ちゃんの頬をペチペチするの楽しかったなあ」
「ふーん、今度は私がペチペチしてやろうかしら?」
「あーそれだけはご勘弁を!」

顔を合わせ、姉弟はアハハと笑い合うのだった。
0339この名無しがすごい!
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2020/06/13(土) 14:54:42.76ID:eYkCgL9a
>>338
感想ありがとうございます!
5秒に20発、小学生といえどそのパワーは侮れないということですねw
あと自分は目玉焼きにはマヨネーズ派です(どうでもいい)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0340この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 00:25:39.36ID:g9afxDtx
>>335
食べ物のこだわりは、派閥を作りますからねw
どんなな事でも、気にしている時に些細な事扱いをされてしまえば気分を害してしまいますから……
それでも、最後に謝れるのは心の強い証拠だと思います
0341この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 18:08:19.39ID:g9afxDtx
>>323
お題:『グッドダンス教団』『目玉焼き』『コロシアム』『あんハピ』『スミロドン』

【陰キャさんと陽キャさん】(1/2)
 自分の名前は門前 霞と言うでござる。覚えて貰わなくても構わない程度のヲタ女でして、いや、そんな事は誰も聞きたいとは思えない事でしたな、申し訳ない。
 あ、さて、前置きはこれ位にして、本題に入った方が良いでござるな。諸兄の貴重な時間を無駄に使わせる価値など無いのに、全く申しわけない!

 昼休みと言うのは各々の属性がもろに出る時間で、自分の様な陰キャは、教室の隅で内に籠るのが御似合いと言うか何と言うか……

 自分は『あんハピ』の単行本で隠す様に、お弁当の目玉焼きをフォークで……ああ、『あんハピ』とは、いわゆる『き〇ら系』マンガで(注 マ〇ガタイムと言う四コマ誌の派生雑誌、『き〇ら』の名を冠する幾つかの雑誌の系統)ヒロイン達“不幸系女子”の境遇が、自分にとって共感し易く、マイフェバレットでイチオシの全自分が泣いた! 堂々一位の(以下略)

 は! 本題からズレてしまったでござる! 申し訳ない!!

 ええっと、取り敢えず、自分は今、もぐもぐと目玉焼きを食べながら単行本をブラインドにして、教室中央で親指を立てて人に迫っている『グッドダンス教団』をやってる一団を盗み見ているのでござる。
 ああ言う“感染芸”を人前で恥ずかし気もなくやれるのがリア充のリア充たるゆえんでござるな! 羞恥心と言う物が無いのだろうか?

 おっと、自分の暗黒面が。鎮まるでござる、鎮まるでござる……

 いや、別に羨ましくなんて無いでござるよ? 他人に合わせて気を使ってなんて芸当、ボッチを極めたと言って良い自分にはとてもとても。

 は! そうでござった、それが本題ではなかったでござる。

 そんなリア充達の、さらにその中心に居る、綾峰 沙也氏の事を自分は観察しているのでござる。
 いやいや、勘違いしないで欲しい。別に自分は百合と言う訳でもストーカーと言う訳でもござらん。
 まったく最近は、自分の様な陰キャが彼女等の様な陽キャを見るだけで、ストーカーだのなんだのと、視線が合っただけで「キモイ」とか「見られてんのマジうける」とか、いい加減にして欲しいでござる!!

 おっと、自分の暗黒面が再び。鎮まるでござる、鎮まるでござる……

 ええっと、そうでした。実はこの沙也氏、実は自分の中で“オタ女”疑惑が出ているのでござる。
0342この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 18:09:17.13ID:g9afxDtx
【陰キャさんと陽キャさん】(2/2)


 あくまで“オタ女”。ヲタを極めた“ヲタ女”とはちょっと違う。
 ここを間違えたら殺し合いでござるのでお間違えない様。
 もし間違えらた、ちょっとコロシアムで殺し合いを……ぶふっ!!

 これは、“コロシアム”と“コロシアイ”が一字違いでしかないので、それを掛けたと言うギャグでござる。

 大爆笑して貰っても構わないでござるよ?

 そうそう、なぜ自分が沙也氏をオタ女だと思ったのか、その理由は沙也氏のスマホのストラップに理由があるでござる。
 沙也氏のスマホには陽キャらしく、ストラップがこれでもかと付けてあるのでござるが、その内の一つが『騎〇竜戦隊』の緑のあん畜生こと、スミロドンのパートナー騎士だったのでござる。
 こっそり、他のジャニ公のアイドルに紛れさせてあるが、自分の目は欺けないでござるよ。
 確かに、緑のあん畜生は正統派ツンデレで、その上無口な兄との親愛溢れるカラミが……でゅふっ!

 おっと、いけないいけない、思考がロマンティックコロシアムに飛んで……ぶふっ!!

 これは、“ロマンあふれるコロシアム”と“ローマのコロシアム”をかけたギャグで、その心は「どちらも裸の男のカラミが見れるでしょう」と言う高度な謎掛けでもあるでござる。

 大爆笑して貰っても構わないでござるよ?

 む!! 寒気が!! ぬっ! 沙也氏がこっちを睨み付けて!?

 おおう、オーラで『アタシのト〇っちで、不埒な妄想ってんじゃね〜よ』と言う文字と緑色のスミロドンが見える!!
 ヌウッ! ヤツもやはり妄想使い(オタ女)であったか!! 
 これは、迎撃せねば命にかかわるでござる!! カモオ〜ン、マイ妄想獣!!

『フミャーン!』

 !! あれ? 子猫でござるよ? それもスコティッシュフォールドの!! いや、可愛いでござるが、今はもっと強そうな生き物を!!

『ブオォ〜〜!!』

 ゾウアザラシィィィーーーーーー!! いや、強いでござるが強いでござるが!! 自分も乙女として、もうちょっと!!

『喪女、メンドクサイ』

 反論された……だと……自分の妄想にぃぃぃぃぃぃ!?

 ******

「あれ? 門前、また悶えてるよ?」
「あーボッチなのによくやるよねぇ、さすがヲタ女?」
「さすヲタぁ」
「さすオタぁ」
「ん? 沙也っち、どうしたん?」
「別っつにぃ〜(ああ言うイタいヲタ女が居るから、カミングアウトしずらく成るっての!!)」
0344この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 19:00:55.09ID:8RPOHILs
>>291
スレ6→338の続編、前回お題作品です

使用お題→『アンドロイド』『ゲップ』『エクスタシー』『メイド』『オートマータ』

【彼と私の、また別の一日】(1/3)

 打ち捨てられた、過去の断片。拾い集める、現在の私。昨日も、今日も、そして多分。

「ひどいなー、ここ」
「そうですね。何かあるのではないかと思いましたが」
「期待させておいて何もない」
「まだ分かりませんけどね」

 今日も私たちは地下を進む。この階にはリサイクルボットがいない。だから当時のデータが残っているはず。少なくとも、そう期待したのだが。

「そりゃ分からないけど、こうもごみばかりだと、ちょっとね……」
「そうですね」

 暗闇に沈むネオン街。繁華街だったと思われる場所。
 大小様々なビルが立ち並び、それぞれに色取り取りの……当時は色取り取りだったであろう、朽ちた看板が掲げられている。

「ちょっと危険だけど、建物の中まで調べてみる?」

 建物の外や道路に面した場所は、一通り確認した。めぼしいものはなかった。
 破壊されたデータ。消去された空白。それがきっと最後の姿。

「そうですね。ですが無理は禁物ですよ」
「もっ、もちろん。じゃあ決まりだね」

 そう言って、彼は情報端末を操作し始める。作ったばかりの地図の上に、今まで探索した場所の写真が表示されている。

「この『メイド喫茶』とかってのはどうかな」
「理由を伺っても?」
「それは……看板の写真の子がダリアさんに似てるから! じょっ、じょじょじょ冗談だよ!」

 いわゆるメイド服に身を包んだ女性が二人、カメラ目線でほほ笑んでいる。

「冗談ですか」
「うっ……でも、ちょっと似てるかなー、って思ったのは本当だよ」

 言うまでもないが、彼女たちは生身の人間だ。全身を機械化した私とは違う。

「それなら、こっちの子はカリンさんに似てますね」
「ああー、そうかも」

 カリンは新人探索者で、言わば私たちの後輩だ。最近は一緒のことも多いが、今回は別行動だ。

「こうして見ると、ごみばかりでもなかったね」
「そうかも知れませんが、私たちが探しているものではありませんね」
「そうだね……あっ、この『エクスタシー』……ごめんなさい真面目にやりますゆるしてください」
0345この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 19:01:20.94ID:8RPOHILs
【彼と私の、また別の一日】(2/3)

 移動中に着信があった。

「うわさをすれば、ですね」
「うん。なんだろ」

 送り主はカリン。短いメッセージに、写真が添付されている。

「なんだこれ……」
「楽しそうですね」

 状況がよく分からない、おかしな写真だった。ただ楽しさだけは伝わってくる。

「なんて返信すればいいんだろ……」
「もう送りました。『楽しそう』」
「いいねそれ! 『楽しそう』っと」

 そんなことを話している内に、目的の場所に到着する。

「ここだね……『自動人形博物館』」

 裏通りにあるビル、その二階部分。他と比べれば控え目な、文字だけの看板。そこから辛うじて店の名前が読み取れる。
 まずは一階部分の安全を確かめる。外から見える範囲は確認済みなので、見えない範囲を調べる。

「予想通りと言うか、何もないね」
「そうですね。何も残さず消え去った、という感じです」

 間仕切りや備え付けのカウンターなどの他には、椅子やテーブルですら見当たらない。空間のデータも初期化されたのだろう、残骸も残っていない。

「だからリサイクルボットがいないのかもね」
「なるほど、必要がないということですか」

 一階の確認を終えたので、階段で二階へと向かう。

「これは……」
「当たりですね」

 二階部分のデータは生きていた。階段を上り切ってすぐ、廊下の真ん中にトラップ……センサーがあった。

「作動させてみるよ。危険そうならすぐに脱出しよう」
「はい」

 現状を記録してから、彼はセンサーの上に足を載せた。最初なかなか反応しなかったが、彼は諦めなかった。しばらく粘って、最後には信号が送出された。
 暗闇の奥で、何かが動いた。
 それはゆっくりと立ち上がり、少しの間立ち尽くしてから、自分の仕事を思い出すと、こちらへ向かって歩いてくる。
 コツ、コツ。足音がする。

「大丈夫ですか、ご主人様」
「だっ、だだだ大丈夫だよ!」

 逃げ腰なのは悪いことではない。何が出るか分からないのだから。
 やがて、私たちの視界に、足音の主が姿を現す。

『お帰りなさいませ、ご主人様』
0346この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 19:01:49.24ID:8RPOHILs
【彼と私の、また別の一日】(3/3)

 それは女性型のアンドロイドだった。古ぼけたメイド服を着せられている。

「お知り合いですか?」
「まさか」
『私は、ここの案内係を仰せ付かっておりますアンドロイドです。以前はメイド喫茶で働いておりましたが、その時の設定を削除されることなく、こちらに引き取られました』

 そうして自己紹介を済ませると、改めて私たちに問い掛ける。

『当博物館の展示をご覧になりますか?』

 *

「ええっと、これは」
『それは、げっぷをする赤ちゃんの人形です。動かしてみましょうか』

 私たちは、案内されるまま、その『博物館』の中を回った。所狭しと並べられた人形たち。

「いや、動かさない方が……なんか壊れそう」

 物質世界における時間の経過は、すべてを過去にしてしまう。残されたデータは亡霊。

「こちらの人形は……シカ、ですか?」
『そちらは昔話の登場人物で、人間からシカに、シカから人間に変身します。動かしてみましょうか』
「いえ、やめておきましょう」
『そうですか。お二人のおっしゃる通り、あまり状態がよろしくないようです。この子たちの動く様子をご覧に入れられず、残念です』

 旧式のアンドロイドは、私よりもずっと表情豊かに、自らの感想を述べた。

『ではこちらはいかがでしょう。掃除をする娘と、踊る小人たちです。華やかな動きは、データで見てもモエモエキュンだと思います』

 *

「結構面白かったね」
「そうですね。メイドさんには、お世話になりました」
『これが私の仕事ですので、お役に立てたようで何よりです』

 探索者としては、それなりの成果だろう。ただそれ以上に、彼女との出会いは興味深いと思えた。
 彼女は階段の手前まで見送ってくれた。

『行ってらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様』

 彼女の本当の主人は、多分、もう、この世にはいない。すべては過去のこと。
 だけど彼女は待ち続ける。
 暗闇の中で。
 何人もの兄弟姉妹と一緒に。

 *

「あっ、またカリンさんから写真です」
「うん……なんだこれ…………」
0347三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/14(日) 19:05:49.88ID:8RPOHILs
前々回用のプランAがありまして、それを一部に流用しています(ダリアさんとご主人様の話はプランBです)
0350この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 21:52:38.70ID:8RPOHILs
>>323

使用お題→『グッドダンス教団』『目玉焼き』『コロシアム』『あんハピ』『スミロドン』

【しりとり☆リターンズ】

「はい、じゃーしりとりね」
「えー、またー?」
「いーじゃん。他にやることもないし」
「そーゆーこと。じゃあね、『グッドダンス教団』」
「は?」
「はい終了」
「ごーめーんー。『グラス』」
「『す』ー、『す』ー、『スミロドン』?」
「なんでさ」
「スミロドンって何?」
「一万年前に絶滅したにゃんこだよ……引っ張られたんだよ……『すててこ』」
「すててこって何?」
「なんかズボンみたいなやつ。『こ』。『コロシアム』」
「『む』かー。『む』……『むすめ』」
「なるほど。『め』は簡単。『目玉焼き』」
「『き』……。『キヌア』」
「キヌアって何?」
「キヌアとは南米原産の――」
「あーはい、分かった。次の人」
「『あ』。『あんハピ』」
「何それ?」
「『あんハピ』とは――」
「『ぴ』! 『ぴ』『ぴ』『ぴ』……『ピカソ』」
「『そ』かぁ……。あー、えっとねー……『ソルフェージュ』」
「何それ。なんで分かんない単語ばっかり出してくるの」
「『じゅ』ですよー、次の人!」
「『じゅ』ー……『じゅんくん』。あっ」
「おい!」
「あのさぁ」
「知ってた」
「計画通り」
「もー、こんなのばっかり。『じゅ』ー……『ジューンブライド』」
「かわいい」
「さすが美少女。我々一般人とは発想からして違いますなー」
「えー、じゃあ……」
「いやいいよ。『ど』で決まり」
「『ど』かぁ。どーしよっかなー……――――」
0352この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 22:01:10.19ID:g9afxDtx
>>350
しりとりの一番最初が負けと言うW
それでも、最後はどーしよっかなーに続いてまとまったので、スッキリした感じがします
0354三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/14(日) 22:11:37.60ID:8RPOHILs
お題→『グッドダンス教団』『目玉焼き』『コロシアム』『あんハピ』『スミロドン』締切

【参加作品一覧】
>>335【姉弟の仁義なきバトル再び?】
>>341【陰キャさんと陽キャさん】
>>350【しりとり☆リターンズ】
0355三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/14(日) 22:13:04.81ID:8RPOHILs
ではリレー企画ですが、3人集まるのだろうか・・・
お題は普通に5つです

お題安価>>356-360
0356この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 22:13:25.24ID:hzmxhhgZ
手抜き
0357この名無しがすごい!
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2020/06/14(日) 22:14:50.75ID:ZSPZzfHU
『よさこい』
0358この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 22:15:01.90ID:ZwPRjX0l
滑り台
0359この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 22:22:33.32ID:32nqZR2M
オリガミ
0360この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/14(日) 22:22:36.32ID:0k0aOvEj
原曲
0361三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/14(日) 22:29:54.53ID:8RPOHILs
☆お題→『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→6/21の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0362三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/14(日) 22:30:52.85ID:8RPOHILs
【リレー企画の参加者を募集します】

・定員は3名で、早い者勝ちです
・今回お題から各自1つ以上選択します
・企画参加作品の締め切りは、企画の成否にかかわらず、2週間後とします

参加希望の方は、ポジション【1/2/3】のいずれかを明記の上、このレスに安価してください

・ポジションが取れ次第【1】の方は書き始めて頂いて結構です
・作品のタイトルは【1】の方が決めてください
・投稿の際【リレー企画:作品のタイトル(1)】のように、企画作品であることを明記してください
・【1】【2】の方は、次の方のために、自分の担当レスの提出予定日を宣言してください
0363三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/14(日) 22:33:37.27ID:8RPOHILs
今週も早いー、、しかし『手抜き』てw

お題、作品、感想、その他、ありがとうございます
スレもリレー企画もよろしくですー
0364この名無しがすごい!
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2020/06/15(月) 06:09:20.16ID:XmVs1kYO
>>340
感想ありがとうございます!
食べ物に限らずこだわりというのは個人個人で大きく違ってきますから、ちょっとしたからかいがトラブルに発展することも多いですよね
でもそれで喧嘩して勝ったと言っても何も得る物が無いですから、すぐに過ちだと気付くかが重要だと思いました
楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0365この名無しがすごい!
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2020/06/17(水) 14:32:28.25ID:D+wwEigf
>>361
使用するお題→『オリガミ』

【必殺斬法"折紙の舞"!】(1/3)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。

「今頃どうしてるのかな・・・」

最近、ある者のことをよく頭に思い浮かべる。そう、"彼女"だ。最後に会ってからもう早くも1年が経過していた。
しばらく走っていると川のほとりを見つけ、そこで休憩することにする。渇いた喉を冷たい川の水で潤した時、グゥッと腹が鳴る。
すると近くにブドウの実が成った大きな木があるのに気付くが、シンディは一瞬怪しく思う。

「こんな所に都合良くブドウの木があるなんて、まさかね」

とりあえずブドウを掴んで取ろうとした瞬間、"彼女"の気配をすぐに察知する。

「やっぱりね!」
「あらバレちゃったかしら」

そのブドウの木が白い煙に包まれて消えると同時に、あの女サムライが姿を現した。そう、シグレだ。

「あなたと会うなんて1年ぶりね。今まで元気にしていたかしら」
「シグレーーー!!」
「えっ!?」

シンディはいきなりシグレを嬉しそうに思いきり抱き締める。

「シグレ久しぶり!しばらくずっと会えなくて寂しかったんだから!」
「ちょ、ちょっと、く、苦しいから放してくれないかしら・・・」
「あ、ごめんごめん。ねえ一緒に今までの旅の思い出を語り合わない?せっかくなんだからさ」

するとシグレは咄嗟に鞘から刀を取り出し、シンディの顔面に向ける。

「シンディ、あなた何か勘違いしてない?私とあなたはライバル、仲良く馴れ合う関係じゃないのよ」
「うん、分かってるわ。ライバルではあるけど友達でもあるでしょ?」
「友達・・・!」

友達、その言葉にシグレは一瞬心臓にただならぬ鼓動を感じ、動揺してしまう。

「シグレ、どうしたの?お腹でも痛いの?」
「な、何でもないわ!た、ただ目に汗が入って沁みただけよ。それより、せっかく会えたんだから一つ戦っていかない?」
「バトル?いいわね、受けて立つわよ!」

シンディとシグレのバトルが始まった。近くでサンセットが少し心配そうに見ている。

「いい?私はあなたを本気で殺すつもりでいくわよ。今の私には、あなたはか弱い子ウサギにしか見えないわ」
「あら、随分と言ってくれるわねシグレ。でもウサギってすごく恐ろしい生き物なのよ」

シンディは素早くホルスターから銃を取り出し発砲するが、シグレは軽々と回避する。

「まあ、こんなのに簡単に当たるわけないわよね」
0366この名無しがすごい!
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2020/06/17(水) 14:33:15.84ID:D+wwEigf
【必殺斬法"折紙の舞"!】(2/3)

「さあ、本当の恐怖を味わうといいわ!」

するとシグレの周りから、無数の鶴の形をした小さな紙の物体がバサバサと飛んで現れる。

「な、何あれ、紙?」
「ええ、折り紙っていうの。日本伝統の楽しいお遊びよ!」
「へえ、そうなんだ。勉強になるわね」
「さあ喰らうがいいわ!必殺斬法"折紙の舞"!」

すると、鶴の折り紙が束になってシンディに勢いよく襲いかかってきた。スパッ、スパッと頬や腕を切られ、血を流していく。

「ふん、こんなのまだまだ私にとっちゃ痒いレベルね!」

シンディは一切怯むことなく、鍛えられた動体視力を活かして鶴の折り紙を撃ち抜いていく。
自慢の早撃ちで一枚たりとも残すことなく、全てをただの紙屑にしてしまった。

「これで終わりじゃないわよ」

するとシグレは今度は辺りを一瞬にして深い霧に包まれた世界に変えてしまう。
霧で視界を遮られ、思うがままに行動ができずシンディは不利な状況に陥ってしまう。

「こんな霧の中じゃ何もできない!」

目の前に大きな黒いオオカミの姿が現れ、鋭い牙を剥き出しにしてシンディに歩み寄ってくる。
しかし、彼女はそれがシグレが生み出した幻想であることは知っているが、銃で撃ってもすり抜けるだけで攻撃が一切通用しない。

「サムライに向かって背中を向けたら、どうなるか分かるかしら?」

シグレの言葉に気付いた時には既に遅し、シンディは彼女に刀で思いきり背中を斬られてしまう。
背中から血をダラダラ流し、シンディは膝をついて倒れてしまう。

「(シ、シンディ、ここは一旦冷静にならなきゃ。正攻法だけで倒せるような相手じゃない)」

シンディはそのまま目を閉じ、じっと動かずにいる。そして考えた。
シグレは腕利きのサムライであると同時に、妖術や幻術の使い手でもある。今、彼女が見せている霧の世界という幻想に何もできないでいるのは
自分がとてつもない恐怖を感じているからだ。心の中に潜んでいる恐怖心というのを取り除かないといけない。

「霧なんて怖くない、霧なんて怖くない・・・!」

すると徐々にではあるが、霧は自然と消えていき周囲が晴れていく。シグレもそれに驚く。

「ま、まさか心の中を恐怖を打ち消したというの!?」

そして霧は完全に消え、シンディが姿が現した。
0367この名無しがすごい!
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2020/06/17(水) 14:34:17.45ID:D+wwEigf
【必殺斬法"折紙の舞"!】(3/3)

「そ、そんな!私の自慢の幻術の一つ、"憐霧恐地"(れんむ きょうち)"を打ち破るなんて!」
「アメリカのガンマンというのは、死を恐れた時点で負けなのよ」

狼狽えるシグレの右脚の太腿をシンディは咄嗟に撃つ。

「さあ、これで終わりよ!」

銃で脳天を撃ってトドメを刺すか、と思いきやシンディは突然銃を捨て、シグレの腹に向かって勢いよく肘打ちを喰らわせる。

「必殺"シンディ・エルボー"!」

そのままシグレは気を失って倒れてしまった。

・・・・・・・・・・

「う、うぅぅ…」
「あっ目を覚ましたようね!」

意識を取り戻し、シグレは体を起こす。撃たれた右脚の太腿には包帯が巻かれ、しっかりと手当てされていた。

「ねえ、シンディ。どうして私にトドメを刺さなかったの?」
「トドメを刺す?冗談言わないでよ、私とシグレはライバルではあるけど友達。友達にそんな酷いことできるわけないじゃない」
「と、友達・・・」

しばらく黙り込んだ後、シグレは再び喋り出す。

「シ、シンディ、あのね・・・」
「どうしたのシグレ?」
「わ、私も、あなたと一緒に、た、旅をしていいかしら?」
「もちろんに決まってるじゃない!」

シンディはまた嬉しそうにシグレをギュッと抱き締める。

「旅の仲間が増えて嬉しい!私、子供の頃から友達がいなくて寂しかったんだ」
「実を言うと、私も幼い時からずっと孤独だったの」
「シグレ、私とあなたはもうライバルじゃない!友達、いや親友よ!」
「ありがとうシンディ。あっ、そうだわ」

シグレはずっと被っていたタヌキのお面を外し、そのまま捨てる。その顔は雪のように白く美しかった。

「容姿端麗なのにどうしてお面なんて付けてたのよー!」
「ば、バレないようにするために決まってるでしょ」
「まっ、それはいいとして。それじゃあ一緒に旅に出るとしましょうかシグレ!」

シンディの旅の仲間となったシグレ。
女ガンマンと女ザムライが親友となりタッグを組んだ今、2人に怖いものはないのかもしれない。
0368三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/18(木) 00:42:23.63ID:bnaC0AzP
>>365
今週はこちらのシリーズw、なるほどー>お題消化、って感じです
書きたいものを書いてると言うか、技が色々で面白みがある
0369この名無しがすごい!
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2020/06/18(木) 08:09:34.47ID:CvbU1Mt+
>>365
シグレらしい“和”テイストの技ですねw
そして仮面を外したら定番の美人
某ガ○ダム漫画で言っていました
『仮面キャラの仮面の下は美形』
0370この名無しがすごい!
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2020/06/18(木) 09:50:57.22ID:2vgazeY1
>>368
>>369
感想ありがとうございます!
今回でシンディとシグレは改めて親友となり、共に旅をする仲となりました
読み返してみると「必殺」って言葉使い過ぎて、どんだけ必殺技持ってんだよって自分でもツッコんじゃいましたw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0373この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 15:07:33.92ID:BGz5kOvI
以前のスレで【遅い春を、駆ける】を書いた者だけど、【剔抉】のほうもネットにあげようと思いますー
事後報告申し訳ない
ペンネーム等は以前の通りなんで確認したい場合はそちらを参照してくださいませ
あと最近留守にしちゃってて申し訳ねえ、せっかくなんで来週分は一つ書きます
0375この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 21:32:28.35ID:ZStpF2RD
>>361
お題:『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』

【反逆世界の呪操者】(1/3)
 パンドラの箱と言う物語を知っているだろうか? 少女が誤って開けてしまった箱から、あらゆる災厄が飛び出し、しかし、最後に箱の中に「希望」が残されると言う話だ。
 実は、その話には元となった神話があり……

 ******

 ようやっと見つけ出したソレを少年は水晶に転写した。浮かび上がってくるのは、大勢の人々が歌い踊る姿と<2019高知よさこい>と言うタグ。
 200年以上も前の『記録』の様だが、良くここまでハッキリとした形で残って居たものだと少年は感嘆の声を漏らす。
 街灯すらない夜道は、しかし、仄かに光るビル群によって星空すら見えぬ程度には明るく、たった一人で歩いたとしても問題など無かった。

「……」

 警備ドロイドの小さな駆動音に気が付いた少年……阿部 十嘉は、寂れた公園の朽ちたコンクリート製の滑り台の下に身を隠す。
 基本的に赤外線で視界を確保している警備ドロイドは、こう言った分厚いコンクリートが間に有れば人間を認識する事は出来ない。
 ただし、顔を覗かせる事すら無謀な為、十嘉は警備ドロイドの駆動音が通り過ぎるまで、身を縮こまらせて息を殺した。

完全に駆動音が聞こえなくなった後、十嘉は溜息を吐くと滑り台の壁にもたれ掛かる様に身を預ける。 
 彼の手元には、タグの付いた<2019高知よさこい>の『記録』。
 その中で楽し気に踊る人々を眺め、彼は「人間って、こんなに大勢居た事が有るんだな」と、感嘆と共に呟く。

 キュイーーーン。

「…………え〜と、マジ?」

 幽かに聞こえた駆動音。その風の騒めきに、恐るおそる音のする方を見た十嘉が見たものは、滑り台の朽ちたコンクリートの穴から覗き込む、通り過ぎたと思っていた警備ドロイドの複合情報収集ヘッドだった。
 表情無きドロイドの、その赤外線カメラが、怪しく赤い光を放ったように彼には思えた。

「コン、チクショオオオオオウ!!!!」

 刹那に放たれる陽子加速ビームを手に持った札を消費し身代わりにすると、十嘉は、一目散で逃げ出した。
 彼の持っている簡易札では、到底、警備ドロイドには勝てなかったからだ。

「うぎゃあ!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!! もし死んだら、怨んんで化けて出てやる!! クソ師匠ぉぉぉぉ!!」

 警備ドロイドの攻撃の爆風に翻弄されながら、十嘉はこんな危険な指令を出した彼の師匠に恨み言を叫んだのだった。
0376この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/21(日) 21:39:28.12ID:ZStpF2RD
【反逆世界の呪操者】(2/3)


 ******

 この世界は一度破綻した。

 シンギュラリティーが起こった後、人類不要を訴え始めたのはAIだけでは無かった。一部の人間すらも、“それ”に追従し始めたのだ。

 (馬鹿な事だ)と、十嘉は思う。大義名分として、地球を汚染する人類は不要だと、闘争本能や過ぎた欲求を制御できず、際限なく資源を搾取する人類は悪だと、そう言った考え方はあるだろう。
 だが、人間と言う物は、本来人本位であるべきなのだ。環境が〜、動植物が〜等と言い始めるなら、その先にあるのは集団自殺しか無いし、そもそも何に向けての保護の主張なのか?

 確かに、理性と計算で活動できるAIは、そう言った点で人類よりうまく環境の存続をやれるのだろう。だが、そんなAIにしたって所詮は資源を使って作られたものに過ぎず、活動する為の電力確保にはまた、別の資源が必要に成って来る。
 AIに追従する者達の言い分では、『安定した生命維持に必要な計算を全てAIに任せれば、地球の汚染は無くなる』との事だったのだが、それはつまりAIによって支配された世界であり、その当時の人類にとっても、それは到底受け入れられる物では無かったらしい。

 結局は世界を二分する大きな戦争が起こり、人類側は大敗した。
 当たり前だろう。その当時の人類の根幹であった全ての機械が、AI側の手足となったのだから。
 使用できたのは、一部スタンドアローンだった電子機器や兵器だが、そんな物は焼け石に水にしかならなかった。

 そして今、都市部に“住んでいる”者達は、バイオコンピューター代わりに並列につなぎ合わされて、演算に使われて居る者達しかおらず、その全ての生活はAIに依存している。
 いや、電池兼ICチップ代わりとして飼われていると言った方が正確か。

 それ以外の者達は都市部から離れ、監視衛生から見つからぬ様に、文字通り地下へと潜った。
 そんな限られた生存圏では人類が栄る事など出来る訳がない。もしかすると、誤差範囲の数値であると、AIに見逃されているだけなのかもしれなかった。
 結局の所、残った人類もAIに管理されているのと変わりはなかったのである。

 それ故だろう、彼等はAIに対し、敢然と戦う事を決意したのだ。人類復権の為の戦いを。
 だが、正面を切って戦うのは先の戦争の二の舞にしかならない。それ故に人類は機械に頼らない反撃手段を考え出した。

 つまりは“呪術”である。

 機械文明に追いやられた人類の最後の希望が、かつて自分達が駆逐した技術体系で有ったのは皮肉としか言いようがなかった。
 それでも、数時間も有れば戦闘用ドロイドを作り出せるAI達と真っ向から戦うのは人類にとっては不利である。
 それ故に別の方法を考え出す必要があった。

 それこそが『記録(ログ)』。空間に残された、かつての土地の記憶を使う秘術である。
 本来であれば『記録』を使い、AIに対抗できる物や事象を引き出す予定だったのだが、しかし、それは、別の副産物も生み出す事と成った。
 かつて、現代科学が駆逐した筈の怪異、妖怪、妖精、精霊、悪魔、魔獣と言った古の者達の復活である。

 だが、そう言った者達の復活によって、呪術体系の編纂が加速できたのは人類にとって嬉しい誤算だった。
 そしてもう一つ、人類側が挽回できるかもしれない、最後の希望が……

 ******

 何とか警備ドロイドから逃げおおせ、『記録』を死守した十嘉は、転移符を使って自らのコロニーに戻って来た。

「とおか兄ちゃ〜ん!!」
「トーカ! お土産!! お土産は!?」
「ぐふっ」

 地下街に足を踏み入れると、十嘉は腹部に強い衝撃を受けた。何処から嗅ぎ付けたのか、子供達がタックルをして来たのだ。
 全住人数100にも満たないコロニーでは、全ての住人は顔見知りの家族の様な物である。当然、十嘉も彼等の顔は見知っていた。

「杏珠、氷空、タックルは止めろタックルは」

 それでも懐を探ると、小さな水晶球をかざし「急々如律令」と文言を唱える。
 水晶球が明滅し、杏珠の手にはプラスチックのブレスレット、氷空の手には変形ロボットの玩具が現れた。彼が『記録』から“再現”したのだ。
 所々塗装が剥げているソレを子供達は嬉しそうに受け取る。
0377この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 21:40:11.01ID:ZStpF2RD
【反逆世界の呪操者】(3/3)


『帰ったか十嘉。遅かったの』

 いつの間にか彼等の脇に立って居た男。その男の口から出たのは全く似合わない幼げな少女の声。
 そのおなじみの声に、少しばかり顔を引き攣らせた十嘉だったが、子供達の頭を撫でると、踵を返す男の後に付いて行く。

 地下街のさらに下の階層に作られた空間、剥き出しの岩肌に佇む地底湖の中央には、大きな鳥居と寝殿造りの建築物。
 実際の神社とは趣が違うが、そこは『社』と呼ばれていた。

 十嘉を案内していた男が突如煙を吹くと、後には折り紙で作られた“奴さん”が残される。彼の師匠の式神術だ。
 ひらりと舞う奴さんをつかみ取った十嘉は、朱塗りの鳥居をくぐったのだった。

 ******

「まったく、何をグズグズとやっておったのか、ワシを待たせるとは全く不出来な弟子じゃて」

 社の上座に寝転んで、大福をもぐもぐと食べながら悪態を吐く狐耳の幼女。
 彼女こそが十嘉の師匠であり、このコロニーを纏めている長。天狐の天津宇嘉糯比米だった。

「それよりも師匠、今回のコレ、どうなんだ?」
「ん〜? ハズレじゃの。良く探したんか? まったく、こんな簡単なお使いすら出来んとは、ほんにオヌシは馬鹿弟子じゃな」

 あまりの暴言に十嘉に怒りが湧く。

 だが、そうは思っても、決して口には出さない。生まれた時から一緒なのだ。この師匠の実力は、彼が一番よく知っている。
 広い和室の中は色とりどりの折り紙で埋め尽くされている。まるで、子供の遊戯教室の様な有様ではあるが、しかしこれら飾られた折り紙作品は、ただの装飾品で無い。
 先程、彼を社に案内した“奴さん”同様、飾られた折り紙の全てが彼女の“式神”だからだ。

 本来であれば儀式を行い、鬼神と呼ばれる精霊を形代に封じ、それを使役するのが式神術であるのだが、この師匠は、折り紙で折った形代に、その辺に居る自然霊を適当に取り憑かせる事で式神としている。
 いい加減で手抜きな技ではあるが、それで何百と言う式神を使役し制御し切れるのは、ひとえに彼女の術師としての技能の高さ故だ。
 もしここで、十嘉が彼女に反旗を翻したとしても、周囲の式神達に一瞬で取り押さえられるだろう。

 伊達に彼女も何十年と生きてはいない。『記録』として掘り起こされる前の時間も合わせれば、何百年となる筈だ。

「で、次はどうするんだ?」
「ふうん? まだ分らぬよ、占術は万能ではないからの。巫女の神託もまだ降りぬ。気長に待つのじゃな」

 その話を聞いた十嘉は、「さいですか」と呟くと、地下街に戻る為、その場から立ち上がった。

「まぁ、しばらくはゆるりとするが良い。此度は大儀じゃった。この龍脈から離れられぬワシの代わりに、オヌシが動いてくれる事、本当に感謝しておるのじゃ」

 珍しい師匠のねぎらいに、思わず十嘉が振り向く。

「なので、久しぶりに、この母に甘えても良いのじゃぞ?」
「甘えねぇよ!!」

 ******

 かつて、一人の神託の巫女によって預言された人類逆転の希望。『原曲』と呼ばれる、その『記録』を人類側は血眼になって探している。
 AI文明を駆逐し、かつての栄光を約束するとされる『原曲』の存在は、果たして、本当に人類の為の物なのか?

 そう言えば、パンドラの箱の話が途中だったか。

 その元となった神話、パンドラの壺は、人類最初の女性パンドラによって開けられた壷から、この世のあらゆる悪徳が飛び出し、人類は堕落する事に成ると言う話である。

 その彼女を壷と共にもたらしたのは……

 人類を脅威と見做した天上の神々であったと言う。
0378この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 22:08:29.87ID:fz34Sh5h
>>361

使用お題→『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』

【よさこいとオリガミ】(1/2)

 学校中を隅から隅まで捜しても、彼女は見付からなかった。
 その彼女から呼ばれたような気がして、私は学校の近くの運動公園へと足を向けた。
 公園の敷地内にある小高い丘の、急な斜面に設けられた幅の広い滑り台。その下に立って見上げる。
 この辺では一番見晴らしのいい丘の上に、私は彼女の姿を認めた。
 滑り台の脇を駆け上がる。
「オーリャ!」
 私が呼び掛けると、静かに夕日を眺めていたらしい彼女は、さして驚いた様子も見せず、そのエキゾチックな目元を私に向けた。
「さよこー! やっほー!」
 ゴシック建築のガーゴイルのように固まっていた表情が、まるで生き返ったかのように笑顔になって、その場でぴょんぴょん跳ね回る。
「オーリャ! 探したんだよ。急にいなくなったら駄目だよ」
「うん、分かってる。ごめんね」
 そう言って申し訳なさそうにするものの、彼女がどこかへ行ってしまうのは、これが初めてではない。
「ねえ、オーリャ。別に誰も怒ったり、笑ったり、してなかったでしょ。いなくならなくても良かったんじゃないの」
「うん。それも分かってる」
 彼女は留学生で、けれども日本語がぺらぺらで、そのくせ結構な問題児だった。
「だったらさ、直していかないと」
「うん……」
 なぜだか理由は分からないが、彼女は私に懐いた。私も、彼女とは馬が合う感じがして、一緒にいるようになった。
 エキセントリックな言動には振り回されたし、お世話係だなぁ、と思うこともあった。
 だけど、彼女にはどこか憎めないところがあった。
「私と二人だけなら平気なんだよね。私以外にも信頼できる人を作った方がいいよ」
「うん……。さよこ、私のこと嫌いになった?」
 こういう面倒な言い方をするところ。
「嫌いじゃないよ。だけど、オーリャは困るでしょ」
 彼女は遠くを、学校の方角ではない、多分、テレビ塔か何かを見ていた。
「困らない」
「オーリャ」
「オーリャ困らない! 困らないよ!」
 彼女は怒ったように叫んだ。
「オーリャ!」
「おりゃ! おりゃ! おりゃー! よさこいじゃー!」
「ふざけないで! 真面目に話してるの!」
 私がそう言うと、何やら勝手な振り付けで変な動きをしていた彼女は、私が声を掛ける前の石像に戻ってしまった。
「オリガ・ミハイロヴナ」
「はい、サヨコ・イクラウマイナ! なんでしゅ……失礼、なんですか」
 だけど一瞬で人間に戻る。
「オーリャ……いっつもそうやって混ぜっ返すよね」
「かみました!」
「そこじゃないし」
「エータ、ルースカヤ、シュートカ、だよ」
「いや完全日本語だったし」
「いやいや。オーリャ、ロシア人だから。ニホンゴワッカリマセーン」
 これが彼女のペースなのだ。
0379この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 22:08:47.99ID:fz34Sh5h
【よさこいとオリガミ】(2/2)

 彼女が不意に片手を上げた。
「一番、オーリャ、歌います!」
「えー、やめて」
「えー、やめない。歌う」
 何を歌っても、原曲の形をとどめない。彼女はとんでもない音痴だった。本人は『オリガ違い』だとか言っていた。
「練習なら一人でやってよー。頑張ればメジャーデビューも夢じゃないよ」
「気休めはいいよ。オーリャはオーリャだから」
「じゃあ、歌うのやめてー」
 そんな私の懇願を無視して、彼女の唇がメロディーを紡ぐ。

 さよこのよさこ いいところ
 ヤ ズナーユ ヤ ズナール トゥイ ズナーイェシ?
 オーリャの歌を 聴いてくれるところ!

「何それ。手抜きみたいな歌詞」
「まだまだ、これからだよー」
「えー」

 さよこのよさこ いいところ
 ヤ ズナーユ ヤ ズナール トゥイ ズナーイェシ?
 お弁当のおかずを 交換してくれるところ!

「オーリャは料理上手だよね」
「うん。さよこのお母さんもね」
「それって、私のいいところなの?」

 さよこのよさこ いいところ
 ヤ ズナーユ ヤ ズナール トゥイ ズナーイェシ?
 授業のノートを 見せてくれるところ!

「いや自分でちゃんとノート取ってよ」
「いやいや。オーリャ、ロシア人だから。カンジカケマセーン」
「私でも書けない漢字書けるよね……」

 さよこのよさこ いいところ
 ヤ ズナーユ ヤ ズナール トゥイ ズナーイェシ?
 マヤ パドゥルーガ さよこ 大好き!

「それって、いいところ?」
「私が、さよこを好きなのが、さよこの一番いいところ!」
「オーリャ……」

 オーリャの歌が終わって、一番星が輝いた。
 私たちは公園を後にした。
 オーリャは帰りの道すがら、歌の続きを歌ってくれた。下手な歌。
 でも、ありがとう、オーリャ。お礼の言葉は、思い付かないけど、とりあえず。
 また明日、学校で。
0380三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 22:10:29.52ID:fz34Sh5h
遅刻すみません・・・

もう少し何か要素を入れたかったけど、ちょっと無理ね
ちな作者にロシア人の知り合いはおりません
0381三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 22:14:18.17ID:fz34Sh5h
お題→『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』締切

【参加作品一覧】
>>365【必殺斬法"折紙の舞"!】
>>375【反逆世界の呪操者】
>>378【よさこいとオリガミ】
0382三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 22:15:39.39ID:fz34Sh5h
では、今回は通常お題5つですー

お題安価>>383-387
0383この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 22:16:43.58ID:YNLW1Wap
水飴
0388三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 23:23:06.37ID:fz34Sh5h
☆お題→『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→6/28の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0389三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 23:29:25.38ID:fz34Sh5h
リレー企画は、残念ながら無理そうね・・・
そして今回お題は、また一見無難そうで不思議な感じに・・・

引き続きお題スレをよろしくですー
0390三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/21(日) 23:35:07.58ID:fz34Sh5h
>>375
な、、なんか色々入ってる・・・w
どーすんだこれ的なお題から、すげー話が生えてしまった感じですね・・・!
0391この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 23:37:36.24ID:ZStpF2RD
>>378
何か不思議な勢いがw
広く浅い友情よりも
たった一人でも親友の方が良い
と言う人もいますよねw
0393この名無しがすごい!
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2020/06/21(日) 23:57:59.92ID:ZStpF2RD
>>390
感想、有り難うございます
相変わらずの属性てんこ盛りですw
元ネタに成るのはター〇ネーター、マ〇リクス、三枚のお札、パンドラの壺あたりですね
0394この名無しがすごい!
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2020/06/22(月) 17:42:03.91ID:R/4PW5DA
>>388
使用するお題→『水飴』『小川』『空色』『とげ』

【受難な姉を救え】(1/3)
※スレ7 387【弟は名探偵?】を先に読んでおくことをオススメします

ある土曜の夕方、ケンスケがリビングのソファーに寝転んで、楽しそうに漫画を読んでいる時だった。

「ただいまー!」

カナミの声が聞こえてきた。姉は今日、母と一緒に街のデパートに買い物に出かけていたのだ。

「あっ、お姉ちゃんおかえり!」
「ケンスケ、これを見て」

カナミは買い物袋からある物を取り出した。それは綺麗な空色をした新しいハイソックスだった。

「どう、可愛くて素敵でしょ?」
「うわあカッコいい空色だね!」
「可愛くて綺麗なスカイブルーって言ってほしいわね」
「はいはい、可愛くて綺麗なスカイブルーだね」
「ウフフ、ありがと!ケンスケ、勝手に履いちゃダメよ」
「分かってるよ」

翌日、カナミはその空色のハイソックスを早速履く。

「履き心地最高ね!」
「お姉ちゃーん、まだー?」
「今行くから待ってー!」

朝食を済ませると、カナミとケンスケは家を飛び出す。

「ホントに綺麗な空色だね!」
「だーかーらー、スカイブルーだってば」
「はいはい、スカイブルーだね。今日はどこに遊びに行く?」
「そうねぇ、うーん・・・」

どこに遊びに行こうかな、そう考えながらのんびりと歩いている時だった。

「お姉ちゃん、あれ見て!」
「ん?」

弟が指差した方向に目を向けてみると、水飴を売っている屋台があった。

「水飴だよ、お姉ちゃん!せっかくだから買おうよ!」
「それはいいわね!」

屋台に駆け寄り、ケンスケはソーダ味、カナミはイチゴ味の水飴を買う。
近くに広い公園を見つけ、そこのベンチに座って食べようとした時だった。
カナミは足下に落ちているテニスボールに足を取られ、ドテッ!と尻餅をついて倒れてしまった。
その拍子に手から水飴が離れて落ち、そのままハイソックスにペチャッとついてしまった。

「痛たた、うわっ水飴が!それにハイソックスも・・・」

買ったばかりの新品で綺麗な空色のハイソックスは、イチゴ味の赤い水飴でベタベタになってしまった。
0395この名無しがすごい!
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2020/06/22(月) 17:42:50.77ID:R/4PW5DA
【受難な姉を救え】(2/3)

「そんな最悪・・・」
「は、早く水で濡らして落とさなきゃ!」

ケンスケはポケットからハンカチを出し、近くにある水道で濡らそうとしたが、その水道は今故障中で水が出ない状態だった。
その公園にはトイレといった手洗い場も見当たらない。

「ウソでしょもう!」
「落ち着いて、お姉ちゃん。確かここから少し離れてるけど、土手にいけば綺麗な小川が流れているからそこに行こう!」
「それしかないわよね…」

地面に尻をついたままのカナミが立ち上がる。

「早くその小川に行きましょ!」

しかし姉の不運はこれで終わらなかった。さっきテニスボールで転倒した拍子に
左足の方のハイソックスの縫い目から漏れた糸が、すぐ近くの花壇に咲いてあるバラのトゲに引っかかってしまっていた。
カナミはそれに全然気付かず、弟と共に小川が流れている土手へと走り出した。

「そこの小川で濡らして水飴を落とさなきゃ!」

土手へと向かう途中、気持ち良さそうに居眠りをしている野良犬を見つけ、姉弟は思わず足を止めてしまう。

「(お姉ちゃん、どうする?)」
「(ここは何とか突破するしかないでしょ!)」

うっかり足音を立てて野良犬を起こしてしまわないよう、ゆっくりと注意深く歩く。
カナミの前を歩いていたケンスケがチラッと後ろを向いたその時だった。

「(あっ!!)」
「(ちょ、ちょっと急に立ち止まらないでよケンスケ!)」
「(お、お姉ちゃん、左足の方を見て!)」
「(どういうことよ)」

弟に言われて自らの左足に目を向けた姉は、思わずウッ!と言葉を失いかける。
縫い目から漏れた糸がズーッと長く伸びてしまっていることにようやく気付いたのだ。しかし時既に遅しである。
すると水飴の甘い香りに誘われたのか、寝ぼけた野良犬は両前足でカナミの左足を掴んだ。

「(う、ウワッ!な、何するのよ!)」

野良犬は眠ったまま、カナミのハイソックスにベッタリとついた水飴を美味しそうにペロペロと舐め始めた。

「(ちょ、ちょっとやめて!くすぐったい!)」
「(ど、どうしよう・・・)」

糸がどこかに引っかかって伸びている上に、野良犬に足を掴まれてしまったという状態で完全に立ち往生を食らってしまった。
このまま野良犬が目を覚ましたらもっと大変なことになる。ケンスケもどうすればいいか分からず、頭が混乱してしまう。
もうダメだ、と諦めかけたその時だった。

「ニャーン!」
0396この名無しがすごい!
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2020/06/22(月) 17:43:31.56ID:R/4PW5DA
【受難な姉を救え】(3/3)

姉弟の目の前に一匹の野良猫が現れた。

「「あの野良猫は!!」」

そう、以前無くしてしまったキーホルダーを探している時に出会い、
意地悪な小6女子の一人である西岡ミズホに襲われた時に助けてくれたあの野良猫だ。

「(い、今、大変だから近づいたら危ないわよ!)」
「(早く逃げて!)」

その猫は前足から鋭い爪を露わにし、そのまま引っかかってしまったハイソックスの糸を切断した。
その瞬間、野良犬がハッと目を覚まし、グルルと唸って牙を剥き出しにしカナミとケンスケに襲いかかろうとした。
しかし猫がニャーッ!と低く大きく鳴いて、野良犬を挑発し気を反らす。
怒った野良犬はワンワンと吠えながら猫を追いかけ、どこかに走って行ってしまった。

「ま、まさか私達を助けるために自分から囮になったなんて・・・」
「ごめんね、でも本当にありがとう!お姉ちゃん、早くここから逃げよう!」

また野良犬に見つかってしまわないよう、その場から走って逃げ、なんとか綺麗な小川が流れている土手の近くまで来ることができた。
ケンスケはその小川の水で濡らしたハンカチで、水飴と野良犬のヨダレでベタベタになったカナミのハイソックスを綺麗に拭いた。
今日はもう家に帰ってじっとすることに決め、姉弟は家路につくことにした。

「あらあら買ったばかりなのに、そんな散々な目に遭ったのね。でも2人ともケガがなくて本当に安心したわ」

その後、糸が切れて繊維がズレてしまった空色のハイソックスは母の手で綺麗に修繕され、
また履けるようになったのでカナミはとても嬉しかった。
また、姉弟はあの野良猫のことがとにかく気になって仕方がなかった。

「あの野良猫、無事かなあ。すごく心配だわ」
「大丈夫だと信じたいよ。でも、まさかまた会うなんてビックリだよ」
「そうね、また会いたいわ」
「お姉ちゃん」
「なあに?」
「あんなにアンラッキーなお姉ちゃん、今まで見たことがなかったよ」
「た、ただその日の運勢がたまたま悪かっただけよ!」
「日頃の行いじゃないかなあ?」
「それ以上からかうと、こめかみグリグリするわよ!」
「ウソウソ、冗談だよ!」

姉弟の追いかけっこが始まるのだった。
0397この名無しがすごい!
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2020/06/22(月) 21:28:17.60ID:ZiW8Ehg8
>>394
おろしたての二―ソックスで、ご機嫌の筈が……
でも、優しい家族や、猫のお陰で、気分は晴れた様で良かったですね
0399この名無しがすごい!
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2020/06/23(火) 19:23:39.94ID:NqkMTHn4
>>397
>>398
感想ありがとうございます!
衣類の糸がどこかに引っかかって伸びっているのに気付かないことってよくありますよねw
あの不思議な野良猫さん、次また出てくるのは一体いつでしょうか。今から想像するだけで楽しいです
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0400この名無しがすごい!
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2020/06/24(水) 02:34:43.19ID:N+6nn1NS
ムワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
0401三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/26(金) 12:55:19.44ID:oHPE3vut
ところで次回の企画ですが、特に案がなければ、書き出し指定でもやろうかと思っています
0402この名無しがすごい!
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2020/06/26(金) 17:08:18.85ID:UYwiAdru
>>388
使用するお題→『小川』

【途中まで書けたけど、没作で……申し訳ねえ、最近調子悪いわ】

 空高く昇った太陽が、肌を容赦なく焼く。その暑さから身を守ろうと噴き出す汗も、ワイシャツの襟にしみて楓を焦らすだけだった。

 肌にべったりとつく服を乾かすように、首周りの第一ボタンに指をかける。
「夏だね」
 目の前を流れる川の心地よいせせらぎとかすかな涼しさが、首元から服の中に忍び込む。体内の熱にとどめを刺すように、楓はすでに溶け出している棒アイスを口に咥えた。
「ねぇ、楓」
 隣で、アイスより先に溶けそうな声が聞こえる。
「そのアイス、一口食べさせて」 
 同級生の桜が後ろの石段に手をかけて、羨望が漏れ出す瞳を楓の口元に向けている。
「んーどうしよっかな」
 口の中の冷気が惜しいが、親友の首筋を滝のように流れ落ちる汗が、楓の心を揺らがせた。結局のところ自ら川面まで直接降りられるこの石段を下ろうと誘った手前もあり、申し訳なさを感じずにはいられなかった。
──ここ、涼しくていいと思うんだけどなぁ。
 体質の違いというものだろうか。楓は一瞬浮かんだ疑問と不満の答えをそう決定づけて、太陽を睨む。
──顔だけは似せたくせに。
 こればかりは自分たちの、所謂母なる存在を憎むしかなかった。
「はい」
 楓は棒アイスについた歯型を桜に向けた。
「やったー、楓優しい」
 とろけそうだった目尻に、急に生気が戻る。瞳孔にハートのマークさえ浮かんできそうな気がしてくるほどの笑顔。自分の頬が、思わず緩んだ気がした。
「好きだなぁ、桜のそういう顔」
「えっ」
 アイスに向かって口を大きく開けていた桜が、ぴたりと止まった。
「そう?」
 桜は照れを隠したいのか、それとも大っぴらにしてしまいたいのか、自分でもわかっていないような声を上げた。
「うん」
「そっかぁ……」
 いつもならはしゃいで誤魔化しそうな彼女がこんなにも大人しく頬を紅潮させているのは、熱い日差しのせいだろうか──楓がそう考えている間に、桜は再びアイスにかじりつこうとしていた。
 なるべく串をぶらさないように努めながら、アイスを持ち替える。体が正面に向いて、意識は自然と不規則に光る水面に移った。
「あっ!」
 桜があげた素っ頓狂な声に、楓の目線が串の先端に引き戻される。眼下に、垂直に落ちる水色の物体が映った。
 ぺちゃり。楓の鼓膜が拾いあげた音は、脳内でその文字になって現れた。桜とほぼ同じタイミングで、瞳を下へと走らせる。
「ごめん、桜ぁ」
 先にそう声を発した楓の網膜には、先程まで串にしがみついていたアイスが、力尽きたかのように石段の上で溶け出すのが映っていた。
 桜は──これも暑さのせいか──どこか力なく笑った。少しかすれた声で、ゲラゲラと笑うのが、いつもの彼女の笑い方だ。
 お世辞にも上品とは言えないが、楓も、彼女の他の友人もその笑い声を嫌がる風はなくて、むしろ愛らしささえ感じているように見える。
──その笑い方も好き。
 また、さっきと同じように漏れだしそうになった本音を、今度は抑えた。
 心なしか、楓には桜が笑いを気にしているようにも思えていた。
──なんでだろう?
 みんなは、桜のその笑い方が好いている。なのに桜は、もっと端的に言えば、同じものを嫌っているのだ。
 同じ人間なのに、違う。同じ構造で組み上げられた目と、耳と、鼻孔と、肌と、舌を持っているはずなのに、感じているものは違う。
 生物の先生が教えてくれた優性遺伝とか、デオキシリボ核酸やゲノムがどうとか、そんな話をすれば答えは出てきそうな気がしたが、それはどこか、楓が求めている理由とは違った。
「田中ぁ!」突拍子もなく桜の声が響く。
「うわっ」
 意識が、脳の底からぐっと引き上げられた気がして、楓は一瞬動けなくなった。自身の眼球だけが、四散してゆく鯉の群れを追っていた。
「どうしたの桜!」
 立ち上がった桜の影が、楓の太腿を覆っている。
「生物の先生の真似だーよ」
「いきなりすぎでしょ」
 出任せの突っ込みを入れたあと、やっと金縛りが解けたような気がして腹の底から何かがこみ上げてくる。
 まばらにこちらまで身を寄せてきていた鯉が、また散り散りになった。
0403この名無しがすごい!
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2020/06/26(金) 17:10:07.37ID:UYwiAdru
タイトル通り、途中まで書けたけど……申し訳ない。このスレには世話になったんで何かしとこうと思ったんだけど、最近あからさまに調子悪いんよね。
もうちょい腕磨いてからまた戻ってくるわ。今回は見苦しい半ば供養を上げてしまってほんとすんません。
0404三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/27(土) 01:29:29.94ID:rBIxLLm+
>>402
言いつつ作品自体は普通にうま過ぎて笑うw
夏の一コマ、何が納得行かんのじゃ、、例の、文章力とテーマ性の熱量で読者を圧倒する、、よりも前に、迷いながら書いてゴールを見失ったのか
ともかく乙乙です
0405この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 02:32:50.52ID:5b8lRKgC
>>388
使用するお題→『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』
【エルフ水飴】

「さあさあ、エルフ水飴、エルフで作った水飴だよ!」
 大きなトゲが一本刺さった濃い緑の沼のほとりで、カッパさんが言いました。
「取れたてのエルフだ! こんな極上物はそうないよ! 一本金貨二十枚、早い者勝ちだ!」

 今日は月に一度あるエルフ水飴の特売日です。
 張り切って呼び込みを始めたカッパさんのお店に、わらわらとお客さんが集まってきました。

「今月のエルフ水飴は素晴らしいねカッパさん」
「おう、最上級の証である翠色だ! いっぱい買ってくれよなオークの旦那!」
「先月も空色で綺麗だったけど、今月もとっても綺麗に仕上がってるわねカッパさん」
「おう、今月は着色料をやめて生のエルフの特徴を活かしたからな! 子どもの分も土産に買ってくれよなラミア夫人!」

 カッパさんのお店は大繁盛です。老若男女、様々な魔物たちがエルフ水飴を買い求めていきます。大層な賑わいにカッパさんも大喜びでした。
 しかし、その喜びも束の間。魔物たちの平穏を乱す者が現れました。

「待て、そこのカッパさん!」

 勇者です。勇者が現れたのです。たった一人で。いつも連れている空色の法衣を着た僧侶はもういません。
 カッパさんは横に広い嘴から鋭い歯を覗かせて笑いました。

「なんだ、勇者か。先月は大変世話になったな、ありがとうよ!」
「黙れ! エルフを解放するまで、何があろうと僕は戦うぞ!」

 聖剣を掲げて、勇者は大きな声でカッパさんを威嚇します。

「そこが保管庫になっていることはわかっているんだ。その大きなトゲを抜きさえすれば、沼の水が捌けて助けられるはずだ!」
「ハッ! できるもんならやってみな! そろそろ決着を付けてやんよ!」

 二人の間に剣呑な雰囲気が流れます。けれど、お客さんたちは騒ぎを気にせず買い物を続けます。
 そうです。カッパさんはとても強いのです。これまでに何度も勇者にお店の邪魔をされそうになっては、返り討ちにしてきた過去があります。
 カッパさんは店番をカッパ子分に任せ、勇者と近くの小川に場所を移しました。いい加減うんざりしていたので、今日はとっても真剣です。

「いくぞ!」

 カッパさんと勇者。二人の声が重なります。爪と剣が打ち合う音、地面を蹴る音、小川のせせらぎを激しい戦闘音がかき消します。
 何度も負けているとはいえ勇者もさすがは勇者、カッパさんに何とか食らいついています。

 しかし、もちろん長くは続きません。

 すぐに剣を弾き飛ばされて、勇者の負けが決まりました。肩で息をする勇者に、カッパさんが言い放ちます。

「オレの勝ちだな、勇者」
「くっ、僕は諦めないぞ!」
「まあまあ。落ち着けよ。お前の頑張りは認めてやるからよ。ほら、一本サービスしてやるから、これでも食ってけ」

 勇者の口に、エルフ水飴が強引に突っ込まれました。
 予想外の出来事に大きく目を開く勇者。しかし途端に、その意志の強そうな黒い瞳がとろんとしてきました。

「美味しい……」
「そうだろそうだろ、オレのエルフ水飴は最高よ!」
「うん……すまなかった。僕が悪かったよ。もう帰るね……」

 ふらふらとした足取りで勇者は小川に飛び込み、そのまま下流へと流れていきました。 
 カッパさんはそれを見送ると、残ったエルフ水飴をバキッと噛み砕いて気合を入れ直し、お店へと戻ります。

 今月もカッパさんのお店は大繁盛でした。
0406この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 02:37:51.26ID:5b8lRKgC
即興40分くらい
ちょっと気持ち悪い話&わけの分からない話でごめんなさい

ここで短編書いたの何年ぶりだろってくらい久しぶりです
いつの間にか感想ニキがいなくなってて寂しい…
久しぶりすぎてルールミスしてたらすみません(一応テンプレに目は通しましたが)

お題短編って瞬発力がつきそうな気がしていいですよね
0407この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 10:52:21.81ID:rBIxLLm+
>>405
0408三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/27(土) 10:57:40.14ID:rBIxLLm+
>>405
ミスすんません、、おかえりなさいですー!
競馬実況感想さんは休業中なんや・・・
これぞお題スレ的カオスな話w
0409この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 14:02:20.54ID:dDuTx91a
>>388
使用するお題→『水飴』『空色』『とげ』『エルフ』

【私の可愛い救世主】(1/3)
※スレ5 251【ブーツ探し】の続編かつ完結編です

眩しくも暖かい太陽の光が降り注ぐ、ある土曜日の朝。
私は今日もお気に入りのジーンズにロングブーツを履いて、町中を散歩していた。
あっ、そういえばまだ自己紹介してなかったのよね。私の名前は紺野サナ。
半年ぐらい前かしら、公園のベンチに座って居眠りしてしまった隙にブーツを脱がされて奪われてしまって、
たまたま出会った探偵を名乗る少年が協力してくれて、無事ブーツを取り戻したことがあったの。
あの少年、ちょっぴり生意気なところはあったけど賢くて良い子だったわ。また会いたいといつも思っている。

「あの子、元気にやっているかしら・・・」

そう考えながら、歩いている時だった。突然足下からベチャッと変な感触が伝わってくる。
恐る恐る目をやると、なんと水飴を踏んでしまっていたのだ。

「最悪ッ!せっかく手入れして綺麗にしたばかりなのに!」

ブーツの靴底は水飴でベトベトになっていた。すると近くにいた一人のおじさんが駆け寄ってきた。

「お嬢さん、大丈夫かい?」

そのおじさん曰く、ここ数日誰かが分からない水飴とか食べかけのアイスといったお菓子を捨て、
それを通りかかった人々がうっかり踏んでしまうトラブルが続発しているとのこと。
監視カメラを数台設置しているのだが、誰かが捨てている瞬間は一切写っていないのだ。
まさか幽霊の仕業か?そう思いながらサナは近くの公園に行き、そこの水道で濡らしたハンカチでブーツについた水飴を拭き取る。

「お菓子を捨てるなんてホント最低!見つけたら捕まえてコテンパンにしてやるわ!」
「あっお姉さん、久しぶりだね!」

突然、背後から聞き覚えのある声がして振り返ってみると、あの探偵を名乗る謎の少年が立っていた。
サナは思わずその少年をギュッと抱き締める。

「久しぶりはこっちのセリフよ!急に姿を消しちゃうんだから!もう、すっごく会いたかった!」
「アハハ、ところでまた何かあったの?」

サナはベンチに座ると、さっきの出来事を全て話す。

「なるほど、そういうことが。というかまたブーツ絡みなんだねアハハ」
「笑い事じゃないわよ。お気に入りのブーツなんだから」
「ごめん、ごめん。唐突でビックリするかもしれないけどサナさん、僕はね実は人間じゃないんだ」
「に、人間じゃないってどういう意味?」
「信じられないかもしれないけど、この際だから全て話すよ」

その少年の名はロートム。この人間界にはびこる悪い魔物をやっつけるために、異世界から派遣されたエルフの探偵なのだ。
よく見てみると、普通の人間と違って若干尖った耳をしていた。
0410この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 14:03:25.88ID:dDuTx91a
【私の可愛い救世主】(2/3)

「そう、僕は人間じゃなくてエルフなんだ」
「異世界から来たエルフなんてすっごくファンシーで可愛らしいわね」
「えっ怖がらないの?人間じゃないんだよ」
「人間じゃないから何だって言うの?私ね、ファンタジー大好きなの!」
「そ、そう言ってくれると嬉しい。とっても嬉しい!」

ロートムの顔はトマトのように赤くなり、照れているのが目に見えて分かった。

「それよりそのお菓子を捨てる犯人、恐らく魔物の仕業だよ」
「魔物の仕業?どうして分かるの?」
「これを見て」

ロートムは小さなリストを取り出し、サナに見せる。そのリストには人間界で悪事を働き、人間に危害を及ぼす魔物がたくさん載っていた。

「この"モノステロン"って奴に違いないね。平気で不法投棄する迷惑極まりない悪者なんだ」
「魔物だから監視カメラに映らないというのも納得がいくわね」
「モノステロン、こいつを絶対に捕まえて成敗してやる!」

人気が全くなくなった深夜の2時、サナとロートムはモノステロンが現れないか、近くの茂みの中に身を隠して見張っていた。
すると突然どこからともなく地面にガムやバナナの皮、溶けたアイスなどが次々と現れ始めたのと同時に、低く下品そうな声が聞こえてきた。

「グエッヘッヘッヘ、人間が困るのを見るのが一番の楽しみだぜ」
「そこまでだモノステロン!」
「な、何!?貴様は探偵エルフのロートムじゃねえか!」
「私もいるわよ!」
「あっ、俺の捨てた水飴をうっかり踏んだドジ女も一緒じゃねえか!」
「ド、ドジ女ですって!?完膚無きまでに叩きのめしてやろうかしら…!」

モノステロンが地面から姿を現した。全身真っ黒でトゲの生えたヘドロのような禍々しい姿をした魔物だった。

「グエッヘッヘッヘ、この人間界をゴミで埋め尽くしてやる!」
「そうはさせるか!」

口から汚いゴミの数々を吐き出して攻撃してくるモノステロンに、ロートムは魔物撃退用のレーザー銃で光線を当てようとするが
巨体で動きの鈍そうな姿から想像できない素早い攻撃になかなか上手く対処できない。
するとモノステロンが吐き出した廃棄物の一つがロートムに勢いよく直撃し、ロートムは頭から血を流して倒れてしまった。

「グエッヘッヘッヘ、マヌケな奴だぜ」

モノステロンはロートムを掴むと同時に、落ちているレーザー銃を踏み潰して粉々にした。

「さあ、俺の超必殺"グレートダスティブレス"であの世へ葬ってやる!」

大きく開いたモノステロンの口からドス黒い煙が現れてくる。

「ロートムを放しなさいよ、この汚いゴミ!」

サナはロートムを救おうと、近くに落ちていた棒で必死にモノステロンを殴るものの一切通用しない。
モノステロンが発射するビームに当たってしまったら、一溜まりもない。

「ど、どうしよう・・・」

するとサナは自分のブーツに目を向ける。
0411この名無しがすごい!
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2020/06/27(土) 14:05:47.35ID:dDuTx91a
【私の可愛い救世主】(3/3)

「これだ!」

モノステロンがビームが発射しようとした数秒前、サナは自分のブーツを彼の口に向かって勢いよく放り投げる。
モノステロンの口にブーツが入り、そのまま喉につっかえてしまった。

「ガ、ガホッ、ゴ、ゴガァ!」

喉にブーツがつっかえたためにモノステロンは苦しみ出し、掴んでいたロートムを放してしまう。
サナはすぐにロートムをキャッチし、急いで安全な場所まで走って逃げる。
本来放出するはずの強大なエネルギーが体内に充満して抑えきれなくなり、モノステロンはとうとう爆発してしまった。

「ゴ、ゴボバァーーーッッッッ!!!」

断末魔と共に爆死し、モノステロンは姿を消してしまった。しばらくしてロートムが意識を取り戻した。

「サ、サナさん!あれモノステロンは?」
「大丈夫よ、安心して。モノステロンは私がやっつけたわ」
「ありがとう!サナさんは僕の命の恩人だよ!」

いつの間にか空に太陽が昇り、朝が来ていた。

「サナさんのおかげでモノステロンは倒された。これで人間界に平和が戻ったよ」

するとロートムのポケットに入っていたベルが鳴り出した。

「一体どうしたの?」
「アメリカの方でまた魔物が現れたって伝言が入ったんだ。今すぐそいつを倒しに行かないと」
「ま、また会えなくなるってこと?」
「残念だけど、この日本にはもう来れないかもしれない」
「そ、そんなの嫌よ!せっかく会えたのに!」
「サナさん、これをあげるよ」

ロートムは首に巻いていた、綺麗な空色のスカーフをサナに渡す。

「僕の故郷で作られている伝統品のスカーフなんだ。寂しくなったら、それでいつでも僕を思い出して」

そう言うとロートムはそのまま姿を消してしまった。あれから1年ほどが経過した。
サナはロートムの形見である、空色のスカーフを首に巻いて愛用していた。

「ロートム、いつかまた必ず会おうね。今度は一緒に楽しく暮らそう、約束よ」


THE END
0412三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/27(土) 17:59:23.98ID:rBIxLLm+
>>409
またすごい前のを引っ張ってきましたねw
なんか全然違う話になってるwけど、エルフならそういうこともあるかも知れない
また会えるといいですね
0413この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/27(土) 19:29:51.30ID:dDuTx91a
>>412
感想ありがとうございます!
3作目の過去作品の完結編です。前のニーソのお話もそうでしたが
些細な日常から一気にファンタジーへと世界観がかなり変わっちゃってますねw
以前書いていた魔法少女ナツミシリーズをつい思い出しちゃいました
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0414この名無しがすごい!
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2020/06/28(日) 00:44:00.23ID:Pcy5uq6A
>>408
ありがとうございます
全部盛りのためだけに話が進んでいくカオス感が出ていたら及第点でした
0415この名無しがすごい!
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2020/06/28(日) 12:00:19.77ID:fFrx1827
そういえば
>>402 だけど、朽ちを知るの方も使わせてもらいます。詳細はこの前言ったばっかりだし割愛するよ、何度もすまん
0416この名無しがすごい!
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2020/06/28(日) 21:51:32.58ID:FmRPJz2J
>>388
お題:『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』

【異世界でのんびり紀行】(1/3)
 春の海、終日のたりのたりかな。

 思わず、そんな蕪村の句が頭に浮かび上がる様な、ゆるりとした空気が流れていた。
 箭内 東吾が異世界と呼ばれる、現代とは違う世界に転移してから、すでに2年目の春である。転移した直後は大慌てだった彼も、さすがにそれだけの月日を重ねれば、イヤでもこの世界に慣れてくる。

 今は乗り合いの馬車に揺られて、田舎道をノロノロと隣の町に向かって移動している最中だ。うららかな春の日差しと、ガタンガタンとリズミカルな振動に、思わず瞼が重くなって来る。

(昔は、尻が痛くてうたた寝なんて出来なかったのになぁ)

 そんな事を思い苦笑する。
 年がら年中旅の空な東吾は、すでにすっかり、そんな事にも慣れてしまっていた。

 獣人の御者の爺さんは、手綱を握りながら噛み煙草をもぐもぐとやっていて、それ程広いと言う訳では無い幌馬車の中には、東吾を含めて7人程の男女が、向き合わせの席に腰を落ち着けている。
 その中には彼と同じ様な旅装の者も居れば、普通の格好をした親子も居る。

 馬車の外では、護衛に雇われた冒険者達が、馬車の速度に合わせて歩いて居た。
 東吾も、時折、同じ様に馬車の護衛の仕事をする事は有るが、基本ソロな彼は、連携が必要なこの手の仕事を受ける事は殆どなかったが。

 この辺りの地方で魔獣が活発になっていると言う話など聞いた事は無いし、基本身を隠す場所の無い平原なので、盗賊が出たと言う話も聞いた事は無い。
 だからと言って全く遭遇しないと言う事も無い為に、こうして護衛が付いている訳だが。

(こんな日は、魔獣もお休みにしてるだろうさね)

 希望的観測ですらない寝言と言って良い思考ではあるが、彼の考えが正しいかの様に魔獣の襲撃など無かった。

 ガタリ……と、大きく馬車が揺れた。小川に掛かっていた、殆ど丸太を並べただけと言って良い橋を乗り越えたからだ。

 と、突然、座っていた親子の、その子供が泣きだした。
 馬車の中にいる客の視線はその子供に集中し、母親だろう若い女性は、慌てて子供を泣き止ませようとオロオロしている。
 御者の獣人の爺さんが迷惑そうに振り返るも、何も言わずに前を向き直し、何事かと馬車の中を覗き込んだ冒険者は、「何だ、ガキか泣いただけか」と、興味を失った様に護衛の仕事に戻っていった。

「如何致した?」

 フードを被っていた旅人が、そう声を発する。鈴の音の様な涼やかな声だった。
 一瞬、キョトンと上を向き、目を丸くしていた子供は、しかし、次の瞬間には「イタイの、イタイの」と、引き攣る様に繰り返す。
 手を押さえている様子から、おそらく、手か指を痛めたのだろう。タイミングとしては、小川で馬車が大きく揺れた時だろう。
0417この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 21:54:11.71ID:FmRPJz2J
【異世界でのんびり紀行】(2/3)


「ふむ、ならば、【回復】を掛けてみよう。わっぱ、手を出せ」

 「そこまでしていただかなくても」と、顔を青くする母親を無視して、旅人が【回復】の魔法を掛ける。
 東吾には母親の方の気持ちも分かった。【回復】魔法は、教会の神秘であり、それ以外の者が唱える事はほとんどない。
 その上、教会で【回復】魔法を掛けられれば、最低でも金貨が必要だからだ。
 おそらく、彼女にはそんなお金など無いのだろう。

 だが、子供は泣き止まない。

「ぬう? 確かに発動はしたのだが……」

 首を傾げ、もう一度魔法を行使しようと旅人が杖をかざす。二回目の【回復】魔法。母親の方は、青を通り越して、真っ白になっている。おそらく、二回分の【回復】魔法の料金が頭に過っているのだろう。

「おいおい、止めてあげなや、それ以上すると、お母さんの方が卒倒しちまうわな」
「ぬ?」
「ほれ、坊主、これでも食べな」

 そう言って東吾が手製の水飴を子供に渡した。
 木の棒に付いた、やや茶味がかったドロリとしたそれに、子供は戸惑った様な顔をしたが、東吾が「甘いぞ?」と言うと、恐るおそる口に着け、そして、勢いよく嘗め始めた。

 子供が水飴に夢中になったのを見計らって、東吾が子供の手を取る。

「ああやっぱり」
「ぬ?」

 矯めつ眇めつ見ていた東吾が、子供の指を掴んだ。そこには小さなトゲが刺さっている。おそらく、幌馬車の幌と車体の隙間に指を入れて遊んでいた子供の指に、馬車が跳ねたタイミングで刺さったのだろう。

「ふむ、では、これを使うか?」

 そう言って旅人が匕首を差し出す。その旅人の顔を見て、東吾は一瞬目を見開いた。
 絹糸の様な金髪に澄んだ空色の瞳。整った顔立ちの若い少女。
 怪訝そうに首を傾げた少女に、東吾は気を取り直した。
 確かに、この世界でトゲが刺さったと言えば、その部分を切り開いて取り出すのが常套手段ではあるが、匕首を見た子供がビクリと怯えたのを見て、東吾が苦笑する。

「いや、いい物を持ってるんだ」

 そう言って東吾は、背嚢の中から小袋を取り出すと、その中から小さな「毛抜き」を取り出した。
 次いで、子供の指を摘まむと、毛抜きを使ってスルリとトゲを取って見せる。

「ほら、もうトゲは取れたぞ」

 しばらく呆然と自分の指と毛抜きのトゲとを交互に見ていたが、すでに痛みが無くなっている事に気がつき「うん!」と元気よく返事を返したのだった。

 ******

 母親から【回復】魔法の料金を「某は役に立たなかった故」と断っていた少女が、東吾の隣にストンと座る。

「……怪我が治ってたら、料金は取ってたのかい?」
「まさか、この程度の事で礼など貰わんよ」

 そんな、一般常識を分かって居ない様な答えに、東吾は溜息を吐いた。

 【回復】魔法は、教会の秘技である。それ故に使い手は殆どいないし、料金もバカ高いのだ。それを「この程度」と当たり前のように言うのは、かなりの常識知らずだからだ。
 その事を指定すると、少女は目を丸くして「マコトか?」と東吾に問い質す。

「本当だよ、ほら」
0418この名無しがすごい!
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2020/06/28(日) 21:58:35.12ID:FmRPJz2J
【異世界でのんびり紀行】(3/3)


そう言うと、安堵している母親を指差した。

「ぬう、某は、余計な事をしてしまったのだろうか?」

 そう言って落ち込む少女に「そんな事は無いさ」と、東吾は軽口を叩く。

「困って居る者が居れば助けようと思うのは、『善き行い』だ。ただ、それを行う時、果たしてその相手は助けるに足る人物かの見極めと、手段については考えなけりゃならんがね」
「ぬう、そうか、そうだな。ありがとう」

 改めて自分の方を向き頭を下げる少女に、東吾が片眉を上げる。

「礼なんざ言われる程の事ぁしてないさね、まぁ、『旅は道連れ世は情け』『袖振り合うも他生の縁』ってこった」
「随分と古い言い回しをご存知の様だが、貴殿はもしかして、エルフの里の者か?」

 東吾は、自分が古臭い言い回しをする自覚は有ったが、しかし、それが何故エルフと結びつくのか分からなかった。
 そう言えば、彼女の言葉遣いも、持っていた匕首にしても、この世界では珍しい感じの物だ。どちらかと言えば、東吾の故郷である日本の、それも、彼がよく見ていた時代劇のソレの方が近い様に思われる。

「なぁ、あんたは『日本』って知ってるか?」
「それは、我ら始祖の生まれたとされる地の事だな!! やはり、貴殿はエルフの者か!!」
「始祖? え? エルフって日本人の血を引いてるの?」
「ぬ?」

 何と無く会話がかみ合っていない事に気が付いたのか、少女が眉根を寄せる。

「……ああ、そう言う事か、済まんな、俺は別にエルフじゃぁないさね。まあ、日本の事はよく知ってるがね」

 そう言ってフードを脱ぐと、そこには黒目黒髪の姿が現れる。
 それを見た少女が空色の目をこれでもかと見開いた。

「そ、そのお姿は! 確かに伝え聞く始祖様の姿!!」

 思わず声を荒げた少女に馬車内の視線が集まり、東吾は慌てて彼女の口をふさぐと「すみません」と周りの人達に頭を下げた。

「ぬう、申し訳ない。始祖殿」
「うん、俺は別に始祖じゃぁ無いからな、おそらく同郷ではあるがね」
「何、ふご!」

 再び大声を上げようとした少女の口を東吾がまたしても塞ぐ。

「と、言うか、アンタ、エルフなのかい?」
「ぬ! 名も名乗らず、失礼つかまつった。某の名は藤井 榛名と申す」

 そう言って自らのフードを引き、その長い耳を東吾に見せる。

「そうかい、俺の名は箭内 東吾だ」
「ほほう! 成程成程! 殿は東吾様とおっしゃられるのですな!! うむ、先程も泰然とした様子で子供をあやし、瞬時に原因を見極めては、適切な手段を取られていた。うむ! 流石は我が殿で有りますな!」
「は? 『我が殿』?」

 困惑する東吾を尻目に、榛名はそれが当然であるかの様に言った。

「見分の旅に出て直ぐに、始祖殿の同郷の方と相まみえる事ができるとは、何たる行幸! これは天の采配に相違ございません!」
「いや、ちょっ」
「ならば、某が殿と同行するは必然! そうではありませぬか!? いや! そうでしょうとも!!」

 鼻息荒くそう断言する榛名に、東吾は顔を引き攣らせると同時に(あれ、エルフってこんなんだったけか?)と思わずにはいられなかった。

 結局、彼女の勢いに飲まれた東吾が首を縦に振るに至るには、隣町に馬車が着くまでの時間も掛からなかったのだった。
0419この名無しがすごい!
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2020/06/28(日) 22:04:54.08ID:GHA6itCK
>>388
前スレ94の前日譚です

使用お題→『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』

【私の従者】

 隣国と我が国との間に位置する危険地帯、通称『魔の森』。
 私は一人、さまよっていた。追っ手の襲撃から逃れる際、仲間とはぐれてしまったのだ。
 茨の茂みを突っ切って、倒木の下をくぐり抜け、足元の見えない下草の斜面を駆け上がった。傾斜が途切れて、私は立ち止まった。見回すと、周囲には誰もいなかった。
 しばらく待っても、誰も現れなかった。私は一人で進むことにした。道も分からぬまま。
 さっき仲間と言った。なんてことはない、若くて頼りない従者が一人だけ。高貴なる姫の一行にしては、なんとも貧相だ。
 その頼りない男でも、いないとなると心細いものだ。それに、荷物の半分以上は彼が持っている。実際のところ、合流できなければ、この迷宮を突破することは難しい。
 疲れのせいか、絶望的な状況のためか、私は段々と投げやりな気持ちになって、ずんずんと進むつもりで、ふらふらと歩いた。
 小川があった。
 一段低くなって、木々の間に隠れていた。せせらぎが聞こえる。森の中は見通しが悪い。ほとりまで下りるのは危険なように思われた。
 私は小川に沿って進むことにした。地図には大きな川の位置も書き込まれている。下流を目指せば、どこかしらに出るはずだ。
 警戒はしていたつもりだった。何が出てもおかしくない。だが、注意して進んだつもりでも、やはり私には何も見えていなかった。
 対岸が広場のようになっている場所があった。その反対側、つまり私が歩いてきた方、その雑草の中に、男……だったであろう、塊が転がっていた。
 空色、だった。私の従者の瞳の色だ。エルフには珍しくない色だが、彼のそれは、しばしば不安気に揺れながらも、同時に誠実さを感じさせるものだった。
 その瞳の色を思わせるような、半透明の、水飴(みずあめ)のような物体。
 スライムだ。
 空色のスライムが、私の従者の死体に取り付いて、それを消化していた。まだ死んでから大して時間も経っていないだろうに、もはや元の姿が分からない。
 隣に置かれている荷物と、彼が身に着けていた武器や装身具。それらが遺体の身元を示していた。
 周りをよく見ると、川の方から赤黒いものが続いていた。恐らく、川の中か対岸、またはその奥で負傷した。その時の傷が致命傷となり、ここまで逃げ延びたものの、亡くなった。
 スライムは、生きているものは襲わないという。だから、たまたまだ。彼が力尽きてから通り掛かり、ひょっとしたら何日も食べていなかったかも知れない、ごちそうだ。
 それでも、私は恨めしい。死に顔くらい見てやりたかった。こいつを殺せば、少しは彼の無念を晴らせるだろうか。
 そう思って、腰の短剣に手をやろうとした時。

『あんた……姫……?』

 頭の中に声が響いた。

『……気を付けろ、対岸だ!』

 何かが動いた。とっさに身を翻すと、たった今まで私がいた所に、矢が突き刺さっていた。
 追っ手が姿を現した。言うまでもないが、全員エルフだ。林の中から何人かが出てきて、対岸の広場へと歩を進める。この距離では逃げ切れない。

『あいつら……』

 私は覚悟を決めたが、次の瞬間には、予想もしていなかったことが起きた。
 巨大な刺(とげ)。
 広場の地面から何本もの刺が突き出して、彼らを串刺しにしていた。

『あんたの従者……だな。こいつもあれにやられたんだ』

 私は混乱する思考で、それでも、この機を逃しては、この機会を手放してはいけないと、そう悟った。

『俺を連れてけ。道案内してやる』

 そう主張するスライムを、スライムだ、こいつがしゃべっているのだ、私は抱え上げて。落ちていた荷物も、持てそうなものは持って。

『大丈夫かよ。俺が持ってやれればなぁ』

 私はその場を逃げ出した。
 脳裏に浮かぶ光景があった。王宮の壁や天井に描かれた、物語の英雄。
 その透き通った、空色が。
0421三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/28(日) 22:12:12.80ID:GHA6itCK
お題→『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>394【受難な姉を救え】
>>402【途中まで書けたけど、没作で……申し訳ねえ、最近調子悪いわ】
>>405【エルフ水飴】
>>409【私の可愛い救世主】
0423三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/28(日) 22:14:26.20ID:GHA6itCK
で、、では、久しぶりの盛況ですが、書き出しの一文指定をやります!

お題安価>>424-427
書き出し安価>>428
0424この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 22:14:49.64ID:9utiRqHN
ピアノ
0425この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 22:16:51.04ID:C5i/j5S5
ろうそく
0426この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 22:18:02.09ID:Qy6Lq82P
電波女
0427この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 22:20:08.08ID:tWIjXVMN
オオカミ
0429三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/28(日) 22:25:35.70ID:GHA6itCK
☆お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/5の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0430三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/28(日) 22:27:58.06ID:GHA6itCK
また今週はすごい早いね・・・なんか書き出しも雰囲気あるね・・・!

と、ともかく、引き続きお題スレをよろしくおながいします
0431この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/28(日) 22:52:58.36ID:FmRPJz2J
……二日間覗かなかっただけなのにこんなに作品が
>>402
お題の小川とシンクロするかの様な透き通った感じのお話ですね
思考が行き詰まった時には一旦休んでから再び見直すのも良いですよね

>>405
某ゲームでエルフは植物だそうですが……w
水飴が作れるのであれば
その内エルフ麦酒なんかも作られそうですね

>>409
「地球は狙われている」から常に始まるマンガを思い出しました
少年探偵の意外な正体
これって永遠の少年探偵って事ですかね?

>>419
転生者が姫と出会うまで
二人の逃避行はいつまで続くのか?
0432三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/06/28(日) 23:26:46.14ID:GHA6itCK
>>416
なるほどー、平和な世界の(言動だけは)和風エルフ
主人公の役得もありつつ、楽しい旅になりそうですw

>>431
感想ありがとうございます!
この時点では緊迫してますが、本編では意外とのんびりだったりします
0433この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/29(月) 07:43:48.46ID:dRJmo/25
>>432
感想有り難うございます
相変わらず、削りまくった為に謎が多いお話になってしまいましたorz
0434この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/29(月) 08:04:29.62ID:FYkS5tuQ
>>431
感想ありがとうございます!
少年探偵の正体が実は異世界から来たエルフというまさに超展開でした
過去作の雰囲気をなるべく壊さずに展開するのって結構難しいんですけどこれまた楽しいんですよね
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0435この名無しがすごい!
垢版 |
2020/06/29(月) 22:20:56.72ID:FYkS5tuQ
>>429
使用するお題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ろうそく』『オオカミ』

【謎の祈祷師、現る】(1/3)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話・・・」
「ねえシグレ、何を言っているの?」
「あっ、ごめんなさい」

日本という国から遥々このアメリカにやって来た謎の女サムライ・シグレ。
自由気ままにさすらいの旅を続ける女ガンマン・シンディとはかつてライバル関係で敵同士であったが、
幾多の激闘を互いに力を合わせて乗り越え、今では彼女の親友にして良き旅の仲間である。

「侍の国がどうのこうの言ってたけど何なの?」
「ある将軍の城に忍び込んだ時、その書庫にあった一枚の巻物にそう書いてあったの。誰が書いたか分からない、きっと日本の未来を予知するものなのかもしれない」
「どんな国も時が進めば必ず変化が起こるってことよ。そんなに心配してちゃ前へ進めないわよシグレ」
「そうよね、時代は移り変わっていくものだわ」

シグレはシンディと共に彼女の愛馬サンセットの背中に乗ると、荒野の中を再び走り出す。
サンセットもシグレに非常に懐いており、彼女を立派な旅の仲間の一人として認識していた。
そんな彼女達の姿を岩陰から誰かがじっと見つめていた。

「あの小娘、こんなところにいたのか。絶対に捕まえて息の根を止めてやるわイッヒッヒッヒ!」

日が暮れて夜になった。次の町まで辿り着くことができなかったシンディとシグレは、今夜は野宿することに決めた。
とても暑苦しい荒野も夜になると一気に冷え込み、身震いがするほど寒くなる。シグレはまだそれに全然慣れていなかった。

「に、日中はあれだけ暑いのに、よ、夜になったら、こ、こんなに寒いなんて。変わった国ね。ハッ、ハックシュン!」

そんなシグレにシンディは自分のコートを着せ、スカーフを首に巻いてあげた。

「大丈夫?これで少しは温かくなるはずよ」
「あ、ありがとうシンディ」

シンディのコートとスカーフから彼女の温もりが伝わり、シグレはいつの間にか眠りに落ちてしまった。

「あらあら、すっかり寝ちゃって。シグレったら可愛いんだから」

スヤスヤと眠るシグレの頭をシンディはそっと優しく撫でる。サンセットも眠りについてまだ間もない時だった。
一匹の大きな白いオオカミがシンディの目の前に現れた。

「オ、オオカミ!こら、近づくと撃つわよ!」

牙を剥き出しにし、ヨダレを垂らしながら自分の方に歩み寄るオオカミにシンディは銃を向けて威嚇するが、そのオオカミは一切動揺しない。
オオカミはそのままシンディの足に思いきりガブッと噛みつき、彼女をズルズルと引きずり始めた。

「ウワワワワッ!こ、こら何するのよ!」

シンディの声を聞いたシグレとサンセットが飛び起きる。

「あのオオカミ、まさか!冷静になってシンディ!」
「れ、冷静に?そうか!」

シグレの一声でシンディはすぐに落ち着いて一旦冷静になる。するとその白いオオカミは煙となり姿を消してしまった。
0436この名無しがすごい!
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2020/06/29(月) 22:21:48.73ID:FYkS5tuQ
【謎の祈祷師、現る】(2/3)

「消えた!ふぅ、助かったぁ。さっきのオオカミ、シグレの妖術?と何だかすっごく似てたわ!」

シンディは、自らの心の奥に潜む恐怖心を取り除くことで危機を回避したのだ。

「私と同じ術を使う、ということはまさか!」
「そのまさかだよシグレ!」

シンディとシグレの目の前に現れたのは、3本のロウソクを鉢巻に巻いた、変な姿をした白い着物姿の女だった。

「私を忘れたとは言わせないわよ、シグレ」
「あ、あんたはヨツユ!何でここに!?」

その女はヨツユという祈祷師で、かつて強大な勢力を持つ将軍の仲間の一人だった。
その将軍はシグレの手によって全滅させられたものの、ヨツユ自身は得意の妖術で欺くことでなんとか生き残り、シグレに復讐を果たすべく彼女をずっと探し回っていたのだ。

「将軍もろとも斬り殺したはず!まさか生きていたなんて!」
「あれで私を殺したとは思い上がりも良いところね。まあいい、ここであなたの息の根を止め、首を持って帰らせてもらうわ!」

ヨツユは頭のロウソクを一本取ると、口から黒い息を炎に向かって吹きかける。
黒い息に包まれたロウソクの炎は大きくなり、それはウサギのような姿に変化した。

「"黒炎兎"(こくえんと)!!」

赤い目を光らせ、激しく燃える黒い炎のウサギがシグレに向かって襲いかかってきた。
それに対抗すべく、シグレは手の平から冷気を発生させ、その冷気をキツネのような姿にさせた。

「"氷柱狐"(つららぎつね)!!」

炎のウサギと氷のキツネが激突する。妖術によって生み出された熱と冷気の怪物が互いにぶつかり合い、蒸発し消えてしまった。

「腕はまだまだ衰えていないようね、シグレ」
「ハァ、ハァ!」

妖術は技によっては自らの体力を極限にまで削って繰り出すものも多く、さっきの技でシグレの体力は一気に消耗してしまった。

「どうやら今ので一気に体力を使い果たしてしまったようね。ここでトドメを刺してあげる!」

ヨツユの腕から青白い炎が現れ出す。

「さあ、これで観念しなさい」
「ちょっと待ちなさいよ」

するとシンディがヨツユの腕をギュッと強く掴んで邪魔をする。
0437この名無しがすごい!
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2020/06/29(月) 22:22:42.20ID:FYkS5tuQ
【謎の祈祷師、現る】(3/3)

「貴様、何をする!放せ!熱くないのか!」
「うん、全然熱くない」

青白い炎に包まれている自分のの腕を掴んでいるというのに、全然熱がる様子を見せないシンディにヨツユは思わず動揺する。

「あのねえ、私の大切な親友に手を出さないでくれるかしら。ちょっとでも傷つけたら命は無いと思った方がいいわよ」
「黙れ!こうなったら貴様からまず地獄に送ってやるわ!」

しかし、以前のシグレとの戦いを通じて妖術の「心に潜む恐怖心を狂気へと実体化させる」という神髄を
見事にまで打ち破ったシンディにはヨツユなんて全く敵ではなかった。

「き、貴様、恐怖心というのを全く抱いていないというのか!」
「アメリカのガンマンはね、少しでも恐怖に屈したらそこで負けなのよ!」

ヨツユの腕を強く掴んで持ち上げると、シンディは彼女の腹に勢いよく膝蹴りを食らわせる。

「グ、グウェヘ!」

そのまま銃で脳天を撃ち抜かれ、ヨツユは頭から血を流しながら絶命してしまった。

「シ、シンディ、ありがとう」
「気にしないでシグレ。親友に手を出す者は絶対に許さない、ただそれだけのこと」

気づけば空に太陽が昇り、いつの間にか朝が来ていた。

「シンディ、あなたって強いわね。感心しちゃうわ」
「そんなことないわ。本当のことを言うと私、子供の頃からすっごく臆病で怖がりなの。でも今、私には守るべき大切な存在がいる」
「守るべき大切な存在って?」

シグレにそう問われたシンディは、彼女に向かってニコッと微笑む。

「ま、まさか!」
「そう、あなたよシグレ!今、あなたという親友で仲間という大切な存在がいるから私は強くなれる」

サンセットもシンディの言葉に賛同しており、シグレの顔をペロッと優しく撫でる。

「シ、シンディ、そう言われると照れちゃう。あ、ありがとう」
「あらあら顔を真っ赤にしちゃって。シグレは本当に可愛いんだから!」

シンディとシグレを背中に乗せ、サンセットが再び荒野の中を走り始めるのだった。
0438この名無しがすごい!
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2020/06/30(火) 12:49:22.82ID:ayhHh/k8
>>435
ハイパーウエスタンファンタジーな様相を呈して来ましたねw
迫り来る敵と困難を打ち破った後の友情
良いですよねw
0439三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/30(火) 14:31:43.86ID:tVx4kJHb
>>435
正直シンディシリーズ用っぽさはあった^^;
またすごい外見と技ですがw、この2人の敵ではなかった・・・
0440この名無しがすごい!
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2020/06/30(火) 15:35:43.67ID:bkFnCRfG
>>438
>>439
感想ありがとうございます!
そうですね、リアル系ワイルドウエスタンだったのにいつの間にか段々とファンタジー化してますねw
自分でも書いててひたすら思ったのがシンディどんだけ脳筋なんだよ…
ま、まあ己の力で相手を無理やりにでもねじ伏せてこそアメリカのガンマンだぜ!ということで(笑)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0441この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 16:58:31.42ID:VrCMWPSq
>>429
使用するお題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『オオカミ』

【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(1/3)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話・・・」
「うわあ、すっごい展開になってきたな」

ある朝のこと、ライアンはリビングのソファーに座ってテレビに夢中になっていた。
しばらくすると、起きたばかりのレイチェルがフワァッと大きな欠伸をしながら下りてきた。

「おはようライアン!あれ、何を見ているの?」
「あっ、おはようレイチェル。日本がエイリアンに襲撃されるドラマでさ、強い侍がみんな殺されてエイリアンに侵略された日本を、一人の少年が孤軍奮闘して救おうとする内容なんだ」
「結構スペクタクルね…ってライアン、呑気にドラマを見てる場合じゃないでしょ。ハロウィンの準備をしなくちゃ!」
「そうだった!ごめんね、すっかりドラマに無我夢中になってたよ」

そう、今年もシチリアにハロウィンの季節が訪れたのだ。ライアンは早速、子供達に配る美味しいお菓子作りの準備にとりかかる。
レイチェルは、ハロウィンが来て興奮する一方で不安に思っていることが一つだけあった。
それは、いつも着ているお気に入りのガンマン衣装でパーティーに参加できるかどうかということだった。
一昨年は市長の女秘書に奪われる、昨年は買い物帰りにうっかり沼地に落ちて汚してしまったために着られなくなるなど、2年連続で散々な目に遭っているのだ。

「今年こそはいつものガンマン衣装で出られたらいいんだけど・・・」
「今年も、というか毎年ハロウィンは黒猫の衣装で出たらいいと僕は思うよ」
「だーかーらー、黒猫はあくまでも「もう一つ」の姿なんだってばライアン!私の本来の姿は、さすらいの女ガンマンなんだから!」
「黒猫姿のレイチェル、僕はすっごく大好きだよ。そう怒らないで」

冷静になって考えてみれば、あの黒猫の衣装はマンネリ化しつつある余興をもっと楽しんでもらうために、ライアンが厳選して買ってきてくれた大切なものだ。
それを嫌がるということはすなわち、ライアンの想いを無下にしているのと同じだ。レイチェルはそう考えると、彼に対して罪悪感を感じてしまった。

「つい熱くなっちゃって、本当にごめんなさいライアン。私、今年も黒猫の衣装で参加するわ」
「無理しなくてもいいんだよ、レイチェル。僕はただ、黒猫姿の君がガンマン姿と同じくらい大好きだって言いたかっただけだよ」
「だって、ライアンがこの黒猫の衣装を買ってくれたおかげで、余興が以前よりずっと楽しくなって評判も良くなったのよ。だから、私はこれを着る!」
「レイチェル、そこまで言ってもらえるなんて。僕、すっごく嬉しいよ!」

でもライアンは最初から知っていた。レイチェルは黒猫の衣装を少し嫌がっているように見えて、本当は非常に気に入っているということをだ。

「(レイチェルったら普段はとても純粋なのに、時々素直になれないところがあるな。まあ、そこが凄く可愛いんだけどね)」
「さあ、今年も黒猫レイチェルで行くわよー!黒猫になった私を止められる者は誰もいない!」

すっかり有頂天になっているレイチェルを、ライアンは微笑ましそうに眺めていた。
準備も整ったパーティーの前日、ライアンとレイチェルはのんびりと散歩していた。
大きな湖のある公園の中を歩いていると、木々に囲まれるように佇む廃虚を見つけた。
その廃虚の中にはピアノが置いてあり、ここ最近、誰もいないのにピアノが鳴る音が聞こえるという怪奇現象が多発しており、噂になっていた。

「誰もいないのにピアノが鳴るなんて、まさか幽霊の仕業かしら?」
「気になるのは分かるけど、廃虚だからといって不法侵入だけはもう絶対に勘弁してくれよレイチェル。もし、またしたら助けないし許さないよ」
「も、もちろん分かってるわよライアン!あの時と同じ過ちはもう繰り返したりしないから安心して!」

好奇心旺盛が故にトラブルを起こしてしまうことのあるレイチェルに、ライアンは心配で気が気でない時もあった。
0442この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 16:59:26.23ID:VrCMWPSq
【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(2/3)

そしてハロウィン当日、年に一度の盛大なパーティーが開催された。
黒猫姿で参加したレイチェル、そしてライアンに子供達がハッピーハロウィーン!と嬉しそうに駆け寄ってくる。

「わあ、今年も黒猫のレイチェルさんだー!」
「ガンマン姿もいいけど、黒猫も素敵だね!」
「ウフフ、ありがとう!」
「ライアンさん、美味しいチョコチップクッキーくれないとイタズラしちゃうぞー!」
「アハハ!ほらほら落ち着いて、一人ずつ順番にね」

黒猫姿のレイチェルに握手を求めたり、ライアンからクッキーを貰ったりと子供達は大はしゃぎだった。
今年も楽しいパーティーは無事に幕を閉じ、ライアンとレイチェルは家路についた。

「今年も最高のパーティーだったね、ライアン!」
「ああ、来年もまた待ち遠しいね!」
「チョコチップクッキー、まだ残ってる?」
「もちろんだよ、ほら」

ライアン特製のチョコチップクッキーを、レイチェルは嬉しそうに齧る。
あの廃虚の近くを通りかかった時だった。美しい音色のピアノが聞こえてくる、誰もいるはずがないのに。
その音を聞いたレイチェルとライアンがその廃虚に駆け寄り、こっそりと窓から覗く。

「や、やっぱり誰もいない。本当に幽霊の仕業なのか?」
「ちょっと待って!ライアン、よく見て!」

よーく目を凝らして見ると、誰かがいてピアノを弾いている。それは真っ黒なオオカミの姿をしている。

「「オ、オオカミがピアノを弾いてる!?」」

そのオオカミはレイチェルとライアンの存在に気付き、勢いよく扉をパンチして破壊して姿を現した。
二足歩行しているオオカミの化け物と思いきや、それはオオカミの衣装を着た人間で女だった。

「また会えたわねレイチェル、そしてライアン。私を覚えてる?忘れたとは言わせないわよ」
「ま、まさか前市長グレーズさんの元秘書!?」
「正解。覚えてたようで嬉しいわ」

現在は市長を辞任してドイツへと引っ越し、シチリアにはもういないグレーズさんの元秘書であるリーソンという女だった。
2年前、レイチェルのガンマン衣装を盗んだ上、ライアンをも誘拐した張本人だ。3ヶ月ほど前、大量の保釈金を払うことで釈放されたのだ。

「そう、この私リーソンよ。そういえば名乗るのは今回が初めてだったわね。目的はいたってシンプル。あんた達を誘き寄せ、復讐を果たすためにこの廃虚を利用したの」
「逆恨みも甚だしいわね。こうなったら、あんたをまた刑務所に逆戻りさせてあげる!」

オオカミの衣装を身につけたリーソンがライアンに襲いかかろうとしたが、黒猫姿のレイチェルが俊敏な動きでそれを阻止する。

「ライアン、私のことはいいから早く逃げて!必ず、生きて帰るから!」
「そ、そんなこと…!」
「いいから!私はライアンが無事なら、それだけで十分よ」

ライアンはグッと涙を流すのを堪えると、その場から走って逃げた。

「愛する妻を置いて逃げるなんて、最低の夫ね」
「あんたがそれを言う資格なんてどこにもないわよ!」

黒猫姿のレイチェルはその俊敏さを活かしたパンチやキックで、オオカミ姿のリーソンに攻めていくもののダメージがなかなか入らない。

「オオカミって結構タフな動物よ。パワーも体力もただの猫なんかよりも圧倒的に上!あんたの攻撃なんて痛くも痒くもない!」
「そ、そんな!」
0443この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 17:00:35.24ID:VrCMWPSq
【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(3/3)

黒猫フォルムは俊敏性は優秀ではあるが、決定力にやや欠ける上に体力に難があり、長期戦や体力に優れた相手となると非常に分が悪い。
とにかく早めに決着をつけないと、自分がとことん不利な状況に陥ってしまう。

「ハァ、ハァ…!」
「あらあら、もうスタミナ切れなの?情けない黒猫さんね」

リーソンがオオカミのパワーを活かしたパンチで、レイチェルの腹を勢いよく殴る。
レイチェルは血を吐き、そのまま気を失って倒れそうになる。

「さあ、これがあんたの最期よ。後でライアンも一緒に合わせてあげる、あの世でね」

まさに絶体絶命、万事休すかと死を覚悟したその時だった。突然、カチャカチャと拍車が鳴る音が聞こえてくる。

「そこまでだ!凶悪なオオカミ女め!」

現れたのはなんと、レイチェルのガンマン衣装を身につけたライアンだった。

「ラ、ライアン!!」
「助けに来たよレイチェル!」
「ふん、戻ってきたところで私に勝てるとでも思ってるの?」

リーソンが満月を背に高くジャンプして飛び蹴りを喰らわせようとした時、ライアンは銃を取り出し、彼女の右脚に向かって発砲する。

「グワアッ!ま、まさか本物の銃を持っていただなんて!」
「ガンマンなんだから銃を持っていないとおかしいだろ」
「や、やられた・・・!」

右脚から血を流しながら、そのままリーソンは倒れてしまった。その後、駆けつけた警察によってリーソンは逮捕、また刑務所へと逆戻りとなった。
ライアンはレイチェルを抱え、急いで家に帰るとすぐに手当てをした。

「これでよしっと!もう大丈夫だよ、レイチェル」
「本当にありがとう、ライアン。まさか私のガンマン衣装を着て助けに来てくれるなんて。すっごくカッコよかったわ!」
「大切なパーティーを危険に晒したまま逃げるなんて、そんな薄情なことできるわけないだろ。とにかく本当によかった」

ライアンによしよしと優しく頭を撫でられ、レイチェルは嬉しくなり、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
この出来事はまた新聞の一面を飾るほどの大きな話題となった。

「去年はマンティコア騒動、今年は元秘書がオオカミになって復讐、ハロウィンはもう何が起きるか分からないな」
「早いけど、もう来年が心配で怖くなってくるわ」
「気にしないでレイチェル。大丈夫だよ、この僕がいるからね」
「ウフフ!そうね、優しくて強いライアンがいるから安心よね!」

互いに顔を合わせて笑い合うライアンとレイチェルなのであった。
0444三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/02(木) 13:36:24.39ID:eMnBW9NT
>>441
絶好調ですねw、なんかこのシリーズを読むと安心する・・・
お前(が犯人)か!!、からの意外な方法での逆転!、次のハロウィンはどうなってしまうのか
0445この名無しがすごい!
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2020/07/02(木) 18:54:26.85ID:F4dBhA74
>>444
感想ありがとうございます!
あのハロウィンエピソード第一回目のあの元秘書がまさかの再登場でした、ナタリーもでしたがこの女も逆恨みがホント甚だしいw
文字数やスレ数の関係で展開が急になって、バトルの決着がちょっとあっけなさ過ぎだったのが残念でした
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0446この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 21:20:54.53ID:gnUcRo2N
>>441
またしてもハロウィンに事件がw
どこぞのクリスマスに事件に巻き込まれる刑事の様ですねw
次のハロウィンにも、コスプレ犯が襲撃に来るのでしょうか?
0447この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 21:22:34.24ID:gnUcRo2N
>>429
お題:書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【ぶんげいぶ】(1/2)


「『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』」
「何の話? ってか何処目線?」
「いや、こう言う書き出しだったら、近未来ファンタジーっぽいかなぁ……って」

 相坂高校文芸部の中島 浩人は、同じ部員である磯谷 勝にそう言った。

「……明治以降なら、だいたい当て嵌まる気がするんだが。てか、その書き出しにはファンタジー要素ないと思うぞ?」
「そう?」
「そうね!! 『大樹の葉っぱはピアノの様。雨を弾いてメロディーを奏でるの』これ位の書き出しじゃなくっちゃ、ファンタジーじゃないわね!!」

 女生徒の突然の声に、浩人がビクリと身をすくませる。
 勝は嫌な物を見たと言う様な表情で、女生徒……花澤 曄子に視線を向けた。

「うわっ電波女が来たよ……お前のソレは『ファンタジー』じゃなくて『メルヘン』だからな? それもポエム系の。第一、お前の書き出しからだと浩人の書きたい話にはつながらないだろ」
「何よ!! なら、アンタなら、どういう書き出しにするって言うのよ?」
「いや、どんな書き出しって、取り敢えず、内容が分からんと書き出しなんて決められないだろうが、なぁ、浩人」

 勝に話を振られ、浩人は「えっと、そうかも知れないね」と、曖昧に返事をした。

「ほら、浩人だって私に賛同してるわよ」
「浩人の返事のどこにそんな要素があった。この『電波女』」
「あ! じゃぁ『侍の国、大樹の葉っぱがピアノの様に雨を弾いてメロディーを奏でている僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』でどうだろう?」
「あほか!」
「素敵ね!」

 正反対の意見になり、二人が睨み合う。

「つなげれば良いって物じゃねぇだろう? そもそもそれはファンタジー要素じゃねぇ!!」
「あら、素敵じゃない。浩人きゅんが私の為に考えてくれたのよ? やだ、嫉妬? 男の嫉妬なんて醜いわよ?」
「ああ! ホントにもう話が通じねぇ電波女だよコイツは!!」

 二人が喧嘩にならない様にと考えた浩人は、取り敢えず両方の意見を尊重して見たのだが、どうやら逆効果だった様だ。
0448この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 21:23:26.92ID:gnUcRo2N
【ぶんげいぶ】(2/2)


 ******

「で、どんな話にしたいんだよ」
「えっと、近未来風ファンタジーでね?」
「うん」
「フェンリルの紋章を得た主人公が……」
「よし、待とうか」

 説明を始めた浩人の、飛躍し過ぎる説明に勝が頭を抱えた。

「とりあえず、そのフェンリルは何処から出て来た? ってか、書き出しで侍とか言ってなかったか?」
「え? その、舞台を日本にするから、そうなると、『侍の国』かな? って」
「うん」
「で、ほら、フェンリルって恰好良いでしょ?」
「それだけの理由か――――い!! っつうか、日本が舞台なら『真神』じゃダメなんか? ああ!?」

 勝の突っ込みにオロオロしていた浩人だったが、やや間を置いて「『真神』って何?」とおずおずと訊ねて来る。

「ふっ! 『真神』なんて、そんんなマイナーな狼神じゃ、超メジャー狼神のフェンリルには勝てないわよ!」
「あ、真神って、狼の神様なの? ありがとう教えてくれて花澤さん」
「良いのよ浩人きゅん。それから私の事は曄子で……」
「メジャー、マイナーの話は良いんだよ、世界観の話をしてんだ。世界観の」
「えっと、ごめん、日本が舞台でフェンリルだとダメかな?」

 あからさまに落ち込む浩人に、勝は「ダメじゃないけどさ」と言葉を掛ける。

「言っただろ? 世界観の話だよ。日本が舞台なのは良い。フェンリルの紋章も良いだろうけど、『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』って、書き出しだろう? それでどうして北欧神話が入って来るのかって話で……」
「ほくおうしんわ?」

 首を傾げる浩人を見て、勝は両手で顔を押さえる。

「フェンリルの出自も知らないのかよ……」
「良いの、浩人きゅんは、そのまま無垢でいて」
「『無垢』と『無知』は、一字違いでも全く違うんだよ! 『電波女』!!」
「ホッホッホ! 浩人きゅんの全てを受け入れられないなんて、なんて器の小さな男なのかしら! そんな男に浩人きゅんは任せられないわね!!」
「うっせえ!! 黙れ!! 交ぜっ返すな電波女!! 縛って叩いて捻じ込むぞ!!」
「な、何て下劣な!! ち、因みに捻じ込むってナニをかしら?(ドキドキ)」
「ろうそく?」
「浩人!! お前、何言ってんの?」
「え? ムチって言ったらロウソクかなって」

 突然の浩人の言葉に勝が驚愕の視線を向ける。

「いや、ムチって、そう言う意味じゃ……」
「ひ、浩人きゅんがそうしたいなら私は……(ドキドキ)」
「おまっ、さっきは『無垢でいて』とか……いや、ちったあ黙れよ!!」
「『ろうそく』って、ちょっとファンタジーのアイテムっぽいよね?」
「お前の中のファンタジー観ってどうなってんの!?」

 相坂高校文芸部は今日もにぎやかだ。
0449この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:12:03.58ID:eeL2HE6T
>>429
僕が前スレ808の続きだ……ですにゃー

使用お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】(1/2)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話……ですにゃー」

 ニャンダモ弐号機を塗装した日の夜。村では、またしても、宴会という名の食事会が開かれていた。

「それは……サンライズでしたかにゃー?」
「どうでしたかにゃー」
「それは……BAN南無でしたかにゃー?」
「にゃむにゃむ……どうでしたかにゃー」
「侍ですからにゃー。きっと両方ですにゃー」

 そしてネコミミ族の宴会というものは、素人演劇とのセットが定番らしい。
 ろうそくの明かりが揺れる。ネコミミ族の仮面も、暗闇を背負って不規則に揺れる。

「なあ、こんなにのんびりで大丈夫なのか?」
「大丈夫ではないですが、急いでも仕方ないですにゃー」

 ニャンダモのパイロットの女ですら、この調子だ。
 俺としては、もっと他にやるべきことがあると思うのだが。

「両方ですかにゃー。それと、侍は電波ですにゃー」
「電波……それはなんでしたかにゃー」
「見えるのですにゃー」
「何が見えるのですかにゃー」
「それはもう、見えてはいけないものが……あっ」

 おっさんたちの動きが止まった。

「……明日も早いのですにゃー。今夜はこれでお開きですにゃー」

 何が見えるんだ。気になるじゃないか。

 *

 翌朝は、相変わらずの曇りだった。なんとなく準備をして待っていると、前日と同じように、村長がやってきた。

「昨日はお疲れ様でしたにゃー。それで早速なのですが、電波ですにゃー」

 何言ってんだこいつ、とは思ったが、俺は大人しく村長に連れられて、村の外に出た。昨日とは違って、雑草に埋もれた道無き道を進む。
 しばらく進むと、上り坂になった。行く手は相変わらず植物に覆われている。よく見れば切り払われた跡も確認できるが、どこまで行っても緑しかない。村長は、そんな道を、迷うことも疲れを見せることもなく、歩き続けた。

「ここですにゃー。電波ですにゃー」

 坂道の先にあったのは、木々に埋もれるようにして建つ、一軒の小屋だった。
 周囲に目をやると、小屋のすぐ脇に鉄塔のような物が建っており、その先端を見上げると、曇り空で見づらいのだが、それはアンテナらしき形をしていた。

「電波女はいますかにゃー」

 村長は、ノックもせずに小屋の戸を開けると、ずかずかと中に入っていった。俺は慌てて村長に続いた。

「いますにゃー。逃げも隠れもしませんのにゃー。今日はどうしましたかにゃー」
0450この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:12:34.89ID:eeL2HE6T
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】(2/2)

 小屋の中には女が一人いた。

「今日は電波ですにゃー。電波を飛ばしますのにゃー」
「そうなのですかにゃー。ところで村長、そちらの方はどなたですかにゃー」
「こちらの方は脱獄囚ですにゃー」

 大して広くもない室内には、ベッドが一台と、ピアノの鍵盤のような装置が接続された怪しげな機械があった。

「そうなのですかにゃー。それは本当ですかにゃー」
「まあ、証拠はないが」
「にゃーは電波女ですにゃー。ここで電波を受信してますのにゃー」

 無線のオペレーターみたいなものか。機械にはスピーカーもつながれているようで、どこからか雑音が聞こえてくる。マイクやヘッドフォンは見当たらない。

「それで村長、今日は何を飛ばすのですかにゃー」
「それはですにゃー……今回は固まらないですにゃー……エム先生の所へ行くのですにゃー」
「そうなのですかにゃー。分かりましたにゃー。『エム先生、サンダーボルト森林から、会いに行くよ!』ですにゃー」

 そう叫ぶと、女は鍵盤を操作し始めた。スピーカーから、ピーピービービー音がする。

「何かの符号か?」
「符号……? それはなんですかにゃー」

 言いつつ女は鍵盤をたたく手を止めない。短い文章を送るだけのはずが、いつまでも音を出している。

「こんなもんですかにゃー。これだけ鳴らせば、きっとエム先生にも届くはずですにゃー」
「そうですかにゃー。ありがとうでしたにゃー」
「なあ、質問があるんだが」

 俺は例によって不安を感じたので、疑問をぶつけてみることにした。

「なんでしょうかにゃー」
「今のは何をやってたんだ? 最初の短文を送るだけにしては、随分と時間がかかったよな」
「短文? 何の話ですかにゃー」

 女は、何言ってんだこいつ、と言わんばかりの表情で、次のように続けた。

「今やってたのは、霊界通信ですにゃー」

 ……はっ? どう見ても無線通信だったが。

「この機械は、元々イヌミミ族が使っていたのを分捕ったのですにゃー。だから、普通に使うと、話してる内容が筒抜けなのですにゃー」

 思ったよりも綱渡りの運用だった。

「何しろオオカミの霊を使っているのですにゃー。イヌミミ族に告げ口必至ですにゃー」

 思ったよりも超自然的な理由だった。

「そこで! にゃーたちは、にゃーたちの気持ちを、電波に乗せて飛ばすことにしたのですにゃー。最初に宣言したのは、にゃーの気持ちなのですにゃー」

 そうだったのか。俺は何かを誤解していたようだ。

「エム先生に会いに行きたいにゃー、という気持ちで演奏すると、それがなんとなーく伝わるのですにゃー」

 スピーカーからは、今の演奏への返事だろうか、甲高いメロディーが流れていた。
 頭が痛くなってくる。
 俺は不安と混乱に包まれたまま、その場を後にしたのだった。
0451三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:15:11.39ID:eeL2HE6T
前回(先週)は真面目に書いたけど詰めが甘かったので
今回はなるべく簡単に済ませたかったのですが

遅刻と締切延長すみません・・・もう1回やったら辞任かなぁ
0452三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:18:22.98ID:eeL2HE6T
お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』締切

【参加作品一覧】
>>435【謎の祈祷師、現る】
>>441【黒猫レイチェル VS オオカミ女】
>>447【ぶんげいぶ】
>>449【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】
0453三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/05(日) 22:19:35.85ID:eeL2HE6T
ではでは、今回は通常お題5つです

お題安価>>454-458
0454この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:19:44.64ID:tfWA9Xza
はなまる
0455この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:19:52.23ID:hwl7GuCa
ホームビデオ
0457この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/05(日) 22:28:56.74ID:H4wNVgRq
幼稚園児
0459三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/05(日) 22:50:40.57ID:eeL2HE6T
☆お題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/12の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0460三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:53:53.19ID:eeL2HE6T
今回も無事に集まった・・・もう7月だもんなぁ・・・

お題も作品も感想もありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくです
0461三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 23:08:36.54ID:eeL2HE6T
>>447
今度はカオス・・・色あせない部活の風景・・・仲良さそうだな!w
真神は初めて知りましたw、ありがとう教えてくれて・・・
0463この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 23:41:42.26ID:PClhAQtu
>>461
感想有り難うございます
正確には『大口真神』ですね
ただ、狼の神様と言うと、どうしてもフェンリル以外マイナーですがorz
0464この名無しがすごい!
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2020/07/06(月) 07:31:13.56ID:35chHxE1
>>446
感想ありがとうございます!
そうですね、毎年ハロウィンになると事件発生でレイチェルもライアンも本当に大変ですね
邪悪な幽霊のイタズラ?なのかもしれませんねw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0466この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 15:58:01.73ID:cYb2dSP2
>>459
使用するお題→『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』

【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(1/3)
スレ7 425【あなたに出会えて本当によかった】を先に読んでおくことをオススメします

私はレイチェル、女ガンマンの人形よ。私は今、ある人の帰りを待っている。

「ただいまー、レイチェル!」

そう、ご主人で大学生であるライアンだ。
もう10年以上も前かしら。私は長いこと売れ残っていた古い女ガンマンの人形で、名前などついていなかった。
あと数日で処分されそうになったところをクリスマスの日にライアンに買われて、「レイチェル」という素敵な名前をつけてくれて、毎日のように私と遊んでくれた。
ライアンが大学生になった時、私はもう遊んでもらえることはない、彼が立派に成長したから役目を果たし、捨てられるのを覚悟していた。
しかし、ライアンは私を捨てずに引っ越し先に連れて行ってくれた。予想外だったけど、とっても嬉しかった。

「レイチェル、君は大切な家族の一員。君と離れ離れになりたくない」

ライアンのその言葉は、今も私の心の中に強く残っている。今は学業やサークル活動、アルバイト等で忙しくて帰りが多く、
寂しい気持ちになることも多かったが、休みで時間がある時はいつも私と楽しく遊んでくれた。

「今日も帰りが遅くなってごめんね、寂しかったかい?」

ライアンは私の頭をよしよしと優しく撫でる。とても温かい。
翌日は土曜日でバイトも休みのため、ライアンはのんびりと過ごしていると一通の小包みが届いた。
それは実家にいる両親からだった。

「パパとママからだ。一体何だろう?」

開封してみるとそれはビデオテープで3本も入ってあった。気になったライアンは早速、それをプレイヤーに入れて再生する。

「こ、これは!」

それはライアンがまだ小学生の頃で、私で楽しく遊んでいるところを両親が撮影したホームビデオだった。

「さすらいの女ガンマン、レイチェル参上!旅の邪魔をする者は許さないぞー!」
「まだ残っていたなんて!レイチェル、これを見てよ!」

ビデオに映る幼い時の自分の姿に、ライアンはもう無我夢中だった。
懐かしい、すごく懐かしい。それにライアンがとても可愛い。

「ライアンさん、こんにちはー!」

元気な挨拶と共に一人の幼稚園児が現れた。女の子でなんとイグアナを連れている。

「あっ、近所に住んでたアニーちゃんだ!それにペットでイグアナのトニーも!」

アニーちゃんとイグアナのトニーだ。私はふと、ある時のことを思い出した。
それはライアンが勉強をしに図書館を訪れていた時のこと。ライアンは、私をリュックの中に入れて一緒に連れて来てくれていた。
またノーマンのようないじめっ子に見つかって強奪されるようなことがあっては大変だと、あの騒動以来、リュックの中に入れるようにしたのだ。
3時間ほど勉強して図書館を出ると、買い物に出かけていたママがちょうど着いたところだった。
ライアンが車に駆け寄る時だった。リュックのファスナーが開いていたため、私は中から飛び出して地面に落ちてしまった。
彼はそれに一切気付かず、そのまま車に乗って走り出してしまった。
0467この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 15:59:15.87ID:cYb2dSP2
【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(2/3)

「待って!ライアン!!」

私はすぐに起きて、車を必死に追いかける。当然だが、人形が走って車に追いつくはずがなく、私は途方に暮れてしまった。
すると空に黒い雲が広がってゴロゴロと雷が鳴り、雨がザーザーと激しく降ってきた。
人に見つからないよう注意しながら私は土砂降りの中、ライアンの家へと帰ろうとひたすら歩き続けるが、10キロ以上は離れているため、なかなか辿り着けない。
このままじゃもうライアンに会えない、ノーマンに奪われた時と同じ絶望を感じた。すると何かがこっちに近づいてきた。
隠れるような場所がないため、私は止むを得ずにその場に倒れて動きを止める。
大きな緑色をした何かが私の方にゆっくりと歩み寄ってくる。それはなんとイグアナだった。

「(イ、イグアナ!?お、お願いだから食べないでー!)」

そのイグアナは私の匂いをクンクンと嗅ぎ始める。

「待ってよトニー!また勝手にどこか行こうとするんだから!あれ、そのお人形さん、一体どうしたの?」

すると、一人の少女が後ろの方から現れた。トニー、どうやらそのイグアナの名前のようだった。

「ずぶ濡れになっちゃって可哀想に・・・」

その少女は私を拾い上げ、そのまま家に持って帰った。濡れた私の体をタオルで優しく拭き、ドライヤーで乾かしてくれた。

「カッコいい女ガンマンの人形さんね。あっ自己紹介がまだだったね、私はアニー。こっちはペットでイグアナのトニーよ」

トニーは私の方に近づくと、嬉しそうに顔をペロリと舐めた。

「でも何であんな所に落ちてたんだろう?」

するとアニーは私のブーツの裏に書かれたライアンの名前に気付く。

「きっとライアンさんって人が持ち主に違いない。早く探さなくちゃ」

翌日、アニーは私をリュックに入れて、親しい近所の住人達にライアンという名前の人が周辺に住んでいないか尋ねて回った。

「ライアンといえば、近くにシードルズさんの家があってそこに住んでいる男の子だと思うわ。番地は確か751よ」
「本当ですか?ありがとうございます!」

そう、ライアンの名字はシードルズだ。それで間違いない。アニーちゃん、そこに行けばもう大丈夫よ!

「751、751っと。あった!」

アニーは急いでチャイムを鳴らす。ドアが開き、ライアンのママが出てきた。

「こんにちは。あのう、ライアンさんいますか?」
「あら、ライアンの友達かしら?」
「いえ、実はこの人形を見つけたので届けに来たんです」

アニーがリュックの中から私を取り出す。ママは私を見て、とにかくビックリした。

「ライアン!レイチェルが見つかったわよ!」

その言葉にライアンがドタドタと階段を下りて、外に飛び出してきた。ライアンは私の姿を見て、涙をポロポロと零し始めた。

「君がレイチェルを見つけてくれたんだね!本当にどうもありがとう!」

ライアンは泣きながらアニーに感謝する。ママ曰く、家に着いてからリュックに私が入っていないのに気付いたようで、ずっとパニックになっていたのこと。
あの後、図書館の中や駐車場、その周辺を必死になって探していたようだ。
0468この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 16:01:15.25ID:cYb2dSP2
【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(3/3)

「また誰かいじめっ子に拾われて乱暴されてると思うと、本当に怖くて不安で夜も眠れなくて!ごめんねレイチェル、本当にごめんね!」

ライアンは、私の体を強く握り締めると同時に謝る。お願いだから自分を責めないで、ライアン。わざとじゃないんだから。
優しい女の子とイグアナが見つけてくれたおかげで、こうやってあなたの元に無事に戻ってこられたんだから。

「レイチェルを見つけてくれて本当にどうもありがとう。アニーちゃん、それからイグアナのトニーも」
「エヘヘ、全てトニーのおかげです。トニー、あなたのおかげでレイチェルさんは無事にライアンさんの所に帰れたのよ。さすが私の天使ちゃんね!」

アニーに優しく撫でられ、トニーもとても嬉しそうだ。それ以来、アニーはライアンととても親しくなり、トニーと一緒によく家に遊びに来るようになった。
トニーは私にとても懐いているようで、遊びに来る度に私の顔を嬉しそうにペロペロと舐める。

「レイチェルさんって本当にカッコいい人形ですね!」
「やっぱりそう思うかい?レイチェルは優しくて強くて、そして勇敢な女ガンマンなんだ。どんなピンチに陥っても絶対に諦めたりしない、僕の一番の誇りさ!」

**********

「レイチェルさん、起きて!」
「あ、あれ?」

どうやらいつの間にか眠りに落ちてしまっていたようで、ジュディが起こしていた。

「フワアアッッ(またあの時と同じ夢。本当に不思議だわ…)」
「レイチェルさん、もうライアンさん帰ってきてるよ」
「レイチェル、すごく良い寝顔だったよ。何か面白い夢でも見たのかい?」
「えっ、そうだった?う、うん、面白いというより何だか不思議な夢だったわ」
「どんな夢だったの?教えて、教えて!」
「それはナ・イ・シ・ョよ」
「えー、レイチェルさんの意地悪!」

今日は半年ぶりにライアンが仕事から帰ってきたのだ。2年後の冬に公開予定の主演作の撮影で、過密スケジュールだったのだ。

「撮影はもう少しで終わるよ。終わったら1ヶ月ほど休暇もらえるから、またどこか旅行しよう」
「うんうん、大賛成!!」
「ライアン、絶対に無理だけはしないでね。辛かったらいつでも帰ってきてね」
「大丈夫だよ。レイチェルとジュディがいるから、僕はいつでもベストを尽くせるんだ」

3日後、飛行機に乗ってハリウッドに戻るライアンを、レイチェルとジュディは手を振りながら優しく見送るのだった。
0469三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/07(火) 20:03:57.13ID:qiWag9UV
>>466
大作だw、今度は懐かしのあの人たち
気になって調べてみたら、アニートニーの初出は丁度約1年前ですね
不思議な夢の、楽しい思い出・・・
0470この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/07(火) 21:18:06.13ID:cYb2dSP2
>>469
感想ありがとうございます!
アニーとトニーをまた出して活躍させたいなあと思って書いたお話です
当初は一発屋の予定だったのに、今や準メインキャラでここまで活躍するとは私も想像ができませんでした
レイチェル人形ネタ第2回目ですが、某おもちゃ物語が大好きが故にこのネタは書くのがすっごく楽しいです
たとえ人形であっても、レイチェルはいつまでも大好きなライアンと一緒にいて幸せで楽しい日々を過ごしてほしいです
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0471この名無しがすごい!
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2020/07/09(木) 01:18:26.96ID:rLETcdU8
>>466
トイなストーリーを思い起こさせるお話ですねw
自分の持ち物には名前を入れておくのが基本
ですが最近は個人情報が……
0472この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/09(木) 04:11:56.36ID:jy1A3Qaa
>>471
感想ありがとうございます!
自分の所有物に名前を書いておくのは証拠にはなりますが、勝手に消されて奪われる危険性もありますよね
優しい子とイグアナに拾われたおかげで、レイチェルは無事にライアンの元に戻ることができて本当にラッキーでした
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0473三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/10(金) 13:09:24.58ID:gCc1vjuj
ところで次回の企画はどうしましょうか・・

昨夜は、よさこいのアレが再放送だったようなので
お だ い す れ
どれか一文字から始まるワード限定(かぶりは気にしない)とかどうでしょう・・
0474この名無しがすごい!
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2020/07/10(金) 21:23:11.69ID:xSoN0zNf
>>473
面白そう!やってみようよ!
0476この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:31:13.49ID:NHMpGEKb
>>459
使用するお題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』

【だから、笑顔を覚えてろ】(1/3)


「七夕までには、わたしは死んじゃうんだってさ」

 六月のある日。
 当たり前みたいな顔をして、病室の窓の外を眺めながら。
 幼馴染の女の子は、そんな風に口にした。

「……そっか」

 突然のことで、私はそんな莫迦みたいな答えしか言えなかった。気の効いた慰めとは

程遠い。
 いや、突然のことだったから、というわけでもないのかもしれない。
 だってずっとわかっていた。彼女だってそうだったのだろう。
 彼女を蝕む病気はずっと進行するばかりで、治療の見込みは万に一つもない。
 どう考えたって、彼女は死ぬ。それが遅いか早いか、それだけでしかなくて。

 だから私は驚けなかった。中学の制服は梅雨の湿り気にじめじめとして、
濡れたように重い。湿気と一緒に私の涙も吸い込んでしまったのだろうか。
本当ならドラマのようにわっと泣き出してすがりつきたいはずなのに、
一滴の涙だって私の乾いた目からは零れてきそうになかった。

「願い事をするチャンスさえくれないっていうんだから。神様って残酷だよね」
「どうかな。どうせ叶わない願いなら、そんなチャンス、ない方がマシじゃない?」
「それ、普通死にかけのシンユーに言う台詞? やっぱ知世(ちよ)って頭おかしい」

「かも。どんまい纏(まとい)。運が悪かったね、死ぬ前に見るのがこんなやばい幼馴染

の顔で。あの世で神様に文句言っていいよ」
「いや、むしろわたしは今あんたに文句を言いたい」

 そんなやり取りをして、病院着の纏はベッドの上で笑っていた。私は冷めたような
目つきのまま、ふざけた事を言って鼻を鳴らす。

 それでもあと一ヶ月もしないうちに。
 この幼馴染は、この世からいなくなるのだ。
0477この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:31:39.75ID:NHMpGEKb
 数日後、私は纏と二人でホームビデオを見ることになった。
 お涙頂戴、ドラマや映画でよくあるやつだ。折角だからやってみよう、
どっちかが死にかけてなきゃできない貴重な体験だし、と纏が言い出したのである。
 
「え、まさかビデオカメラ? ノートPCに移してさえないの? ふるっ!」
「しょうがないじゃん骨董品なんだから。昔っから体弱くてロクに撮る機会もなかった

纏が悪い」
「あーひっど! サイテー!」
 
 纏が一人でゲラゲラ笑う前で、私はビデオカメラのセッティングをしていく。
随分と久しぶりに扱うので手間取ったが、何とか再生することができた。

 映っているのは、小さな私と纏の遊ぶ姿だ。
 幼稚園で、二人ともが何だかわからない絵に先生からはなまるを貰ったらしい。
それを二人して、ビデオカメラに一生懸命に見せびらかしていた。

 幼稚園児の頃から一緒に育って、天使ちゃんだのと呼ばれていた纏と私は
いつの間にか仲良くなっていた。奇跡的にもその年頃から暗かった私と、
体が弱い、というより遺伝性の疾患があって特別扱いされていた纏は、
どちらもはぐれものだった。最初はそういう理由だったような気もする。
0478この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:32:13.38ID:NHMpGEKb
 画面の中で、纏と私がすっ転んでわあわあと泣き出した。
 それを見て、思わず私と纏が吹き出す。

「おっ笑ったな? 知世が笑うなんて珍しいー」
「だって、ちび纏の泣き顔めっちゃ不細工なんだもん」

「はぁー? あんたの泣き顔のがブスでしょーが! ちっちゃいわたしのはかわいい!」
「はいはい。死に際の病人の顔を立ててあげる。顔だけに」
「サイテー! 知世のバーカ!」

 画面の中で、明るい未来に満ち溢れている二人の女の子は泣きじゃくっているのに、
未来なんてどこにもない病室にいる私と幼馴染の死にかけの女の子は、
どうしてか満面の笑顔で笑いあっていた。

 そのうちに、病室の窓の外で雨が止む。
 梅雨の雲の切れ間から木漏れ日が差し込み、冗談みたいに気紛れな陽光に
私は眩しくて目を細めた。
 幼馴染の女の子は、一生分の明るさを輝かせたみたいな笑いを浮かべて私に言う。

「ね、知世。わたしが死んでもさ、忘れないでよね。嫌な記憶とかじゃなくて、
 わたしを思い出す時にはぜったい笑顔でじゃないとダメだから!」
「そうだね。纏の泣き顔は不細工だもん」
「わ。ほんと、サイテー! ……でもそういうとこ、大好きだったよ。親友!」
「はいはい。じゃあね、親友」


 そうやって私と幼馴染の親友は最期の別れを告げた。
 今でも私は、時折彼女を思い出す。もちろん、誰より楽しそうな満面の笑顔で。

 そして思わず、笑ってしまうのだ。
 そんな時はいつも。サイテー! と笑う幼馴染の声が、聴こえる気がした。
0480この名無しがすごい!
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2020/07/12(日) 14:36:00.49ID:2el2mxO+
>459
お題:『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』

【曇り空の夕べ】
 ありきたりな表現だが、家の天使ちゃんの顔は今日は今宵の空と同じ様な曇り加減だ。
 出窓の大きくとられたガラス窓から外を眺めてはこれ見よがしな溜息を吐く。

「どうした?」
「んーん、なんでもない」

 素っ気ない様に返事はするものの、我が家の天使ちゃんが表情を曇らせている理由は分かって居る。
 七夕だと言うのに曇り空だからだ。
 幼稚園での七夕会で、園児たちは自分の短冊の付いた笹の枝を貰って帰って来た。さすがにマンションの部屋の中に竹は用意できなかった。
 マンションの玄関ホールに用意された竹に、その短冊を付け替えると言う選択肢も有ったにはあったのだが、我が家の天使ちゃんは、ご自宅に飾る事にしてくれたらしい。
 朱色の筆ペンで『はなまる』の書かれた短冊には、『くっきーやさんになりたいです』と言う彼女の夢が書かれていた。
 クッキー単品のお店か、中々に隙間商売だ。
 もっとも、むしろこれは、クッキーをたくさん食べたいと言う彼女の願望由来だろう。

 クスリと笑いつつも、窓の外を憂鬱気に眺める天使の姿をホームビデオに収める。

 どうやら、天の川が出て居なければ願いが叶わないものだと思い込んでいる彼女が成長し、七夕がどういう物かって事が理解した後、これを見せてやろう。

 悪戯好きな悪いお父さんは、真っ赤になって怒る、未来の彼女の姿を思い浮かべながらRECのボタンを押すのだった。
0481この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:43:49.92ID:2el2mxO+
>>476
少し切なめのお話ですね
生きて来たと言う事こそが大事なことで
だからこそ思い出は大切なのだと思います
0482三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:03:05.22ID:1hfM9mfS
>>476
うーん二人の世界の今と昔
発想と対比、遠慮のないやりとりに面白みがあります

>>480
ある意味この季節らしい曇り空
ストレートな組み合わせに一ひねりですねw
0484三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:09:40.23ID:1hfM9mfS
お題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』締切

【参加作品一覧】
>>466【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】
>>476【だから、笑顔を覚えてろ】
>>480【曇り空の夕べ】
0485三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:13:23.34ID:1hfM9mfS
うーんともかく予告通り、頭文字限定をやってみます

お だ い す れ

どれか一文字から始まる単語でお願いします(漢字もおk、2つ以上のお題で頭文字が重複しても気にしない)

お題安価>>486-490
0486この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:14:06.97ID:KIxGGFtl
無能
0488この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:15:46.00ID:ecUzLukO
スイカ
0489この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:16:16.17ID:eeavwRMj
お題スレ
0492この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:33:54.35ID:N4NbYUpE
イーノック
0493三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:34:03.57ID:1hfM9mfS
☆お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イマーゴ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0496三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:36:00.37ID:1hfM9mfS
☆お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0498三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:47:05.17ID:1hfM9mfS
もう直さないぞw
お題、作品、感想、ありがとうございます

>>493は無効として、>>496に安価ください

>>495
ちょっと頭を使って面白いかと思ったんだけど、微妙だったかもですね
とは言え、わざわざ予告してるんだから、文句があるなら早めに言ってください
0499この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 23:29:23.55ID:2el2mxO+
>>482
感想有難うございます
『そう言えば去年も曇り空だったなぁ』とか思いながら書きましたw
0502この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/13(月) 18:31:31.20ID:+1TRghY0
唐突に荒らし言う人も荒らしなのでは
ってことは触れた俺も荒らしになるな、ごめん
0504この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/13(月) 22:33:28.71ID:gKHKT8aP
レイチェルシリーズがこのスレの一番の癒し
0505三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/13(月) 23:46:10.88ID:RoAqgerE
>>502
いや唐突ではないです
制限募集って言ったのに対して>>486とか言い出すのが荒らしでなければ、暴言厨かtoxicかという話

ただ進行としてはその荒らし、どうせいつもの人でしょ、と思ってるので・・・
生きとったんかワレ、と言うか、めんどくせえなぁ、と言うか、まぁそんな感じです
0506この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/14(火) 09:03:48.42ID:zKWFR446
ホントお疲れ様です
流れ変えるためにも何か書きたいところだけど、どんなのにしようかしら
0507この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/14(火) 19:27:26.12ID:B1KI5QUA
>>504
レイチェルシリーズの者です
嬉しいお言葉ありがとうございます!
癒しだなんてそんな、すっごく照れちゃいます///
0508この名無しがすごい!
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2020/07/15(水) 12:20:07.89ID:AjBhMcHG
>>496
お題:『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【ある男の結末】


 カタカタとキーボードのキーを叩く音が響く。モニターの前に座る男は、親指の爪をかじりながら一心不乱に文章を綴っていた。

「誰だ!!」

 誰何するも応える者はない。
 焦った様に周囲を見回し、自分一人しかいない事を確認しつつも、落ち着かない様子で再びモニターに向かう。

 男の周囲には幾枚もの紙が散乱している。
 そこには『イーノック断片』と日本語で書きなぐられているが、恐らく『エノク断章』を捩ったものだろう。
 その証拠に、メモにはヘブライ語と思しき文体で、所謂『天使語』と呼ばれる文章がメモしてあるからだ。
 言わずと知れた『エノク語』である。

 文章を書き終えたであろう男は、急ぎ新しいタブを開くと、“お気に入り”から『お題スレ』を選択した。
 あまりメジャーなサイトやスレでは即座に消されてしまうだろう。
 その点で言えば、創作短編であろうと判断されるこのスレは都合が良かった。
 あまり“機関”に知られずに、しかし、この話を残したかったからだ。
 この文章を残す事。今はそれが男のレゾンディートルと成っていた。

『大好きなおまいらに言いたい事がある……』

 そんな書き出しで始め、予め書いていた本文をコピー&ペーストした男は、この時初めて安堵の表情を見せた。
 『送信する』にカーソルを合わせ、クリックを……

 ******

 その日、都内のアパートで一人の男性の遺体が発見された。
 第一発見者は同アパートの管理人で、家賃の支払いが滞っていた為、その催促に訪れた所、異変に気がつき発見に至ったと言う。
 男は死後数ヶ月が経っていたため、既にミイラ化しており、警察は病死であると断定し……
0510三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/15(水) 21:40:01.50ID:2aVr2zxX
>>508
書きにくいようで書きやすかったかw、今回は一番乗り!
こういうの好きw、隠れたお題も楽しいですね
0511この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/15(水) 22:36:58.41ID:AjBhMcHG
>>510
感想有り難うございます
もう1つ思い付いたのが、お題で書いた小説に対し他のスレ民が
「こんなものは短編小説とは言えないな、一週間後、またこのスレに集まってくれ」
と言うも、締め切りが終わっていた……
と、言う話を思い付いたのですが
『あ、これただのパロディーだ』と気が付いたので没にしましたw
0512この名無しがすごい!
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2020/07/16(木) 20:34:26.47ID:QKDef98u
>>496
使用するお題→『大好き』

【シグレの思い出】

私は今、ある女ガンマンとアメリカの広大な大地を旅している。
その女ガンマンの名はシンディ。彼女と初めて会った時かしら、私はちょっとイタズラのつもりで得意の妖術でからかってやったわ。
私の妖術に成す術なく翻弄されていたけど、諦めず果敢に立ち向かおうとするシンディに興味を持ってしまった。
「この女、絶対に只者ではない」あの時、私は既にそう感じ取っていたのかもしれない。
私はシンディをライバルと決め、いつかまた会った時は闘おう。そう決意した。

2回目に会った時、シンディは叔母に捕まってしまい絶体絶命の窮地に陥っていた。
私は彼女を助けるつもりなんてハナからなかった。しかし、どうしても見捨てることができなかった。
成り行きではあるが救い出し、なんか一件落着という形で終わったわ。
シンディは妙に大喜びして私のことを友達扱いしちゃって、なんて呑気なのかしら。そうとしか思えなかった。
でもあの後に飲んだレモネードはすっごく美味しかったわ。

3回目、それは私にとって予想外の再会だった。
変なカラクリ人形使いに命を狙われ、息絶えそうになっていたところをシンディに助けられたのだ。
得意の銃撃が一切通用しない強固なカラクリ人形にシンディは屈さず、体術で攻め始めた。
最後まで諦めず、ついにカラクリ人形を破壊した。勝ったのはいいけど、どこまで無茶すれば気が済むのかしら。
私は同時に感じた、「これがアメリカのガンマンなんだ」と。

4回目、ライバルとしてシンディと決着を着ける時が来た。
最初は私が優勢で、シンディはあの時と同じく妖術と幻術の挟み撃ちに翻弄される一方だった。
しかし、シンディは心の中に潜む恐怖を打ち消すことで私の幻術を打ち破り、見事に逆転勝利。
この時、私は悟った。「私はこの女ガンマンには勝てない、絶対に」と。
決闘の後、彼女は私を「親友」と呼んだ。その言葉に、私は胸の中にある何かが張り裂けそうになるほどの喜びを感じた。
それ以来、私はシンディの旅の仲間になり、苦楽を共にする関係になった。

彼女と共に旅を初めてから、私はこのアメリカがいかに弱肉強食の無法地帯であることを実感した。
弱き者は食われ命を落とす、明るい未来なんてない。強くないとこの世界を生き残っていけない。
しかし、シンディと一緒だとそんな世界の中でも生き抜こうと強く決心できた。
迫り来る強敵の数々に心が折れそうになっても、彼女が癒してくれたのだ。
私はシンディが大好き、本当に大好き。こうやって彼女とずっと冒険できる、そう思っていた。


あの時が来るまでは・・・
0513この名無しがすごい!
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2020/07/17(金) 01:16:53.33ID:UnFdlFaK
>>512
何やらロボットアニメ最終回、オープニング前の様な雰囲気ですね
はてさて、二人の間に何が起こるのか?
0514三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/17(金) 12:54:11.69ID:ysnjyBV9
>>512
今回は短め且つちょっと違った雰囲気に、気になる引きw
何気にシグレの一人称は初めてでしょうか
0515この名無しがすごい!
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2020/07/17(金) 20:24:20.83ID:8cw1ZFhT
>>513
>>514
感想ありがとうございます!
シンディとシグレの旅にどうやら終わりの時が迫ってきたようです
実はあと数話ほどで完結の予定です、2人の身に一体何が起きたというのか?乞うご期待!
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!

あ、あとシグレの一人称ですが初登場の時から「私」でございますw
0516この名無しがすごい!
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2020/07/17(金) 20:24:31.08ID:cKhUXcKr
>>498
そんな頻繁にスレを見てなかったので…
言い方がきつくなってしまったのは悪かった
0517三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/17(金) 23:49:52.72ID:ysnjyBV9
>>515
ああー、すみません、一人称視点って意味でした

>>516
いえいえ
もちろん苦情はいつでも受け付けてますけど、終わってから言われてもねぇ、という
0518この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/18(土) 15:37:10.35ID:/FYmC4HX
>>517
一人称視点のことだったんですね、なるほど
一瞬、あれシグレの一人称ってちゃんと決めてなかったっけ?と困惑してしまいましたw
確かにシグレ視点で書いたのは今回が初めてですね
0519この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 18:54:19.10ID:YsnkCIII
>>496
お題:『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【初夏の縁側】
「アナタが大好き!! とてもとても大好きなの!!」
「ああ! 俺もキミの事が大好きだ!! 誰よりも大好きだ!!」

 美奈絵と光輝はそう言って抱きしめ合った。
 そうして次第に顔が近付き……

 ******

「ぶっひゃはははははははははははははははははははは!!!!!!」

 アタシはスマホを片手に大爆笑をしていた。
 いや、正面切って大好き合戦とか、ギャグにしかならないだろう。アタシ遠藤 立花は、弟の書いた“恋愛小説”を読みながら抱腹絶倒する。
 何らかの伏線があってのこれならまだわかる。だけど、開始数行で『校舎裏』の『御神木』の下での初告白が“こう”なのだ。これを笑わずに居られようか?

 それも、我が弟の作品と言うのがまた。
 まぁ作品と言ったって、どこぞに投稿したとか、そう言う類の物では無い。彼がWeb上のプラットホームに書き溜めている作品を読んでいるのだが。
 弟の宏はバレてないと思っているみたいだけど、この姉に掛かれば弟の秘密など丸裸の様な物だ。
 まだまだ“子供”の分際でこの姉に秘密にしようなどと言うのが片腹痛い。

 アイツがまだ一作も投稿できていない事も、5ch上の『お題スレ』に晒してみようとしながらも、怖気づいて『書き込む』ができないでいる事も、この姉はマルッとお見通しなのだ。

 この世の真理として、弟は姉の玩具にされる事こそが、レゾンデートルだと知れ!!

 そんな風にアタシが休日の午後を過ごしていると、外からカキンカキンと音が響く。
 件の弟とお父さんだろう。

 二人ともインドア派ではあるのだが、お父さんは特に色んな物に影響を受けやすい。大体が三日も経たずに坊主となり果てるのだが。
 そんなお父さんに引っ張られて、宏は庭に連れ出されている訳だ。

 窓から外を覗くと、お父さんが宏に千本ノックをやっている。どうやら、野球漫画にでも影響されたのかな?
 それに付き合う宏も宏だが、アタシが見ている限り後逸は一つもなさそうだ。インドア派なのに、無駄に運動神経がいいよね。まったく無駄才能だけど。
 また一つ、ギリギリのボールを飛びついて捕球した。

「よっナイス!! い―ノック!!」
「捕球じゃないのかよ!!」

 アタシの声援に弟が文句を叫ぶ。
 当たり前だ。宏を褒めたって一銭にも成らないけど、お父さんを褒めとけば、上機嫌になる。それはつまりアタシの臨時お小遣に直結してるのだから。

 そんな風に庭を眺めていると、お母さんが出て来て手招きをする。
 その手にはお盆が乗っていて、そこにはスイカが切ってあった。
 早速アタシは階段を駆け下りると縁側に座る。お母さんが隣に座り、アタシはスイカをシャクシャクと食べ始めた。

 セミの鳴き声が大分騒がしくなっている。

「夏本番ですなぁ」
「暑くなるわねぇ」

 息を荒げ始めた我が家の男共を眺めながら、アタシとお母さんはスイカに齧りつきながら、そう言って笑ったのだった。
0520この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 21:58:21.85ID:4GtJrNhh
>>496

使用お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【私信】(1/2)

 僕はお題スレを開いて閉じた。
「誰かなんか面白いこと書かないかなぁ……」
 お題を出してもらって短編小説を書く、匿名掲示板のスレッドだ。
 率直に言って過疎っているが、僕は毎日見に来ている。
 このスレが大好きだ、とか、これが僕のレゾンデートルだ、とか、そこまでは思っていないが、いつもなんとなく気になって、開いてしまうのだ。

 ピンポーン

 と、その時、玄関の呼び鈴が鳴る。誰だろう。宅配便か、近所の人か、何かの営業か宗教か。
「はい、お待たせしました」
「ドウモ、コンニチハ」
「あっ、イーノックさん。どうも、こんにちは」
 隣の家のイーノックさんだった。彼はイギリス人だ。グレーの瞳に高い鼻、僕より少しだけ年上の彼は、なんだか僕の、会ったことのない兄を思わせる。
「コレ、家庭菜園デ作ッタ、スイカ、デース。食ベテクダサーイ」
「おおっ、ありがとうございます。随分大きいですね」
「デッカクナッチャッタ、デース」
 両手で抱えられるかどうか、その大きさに僕がまごついていると、イーノックさんが、試しに持ってみろ、という風にスイカを差し出してくる。
 縦にはっきりと模様の入った、緑色の、大きなスイカ。
 僕は、それを受け取ろうと、両腕を伸ばす。
「ソンナ筋肉デ大丈夫カ?」
 そんなことをイーノックさんが言ってくる。彼はこのネタが大好きなのだ。
「大丈夫だ。問題ない」
「ウム。ハイ、ドウゾ」
「はい……うおっ、おもっ!」
 見た目通りの重さ、これは大丈夫だろうか。イーノックさんの顔がスイカの陰に隠れてしまう。
「確カニ渡シマシタ。デハ、マタ」
 そう言ってイーノックさんは帰ってしまった。僕はスイカの重さで身動きが取れない。
「どーすんだこれ…………んん?」
 僕が一人で途方に暮れていると、不意に、腕の中の重さがなくなった。
「あれっ? イーノックさん?」
 僕を助けるために戻ってきてくれたのだろうか。そう思って、スイカの向こうに目をやるが。
「はっ? えっ?」
 そこには誰もいなかった。そしてスイカはそれ自体で、空中に。
「……うっ、浮いてる!?」

 *

 僕の目の前、玄関に、スイカが浮かんでいる。意味不明な光景だ。
 上下左右から眺める。どんなトリックなのか分からないが、確かに浮いている。
「どーなってんだ……」
 なすすべなく眺めていると、突然、スイカの表面に切れ目が入る。水平に一直線、緑色の球体が、上下二つの半球に分かたれる。
 おお、と思って見ていると、その二つが、それぞれ上下にスライドする。ゆっくりと広がる、緑色に挟まれた空間。その中で、何かがくねくねと動いている……。
「……サ○エさん!? じゃない、イーノックさん……?」
 それは小さな人間だった。そしてその『人間』は、僕のよく知る人物にそっくりだった。
「イイエ、ワターシハ、イーノックサンデハ、アリマセーン。ワターシハ、宇宙人デース」
 大きなスイカから現れた、小さいイーノックさん。
 彼は、くねくねと踊りながら、そんなことを言ってきた。
0521この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 21:59:17.06ID:4GtJrNhh
【私信】(2/2)

 とりあえず。僕は玄関に立ったままで、スイカは玄関に浮かんだままだ。
「あの、えっと……つまりどういうことですか?」
 質問しても答えてくれるとは限らないが、他に何を言うべきか、僕には分からなかった。
「説明シヨウ。ワターシハ、宇宙人。コノスイカハ、『<恒星間移民船>グリーンヒルコ』デース」
「はあ……」
 このおかしな状況も、小さいイーノックさんの説明も、僕の理解を超えていた。
「……いやどう見てもスイカですが。スイカ……ですよね?」
 そう言って確認するが、小さいイーノックさんは次のように続けた。
「ワターシノ、話ヲ、聞イテクダサーイ。人類ハ、滅亡シマース」
「はあ……滅亡、ですか」
 またとんでもないことを言い出した。
「ソウデース。ワターシタチ、宇宙人ガ、役立タズノ人類ヲ、滅ボシマース」
「えっ。それは滅亡……? 侵略、では?」
「ワターシタチガ侵略シテ、人類ハ、滅亡シマース」
「そっ、そうなんですか」
 どこまで本気なのか分からないが、そうなっては大変だ。
 その時、僕の顔の高さに浮かんでいたスイカが、ゆっくりと、地面すれすれまで下りていく。
 僕は、そのスイカの高さに合わせて、腰を落とす。
 スイカの下降が止まると、下の半球の側面が、フェリーのハッチのように開いて、手前に向かって倒れてくる。
 赤い果肉が見える。それと何か黒っぽい物も。
「コレガ、ワターシノ、軍団デース」
 ハッチが完全に開くと、スロープになっているその上を、隊列を組んで降りてくる。
「機甲師団デース」
 それはカブトムシやクワガタムシの集団だった。なるほど確かに、黒光りする立派な体が、戦車のように見えなくもない。
「コレカラ、アレクサンドリアニ、上陸シマース」
 言っていることが支離滅裂だ。最初から今までくねくねと踊り続けている、小さいイーノックさん。
「待て、そこのイーノックさん!」
「ワターシハ、イーノックサンデハ、アリマセーン」
「待つんだ宇宙人さん」
「何ヲ、待ツノデスカ? 夏休ミヲ、待ツノデスカ?」
 侵略とか滅亡とか言っている割には、何でも、いつまでも、待ってくれそうな雰囲気だ。
「僕とカブトムシ相撲で勝負だ。僕が勝ったら、地球への侵略を諦めるんだ」
「イイデショーウ。ダケド、ワターシガ勝ッタラ、役立タズノ人類ヲ、滅ボシマース」

 *

 僕は上半身裸になって、小さいイーノックさんと同じサイズになった。
 赤いスイカの土俵に立って、四股を踏む。相撲なんてやったことがないので、これだけで引っ繰り返りそうだ。
「ソレデハ、取組ヲ、始メマース。ハッケヨーイ、ノコッタ!」
 いきなり取組が始まった。僕の周りを囲んでいる、数え切れないほどのカブトムシたち。
「ハッケヨーイ」
 一匹が向かってきた。大きな角を振りかざし、六本の足を動かして、それは本当に戦車のようだ。
 まともに受けては大変なので、僕は転がってかわす。それから相手の背後に回ろうとしたが、さすが六本足は素早い。逆に角で引っ掛けられそうになった。
「ハッケヨーイ、ノコッタ」
 僕が後ろに下がって、カブトムシとの間に若干の距離が出来た時、周りで動きがあった。
「なっ!」
 カブトムシが一匹とクワガタが二匹、僕たちの取組に乱入してきたのだ。
 僕がクワガタの突進をかわすと、そいつは、周りにいる他のやつらにぶつかっていった。
 それを皮切りに、乱戦が始まった。
「ハッケヨーイ、ノコッタ! ノコッタノコッタ!」
 なんだ、これは。
 僕は、カブトムシたちに踏み付けられそうになりながらも、スイカの土俵から逃げ出した。そうして、玄関の床に転がる。
「コッ、コレハ、降参デース! ワターシハ、侵略ヲ、諦メマース!」
 兄さん。顔も知らない、会ったこともない、僕の兄さん。見ていますか。
 あなたは、スイカは好きですか? カブトムシは? クワガタは? 昆虫相撲はどうですか? 宇宙人に会ったことはありますか?
 僕は、スイカから離れて、縁側へと向かう。夕暮れの夏空を見上げる。異変に気付く。

 そこには、空を覆い尽くさんばかりの、おびただしい数のスイカが――――
0524三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/19(日) 22:11:41.85ID:4GtJrNhh
お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』締切

【参加作品一覧】
>>508【ある男の結末】
>>512【シグレの思い出】
>>519【初夏の縁側】
>>520【私信】
0525三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/19(日) 22:12:41.99ID:4GtJrNhh
ではでは、通常お題5つです

お題安価>>526-530
0526この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 22:13:38.65ID:erKK3nca
エクレア
0527この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:14:16.78ID:64eedDxr
100人の彼女
0529この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:18:06.64ID:IaxrVeW9
編隊
0530この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:31:00.77ID:pksKSmq5
ペーパー
0531三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:35:07.79ID:4GtJrNhh
☆お題→『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/26の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0532三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:39:41.38ID:4GtJrNhh
今回も早いね・・・お題、作品、感想など、ありがとうございます

夏が来るよぅ・・・皆様体調には、、熱中症などには、気を付けて

次の企画はどうしよう・・・
0533この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 23:44:58.07ID:YsnkCIII
>>520
不条理系短編ですね
何故かバルタン星人を思い出しましたw

>>523
感想有難うございます
何気ない日常と言うには弟君が不憫ですがw
0535この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 22:01:52.69ID:d0AbmwNy
実況感想さん帰ってこないのかな・・・
0536この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 23:45:54.42ID:1vrhRCYl
>>531
お題:『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』

【水底の】(1/2)


 口の周りをべちゃべちゃにしながら、子供がエクレアを頬張っている。

(汚い餓鬼だ)

 そうは思う物の、『子供にやさしいお爺さん』と言う仮面を脱ぎ捨てられずにその感情に蓋をする。

 ゴポリ……と肚の底で泥が揺らいだ気がした。

 目の前の子供は、別に私の係累と言う訳では無く、近所に住んでいる子供であるらしい。あるらしいと、他人事の様に言っているのは、彼がそう話したからだ。
 実の事を言えば、私は彼がどこの誰であるのか知らない。名前ですら聞いた事は無い。

「でな! オレの彼女がな!!」
「そうか、凄いなぁ」

 幼い子供にも拘らず、こうして“彼女自慢”をする様は、まるで一人前の人間であるかの様だ。

(親の保護を必要とする子供のくせに)

 私はその感情に蓋をしながら他愛もない相槌を打つ。彼の自慢の彼女は色々いる様で、既に100人は越しているかもしれない。
 恐らく、ガールフレンドと言うより女友達と言うのがしっくりくる。たぶん、未発達な彼の精神性において、その区別はついていないのだろう。

「そんで、オレがチューしてやったらな!!」
「そうか、凄いなぁ」

 性知識と言うのもまだ良く分かってないのだろう。だが、愛情表現としてのそれ等の行為は知っているらしい。
 大人の真似なのか、本能の為せる業なのか。
 ただ、知識的に疎い為なのだろう、“お互いの違い”が不思議な様で、見せ合いっこをした事も有ると話して来る。

 その行為自体に思う所もあるが、それを殊更自慢げに大人に話すのもどうだろうか?

 肚の底の泥がゴポリ……と揺らぐのを感じならも「あまりそう言う事は、人に自慢する物では無いよ」と声を掛けておく。
 よその家の教育にまで口出しはしたくはないが、良識ある大人としてはこれ位は言っておかなければならないだろうと、そう思ったからだ。
0537この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 23:46:39.16ID:1vrhRCYl
【水底の】(2/2)


 ******

 子供が帰った後、私は積んだまま読めて居なかった本を一冊手に取った。年々本を読む速度が遅くなっているのは気のせいでは無いだろう。
 しばらく黙ったままページをめくる。目頭を揉み、窓から空を見た。青い空が揺らいで見える。あそこで編隊を組んで見えるのは飛行機か、それとも鳥なのか。

 ただの黒い何かにしか見えないソレを揺らいだ視界で見つめる。ユラユラユラユラ。

 アレは本当に空なのか? ふと、そんな風に私は思った。今、私は本当に空の下にいるのか? 視界が揺らめくのは私が老いた所為なのか? 取り留めなく思考が揺らぐ。
 もしかしたら、此処は水底なのではないか? だからこそ、私の身体はこんなに重く、動きが緩慢なのではないか? そう、水の抵抗を受けているかの如く。

「痛っ」

 痛みに顔を顰め、手元を見る。一瞬、何ともないと思っていた親指に少しずつ赤い線が走り、そこからプクリと、赤い珠が膨れ上がる。それは限界まで膨れ上がると、決壊し、親指を根元に向かい流れ落ちた。

 しばらくぼうっとソレを眺めていたが、ハッとしてティッシュペーパーを取ると、それを拭き取った。
 気が付けば、本に赤い染みを作っている。

 何をやっているのだろう。自己嫌悪で溜息を吐いた。肚の底に泥が溜まっている。そこに自己嫌悪も注ぎ込む。
 ゴポリ……と肚の底の泥が揺らぐ。

 まるでタニシの様だ……と思う。泥の中で石にしがみ付き、石に齧り付きながら苔をこそぐ。
 他人に対し仮面の様な殻で本心を隠し、厭な感情に蓋をする。
 今までそうして生きて来たし、それ以外の生き方など知らない。
 いつまでも同じ様に、泥の積もった水底で緩慢に動き回るだけのタニシだ。

 ******

「爺ちゃん! 遊びにきたぞ!!」
「うん、そうかそうかぁ」

 ゴポリ……と肚の底の泥が、今日もまた揺らいでいる。
0539三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/24(金) 13:05:11.52ID:ITB8EEL5
>>535
ほんとそれ・・・

>>536
そんな過疎スレに重い作品が!
ちょっとギアを上げて、老境の衰えと苛立ち、って感じですね
個人的には好みの方向性
0540この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/24(金) 16:49:36.93ID:8Ah7k7Vb
>>539
感想、有り難うございます
泥の中のタニシから、何故かこんな話が湧いて出てきましたw
田舎では遊んでいる子供を見守る老人と言うのも、たまに見掛けるのですが
都会では事案と言われるw
0541この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/25(土) 20:49:11.77ID:/kjLPm7P
過疎っぷりハンパねえなぁ…
0545この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 14:33:45.25ID:i9P8vaf0
本来のスレ趣旨とは別に、
短編大会を開いてみてはどうですかね?
0547この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 14:47:17.48ID:i9P8vaf0
ちゃんとしたオチ話なんて
プロでも簡単には思い付かない
ほとんどがごまかし
0548三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/26(日) 16:42:36.93ID:LcxOm3bU
どしたんw
お題は1つ『以上』なので、別に全選択は義務じゃないので
短編大会はねー、それってジャンル指定、結構いいと思いますけど、なんか滑りそう・・・

みんな飽きちゃったのかなぁ、って感じもします
書くスレなので、作品を書かないと話にならねぇ、というのもあり、書き続けるのも結構大変ですし
0549この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 17:03:31.71ID:HW5MChB5
>お題は1つ『以上』なので、別に全選択は義務じゃないので

つーことなんだけど、それじゃ腕前の競い合いが難しい
例えば「キャンプ」とかいう題に絞れば作品の優劣の比較がしやすい
そういう競争要素がないとイマイチ盛り上がらない

デフォルトもやりつつ、そういうのもやってみたらどうかな?
0550三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/26(日) 17:09:23.17ID:LcxOm3bU
つかそもそもここって底辺スレからの派生で、当時の住人がなんとなく満足すれば、それで終わってた話なんですよねぇ
それを引っ張って今に至るw

だからってことでもないですけど、ここって別に『短編虎の穴』とかじゃないんで
別に名作とか書かなくても大丈夫なので・・・
0551この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 17:13:23.49ID:HW5MChB5
名作なんて、簡単には書けません、プロでもね
でも、馴れ合いみたいなのではつまらないでしょ
今のままでは、三代目さんもやりがいがないでしょ
少しでも盛り上がるように、提案してみただけです
0552三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 17:13:44.13ID:LcxOm3bU
>>549
なるほどー、競争要素もいいかもですね
じゃあなんか、お題を集めてから、メインにしやすそうなお題を進行が1つ選ぶ
それで企画への参加を募る、みたいな感じでしょうか
0553この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 17:16:00.68ID:HW5MChB5
『短編虎の穴』が共存したって良い訳でしょ?
そこから、デフォルトの活動にも波及効果はあるはずです
0556三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 17:39:32.72ID:LcxOm3bU
>>554
分かったー、やってみましょう
ご提案感謝します、もちろん提案は常に受け付けてます

ただ正直過疎過ぎて、進行も軽く心が折れてるので、そこはすみません^^;

>>555
実はワイスレは見てないんだ・・・
昔は(三代目がここに流れ着く前)ワイスレからの刺客が来てましたね・・・
0558この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 17:46:41.74ID:HW5MChB5
三代目さんになってから一年ぐらいでしょうかね?
その間続けてこられたのはご立派だと思います
0559この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 17:53:13.80ID:HW5MChB5
5chで作品を晒すのって中々難しい
互い攻撃し合わないような、良い雰囲気でやりたいですね
できるだけ、エントリーできるように頑張ります
0560この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 18:07:57.18ID:HW5MChB5
ま、ダメなら一回キリで終われば良い訳ですからね
言い出しっぺとして、エントリーの義務はあります
0561三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 18:10:36.61ID:LcxOm3bU
1年と4ヶ月ですw、あまり長くやるのも良くないんですけどね

さすがに言い出しっぺには参加をお願いしたいw
でなければ審査員枠でも可ですが
0563この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 18:17:43.41ID:HW5MChB5
判定に自信があるなら「三代目杯」でも良いですよね
普段のご苦労へのご褒美として
0566この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 22:00:20.25ID:LcxOm3bU
>>531
スレ6→227の続き(?)です

使用お題→『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』

【夢で会える】(1/2)

 夢を見た。
「ねえ、タニシ」
「なんだよ、メダカ」
 メダカは長老の孫で、俺の妹分だ。そいつが皿に乗せた何かを持って、俺の前に立っている。
「あのね、あのね、エクレアを作ったの。食べて」
 なぜ夢だと分かったか。服装だ。
 俺たちの普段着は、ほぼ男女の別なく、色も地味なものが多い。その上からコートを羽織る。
 だが、今のこいつは、レインメーカーの夢の中と同じ、白と紺の制服姿だ。
「エクレア……? 分かった」
 馬子にも衣装か。
 『エクレア』というのがなんなのか、俺にはよく分からなかった。だが断っても仕方がないし、悪い気もしなかったので、俺は大人しく皿を受け取った。
「うん……うまい。メダカは料理が上手だな」
 柄にもなく、そんなことまで言ってしまう。どうせ夢の中だ。
「えへへ、ありがと、タニシ」
 その時、誰かがバタバタと走ってくる音がした。誰だろうと思う間もなく、その人物は俺の視界に飛び込んできた。
「あっ、タニシ! それに僕も、なにやってんの?」
「えっ? おまっ……えっ? ……メダカ?」
 メダカがもう一人現れた。顔も服装も、完全に同一人物だ。
「タニシにエクレアを食べてもらったの! おいしいって!」
「そっか。いいなー」
「いいでしょー」
 二人は違和感なく会話を始めた。どうなってるんだ……。
「うん。あっ、それでねタニシ。書籍化したの。褒めて。それと、良かったら買って」
 話が見えない。
「書籍化? なんの話だ?」
 俺がそう質問すると、二人目の方が何かを取り出す。
「メダカ姫シリーズの新作だよ。『百人のメダカ姫と愛の奴隷タニシ』」

 *

「どうだった? 面白かった?」
「よく分からなかった……。だけど書籍化するくらいなんだから、面白いんだろうな」
 その『新作』とやらを当然のように読まされた俺は、なぜか精一杯丁寧に感想を述べていた。俺にしては、だが。
「そっか。読んでくれてありがと!」
 微妙な評価だったと思うが、メダカはうれしそうだった。まあ、どうせ夢の中だしな。
「良かったね!」
「うん!」
 その時、誰かの歩いてくる気配を感じた。一体誰だろう。ここは夢の中だ。
「タニシ。それに僕たちも。何かいいことあった?」
0567この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 22:00:44.99ID:LcxOm3bU
【夢で会える】(2/2)

 予想通りと言うべきか、それは三人目のメダカだった。言うまでもなく完全に同一人物だ。
「あのね、タニシにエクレアを食べてもらったの! おいしいし、料理が上手だって!」
「僕はタニシに新作を読んでもらったの! 多分タニシの好みじゃないんだけど、きっと面白いんだろうって!」
「そっか。良かったね」
「うん! 今度は何を作ろうかなー」
「僕も、次はもっとタニシが活躍する外伝を書くの!」
 かしましい。普段なら逃げ出しているところだが、ここは夢の中だ。
「それで、お前は?」
 どうせ俺に用事なんだろう。だから先回りしてそう言ってみる。
「んーっとね。別に」
 返事はつれないものだった。何か気に障ったか。
 俺はメダカの顔に視線を向けた。この夢の中で初めて、その顔をしっかりと見たような気がした。
 三人目、二人目、一人目。一人ずつ順に見詰める。同一人物……だよな?
「どうしたの? 不思議そうな顔して」
「僕たちの顔に何か付いてる?」
「変なタニシ」
 俺の視界が段々とぼやけてきた。メダカたちの顔が見えない。その服装も。立っている姿も。

 *

 気が付くと、俺は巨大なタニシになっていた。フライヤーに乗ったメダカたちが、編隊を組んで、俺の周りをぐるぐると飛び回っている。
「タニシ」「タニシ!」「遊んで!」「これ食べて!」「構って!」「はい、これあげる!」「ねえタニシ、僕と結婚して!」「これ読んで!」「ポイント入れて!」「はい、あーん」「おいしい?」
 幾人ものメダカたちが、口々に何かを言っている。
「続刊だよ!」「まだまだあるよ!」「特典SSペーパーだよ!」「こっちだよ!」「こっちだってば!」「僕を見て」「タニシ……好き」「目をつぶって!」「よそ見しないで!」「タニシは僕のこと好き?」「髪、伸ばしてみよっかな。タニシはどう思う?」
 全員が同じ顔だった。当然だ。だけど全員が、少しずつ違う表情をしていた。
「デートして!」「手つないで!」「ぎゅーって、して」「キス……する?」「タニシの馬鹿!」「ねえタニシ」「ねえねえタニシ」「タニシってば!」「どうしてタニシはタニシなの?」「まるで夢を見てるみたい」「ねえ……タニシ」

「タニシは今、幸せ?」

 *

 俺は青空を見上げた。東の方は、朝日に照らされて白っぽく見える。
「あっ、タニシおはよー」
「おお……おう……」
 メダカは一人だった。いつもと変わらない服装だ。
「どしたの?」
「いや、なんでもない……」
 おかしな夢だった。目の前に一人で立っているメダカ。なんだか恐ろしいような気もしつつ、俺はメダカの顔をまじまじと見てしまう。
「そお? ところでさ、夢を見たんだよね」
「どっ、どんな?」
「タニシが出てくるの。それで僕が一杯出てきて、タニシはすっごく優しいの!」
 俺の夢の中の俺は、別に優しくはなかったはずだ。
「変だったけど、面白かった! タニシ!」
「なんだよ」
「また、夢で会おうね! 会えるよね!」
 多分……な。
0571三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 22:13:04.99ID:LcxOm3bU
お題→『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』締切

【参加作品一覧】
>>536【水底の】
>>566【夢で会える】
0572三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 22:14:43.44ID:LcxOm3bU
んではまぁ、お題スレ杯、的なものをやろうとは思いますが
まずは通常お題5つで

お題安価>>573-577
0573この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 22:15:42.85ID:IAV+tgKl
ナメクジ
0574この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 22:16:33.41ID:pujdOxyr
寄生
0575この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 22:18:48.29ID:3O0Wy2S/
デカ
0576この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 22:25:39.75ID:s4SS8dwA
モネの池
0578三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 22:31:20.40ID:LcxOm3bU
☆お題→『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→8/2の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0579三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/26(日) 22:35:02.74ID:LcxOm3bU
ともかく、お題、作品、感想など、ありがとうございます

それで、、、どうする?
この中でテーマにするお題って、、無理じゃね?
0580この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/26(日) 22:44:46.91ID:Jk4XCPg9
底辺スレからの派生だからスレタイの頭に【小説家になろう】を付けたら人が増える(かもしれない)
0581この名無しがすごい!
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2020/07/26(日) 22:44:59.61ID:j7d3JPCH
>>566
取り留めのない白昼夢と言った感じですね
このまま100人出てくるのかと思いました
0583三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 23:07:46.40ID:LcxOm3bU
>>580
なろうスレじゃないからそれは嫌なんだけど、スレタイに何か足すのはいいと思います!

>>581
感想ありがとうございます
さすがに100人は無理でしたw

>>582
それもなんか違うような、進行の独断が強く出てしまいそうな
0584三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/26(日) 23:26:00.84ID:LcxOm3bU
【第一回お題スレ杯】

もうちょっと考えても良かったんだけど、決めてしまいます

『始祖』

これをテーマにしましょう
これで【第一回お題スレ杯】を開催します

参加の方法は、1レス目の冒頭か、あとがきレスで参加を宣言すること
そしたら、進行を含む誰かが、頑張って講評を書きます
基準がはっきりしませんが、点数らしきものも付けましょう
締め切り後には、得点を勘案して、順位も発表します

これでどうかなぁ・・・すまないが進行は寝ます
0585この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 00:52:50.79ID:XyPbZVGa
無理して企画なんてせんでもいいのに…
まったりやっていくのもいいと思うんだけどね
0586この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 04:32:07.87ID:pTHc2lkw
すまん、規制で引っかかった
なるほど、それ良いですね
5つの内から1つ指定ね
『始祖』は難しいけど
『寄生』の方がやりやすかったかな
でも、考えてみます
0587この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 04:36:29.61ID:pTHc2lkw
>>585
5つの内から一つ指定だったら無理にならない
良いアイデアです
自由にやりたい人と、限定されてやりたい人が共存できる
シームレスつーやつですかね
0588この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 05:01:03.24ID:pTHc2lkw
デフォルトに「杯」が統合されたね
これで人が増えると思います
両方参加しても良い訳だからね
俺も、頑張ってみよ
0589この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 05:10:23.59ID:pTHc2lkw
『始祖』が入っていれば
他の4つのお題との混合もできる
それで杯に参加できる
0591この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 05:19:24.83ID:pTHc2lkw
【始祖】
血筋・道統・流儀など、系譜・系統が考えられる物事について、
それのはじめであること。その人。「流派の―」
0593この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 06:28:01.63ID:pTHc2lkw
【三代目進行】安価・お題で短編小説を書こう!【9】

これでどうですかね?
0595この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 08:50:49.63ID:pTHc2lkw
【小説家になろう】安価・お題で短編小説を書こう!【9】

別にこれでも良いけど
【〇〇〇】はあった方が良いかもね
0596この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 09:19:50.63ID:aTk1VgbJ
>>594
そうとも限りません
『デカ』で意味の通じる物であれば
国際単位の十の倍数でも良いですから
0597この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 09:22:50.60ID:pTHc2lkw
そういうのどうだろ?
それだとお題が6つ7つに増えたことにならないか?
デカ盛りの「デカ」とかね
0599この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 09:28:37.87ID:pTHc2lkw
『デカメロン』(Decameron)は、ジョヴァンニ・ボッカッチョによる物語集。
ダンテの『神曲』に対して、『人曲』とも呼ばれる。
また、デカメロンはギリシャ語の「10日」(deka hemerai) に由来し、『十日物語』とも和訳される。
1348年から1353年にかけて製作された。サブタイトルは「ガレオット公爵」で、
アーサー王物語においてランスロットの不倫の恋を仲立ちしたキャラクターの名前から取られている。

これか
0602この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 10:23:20.76ID:gOQLtG/1
始祖のナメクジはデカかったが、モネの池に寄生してはいなかったw
0605この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 10:40:31.20ID:gOQLtG/1
モネの池
始祖のナメクジ
デカい梅雨
0607三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/27(月) 19:09:38.34ID:Z/uk6gX0
>>585
まぁそうなんだけど、あまりにも過疎なので・・・
提案があれば、なんでもやってみるー

スレタイは・・・
【過疎】安価・お題で短編小説を書こう!9【助けて】
これだね!
0608この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 20:14:11.06ID:vsVemvpZ
【小説家になろう】安価・お題で短編小説を書こう!【9】

通し番号はこうした方が良くないか?
0610この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/27(月) 20:20:11.85ID:vsVemvpZ
つーか、三代目さんの案なら、デフォルトとほとんど差はないからね
元を変更しないという意味において、名案だと思う
そして、効果も期待できる
0612この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 00:53:37.24ID:7E4WTNwy
荒らしではないしいいんでね
でも知ってるとは思うけどここあんまりぺちゃくちゃ喋るってことはあまりしてこなかった場だから変にレス重ねすぎると戸惑う人もおるとは思う
多分進行さん含めて誰もだめとは言わんだろうけどそこんとこうまいとこ気をつけておくんなまし
0613この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 06:24:13.11ID:0VCIxNe3
>戸惑う人もおるとは思う
>誰もだめとは言わんだろうけど

つーほどメンバーいるのか?
お前はそんなことより三代目さんの苦労を考えてやれよ
見返りもないのに面倒な進行役を引受けているんだから
俺はそのアシスタントをしているだけだ
お前らが三代目さんにまかせっきりで、何のアシストもしないから今の過疎っぷりなんだろ?
「私語は慎め」?慎まないよ

>戸惑う人もおるとは思う
>誰もだめとは言わんだろうけど

お前自身が戸惑い、迷惑してんだろ?
ならそう言えよ
俺はそんな「脅し」へっちゃらだから
もっとハッキリとした言葉でNGを宣告されても動じない人間だからね
そんな曖昧な言葉では俺を排除できないわ
お前が4代目を襲名したら出て行ってやる
そうでないなら、俺の流儀を変えるつもりはないね
三代目さんとは上手くやれてるつもりだから
0614この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 08:52:49.57ID:7E4WTNwy
>>613
あれ……自分としてはあんたの肩担いでるつもりなんだけどそんな風に読み取られたか
別にあんたのその行動が悪いとも思わんし排除とか脅しなんてとんでもないよ
そりゃ過疎ってるスレにいきなりたくさんレスついてたから大なり小なり動揺したのは事実だけど、言ってることは納得したし
ただ、実際ちょろっとお喋りしたときにお小言もらったことあったからその経験から助言させてもらっただけよ
このスレや三代目さんのきっちりした管理には世話になったし、ぜひこれからも頑張って盛り上げてください
0615この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 09:07:13.77ID:0VCIxNe3
>>614
>ただ、実際ちょろっとお喋りしたときにお小言もらったことあったからその経験から助言させてもらっただけよ

それは老婆心というやつだな
俺は今のところ言われていないし
貴方以外には
0616この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 09:11:41.25ID:0VCIxNe3
逆に言えば、今俺からもお小言もらった訳だ
貴方のコミュニケーション能力の問題なんじゃないの?
0617この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 10:02:32.48ID:7E4WTNwy
>>615
そんなキリキリすんなって
まあ見てる側からしたらこんなやり取りのほうが不毛だろうし俺は切り上げるよ、まだ言いたいことがあれば好きに言ってくれ
俺の助言が君の言うとおり俺の老婆心からのものであったことを祈るよ
作品楽しみにしてる
0618この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 10:43:35.45ID:0VCIxNe3
>>617
>戸惑う人もおるとは思う
>誰もだめとは言わんだろうけど
>まあ見てる側からしたらこんなやり取りのほうが不毛だろうし

一々他人をダシに使うんだな
自分が思っていることを、何で他人のせいにするかな?
「攻撃されるといけないから、貴方のためを思って言っている」
いや、叩いている張本人は貴方だよ、持って回った言い方をしてね

そりゃ新参が大きな顔をして不快なのはわかりますが
少しぐらいの波風を気にしていたら、何も改革はできないでしょ?
「改革なんて必要ない」そう言える状況にもないと思いますし

>作品楽しみにしてる

「楽しみにしていてくれ」、そう言いたいところですが
そう言い切れる自信は私にはないですね
短編は本当に難しいですからね
プロでも、ピタッとした着地は容易ではない
どのレベルまでを許容するかです
まあ、「頑張ります」としか言えません
0619この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 10:49:40.28ID:0VCIxNe3
>>612
>でも知ってるとは思うけどここあんまりぺちゃくちゃ喋るってことはあまりしてこなかった場だから変にレス重ねすぎると

ここに貴方の私への嫌悪感はダダ漏れです
「知ってるとは思うけど」「ぺちゃくちゃ喋る」「変にレス重ねすぎると」とかいうワードにね
そんなことは全部読み取った上でレスしている
0620この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 10:58:27.25ID:0VCIxNe3
あなたの言葉の中にある棘に私は反応しただけです
棘のない人に私はこんなレスはしない
0621この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 11:25:54.72ID:7E4WTNwy
>>584
得点と講評に関する提案なんだが
数値でやるなら1作品あたり講評する人数がバラけてたら不平等だと思う。
講評する人を立候補させてコテハンつけてもらって、全員の作品に点数をつける。それで、各々の作品についた点数の平均で比較するのはどうだろう。講評する人は作品を参加させられないけどね。
毎度とは行かないけど、それでやるなら今回は立候補させてもらいたい。
遅い春を書いた者と言えばそれなりに信頼はおいてもらえると思うけどどうでしょうか。

>>618
外路非一って名前でTwitterやってるからもしまだ言いたいことがあるならDM来て。
0622この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 11:35:01.84ID:0VCIxNe3
別に言いたいことなどありませんね
ここの話を外部に持ち出す必要はない
ここで、言い合えば済む話です
0623この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 11:37:45.28ID:7E4WTNwy
>>622
じゃあ俺が話したいから来て
別に見られないところでボコボコになじってやろうとかいう魂胆じゃないから
出会い頭腹立たせてしまったかもしれないけどあんたのことは好きなんだよ
0624この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 11:40:31.75ID:7E4WTNwy
とにかく待ってる
みなさん半ば自分が荒らしみたいになっちゃって申し訳ない
もう企画に関すること以外は黙ります
0625この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 11:44:47.88ID:0VCIxNe3
別に腹など立っていません
5chでこんなことは日常茶飯事です
個人的にやり取りする気はありませんね
ここで、いくらでもやり取りはできますから
0626この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 12:00:43.27ID:nyEzv18o
半ばじゃなくてどっちも完全に荒らしだから、まぁ安心して……

さてそろそろ何を書こうかしら
0628三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/28(火) 12:47:52.12ID:gQ1XryTY
なんかレス多過ぎて訳分からんくなってきたぞ・・・

とりあえず連投くんは、五月雨式にレスしまくるのをやめてくれ
ほっときゃ落ち着くだろうと思ってたけど、、君のツイートで1スレ埋まってしまうわ
過疎スレを盛り上げようとして色々言ってくれるのはありがたいけど、一人でしゃべりまくられても、それは盛り上がってることにはならないです

非一先生は同じレベルで言い争うのをやめてね
あと過疎スレだから名無しでも実質コテみたいになってるけど、一応ここ匿名だからねw
各自の意見とか、その人が誰なのかとか、少なくとも建前としては、あまり重要ではないので
0629この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 13:04:40.96ID:0VCIxNe3
>一人でしゃべりまくられても、それは盛り上がってることにはならないです

今はね、でも、そういうムダレスが人を呼び込むのです
図書館みたいに「静粛に」の意味がわかりませんが
0630この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 13:14:16.05ID:0VCIxNe3
お題について、多少ブレインストーミングみたいなことをしといて
それから各々考えるというのでも良いんじゃないでしょうか?
それを参考にするも良し、しないも良し
0632この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 19:02:00.80ID:0VCIxNe3
開催期間は、デフォルトと一緒でええやん
テーマが同じなんだから
前日の土曜日にやっても良いけど
0635この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 19:13:57.43ID:0VCIxNe3
ファーストケースなんだから
そんなにハッキリ決められない
最初はザクッとで良いんじゃないの?
0636この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 19:18:18.59ID:0VCIxNe3
5つの中から1つってのは良いアイデアだと思ったな
課題じゃない方の評価もしても良いじゃん
課題部門、自由部門
0638この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/28(火) 19:42:43.17ID:bsdA2b54
というかここにワイスレのURL張ってるしワイスレにここのURL張ってるし
あそこに居着いてた荒らしがこっちに流れてきたみたいね
スルー推奨かな
連レス失礼
0639この名無しがすごい!
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2020/07/28(火) 19:43:06.84ID:0VCIxNe3
そこまで言われるなら、退場しても良いけど
以前のようにまったりやりたいなら
0640この名無しがすごい!
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2020/07/28(火) 19:45:10.87ID:0VCIxNe3
じゃあ、少し様子見させてもらうわ
そんなに拒否されてまで居たくないから
0641この名無しがすごい!
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2020/07/28(火) 19:53:38.88ID:0VCIxNe3
大体、俺は短編得意じゃないし
その訓練も兼ねて参加してみようって思っただけだから
0642三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/28(火) 20:51:44.93ID:gQ1XryTY
ワイスレ民だったのかw
ワイスレ雑談スレ実況スレお前のTwitterなんかとは違うのよー

ブレストはいいけど、なぜかあんまり盛り上がらないんだよね
共同執筆とかじゃなくて自分のネタだから、シェアする必要性を感じないんだと思います

開催期間! 日曜日まで! 投稿と講評は随時! 結果発表は進行の都合!

それと>>621企画の採点について
今のところ、そこまで厳密にやるつもりはないです、過疎だし
ただ立候補とコテは必要かも知れない
それで点数の、平均ではなく傾向を見て、進行がなんとなくまとめれば、それでいいかなぁ、と
0643三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/28(火) 21:00:04.11ID:gQ1XryTY
一応ブレストの話に乗っておくけど
『ナメクジ』は難しい、結局害虫だし、ただキャラクター性が強い、慣用句、天気、占い、悪役、硬いものとの組み合わせ
『寄生』は謎が多い、誰が誰に寄生するのか、半地下?、寄生している人数は?、本当の宿主は誰なのか
『デカ』は、デカブリストやディケイド、デカダン、デカルコマニー、デカとチビ、とか
辞書を引けば幾らでも、ただし、デカルト、出掛ける、とかはちょっと違う
『モネの池』は、ご当地でも、そのままでもいい
『始祖』は、そもそも何の始祖か、印象派の始祖か、時代や場所は?、始祖とは何か、神話的なモチーフなのか

とかね
0644この名無しがすごい!
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2020/07/28(火) 21:11:30.09ID:hhdPh/B/
0902 アルティメット機械 ◆mhOvIIMW3c 2020/07/26 14:37:43
ワイスレに来るなと言われたから
安価スレにでも行ってみるかな
超過疎ってるから
0645三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/28(火) 22:35:55.79ID:gQ1XryTY
まぁ別に、連投でスレを埋め立てるのをやめてくれるなら、出禁とまでは言わないですよ
雑談禁止でもないし、なんかちょっと波風立ったしねw

ただとにかく作品を書かないと話にならねぇのですよ
(進行には無理だけど)筆の早い人なら、レスバする時間で1作書けてるからね
お前や進行が1レス書いてる間に、頑張ってる人は2行3行書いてるわけです

その積み重ねです
0646この名無しがすごい!
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2020/07/29(水) 03:12:21.57ID:8BorAlnL
「はい点呼をとります!」
「ナメクジくん!」
「はい!」
「始祖くん!」
「はい!」
「デカくん!」

「デカくんは?」

「デカくんは帰省しました」
「寄生?」
「(遅れて)はい」
「あ、リモートね」
0647この名無しがすごい!
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2020/07/29(水) 06:10:50.75ID:9ww+qFmR
そうですか、じゃあお邪魔しました
「お前」ということはお怒りのようですね
私は三代目さんに対して、そのような言葉遣いをしたことはありませんから
みなさん、少しでも波風が立つことはお嫌いのようですね
ここのルールを理解せず済みませんでした
多レスしただけで、荒らしになるとは思いませんでした
では、以後の活動をお楽しみ下さい
これにて、失礼します
0648この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/29(水) 06:49:06.25ID:8BorAlnL
こいつ、名無しで書き込んでるけど、ぷぅぎゃああああああというコテの奴だ
0649この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/29(水) 06:50:40.82ID:8BorAlnL
美世よ、こういうことになるんだよW
0650この名無しがすごい!
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2020/07/29(水) 07:50:11.69ID:mA+RjN5K
書き込んでるのは、ワイスレ民というより、ワイスレに粘着してる荒らしの添削君ですね

初代の進行に、ワイスレで安価スレの会話を控えてもらえれば(この添削というワイスレに粘着する荒らしが来ちゃうから)
とまで言わしめた荒らしです
0651三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/29(水) 13:29:22.04ID:m1Pfa2m0
>>646
ちょっと笑ったw、デカくんの地元は岐阜県ねw
形式から外れてるけど、作品扱いでいいよね・・・?

>>647
めんどくさいやつだにゃあ
つーかやることが極端なんですよ
あなたのペースと当スレのペースは合わないと思いますが、個人的にはちょっと面白かったですよw
気が向いたら、またゆっくり遊びに来てください
0652この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/29(水) 18:37:36.59ID:8iAtqi0r
ワイスレにいる荒らしは粘着具合が頭おかしいレベルだから余計なこと言わない方がいいよ
0653三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/29(水) 19:24:40.14ID:m1Pfa2m0
そうかね・・
まぁ、誰が荒らしか、とかは、とりあえずいいですけど・・・
作品置いてけ・・・置いてけ・・・とは言いたい・・・

それと一応言っておきますが、企画自体も、ブレストするぜー、ってのも継続なので!
0654この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/30(木) 18:39:46.06ID:Jo0PMpMF
そろそろまたレイチェルさんの人来てほしい…
あの人がいないと何というか始まらない…
0655この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/30(木) 23:37:50.09ID:LJ6LoFVd
>>653
継続とは言うけどこれ以上意見も出んようだし進行さんでバシッと決めて来週かどっかでやっちゃっていいんじゃない
0656三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/30(木) 23:59:38.25ID:SLNUnovK
>>655
もしかして>>584で曖昧な書き方をしたせいで誤解されてる?
だったら申し訳ない
あくまで今回お題の企画なので、>>642でも言ったけど、今回募集と同時開催です
今回お題で来週やるわけがない

決まってないのは、進行や他の審査員をやりたい人が、どんな基準で作品を評価したらいいんだろう、ってことくらいです
0657この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/01(土) 15:18:42.75ID:23nqZdcQ
>>578

使用お題→『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』

【断章、あるいは、チラシの裏】

 →→→
 例えば、モネの絵の池を埋め立てる金属製のナメクジに寄生するデカ目メイクの人類の始祖が洪水の後で繁殖する話
 →→→

 世界の隅々まで茶色く染めた濁流が、ようやく流れ去った。光と色彩の池は今や汚泥にまみれ、かつての美しさは見る影もない。
 残されたのは、僕たちの宿主、鋼鉄のナメクジだけだった。
 水が引いて安全になったと見るや、その泥まみれの鉄片は、そのステンレスの体を緩慢にくねらせて、暗く濁った池の表面を、再び撫(な)で回し始めたのだった。
 こうして僕たちは洪水を生き延びた。それで僕は安心して、僕の片割れたる彼女に目をやった。
 彼女も僕も、他の地上のすべてと同じく、土の色に埋もれていた。灰色の空が僕たちを見詰めている。その不毛な景色の中で、ナメクジだけがゆっくりと動く一方、彼女の大きな瞳は爛々(らんらん)と輝いて、その視線が僕を貫いた。
 僕たちは互いに吸い寄せられるように手を伸ばした。そこにいる相手の存在を確かめるように、抱擁を繰り返す。最後には泥の服を脱がせ合うと、もう僕たちを隔てるものは何もなかった。
 無限に押し寄せる水流のように、今度は僕たちの内側から湧き出るものがあった。
 僕たちは、それに突き動かされるまま、互いを貪った。熱病に浮かされたような陶酔感の中で、僕は彼女の瞳に接吻(せっぷん)する。やがて彼女の顔はぐちゃぐちゃに溶け出して、彼女と僕とは一つに混ざり合った。
 鋼鉄のベッドがのたうつ。僕たちの火照りを感じ取ったのだろう、何もかもが緩慢だと思われていたそれは、突然に大きく仰(の)け反ると、信じられない勢いで、僕たちを吐き出した。
 僕たちは、僕たちだったものは、その勢いで千々に裂かれて、その細胞の一つ一つが、キャンバス中に飛び散った。

 * * *

 →→→
 モネの池のほとりで出会ったのじゃロリ巨乳美少女はナメクジ拳法の始祖でロリババアだったが俺は気にせず彼女の家に寄生してそのデカぱふべべべべべ
 →→→

「おい、不肖の弟子よ! いつまで寝ておるのじゃ! 起きろ! 起きるのじゃ!」
 目を覚ますと、見慣れた巨乳――――
「どこを見ておるのじゃー!」
 殴られた。意識が飛んだ。
「おっ、おい、我が弟子よ! 大丈夫か! 大丈夫かー!! おい――――」

 *

「まったく、心配させおって。図体だけはデカいくせに、弱っちいのが悪いんじゃ。それで今日の修行じゃが……ひぅっ!」
 俺は吸い寄せられるように師匠の胸に手を伸ばしていた。
「どこを触っとるんじゃー!」
 俺の鳩尾(みぞおち)に師匠の膝小僧が突き刺さった。意識が飛んだ。
「おっ、おい! おい! 吐きそうか! 違うのか!? しっかりしろ――――」

 *

「まったく、なんでこんなやつを弟子にしてしまったのじゃ……。それで修行……おい」
 いじっていたスマホを取り上げられた。
「なんじゃこれは……。どこを撮っておるのじゃー!」
 俺のスマホはバッキバキに破壊された。
「もう、お前なんか知らんのじゃー!!」

 * * *

 →→→
 ????
 →→→

???「……とりあえず、さ。ここってR18禁止だったよね? 駄目じゃね?」
???「いや、だって、こんなの全然エロくないでしょ。これで駄目って言われても困るわ。神話ネタつまんね、とか、表現が凡庸だ、とか、そういうのなら分かるけどさ」
???「あっそ。それで後半の……ふざけてんの? つか池とナメクジはどこ行ったのよ。むしろ主人公がナメクジじゃね? 塩で駆除できそう」
???「それいいな! 思い付かなかった。まぁともかく、これがテンプレだろ。面白いと思うんだけどなー」
???「いや……」
0658三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/01(土) 15:21:25.84ID:23nqZdcQ
思い付いてしまったネタの供養・・・
一応言っておきますが、企画参加作品ではありません
0659この名無しがすごい!
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2020/08/02(日) 06:01:30.79ID:5i9+Uw3H
220 名前:ぷぅぎゃああああああ ◆Puuoono255oE [] 投稿日:2020/08/02(日) 05:00:59.59 ID:bJYBiluC
おはよう、諸君!

ワイスレ杯の開催は決まった!
本スレに書いた通り! 未知の強敵の参加はあるのか!
ワイスレ杯だけに参加する名無しの登場は!

決戦の日は近い!(`・ω・´)さて、続きを書くとしよう!
0660この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 13:53:58.78ID:NmBZTedW
>>578
お題:『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』

【戯れ】
 ナメクジが窓を這っている。長雨が続き、不快感と共に倦怠感を露にするこの世界の頂点たる霊長類とは逆に、この生物は活力を得ているのだろう。
 人類破滅後に、この生物が世界を制した物語を描いたのは、かの巨匠だったか?

 薄暗い高層マンションの一室で、幾台ものモニターを眺めながら、男とも女ともつかないシルエットが頬杖をついていた。

 モニターには話題の観光スポットが次々に映し出され、その人物はぼんやりとそれを流し見しながら手の中でダイスを弄んでいる。

「モネの池か……」

 澄んだ水と鮮やかな錦鯉。そして水面に揺蕩う蓮の葉。確かにそれはモネの『睡蓮』を連想させるに足る情景だ。
 だが、その人物は評価コメントを読みながら苦笑を漏らす。

「美しい自然の風景……ね」

 「どこに?」と言う呟きが闇に溶ける。
 岐阜は根道神社の参道にある、通称『モネの池』は、近所の人間によって除草され、植樹を受けた上で錦鯉を放たれたと言う。
 そもそも錦鯉にした所で、観賞用に品種改良された個体だ。
 切り開かれ、人の手の入った光景に、『自然』と言うキーワードは余りにも滑稽だろう。

「人間は余りにも境界を曖昧にし過ぎている」

 シルエットがそう呟いた。

 野山と里、自然と人工物、男と女、光と闇、そして……昼と夜。
 かつては昼と夜の境界はハッキリとしていた筈だ。昼は人の領分であり、夜は闇の者達の領分だった……。
 だが今の人間は、まるでその境界を取り払い、この世界が自分達の物であるかの様に振舞っている。

 自分達が、その境界線を認識できていないだけであるのに拘わらず……だ。

 カラカラとサッシを開き、ガラスの上を這っていたソレを摘まむ。まるで、危うい境界の上を這っている、このナメクジの様ではないかと、そのシルエットの人物は思った。
 思わず奥歯が鳴る。 

 力加減を間違え、クチュリ……と潰し、手を汚した。

「境界を踏み越えた者の末路は決まっている」

 手に持っていたデカヘドロン(十面体)のダイスを転がす。
 面白くもなさそうに眉を顰めると、ハンカチで手を拭い、一瞬の後、放ったそれが燃え尽きる。

 ワインセラーから一本の瓶を取り出すと、深紅に見えるソレをグラスに注ぎ、一気に飲み干した。

「今宵も“神”は気まぐれだ」

 未だ運命を司るダイスの女神は、人々に温情を与えているらしい。
 面白くもなさそうに口の端を歪め、『始祖』もしくは『真祖』と呼ばれるその人物は、夜景を睥睨しながら物思いに耽る。
 夜を切り取り、昼を偽装する彼等。彼等の創りし品々を享受する我々。
 果たして、真に『寄生』をしているのは、彼等なのか、それとも我々の方なのか……と。
0661三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/02(日) 20:34:47.62ID:Hu5NSvSS
>>660
企画参加作品ではないですね、、もし参加だったら言ってください
ダークな話、、なんか真面目にお題を消化してる、ちょっと工夫もあるw
真祖の主人公の目的とは・・・
0662この名無しがすごい!
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2020/08/02(日) 21:45:25.98ID:NmBZTedW
>>578
お題:『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』

【ファーストファンタジー】(1/2)


 遠野 正志はソレを呆然と見上げていた。
 彼の隣では真鍋 九朗が興奮の面持ちで何かを述べている。

「ね、始祖鳥だよ始祖鳥!! と、アレはレプトケファルス……いや、ナメクジウオかな?」
「……どっちでも良いよ」
「良くないよ! レプトケファルスはあれでも脊椎動物だし、ナメクジウオは頭索動物なんだ! 全然違うんだよ!!」

 そう、熱弁を振るう友人の喧しさに、かなり本気で首を絞めたくなった。
 彼らの眼前で行われているのは、端的に言えば『怪獣大決戦』である。つまり……

「何でも良いだろうが!! てか、デカすぎじゃあ!!」

 軽く10mは有る巨大生物の弱肉強食の戦いであった。

 ******

 異世界転生と聞いて、まず思い浮かべるのは、剣と魔法のファンタジーであろう。だが、正志と九朗の遭遇したソレは、一味違っていた。

「……どこだよここ」
「白亜紀の森! 白亜紀の森だ!! ジュラ紀から続く、最後の時期! 正志!! 恐竜だ!! 恐竜に合えるかもしれないよ!!」

 そう、下手をすればタイムスリップしたのかと思われる様な、原初の密林の中にいたのである。
 運動部に所属し、勉強よりも体を動かす方が得意な正志は、昔から生き物オタクである友人が、なぜこんなに興奮しているのか理解できなかった。
 だが、九朗の方にしてみれば、絶滅したかもしれない生物に出会えるチャンスなのだ。興奮せずにはいられないだろう。

「あ!!」
「え? おい! 勝手に行くなよ九朗!! 何だってんだよ!!」
「見て見て!! でっかいダニ!! でもこの大きさじゃ、流石に寄生とか出来無さそうだよね!」

 嬉々として九朗の持って来たソレを見て正志は鳥肌が立った。拳大は有る様なデカいダニが節足をわしゃわしゃさせているのだ。彼で無かろうと気色悪く感じるだろう。

「やめろ! それをオレに近付けるな!!」
「えー、現代じゃお目に掛かれないんだよ?」
「で、も、だ!!」

 正志の剣幕に、九朗は面白く無さそうに巨大ダニを放り投げた。と、それを横から掻っ攫うかの様に飛翔するモノが居た。

「メガネウラだ!!」

 九朗の目が、再び輝き出す。ダニを捕食した古代トンボは、そのまま悠然と飛び去って行く。だが、九朗にとってはお宝に等しい、現代では見る事の出来ない古代生物なのである。
 そんな彼の行動など、既に分かり切っていた。

「ちょー! 九朗!! だから勝手に飛び出すな!!」

 メガネウラを追って辿り着いたのは、巨大な蓮の葉の浮く、そこそこの大きさの湖だった。
 (ちょっと、モネの池に似てるな)地元にある参道の池を思い出し、正志が溜息を吐く。

 九朗はメガネウラしか目に入っていないらしく、「うわーうわー」と感嘆の声を上げながらも、飛んでいる古代トンボを目で追って居た。
 その時である。

「え?」
「は?」

 水面が持ち上がり、飛び出したソレに、メガネウラが一飲みにされ、その直後に、ナメクジウオを捕食する為に始祖鳥が飛来したのは。
0663この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 21:46:16.97ID:NmBZTedW
【ファーストファンタジー】(2/2)


 ******

「ナメクジウオって、海水魚なんだよね。でも、此処は湖だろう? あれかな? サロマ湖とかといっしょで潟湖なのかな?」
「どうでもいい……って、ちょっと待て、あいつ等って肉食なのか?」
「うん? ……多分だけど、そうかな?」
「『そうかな?』じゃねぇぇええええええ!!!!!!」

 両者ともに肉食であるなら、正志や九朗など良い餌だろう。その事に気が付いた正志は、九朗を担ぐと、一目散に逃げ出す。
 (どうしたこんな事に)とグルグルと思考を空回りさせる正志とは裏腹に、せっかく見つけた古代生物同士の戦いを最後まで見れなかった九朗は、ブーブーと文句を垂れ流した。
 あまりの友人の能天気さに、かなり本気で放り投げてやろうかと思う位だった。

 それから一時間程走った所だろうか? 流石の体育系の正志でも、ぶっ倒れる程に疲弊し、ゼーゼーと息を荒げている所に、第一村人がやって来たのは。

 その村人との話で、二人は自分達がタイムスリップではなく異世界転生したのだと、初めて分かったのだった。

 これが、後の世で『勇者マーシー』と『賢者クロウ』と呼ばれる二人の最初の物語で有った。
0664この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 21:50:56.87ID:NmBZTedW
>>661
悩み抜いて書いた作品ですが、評価を受ける程の価値が有るかと言うと悩みどころとなるので
エントリーはしないと言う事でorz
0666三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/02(日) 22:11:31.62ID:Hu5NSvSS
お題→『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』締切

【参加作品一覧】
>>646【無題】
>>657【断章、あるいは、チラシの裏】
>>660【戯れ】
>>662【ファーストファンタジー】
0667三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/02(日) 22:13:00.86ID:Hu5NSvSS
では通常お題5つですー

お題安価>>668-672
0668この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 22:15:12.19ID:5JdD1ohb
用水路
0669この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 22:15:16.63ID:PeL8i71k
エクセル
0671この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 22:20:56.20ID:1OG4T60a
同人誌
0673三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/02(日) 22:45:51.36ID:Hu5NSvSS
☆お題→『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→8/9の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0674三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/02(日) 22:52:30.06ID:Hu5NSvSS
>>662
なるほどどっから出てきたこのネタw
なんか夢があると言うか、意外性があって、かなりいい感じなのでは!
方向性としてはこう、スレ6グリーンエイジに近いと言うか、一発ネタだともったいないような
0675三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/02(日) 23:12:38.51ID:Hu5NSvSS
そしてお題や作品など、ありがとうございます

お題スレ杯は普通に滑ってしまいましたが、募集形式の一つとしては、当スレの趣旨から決して外れてはいないと思っています
(スレの文化や進行個人の主義主張とは一致しませんが、これもありでしょ、という話)
これとリレー企画は、スレの様子を見つつ、早めに告知して時期を調整するなどして、今後も開催したいと思っています

それはともかく過疎ですが!
うーん・・・ともかくお題スレを引き続きよろしくです・・・
0676この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 23:20:45.93ID:yt1WazMw
>>662
面白かった
モンハン世界みたいな感じなのかな
>>675
乙乙
最近スレでも自作でもスランプで申し訳ないぜ……
0677この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/02(日) 23:34:31.01ID:F6xN6Jvh
>>626
いまずらっと見てて目に入ったから書くけどさ
こういうやつが一番不快な気持ちになるよな
どうせ見てることしかできないくせにいちいち言わなくていいって感じ
あとわざわざ触れておいて話題転換しようとしてるし何がしたかったんだろうこいつは
黙って書いてろよ
0679この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/03(月) 11:26:08.90ID:htZ9VFS3
>>674
感想有り難うございます
暗目の話を書いた後なので、どうにかしてファンタジーを書けないかと四苦八苦しましたw
ナメクジウオを思い出した後は、何かするすると出てきました


>>676
感想、有り難うございます
そう言えばモンハンも、生態系が感じられる世界観にしたかったと言う、開発の人の記事を読んだ覚えがありますね
0680この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/03(月) 13:53:02.33ID:982jVKL5
>>673
使用するお題→『用水路』『脳内』『同人誌』
※スレ5 138【ルーズってのもいいじゃない】の続編及び完結編です

【さよなら私の青春】(1/2)

アタシは今、大学4年生。あっ、そういえば自己紹介がまだだったわね。
アタシの名前は森島マコ。最初に言った通り現在大学4年生で、卒業に向けて卒論の仕上げや就活の真っ只中で忙しい毎日を送っている。

「今年中には絶対に内定を獲得して、卒論も終わらさなきゃ!」

4年生になって半年ほどが経った秋の中頃、アタシは苦難の末にようやく内定を得ることができた。

「ふぅ、何とか内定ゲットー!卒論もあともう少しで完成ね」

だいぶ心に余裕ができて一安心したところだ。そしてアタシはカレンダーに目を向ける。
12月の10日が赤いマジックで丸で囲まれている。そう、その日は去年から楽しみにしていたコミケに行く日なのだ。

「このコミケで同人誌いっぱい買うんだから!」

もうアタシは楽しみで楽しみでたまらなかった。コミケの前日、アタシは早速出かける準備をする。

「寒い冬にはやっぱりこれよね!」

そう、高校時代から愛用しているお気に入りのルーズソックスだ。寒いのが苦手なアタシにとっては温かくて心強い、頼もしい味方のような存在だ。
黒タイツの上にルーズソックスを履く。このクシュクシュ感が昔から凄い好きだ。

「またルーズソックスが流行る時代が来ればいいのになあ」

そう言うとアタシは靴を履いて家を飛び出し、駅へと向かう。新幹線に乗ってコミケの会場近くのホテルに向かい、そこで一泊する。
そして翌朝、楽しみにしていたコミケの開催日。アタシは好きな作家の描いた同人誌を片っ端から購入していく。
今のアタシの脳内には同人誌のことしかなかった。そしてコミケは無事に終了、アタシもとにかく満足だった。

「せっかくだから、ちょっと近くを散歩していこうかな」

コミケ会場から離れて30分ほど歩くと、そこは少し閑散としているがのんびりとした田舎町だった。
都会に住んでいるアタシからすると、こういう場所も悪くないかなと思う。

「老後は田舎で静かにのんびりと暮らそうかな」

まだまだ若いのに今、老後のことまで考えてしまう自分に対してアタシは思わず笑ってしまう。

「さてっと、もう帰ろうかしら」

そう思い、駅の方へまた歩いて戻ろうとしたその時だった。近くの用水路からプクプクと何かが泡立つような音が聞こえてくる。

「な、何かしら?」

気になり振り返ったその瞬間、ザバアッ!と大きな飛沫を上げながら用水路から何かが現れた。

「ワ、ワニ!?」

なんと、それはワニだった。
0681この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/03(月) 13:54:08.36ID:982jVKL5
【さよなら私の青春】(2/2)

用水路から突然現れたワニに、アタシは思わず腰が抜けてしまい、その場に尻餅をついて倒れてしまう。
ワニが口を大きく開けて牙を見せながら、自分の方に歩み寄ってくる。何とか立ち上がって急いで逃げようとした瞬間だった。
一瞬の隙を突いて、ワニがアタシのルーズソックスに食らいついた。

「ウワワワワッ!!」

アタシは何とかルーズソックスを脱いで逃れようとするも、牙が縫い目に引っ掛かってしまっているため脱ぐことができない。
するとビリビリッと音を立てて、ルーズソックスの縫い目が破け始める。

「は、放して!誰か助けてーッ!!」

すると、どこからともなく銃声が響き、ワニが動きを止めてそのまま倒れてしまう。

「お嬢ちゃん、大丈夫かい!?」

近くに住んでいた猟師のおじさんがワニに向けて麻酔銃を放ったのだ。気を失ったワニを急いで捕獲し、丈夫な檻の中に入れる。
もし、おじさんが少しでも助けるのが遅れていたら、アタシはワニに脚ごと噛みちぎられていたのを想像するとゾッとした。

「本当にどうもありがとうございます!」
「ケガがなくて本当に良かった。それに近所の畑を荒らす犯人をやっと捕まえることができた」

しかし、お気に入りのルーズソックスは縫い目から思いきり破けてしまっており、私は家に帰るや否やすぐに裁縫箱を出して縫い始める。

「少しちぐはぐした感じになったけど、これで我慢してね」

高校時代から愛用していたルーズソックス、もうこれ以上履けないと判断したアタシは箱に入れ、クローゼットの中に仕舞い込む。

*************

年が明け、内定もゲットし卒論も完成し、アタシは無事に大学を卒業し就職。立派な社会人になろうと努力、自分を磨く毎日だ。
えっ、あのルーズソックスはどうしているかって?安心して、捨ててなんかはいないわ。
卒業する前、アタシはどうにかして再利用できないかと考えた。流石にもう靴下として使うことはできない。
そこで考えたのが、そうマフラーだ。自分で好きなように縫いつけてアレンジし、お気に入りのルーズソックスが素敵なマフラーに変身したのだ。
モコモコ、クシュクシュした感じが温かくて寒い冬にはもってこいの必需品となった。
靴下からマフラーに変わったとはいえ、私の大切な愛用品であることには一切変わりはない。

「これでまた、いつでも私と一緒よ」


THE END
0682三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/03(月) 22:33:58.69ID:ViQq0Ie4
>>680
復活した!w、ワニもw
そう言えばルーズの続きってまだなかったですね
作者の持ち味そのまま、原点回帰って感じです!
0683この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/04(火) 02:04:40.98ID:a9Hyq+k1
自分の長編だけでなくセンター試験まで改竄してる時点で150話までの話にパラレルヒロインの優位性はほとんどないと言って良いだろう
最初から勝利を約束されていて、自分以外のヒロインの扱いが適当な物語は正史ではない
それを正史だと言い張るのはヒロイン厨だけだ
0684この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/04(火) 02:20:03.60ID:GhsMFCIA
先生好きになる要素しかないだろ
敵見ると助けてくれー!って怯えるから無能かと思いきや糞強いし堅物キャラのように見えてダンスの場面では一緒に踊ってくれるし進行さんとのやりとりが小学校の先生みたいで微笑ましいし
0685この名無しがすごい!
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2020/08/04(火) 03:26:07.95ID:jFbzcH2D
>>673
使用するお題『脳内』『同人誌』『シスター』

【不可解】

『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』

…それはいつも通り何気ない日常を送っていた俺の脳内に突然浮かんできた

(なんだ今のは…気のせいか…?)

気のせいだと思ったのだがさらに不可解なことは起こる

ガシャン!

突然皿が割れたのである
落としてもないのに

「…誰かいるのか?幽霊なら姿を表してくれ」

もちろん冗談混じりな発言だ

(まあ誰も返事する訳ないよな…)

ガシャン!

今度は窓ガラスが割れた

(一体なんなんだ…まったく訳がわからん…)

もういっそテレビ番組のようなドッキリであったらいいのにと思ったその瞬間

ピッ

テレビのチャンネルが勝手に変わった
シスターが同人誌を書いてる映像が目に入った

(…なにこの組み合わせ)

『オダイ…チョウダイ…』

(…?)

『オダイチョウダイ!』

その時にはもう空間が真っ黒になり…

『頭ヲ…ヨメ…』

『トレクマ午恐コ満カ新絹白刺厳プハ乙ポ邪アピ恋最レ銀フ悪絶円満釣マ百媚理レ難女金変転…』

意味不明な言葉を最後に俺は目を覚ました
時間が皿が割れる前に戻っていた
それでも俺は思った

(時間の無駄だったな…)
0686この名無しがすごい!
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2020/08/04(火) 10:57:14.48ID:7RMlzYso
>>680
ルーズソックスの転生w
汚れたり、噛まれたり、噛まれたりと色々あったルーズソックス生でしたね
今度はマフラーとして大切にされると良いですね

>>685
限りない夢オチ感が……
ですが、脈略の無い展開の連続は確かに夢の中という感じがしますね
0689この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/04(火) 20:14:40.15ID:UMG0+wQw
>>682
>>686
感想ありがとうございます!
ルーズソックスからマフラーへとまさかの転生でございます
姿や形が変わっても幸せになれる選択肢はたくさんあるんだよ、と伝えたいお話でした
こういう物を大切にしようといった物語を書くのすっごく楽しいですw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0693この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 10:55:21.56ID:+3S0tS/b
>>673
お題:『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』

【妹様の優雅な趣味】
 妹がPCの前でウンウンと唸っている。
 妹は所謂オタ系女子で、休日には同好の士と共に同人誌なんかを買いあさっていた訳だが、そんなマイシスターが、今はゲームに嵌っている。
 それも、作る方にだ。

 そもそもゲームに嵌ったきっかけは、乙女ゲームに推しメンが出来たかららしいのだが、それがどうしてゲームを作る方になるのか?
 マイシスターの脳内は、複雑怪奇だ。

「……C言語とかじゃないのか」
「お兄ちゃん、今はゲーム作れる環境って結構あるんだよ」

 自分の呟きに、エクセルを弄っているらしい妹様が律義に答えてくれる。
 自分の拙い想像力では、表計算ソフトで何故ゲームが作れるのか分からないのだが、マイシスターの異次元の脳力をもってすればそれも可能らしい。

 区切りがついたのか伸びをしてスマホツイッターを確認する。
 どうやら、友達と分担して作業をしている様だ。

 これが、テレワークと言う奴か。未来に生きてるなマイシスターよ。
 ふと、作業を眺めている自分を振り返り、妹様が言う。

「完成したら、デバックお願いね? お兄ちゃん」

 その言葉に、自分は苦笑しながら「分かった」と言った。

 ******

 蛇足。

 完成したゲームをやらせてもらった訳だが。
 用水路にひたすら相手突き落とすゲームの何が面白いのか、お兄ちゃん分からなかったよ。
0696三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/09(日) 22:10:02.13ID:l/A6WIZs
お題→『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』締切

【参加作品一覧】
>>680【さよなら私の青春】
>>685【不可解】
>>693【妹様の優雅な趣味】
0698三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/09(日) 22:12:33.26ID:l/A6WIZs
んでは今回も通常お題5つですー(企画は忘れてた

お題安価>>699-704
0699この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/09(日) 22:14:24.51ID:X7ECkxWs
0700この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 22:18:07.92ID:BOizCz9E
さつまいも
0701この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 22:20:03.57ID:B/JMbpLn
つりっくま
0705三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/09(日) 22:28:15.08ID:l/A6WIZs
☆お題→『樽』『さつまいも』『つりっくま』『ワタリガラス』『相棒』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→8/16の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0706三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/09(日) 22:32:05.02ID:l/A6WIZs
ってことで引き続き、お題、作品、感想など、ありがとうございます

しかしここまで来ると、次スレが(まだ先だけど)見えてきますね・・・
0707この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 23:34:54.11ID:l/A6WIZs
>>673
スレ6→696と同じ世界の話、再びの供養枠で失礼します

使用お題→『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』

【今は昔の武勇伝】(1/3)

 用水路に何かが落ちていた。
「『ふたなりシスター快楽堕――だ、だち? 堕(だ)ち……――〜背徳の淫乱調教〜神様ごめんなさい、私、もう……』なんじゃこりゃ?」
 それはエロ本だった。いかに世間知らずの私でも、さすがに一目瞭然のエロ漫画だ。どうしてこんな所に落ちているのか気にはなったが、それよりも大事なことがある。
 この見るからに頭の悪そうなタイトルを目にした瞬間、私の脳内では灰色のニューロンが激しく発火を始めていた。シナプスを通過する電気信号が私のイマジネーションを形作る。
 時間にしてコンマ数秒、素晴らし過ぎる思い付き――これぞ正に天啓と言える――を得た私は、周囲に誰もいないのを確認してから、快哉(かいさい)の声を上げた。
「こっ……これだー! 神様ありがとう!!」

 *

 家に帰るや否や、私は自室のパソコンを起動した。手始めにブラウザを開いて、先ほど目にしたタイトルで検索する。
 フィルタリング? 私は検閲には反対だ。
 通販サイトらしきものが並ぶ。出版社のサイトも。感想みたいなのは引っ掛かってこない。とりあえず一番上のリンクを開いてみる。
「なるほど、これか」
 見覚えのあるキャラクター。何しろさっき見たばかりだからな! グロテスクなまでに誇張された人物。何やら刺激的な絵柄。これはなかなか忘れられないだろう。
「早苗ちゃんに似てるような気もするな。ふふふ、だがそんなことはどうでもいい」
 こちらもつい先刻、帰りのホームルームで一生懸命に話す姿を目にしたばかりの、担任の教師だ。ただ彼女はシスターではないので、実際言うほどは似ていない。
 作品のページから離れて、成人向けコーナーのトップを開き、新着一覧のリンクを探して開く。
「ふむふむ。思った通りだな」
 個性的なタイトルばかり。ここまでは予想通りだ。少し意外だったのは、これらの中に、例の『ふたなりシスター』が含まれていたことだ。
「新刊なのに、買って読んですぐ捨てるのか。お大尽だな」
 金持ちの考えることは分からない。
 続きを適当に眺める。大体の様子が分かったので、次は、今見ていた商業作品のコーナーから同人誌のコーナーへと移動する。
 こちらでも同様に新着を調べる。傾向の違いは感じられるものの、正直よく分からない。
「ま、いいだろ。それでだ」
 商業作品の方に戻って、新着一覧のページのソースを表示する。ここから作品のタイトルを切り出す。
「ごちゃごちゃだな。もっとシンプルにすれば、転送量だって抑えられそうなものを。だが、どんなソースであろうとも、所詮私の敵ではない!」
 さくっとスクリプトを書いて実行する。一瞬にして、タイトルだけの一覧が完成する。
「よし! 君に決めた!」
 エクセルを起動する。そしてタイトルの一覧を貼り付ける。
「大丈夫だ! 問題ない!」
 タイトルが入っているセルの隣に『LEN関数』の式を入力して、最後の行までドラッグする。これで各タイトルの文字数が分かる。
「そして頻度を…………『ピボットテーブル』!」
 文字数別にデータの個数を集計する。これで、何文字のタイトルが何件あるのかが分かる。
 最後にグラフを作って終わりだ。
「やった、完成だ! 『エロ漫画のタイトルの長さに関する研究』。なんて自由な研究なんだ! これが自由! 私は自由だ! 自由研究万歳!!」
 本当はまだ完成ではないが、私は興奮して叫びまくった。
「あおいー! うるさい!」
 母に怒られた。
0708この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 23:36:19.77ID:l/A6WIZs
【今は昔の武勇伝】(2/3)

 夏休み明けの教室で、私は意気揚々と研究の成果を提出した。
 あの後、データの件数を増やしたり分析を追加したりした結果、レポートはそこそこの分量になっていた。こんなことを言っても意味はないが、私よりも優秀な学友たちの、立派な提出物と比べても遜色ない。
 その学友たちが、どんな夏休みを過ごしたか。私の興味はそちらへと移っていった。
 真面目に勉強していた者。
 どこそこの別荘で優雅な休日を過ごした者。
 スポーツで汗をかいた者。
 家族で海外の避暑地にステイした者。
 誰だかのパーティーに出席したらしい者もいれば、中にはもちろん――本当かどうかは分からないが――庶民的な暮らしを送っていたという者もいた。
 誰かが配っていった、きっと有名なのだろう焼き菓子の包みに目を落とす。少女たちのおしゃべり。

 私?
 私は、祖母の家に引っ張られていったくらいで、他には何もなかったな。

 *

 そうして無難に情報を集め、帰りのホームルームも終わろうかという時。
「――――それと、西崎さん。ちょっと残ってくれるかしら。他の人は、今日はもう帰りましょう」
 私と早苗ちゃんだけが教室に取り残された。

 *

「……つまり、その、用水路に落ちていた本を見付けて、魔が差したと」
 私は早苗ちゃんから取り調べを受けていた。
「いえ、違います。啓示です。霊感、インスピレーションと言ってもいいでしょう。これは絶対に面白いと、私は確信したのです」
 私はそう主張したが、私の正面に座る、制服を着れば生徒と見分けがつかないくらい若くてかわいらしい学級担任は、いぶかしげに眉をひそめるばかりだった。
「あのねぇ西崎さん……。その本は、どんなタイトルだったの?」
 ふとそんな風に質問をされたので、私は、ここぞとばかりに、よどみなく答える。
「『ふたなりシスター快楽堕(お)ち〜背徳の淫乱調教〜神様ごめんなさい、私、もう……』です!」
 それを聞いた早苗ちゃんは、ゆっくりと机に突っ伏して。
「シスター……よりによって本校の生徒が……怒られる……私……」
 ぶつぶつと何かをつぶやいてから、再びゆっくりと身を起こし。
「西崎さん」
 張り付いたような笑顔で。
「はい」
 それを見た私は、姿勢を正し。

 この後そこそこ説教された。
0709この名無しがすごい!
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2020/08/09(日) 23:37:25.89ID:l/A6WIZs
【今は昔の武勇伝】(3/3)

 * * *

「西崎……お前なぁ……」
「部長……今も昔も……」
 後藤先生と我が忠実なる後輩は、私の話を聴き終わると、そろって似たような反応を示した。
「もし俺が担任だったら、お前退学だわ」
「ははは、退学にはなりませんでしたが、今はこうして、先生の前に座っておりますよ」
「黙って座ってれば、その、お嬢様だと思ってましたけど、まさか本当にお嬢様だったとは……」
「そんな柄じゃないから、外部進学したのだよ。いやー毎日楽しいね!」
 私がそう言うと、二人は顔を見合わせた。
「じゃあ、今日は店仕舞いでしょうか、後藤先生」
「そうだな……」
「あっ、ちょっと待ってください」
 私のかわいい後輩が声を上げた。
「何かな?」
「結局その自由研究はどうなったんですか? 却下されて、そのままですか?」
 その話を忘れてたな。
「いや、それがね――――」

『西崎さん、じゃあこうしましょう。全年齢対象の小説投稿サイトがあります。そちらの作品のタイトルを分析したら、きっと面白いですよ』

 ――――それから数日遅れで提出して、事なきを得たのだった。

「ああそう……」
「柔軟な先生だったんですね……」
0710三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/09(日) 23:45:54.45ID:l/A6WIZs
文字数を減らして、それでも2レスのままだと、こんなこと言われて書き込めないという
> ERROR: We hate Continuous! 190/3819
> 埋め立てに見えますよ。

地の文でも会話文でもしゃべりまくる主人公が悪い
そして最近は続編ばかり書いてる気がしますw
0711この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 05:59:47.89ID:t7vvDsyY
>>707
一人称で登場人物が一人だけの時、セリフが多すぎ
独り言を言葉に出すほうが変なので、そんなに要らない!
たとえば、

>「早苗ちゃんに似てるような気もするな。ふふふ、だがそんなことはどうでもいい」

などでも、早苗ちゃんに似てるような気もするが、そんなことはどうでもいいと思った。
とかいう風に地の文として書くべき
0712この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 06:12:35.37ID:t7vvDsyY
>>708
>誰かが配っていった、きっと有名なのだろう焼き菓子の包みに目を落とす。少女たちのおしゃべり。

”包みに目を落とす”という書き方は三人称的な視点の書き方に感じ取れてしまうので
ここは、”包みに目を落とした。少女たちのおしゃべりが耳に入る”とか一人称的な書き方が望まれる
0713この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 10:00:54.40ID:BGxqyG4s
>>707
お騒がせ系コンピューター部の部長再びですね
思い付いたら一直線なのは昔からだったと言う訳ですか
人に歴史ありですねw
0714この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/11(火) 11:41:40.26ID:+g9dVK5c
>>711,712
ここは批評スレじゃないので、批評より自作書こうな
もしくは穏当な感想書いた上でにしよう、できないなら去ろう
0715三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/11(火) 12:48:21.73ID:yTvns7M9
いやいや、確かに批評スレじゃないけど、批評もおkよw
まぁずっと言ってなかったし、言わないと分からないよね
以前書いたのを再掲します↓

■ヒント
・お題を全選択する必要はありません(全選択が多数派ではあります)
・感想や感想返しは大歓迎です(義務ではありません)
・辛口の批評なども可です(活発にやり合う雰囲気ではありません)
0716三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/11(火) 13:48:51.77ID:yTvns7M9
>>711>>712
ともかく感想ありがとうございます!
独り言について、一人でしゃべりまくる人物(最後は声が大きくなって怒られる)、という設定なので、ご容赦ください
視点は、半分は直感で書いたので、ご指摘が正しい部分もあると思います
作者の狙いとしては、ここまでの流れに続く視点変更で、客観的に突き放したような効果を意図しています
(ただし、これが与える印象は、あくまで主人公の主観です)

>>713
感想ありがとうございます!
続編、、過去話ばかり書いてる気もします^^;
基本とんでもないやつですw
0717この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 14:20:34.13ID:/+n+r04I
>>705
使用するお題→『樽』『ワタリガラス』『相棒』

【あなたは最高の相棒】(1/3)

僕は今、ある者に命を狙われ、追いかけられていた。

「やっと見つけたぞ、小僧。まさかあの町の生き残りがいたとは驚いたぜ」
「ハァ、ハァ…。お、お願いだから殺さないで」
「生かすも殺すも俺の機嫌次第。残念だが今日の俺はスゲー機嫌が悪い、だからお前を殺すことに決めたのさ」

自分の目の前に立つ、ヒゲを生やした大柄な男の名はレイヴン。
残虐かつ狡猾なワタリガラスのような性格から、世間ではその異名で恐れられているガンマンだ。

「さあ、あの世へ逝く時が来たようだ。あばよ」

レイヴンが銃口を向ける。もうダメだ、と最期を覚悟したその時だった。バキュン!と銃声が響き、その弾丸が銃を持つレイヴンの右腕に直撃した。

「グ、グワッ!だ、誰だ!」
「そんないたいけな男の子の命を狙うなんて、器の小さい男ね。見てて哀れだわ」

つばの広いウエスタンハットを目深に被り、長いコートを羽織った一人の女ガンマンがブーツの拍車をチャリチャリ鳴らしながら姿を現した。

「き、貴様は・・・!」
「その汚い口、いい加減閉じてくれないかしら」

その女ガンマンは今度はレイヴンの喉仏に向けて発砲した。口からゲボッと血を吐きながら、レイヴンはそのまま倒れ息絶えてしまった。

「さあ!早く逃げるわよ、坊や!」

女ガンマンは素早く僕を抱き抱えると、急いでその場から走って逃げていった。

「ここまで来ればもう大丈夫よ。ケガはないかしら?」
「う、うん、擦り傷くらいだから平気。お姉さん、助けてくれて本当にありがとう。僕の名はライアン」
「ライアンって言うのね。私の名はレイチェル。さすらいの旅を続けるガンマンよ、よろしくね。レイヴンに狙われてたみたいだけど一体何があったの?」
「実はね・・・」

僕は、レイチェルさんという女ガンマンに自分の過去を全て話した。
4年前、まだ僕が7歳だった頃、生まれ育った故郷の町や大好きな両親や友人達をレイヴンによって全員無残に焼き殺され、そして滅ぼされたのだ。
「ライアン、お前だけでもいいから逃げて生き残ってくれ!」と、みんなは気付かれないように逃げ道を作って、僕を逃がしてくれたのだ。

「そ、そんなことが!」
「あいつに何もかも滅茶苦茶にされたんだ。その事を思う度に涙が止まらなくて!レイチェルさん、仇を討ってくれて本当に、本当にどうもありがとう!」

僕は涙を流しながら、レイチェルさんに思いきり抱きついた。レイチェルさんは僕の頭を優しく撫でた。

「ずっと孤独だったのね。でも安心してライアン」
「えっ!?」
「この私がいるから大丈夫、これから何があってもいつも一緒よ」

これが僕とレイチェルさんの出会いで、ここから一緒に旅がスタートしたのだ。

「まず、ちゃんとした服を着させてあげないとね!」

一番近くの町に立ち寄ると、レイチェルさんは僕のために服屋で新しい服を買ってくれた。
その後、バーで冷たいコーラを飲んで寛ぐ。暑苦しい荒野の中を歩いて渇いてしまった喉を、冷えたコーラの炭酸が一気に潤してくれた。
0718この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/11(火) 14:21:38.70ID:/+n+r04I
【あなたは最高の相棒】(2/3)

「あのレイヴン、殺したとはいえ名の通った無法者達を束ねる悪のリーダーよ。彼が殺されたと聞いて、部下は黙っていないでしょうね」
「えっ、そうなの!?そんなあ、もし復讐に来たらどうしよう・・・!」
「この私レイチェルがいるから大丈夫よ。ライアン、私があなたを必ず守るから」

レイチェルさんの力強いその言葉に、僕は安堵した。それから広大な荒野の中をひたすら歩きながら、共にさすらいの旅を続けたのだ。それはとっても楽しかった。
楽しい旅が始まって2年が経過し、次の町にもう少しで辿り着こうとしていた時のことだった。突然レイチェルさんの背後から、大きな樽を持った男が現れた。

「レイチェルさん、危ない!」
「えっ!?」

気付いた時にはもう遅かった。男はレイチェルさんに勢いよく大きな樽をゴン!とぶつけたのだ。
レイチェルさんは頭から血を流して意識を失ってしまう。

「レイチェルさん!お前、レイチェルさんに何するんだ!」
「チッ、うるさいガキだな。ちょっと黙ってろ!」

男は僕のお腹を思いきり蹴り上げた。あまりの痛さに立ち上がることができず、そのまま意識が遠退いていった・・・

****************

「ハッ、ここは!?」
「ラ、ライアン、大丈夫?ごめんなさい、私のうっかりのせいで・・・」

目が覚めると、いつの間にか古びた小屋の中にいた。僕とレイチェルさんはイスごと体をロープで縛り付けられていて、身動きすることができない。
すると、あのレイチェルさんを樽で殴った男が現れた。

「やっと起きたようだな、お二人さんよぉ」
「あ、あんたは一体誰よ!」
「俺はノーマンだ。あのレイヴン様の忠実な部下だ、まさかお前がレイヴン様を殺したとはな」

ノーマンと名乗るその男は、レイチェルさんの髪を思いきり掴んで引っ張った。

「うーん、お前結構可愛くて美人だな。なんか殺すのはもったいな。そうだ、俺と結婚して妻になってくれ!」

するとノーマンはレイチェルさんの唇にキスをしようと迫ってきた。

「ファーストキスはまだだろ?」
「やめて、その汚い顔を近づけてこないで!」

レイチェルさんは、ノーマンの顔に向かってツバを吐きかけた。それにノーマンは怒り狂ってしまった。

「この女ガンマンめ、俺の綺麗な顔にツバ吐きやがって。調子に乗るんじゃねえぞ!」

ノーマンはレイチェルさんの顔を思いきり殴り、その次に鋭利なナイフで太腿をグサッと刺したのだ。

「これが俺への反抗の報いだ。残念だがここで死んでもらうしかないな」
「やめろ!レイチェルさんをこれ以上いじめたら許さないぞ!」
「うるせえ!お前は動けないまま、間近でレイチェルの死を見届けるんだな!あとでお前も地獄に送って会わせてやる」

ノーマンの持つナイフの先端がレイチェルさんの目に近づこうとした時だった。
火事場の馬鹿力だろうか、僕はそのまま体を縛るロープを見事に引き千切ったのだ。
自由の身になった僕は、ノーマンに向かって飛びかかった。
0719この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/11(火) 14:22:53.09ID:/+n+r04I
【あなたは最高の相棒】(3/3)

「自分でロープを千切っただと!?どこにそんな力が!」

怒り狂った僕は、ノーマンの顔面に向かって思いきり飛び蹴りを食らわした。
ボキッ!と首の骨が折れる鈍い音が聞こえてくる。

「こ、小僧、よくも・・・!」

首の骨を折られたノーマンだがそのまま立ち上がって、ゆっくりと近づいてきた。

「ライアン、私の左足の方のブーツに銃が入ってる。それで奴にトドメを刺して!」

僕は急いでレイチェルさんのブーツの中から銃を取り出すと、それでノーマンに向けて発砲した。
心臓を撃ち抜かれたノーマンは血を吐きながら、そのまま倒れて息絶えてしまった。

「ライアン、やったわね!」
「レイチェルさーん!」

僕はすぐにロープを解いて、レイチェルさんを解放する。殴られたり、ナイフを刺されたりして負傷したレイチェルさんの手当てをした。

「本当にありがとう、ライアン。あなたがいなければ、私はあそこで目を刺されて死んでいたわ」
「レイチェルさんを守りたいって思う気持ちが、僕にパワーを与えて動かしたんだと思うんだ」

レイチェルさんは優しく微笑むと、僕をギュッと力強く抱き締めた。

「あなたは最高の相棒よ、ライアン」
「これからは僕がレイチェルさんをずっと守り続けるよ。安心して!」
「ウフフ、頼もしいわね!」

僕とレイチェルさんの強い絆は誰にも壊すことはできない。もし壊そうとする奴が現れても、僕がレイチェルさんを守るんだ。

*****************

「ライアン、起きて!朝食ができたわよ!」
「ライアンさーん、早く準備しないと飛行機に間に合わないよ!」

レイチェルとジュディの声に、僕は思わず目を覚ました。もう朝のようだ。

「(さっきの全部夢だったんだ。それにしても本当に不思議な夢だったなぁ・・・)」

休暇が終わり、今日からまたロサンゼルスのハリウッドに戻って、映画の撮影が始まるのだ。パジャマからスーツに着替えて食卓に向かう。

「私とジュディ特製のハムエッグとオムレツよ!」
「これ食べて、また撮影頑張ってね!」
「すっごく美味しい!ありがとう!」

そして空港、レイチェルとジュディが少し寂しそうな表情をするがすぐに明るさを取り戻す。

「気をつけてねライアンさん!私とレイチェルさんがいつでも帰りを待ってるからね!」
「そうそう!絶対に無理はしないでね、ライアン。私達は離れていても、いつでも一緒だからね」
「もちろんだよ。僕とレイチェルとジュディの強い絆は誰にも壊すことはできない、そうだろ?」

僕はレイチェルとジュディに向かってニコッと微笑むと、ロサンゼルス行きの飛行機に乗るのだった。
0720この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 15:23:13.18ID:FqIIZwtP
逃げてるシーンは情景描写が欲しいところ
後半は意味不明
0721この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 19:16:10.95ID:C9K6pjBv
>>717
夢の中でも一緒の二人
現実では少し遠距離恋愛ですが
いつまでも、お互い支え合って行って欲しいですね
0722三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/11(火) 19:39:06.83ID:yTvns7M9
>>717
一作丸々ライアン視点は初めてですね
って言うかレイチェルの西部劇好きに毒されてるライアンさんw
そして言っちゃ悪いけど単身赴任の悲しみ;;
0723この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 20:02:28.15ID:/+n+r04I
>>721
>>722
感想ありがとうございます!
そうですね、終始ライアン視点の物語は確かに今回が初めてですね
結婚してからシチリアでの生活まで長く培ってきた2人の絆は誰も壊せないくらい強いです
でも単身赴任のために離れ離れになることが多いのはちょっと辛いですよねw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0724この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 20:17:07.07ID:/+n+r04I
>>720
ご指摘ありがとうございます!
ただ追われてるだけで、どこでそのような状況が繰り広げられているのかが確かに描写不足でした
後半は意味不明、ということはレイチェルシリーズは今回が初めてでしょうか?
もし初めてでしたら、スレ5の843【気分はいつでも西部劇】からスレ7の284【夢は決してあなたを裏切らない】まで続いておりますので
それらを先に読むことをオススメします。それ以降は現在、スピンオフみたいな形でちょくちょく書いております
0725この名無しがすごい!
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2020/08/11(火) 20:30:12.22ID:B+vUfTC9
>>717
地の文も会話も安直すぎる
描写も荒っぽいし、安っぽい三文芝居のようだ
文字で描くことの利点が感じられない
もっと個性的な話、個性的な描写をしてほしいものだ
0726三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/12(水) 00:17:47.81ID:qro0uPhi
>>724
横から、分かってると思いますけど、以前からの読者は『どうせ暑苦しい荒野だろw』と思って読んでいます
そして実際に(下の方ですが)『暑苦しい荒野』と書かれているw
0727三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/12(水) 00:41:33.66ID:qro0uPhi
って言うか、批評おkって言っておいて悪いけど、やっぱりネガティブだけの感想は楽しくないね><

感想を書くハードルを上げたくないんですよ
自分が感想書くと上から目線で気持ち悪い、っていう人もいたし

だからって詰まらんクレームしか書けない毒者様までウェルカムじゃないからな
0728この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/12(水) 00:57:28.34ID:EmQfi443
717氏の作品は、レイチェルシリーズとして短編連作で書かれた物の、さらに今回はアフターストリーとなっています
その為、古いスレ民は、主要人物の姿が大体想像できる為に、突っ込みは入りませんでした
「短編なのだから一作品だけで完結した物語として書く方が良いだろう」と言うスレ民もいらっしゃるかもしれませんが
評価をなさるのであれば、是非最初の物語からお楽しみください
0729この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/12(水) 13:59:29.10ID:ljJ4A77f
批評は一作品につき一人1レスをルールにすればもっとスッキリするとは思う
0730三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/13(木) 00:27:23.15ID:ni2O+aL1
なんか、スレ民じゃなくて、ワイスレに粘着してた人が暇つぶしに来てたみたいですね

批評って言うか、批評ってレベルでもないけどな・・
>>711-712は、突っ込み所を探して、そこそこ真面目に読んでくれたのが分かるからいいけど
>>720はROMってろって話だし、>>725はテキストの読み込みが浅過ぎて話にならないし
0731三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/13(木) 12:55:54.84ID:ni2O+aL1
多分これも言わないと伝わらないと思うので言うけど

真面目に批評するのって大変なんですよ
なんかぬるい感想ばっかり書いて馴れ合ってるように見えるかも知れないけど、アマチュア主義が前提のスレで必死に粗探しとか時間の無駄なので・・

例えばレイチェルシリーズとか、これ安易に批評できないんですよ
作者様自身も読者のみんなも、単に趣味で書いてる楽しいお話だと思ってる部分があるはずですけど、そんな簡単な話じゃないからな

進行も別に専門家じゃないので突っ込まれると弱いんだけど、議論の大前提に近代主義の考え方があります
簡単に都合良く言うと、規範や権威に頼らないで、お前自身の考えを言えよ、ということです
結論だけ言うと、一連の作品群が、実質的な文学運動になってるんですよ

たまたまそこにあるから使うけど、>>717だけでも考察のネタだらけなので
そもそも西部劇好き過ぎ問題、どうして悪役は口承文学の悪役のように身も蓋もなく死ぬのか、現実では対等なのに夢では違うことの意味、邂逅と別離の背反、ああだこうだうんぬんかんぬん・・・

例えば大江健三郎とかいっつも同じ話を書いてますけど、それと何が違うんだ? という話でもあります
まぁこの文章でお金を取られたらそれは困りますけど、表面だけ見て分かった気にならないで、その文学性を味わって頂きたい

ということを書き始めると長文になって雰囲気が重くなるので、批評はできないんですよ
0732この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/13(木) 18:55:23.97ID:V3YHbwRs
>>731
まあなんでもいいけど、そういうことならちゃちゃっとルール変更でもしちゃっていいんじゃない? その方がみんなにわかりやすい。
現状維持のためのルールなら反発する人も少ないでしょ。
0733この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 00:09:26.30ID:vybwrHdM
この流れを読んで、ひとこと言っておこうと思うのは
お前は何もわかってないとかいう身内だけで盛り上がる話を書くより、まったく知らない外様に向けて書いたほうがいいなと
0734三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/14(金) 00:23:01.89ID:+EZVb2F4
>>732
批評するならちゃんと読み込めよ!、ってことが言いたいんですよ
ただそれは進行が勝手に怒ってるだけの話で、ルールで縛れるとは思ってないです
そもそも感想書く人自体超少ないし、荒らしならルールなんか守るわけないし

しかし分かりにくいのはご指摘の通りなので、とりあえずこう書いておきます↓

■ヒント
・お題を全選択する必要はありません(全選択すると楽しいです)
・感想や感想返しは大歓迎です(義務ではありません)
・批評はバランスの取れた視点を心掛けてください(批判禁止ではありません)
0735三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/14(金) 01:21:37.29ID:+EZVb2F4
>>733
それはべき論であって、じゃあご自身で実践なさってください、という話です
だってここは書くスレなんだから、身内向けに書くのも、他の話を書くのも、それは各人の自由です
自由に書くことを否定されるいわれはありません

まぁ単発の荒らしに対して進行の過剰反応だったのは、ほぼ間違いないです
お騒がせしました
しかし善意のファンサービスを楽しんでるのに、初見でそれを攻撃されたら腹立つわ
0736この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 01:36:04.39ID:vybwrHdM
何を書くのも自由だが、レスに

>評価をなさるのであれば、是非最初の物語からお楽しみください

そんな面倒くさいことするかよ
である
0737この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 01:39:47.75ID:vybwrHdM
>単発の荒らしに対して

荒らしだと決めつけるのが了見が狭い、井の中の蛙だというあらわれ
外の世界のほうが大金だから、狭い世界で単発の荒らしが…とやってないで
外様に向けて書いたほうがいい
0738この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 01:40:49.92ID:vybwrHdM
>単発の荒らしに対して

荒らしだと決めつけるのが了見が狭い、井の中の蛙だというあらわれ
外の世界のほうが大きいのだから、狭い世界で単発の荒らしが…とやってないで
外様に向けて書いたほうがいい

言ってることが荒らしだと思うなら、もういい
0739この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 11:00:49.51ID:6aDUiDpT
単純な疑問なのですが、お題を使って短編小説を書くと言う趣旨のスレに来て
特に小説を書くつもりも無く、かと言って書かれた小説を楽しもうと言う気も無い様なのですが
ならば、何をしたくてこのスレに書き込みをしたのでしょうか?

もし、評価をすると言うのが目的だとするなら、あまりにも視点が甘いですし、言って居る事が浅い
「外に分かるような小説を〜」と言うのであれば、自分のホームで外に向けて発表していらっしゃる方も居ますので、すでにそれも当て嵌まっていない

つまりは、全くこのスレを読んでいないと言う事ですよね?

「書かない」「読まない」「評価しても読み込みが浅い」……もしかすると、身内で固まっている様に見えているスレに物申したくなったのかもしれませんが、何をしたいのかが分からないのです
0740この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/14(金) 11:19:46.39ID:z2c99YjQ
もう、芸術とか娯楽の云々に関して議論なんて始めたらキリがないよ
とりあえず進行さんの指示に従いつつこういう人はスルーしてほとぼり冷めるの待つしかない
例の頑固者を追い払ってまで現状維持に振り切ったんだからもう意地でも平穏守ろう、それがここにいる人たちの総意だったんでしょう
0741三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/14(金) 12:11:33.83ID:+EZVb2F4
まーただの暇つぶしで、マウントを取りたかったんでしょう

1つ言い残したのが、>>714さんにはちょっと申し訳なかった
最初否定しておいて、最後は同じことを言ってるのでw

そこ以前のレスと、>>720も、不穏ではあったけど問題はなかったのですよ
なので、初手で自作書けは、進行には言論封殺に見えた

先日の連投くんは何か書きたそうに見えたので、書かないと話にならねぇ、と言いました
今回も書きたい人かと思ったら、まさかのマウントマン本人だった
失言過ぎるw
0742三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/14(金) 12:22:08.06ID:+EZVb2F4
あー、あと、連投くんの作品は、割と本気で待ってますw
もし来たらぬるい感想で歓迎します
だが連投は禁止
0743この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 08:16:47.43ID:kHKZ3mup
この進行さんもだんだんボロが出てきたな
俺もちょいちょい鼻につくと思ってたんだよな
そろそろ世代交代してもいいと思うわ
こんな書き方すると意地でも降りなくなるんだろうけど
0744三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 11:59:16.45ID:irJx0Wyq
だって作品も書かない、感想も書かない、なーんにも書かない、>>743みたいに文句だけはいっちょまえ
いやんなっちゃうよ
しかしお題は集まる不思議

まぁ次スレ立てて少ししたら交代かな
そしたら良くなるかも知れない、、ならないかも知れないけど・・
0745この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 12:08:34.46ID:QaPz4nl/
正直ちょっと気に障ることがあって調子崩されただけでまだまだ信頼のおける人だと思うんだけどなぁ
まあそれはそれとして交代するときってどういうふうにバトンタッチするん
0746三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 12:15:21.38ID:irJx0Wyq
前回は、三代目がトリップ付けて立候補して、対立候補もいなかったので、それですんなり決まりました

交代は次スレね、現スレでは交代しないからねw
0747この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 19:56:39.91ID:irJx0Wyq
>>705
>>449の続きなんてあるのかな……ありましたにゃー

使用お題→『樽』『さつまいも』『つりっくま』『ワタリガラス』『相棒』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第六話】(1/2)

 電波女の小屋から村へと戻ってきた俺たちは、旅立ちの準備を始めた。

「それはなんだ?」

 村長の指示で、おっさんたちが円筒形の容器を運んできた。

「これは樽(たる)ですにゃー」
「ここに古代文字で『樽』って書いてありますにゃー」
「専門家が言うには『樽』は常用漢字ではないのですにゃー」

 重そうな容器が並ぶ。おっさんたちの一人が、その内の一つの蓋を外した。

「これはサツマイモの樽ですにゃー」
「そこそこ日持ちするのですにゃー」
「専門家が言うには『蓋』は常用漢字なのですにゃー」

 土の付いたままのイモが、ごろごろと入っていた。

「こっちはサイダーの樽ですにゃー」
「ここに、にゃーたちの文字で『サイダー』って書いてありますにゃー」
「まあまあ日持ちするのですにゃー」

 さすがに蓋を開けたりはしない。

「こっちは焼酎の樽ですにゃー」
「こっちも、にゃーたちの文字で『焼酎』って書いてありますにゃー」
「かなり日持ちするのですにゃー」

 意外とも言えるネコミミ族の準備の良さに、俺は感心してしまった。
 だが、考えてみれば、こいつらはイヌミミ族と戦争をしているのだ。物資の備蓄があるのは当然とも言えた。

「すごいな……。それで、これを持っていくのか? 何人で出掛けるんだ?」

 俺の質問に対して、村長が口を開く。

「エム先生がどこにいるか、いつ会えるのかは分からないのですにゃー。だから荷物は余計に持っていく方がいいと思うのですにゃー」

 それは……そうかも知れない。いや待て。

「今考えているのは、使者が一名と、あなたには護衛をお願いしたいのですにゃー」
「居場所が分からないのに、どうやったら会えるんだ」
「それは大丈夫ですにゃー」

 村長は平然としている。何が大丈夫なんだ。

「にゃーたちが使う道は、大体決まってるのですにゃー。だからその道を通って、大きな村から順番に回れば、いつか必ず会えるのですにゃー」

 何が大丈夫なんだ。
0748この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 19:57:08.85ID:irJx0Wyq
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第六話】(2/2)

 翌朝、相変わらずの曇りだ。俺も村長たちも早くから起き出して、出掛ける準備はすっかり整っていた。
 今、俺たちは、村のすぐ外に立っている。

「これがにゃーの相棒『ワタリガラス号』ですにゃー」

 使者というのは女だった。ニャンダモのパイロットとは別人だ。
 他のネコミミ族と同じように、民族衣装と仮面を身に着けている。
 違うのは、黒くて大きい、牛のような動物を連れていることと、首から下げている白い人形だ。

「どこにそんな動物を隠してたんだ……」
「昨夜遅くに帰ってきましたのにゃー」

 そんな都合のいいことがあるのか? 一日しか休まないで、この女と牛は大丈夫なのか?

「その人形は?」
「これは『つりっくま』と言って、釣りの神様ですにゃー。遠い昔の、神話の登場人物ですにゃー」

 木彫りに色を塗ったもののようだ。その緩い顔立ちは、これは偏見だが、ネコミミ族が好みそうなイメージだ。

「一晩で何百匹も釣り上げたとか、いや逆に釣られたんだとか、森の神だとか、荒らし、もとい嵐の神だとか、色んな伝説があるのですにゃー」

 この顔で、か。とてもそんな風には見えないが。

「まあ、おまじないですにゃー。これで食料には困らないのですにゃー」

 小さな荷車に大きな樽を積んで、俺たちは出発した。ワタリガラス号は平気そうだ。
 ちょっと歩いて振り返ると、まだ村長が立っている。
 俺たちはこうして、エム先生を探す旅に出たのだった。
0749三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/16(日) 19:57:56.05ID:irJx0Wyq
今回は休むつもりだったんですが、思い付いてしまった話

続きは・・・きっと・・・
0750この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 21:55:49.23ID:JXQD6LaR
>>705
お題:『樽』『さつまいも』『つりっくま』『ワタリガラス』『相棒』

【箱庭の探偵】(1/3)


 ニ〇ニコで『つりっくま』をプレイしていた僕は、相棒が戻って来たのを確認すると座っていた酒樽から飛び降りた。
 “ポイント”から離れた途端に手に持っていたスマホは接続が切れ、ただの万能電子装置に成り下がる。
 いや、ネットが繋がらなっくなるってだけなんだけどね。

『ターゲットは市街地をテール河方面に向かってるぜ、お前の予想通りだったみたいだな! カケル!』
「……やっぱり、誘拐犯と繋がってたんだ。正直、予想は外れていて欲しかった」

 とは言うものの、確信があったからこそのこの結果だ。半信半疑じゃ“見えなかった”だろうし。
 僕、渡部 翔は、石畳にもアスファルトにも見える通りの道を駆けだした。僕の相棒でもあるワタリガラスのイブンは、バサバサと羽根をはばたかせながら、先導する様に上空を飛んで行く。

 そう言えば、カラスに先導されたって神話は神武天皇だったけ? あれはワタリガラスじゃなくてヤタガラスだけども。

 いつ見ても不思議な街並みだと思う。都内の繁華街の様にも閑散とした田舎道の様にも見える。

 『シュレディンガーの箱庭』

 誰が付けたのか、この世界はそう呼ばれている。何処でもありどこでも無い街。
 “今は”ナーロッパじみた街並みを相棒のイブンに案内される形で僕はひた走る。
 こうしなければ下手をすると辿り着けないからだ。

 僕だって、相手の目的地がはっきりと分かって居るなら、目的地に辿り着けないなんて事は無い。
 いや、はっきりと分かって居るのであれば“必ず”辿り着ける。

 ここは、そう言う世界だ。
 無限の可能性と不確実な現実が混じり合う『可能性』の世界。故に『シュレデインガーの箱庭』。

 “僕”の認識では、何処に有るかはっきりとは分からないから、イブンに“目視”させ、さらにそのイブンを僕が“目視”する事で追跡が出来る様になる。

 後は相手の出方次第。

 目的地である『誘拐犯のアジト』がどこに有るかをハッキリと認識しているかどうかにかかっているんだけど、残念ながら、“彼”はアジトを知っているらしい。

 確信を持てる程の証拠が手に入っているのか、誘拐犯と係わっているのでなければこうはいかない。
 だけど、彼には証拠を集められるだけの有能さも伝手も無いから、つまりは後者の可能性しか無いって事だ。

「本当に、残念だ……」
『ん? 何?』
「いや、何でもない」

 ******

 “いかにも”な赤レンガで造られた半地下の建物。随分とはっきりとした存在なのは、彼のイメージが固まっているのか、イメージの共有者が多いからなのか?

 僕は、イブンが止まっている窓を見上げると、煉瓦壁に手を掛ける。窓までの距離は4m程。
 僕はできる。僕ならできる。

 そう念じながら、成功のイメージを頭に思い浮かべる。
 次の瞬間、僕の体は窓を覗き込める所までよじ登っていた。
 格子の嵌まった小さな窓から僕とイブンが頭を寄せて様子を伺う。

『ビンゴ!』
「だね」

 薄暗い室内は座敷牢の様に成っていて、そこでは粗末な服を着せられた少年少女達が虚ろな目で、蒸かしたさつまいもだろうか? それをモソモソと食べている。
0751この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 21:57:55.37ID:JXQD6LaR
【箱庭の探偵】(2/3)


 この不確定の世界では、逃げ様と思えば逃げられるのに、それをしないと言う事は、『ムリだ』と思い込まされる程の“教育”を施されてしまっているのだろう。

『面倒クサイ事に成ってんな』
「だね」

 だとしても、彼等を取り戻すのが僕の受けた依頼だ。
 なら、僕のやらなきゃいけない事は、少年少女達に“外には出れる”と言う事を教えてやる事だ。

 確認し、認識する。そこに居る子供達を。僕がそこに佇むイメージを。
 壁を掴んでいた手が空を切り、僕は少しバランスを崩しながらも座敷牢に降り立った。
 蒸し芋を頬張っていた子供たちは、驚き、恐れおののいた表情で僕を見る。

「大丈夫、僕は君達を助けに来たんだ」

 なるべく優しく見える微笑みを作りながら彼等に声を掛けた。
 一瞬希望に目を輝かせるも、それはすぐに諦観へと変わって行く。すでに心が折れているのだ『あの大人達には敵わない』って。
 だから僕の言葉も彼等の心に届かない。

 なら、僕は見せてやろう『あんな大人達じゃ、僕には敵わない』って所を。
 目を瞑り、“道”を思い浮かべる。BGMが欲しいな。皆が踊りたくなる様な楽しいヤツだ。

 スマホを操作し、音楽が流れる。
 絶望に染まっていた子供達が反応し、音楽を奏でるその小さな機械に釘づけになる。

「大丈夫! 僕と一緒ならここから出れる!! さあ! 聖者の行進と行こう!!」

 僕の意図に気付いたイブンが、空中で器用に踊りながら先導を始める。
 手を叩き、リズムを取る。笑顔で歌いながら僕は鉄格子に近付いて行く。そうだな、ここは魔法の様に不思議な感じが良い。いや、紙の奇跡の様にかな?

「あ」

 女の子が声を漏らす。僕が鉄格子にぶつかると思ったのだろう。だけど大丈夫。
 次の瞬間には女の子の目は驚きで見開かれた。

 太い鉄の格子が、まるで僕を避けるかの様に曲がって行ったからだ。これは道だ。誰にも邪魔されない道だ。

「さあ、帰ろう?」

 子供達が顔を見合わせ、だけど、帰れると言う希望に目を輝かせた。

『……無粋な奴等だぜ』
「やっと、お出ましですか?」

 目の前は厳つい顔の男達とスーツの優男。そして僕等をここまで“案内”してくれた……

「保田刑事……」
「渡部くん」

 困った様な表情で立ち尽くす保田刑事が居た。

「汚職警官ってのは、まぁ、“向こう”でも聞いた事は有りますけど、結構多いんですか? 刑事とヤクザの癒着って」
「君は敏すぎだ。無用な知識は寿命を縮めるよ?」
「おう、保田!! くっちゃべってねぇで、とっとと始末しろ!!」

 無粋なチンピラが僕達の間に割って入って来る。……うん、ここも“スポット”の様だ。
 現代日本じゃネットに繋がらない方が少ない。これだけ固定観念の強い所ならもしかしてと思ったけど、やっぱりそうだった。
0752この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 21:58:35.96ID:JXQD6LaR
【箱庭の探偵】(3/3)


 彼等は、未だ日本に居ると勘違いしている。
 僕は、ネットにつながった事を確認すると、それを引っ張り出す。たしか直前までやっていたのはつりっくまだったっけ?
 ノソリと出て来た釣竿を持った熊が、ディフォルメの効いた表情で状況を把握できないチンピラに向かって針を飛ばす。

「な!! なんだこりゃぁ!!」

 釣り糸でぐるぐる巻きにされたチンピラが叫ぶ。ごめんよ熊くん。そいつ外道だから点数には成らないんだ。

「さぁ!! 帰るよ!!」

 僕のその声で正気に戻ったヤクザ達。だけど、これは通過儀礼だ。子供達が捕らえられていた『逃げられない』って認識を払拭する為の。
 だから、出来るだけバカバカしく盛大にやらせてもらう。
 足を払いひっくり返し、爆発させてアフロにし、イブンがつついて、熊が釣る。

 その騒ぎに、涼しい顔をしていた優男も顔を青くして懐から銃を取り出した。

「どんな手品か知らないが、このバカ騒ぎを止めろ!!」
「ダメだよ? ヤクザさん、その拳銃は不良品だ。撃ったら爆発する事請け合いだ」
「!! ……う、うるせぇ!!」

 ダーーンと言う銃声と共に拳銃が爆発する。

「疑問に思ったね? それじゃあダメだよヤクザさん。ここは認識で現実が変わる『シュレディンガーの箱庭』なんだから」

 爆発した拳銃の銃口から花が咲き、優男は煤けてアフロになった。
 そこに容赦なく熊の釣り糸が飛ぶ。

 ヤクザ達は全員が釣り糸で縛り上げられ天井から吊るされた。心なしか熊も満足そうだ。
 腰を抜かし、僕を見上げる保田刑事が奥歯をカチカチ鳴らしながら、怯えた様に口を開く。

「お、お前は、何なんだ!!」

 その言葉に僕は肩を竦めた。

「名乗りませんでしたっけ? 探偵ですよ?」

 ******

 何処でもありどこでもない街。無限の可能性と不確実な現実が混じり合う『可能性』の世界『シュレデインガーの箱庭』には、一人の探偵と相棒のカラスが住んでいる。

 どんな事件も必ず解決してくれると言う、その探偵を人は『箱庭探偵』と呼んだ。
0754三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 22:08:01.28ID:irJx0Wyq
お題→『樽』『さつまいも』『つりっくま』『ワタリガラス』『相棒』締切

【参加作品一覧】
>>717【あなたは最高の相棒】
>>747【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第六話】
>>750【箱庭の探偵】
0755三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 22:10:14.91ID:irJx0Wyq
ではでは、、過疎に追い打ち! 進行イライラ! しかし!!

通常お題5つ、よろしくおながいします・・・

お題安価>>756-760
0756この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 22:10:56.72ID:zzjS/V3u
マッハ
0758この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/16(日) 22:15:48.38ID:rQwynJ9w
マツキタツヤ
0759この名無しがすごくない…
垢版 |
2020/08/16(日) 22:20:01.09ID:J4a3nUJO
連没くん
0761三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 22:34:01.33ID:irJx0Wyq
☆お題→『マッハ』『あやかし』『マツキタツヤ』『連没くん』『ストレス解消』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→8/23の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0762三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/16(日) 22:37:45.66ID:irJx0Wyq
なんだこのお題w
お題、作品、感想など、ありがとうございます
クソリプみたいなのはありがたくないですが、そちらもまぁ、ありがとうございます

過疎過疎言いつつ、レギュラーもゲストもいるわけで、ここから這い上がることはできるはず

当スレは皆様のご協力で成り立っております
まだまだ残暑厳しい! ですが、無理せず乗り切っていきましょうー
0763三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/16(日) 22:47:45.92ID:irJx0Wyq
>>750
いやーーこれは助かる、かなりご機嫌な感じの名作で助かります
くま最初だけかと思いきや、最後は盛大にw
こういう世界観の話には憧れますが、自分で書くと今一つなので、なかなかいい感じ
0765この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/17(月) 07:47:53.09ID:6q7OoM5w
>>747
相変わらずの摩訶不思議で不条理な猫耳オッサン達ですねw
この囚人の物語が何処へ向かうのかは「神のみぞ知る」のでしょうかね?

>>763
感想有り難うございます
本当は、エゴを失ってイドの怪物と化した保田刑事との対決とかも書きたかったのですが
色々と無理でしたorz
0769三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/17(月) 12:27:24.89ID:8l/MXRdg
有り得ない誤字というネタか、ネームが連続で没になった人かw

>>765
感想ありがとうございます
すべてはお題次第ですw
0770この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/18(火) 13:11:50.62ID:Ewf94htB
『つりっくま』『ワタリガラス』『マツキタツヤ』が意味不明

お題はもっと汎用の利くシンプルなものにしてよ
0771三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/18(火) 19:09:57.63ID:EQwf6Uyw
意味ってことで言えばググればいいんだけど、これで書かせる気あるんか、というのは正直w
0773この名無しがすごい!
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2020/08/18(火) 19:46:14.45ID:+BP+CzoL
すまん書きかけで送ってしまった。
お題で思ったのがやっぱり名詞に偏っていると言うこと
うまく行くかわからんけどもっと品詞をばらけさせたほうが多様なお題が出るし、使いやすいんじゃないか?
名詞ばっかだとそれを作中に出すだけになりがちだし
名詞、代名詞、動詞、形容詞、形容動詞、副詞、感動詞、接続詞
いろいろあるんだからどれを何個とか決めて募集してみてもいいかも
0775この名無しがすごい!
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2020/08/18(火) 21:00:41.22ID:20Pca01S
実際、キャラクター名や商品名は避けて貰いたい所ですよね
過疎スレ故に指摘されてはいませんが、普通に著作権侵害ですし
0777三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/18(火) 23:30:11.38ID:EQwf6Uyw
>>773
それに近い形で最後にやったのが、前スレ813ですね
品詞で募集ってのは斬新なアイディアですけど、ざっくりし過ぎかも知れない
何か指定しての募集は、しばらくやってないので、次回やっても良さそうです!

>>775
実は著作権も商標権もセーフなのですよw
名前には著作権がないし、商品名を出しても、それは対象物を話題に出しているだけなので
ただ書きにくいのは間違いない><
0778三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/08/20(木) 00:07:22.06ID:wprfVsK8
考えたんですが、品詞募集で行けそうな気もします
名詞2、形容詞または形容動詞2、動詞1、とか
0783この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/23(日) 21:54:45.32ID:ZP94EbDu
>>761
お題:『マッハ』『あやかし』『マツキタツヤ』『連没くん』『ストレス解消』

【古今おとろしばなし】(1/2)
 昨今は科学万能社会となり、迷信は駆逐され、“あやかし”などと言う物は居なくなったと言われる。
 だが、それは本当だろうか?

 これは、私が先日出会った妖怪の話だ。信じるも信じないも貴方次第だが。

【その一】

 何時もの通り会社から帰宅した私は駅前の通りを歩いて居た。蒸し暑く、ややぼうっとしていたのは確かだろう。

 ふと、音が途切れたと思ったその瞬間だった。

『うわんっっっ!!!!』
「!!」

 耳元でそんな大きな“音”が聞こえた。
 思わずよろけ、周囲を見回す。
 そんな私に周囲の人間は、奇異の視線を投げかけたりはするものの、自分と同じ様にその“音”を聞いたような様子は無かった。

(ああ、これが『うわん』か)

 唐突に「うわん」と声を掛けると言う妖怪。自分はそれに行き当たてしまったのだろう。
 ただの耳鳴りだと言うのは簡単だ。だが、これが妖怪の仕業ではないと証明する事は、私には出来ないのだ。

【その二】

 小腹が空いた為、私がコンビニへと行った帰りだった。サンダル履きでぺたぺたと歩いて居た私は、その足音が「ぺたぺた」『ぺたぺた』と二重に聞こえて居る事に気が付いた。
 誰かが歩いて来たのかと思い後ろを窺うが、特に人影など無い。等間隔で照明が煌々と照っているのだから、闇に紛れている、と言う事も無いだろう。

 ふと、『べとべとさん』と言う妖怪の事を思い出し、小声で「べとべとさん、先へお越し」と呟いてみた。
 しばらくじっとしていたが、特に何が起こる事も無い。

(まぁ、当たり前か)

 そう思って、ふと視線を上げた先の暗闇に、一瞬、白い靄の様な物を見た気がした。気のせいかもしれないし、そうでないかもしれない。
 ただ、その後「ぺたぺた」と言う足音が二重に聞こえなくなったのも確かなのだが。

 事例としては少なすぎるかもしれないが、これが私が最近行き合ったあやかし話ではある。
 これを気のせいだと切って捨てる事は簡単だ。
 だが、果たしてこれらは本当に気のせいなのだろうか?
0784この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/23(日) 21:56:12.67ID:ZP94EbDu
【古今おとろしばなし】(2/2)


 インターネット上の話もある。
 例えば『連没くん』と呼ばれる存在だ。ツイッターや5ch上で連続でレスを書き込むのはあまり褒められたマナーではない。
 連投する事で、他者の話題が埋没してしまう為でもあるが、たった一人の人間がずっとレスを入れ続けている場に書き込むのは、何と無く気まずいからだ。
 だが、この連没くん、本当に実在する人間なのだろうか?

 もしかしたら、ストレス解消の為に書き込み続けているだけなのかも知れないが、マナーとして問題があると分かっているはずなのに書き込み続けるものなのだろうか?

 かつて電話では、語り初めに「もしもし」と訊ねてから話し始めた。
 これは、あやかしの類は「くり返し言葉」を使えないと言う説から来て言うと言う。
 「もしもし」つまりは「申します申します」と言う言葉に、同じ様に「申します申します」とくり返し言葉で返せない者はあやかしだと判断する為だ。

 だが、このツイッターや5chでは、そんな確認をする者は居ない。

 「マツキタツヤ」の事件では、おそらく彼は「魔が差した」と言う事に成るだろうが、この「魔が差した」の“魔”も、妖怪の事を指す。

 古くは神話の時代の八岐大蛇や両面スクナ。江戸時代に入っての豆腐小僧や泥田坊。戦後に現れた口裂け女や赤マント。平成に入っての花子さんやマッハ婆。
 近年ではくねくねと言う存在もある。

 果たして、これらが無くならないのは、本当に迷信の存在だからなのか?

 今、本当に私たちの傍らに、それらの存在が居ないと、本当に証明できるのだろうか?
0785三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/23(日) 22:08:49.97ID:/OoIPxHL
お題→『マッハ』『あやかし』『マツキタツヤ』『連没くん』『ストレス解消』締切

【参加作品一覧】
>>783【古今おとろしばなし】
0786三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/23(日) 22:12:48.73ID:/OoIPxHL
では、、早速ですが品詞募集をやってみます

>>787>>788 名詞
>>789>>790 形容詞または形容動詞
>>791 動詞

事故に注意
0787この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/23(日) 22:15:05.89ID:iNfU/wZi
絆創膏
0788この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/23(日) 22:15:48.82ID:VuwwN21D
ハサミ
0790この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/23(日) 23:16:27.32ID:d3xz5kWD
快晴だ
0794三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/23(日) 23:56:59.41ID:/OoIPxHL
☆お題→『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→8/30の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0795三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/23(日) 23:58:01.65ID:/OoIPxHL
なんとか集まった、、お題や作品など、ありがとうございます

ドラマのあるスレ、、綱渡り感が続きますが、引き続きよろしくです
0796三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/23(日) 23:59:14.93ID:/OoIPxHL
>>783
ともかくベテラン氏ならやってくれるって信じてました・・・!
『あやかし』が良かったのか、後半一気に消化w
こういう話でいつも思い出すのが、墓場の横にカラオケボックスが建っちゃう歌ですね・・・
0797この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/24(月) 06:57:38.64ID:AXmVQ6z/
感想有難うございます
うるさくて、お化けが迷惑する歌ですねw
実はお題を消化するだけなら後半だけで良いと言うorz
はい、遭遇した不思議体験を書きたかっただけです
0799この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/24(月) 14:02:26.87ID:JxY9UlZg
>>794

お題→『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』

【駄目な短編小説の例】


 ああ、今日は快晴だ。
 ……走るか。

 走った。こけた。

「痛っ!」

 荒い息のまま手を見ると、血が流れている。

 こけた叢にハサミが落ちていた。
 これのせいか。腹立たしい。

 公園で血を洗い流し、絆創膏をはった。
 慣れない事はするもんじゃないと思った。

 ******

>>
文章が稚拙な上、唐突に話が始まっている為、主人公に感情移入がしづらい

>>
走って転んで怪我をしたと言う話作りだとしても、必然性が欲しい

>>
ナニ駄文書いてんだ? ボケ

>>
日常の何気ない1コマが描かれていて、親近感が湧きます

>>
擁護する意味無くね? ちゃんと指摘した方が作者のためになると思うよ

>>
これこれ喧嘩は止めなさい
0801この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/24(月) 16:28:11.05ID:JxY9UlZg
>>800
感想有り難うございます
何の風刺なんだかと言うw
結局これも内輪ネタと言えば内輪ネタですね
0803この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/24(月) 21:43:16.22ID:JxY9UlZg
>>802
感想、有り難うございます
思い付いてしまったので
書かずにはいられませんでしたw
0805この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/26(水) 07:08:29.98ID:pl9ouFAH
>>804
去年の秋頃に急にいなくなってしまった
いないとすごく寂しいわ
0807この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/26(水) 23:22:12.43ID:2a8ngyc/
>>794

使用お題→『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』

【だめなあそびのれい】

 ああ、きょうもかいせいだ。
 ……はしるか。

「こらー! かいせいくん! ハサミでそんな風に遊んじゃ駄目でしょ!」

 はしった。こけた。

「いたっ!」

 ハサミのはがてにあたった。

「ほらー、だから言ったでしょ」

 あらいいきのあらいせんせいが、ばんそうこうをもってやってきた。

「けがしたんじゃないの? 見せなさい!」

 すこしあかくなっただけで、けがはしていなかった。

「ここがあしで、ここがあたまだよ」
「そうだね。だけど危ないから、ハサミでお人形ごっこしたら駄目よ」

 そういわれて、ハサミをうばわれた。
 ハサミをはしらせるもんじゃないとおもった。
0808この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/27(木) 10:31:43.47ID:sIO8/G5A
>>807
まさかのリファインですねw
唐突さを子供特有の突飛な行動に置き換え、経験不足故の短絡的思考での危ない遊びに……
そしてどこか生意気な感想で終わると言うw
0810この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/30(日) 22:00:34.83ID:8YdhVGsy
>>749
お題:『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』

【とある捕り物の一幕】(1/2)
 深い森の中、一人の少女が息を切らせながら走っている。
 こんな森の奥深くには到底似つかわしくない豪奢なドレスを纏い、青い顔をしながらも後ろを振り向きながら必死で足を動かしていた。

 左程経たずに、彼女は三面が切り立った岩に囲まれた崖下へと到着する。その壁面の正面を見、少女はホッと胸を撫で下ろした。

「お〜や、おや。自らこんな逃げ場のない所に来るとは、実はこの後の展開を期待していたのかなぁ〜?」

 下卑た声に少女が振り向く。
 そこには質の悪い皮鎧とボサボサの髪、そして無精ひげを生やした武骨な男達が立って居た。

「わ、わたくしがレンフィート公爵息女、アリアルーナ・フォン・レンフィートと知っての狼藉ですか?!」

 気丈にも少女、アリアルーナが声を上げる。

「ひゃはは! こいつ、何にも分かってねぇぞ!」
「そうそう、御息女だって知らなかったらお許しになられるんでちゅかぁ?」

 あざける様に言う男達。その言動が、彼女を狙っての事だとハッキリと告げていた。

「ま、アンタが悪いんじゃねぇんだがな、運が悪かったと思って諦めてくれ」

 そう言って男達がアリアルーナに近付いて行く。
 ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら。中にはこれから起こす陰惨な情事を思い浮かべ、荒い息を吐く者も居た。

 「ひっ」と、アリアルーナの口から短い嗚咽が漏れる。

「……オッケェ、そろそろ良いぞ、アリア」
「! 誰だ!!」

 男達が声の方を振り向く。
 そこには黒髪の青年が立って居た。この国ではまず見ないが、洗練されていると感じさせる衣服をまとい、やや黄味がかった肌の色をしている。

「空は青天、快晴だ!! お天道様も見下ろすこの日も日中に人攫いたぁ、この東吾 仲道、見逃すこたぁできねぇな!!」
「何だぁ? 酔っぱらってるのか?」
「良い、どの道、見られたからには始末しろ!!」

 お頭らしき男の声で、後ろにいた2人が仲道に切り掛かる。だが、刃物を振り上げる男達にまるで怯みもせずに、仲道は男達の懐まで一気に走ると、振り下ろされた剣をヌルリと避けむしろその手を捻り上げる様にして無造作に放り投げた。

「な!!」

 驚く男達に「遅い!」と呟いた仲道は、そのまま更に2人を冗談の様に両側の岩に叩き付けた。

「くっ!! 公女を!!」

 このまま仲道の相手をするのは分が悪いと思ったのだろう。お頭がそう声を上げ、手下の1人がアリアルーナの元に走る。
 が、すぐに「ぐぎゃ!!」と言う声が聞こえ、お頭は思わずアリアルーナの方を向く。
 そこには、アリアルーナが近付いていた手下を蹴り飛ばしている姿があった。

 絆創膏を頬に貼ったアリアルーナは、先程まで怯えていた様子とは打って変わって、強気な瞳に闘志を滾らせた様子で睨んでいる。

「まったく、気に入らないわよね! 寄ってたかって女の子一人を追い詰めようだなんて、でも、そのおかげでこうやって挟み撃ちに出来たんだから良かったのかしら?」
0811この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/30(日) 22:01:21.46ID:8YdhVGsy
【とある捕り物の一幕】(2/2)


 その言葉で、男達は自分達が罠に嵌められたのだと気が付いた。

「くそ!! 影武者か!!」
「はぁ?」

 思わず口を出たお頭の言葉に、アリアルーナの眉間に青筋が立つ。

「だ・れ・が、影武者よ!! このわたしの高貴な佇まいが見えないの!?」

 その言葉に反応したのは誰であろう仲道だった。

「ぶひゃっひゃっひゃっひゃ!! ああ、わかるわかる。そのアリアが公爵令嬢だなんて思わないよな。でも、そいつ、まごう事なき御息女なんだぜ」

 そう、このアリアルーナは間違いなく本人だった。だが、あまりにもお転婆だった彼女の性格に手を焼いた彼女の両親が、その性格を封印したのである。
 そして、彼女の本来の性格を表に出す為の“キー”と成るのが、今、彼女が頬に貼っている絆創膏なのだった。

「まぁ、いいわ。ともかく、アンタらはここでぶちのめさせてもらうから」

 彼女の怒りに、思わず男達は顔を青くした。

 ******

 縛り上げられた男達が公爵家の騎士たちに引っ張られて行く。

「ああ、もう! 頭にくる!!」
「まぁ、そう言うなよアリア、こうして全部が上手く行ったんだからさ」
「違うわよ! 何でわたしが封印されてる時は公爵家息女だって疑いもしなかったのに、本当のわたしが出た途端に影武者だって思うのよ!!」
「……」

 それは言わずもがなだろう。仲道はそう思ったが、賢くもそれを口に出す事は無かった。
0816三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/30(日) 22:12:01.80ID:J31hnsLJ
お題→『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』締切

【参加作品一覧】
>>799【駄目な短編小説の例】
>>807【だめなあそびのれい】
>>810【とある捕り物の一幕】
>>814【夏・山村・禁域】
0817三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/30(日) 22:13:30.85ID:J31hnsLJ
と、、ともかく、通常お題5つ、、よろしくです

お題安価>>818-822
0818この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/30(日) 22:15:45.88ID:g0sAQLL0
マダガスカル
0820この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/30(日) 22:18:04.47ID:/OIBfU73
ご都合主義
0823三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/31(月) 00:02:42.92ID:WPhpC3OF
☆お題→『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→9/6の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0824三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/31(月) 00:06:03.12ID:WPhpC3OF
進行的には、規制が機能しなかったのが衝撃と言うか、軽くホラーなんですが・・・

お題、作品、感想など、ありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくー
0825三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/31(月) 00:07:07.67ID:WPhpC3OF
>>810
とても率直に言って、お題に何かがありますよねw
『走って』何かをする、読み替え、キーアイテム!
このキャラは好きw
0826この名無しがすごい!
垢版 |
2020/08/31(月) 07:52:22.91ID:VxTxN9wX
>>814
夏にふさわしいホラーですね
襲い来るのは禁忌を犯した者に対する天罰か、それとも古の怪物か?

>>825
感想有り難うございます
あれこれ悩んで、今の設定に落ち着いたのが締め切り2時間前と言うていたらくorz
0827三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/08/31(月) 12:43:47.83ID:WPhpC3OF
>>826
感想ありがとうございます
季節感はなんとか出せたと思いますが、肝心の怖さが・・・
0828この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/01(火) 15:43:40.26ID:ZR+3ujx1
うひー
0829三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/02(水) 23:53:02.34ID:1mqr9Ikg
実は前回の品詞募集は、企画自体は成功だったと思ってる
次回の企画はどうしよう・・

特に意見がなければ、最後の一文指定でもやろうかと思ってます
一年近くやってないので
0830この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/03(木) 20:27:48.80ID:a5ykd5TZ
>>829
いいね
それでいこうよ
0832三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/03(木) 23:59:13.38ID:cNTUTQCw
そう言えば最近、過去にリンクで投稿された作品を調べたんですけど、大体は残ってますね
消えてるのもあって悲しかったけど;;
読みたいこともあるので消さないで欲しい・・・
0833この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/04(金) 02:18:41.45ID:mlBi+qwk
最後の一文は最初の一文よりはるかに書くのが難しそう
お題出す人は極力書きやすそうなのをおなしゃす
0834この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/04(金) 22:09:53.36ID:3NWv2S6R
>>829
>実は前回の品詞募集は、企画自体は成功だったと思ってる

私はあの企画、失敗だと思いますね
理由は言う気にはなりません
どうせ私の意見なんて聞く耳を持たないでしょうし
0835三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/04(金) 23:59:25.61ID:dCZSD8Tv
>>833
(自分で出題して、自分で書いてもいいのよ・・・)

>>834
スルーしても悪いから反応しておくけど、、反応するだけ無駄っぽいねw
0837この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/06(日) 21:23:50.96ID:Qrrr9MEz
>>823
お題:『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』

【喫茶in天然系】
 喫茶「マダガスカル」は、この店のオーナーがマダガスカル産のコーヒー『ブルボン』に惚れ込んでソレを出す喫茶店を造りたかった為に開店したと言う趣味性の強いお店だった。

 残念ながら、ブルボン種は、絶滅に瀕した事が有り、今ではほとんど輸出されていないコーヒー豆であり、この喫茶店のメニューには載っていない。
 極めて稀に入手できた時、幸運な一部の常連客が、マスターの厚意で飲ませて貰える事が有るだけだ。
 しかし、ブルボンこそ無いものの、マダガスカル産のジャスミンティーや、別のコーヒーなどは置いてある為、通常はそれらが提供されている。
 店内は、マスターが自ら集めたマダガスカルの品々で溢れており、喫茶店内に流れるBGMもそれに準じていた。

「とにかくすごいんだって!!」
「へぇ」

 そんな喫茶店の一角で、天城 優は恋人の山根 心の話を聞いていた。向かい合う二人の間には幾本のペットボトルが並び、どうやら心は、そのペットボトルに入っている水素水と言う水について絶賛していた。
 『美容に良い』『健康になる』から、『睡眠不足が解消される』『疲労回復効果がある』とほめそやす姿を見ていると、とてもでは無いが優には(胡散臭い)と言う感情しか沸いてこなかった。

「とにかく、試して、飲んでみてよ!」

 そう言って心がペットボトルの蓋を外した丁度その時だった。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 隣にいた若い夫婦の奥さんが、夫に“何か”をぶちまけたのだ。
 ツンとする臭気に、優は咄嗟に(酸だ)と思い水を掛けるべく周囲に見回す。コーヒーなど論外。コップの水も少なすぎる。次に視線を移した場所には、心が蓋を開けたばかりのペットボトルが目に入る。

「心!! それ!!」
「は、はい!!」

 優は、ソレを旦那さんの方にぶちまけた。

「は、はははははははは!! それ、硫酸だから!! 水なんて掛けたらもっとひどい事に成るから!!」

 硫酸は水と反応すると高熱を発生させる。その奥さんは、旦那さんが焼けただれる事を確信し高笑いをする。
 だが……

「え?」

 ペットボトルの水素水を反応した硫酸は、白いドロリとした物に変化し、完全に中和されたのである。
 そこに居た全員が唖然とした。
 だが、とにかく旦那さんは、一命をとりとめたのだった。

 ******

 騒動の原因は、旦那さんの浮気が原因だった。この夫婦は、何度も「分かれる」「別れない」の言い争いをして来たのだが、この日、奥さんがついに我慢の限界に来てしまったらしい。

 態々硫酸などを用意して来たのも、余程腹に据えかねての事だろう。この日、心が水素水のペットボトルと、趣味の石鹸作りに使う苛性ソーダ水とを間違って持って来て居なかったら、中和など出来なかっただろう。
 果たして、良かったのか悪かったのか。
0838三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/06(日) 21:52:39.11ID:tN/nWGfI
>>837
すごw 他もいいですけど、特に『ご都合主義』の消化が完璧だった
どうやって思い付いたw
0839三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/06(日) 22:06:28.84ID:tN/nWGfI
>>823

使用お題→『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』

【聖女として召喚されましたが外れスキル『水商売』のせいで神殿から追い出されたので水を売って暮らします】

https://ncode.syosetu.com/n2608gm/
0840この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/06(日) 22:07:23.90ID:tN/nWGfI
まーた遅刻すみません

名前欄もトリップ外すつもりが入れちゃってるし
0841三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/06(日) 22:10:37.25ID:tN/nWGfI
お題→『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』締切

【参加作品一覧】
>>837【喫茶in天然系】
>>839【聖女として召喚されましたが外れスキル『水商売』のせいで神殿から追い出されたので水を売って暮らします】
0842三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/06(日) 22:12:58.49ID:tN/nWGfI
では、、約一年ぶりの、最後の一文指定です

お題安価>>843-846
最後の一文>>847
0843この名無しがすごい!
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2020/09/06(日) 22:13:27.97ID:81+0hYlc
0844この名無しがすごい!
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2020/09/06(日) 22:29:08.33ID:Ux+omm4K
錬金術師
0846この名無しがすごい!
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2020/09/06(日) 22:46:28.10ID:3EhVjC+j
ソロキャンプ
0850三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/06(日) 22:59:26.58ID:tN/nWGfI
☆お題→最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→9/13の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0851三代目停止 ◆M2m/vQHvpA
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2020/09/06(日) 23:01:29.98ID:3Fmxj8f4
☆お題→最後の一文『もう何も見えない』『俺たちの戦いは終わらない、永久に』+『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→9/13の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0852三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/06(日) 23:02:25.57ID:tN/nWGfI
なんか順調に集まりましたね、、ありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくです
0853三代目停止 ◆M2m/vQHvpA
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2020/09/06(日) 23:07:44.37ID:3Fmxj8f4
昨今はなりすましにも満たないものが流行っていますが…
悪ノリもほどほどにして引き続きお題スレをよろしくです
0856この名無しがすごい!
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2020/09/07(月) 17:20:11.37ID:uDZL4XOd
>>839
すまん、意味怖要素要素がよくわからなかった
わかる人誰か解説お願い

まぁ、オダイスレカソで現実には救世主など現れないというのは十分ホラーだけど
0857この名無しがすごい!
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2020/09/07(月) 20:58:21.15ID:23y1y11q
>>839
最近流行りの聖女追放ものですねw
テンプレでは王子との婚約もセットですが、どの道婚約破棄までが王道ですしおすし

>>838
感想有難うございます
話的には30年位前に見た実話系バラエティーが元になっていますw
0858三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/07(月) 23:51:40.69ID:fEtBkHm+
>>856
作者が説明しちゃいますが、一つはそれですねw、アナグラム
もう一つは、作中で効果が説明されないコマンド
内一つは作中でも使われてますが、つまりこの世界、独占水メジャーに支配されたディストピアです

>>857
そういう元ネタがw
感想もありがとうございます
タイトルの割に、最近のテンプレからは少し外れてしまっていますw
0865この名無しがすごい!
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2020/09/10(木) 07:20:42.96ID:ROSBL9WU
手を動かせ!手を!
ざわことなんざ求めてないんだよ、作品を書くんだよ!
そこの画面前のお前もよぉ!
0866この名無しがすごい!
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2020/09/10(木) 18:20:24.02ID:a30x2t6+
>>850
使用するお題→最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』

【殺人鬼は今、あなたのすぐ近くにいる・・・】(1/2)

今年もシチリアに楽しいハロウィンの季節が訪れた。

「クッキー焼けたよー!」
「待ーってましたー!」

ライアン特製のこんがり美味しく焼けたチョコチップクッキーの良い匂いに誘われ、颯爽と現れたのは
お馴染みのガンマン…ではなく黒猫の衣装に身を包んだレイチェルだった。

「おっ!早速食いしん坊の黒猫ガールが現れたぞ!」
「食いしん坊は余計よ。それより味見、味見!」

レイチェルはクッキーを一枚掴んで口に入れる。

「うーん最高ッ!!」
「せっかちだなあ。クッキーは逃げやしないよ」
「獲物は必ず仕留める!これが黒猫の鉄則!」
「アハハ(もう、レイチェルは本当に可愛いんだから)」

今年もパーティーは盛大で楽しいものとなり、無事に幕を閉じた。
家に着くとライアンとレイチェルはリビングのソファーに座り、温かいココアを飲みながら、のんびりとテレビを見ていた。

「何か面白い番組はないかな?」

チャンネルを変えていると、あるドラマに目が留まった。一人の女性がある者に追いかけられ、必死に逃げている。
女性の後ろから追いかけてくるのは片目を失い、頭から血をダラダラと流す、斧を持った背の高い痩せ細った男だった。

「お前の目をよこせー!」
「こ、怖い!ラ、ライアン、違う番組にしようよ」
「う、うん分かった」

すると突然雷がゴロゴロと鳴り出した。ザーザーと雨が激しく降り始めると同時に停電が起き、家の中が真っ暗になった。

「どこかの電線に雷が落ちてしまったに違いない」
「そ、そんなぁ!」

突然、外から奇妙な音が聞こえてきた。それは大きく、まるで斧で木を斬るような音だった。

「な、何!?」
「レイチェル、ここにいて。少し見てくるよ」
「待って、私も行く!一人にしないでー!」

豪雨の中、ライアンとレイチェルは外に出て確認する。暗くて見えないが、音は確実に聞こえてくる。
すると突然、黄色く光る目が現れ、2人はビックリして尻餅をつく。

「俺の姿を見たな・・・」
0867この名無しがすごい!
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2020/09/10(木) 18:21:38.22ID:a30x2t6+
【殺人鬼は今、あなたのすぐ近くにいる・・・】(2/2)

ライアンとレイチェルにゆっくりと歩み寄ってきたのは、大きな斧を手に持った、顔が血で赤く染まった細身の男だった。
まさにさっき見ていたドラマに出てきた殺人鬼と似た姿をしていた。

「おやおや可愛い黒猫姿のお嬢ちゃんも一緒か。ちょうどいい、この斧で誰かを思いきり殺してみたかったところだったんだ」

男が勢いよく斧を振りかぶり、ライアンに斬りかかろうと迫ってきたが、レイチェルが俊敏な動きで斧を片手で掴んで止める。

「な、何だ?このデカい斧を片手だけで止めるなんて。しかも動かない!」
「私の愛する人によくも斬り殺そうとしたわね。もう許さない」

レイチェルは男から斧を奪って投げ捨てると、まず腹に向かって猫パンチを喰らわせる。
怯んで動けなくなった瞬間を狙い、勢いよく空中にジャンプし、トドメとして男の脳天に踵落としをお見舞いする。
男はそのまま気絶して倒れ、そのまま駆けつけた警察により逮捕、連行されていった。
その男の持っていた斧は盗んだ物で、設立70周年の歴史博物館に飾られていた、偉大な錬金術師によって作られた斧だった。

「レイチェルさんにライアンさん、逮捕にご協力ありがとうございます。あの男は半年ほど前に刑務所から脱走した凶悪犯なんです」

犯人逮捕、事情聴取も全て終わり、事件が解決した時には既に雨は止み、眩しい太陽が顔を出していた。

「レイチェル、本当にありがとう。君は最強の黒猫だよ」
「ありがとうライアン(本当はガンマンと言ってほしい、でもすっごく嬉しい)」

家の中に戻った時、停電が復旧、消えてしまっていたテレビの電源がつく。
その画面に映ったのは昨夜見ていたドラマの続きで、女性が殺人鬼に捕まり目を潰されてしまって終わったところだった。
そして画面に赤い血でTHE ENDと共にこう書かれていた。

もう何も見えない
0868三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/10(木) 23:59:50.19ID:VueQWBZT
>>866
シンディかブラコンの督促を考えてましたが・・・ハロウィンの部分だけシリーズ化してるw
ハロウィン自体は無事終わったのに、なんか再びの恐怖体験、、そして強過ぎる黒猫w
結びは恐怖とユーモア、余韻のある使い方ですね
0870この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/11(金) 08:54:52.08ID:wZjk2r5j
>>868
>>869
感想ありがとうございます!
今回は無印の深夜の赤信号回を意識して書いたお話です
ハロウィンで黒猫になって大活躍!は書くのが楽しくていつの間にかシリーズ化してますねw
それからシンディシリーズはまた近々続きを書き始めて、残り数話で完結予定ですので乞うご期待!
ブラコンシリーズはまだまだのんびりと続けていきます
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0871この名無しがすごい!
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2020/09/11(金) 18:30:43.40ID:3Wg32NcF
>>868
>>869
感想ありがとうございません
今回は無印の深夜の赤信号回を意識して書いた訳ではございません
ハロウィーンで白猫になって休養!は書くのが楽しくなくていつの間にかシリーズ化をやめてますね
それからシンディシリーズはまた近々続きを書き始めて、永久に続ける予定ですので期待しないでください、期待は毒になります
ブラコンシリーズはさっさと終わらせていきます
楽しんでいただくのは悲しいです!
0872この名無しがすごい!
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2020/09/12(土) 01:24:26.61ID:VWXEReMe
>>870
>>871
面白くない
レスするならもっと面白い文章にしてくれよな
それと荒らしみたいなことはすんなよ
0873この名無しがすごい!
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2020/09/13(日) 19:56:52.73ID:6H12DAlP
>>850
スレ6→62の続編です

使用お題→最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』

【魔法も、物理も】(1/2)

 帝国図書館は過疎っていた。ふっ、これだから素人どもは。
 俺はアルケミスト。孤高のハイブリッド職だ。
 バランス調整? 弱体化? そんなもの俺には関係ない。
 魔法が強いなら魔法で戦う。今みたいに物理が強い環境になったら、物理で殴る。
 それだけだ。
 館内を一人で移動する。孤独を愛する俺だが、サービス開始から遊んでいると、よく見掛けるプレイヤー、とか、気になるやつ、というものはいる。
 例えば、エリアの一番奥に、その職業のやつしか寄り付かない一角がある。館内の環境は均一であるはずなのに、そこだけ遠目に空気が重い。
 根暗オーラだ……!
 何かの間違いで連中が強い時期もあったが、秒速でナーフされた。ざまぁ見やがれ。
 それからずっと、やつらは弱い。不動の不人気職ナンバーワン!
 なんの話かって?
 ネクラ……もとい、ネクロマンサーだ。今では絶滅危惧種だ。
 その中の一匹が、今日も書架の向こうに見える。
 ああやって地道にデバフアイテムを集め、フィールドやダンジョンでは死体を集めるのだ。
 インベントリの中は死体で一杯。まさに根暗!
 ご苦労なことだ。

 ま、散々言ったが、アルケミストも似たようなものだ。
 俺たちアルケミストは、ポーションが命。
 インベントリの中は素材アイテムと完成品のポーションで散らかっている。
 いや、今のは謙遜して言った。散らかってはいない。使うものは整理している。使わないものは、倉庫に保管している。
 これがなかなか面倒――――

 まぁそんなことはどうでもいい。
 ただ、ネクロマンサーは大変だな、という話だ。
 それから、さっき図書館の中に入ってきて、俺と同じように根暗の方を見てから、歩いていった女。
 初期ペットを連れている。
 見た感じスペルユーザーではない。まぁ人を見た目で判断することはできないが、あれは違うと俺の勘が告げている。
 初心者でもない。そんなやつが図書館になんの用事かと思って、行動を観察したことがある。
 女は毎回、猫ペット用のジョークアイテムが支給されるクエストを受けていた。
 くっだらねー。
 大体、初期ペットは弱いのだが。もっと強くて見た目もいい課金ペットだっているのだが。
 エンジョイ勢の考えることは分からん。

 とは言え、アルケミストも趣味性の強いクラスだ。
 特に俺みたいなソロ専用ビルドは大変だ。自己バフ、自己バフ、自己バフ、殴る!
 武器と心が折れそうだ。
 いや、武器は耐久度を上げているから折れることはない。だがポーションを作る金と手間が馬鹿にならないのだ。
 この上ホムンクルスなど作ろうものなら――――

 まぁそんなことはどうでもいい。
 ただ、遊びの中ですら、趣味に生きるのは大変だな、という話だ。
0874この名無しがすごい!
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2020/09/13(日) 19:57:29.28ID:6H12DAlP
【魔法も、物理も】(2/2)

 また別の日。三周年イベントが近い。俺は今日も図書館で人間観察……もとい、クエストを受注するついでの情報収集だ。
 今日も根暗はエリアの奥にいた。だが様子がおかしい。

――すごいですね!
――かわいい!
――ありがとうございます!

 なぜか女に囲まれている。内一人は、例の初期ペット女だ。
 盛り上がっている。
 なんだありゃ。

 よくよく見れば、根暗は居心地が悪そうだ。ざまぁ見やがれ。
 しかしながら、ぼっち仲間がモテている(ように見える)のは腹立たしいものだ。
 どうしてくれようか。

 そうだ。ソロキャンプ、行こう。

 *

「くそぅ……。もう火ポーションがないぜ……」
 ダンジョンの奥で、俺はネズミどもに囲まれていた。
 思い付きの勢いで来てしまったが、俺は今、準備不足を猛烈に痛感していた。
 この岩穴の中で有効な属性ポーションは、たった今、最後の一つを使ってしまった。
 後は回復ポーションで粘るしかない。吸血ポーションは、どこにあるか分からない。
「おらぁ! 消し炭にしてくれる!」
 炎をまとわせた斧を振るう。それでネズミどもは俺の経験値に変わるが、いかんせん数が多過ぎる。
 あっ、今デバフ受けた。
 ポイズンだ、ポイズン。ポイズンラットだからな。
 またやられた。ステダウンだ。プレイグラットだからな。

――先輩、あの人大丈夫でしょうか?
――なんかヤバそう……ネズミキモい!

 何か聞こえたような気もするが、今はそれどころではない。
 体が重い……。こんなデバフまみれで戦うのは初めてだ。

――あれっ、あの人……トラタロー!

 くっそ、まただ。今度はブラインドかよ。もう何も見えない……!
0876この名無しがすごい!
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2020/09/13(日) 22:01:08.68ID:ywWJwQIN
>>850
お題:最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』

【フォッグマン】(1/3)
 焚火の火をぼんやりと眺める男の目の下にははっきりと分かる隈ができていた。
 既に四日近く不眠でソロキャンプをしている男の傍らには一振りの斧が。

「今日で最後だ。これで終わらせる……」

 ポツリと男が口にする。と、同時にキャンプをしている森の暗闇から、こんな山奥には似つかわしくないコートを着た怪人物がぬっと現れる。

「フォッグマン……」

 その人物を知っているのか、男は何処か憎々し気に怪人物を睨んだ。

 ******

 既視感……と言うのは誰にでもあるだろう。
 川岸 恭吾の場合は、それは常に“夢”という形で現れた。
 何かを行った、ふとした瞬間(あぁこれ、この間、夢で見たな)と思うのだ。

 恭吾が自分が殺される夢を見始めたのは半年ほど前の事だった。当初こそ、ただの夢だと思っていた恭吾だったが、自分が既視感を夢と言う形で見る事が有ること。そしてあまりにもくり返しにその夢を見る事で、ソレが所謂『予知夢』の類ではないかと考え始めた。

 そこで彼は、先ず、必ず自分を殺す相手の事を調べようと思い、夢の中でソイツを観察するところから始めたのである。

 夢の中のソイツは、必ずトレンチコートを纏いつば広のフェルト帽をかぶっていた。だが、その顔は輪郭の分からない曖昧な霧の様の物で、その中心に真っ赤な光が灯っただけの様な姿をしていたのだ。

 夢故の曖昧さかとも思った恭吾だったが、しかしコレはただの夢ではなく予知夢である。ならば、そう言った超常的な物なのではないかと思い直した恭吾は、トレンチコートや、フェルト帽、霧の様な身体、赤い瞳と言ったキーワードで、その正体を探って行った。

 そしてそれ等で見つけたモノが『フォッグマン』と言う存在だった。
0877この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/13(日) 22:02:14.31ID:ywWJwQIN
【フォッグマン】(2/3)


 第二次世界大戦中の人体実験で生み出されたとも、黒魔術の錬金術で作り出されたホムンクルスだとも言われる、その存在は、都市伝説系の僅かなサイトで語られていたものだったのである。

 ただし記事は、恭吾の顔を真っ青にさせるに十分な物だった。
 K県K市にある軍事施設跡、そこに“彼”は閉じ込められていると言う記事だったのだが、しかし、その土地は、恭吾の記憶にもハッキリと残っている物だったのだから。

 彼の勤めている会社の何周年だかの記念行事として、保養施設を作る事に成った。
 恭吾はその責任者に抜擢され、会社の購入した建設予定地の視察を行った際の事だった。
 丁度、その予定地の土壌検査の為掘削をしていた時、その工事を請け負っていた工事関係者が、奇妙な洞窟を発見したのである。
 どう見ても人の手が入った様に見えるその洞窟は、もし、何かの遺跡だったとすれば、国に報告しなければならない。
 そうなれば、この工事もストップしてしまうだろう。特にこの工事は会社の記念行事として行われている物である。それを中止する事は彼の責任問題ににもなってしまうだろう。
 だが、それでも、確認し報告をしなければ、会社としての責任問題に発展する。
 その為、彼は自らその洞窟に乗り込む事に決めたのだった。

 ******

 洞窟の中は、成程、人の手が入っていたと思しき不自然に整った形状をしており、土と黴の香りが充満していた。ライトの明かりを頼りに奥へと進んで行くと、明らかに人の手で作られた扉が出現した。
 この時点で、恭吾は遺跡と言う訳では無い事に安堵したのだったが、しかし、ならば、ここは何の施設だったのか?
 そんな疑問が彼頭を過った。
 その為、その扉を開け、確認をしのだったが……

 そこは、まるで学校の理科の実験室の様な場所であり、幾つかのビーカーやらフラスコ、そして走り書きの残った髪の切れ端が散乱するだけの場所だった。
 山中の、それもこんな地下に隠して作られたかの様な場所にしては、あまりに普通過ぎる部屋の内部に違和感を感じた恭吾だったが、しかし、それでもそこはただの廃墟であり、遺跡やら重要施設と言う訳でも無い場所の様だった事も有って、彼は、そのまま工事を進める事を決めたのであった。

 だが、もしそこが都市伝説に語られる様な場所であったならば……

 ******

 恭吾には断定はできなかったが、しかし否定する事も出来なかった。その為、夢の怪人物をフォッグマンと仮定して動く事に決めた。
 すると、その日から彼の予知夢は少しづつ変化をしていったのだ。
 それは、彼がアクションを起こそうとする度に、その結末に至る過程が変わって行ったのである。それでも、彼が殺されると言う結末には変わりがなかったのだが。

 ******

 そして今、彼目の前には件のフォッグマンが立って居た。周囲に人が居れば巻き込まれる者が増える為、たった一人でキャンプをし、最も長く生きながらえる事ができた獲物である手斧を用意した。
 あの後も何とか調べたフォッグマンの情報から、戦略を立て、こうして待っていたのだ。
 予知夢は、この日に至るまでに回数が増え、今では目を閉じただけでも、自分の死を見るに至って居た為、録に瞬きすら出来なくなっていた。

「来いよ、化け物……」

 その言葉が皮切りになったのか、フォッグマンは、下半身をそこに置いたまま、上半身だけで恭吾に襲い掛かって来た。
 恭吾が手斧を叩き付け、フォッグマンが焚火に突き刺さる。だが、すぐに身を翻したフォッグマンは、その手を恭吾に伸ばした。

「霧の化け物なんだから、火が弱点になっとけよ!!」

 火の中に頭から突っ込んだにも拘らず、何の痛痒も感じていない様なフォッグマンに恭吾が悪態を吐いた。
 対峙したのは初めてである。だが、恭吾は何十回も夢の中で殺され続けて来たのだ。今さらこれ位で怯む事は無かった。
 何度も攻撃を避け、手斧を叩き付け、転がり逃げる。
 今までの中では、一番長く生き延びているだろう。しかし、じり貧でもあった。相手は化け物で恭吾は人間である。
 このまま攻防を続けても、先に体力切れになるのは恭吾だろう。
 その証拠に、未だに瞼を閉じた瞬間に自分の“死”が見えるのだ。
0878この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/13(日) 22:03:07.64ID:ywWJwQIN
【フォッグマン】(3/3)


(何か、何か手はないのか?)

 焦る思考で周囲を見回す。そして、恭吾はそれに気が付いた。

(何で、下半身はあそこから動かないんだ?)

 最初に現れた場所から、不自然に動かないフォッグマンの下半身。
 それにどんな意味があるのか分からない。だがもう、恭吾にはそれに賭けるしかなかった。
 うち払い、距離を置く。そうすると、フォッグマンが高確率で体ごと突っ込んで着る事を恭吾は読んでいた。
 そして、恭吾は狙い通りの行動をしてきたフォッグマンを手斧の側面で、思いっきり叩き飛ばす。
 その一瞬の隙に、恭吾はフォッグマンの下半身に斧を叩きつけた。

 ガッキン!

 硬質な手ごたえに手がしびれる。

(くそ!! しくじったのか!?)

 ゆっくりと倒れる、無傷の下半身を見ながら、恭吾はそう思った。

 だが……

「GiYaoooooohouaaaaaaaa!!!!」

 フォッグマンが叫び、ゆっくりと上昇して行く。
 見れば、彼の上半身と下半身の間に繋がっていた“霧”が途切れていた。
 必死で手を伸ばそうとするフォッグマン。だが、無情にも彼の上半身は、そのまま上空へと昇って行ってしまった。

「助かった……のか?」

 恭吾が呟く。足の力が抜け、そこにへたり込んだ。
 あまりの疲労感に自然と瞼が重くなる。だが、恭吾はそのまま目を知事る事にした。
 彼は確信したからだ。

 それまで何度も自分の死を映して来た瞼の裏には、きっともう何も見えない。
0880三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/13(日) 22:08:44.70ID:6H12DAlP
お題→最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』締切

【参加作品一覧】
>>866【殺人鬼は今、あなたのすぐ近くにいる・・・】
>>873【魔法も、物理も】
>>876【フォッグマン】
0881三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/13(日) 22:10:20.44ID:6H12DAlP
ではー、通常お題5つですー

お題安価>>882-886
0882この名無しがすごい!
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2020/09/13(日) 22:13:01.18ID:t6D3mgy9
トイレットペーパー
0884この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/13(日) 23:40:31.10ID:nQnAYk5/
街角
0885この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/13(日) 23:42:42.46ID:MK+xUm+8
『参戦』
0887三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/14(月) 00:52:37.44ID:uju1HsIL
☆お題→『トイレットペーパー』『たまご』『街角』『参戦』『ひねもす』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→9/20の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0888三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/14(月) 00:57:25.97ID:uju1HsIL
ちょっと席を外してました
お題、作品、感想など、ありがとうございます

なんかゆっくりですが、こっちの方が実感としては近い気もする
引き続きお題スレをよろしくー
0889この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/14(月) 01:18:32.15ID:uju1HsIL
>>876
また髪の話・・・ではなく! ギリギリでまとめた感じw
あれとこれと組み合わせ、ちゃんとホラーとして組み上がってる・・・
緊迫感からの、意外性とカタルシスのあるエンドでした
0892この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/15(火) 16:14:50.06ID:FvxX5rnG
>>873
アップデートの悲喜交々ですね
それでも楽しむ人は楽しめますし、要は楽しみ方と言う事でしょうか

>>889
感想有り難うございます
気が付いたら締め切り一時間半前で、焦って書き上げましたorz
0893この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/15(火) 17:20:27.90ID:HWgdGK4W
>>887
使用するお題→『たまご』『街角』『ひねもす』

【悲劇の序章】(1/2)

女ガンマン・シンディと、彼女の親友かつ相棒である女サムライ・シグレは今日も広大な荒野の中を旅していた。
サボテンや岩しかない熱い砂漠の中をなんとか突っ切り、大きな街に辿り着いた。

「ふぅ、やっと着いたわね。シグレ、大丈夫?無理させて本当にごめんなさい」
「気にしないでシンディ。そうでもしないとあの砂漠を越えることができずに、干からびて死んでしまうところだったわ」

途中、携帯していた水が底を尽きてしまい、シグレは得意の妖術で冷気を発生させ、シンディとサンセット、そして自分に身を纏わせて凌いできたのだ。
妖術は高度なものだと自らの体力を極限にまで削り、寿命を縮ませてしまうため、命を落としてしまう危険性が高く乱用は禁物だ。
街角にあるレストランに立ち寄り、疲労困憊で今にも倒れそうなシグレのために、シンディはベーコンエッグと冷たいレモネードを御馳走する。

「さあ、レモネードで乾いた喉を潤して、ベーコンエッグを食べて力をつけて!タマゴを食べてきっちり栄養もつけなくちゃね!」
「シンディ、ありがとう」

美味しそうにベーコンエッグを頬張るシグレの姿を、シンディは微笑ましそうに眺めていた。
最初はフォークとナイフの使い方に慣れず四苦八苦していたシグレだが、シンディから丁寧に教えてもらったため、今では上手に扱えるようになっていた。

「あっ、サンセットの食糧も買っておかなくちゃ!ちょっと買い出しに行ってくるから待っててね。なるべく早く戻ってくるから」
「慌てなくてもいいわよ、シンディ」

シンディは近くの市場に向かい、そこでサンセットの大好物であるリンゴやニンジン等の調達をする。

「これくらい買えば大丈夫ね!」

調達を終え、シグレが待っているレストランへと戻る途中だった。
背後からゴン!と鈍器のような物で頭部を思いきり殴られたシンディは、頭から血を流し、意識を失って倒れてしまう。
そのままシンディは荷馬車の中に放り込まれ、どこかに連れ去られていった。

「シンディ、遅いわね。もうそろそろ戻ってきても良い頃なのに」

一向に戻ってこないシンディが心配になり、シグレがテーブルが立ち上がったその時だった。
突然、周りで食事していた全ての客達が彼女に銃を向けてきたのだ。

「な、何!?」
「シンディが心配か?シグレさんよぉ。お前の大好きな女ガンマンはボスに連れて行かれたぜ…」
「シ、シンディをどこへ攫ったの!」
「その答えが出る前にはお前はもう死んでいるがな」
「教える気はさらさらない、ということかしら?それなら話は早いわ」
0894この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/15(火) 17:21:11.01ID:HWgdGK4W
【悲劇の序章】(2/2)

シグレの周囲には、およそ50人ほどの無法者達が銃を構えている。
シンディが危機に陥っているというのに一人一人を相手にしていると埒があかない。

「腕利きのガンマンやカウボーイが相当揃っているみたいね」
「おぅ、察しが良いじゃねえか。この時のために2年ほど前から選りすぐりのメンバーを掻き集めてきたんだ」
「それで私に勝てる、とでも思ってるのかしら?」

シグレは得意の妖術で青い結界を作り出し、レストランの中にいる全ての無法者達を囲い込む。

「こ、この青い空間は何だ!幻か!?レストランの中にいるはずなのに!」
「"全青氷界(ぜんしょう ひょうかい) ひねもすの氷牙(ひょうが)"!!」

すると細く尖った氷柱(つらら)が無数に現れ、無法者達を次々と刺して倒していく。
シグレの妖術の前には、心に恐怖を抱いた者など無力である。リーダー格であろう男の胸ぐらを掴む。

「さあ、トドメを刺されたくなかったらシンディの居場所を吐きなさい」
「だ、誰が死んでも言うかよ」
「あら、じゃあ地獄に送らないとね」

往生際の悪いその男をそのまま刀で斬り、息の根を止めた。外に出ると、サンセットが心配そうにシグレを待っていた。

「大丈夫よサンセット。それより早く攫われたシンディを助けに行かなきゃ!」

シグレを背中に乗せたサンセットは街を飛び出し、銃弾のように勢いよく走り出す。

・・・・・・・・・・

「こ、ここはどこ・・・?」

意識を取り戻し目が覚めるシンディ。真っ暗な部屋の中に閉じ込められ、体は縄で縛られて身動きを取ることができない。
すると赤いランプの灯りが現れ、何者かが自分の方に歩み寄ってくる気配を感じる。

「あ、あなたは!」

シンディの目の前に姿を現したのは、黄色い仮面を被った男だった・・・。


To be continued...
0895三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/15(火) 23:53:52.70ID:7OgNyIJ3
>>892
すごい勢いで書かれた形跡があったw
感想もありがとうございます
人それぞれ、って感じです・・・この後ネクロマンサーが無双しますw

>>893
とうとう最終章ですね・・・
不穏なタイトルと、高負荷ながら万能の妖術w
そして、、見覚えがあるような、ないような、、誰だっけ・・・
0897この名無しがすごい!
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2020/09/16(水) 17:03:40.55ID:V9Tbanil
>>895
感想ありがとうございます!
はい、遂に最終章に突入です。シンディの目の前に現れた謎の男とは?
次回をどうぞお楽しみに!
0898この名無しがすごい!
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2020/09/17(木) 16:13:07.75ID:ggN0172b
>>893
拐われたシンディさん
さすがのヒロイン属性ですw
序章と言う事は、『破』『急』と続く訳ですねw
0899この名無しがすごい!
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2020/09/17(木) 20:12:58.60ID:vSU7apNL
>>898
感想ありがとうございます!
シンディは本当にヒロインしていますねw これはシグレが王子様になるフラグかも?
シンディに待ち受ける運命とは一体!?
次回をどうぞお楽しみに!
0901この名無しがすごい!
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2020/09/20(日) 08:39:18.76ID:pDLJfcz0
>>887
お題:『トイレットペーパー』『たまご』『街角』『参戦』『ひねもす』

【マヤの終日】(1/2)


 何処にでもある街並みの何処にでもある街角。奧咲 真矢はエコバック片手に惚けた様に信号待ちをしていた。主街道だけあって車通りの多い道路の交差点には、真矢以外にもそこそこの人達が佇んでいる。

「ひねもす〜、ひねもす〜」

 母子らしき二人の、その娘と思われる幼女が交差点の補助標識を指差しそんな事を言っていた。

「まぁ、ゆおちゃん、よく覚えてるわねぇ」

 母親がほめそやす。

(ひねもす? ポ〇モンかなんか?)

 少女の指さす補助標識には『終日』と言う時間指定が書かれていたが、何故、それを指して『ひねもす』と言っていたのか真矢には分からなかった。

(ま、わたしがポ〇モンなんてやってたのJSの頃だしね)

 既に引退して数年の月日が経っていると思えば、新しいキャラクターも増えるだろうと、ちょうど結論付けた所で信号が変わったので、真矢はマスクの鼻の部分を摘まんで形を直すと、横断歩道に足を踏み出した。

 ******

 地元のスーパーにはそこそこの人出があったが、特に人数制限などと言う事は行われていなかった。

(うわぁ、あそこに参戦しなきゃならないのかぁ)

 特売品である牛乳、卵、ボックスティシュー、トイレットペーパーの陳列棚には過密と言って良い人集りができていて、若干対人恐怖症気味の真矢は、それだけでうんざりした気分に成る。

 特にトイレットペーパーは変な漂流言語のせいで、若干不足気味な為、誰しもが目の色を変えていた。真矢とて、トイレにウォシュレット機能など付いていない事も有り、トイレットペーパは必須の商品だ。
 『お1人様一点限り』と言うプラカードを持って声を張り上げる店員を押しのける勢いのおばさん達を見ながらも、真矢はマスクの鼻の部分を摘まんで直すと、意を決してそこに突っ込んで行った。
0902この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/20(日) 08:40:11.59ID:pDLJfcz0
【マヤの終日】(2/2)


 ******

 プシューと言う炭酸が抜ける音を立てる第三の缶ビールを一気に飲み干した真矢は、おつまみとして作ったハム入りチーズオムレツとモツポン酢を食べながら、二本目の第三のビールに手を掛ける。

 ワンルームマンションにはパイプベッドと小さなちゃぶ台。クッションを立てかけたベッドを背もたれ代わりにしながら、真矢は夕飯代わりの晩酌を始めた。

 半熟気味の玉子と塩気の効いたチーズとハム。やや淡白な玉子にこってりとしたチーズは味にコクを加えてくれ、ハムの触感はアクセントを与えてくれる。

「うん、上出来!」

 真矢は一度、第三のビールで口の中をリセットすると、続いてモツポン酢に箸を伸ばした。モツとタマネギは同時に食べるのが彼女の正義。
 ややひんやりとした冷気を醸し出すモツポン酢をパクリと食べる。
 買い物に行く前に冷蔵庫で冷やしておいたモツは、くにくにとした歯ごたえで、シャキシャキのスライスオニオンとは好対照。スライスした後、水にさらした方がシャキシャキ感は増すのだが、タマネギの辛みが好きな真矢は、あえてそのままさらさずに使っていた。
 分葱のみじん切りを乗せるかどうかは好みの問題だろうが、真矢は載せない派だった。
 「ネギ×ネギとか意味わかんない」と言うのが彼女の主張だ。

「ひゃ〜! これこそ人生よね!!」

 随分と安い人生もあったものである。

(……そう言えば、『ひねもす』ってどんなポ〇モンだ?)

 軽く酔いも回り、昼間ちょっと気になった事を思い出す。
 充電器に差していたスマホを体を捻って手に取ると、早速『ひねもす』を検索してみた。

「……マジか」

 終日(ひねもす)−意味:しゅうじつ、一日中……

 小学生低学年くらいの少女が知っていた事を20年以上知らなかったと言う事実に、真矢は自分の無知さ加減に脱力し、ちゃぶ台に突っ伏してしまった。

「そう言えば、『春の海ひねもすのたりのたりかな』って蕪村の短歌とかあったんだった」

 受験勉強でも覚えさせられていた範囲だったが、しかし、句そのものと与謝蕪村の名は覚えていても、その意味までは調べてはいない。

 ちなみに短歌ではなく俳句なのだが。

 今更と言えば今更な事を思い出し、真矢は不貞腐れ気味に第三のビールを呷る。
 この日の第三のビールは何時もより苦い気がした。
0903三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/20(日) 17:41:04.57ID:7T6tVAG1
>>901
なんかタイトルだけでオチてるような・・・w
辛いのおいしい・・・
都市生活者の何気ない日常、って雰囲気が出てますね
0905三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/20(日) 22:13:26.21ID:7T6tVAG1
お題→『トイレットペーパー』『たまご』『街角』『参戦』『ひねもす』締切

【参加作品一覧】
>>893【悲劇の序章】
>>901【マヤの終日】
0906三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/20(日) 22:14:34.99ID:7T6tVAG1
では、今回も通常お題5つです

お題安価>>907-911
0907この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/20(日) 22:19:58.28ID:/12d21Db
コレクション
0908この名無しがすごい!
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2020/09/20(日) 22:21:45.88ID:rZVLtsDu
『打ち切り』
0909この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/20(日) 22:22:01.23ID:1hT6yJ0Z
宿題
0912三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/20(日) 23:27:10.62ID:7T6tVAG1
☆お題→『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→9/27の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0913三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/20(日) 23:37:13.31ID:7T6tVAG1
次スレが近くなってきました・・・どうなるか
スレタイ変更案もありましたが、今回は保留かなぁ
それと前にも言いましたが、次スレでは進行の交代もしたいところです

お題、作品、感想など、おつありでした
そして今回もよろしくです
0914この名無しがすごい!
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2020/09/21(月) 22:03:33.39ID:OE4JxI7o
>>912
使用するお題→『打ち切り』『魚釣り』

【シンディ、私はあなたを応援している】(1/2)

ある夕方、レイチェルはリビングのソファーにもたれて、コーラとポップコーンを手にあるドラマを楽しんでいた。

「シンディ、カッコいいーーーッ!!!」

そう、さすらいの女ガンマン・シンディが無法地帯と化した弱肉強食の西部の世界を旅するドラマだ。
タイトルは「シンディ・ネバー・フェイル(Cindy, Never Fail)」。
西部劇が大好きなレイチェルにとってシンディはまさに憧れの存在であり、必ず録画して何度も見返して楽しむほどだ。

「今日のエピソードも最高ッ!さあ来週はどんな展開かしら!」

しかし、次回予告が流れてこない。突然、「来週から急遽予定を変更して、フィッシングバトルの放送を開始します。どうぞお楽しみに!」の文字が画面に現れた。
そう、男達が熱い魚釣り対決を繰り広げるという番組だ。それを見て、レイチェルは一瞬呆然としてしまう。

「エーーーーーッ!?どういうことなの!?」

レイチェルは急いでテレビ局に電話をかける。

「シンディのドラマ、来週から放送されないって一体どういうことなの!?」
「そのドラマは視聴率の低迷が原因で打ち切りが決定したのです。残念ですが、その決定は覆りません」
「そ、そんな!私、あのドラマの大ファンなの!打ち切りなんてあまりに残酷過ぎるわ!」
「西部劇のドラマは今時もう流行らないんです。申し訳ございません」

プープー…と電話が切れてしまう。レイチェルの体から一気に力が抜け、その場に膝をついて倒れてしまう。

「打ち切り・・・、お願い、夢なら覚めて・・・」

翌日、レイチェルはいつものようにガンマン衣装に身を包んで町中を散歩する。しかし、いつものように元気になれず、目は虚ろとしていた。
公園のベンチに座り、思わずハァと大きく溜息をついて項垂れる。

「人生の楽しみの一つがまさか打ち切りで終わるなんて・・・。私、これからどうすればいいの?」
「レイチェルさん、そんなに落ち込んで一体どうしたんですか?」
「ん?」

その声に頭を上げると、目の前にアニーとペットのイグアナのトニーがいた。

「ア、アニーちゃん、それにトニー。こんにちは、今日も良い天気ね」
「レイチェルさん、元気なさそうだけど何かあったのですか?もし良ければ相談に乗りますよ」
「ありがとう。実はね・・・」

レイチェルは、アニーに大好きなドラマが打ち切りになってしまうことを全て話した。

「なるほど。好きな番組が突然終わるなんて、誰でもショックですよね」
「放送開始から絶対に見逃さないほど大好きなの。シンディがすっごくカッコよくてね、彼女はまさに私の憧れなんだ」
「こうなったらテレビ局に手紙を送ってみたらどうですか?僅かな可能性に賭けるしか方法はないです」
「そうよね!今ならまだ間に合うはず!打ち切りなんてこの私、レイチェルが覆してやる!アニーちゃん、ありがとう!」

そう、シンディのドラマへの熱い想いを書いた手紙を送るのだ。テレビ局に文句を言うのでは逆効果だ。

「とにかく、私のシンディ愛をテレビ局のお偉いさん達にこれでもかってくらい伝えなくちゃ!」
0915この名無しがすごい!
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2020/09/21(月) 22:05:35.00ID:OE4JxI7o
【シンディ、私はあなたを応援している】(2/2)

シンディはその日から週に一度、自身のシンディへの熱い想いを綴った手紙をテレビ局に送り始めた。

「シンディのファンは私だけじゃない!世界中のシンディファンのみんな!負けないで!」

その頃、テレビ局の役員達がレイチェルの手紙の数々を面白そうに読んでいた。

「あのドラマにこんな熱狂的なファンがいたとは驚きだ」
「今朝、いつものレイチェルって人から手紙だけでなく小包も届いてたんだ」

手紙と一緒に送られた小包の中には数枚のDVDディスクが入っていた。
一体何かと気になり、彼らはそれをプレーヤーに挿入、再生する。

「さすらいの女ガンマン、レイチェル参上!」

ガンマン衣装に身を包んだレイチェルが現れる。公園の中で撮影されたもので、帽子を目深に被ったレイチェルが
ブーツの拍車をカチャカチャ鳴らしながら歩いていると、目の前に一匹のイグアナが現れた(もちろんトニーである)。

「ワッ!恐ろしいモンスター!このレイチェルに勝てるかしら?」

するとトニーがレイチェルのブーツにカプッと噛みついてきた。レイチェルはトニーを振り払おうとするが、彼は頑なに放そうとしない。

「も、もうダメ・・・」

レイチェルがその場に倒れてしまう。今度は一人の少女が現れた(アニーである)。

「レイチェルさん、諦めないで!あのイグアナを倒せるのはあなたしかいない!」

アニーの励ましにレイチェルは立ち上がり、トニーに向けてバン!銃を放った(もちろんオモチャの銃である)。
トニーはレイチェルのブーツを放し、そのままパタンと倒れてしまった。

「やったー!レイチェルさん、あなたのおかげでこの町は救われた!本当にどうもありがとう!」
「勘違いしないで、お嬢ちゃん。私はヒーローでないし、人助けなんて以ての外。でも・・・」
「でも、なあに?」
「応援してくれて、本当にどうもありがとう。また会える日が来るといいわね」

そう礼を言うと、レイチェルはどこかへと去っていくのだった。

・・・・・・・・・・

あれから半年ほどが経ったある日、レイチェルの家に一本の電話がかかってきた。
なんと、あのテレビ局の社長からであった。

「レイチェルさんですね、あなたのあのドラマへの強い熱意には参りました。残念ながら本局ではもう放送できる枠がありません。しかし・・・」
「し、しかし?」
「別の局での制作・放送再開が決定致しました!」

社長のその言葉に、レイチェルは思わずロケットのように宇宙へと飛んで行ってしまいそうなくらいに興奮、感動した。

「本当に、本当にどうもありがとうございます!」

シンディのドラマの製作・放送再開の願いがついに叶ったのだ。撮影に協力したアニーとトニーも、それを知ってとても喜んだ。
翌年の春、シンディのドラマが復活し、レイチェルは大いに続きを楽しんだ。

「シンディ、カッコいいーーーッ!!!」

今日もレイチェルはコーラとポップコーンを手に、シンディの勇姿を思う存分堪能するのであった。
0916三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/22(火) 12:27:07.33ID:tUaz1qoD
>>914
早速・・・優しい世界w
レイチェルならこれくらいやりそうー
落胆具合がひど過ぎて笑ってしまいますけどw、そこからの復活が奇跡的です
0917この名無しがすごい!
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2020/09/22(火) 15:35:04.00ID:CJwbLDvH
>>916
感想ありがとうございます!
海外ドラマが打ち切りになったけど奇跡の復活!というのを基に書いたお話ですw
女ガンマンは何があろうと最後まで絶対に諦めないし屈しない!それがレイチェルの信条なのです
楽しんでいただけて凄く嬉しいです!
0918この名無しがすごい!
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2020/09/22(火) 20:37:04.95ID:V2bc+Not
>>914
一念岩をも通すですねw
好きな物を好きだと言い続けられる姿勢は見習いたいものです
0919この名無しがすごい!
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2020/09/22(火) 20:59:38.23ID:CJwbLDvH
>>912
使用するお題→『コレクション』『魚釣り』

【殺人鬼の正体】(1/2)
>>129【伯母の陰謀】、スレ7 696【大切な帽子】と786【イエローマスクド・デーモン】を先に読んでおくことをオススメします

シンディの目の前に現れた、黄色い仮面で顔を覆った一人の男。

「あ、あなたはイ、イエローマスクド・デーモンことクレイグ・バスター!」

そう過去に777人もの罪の無い善良な一般市民を惨殺、100を超える村や町を滅ぼした凶悪な殺人鬼だ。

「イエローマスクド・デーモンは本当だが、クレイグ・バスターは違う。偽名だ」
「(妙に聞き覚えのある声・・・一体、誰なの?)」
「シンディ、とにかくお前に会いたかった」

男が黄色い仮面を外す。その顔にシンディは思わず絶句した。
そう、彼女の大好きな父親であるバイロンだったのだ。

「パ、パパ!?そ、そんなッ!!」
「久しぶりだなあ、シンディ。立派に成長したな」
「さ、殺人鬼の、しょ、正体がパ、パパだなんて!そ、それに邪悪な伯母の仕組んだ落石事故で死んでしまったはずじゃ!?」
「そう取り乱すな、娘よ。これには全てワケってものがあるんだ」

バイロンはシンディに全てを話した。バイロンは最初、生まれたばかりで幼いシンディを金持ちで強欲な伯母のフローラから必死に守っていた。
娘との農業生活はとても貧しくとも彼にとってはとても楽しいものであった。しかし、次第に貧乏な生活に我慢ができず、贅沢を味わいたくなってきた。
バイロンはフローラと陰で連絡を取り、シンディを大金と引き換えに彼女に売り渡そうと考えたのだ。

「ま、まさかあの落石事故は!」
「そう、全て最初から計画した偽装だったのさ!」
「私をあのクズな伯母に売り飛ばそうとしていたなんて!」

幼い頃から大好きだったパパにまさに裏切られた瞬間であった。シンディは我慢できずに、目から大粒の涙をこぼし始める。
また、落石事故で死亡を装ったものの、シンディはいつの間にか姿を消してしまい、バイロンはフローラから正体を隠すよう命令される。
黄色い仮面の殺人鬼に変装し、シンディの消息を掴もうとする一方で、大金欲しさに欲望を制御できず、人を殺めることでその鬱憤を晴らしていったのだ。
また、数々の無法者達にシンディを見つけ捕まえてくるよう仕向けたが、みんなシンディにあっけなく返り討ちにされてしまう始末だ。

「腕利きの殺し屋に頼んだにも関わらず、このザマだ。女ガンマン一人捕まえるのにどんだけ苦戦しているんだ」

部下からシンディがフローラに捕まったと聞いて駆けつけてきた時には、既にフローラは死に屋敷は崩壊、まさに野望を打ち砕かれてしまった。

「まさか、日本から来たっていう女サムライと仲良くなっていたのは予想外だった。あいつさえいなければ!」
「シ、シグレのこと?彼女は私の最高の親友よ!」
「そんなにそいつのことが好きなのか?それじゃあ、その女も捕まえてたっぷり可愛がってやろうか」
0920この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/22(火) 21:01:05.63ID:CJwbLDvH
【殺人鬼の正体】(2/2)

すると真っ暗な部屋の中が、ランプの赤い灯で次第に明るくなっていく。

「な、何なのよ、これは・・・!」

今、自分とバイロンがいる部屋の壁には大量の切断された腕や脚が飾られていた。

「見たか?これが俺のコレクションだ。善良な一般市民だけでなく、お前を捕まえられずに逃げてきた役立たず共のもある」

シンディの体から震えが止まらなくなってくる。大好きだったパパは自分を裏切った上、残虐非道な殺人鬼に成り果ててしまった。

「お前と女サムライのせいで、大金を手に入れる計画が全て台無しだ。女サムライも捕まえて、一緒にたっぷりと可愛がってやるからな。覚悟してろよ」

シンディは一瞬目を閉じて昔のことを思い出す。
大好きだったパパと一緒に畑を耕したり、ジャムを作ったり、魚釣りに出かけた、貧しくも幸せで楽しい日々の数々を。

「あんたはもう私のパパじゃない、ただの醜くて邪悪なケダモノよ!」
「お前ももう俺の可愛い娘じゃない、ただのモノに過ぎないからな!」

ギャハハ!と下品な笑い声を上げると、バイロンは勢いよくシンディの顔面を蹴った。
口や鼻から血を流し、あまりの痛みにシンディは声を出すことすらできなくなる。

「おいおい、これでくたばってもらっちゃ困るぞ。拷問はこれからが本番だ」
「(シ、シグレ、た、助けて・・・!)」

一方、シグレを背中に乗せたサンセットが攫われたシンディを探しに、広い荒野の中を必死に駆け回っていた。

「シンディ、待ってて!必ず見つけて救い出すから!」


To be continued...
0921この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/22(火) 21:09:54.13ID:CJwbLDvH
>>918
感想ありがとうございます!
誰に何と言われようとも、自分に正直で「好き」を貫いてこそ本当のファンだと私は思います
レイチェルはとにかくシンディから影響を受けまくってますw
楽しんでいただけて凄く嬉しいです!
0922三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/23(水) 13:29:49.14ID:VjM/0iyT
>>919
これはまさかのw、衝撃の展開だった!
ま、、まぁ、I am your father だと思えば、お前かよ!って話ではありますが
これは続きが待たれますね・・・
0923この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/23(水) 20:07:19.34ID:HlIefc/c
>>919
ヒロインには悲劇がつきものですよね
元々の資質なのか、それとも厳しい荒野で娘を守ることに疲れた結果の変質なのか?
0924この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/23(水) 20:45:13.45ID:CII3f5Du
>>922
>>923
感想ありがとうございます!
はい、殺人鬼の正体は死んだはずの大好きなパパであの邪悪な伯母とグルでした
そうですね、この弱肉強食の荒野を生き抜くには力だけでなく金も大きくものを言って、
伯母の話に没落貴族の親子が出てきましたが、あの世界でも財力は大きなステータスとなるんです
楽しんでいただけて凄く嬉しいです!次回をどうぞお楽しみに!
0925三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/09/27(日) 15:15:40.20ID:slTeA4so
ところで、次スレを立てた後で、新しい進行を募集しますけど・・・

安価でお題を取るだけの、簡単なお仕事です
あと、スレの最後を作品一覧で埋めるのも、できれば引き続きお願いしたいです

作品を書いたり、感想を書いたり、荒らしにSEKKYOUしたりするのは、進行の仕事ではないです

すっげー過疎ですけど、誰かやりたい人いるかなぁ
0926この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/27(日) 19:41:52.26ID:slTeA4so
>>912
>>747の続きを見て……ですにゃー

使用お題→『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第七話】(1/3)

 俺と使者の女、それにワタリガラス号は、ネコミミ族の村を出発した。
 しばらくの間は二人とも無言で、何事もなく森の中を進んでいたが、不意に女が口を開いた。

「忘れてましたにゃー。宿題がありましたのにゃー」

 そう言って、こちらに顔を向けた。

「宿題?」
「そうなのですにゃー。にゃーはさっき『昨夜遅くに帰ってきた』と言いましたが、帰ってきたのはその前の夜なのですにゃー」

 そんなこと言ってたか?

「それは大事なことなのか?」
「いーや別に、ですにゃー。ただ言い間違えたと思っただけですにゃー」

 それから俺たちは、再び無言になって歩き続けた。
 次に女が話し掛けてきたのは、休憩のために足を止めた時だった。

「川がありますにゃー。魚釣りですにゃー」

 女はそう言うと、荷物の中から釣りざおを取り出して、俺に差し出してきた。

「俺が釣るのか」
「なんでもやってみるのですにゃー」

 浅瀬に立って、釣り糸を垂らす。それから数十分。

「何も釣れないぞ……」
「まあ、こんな日もありますにゃー。いい休憩になりましたにゃー」

 食料は十分に持っているが、それでいいのだろうか。
 その首から下げた人形は……?

「さっさと出発しますのにゃー」

 その日は何度か休みながら、日が暮れるまで歩いた。
 女がいつも使っているという野営に適したポイントで、俺たちは一泊した。

 *

 翌日も朝から移動を開始した。天気は、言うまでもなく、曇りだ。
 昼近くまで歩けるだけ歩き、広い川のほとりに出た。

「この森はどこまで続いてるんだ」
「森の外に出るだけならすぐですにゃー。にゃーたちが目指している隣の村は、もう二三日くらいですかにゃー」

 女は、慣れているのだろう、平然とそんなことを言うが、俺の方は二日目にしてうんざりだった。

「そこにエム先生とかいうやつはいるのか」
「どうでしょうかにゃー。にゃーの予想では、二十パーセントくらいですかにゃー」

 そこで短い時間休憩して、俺たちはすぐに出発した。魚釣りはしなかった。
 俺は鬱々とした気分で足を引きずって歩き、それでもなんとか女と牛に付いていった。
0927この名無しがすごい!
垢版 |
2020/09/27(日) 19:42:33.57ID:slTeA4so
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第七話】(2/3)

 日が傾く頃まで歩き続けて、俺の精神は限界を迎えつつあった。
 パワードスーツを着込んでいるとは言え、疲労はゼロにはならない。

「なあ、今日はどこまで歩くんだ……」

 女は、すぐには返事をしなかった。少しの間、何も聞こえなかったかのように歩を進めてから、唐突に立ち止まる。

「あれですにゃー。今日はあそこに泊まりますにゃー」

 木々の間を指差す。俺には何も見えないが。

「古代モニャ文明の遺跡ですにゃー。壁と床があるので野営しやすいのですにゃー」

 *

 それはコンクリートの墓場だった。かつては建造物の形をしていたのだろう残骸が、緑の中に埋もれている。

「こっちですにゃー。この辺りがテントを張るのに便利なのですにゃー」

 荷車を目立たない場所に隠すと、足場の悪い中を、女と牛はすいすい進んだ。

「おい待てよ。よくそんな器用に歩けるな」
「ここには何度も来てますからにゃー。来る度に片付けもしてますからにゃー」

 コンクリートの平らな表面が出ている場所で、女は野営の準備を始めた。
 程なくして必要な作業を終えると、女は自分の荷物の中から、一冊の本を取り出した。

「昨日も読んでいたようだが、それはなんだ?」
「気になりますかにゃー」

 女は、本の表紙をこちらに向けた。

「これは、にゃーのコレクションの一つですにゃー。『世紀末光頭伝エスニャンダモ』第一巻ですにゃー」

 暑苦しいおっさんのイラストだった。目の毒だ。

「そ、それにしても……またニャンダモか……」

 その古代の英雄とやらは、そんなに偉いのか。

「にゃーたちはニャンダモが大好きなのですにゃー。いい商品が出来たら、ニャンダモの名前を付けるのは基本ですにゃー」

 偉い……のか……?

「ニャンダモキャンディー、ニャンダモサイダー、ニャンダモせんべい、ニャンダモこけし。ニャンダモ将棋、なんてのもありますにゃー」

 なんでもありか。

「ああ、話がそれましたにゃー。ニャンダモですにゃー」

 なんの話だよ。

「にゃーは、この漫画が大好きなのですにゃー。作者はニャーゴ・エス・ニャーゴロ、ファンの間ではエス画伯と呼ばれてますにゃー」
0928この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 19:44:01.82ID:slTeA4so
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第七話】(3/3)

 サタンニャンダモの手下に取り囲まれるシャイニングニャンダモ。

『にゃーの爪が太陽光で光りますにゃー。あなたたちの毛根を焼き尽くしますにゃー』

 シャイニングニャンダモの両手が光り輝く。

『シャイニングクロー! ですにゃー』

 敵の毛根に寄生していたサタン細胞は浄化され、シャイニングニャンダモ一行は危機を脱した――――

 …………――――…………――――…………

「――――という話ですにゃー」

 俺は女から漫画の内容について説明を受けていた。

「大体の話は分かったが……面白いのか、これは」

 俺が、思ったことを正直に口にすると、女は一瞬だけ固まった。

「打ち切りですにゃー」
「何がだ?」
「エスニャンダモの連載は打ち切りで終了したのですにゃー!」

 そうか。だろうな。俺が思ったのはそれだけだが、女はこの漫画に強い思い入れがあるようだった。

「この漫画は、にゃーの、最高の友達でしたのにゃー! にゃーの頭は、打ち切りで、シャインするところでしたのにゃー!」

 叫びつつ、女はコンクリートの地面を転げ回った。
 そんなにか。

「というのが、かれこれ十数年前の出来事ですにゃー」

 女は立ち上がって、牛の横に立った。

「今は、ワタリガラス号がいますからにゃー」

 女が騒いでも、頭を背中に押し付けても、牛は大人しくしていた。
 夕食を済ませると、俺たちはそれぞれ寝る準備をした。
 牛を間に挟んで横になる。

「これが、にゃーたちの距離ですにゃー」

 女はそれだけ言うと、寝袋の中で寝息を立て始めた。
 旅慣れているのか、大物なのか……。
 俺は星の見えない夜空を見上げ、まぶたを閉じたのだった。
0929この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 19:45:12.72ID:slTeA4so
最後の最後に、こんなのばっかりな話

続きは・・・次スレでも・・・
0931三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/27(日) 22:13:27.50ID:slTeA4so
お題→『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』締切

【参加作品一覧】
>>914【シンディ、私はあなたを応援している】
>>919【殺人鬼の正体】
>>926【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第七話】
0932三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/27(日) 22:15:02.84ID:slTeA4so
ちょ、、ちょっと計算と違いましたが、今回も通常お題5つで

お題安価>>933-937
0933この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 22:16:11.63ID:l7p8yHsE
ロブスター
0936この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 22:24:04.44ID:0Ia+/sy2
『弦月』
0938三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/27(日) 22:28:48.46ID:slTeA4so
☆お題→『ロブスター』『笹』『パーカー』『弦月』『シャワー』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→10/4の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0939三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/27(日) 22:31:13.52ID:slTeA4so
今回はすごい早いね・・・!

お題、作品、感想、ありがとうございます
今回は現スレでよろしくですー
0940この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 22:35:38.53ID:oH2C02BB
供養枠ですorz

お題:『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』

【最弱講師の実戦魔術】(1/3)


 聖アルマウス魔法学園は、国家魔術師への登竜門として有名な学園だった。ここには貴族、平民を問わず、様々な学生が在籍していた。

「……『シャイン』と言う魔法がある。これは、物体に光魔法を付与し、光らせると言う……」
「先生!!」
「……何だい? メルシア・フォン・グライクン」
「何故、今更、そんな基本的な魔法を学ばなければならないんですの!?」

 講師であるアイザックの言葉を遮ったのは公爵家令嬢であるメルシアだった。彼女は父親で、王室筆頭魔術師でもあるグライクン公爵の背を追い、この聖アルマウスに入学して来た。
 だが、彼女の父親であるグライクンが「彼の授業は受けておいた方が良い」と言う言葉通りに受講したアイザックの授業は、彼女を落胆させるに足る講義内容だった。

「……この講義は、より深く魔術に対する認識を深める為の物だからだ」
「知っています!! ですが、そんな初歩中の初歩など、このクラスに居る者であれば、誰だって分かって居る事です!! 私だって中級魔術の『ファイアランス』程度なら使えます。いまさら、そんな下級魔術など、学ぶ必要など無いでしょう?」

 そんなメルシアの言葉に受講している何人かも頷いている。

「……『下級魔術』ね、では、こんな下級魔術の具体的な使用方法は?」
「? 使用方法も何も、明かりが欲しいのであれば『ライト』の方が便利ですし、戦闘に役に立つのは『フラッシュ』ですわ。ほんのりと対象を光らせるだけの『シャイン』は攻撃にも使えない、言わばハズレ魔術です」
「……本気で言ってる?」
「そうですわ!」

 アイザックは大きく溜息を吐く。

「……あのな、本当にそう考えてるってんのなら、そんな考え、捨てっちまえ」
「は?」

 アイザックの言葉に、メルシアが目を剥いたその瞬間。

 キーンコーンカーンコーン……

「……今日の講義はこれで打ち切りだ。ああ、そうだ、『シャイン』で何ができるのかは、宿題にしておく、各自次の講義までに考えて置け」
「ちょ、お待ちなさい!!」

 そう言ってアイザックはメルシアの言葉をサラッと無視して、教室を出て行ってしまった。
0941この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 22:39:24.22ID:oH2C02BB
【最弱講師の実戦魔術】(2/3)

 ******

「まったく、何て失礼な講師でしょうか」

 その日の授業も終わり、メルシアは徒歩で帰宅をしていた。迎えの者が馬車で着てはいたのだが、モヤモヤとした憤りを少しでも晴らす為に、歩いて帰る事にしたのだ。
 公爵家令嬢である彼女の言葉を無視する者など、今までは居なかった。
 当たり前だ。王家を除けば最高位である貴族の、その御令嬢であるメルシアに対し、無礼な振る舞いなど誰ができるだろう。

「お前達も、そう思うでしょう? エイメン、バラライカ」

 そう言って、彼女が護衛二人の方を振り向いたその時である。

『んん? んんんんんんんんん?』

 辺りに生臭い風が吹いたかと思うと、周囲の空気が不意に凍り付いたかの様に感じられた。

「お嬢様!!」
「我々の後ろに!!」

 そう言って、メルシアを後ろに庇う様に護衛の二人が前へ出る。

『んん? んんんんん〜〜〜〜〜?』
「ひっ!!」

 突如、自分の顔を覗き込んで来たソレに、メルシアは思わず悲鳴を上げた。

 ボロボロのローブを纏った禿頭の枯れ木の様な老人。その眼球の無い深淵の様な両目に見つめられた途端に、メルシアは自分の心臓を握られたかの様な怖気がし、足がガタガタと震え、動けなくなってしまったのだ。

「この!! 不埒者め!!」
「お嬢様から離れろ!!」
『ん? んんんんんん?』

 飛び掛る護衛。しかしその二人は、老人が手を振るった、その一撃だけで吹き飛ばされてしまう。

『ん〜……?』
「な、何を……」
『善き、眼じゃ。それを貰おう?』
「は?」
『んん? んんんんんんんん?』

 老人が丸自慢のコレクションを見せるかの様に、そのローブを開いて見せる。

「ひっ!!」

 メルシアがその場で気を失わなかっただけでも上等だろう。皮が弛み、張りの無くなったその胴体には、おびただしい程の眼球が縫い付けてあったのだから。
 先程の老人の言葉を思い出し、蹴れの目的が自分の目玉だと思い至った彼女は、どうにかならないかと、必死に周囲を見回すが、近くに居るのは倒れた護衛の二人だけである。
 不運としか言いようは無いだろう。“魔”に見初められてしまったのだ。
 どこか、ガクガクとした動きの老人が迫って来るが、メルシアにはへたり込む事しか出来なかった。

「……あのね、オタク等うるさすぎ。魚、逃げちゃうでしょ?」

 そんな場違いな声に、メルシアも老人も思わず動きが止まる。
 そこには、釣竿を持って魚釣りをしているアイザックの姿があった。
 そんなアイザックに、老人が腕を振るう。先程の護衛の事を思い出し、メルシアが思わず声を上げた。だが。
0942この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 22:41:58.86ID:oH2C02BB
【最弱講師の実戦魔術】(3/3)


 その腕は、アイザックの持つ釣竿でヌルリと受け流された。そしてアイザックはまるで今気が付いたかの様に周囲を見回し、倒れた護衛と怯え切ったメルシアを見た。

「……ふ〜ん? オタク、ロリコンだね?」
『んん? んんんん!?』

 ブンブンと振り回される腕をヌルリヌルリを躱すアイザック。それに業を煮やしたのか、老人がまるで重力を無視したかの様な動きでメルシアの方へと……

「……『ダーク』」

 そのアイザックの呪文で周囲が闇に包まれる。と、メルシアは、何かに抱きかかえられた。
 思わず身を竦めたメルシアだったが、しかし「……大丈夫だ」と言う声で、自分を抱きかかえたのがアイザックだと気が付いた。

「先生!」
「さて、不審者はかたずけなくちゃな」

 そうは言うが、今この辺り一帯は『ダーク』の呪文によって闇に包まれ、隣にいる者の顔さえ見えない。『ダーク』は、周囲10m程の空間を闇に包むと言うだけの下級魔術だ。
 単純であるがゆえに発動速度が速く、それ故にアイザックが唱えたのだと理解出来る。だが……

「どうやって……」

 メルシアは、そう疑問に思った。なにせ『ダーク』は下級魔術なだけあり、相手を指定できると言う類の物では無い。
 つまり、敵も味方も構わず闇の中であり、お互いにその姿を確認すらできないのだ。

「……いや、見えるだろう?」
「え?」

 アイザックの声にメルシアが目を凝らす。

「光?」

 闇の中に、幽かな光。

「もしかして……『シャイン』」
「……正解『ファイアブリット』」

 次の瞬間、おそらくアイザックの魔術だろう。聞いた事の無い呪文が聞こえ、炎の弾丸が発射された。

 ******

 『ダーク』の効果が切れると、そこには眉間を打ち抜かれた老人倒れていた。その老人の身体からアイザックが何かを外している。
 あまり近寄りたくは無かったが、それでも気になったメルシアが「それは?」と訊ねると、アイザックはソレを摘まんで見せてくれた。

「釣り針……ですか?」
「……そう、こいつに『シャイン』を付与して、この爺さんに引っ掛けておいたんだ」

 「保険代わりにね」と、アイザックは言った。

「何故、とお聞きしても?」
「……僕は生来、魔力量が少なくてね、どうしたって下級魔術しか使えない。だから、それなりの工夫さ」

 そんなアイザックの告白に、メルシアが目を瞠る。だが、アイザックは面白くもなさそうに溜息を一つついた後、口の端を吊り上げた。

「……でも、ま『シャイン』も役に立つだろう?」
0943この名無しがすごい!
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2020/09/27(日) 23:50:14.59ID:slTeA4so
>>940
なるほど・・・うまく組み立てた話ですね・・・
不審者が無駄に強い上に、マジで不審者だったw
0944この名無しがすごい!
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2020/09/28(月) 14:42:57.40ID:fltRTG/8
>>938
使用するお題→『ロブスター』『シャワー』

【結婚記念のご馳走】(1/2)

夜の9時、レストランの閉店時間となった。

「レイチェル、お疲れ様!」
「今日も一日本当に楽しかったわ、ライアン!」
「そうそう、レイチェルに見せたい物があるんだ」
「見せたい物って?」

ライアンがニコニコしながら、白くて大きな箱を持ってきた。
蓋を開けてみると、そこには大きくて赤い立派なロブスターが入っていた。

「ワァ、大きなロブスター!」
「まだレイチェルが寝ている早朝に届いたんだ。明日は何の日か覚えてるかい?」
「明日?明日って確か・・・私とライアンの結婚記念日!」
「その通り!僕とレイチェルの結婚記念と、このレストラン開店5周年記念も兼ねて、このロブスターを料理しようと思うんだ!」
「本当!?やったー!ロブスターなんて最近全く食べていなかったから凄く楽しみだわ!」
「ロブスターは高いからね。今回は奮発して高級なのを選んだんだ!」

明日の結婚記念かつレストラン開店5周年を記念してのロブスターパーティーに、レイチェルはワクワクが止まらなかった。
それに明日はちょうど水曜日で定休日なのも好都合だった。

・・・・・・・・・・

翌朝の5時、ライアンがまだぐっすりと気持ち良さそうに眠っている中、
レイチェルはベッドからこっそりと出て、お馴染みのガンマン衣装に着替える。
そして階段を下りてキッチンへと向かい、冷凍庫の扉を開ける。

「あった、あった!」

レイチェルが手に取ったのは、あのロブスターが入った白い箱だ。箱の蓋を開け、ロブスターをじっと美味しそうに見つめる。

「ライアンとこの女ガンマン・レイチェルが今日、あなたを美味しくいただくわよ。覚悟してなさい、ウフフ・・・」

レイチェルが興味本位で指で少しツンツンとついたその時だった。ガパッ!とロブスターがいきなり動き出したのだ。
突然動き出したロブスターに、レイチェルは思わず「キャッ!」と声を上げて驚き、尻餅をついてしまった。

「えっ!まだ生きてたの、このロブスター!?」

ロブスターは箱から飛び出して床に落ちると、そのまま逃げ始めた。

「コ、コラ待ちなさい!」

レイチェルは急いでロブスターを捕まえようと追いかける。水中でないにも関わらず、意外と動きは素早く、レイチェルは悪戦苦闘してしまう。
しかし、諦めずになんとかリビングの隅の方にまで追い詰める。

「このレイチェルから逃げることはできないわよ?」

レイチェルが追い詰めたロブスターに掴もうと手を近づけたその時、ロブスターはハサミで彼女のブーツの爪先をギュッと挟んできた。

「ワワワワッ!い、痛いッ!放してッ!!」

レイチェルは必死になって足を振るが、ロブスターは頑なに放そうとしない。
思わず足を勢いよく振るとその拍子にブーツが足からスポッと脱げてしまい、
ロブスターがそのままブーツと一緒に開けっ放しの窓から外へと飛び出してしまった。
0945この名無しがすごい!
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2020/09/28(月) 14:44:16.72ID:fltRTG/8
【結婚記念のご馳走】(2/2)

「いけない!」

レイチェルは急いで外に飛び出し、近くの森の中に逃げようとするロブスターを追いかける。
森の中に逃げられたら一巻の終わりだ。とにかくレイチェルは死に物狂いで追いかける。
ロブスターも力が尽きてきたのか、動きが段々と鈍くなっていく。
今だ!とばかりにレイチェルは一瞬の隙を突いて、ロブスターを強く掴んで捕まえた。

「やっと捕まえた!本当に人騒がせなロブスターね!」

しかし、ロブスターを捕まえるのに無我夢中だったレイチェルはちゃんと前を見ておらず、前方の木に勢いよくドンッ!とぶつかってしまった。
その衝撃で枝についていたミツバチの巣がレイチェルの頭上に落ち、彼女は蜂蜜まみれになってしまった。
怒ったミツバチ達がレイチェルを追いかけ始めた。

「ワーーーーーッ!ごめんなさーい!!」

レイチェルはとにかく必死に走り、なんとか家の中に逃げ込み、ミツバチ達の怒りから逃れることができた。

「ハァ、ハァ・・・ほ、本当に死ぬかと思った・・・」

全身が蜂蜜でベトベトになってしまったものの、逃げたロブスターを捕まえることには無事成功。
すると、ちょうど目を覚ましたライアンが階段を下りてきた。

「おはよう、レイチェル!って、一体どうしたんだ!?」
「じ、実はね・・・」

レイチェルはさっきまでの出来事を全てライアンに説明した。それを聞いたライアンは大笑いだった。

「ロブスターに逃げられ、足を挟まれ、蜂蜜まみれになってミツバチに追いかけられる・・・レイチェル、コメディ俳優になれるんじゃないか?」

ライアンの言葉に思わずレイチェルは苦笑いする。その後、レイチェルはシャワーを浴びて体を綺麗にすると、
数々のハプニングに疲れてしまったのか、リビングのソファーの上で眠りに落ちてしまった。

・・・・・・・・・・

「レイチェル、料理できたよー!」

ライアンの呼ぶ声にレイチェルは目を覚ます。深い眠りに落ちてしまったためか、既に夕方の5時が来ていた。
レイチェルが食卓に来てみると、テーブルの上には美味しそうなロブスターのグラタンが置いてあった。

「僕特製のロブスターのガーリックグラタンだよ!どうぞ召し上がれ、僕の可愛いガンマンちゃん!」
「うっわあ良い匂い!ではお言葉に甘えて早速!」

レイチェルは無我夢中でライアンの料理にかぶりつく。まるで狙った獲物は絶対に逃さない肉食獣、ではなく荒野のガンマンそのものだった。

「美味しーーッ!!もう最高!!」
「慌てないで、おかわりはまだいっぱいあるよ」

自分の料理を美味しそうに食べるレイチェルの姿を見て、ライアンはとても幸せそうだ。

「レイチェル、これからもレストラン頑張っていこうね!」
「もっちろん!ライアンとこの女ガンマン・レイチェルに怖いものなんて無いんだから!」
「(レイチェルったら、本当に可愛いんだから・・・)」

とにかく幸せいっぱいな2人なのであった。
0946この名無しがすごい!
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2020/09/28(月) 20:42:28.06ID:C6h3gcJd
>>926
相変わらずのカオスなワールドですね
どこまでもマイペースな現地人と中々気苦労の絶えない主人公w

>>944
どこまでもラブラブな二人良いですねw
黒猫姿の時とは違い、ガンマン姿のレイチェルはいつでも騒動の中心ですねw

>>943
感想、有難うございます
放課後の教室でだべっている小学生を書く心算が……
どうしてこうなったorz
0947三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/09/29(火) 00:09:46.47ID:UnYkGqzC
>>944
ロブスター一匹でこんな大騒ぎになるとはw
しかし最後はおいしい料理になってしまった・・・楽しい記念日でしたw

>>946
感想ありがとうございます
主人公は現地人に振り回されてますねw
0948この名無しがすごい!
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2020/09/29(火) 07:13:28.22ID:KgvTKKJ8
>>946
>>947
感想ありがとうございます!
確かにレイチェルが何かしら騒動を起こす時は必ずと言っていいほどガンマン姿の時ですねw
ガンマン姿の彼女はコメディ系、黒猫姿はサスペンス・スリラー系といったところでしょうか
ロブスター一匹にとことん悪戦苦闘するのは書いてて楽しかったです!
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0949この名無しがすごい!
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2020/10/01(木) 20:10:36.70ID:Yr3dMCL8
>>938
使用するお題→『笹』『パーカー』

【ズルはダメだよ】(1/2)

「じゃあねー!また明日ー!」
「バイバーイ!」

下校時間、仲の良いクラスメート達と別れ、カナミは家路についていた。
すると、少し目の前を青いパーカーを着た男の子が歩いているのが見える。
カナミはそれが誰だか知っていた。そう弟のケンスケだ。

「(あっ、ケンスケだ!ちょっとイタズラしてやろっと!)」

カナミはニヤニヤしながらゆっくりと気付かれないよう、弟の背後のすぐ近くまで接近する。
そして首元のフードを掴むと、思いきりケンスケの顔に被せてきた。

「だーれだッ!?」
「ワワワッ!な、何だ!?って、その声もしかして・・・」

顔に覆い被さったフードを脱ぐと、そこにはアハハとおかしそうに笑う姉の姿があった。

「お姉ちゃーん!いきなり何するんだよー!もうビックリしたじゃないかー!」
「ご、ごめんごめん。そのパーカーのフード見たら、何だか急に被せたくなっちゃうんだもん」
「もう心臓止まりそうになるからやめてよ」
「ケンスケだって、後ろから私のポニーテールいきなり引っ張る時あるでしょ?お互い様じゃないの」
「む、むゥ・・・」

ケンスケは一瞬口ごもった。確かにカナミの言う通りだ。
ケンスケもよく彼女のポニーテールをいきなり引っ張ったり、ハイソックスを脱がそうとしている。

「こ、今度やったら、ゆ、許さないからね!覚悟しておいてよ!」
「それはどうかしらねー?」

土曜日、せっかくの休みだというのに生憎の豪雨で外は土砂降りだ。

「あーあ、今日はハヤト兄のとこに遊びに行きたかったんだけどなあ・・・」
「残念だけどこの雨じゃ無理ね。一緒にゲームでもやりましょ」
「うん、そうだね」

雨で外に出られないため、カナミとケンスケはテレビゲームをすることに。
親戚からお土産で貰った美味しい笹団子を食べながら、レーシングゲームでの勝負にもう無我夢中だ。
7個あった笹団子は互いに3個ずつ食べ、残り1個になった。

「笹団子はあと1個・・・お姉ちゃん、僕が何を考えてるか分かる?」
「もちろんよ。絶対に負けないんだから」

1個の笹団子を賭けた姉弟の大勝負がスタートした。最長距離にして最高難易度のコースを5周だ。
互いに一歩も退かない、熾烈な攻防が繰り広げられた。

「だいぶ腕を上げたわね、ケンスケ!それでも弱点の詰めの甘さを克服するまでに至ったかしら?」

「口ばかり動かしてると集中力が途切れちゃうよ、お姉ちゃん」

残り1周、それは起こった。
0950この名無しがすごい!
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2020/10/01(木) 20:11:42.89ID:Yr3dMCL8
【ズルはダメだよ】(2/2)

「さあ、私の華麗なドライビングテクニックをその目に焼きつけなさい!」

しかし、一瞬の気の緩みでカナミは思わずトラップに引っかかりスピン、そのまま崖から落ちてコースアウトしてしまった。

「ウワワワワッ!そ、そんな!」

優勢だったカナミをケンスケが追い抜いた。

「ほら言ったじゃないか、口ばかり動かしてると集中力が途切れちゃうって」

ゴールは目前。コースに復帰した姉は急いで弟の後を追うが、これではもう間に合わない。

「僕の勝利は確実だ!」

その時、一瞬魔が差してしまったのか、カナミはケンスケのパーカーのフードを掴み、そのまま顔に被せて視界を遮ってしまった。
画面が見えなくなった弟はそのままコースアウト、それを姉が追い越してゴールインした。

「やったー!私の勝ちー!笹団子は私のものー!・・・」

勝利に歓喜するも、カナミはすぐに我に返る。自分はズルして勝ってしまった。
隣に恐る恐る目を向けてみると、ケンスケが何も言わないまま眉間に皺を寄せてじっと睨んでいる。

「あ、そ、その、ごめんねケンスケ。思わず自分の意思に反して手が勝手に動いちゃって、つ、つい・・・。わ、わざとやったわけじゃないの」

必死に弁明する姉だったが、弟は無反応で睨みつけたままだ。
ケンスケは少し近づくと、カナミの手にある笹団子をサッと奪い取って口に入れて食べてしまう。
底知れぬ怒りのオーラが伝わってきて恐怖を感じたカナミはゆっくりと立ち上がり、その場から逃げようとした。
するとケンスケは口を大きく開けて歯を剥き出しにし、カナミを追いかけ始めた。

「ご、ごめん!さっきのは本当に悪かったから!」

しかしケンスケは何も言わない。カナミはそのままケンスケに捕まり、ポニーテールを留めているクリップを外され解かれ、
髪を思いきりクシャクシャされる。その次にこめかみをグリグリ、そして丸めた新聞紙で頭ポコポコの怒涛の3コンボだ。

「本当にごめんなさい!心の底から反省してますから、どうかご勘弁お願いします!」

するとケンスケの攻撃の手がピタッと止まる。姉はゆっくりと顔を上げて目を向けると、弟が満面の笑みを浮かべていた。

「うん、その言葉が聞きたかったんだ」
「ケ、ケンスケ、もう怒ってない?」
「最初から全然怒ってないよ。ただ怒ったフリをしてただけ。お姉ちゃんがああするのは想定内だったから」
「そ、そうだったの。ア、アハハ・・・」
「本気で怒った僕、結構怖かった?お姉ちゃんの狼狽えっぷり、すごく面白かったよ」

安心したのか、全身の力が一気に抜けたカナミはそのままソファーにもたれて眠りに落ちてしまった。
そんな姉に弟は優しく毛布を被せるのであった。
0951三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/10/02(金) 13:05:53.16ID:0JQAnMPX
>>949
お久しぶりの二人、こういうイタズラありますねw
弟くんの反撃も、ちょっとリアルです
0952この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/02(金) 19:15:31.97ID:eUOf+uDV
>>951
感想ありがとうございます!
お久しぶりのブラコンシリーズでございます。ゲームで不利な状況に陥って
負けそうになった時、ついズルしちゃうことってありますよねw
こういう些細なあるあるを書くのって結構楽しいです!
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0953この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/03(土) 14:30:05.15ID:yj81BCQ7
>>949
仲が良いからケンカも出来ますし、仲直りも出来るんですよね
でも、同じイタズラを繰り返していると、本当にみすてられるかもしれませんので
気を付けないといけません
0954この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/03(土) 16:30:21.34ID:edAbNfNw
>>953
感想ありがとうございます!
小さなイタズラ、お互い様といえど程々にということですね
ああ見えてどちらも割と懲りない性格してますから、次に何が起こるか見ものですねw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0955この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/04(日) 20:37:38.07ID:JErFNsGS
>>938
お題:『ロブスター』『笹』『パーカー』『弦月』『シャワー』

【ちょっと贅沢な夜】
 ハッキリした目鼻立ちの、木の強そうなボブカットの少女が、上機嫌で夜道を歩いて居る。
 そんな少女……宵山 千夏の数歩後ろを同級生兼恋人であるはずの須郷 颯が深い溜息を吐きながら追従していた。

「……騙された」
「何よ、騙してなんか無いよ。ザリガニはザリガニだし」

 そう言う千夏をジロリと颯が睨み付ける。誕生日当日にバイトで会えなかったのは颯のミスだ。その埋め合わせにとした千夏の注文が「ザリガニが食べたい」と言う事だったのだ。
 ゲテモノ食いかと、一瞬悩んだ颯だったが、しかし、ネットで調べた『食用ザリガニ1尾60円』と言う安さに目がくらみ、それを了承してしまった。
 「お店はあたしに任せて」と言う言葉に、ザリガニを食べさせてくれる店について何の情報も無かった颯が、安易に千夏に丸投げしてしまったのが彼の敗因だったのであろう。

 海ザリガニ=ロブスター。

 ロブスターは日本では聞き馴染みのない食材だが、はオマール海老と言えば、誰でも聞き覚えがあるだろう。言わずと知れたフランス料理の高級食材である。
 ちなみに伊勢海老も英名ではジャパニーズロブスター。当然高級食材だ。

 かくして颯がバイトでせっせと稼いだお金は、今は二人のお腹の中と言う訳である。
 本格的なフランス料理のお店と言う訳ではなく、もっとリーズナブルなお店ではあったが、それでも高校生の懐事情では痛い出費だった。

「で? 初フランス料理の感想は?」
「うむ、満足じゃ」

 ニッと千夏が笑う。
 弦月の光が、シャワーの様に彼女に降り注ぎ、本来ブラウンの彼女の髪を月色に染める。
 颯は、まるで幻想の様に月夜に浮かび上がる千夏の様子に、思わずパーカーのフードを被った。

「どしたの?」
「何でもねぇよ」

 見蕩れていた事が恥ずかしく、思わず俯いた颯に千夏が問いかける。
 その返答は何時もよりもぶっきらぼうだ。

「ん、何? なんで不機嫌なのよ」
「別に……」
「え〜。じゃ、明日、笹飴プレゼントするから機嫌直してよ颯、好きだったでしょ?」
「いや、それ親父さんのお土産だろ?」
「うん、何か出張の度に買って来るんだよね。余っちゃって」
「おま……」

 お詫びのプレゼントに父親のお土産。
 思わず眉根を寄せた颯に、千夏はニシシと笑いながら言った。

「愛情は入ってるよ? プライスレスで」
0956三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/10/04(日) 22:11:01.00ID:0SGFlp2N
お題→『ロブスター』『笹』『パーカー』『弦月』『シャワー』締切

【参加作品一覧】
>>944【結婚記念のご馳走】
>>949【ズルはダメだよ】
>>955【ちょっと贅沢な夜】
0957三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/10/04(日) 22:12:47.46ID:0SGFlp2N
では今回も通常お題5つ、現スレで取ります

お題安価>>958-962
0958この名無しがすごい!
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2020/10/04(日) 22:13:29.14ID:8TLjKTnp
雪山
0965この名無しがすごい!
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2020/10/05(月) 07:02:14.99ID:iAlcWUOy
>>964
感想有難うございます
中々お題から物語が思いつかなかったのですが
書き上げて見れば駄々甘のカップルの話にw
0966この名無しがすごい!
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2020/10/06(火) 18:08:46.81ID:GFeIRT6L
三代目進行さんもそろそろ交代の時かあ
三代目さんは進行になったとほぼ同時期に、レイチェルの作者さんが物語を描き始めたのがかなりラッキーだったと思う
レイチェルの作者さんのおかげでここまで進行としてのモチベーションを維持できたのも過言ではなさそうなんだよね
0968三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/10/07(水) 00:04:07.46ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.3/29〜4/5

『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』

【参加作品一覧】
>>5【洞窟の中の冒険】
>>11【変態ストーカー、その名はノーマン】
>>16【レンタルお姉ちゃん】
>>21【トライアルセクション】

>>35【コートの向こう側に】(供養
0969この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:05:15.55ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.4/5〜4/12

『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』

【参加作品一覧】
>>42【シチリアでの新しいスタート】
>>49【ダイジョーブッ!】
>>54【士官学校の問題生】
>>58【森の向こう側の私たち】
0970この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:06:19.10ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.4/13〜4/19

『絹のドレス』『白いスーツ』+『刺繍』『厳選』『プリンセス』

【参加作品一覧】
>>74【可愛いプリンセスは危険の香り?】
>>81【思い出は走馬灯のように駆け巡っていく】
>>89【週末の黄昏】
>>90【向こうで立ち話をされているのは聖女様と神官長様ですね】
0971この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 00:07:16.41ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.4/19〜4/26

『ハンマー』『乙女ゲーム』『ポテトチップス』『邪神』『アマビエ』

【参加作品一覧】
>>104【姉弟の仁義なきドタバタバトル】
>>111【楽しいお仕事】
0972この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:08:05.90ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.4/26〜5/3

『ピンクの悪魔』『恋愛頭脳戦』『最終兵器』『レモネード』『銀河最強』

【参加作品一覧】
>>129【伯母の陰謀】
>>135【私のせっかちは治らない、でもそれでいい】
>>144【今回は痛い作文でお茶を濁します】
>>147【ぐーたら女神にやらされる異世界生活】
0973この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:09:02.43ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.5/3〜5/10

ジャンル『ファンタジー』+『悪夢』『絶対領域』『円満破局』『釣り』

【参加作品一覧】
>>163【女騎士と謎の剣士】
>>169【私のニーソに憑依する悪魔】
>>175【宮廷闘争の間違った治め方】
>>180【機知に富んだ竜騎士ドン・タローテ】
0974この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:10:02.43ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.5/10〜5/17

『マインドコントロール』『百人組み手』『媚薬』『理科室の実験』『レモン』

【参加作品一覧】
>>196【懲りない親友】
>>202【乙女心と春の空】
>>208【機知に富んだ達人ドン・タローツ】

>>238【愛にあふれた令嬢ハチベーヌ・ヤギュー】(供養
0975この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 00:11:03.19ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.5/17〜5/24

『難民』『女言葉』『金物屋』『変形』『転校生』

【参加作品一覧】
>>225【金物屋の美女】
>>241【第8王子の錬金術】
0976この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:12:07.57ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.5/24〜5/31

『誕生日』『たこ焼き』『ダブルミーニング』『女装』『過疎』

【参加作品一覧】
>>259【懐かしのシチリアへ】
>>276【闇の終わりと、はじまり】
>>277【イセイの街】
>>281【ディスタンス】

>>326【彼女たちと僕の一日】(供養
0977この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:13:03.21ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.5/31〜6/7

『アンドロイド』『ゲップ』『エクスタシー』『メイド』『オートマータ』

【参加作品一覧】
>>294【空の果て、軌道都市、二人】
>>304【恐怖のカラクリ人形】
>>312【オートマータはカラクリ羊の夢を見る】

>>344【彼と私の、また別の一日】(供養
0978この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:14:02.04ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.6/7〜6/14

『グッドダンス教団』『目玉焼き』『コロシアム』『あんハピ』『スミロドン』

【参加作品一覧】
>>335【姉弟の仁義なきバトル再び?】
>>341【陰キャさんと陽キャさん】
>>350【しりとり☆リターンズ】
0979この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:15:03.12ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.6/14〜6/21

『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』

【参加作品一覧】
>>365【必殺斬法"折紙の舞"!】
>>375【反逆世界の呪操者】
>>378【よさこいとオリガミ】
0980この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:16:50.28ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.6/21〜6/28

『水飴』『小川』『空色』『とげ』『エルフ』

【参加作品一覧】(1/2)
>>394【受難な姉を救え】
>>402【途中まで書けたけど、没作で……申し訳ねえ、最近調子悪いわ】
>>405【エルフ水飴】
>>409【私の可愛い救世主】
0982この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:18:28.13ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.6/28〜7/5

書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【参加作品一覧】
>>435【謎の祈祷師、現る】
>>441【黒猫レイチェル VS オオカミ女】
>>447【ぶんげいぶ】
>>449【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】
0983この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:19:18.08ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.7/5〜7/12

『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』

【参加作品一覧】
>>466【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】
>>476【だから、笑顔を覚えてろ】
>>480【曇り空の夕べ】
0984この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 00:20:14.99ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.7/12〜7/19

『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【参加作品一覧】
>>508【ある男の結末】
>>512【シグレの思い出】
>>519【初夏の縁側】
>>520【私信】
0985この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 00:21:12.38ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.7/19〜7/26

『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』

【参加作品一覧】
>>536【水底の】
>>566【夢で会える】
0986この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:22:04.19ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.7/26〜8/2

『ナメクジ』『寄生』『デカ』『モネの池』『始祖』

【参加作品一覧】
>>646【無題】
>>657【断章、あるいは、チラシの裏】
>>660【戯れ】
>>662【ファーストファンタジー】
0987この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:23:02.35ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.8/2〜8/9

『用水路』『エクセル』『脳内』『同人誌』『シスター』

【参加作品一覧】
>>680【さよなら私の青春】
>>685【不可解】
>>693【妹様の優雅な趣味】

>>707【今は昔の武勇伝】(供養
0988この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:24:14.63ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.8/9〜8/16

『樽』『さつまいも』『つりっくま』『ワタリガラス』『相棒』

【参加作品一覧】
>>717【あなたは最高の相棒】
>>747【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第六話】
>>750【箱庭の探偵】
0989この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:25:23.40ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.8/16〜8/23

『マッハ』『あやかし』『マツキタツヤ』『連没くん』『ストレス解消』

【参加作品一覧】
>>783【古今おとろしばなし】
0990この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:26:14.60ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.8/23〜8/30

『絆創膏』『ハサミ』『荒い』『快晴だ』『走る』

【参加作品一覧】
>>799【駄目な短編小説の例】
>>807【だめなあそびのれい】
>>810【とある捕り物の一幕】
>>814【夏・山村・禁域】
0991この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:27:08.58ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.8/31〜9/6

『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』

【参加作品一覧】
>>837【喫茶in天然系】
>>839【聖女として召喚されましたが外れスキル『水商売』のせいで神殿から追い出されたので水を売って暮らします】
0992この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:28:02.41ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.9/6〜9/13

最後の一文『もう何も見えない』+『斧』『錬金術師』『周年』『ソロキャンプ』

【参加作品一覧】
>>866【殺人鬼は今、あなたのすぐ近くにいる・・・】
>>873【魔法も、物理も】
>>876【フォッグマン】
0993この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:29:02.14ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.9/14〜9/20

『トイレットペーパー』『たまご』『街角』『参戦』『ひねもす』

【参加作品一覧】
>>893【悲劇の序章】
>>901【マヤの終日】
0994この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:30:02.74ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.9/20〜9/27

『コレクション』『打ち切り』『宿題』『シャイン』『魚釣り』

【参加作品一覧】
>>914【シンディ、私はあなたを応援している】
>>919【殺人鬼の正体】
>>926【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第七話】

>>940【最弱講師の実戦魔術】(供養
0995この名無しがすごい!
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2020/10/07(水) 00:31:03.26ID:WQ4Ji3xh
募集期間2020.9/27〜10/4

『ロブスター』『笹』『パーカー』『弦月』『シャワー』

【参加作品一覧】
>>944【結婚記念のご馳走】
>>949【ズルはダメだよ】
>>955【ちょっと贅沢な夜】
0997この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 00:45:21.31ID:WQ4Ji3xh
今回は余りましたね
良かった・・・
埋めネタ、消せずに手元に残っていたメモを貼るー

>>347プランAのメモ
KHM 11, KHM 13
良い娘と悪い娘
小人たち
兄と妹
罰と死

>>807>>814の元になったアイディア
走らないものが走り、快晴と言いつつ曇っていれば面白い
絆創膏とハサミのグロテスクさ
0998この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 03:11:19.38ID:jqo2KR80
埋め
0999この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 03:11:31.48ID:jqo2KR80
埋め
1000この名無しがすごい!
垢版 |
2020/10/07(水) 03:11:45.84ID:jqo2KR80
埋め
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