安価・お題で短編小説を書こう!7
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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 00:46:46.18ID:07FmpdLu
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
使用お題と【】でタイトルを明記してください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は4レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
R18は禁止です。他に規制はありません。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、権利者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。
別サイトへと投稿してリンクを貼るのも可。
リンク先のタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、使用お題、タイトル、URLを書き込んでください。
※なろうのURLは規制されていますので、KASASAGIか俺Tueee.Net!のURLで代替してください。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/
安価・お題で短編小説を書こう!3
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1522770910/
安価・お題で短編小説を書こう!4
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1529860332/
安価・お題で短編小説を書こう!5
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1541947897/
安価・お題で短編小説を書こう!6
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1557234006/
0002三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/10/28(月) 00:48:06.54ID:07FmpdLu
☆お題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→11/3の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0003この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 07:44:35.93ID:kbTAICKb
>>1
乙です
過疎、過疎と言いつつも、二周年を迎え、7スレ目に突入ですねw
コレからもコツコツやっていきましょう!
0006この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 18:33:28.36ID:UeJ2DqSc
>>1
乙です!

>>2
使用するお題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』
※前スレ>>943【とある教会での出来事】を先に読んでおくことをオススメします

【最高の一枚】(1/3)

秋のシチリアではまだまだハロウィンで盛り上がっていた。
閉店後、シャワーを浴びパジャマに着替えたレイチェルがリビングに来てみると
ライアンがノートパソコンを開いてカチャカチャとマウスを動かしていた。

「何をしているのライアン?また口コミサイトで私達のレストランの評価でも見ているの?」
「ううん、違うよ。ほら、これを見てよ」

ライアンがレイチェルに見せたのは、今自分たちが住んでいる町のホームページだった。
そこにはハロウィンパーティーの仮装大会の出場者の写真がずらりと載せられていた。
魔女やミイラだったり、アニメやコミックのキャラクターだったりと愉快な顔触れで揃っていた。

「みんなとっても素敵ね。ふと思ったけど、みんな自撮りがすごく上手いね」
「僕もそう思ったんだ。慣れているんだろうね」
「私、自撮りが下手だから羨ましいなあ。いつもライアンに写真撮ってもらってるし…」
「そう落ち込むことじゃないだろ。元気出せよレイチェル」

レイチェルはとにかく自撮りが下手でそのことに悩んでいた。
自分でやるとどうしてもブレてしまうし、せっかくのシャッターチャンスの時に手を滑らせて
スマホを落としてしまうなど散々なところがあった。

「私って本当にドジでおっちょこちょい…」
「おっちょこちょいなガンマンもすっごく可愛いと思うよ」
「…ありがとうライアン。早いけど先に寝るわ、おやすみなさい」

そう言うとレイチェルは2階の寝室へと階段を上っていった。

「そんな気にすることでもないのに。まあ、そんなレイチェルも可愛いんだけどね!」

ライアンはノートパソコンの電源を切ると、テレビをつけて好きなドラマを見始めるのだった。
0007この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 18:57:23.17ID:UeJ2DqSc
【最高の一枚】(2/3)

翌朝、レストランの開店準備をする傍ら、レイチェルは上手く自撮りできるよう必死に頑張っていた。
ライアンはそんなレイチェルを微笑ましそうに見つめていた。

「ああっ、またブレちゃった!」
「焦らないでレイチェル。コツさえ掴めば簡単だよ」
「そ、そうよね。落ち着くのよレイチェル、冷静に冷静に…!」

しかし、レイチェルは足下に落ちている空のワインの瓶に気付かなかった。
それを見たライアンが叫ぶ。

「レイチェル危ない!」
「へっ!?」

レイチェルは瓶に足を取られてしまい、後ろへとコロコロと転がっていった。

「わわわわっ!助けてー!!」

そのまま後ろの調味料の棚にドンッとぶつかり倒れるレイチェル。
災難はこれだけでは終わらず、上に置いてあった小麦粉の袋が頭上にドサッと落ち、
レイチェルは小麦粉を被り真っ白になってしまった。

「レイチェル大丈夫かい!?」
「ゲホッゲホッ!!もう最悪…」
「焦らないで、いつかきっと上手くなるよ」
「そ、そうね…」
「ほら、そろそろ開店時間だよ(真っ白になったレイチェル可愛い…)」

余興の合間の休憩などを利用し、レイチェルは必死に自撮りの練習をするのだった。

「わっ、またスマホ落としちゃった!もう!」
「(あれだけ必死ということは、よっぽど悩んでいたんだろうな…)」

必死なレイチェルを見て、そう呟くライアンだった。
1週間後、ライアンが調理器具などの準備をする中、レイチェルが呼んできた。

「ライアン、ライアン!私ね、やっと上手く自撮りできるようになったの!せっかくだから一緒に撮ろう!」
「それは良かったね!ちょっと待って、すぐに行くから!」

ライアンは一旦エプロンを脱ぐと、レイチェルのいる外へ向かった。

「さあ一緒にはいチーズ!」

カシャッ!レイチェルはスマホのシャッターボタンを押す。

「ほら見てよライアン!」

レストランを背景に撮った一枚の写真。するとライアンは妙なことに気付く。

「ん?何だこれ…レイチェル、君の隣に何か変なものが写ってるぞ?」
「えっ!?」

じっくり見てみるとレイチェルの隣に、白く艶のある髪をした白いワンピースを着た少女らしき姿が写っていた。

「レ、レイチェル、これ心霊写真だよ!」
「ちょっと待ってライアン。これって…」
0008この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/28(月) 19:14:17.81ID:UeJ2DqSc
【最高の一枚】(3/3)

レイチェルは自分の隣にいるその少女の姿に見覚えがあった。
そう、あの廃墟と化した教会にいたサニースマイル一族の末裔のジュディだった。

「この子ジュディよ!」
「ジュ、ジュディ?」
「あれ言わなかったっけ?私があの古い教会で会った女の子よ」
「確かいつの間にか姿を消していたんだよね」
「そうなの。それに靴を履いてなくて裸足だったし。やっぱりあの子…」

レイチェルの隣に写るジュディの姿は満面の笑みを浮かべていた。
あの廃墟と化し、解体寸前となった教会が改装され立派に生まれ変わったことに心から喜び、無事に成仏できたのだろう。
レイチェルはそう考えた。

「あの子、やっぱり長いこと教会を荒らされないよう守っていたのね。また教会が活性化することを心から望んで」
「僕も一度会ってみたかったな。レイチェル、君があの教会、そしてジュディの魂を救ったんだ」
「て、照れるわねウフフ…」
「でももう不法侵入はやめてくれよ」
「わ、分かってるわよ!!」

そのジュディが一緒に写っている写真は、そのままライアンのノートパソコンに
レストラン、旅行に出かけた写真らと一緒に大切に保存された。

「この子、きっと今頃私達のレストランの守り神になっているわ」
「そうだね、もう立派な家族の一員だよ」

レイチェルとライアンは顔を合わせ、嬉しそうに笑うのだった。


おしまい
0009三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/10/28(月) 19:43:03.88ID:07FmpdLu
前スレでは不要だったので、今回も不要なはず>保守
コツコツ大事><
続けられる限りは続いて欲しい!

>>6
早速一番乗りw
レイチェルさんの意外な弱点、からの、このシリーズらしい幽霊話
これでジュディの話は決着だと思いますが、再登場があってもいいかもw
0011三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/10/29(火) 01:44:22.53ID:dPn866dF
それねー
もちろん盛り上がっていって欲しいとは思ってますが、なかなか難しいでしょう?

現状の認識として、閉塞感は感じつつも、続けていける気はしています

ただなんか分業制というか、お題を出す人、書く人、読み専、みたいに分かれてしまっている気がします
競馬実況さんは特別枠ですけどw、もちろん役職に押し込めようなどとは思ってません
この分業制は、三代目進行が推進してしまったような気がするんですが、本意ではないです

なので、できればこう、もっと誰でも参加できる感じに、ハードルを下げたいです
だけどそんなにうまくは行かないし、それと書き続けるのが大変なのも分かるし
うーん、どうしたらいいんだろう、って感じですねぇ
0012この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/29(火) 09:14:36.41ID:unq0LXRn
人口は増えてる気もする
いっときは全部で三人くらいの感覚だったw
0013この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/29(火) 09:18:28.42ID:unq0LXRn
>>6
短編スレ7オープンに、祝いの鐘がリンゴン鳴る! 仕事のできる進行氏、さらりとスレ立てサンクス〜>>6もご祝儀投稿だッ、お題選択は『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』、レイチェル・マイ・ショット!!
念のため初見の人用に書いておくと、>>6氏のこのシリーズは西部劇ガンマンのコスプレをするレイチェルさんの連作だ、以上!w それだけ知っていれば十分ッ
さあ、『ハロウィン』で盛り上がる秋のシチリア、仮装を楽しむ町民の写真を見比べ、『自撮り』ができないと悩むレイチェルさん登場〜、『自撮り』ができないってなんだw
『小麦粉』をかぶる猛特訓の末、ついに自撮りマスターとなったレイチェルさんがレストランを背景にシャッターすれば、そこには前回、消えた亡霊ことジュディさん…(『幻想』)の笑顔が! よかったね
魂の救いにより守護霊になったジュディさんがパーティ参加の、R.I.P.ENDォ! 宣言お題をほのぼの消化した>>6氏を皮切りに、スレは再度まったり歩き出す! 書き手も読み手も乙☆乙だッ
0015この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/29(火) 21:53:48.09ID:KPVykaDU
>>6
ハロウィンには、死者が紛れ込んでいるとも言いますから
レイチェルさんは自撮りの時、無駄に力みすぎているイメージがありますよねw
0018三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/10/31(木) 12:44:01.02ID:Go/wO8yZ
そんなこと言われてもね
20レス以上あったのを、17レスまで圧縮したのよー
ほめて?
0020この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/31(木) 19:02:39.01ID:MESRHrCP
>>18
                ┐
         /⌒Y  ./  ノ ┐ ))
/⌒Y  ./   / /     /         __..:.:――-.....
  ノ /   /     /  /      ...:.:.:.:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:..
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 ノ    ノ  ノ  /   ノ   ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.{:;′:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:い:.:.:.:.:.ヽ
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0021この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/31(木) 20:08:52.41ID:hFmAiyTx
>>18
よくやったぞ!
0022この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/31(木) 20:10:33.58ID:3islpxv2
レンタル店強盗殺人“客”の20代男逮捕
今月14日の夜遅く、群馬県沼田市にある本やDVDなどのレンタル店で店員の斎藤康盛さんが殺害され、
店内にあった現金およそ4万円やゲーム機などが奪われたもの。
://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20191029-00000394-nnn-soci

【世堺教師マイ土レーヤ】

親はゲームのためのコンピューターの使用を制限すべきです。
多くのゲームと同様に、それに取りつかれてしまうことがあります。
それは、エネルギーを吸い上げ、現実の生活の幸・不幸を経験するのを妨げる麻薬のようなものです。

Q あなたは、コンピューターゲームには中毒性があると言われました。
  同じことはデジタル音楽プレーヤー(MP3)や多機能携帯電話の至るところでの使用にも言えますか。
  ポップミュージックや携帯メールやチャットなどの絶え間ない注意力の分散は、人間の集中力を弱めますか。
A 今日のように広く用いられると、使用者を自分自身やありのままの人生を体験することから逸らせること、
  言い換えれば、過剰に使用されると、リアリティ(実在)からの逃避になります。
  若者のマインドを意義と挑戦で満たし、もう逃避を求めなくなるようになるには、
  マイ土レーヤのインスピレーションが必要でしょう。

この講演でも言っていましたが、核エネルギーは、人類では制御できるものではないと言っていました。
その放射能の影響が、アルツハイマー病に、現れているとも言っていました。
://humanspace.exblog.jp/24407694/
0023この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/31(木) 20:59:21.32ID:Snw18P43
>>9
>>13
>>15
感想ありがとうございます!
ジュディは書いててすごく気に入ったキャラですので、今後また何らかの形で再登場させたいなと思っています
過去に出てきたキャラを再登場、活躍させるのってすごく楽しいです
今回も楽しんでいただけて嬉しいです!
0024この名無しがすごい!
垢版 |
2019/10/31(木) 22:41:56.73ID:dSCyctN3
この度はとある雑誌に読み切りとして扱ってもらえるようになりました
0025三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/10/31(木) 23:42:06.88ID:Go/wO8yZ
どもw
おめw

あとその、ついでに、次回のお題ですが、また企画なしの通常回をと思っています
企画ありの方がお題の集まりが早い傾向にあって、その方が進行としては楽なんですが
スレ7はスロースタートの方がいいかなと
そのまた次は、前からやってみたかった企画をやります
0028この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/02(土) 19:11:19.28ID:S87zINGQ
すごすぎる
0029この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/03(日) 21:16:54.29ID:n+2v+c/Q
>>2
お題:『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』

【ハロウィンの夜の……】


「トリックオアトリート!!」

 ハロウィンの町は、いつもより賑やかだった。海外ではどちらかと言えば子供の為のお祭りであるハロウィンだが、日本に於いてはむしろ大人の方が騒いでいる印象があるだろう。
 その町も十代後半の若者たちを中心に、どちらかと言えば年齢層の高い者の方が騒いでいる印象があった。
 町の中はカボチャとお化けで飾り付けられ、幻想的な雰囲気を作り出していたのだが、しかし、乱痴気騒ぎと言って良い大人たちの行動が、それを台無しにしていた。

「トリックオアトリート!!」

 そんな町中に突如として噴煙が上がり、街はパニックになる。
 だが、この騒ぎにおいてケガ人などは出ず、むしろ、悪質な悪戯として処理されることとなった。

 何故か?

 それは、噴煙の元凶が、小麦粉をまき散らす爆弾型のパーティーグッズで有った為だ。
 しかし、一部の者の中には、それでも尚、怪奇現象だったと主張する者がいた。その訳は、あるSNSの自撮り写真にあった。

 その人物が撮影した写真には、恐らく小麦粉爆弾を投下したと思しき人物が映っていたのだが、しかし、その人物……ジャックオーランタンのコスプレをしているであろう人物の映っている場所が、到底、人間が居られる場所ではなかったからだ。

 すなわち、地上10m程の空中にである。

 当然ながら、その写真は合成だと思われた。しかし野生の分析班によって、合成ではない事が立証されてしまったのである。
 当然、今も反論はされている。
 だが、その場所に人が存在できない事は事実なのだ。例えば、更に上から落ちてでも来ない限りは……

 その日、この場所で人死にが出ていたと言う話は聞かない。
 しかし、事実として、小麦粉爆弾がこの場所に投げ込まれているのである。
 果たして、地上10mに居た人物は何だったのか?

 ジャックオーランタンは、天国にも地獄にも行けず、地上を彷徨うしかない哀れな魂だと言う。
 そんな彼が、この国の乱痴気騒ぎのハロウィンを見たらどう思うだろうか?

「トリック……オア……トリート…………」
0030三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/03(日) 22:09:40.46ID:r5/xFke5
お題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』締切

【参加作品一覧】
>>6【最高の一枚】
>>29【ハロウィンの夜の……】
0031三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/03(日) 22:11:01.44ID:r5/xFke5
それでは予告通り、通常お題5つです

お題安価>>32-36
0032この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/03(日) 22:16:31.67ID:SWgM5OzU
ジャム
0034この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/03(日) 23:43:18.38ID:/khPrANz
いいね
0037三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/04(月) 00:03:36.11ID:AdoYNb/G
☆お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→11/10の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0038三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/04(月) 00:08:07.74ID:AdoYNb/G
なかなか楽しげなお題が集まりましたね

お題、作品、感想、引き続きありがとうございます
新スレ2回目
今週も安価・お題スレでゆっくりしていってね
0039三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/04(月) 00:10:56.93ID:AdoYNb/G
>>29
幻想・・・ハロウィンの都市伝説
これぞお題スレ、的な余韻に加えて、批判精神のある話でいい感じですね
0040この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/04(月) 03:22:59.58ID:HzCjP0+i
小説よりもやりたいことが出来たんだ
しばらくは離れさせてもらう…
またいつかな…
0041この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/04(月) 08:43:03.39ID:QJiE3eEf
>>29
前回も今回もハロウィン、連続ハロウィン回に挑戦続く、29氏が祭りの祭りたる意味を語り始める〜、主役は不在、全選択! デッドリー・タウン!
さあ、乱痴気騒ぎな『ハロウィン』の夜で、例年のごとくカボチャとお化けで飾り付けられし街並みが、現実感を欠いた『幻想』的な雰囲気に彩られているぞ〜、
「トリックオアトリート」なる叫びとともに噴煙あがり、パニック起こる〜、テロや! ちゃう、正体は『小麦粉』を撒き散らすジョーク『爆弾』ッ、渋○盛り上がりすぎィ〜
しかし、参加者の『自撮り』写真に映ったのは、ありえない中空に浮かぶジャックオーランタンの姿!? かつての死者の祭りもガワだけ使われ今やただのコスプレフェスだッ
誰がための祭りなのか〜、悲しく問いかけるのはカボチャの目〜、さ迷える魂とは死者か、それとも小麦粉ボムでも目覚めぬコスプレ大衆なのか・ENDォ! 29氏、全選択クリアにメッセージ性を込める、パンプキン・フィニッシュ乙だ!
0043この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/04(月) 10:08:45.19ID:CwzSEQxc
>>39
感想有難うございます
実は、お題を見て、すぐに思い付いた作品なんですが、あまりにもストレート過ぎたので色々と考えていました
が、結局そのまま通してしまいましたorz

>>41
感想、有難うございます
都市伝説風に纏めましたが、実はただの風刺と言うw
0044この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/05(火) 13:41:01.24ID:qrFyiU3I
>>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』

【定休日は有意義に過ごそう】(1/3)

ある水曜日の朝8時、もうレストランの開店準備をしないといけない時間なのに
レイチェルはまだベッドの上でスヤスヤと眠っていた。

「わたしはムニャムニャ…さすらいの旅を続ける女ガンマンのレイチェル…ムニャムニャ…」

西部劇の女ガンマンになった夢でも見ているのだろうか、楽しそうに寝言を言っている。
数分後、ハッと目を覚まし体を起こす。

「あーあ夢だったのね、良いところで終わっちゃったなあ。残念…」

ベッドから出るといつものガンマン衣装に着替えるが、いつも被っているウエスタンハットがどこにも見当たらない。

「あれ?私の帽子が無いわ。もしかして…」

1階に下りてリビングに来てみると、ライアンがイチゴジャムを塗ったトーストを頬張り、
テレビを見ながらソファーで寛いでいた。

「あっレイチェル、起きたんだね。おはよう!」

よく見るとライアンはレイチェルの帽子を被っていた。それを見たレイチェルは呆れつつも笑う。

「ライアン、また私の帽子取ったわね」
「ん、これかい?だってレイチェルの帽子を被るの楽しいんだから仕方ないじゃん」
「楽しいから仕方ないって…」

ここ最近、ライアンはよくレイチェルの帽子を勝手に被ったりして彼女をからかうことが多かった。

「いいから帽子を返してよライアン」
「えーただで返すわけにいかないよ。勝負しよう」
「勝負って何よ。またゲーム?」
「もちろん!」

元気よく返答するとライアンは早速テレビゲームの準備をする。
いつもやっているレーシングゲームだ。

「レイチェルが勝ったら帽子を返すよ。でも負けたら今日一日はずっと僕のものだからね。あとそれから…」
「そ、それから何よ…!」
「今日一日ずっと黒猫の衣装でいてね!」
「冗談じゃないわ!絶対負けないから!」

レイチェルはとりあえず条件をのみ、ライアンとの勝負が始まった。
レイチェルとライアンのゲームの腕は互角で、互いに一歩も退かない熾烈なレースが繰り広げられた。
5回に渡る勝負の末、3対2でライアンの勝利となった。

「負けちゃった…」
「さっきのは冗談だよレイチェル。ほら帽子を返すよ」
「私が負けたんだから約束通り黒猫の衣装を着るわ」
「む、無理しなくていいんだよ」
「ううん、いいの」
0045この名無しがすごい!
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2019/11/05(火) 14:11:33.27ID:qrFyiU3I
【定休日は有意義に過ごそう】(2/3)

レイチェルは黒猫の衣装に身を包む。

「(この衣装もやっぱり悪くないわね。これで外に出るのだけは勘弁だけど…)」
「(黒猫のレイチェルやっぱり良い感じ!ガンマン衣装とは甲乙つけがたいなあ)」

もう開店時間30分も前だというのに準備も一切せず、呑気に遊ぶライアンとレイチェル。
実は水曜日は定休日なのだ。レストランを開業してからずっと臨時休業などを除いて特に休みを決めなかったのだが
半年ほど前、レイチェルが体調不良で寝込んでしまい1週間ほど休業したことがあったのだ。
ウエイトレスを担当しつつ余興で客達を楽しませているのは想像以上にハードのようで翌日まで疲れが抜け切らないことが多々あった。
そのためライアンは毎週水曜日を定休日に設定し、レイチェルがきちんと休められるようにしたのだ。

「レイチェル、水曜日はゆっくり休もうね。何か欲しい物があったら僕が買ってくるよ」
「ありがとう。ライアンも絶対に無理はしないでね、料理は体力勝負なんだし…」

しかし今日は生憎の大雨で外で遊ぶことができなくなった。

「今日はテニスかバドミントンでもしたかったのになあ…」
「のんびりDVDでも見て寛ごうじゃないか」
「それもそうね!」

ソファーの上でポップコーンとコーラをお供に好きな映画のDVDを楽しむ2人。
そんな彼らの姿を白いワンピースをきた白い髪の少女がクローゼットの近くから覗いていた。

「(あの2人、とっても幸せそう!それにしてもレイチェルさん、ガンマン以外に黒猫のコスチュームも着るのね。意外だわ)」

途中で昼寝をし体を少し休ませる。夕方頃になると雨は止み、明るい夕焼けが顔を見せた。
0046この名無しがすごい!
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2019/11/05(火) 14:42:27.96ID:qrFyiU3I
【定休日は有意義に過ごそう】(3/3)

「あれ急に晴れてきたわね。今日は一日ずっと大雨のはずなのに」
「天気予報もあまり当てにならないな」
「そうだライアン、今夜はあそこに行かない?」
「いいね!これだけ晴れたらすっごく綺麗に違いないね」

夕食を済ませ、2人は車に乗ってあの場所へと向かう。
そう、あのキラキラ星が美しい絶景を堪能できる丘へと(前スレ>>671【あの日見た夜空】を参照)。

「うっわあ!今日も美しいわ、もはやファンタジーの世界よねここは」
「このシャイニングスターヒルほど美しい場所はないね」

この丘には特に名称は無く、ライアンとレイチェルはここをシャイニングスターヒルと名付けて憩いの場所としていた。
美しい夜空に無数の星がキラキラと元気に微笑んでいる。

「ハ、ハックシュン!冬も近いし夜だからやっぱり寒いなあ」

ダウンジャケットを羽織っているライアンがそう呟く。

「風邪ひかないでねライアン」
「大丈夫だよレイチェル。さてっとあれ始めるかい?」
「星座当て勝負ね!今日は負けないんだから!」

広い草原に座ると、早速星座当て勝負が始まった。

「あれは牡羊座!それにあれは、えーと確か天秤座!」
「残念、あれは双子座だよ」
「くーッ!悔しいーッ!!」
「あれは牡牛座、それから蟹座。あっ、さそり座も見えるぞ!」
「(ライアン、やっぱり凄い…)」

1時間後、勝負は終わり今回もライアンの圧勝だった。

「ライアン凄すぎて勝てないわ…」
「レイチェルも中々だったよ。さあもう遅いから帰ろうか」
「そうね!明日からまた元気に働かなくっちゃ!」

車に乗り家路へと向かう2人。そんな彼らを後部座席から、またあの少女が眺めていた。

「(こんなに仲良しカップル、今まで見たことないわ。すっごく面白いアハハ)」


おしまい
0047三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/05(火) 19:12:48.59ID:Ab5crOQa
>>44
ゆっくり一番〜、ゆっくり休日w
シチリア編の総集編っぽい感じですね
白いワンピース・・・えっと誰だったかな(すっとぼけ
0048この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 00:44:51.50ID:TO5/3yaT
>>37
お題:『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』『変装』

――<最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜>


 神様を殺す方法を考えていたら、いつの間にか空は夜に覆われていた。

「……寒い、な」

 世間は早くも十一月だ。そりゃあ制服にセーター一枚で半日も外に突っ立っていれば体も冷える。
 そろそろ風邪を引く頃合いかもしれない、と思って呟いた独り言には、驚いたことに返事があった。

「そりゃそうだろ」
「うわっ!」

 慌てて振り向く。
 後ろに立っていたのは、誰あろう、幼馴染のクラスメイトだった。クラスメイトの後藤祐也だった。
 夜道で不審者に後ろに立たれていれば通報ものだが、この場合はどうするべきか少し迷う。

 不審と言えば、不審だし。

「びっくりした。何でいるの。ずっといたの?」
「五分ぐらい前からかな」
「短いようで長い……結構普通に怖い……」

 天下の女子高生がドン引きで怯えた様子を見せているのに、クラスメイトの後藤は慌てる様子も、
ぐふふと興奮して襲い掛かってくる様子もなかった。EDかもしれない。
 まぁ、違うのは知っているんだけど。

 後藤とわたしはセックスまではした仲で、一緒に色んな楽しいことをした仲で、そしてもう一生そういうことはしな

いんだろうな、とお互いに思う経験をした仲だった。かつては、彼氏の祐也だった。
 今は違う。クラスメイトの、後藤祐也だ。

 まぁ後藤だったら襲われても後藤のおばさんに泣きついて慰謝料をせびれば元は取れるだろう、と適当に計算し、わ

たしは昔馴染みの不審者に対する警戒をやめた。得にならないことはしない。コストパフォーマンスこそがすべて。今

時の若者ってやつだ。
0049この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 00:46:10.01ID:TO5/3yaT
「本当は、何しに来たの?」
「うん。死のうかと思ってさ」

 後藤はごく普通に言ったし、私はごく普通に聞いた。そっか、とだけ返す。
 冗談で言っていると思ったからではなく、本気で言っているのを知っていたからだ。
 知った上で、私は自分が何もしないことを知っていたからだ。

「父さんと未穂が死んで、そろそろ半年だろ? だから、ちょうどいいんじゃないかと思って」

 何がちょうどいいのかはわからない。けれど、いちごジャムのジャケットを着た後藤は、へらへらと冗談を言うよう

な口調で、そうやって自殺の相談を持ち掛けてくる。

 後藤は頭がおかしくなってしまった。
 理由は明白で、今年の春に後藤のお父さんと妹が、事故で同時に亡くなったからだ。
 
 私はいつも通り高校の制服を着ていて、後藤はいつも通り高校の制服を着ていない。
 それはつまり、半年前から、後藤は学校に来なくなったということだ。
 後藤がお母さんと二人だけになった家で、どんなことを話しているのかは知らない。

 嘘だ。知っている。
 後藤はお母さんを気遣って、頭のおかしくない立派な息子のふりをしている。
 でもそれはずっと限界で、学校にも行けないほどに限界で、だからこうして私に対して吐き出している。
 吐き出さなければ、後藤は死んでしまう。それがわかっていて、私はそれを拒んだ。

 後藤のお父さんと妹が死んで、後藤の頭がおかしくなって。
 一ヶ月が経った頃に、私と後藤はただのクラスメイトになった。
 私が、後藤を受け止めることができなかったから。

 嘘だ。できなかったんじゃなく、しなかったのだ。
 したくなかった。それだけだ。

 セックスはできた。罵倒することもできた。くだらない冗談を言うこともできた。
 けれど、大好きな幼馴染の男の子を助けるために人生を捧げようと思うことは、私にはできなかった。
 それが私だった。そういう私だったことを、私はその時になって、知った。

 今も、私は学校に通っている。ごく普通の高校生のように。
 ごく普通の高校生ではなくなってしまった後藤を置き去りにして。
 ごく普通の高校生ではなくなってしまった後藤を拒んで。

 そんなことを半年も続けていたら、流石に私もだんだんとごく普通の高校生ではなくなってきたようで。
 神様を殺したくて殺したくて仕方なくなってきたので、放課後にこんな場所で街を眺めていた。
 神様を殺す方法は思いつかなかった。思いついたのは、私か後藤が死ぬ方法だけだった。

 そして私は、それをしようとは思わない。
 私はそういう女の子だった。
0050この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 00:46:29.31ID:TO5/3yaT
「なぁ、深山」

 後藤は、そういう風に私を呼んだ。
 遥佳、と呼んでいたことをまるで忘れてしまったかのように。

「なに?」

 うっすらと塗り潰された街を見下ろしながら、私は返事だけをした。
 一緒に死んでくれ、とでも頼まれるのだろうか。そう言われたら、私はどうするのだろう。

 抵抗するべきだろうか。大声をあげて、後藤を刑務所に突き出すべきだろうか?
 少し考えて、やめた。
 得にならないことはしない。現代っ子だから。

「あのさ」

 後藤がこっちをじっと見つめて、何かを言おうとしている。
 ジェットコースターが頂上付近にゆっくりと上がって行く時のような気持ちで、私はかたくなに街を眺める。

「――ありがとな、色々とさ」

 思わず、「は?」という声が漏れて、私は後藤を振り向いていた。
 後藤は笑っていた。へらへらとした頭のおかしい笑い方ではなく、祐也だった頃の、ごく普通の笑い方だった。

「え、え? なにが?」

 慌てた私は、逆にごく普通からは外れてしまった。
 けれど混乱していて、直そうにも直せない。

 だって、おかしいはずだ。後藤が私に、そんな言葉を言う理由がない。
 私が言われるべきなのは恨み言か、あるいは頭のおかしい誘いだけのはずだ。
 後藤をごく普通に戻すことができずに、私は後藤を見捨てて、一人で逃げ出したのだから。

「私、何もしてないじゃん。謙遜とかじゃなくて本当に、何もしなかったのに、なんで」
「そうだな、何もしてくれなかったな。別れようって言われた時は、まぁ、正直ショックだったけどさ。……でも、葬

式に来る可哀想な顔の連中と違って。父さんと未穂が死んで、泣きまくったり、口が悪くなったり、変なことを言い出

したりした俺の話を聞いてくれて。お前はさ、苦しそうな顔をしてくれたから。
 別れようって言う時も……今日こうやって、何時間だか知らないけど、ずっと立ってた時も。俺が来たのにも気付か

ないほど、一生懸命苦しそうな顔で何かを睨んでて。それを見てさ、ああ、俺の他にも苦しんでてくれる奴がいるんだ

なって、思えたんだよ」
「……何それ。結構最低な話じゃない?」
「そうかもな」
0051この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 00:46:51.35ID:TO5/3yaT
 ははは、と後藤は夜の街に向かって笑う。吐く息が白い。都会というわけではない、でも田舎と言えるほどでもない

半端な街の、星の見えない夜空と、星の数ほど光っている街の明かり。それに照らされて、後藤は笑っている。
 どこか憑き物が落ちたような、ごく普通の顔で。

 最低な決断をした私のことを、けれど後藤は、最低な基準で感謝していたらしい。
 それは全然美しくなんてなくて、物語にしたらラブストーリーのでき損ないもいい所で。
 けれど、そんな私たちだということを、私たちは、この時になって知れた。

 やがて吹き出すというほどでもない笑いが自分の口から零れて、私は後藤と一緒になって小さく笑い出した。
 ふふふ、ははは、と笑い声が調和する。明るくも、陽気でもない、夜に包まれたいちごジャム色の笑い声。
 それはダサくて、格好悪くて……けれどきっと、私たちの色なのだろう。

「学校、そろそろ行こうかな」
「ふぅん。死ぬのはやめたの?」
「やめてないけど。でもまぁ、たまに死のうとするぐらいで、バランスは取れる気がしてきた」
「へぇー」

 わざとらしく一ミリも興味がなさそうな声を出して、私は、後藤にこのやろう、とまた笑われる。

 少し前までごく普通だった、彼女の遥佳と、彼氏の祐也に戻ることはもうきっと、一生ないのだろう。
 けれど、それでも。最低な私と、最低な後藤でも、それなりに生きてはいけるのかもしれない。

 夜が落ちてきて、変装をしてしまった街で。
 それでも私は、幼馴染と昔のように笑っていた。
0052この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 10:02:26.57ID:yEC5pFzz
>>44
この人に踏破できない回はない、44氏がレイチェルシリーズを安定快走させてゆく〜、選択お題は『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』で、レイチェル・ザ・ブレークタイム!
さあ、今回はレイチェルさんの定休日をはじめから追ってみよう、彼女が目覚めると、まず『ジャム』トーストを頬張るライアンさんが彼女の帽子をかぶって笑っている、和やかな新婚の朝〜、
ゲームに負けて黒猫コスに着替えさせられ、レイチェルさんが赤面する〜、いいぞもっとやれ、羞恥プレイだw さて日は落ちて、夕焼けを見て『ダウンジャケット』を羽織るライアン氏、お出かけか、
これだけ晴れたらすっごく綺麗に違いないね、『いいね』と言いつつ、通称シャイニングスターヒル(かっこいいw)で美しい『夜空』の星を見て語らう二人はもはや無敵ィ、なんびともこの平和を乱すことは、って
何者かの盗撮的な視点? これは例の守護精霊w 選択お題をレイチェルさんの休みの一日に反映させつつ、44氏がシチリア編の構成員を増やしてゆく、じっくり休んでドタバタ劇の準備は完了! 一休みENDだッ

>>48
もしや初投稿か、48氏の選択は『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』『変装』、ボリューム大の投下だな、やる気まんまんか! 夜闇いちごデイズ!
さあ、神様を殺す方法を考えていたと言い放つヤバい女子、深山さんが振り返ると〜、そこにはいちご『ジャム』色『ダウンジャケット』を着た後藤くんがおったそうな、
物語が語るは別れた二人のそのいきさつだァ〜、家族を無くし精神の均衡を保てなくなった後藤くん、彼と決別した深山さんは見捨てた自分を冷徹に罰する〜、こんな運命を与えた神様を殺す方法を探しながら〜、
都会の街の星の見えない『夜空』の下で、星の数ほど光る街の明かりに照らされ邂逅の二人、しかし後藤くんは笑う、そうやって横で苦しんでいる深山さんに自分は救われるのだと〜、なるほど、最低だと言っておこうッw
完全形にはほど遠い二人なれど、ようやくバランス取れそうだ〜、夜が落ちてきて、『変装』をしてしまった街で…詩的ENDォ! 選択お題を全消、48氏がボリュームある短編で二人のでこぼこな道を示す〜思い入れを感じるぜ、乙フィニッシュ!
0053>>48
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2019/11/06(水) 15:40:43.01ID:TO5/3yaT
>>52
初投稿です///
0054この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 15:40:57.77ID:VH0PXEPO
久し振りに来たらスレが二つも進んでて此処に来るまで時間かかったwちゃんと続いてるみたいで良かったよこれからもよろしく
0055この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 15:51:04.21ID:7k+UFe8x
>>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』
※前スレ>>764【嗚呼、我が愛しい弟よ】を先に読んでおくことをオススメします

【遠い帰り道】(1/3)

ある日曜の午後のこと、カナミとケンスケは商店街へと向かっていた。
特に何もする事もなく暇だったので、母からお使いを頼まれたのだ。

「お姉ちゃん、せっかく商店街に行くんだから本屋とかにも寄ろうよ」
「そうね、でも先にちゃんと買い物済ませなきゃお母さんに怒られるわ」

スーパーマーケットに入ると、2人は母から手渡されたリストを確認する。

「えっと買う物は牛乳にブルーベリージャム、それから食パンっと…」
「僕はジャムを探しに行ってくるよ」
「任せたわよケンスケ」

カナミは飲み物コーナーから牛乳パック、パンのコーナーから食パン一袋分をカゴに入れていく。
するとケンスケがジャムを持って戻ってきたが、彼が持っていたのはイチゴジャムだった。

「ケンスケ、買うジャムはイチゴじゃなくてブルーベリーよ?」
「ブルーベリー探したんだけど無かったんだ。一応お店の人にも聞いたんだけど既に品切れだって」
「仕方ないから代わりにイチゴのを買っておくことにしましょ」
「それもそうだね。お母さん、別に怒ったりしないだろうし」

会計を済ませ、手持ちの手提げバッグに荷物を入れて店を出る。

「お姉ちゃん、買い物も終わったことだし本屋に行こうよ!」
「そうね、まだ時間もあるし」

近くの本屋に入ると、カナミとケンスケは一緒にコミック雑誌を立ち読みして楽しむ。

「うわあ、もうここまで話進んでたんだね。もうラスボスじゃないか」
「ということはもう最終回も近いのかも」
「欲しいけど今お金ないしなあ」
「また今度来た時に買いましょ」

しかし漫画に夢中になっていた2人は時間がかなり経っていることに気付かず、
外に出てみるともう薄暗く、太陽が沈みかけていた。
0056この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 16:01:46.28ID:VH0PXEPO
使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』から1つ以上選択

【バカップルの片割れ】(1/2)

冬の寒空に白い吐息が昇っていく、満点の星々が輝く夜空に、肌を指す乾いた冷気、久し振りの外出で冬の寒さを忘れていた俺には些か厳しすぎる環境に思わず二度目の溜め息をこぼす。

ふと後ろを振り返れば参拝客がずらりと並んでいる、随分と長い間並んでたんだなとその列の長さを目安に時間を計り、そして前を見てげんなりする。
残念ながら後ろに並ぶ参拝客よりも前に並ぶ参拝客の方が多いようだ、周りの連中はホカホカのコートやダウンジャケットを着ているが、俺は部屋着同然のパーカーだけ…………流石に凍え死にそうだと両腕を抱く。

「独り身はつれえなぁ」

なんて呟いてみても後ろのバカップルの頭にくる騒がしさに呑み込まれて消えていく、て言うか後ろのバカップルの片割れ……特に男の方に見覚えが有るような?
0057この名無しがすごい!
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2019/11/06(水) 16:15:28.75ID:VH0PXEPO
【バカップルの片割れ】(2/2)

もう一度

後ろを振り返り確認する、普段はボサボサの髪を整え、ダサいスウェットをなんかオシャレな服に着替えたその男…………髭も剃ってるしほぼほぼ変装レベルで原型がないがやはり知り合いだ。

「(仕事サボって何やってんだコイツ)」

コイツは今現在仕事中の筈だが? つか今月のネームまだなんだが遊ぶ暇あんならサッサとしてくれよ…………
なんて言い出せる雰囲気ではないな、つか業務外で関わりたくない、まあそんな理由で俺は賽銭箱に百円を投げて彼女が欲しいと願ってから家に帰った。

「カロメにジャム…………元旦だぞ餅食えよ俺、いや美味いよ、美味いけどさ」

一人暮らしを初めてからどんどんと適当になっていく自分の食事に自分でツッコミ、炬燵の上でノートパソコンでTwitterを確認しながらジャムを塗ったカロリーメイトをつまむ、自分でやっといて自分で虚しくなるやりとり
0058この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 16:17:00.98ID:7k+UFe8x
【遠い帰り道】(2/3)

時計を見てみると4時50分、ほぼ5時が近づいていた。冬が近いため太陽の沈みが早い。

「どうしようお姉ちゃん、早く帰らないとマズいよ」
「そうね、急ぎましょ!」

カナミとケンスケは家路を急ぐ。両親からは門限は6時と決められており、
まだ1時間ほど余裕はあるものの、日が暮れて真っ暗になると何かと物騒だ。

「とにかく今は何も考えずに家へと一直線よ!」

とにかく必死に走っていたため、手に持っているバッグがブランブランと激しく揺れる。
その拍子に中に入っていたイチゴジャムの瓶が落ちてしまった。

「あっジャムが!ケンスケ、バッグ持ってて!私が取ってくるから!」
「了解!気をつけてね!」

カナミはケンスケにバッグを渡すや否や、土手を転がり落ちていくジャムの瓶を追いかける。

「待てー!ジャムの瓶ー!」

しかし足下に落ちている小石に気付かなかったカナミは足を取られてしまう。

「ワッ、ワワワワッ!!」

カナミはそのまま近くの川にバシャーンと落ちてしまった。
それを見たケンスケは急いで土手を下り、姉の方へと駆け寄った。

「お姉ちゃん、大丈夫!?」
「だ、大丈夫よケンスケ。川に落ちただけよ」

なんとか川から這い上がり、びしょ濡れになったカナミをケンスケはハンカチでできる限り拭いた。

「タオルが無いからハンカチで我慢してね」
「気にしなくていいわよ。ケンスケのせいじゃないんだし」

すると草むらの中からゴロゴロと転がるジャムの瓶が現れ、2人の目の前でピタッと止まった。

「本当に人騒がせな瓶ね、まったく…」
「(別に瓶のせいでもないんだけどね…)」

多少体が濡れてしまってもカナミは気にせず、立ち上がると再びケンスケと共に家路を急ぐのだった。

「さ、家へと急ぐよケンスケ!」
「了解お姉ちゃん!」
0059この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 16:26:23.97ID:VH0PXEPO
に呆れた笑いが溢れる、そんな中、監視用サブアカウントのタイムラインに例の馬鹿が漫画を流している事に気付いた。

「なんだコレ、初詣に行った報告漫画か?」

そう呟いてからそれを読んでいく俺。

「彼女と初詣に行ったら前にパーカー一枚だけで寒そうな人が居て? しかも独り身はつれえなぁとか精神的にも寒そうで、なんだこの人寂しいなと思ったら担当だった!? ふざけんな!」

急いで公式アカウントに切り替えた俺はtweetのリプ欄に、「こんな漫画書く暇あるなら仕事しろby担当編集」と投下した。

するとすぐに通知が来た、あの馬鹿に“いいね”されましたと………………

「……………………」

                    ーーFinーー

すいません書いてる途中で間違って投下しちゃいました
0060この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 16:38:19.64ID:7k+UFe8x
【遠い帰り道】(3/3)

冬が近いため、風も冷たくなりピューピューと吹きつけてくる。

「さ、寒い…昼間は割と暖かかったのに…これだったらダウンジャケット着てくればよかった」
「そ、そうだね…今に雪でも降ってきそうなくらい…」

家への道のりが段々と遠のいてくように感じ、2人の足取りは次第に重くなっていく。
その途中、カナミがバタンと倒れてしまう。

「お姉ちゃん!しっかりして!家までもうそう遠くはないはずだよ!」
「ケンスケ、私もうダメかも…ケンスケだけでもいいから家に無事に帰って…」
「冗談はやめてよ!諦めないで!」
「私はケンスケさえ大丈夫ならそれでいいの…」

すると近くから良い香りがしてきた。それはハンバーグの香りだった。

「こ、この香りはきっとハンバーグ!確か今日のご飯はハンバーグってお母さんが言ってた!」

そのハンバーグの香りでカナミはピョイッと飛び起きる。よく見るともう自宅の数メートル手前まで来ていたのだ。

「お姉ちゃん、家はもう目の前だよ」
「こ、ここまで来ていたのねアハハ…」

何とか無事に家に戻ってこれた2人。なんとか6時までに帰ってこれたため両親から咎められることは無かったが、
なるべく暗くならない内に早めに帰ってくるように注意されたのだった。
美味しい母の手作りハンバーグを楽しんだ後、お風呂を済ませ、パジャマに着替えたカナミとケンスケはベランダに出る。

「見てよお姉ちゃん。今日の夜空はすっごく綺麗だね!」
「冬が来たらもっと綺麗かも。あっ流れ星!」
「えっ!?どこどこ!?」
「ウフフ冗談よ!」
「もう!お姉ちゃんのイジワル!!」

そして2人は部屋に戻るとベッドに入り、スヤスヤと眠りに落ちるのだった。
0062この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 17:22:19.11ID:7k+UFe8x
>>47
>>52
感想ありがとうございます!
定休日をちゃんと決めて、しっかり休んで楽しもうね!というお話でした
はい、レイチェルとライアンを物陰から見守る少女はあのジュディちゃんです
それからシチリア編に突入してから結構話が進んだなあ、と書いててそう思えてきました
もしシチリア編の次の新章を作るとしたら、と想像したらワクワクが止まらないです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0063この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 18:59:17.97ID:VH0PXEPO
>>37
使用するお題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』

【コメ欄に夢と妄想と現実逃避を】

“いいね”という言葉は一度貰うともっと貰いたくなる物で、いいねは麻薬なんて言葉もあるくらいだ。

例えばYoutubeのコメント欄に現れるいいね稼ぎ、あまり露骨な者は嫌われる事もあるが、いいねを貰いたいから積極的に新着動画に面白いコメントを残そうなんて考える者も多いことだろう。

かく言う私もその一人だ、新幹線で職場の最寄り駅から家の最寄り駅まで移動する数時間に私はそのような作業に明け暮れる、ヘッドホンから聞こえてくる企画系YouTuberの笑い声に吊られて笑いながらコメントを作成する。

「パンツを何回重ねて履けるかの企画でズボンをパンツと言い聞かせてズボンまで重ねるとはwwパンツもズボンも結構な厚さになってたから次の企画ではダウンジャケットを重ね着してズングリムックリしてる○○さんがみたいなぁ[電柱]∀ ̄)チラッ」

「うおおアニメ放送楽しみ! このPVの夜空のクオリティが維持できるんなら覇権まったなし! この夏は放課後天文部で決まりですね!」

「犯沢さんに変装して殺人現場を再現するドッキリってどっかで見たような…………あっ、はじ」

1.25倍速で動画を視聴し、再生回数の安定してるYouTuberとコメ欄の荒れるYouTuberにコメントを投下、あとは通知を待つ、こうして仕事の疲れを癒すのが俺の日課だ。

あと、自分の別アカのチャンネルの動画に「常にジャムってるマシンガントークww」と自分の口下手さを茶化すコメントを残してパソコンを閉じた、新幹線を降り自分の日課に思いを馳せる。

「かなり下らないな」

けど、毎日毎日やってるんだから、どっかの界隈では有名人だったりしないだろうか…………専用スレが建って実況されてたりしないだろうか………………
0064三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/06(水) 20:00:13.33ID:fHl01ZJw
>>37
メモ

>>55>>58>>60【遠い帰り道】
>>56>>57>>59【バカップルの片割れ】

Webブラウザでご覧の方は、各レスのIDの所をクリックしてみましょう
同じIDのレスがハイライトされて、見やすくなります
0065三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/06(水) 20:01:39.15ID:fHl01ZJw
感想を書く間もなく作品だらけにw
いや確かに幸先はいいけど

とりあえず、>>55さんと>>56さんには、下書きすることを覚えてもらわないと
書き終えるまでスレを止めたり、割り込んだ上に途中で送っちゃったり、やっぱりそれは困る
テキストエディタやなろうの執筆機能で原稿を完成させて、それをコピーして貼り付けるようにしてください
0066この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 20:19:41.00ID:VH0PXEPO
>>65
了解す!
0067この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/06(水) 20:23:49.71ID:7k+UFe8x
>>65
分かりました!
0069三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/07(木) 01:23:35.79ID:sIj5aRlt
まぁ、増えたら、ですね
大体いつも過疎ってるしw

>>48
ようこそー、、なんか時々やたら上手な人が湧くスレになってるw
詩的と言うか文学的と言うか、アンニュイな雰囲気と筆力を感じさせる地の文が成功してますね
このお題からこのテーマが出てくるのも面白い

>>55
そして待望の続編w
なるほどジャムからうまく話を繋いだなぁー、って感じですね
と言うかお姉ちゃんが風邪を引かなくて良かったですw

>>56
ともかくウェルカムバックですー
なんか生活感あるw
一人で薄着で初詣など行くものではない><

>>63
これまた面白い消化の仕方w
いいねボタンが欲しくなるなぁ
0070この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/07(木) 03:02:46.32ID:BxFqcCCt
>>69
感想ありがとうございます、56と63を書いた者です、余りに久々で不手際は有りましたがこれからもよろしくお願いします。
0071この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/07(木) 08:31:30.98ID:kYNMMhnQ
>>53
おはつですw
0072この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/07(木) 08:36:08.62ID:kYNMMhnQ
>>55
55氏が別シリーズでお題を宣言、『ジャム』『夜空』『ダウンジャケット』! おうちからの懐かしき匂いを目指して〜
さあ、ブラコンのカナミさんとケンスケくんによるあの仲良しすぎる姉弟が再来だ〜、母からおつかいを依頼された二人が『ジャム』、食パンなどをスーパーより購入〜、
日が暮れて真っ暗になると何かと物騒、と慌て急ぐカナミさんのバッグからジャムの瓶がこぼれ出て、土手を転がり落ちていく〜、ストーリー的に必然、カナミさんが川にINだ! 一息ついたあとに草むらから出てくるジャム瓶w
瀕死の極寒ダメージを負ったカナミさん、『ダウンジャケット』を着てくれば…と唐突に倒れてしまうッ、いわく、私もうダメかも…! しかし、ここでハンバーグの匂いがしてきて蘇生w
ラスト、今日の『夜空』はすっごく綺麗だと、二人の小冒険トラベルは幕を閉じる、安穏マイホーム・フィニッシュで55氏が宣言お題を攻略、おやすみクリアでノスタルジー!

>>56
豊作で混乱したスレが進行氏の堅実な仕切りを発動させるw 飄々と56氏がトライ、全選択! カロリーメイトと俺とツイート〜
さあ、ときは年始、主人公の編集氏が初詣に繰り出す〜、満点の星々が輝く『夜空』のもと、ホカホカのコートや『ダウンジャケット』を着ている参拝客を横目に編集氏は部屋着同然のパーカー、一体どうした
そこに普段からは『変装』レベルのまともな装いで現れた作家とその彼女〜、編集氏、サボってんじゃねーと思いながらもこれを無視! Twitterを確認しながら元旦に食べるのは『ジャム』を塗ったカロリーメイトだw
絶望の状況に追い討ちをかけるのは、監視用タイムラインに流れる漫画〜、例の作家の報告漫画が編集氏をおちょくりツイート、編集氏の怒りのコメント、そこに『いいね』がついてオチとなるw
56氏、溢れる叙情と生活感で設定お題×5を全消、なんだか応援したくなる独身短編、彼女できるといいねw 気の早い年始フィニッシュをエモーショナルに決めたァ!
0073この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/07(木) 08:38:35.34ID:kYNMMhnQ
>>63
で、全選択を連続するのかw お題がハマった模様の63氏が連覇・偉業に手をかける、ツイートは誰がために鳴る〜 
さあ、語り手が『いいね』は麻薬なんて言葉もあるくらいだと、独白を開始だ〜、新幹線で移動の数時間にYouTuberへのコメントで時間を潰し、いいねを待つ日々、
いわく、次の企画では『ダウンジャケット』を重ね着してズングリムックリしてほしい、このPVの『夜空』作画が維持できるんなら覇権だろう、『変装』して殺人現場を再現するドッキリってどこかで見たような…等々、ひとひねりなコメントの数々w
自分の動画には、常に『ジャム』ってるマシンガントークと銘打ち、パソコンをとじる〜、毎日毎日やってるんだから、どっかの界隈では有名人だったりしないだろうかとひとりごち、変わり映えせぬネットライフw
>>56に続き、どこか寂しさ滲む、63氏こういうの得意だなw 軽妙と叙情で全選択をささっと二連覇ァ、主人公が幸福になる続編よろしく頼んだ! からっかぜフィニッシュだ!
0074この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/08(金) 00:42:52.44ID:Zd+0YTnV
>>73
感想ありがとうございます56と63です、続編はそれを捻り出す能力が残ってたら頑張ってみようかと思います(笑)
0076この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/08(金) 03:17:13.66ID:bUJog/6F
>>75
週末は投下が集中するから賑やかだけど平日はそんなにって感じだった気がするけど今はどうだろ…………
0079この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/08(金) 21:50:15.68ID:yUK/ktvW
>>69
>>72
感想ありがとうございます!
まだ始まったばかりですが、仲良し姉弟が繰り広げるドタバタほのぼのな日常物語(時々非日常?)は
ドンドン続いていきますのでどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0080この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/08(金) 21:58:08.77ID:14unuRlL
>>37
お題→『夜空』(1/2)

「湊の部屋くんの久しぶりぃ。お、ダイエットフードがある。またやってんのぉ? 何回目ぇ?」
「忘れた。けど大丈夫。今度こそ成功させる」
「成功させる? そーれーはー、好きな人できたからぁ!? きゃははっ。めっちゃウケる!」
 ぶーっと吹き出した友達の桃は、ひっくり返ってミニスカートから伸びた足を豪快にバタつかせる。
 唯一の友達に何も言い返せないダイエット負け組の私は、ストローで残りを飲み干して恥ずかしさをやり過ごす。
 笑い終えてすっきりした顔になり、胡座をかいた桃はふと窓の方を見た。
「あ、サボテン育ててんだあ。あーし、水やりすぎていっつも枯らしちゃうんだよねえ。愛情キャタピラーっつうの?」
「サボテン枯らすのって相当だね……。ていうか、まさか愛情過多のことじゃないよね。よね?」
「あ? 間違えてねーだろ。男友達がさあ、キャタピラーとかスラスターとかやたら横文字使うんだよねー。覚えちゃってさあ」
「そう、男友達がね……」
「へへ、男と話してると頭よくなるんだぞ。みなトンも早く痩せてモテな」
「うん……」
「みなトンって暗いよなー。黒魔術とかやってそー。げ、本当に持ってっし」
 今度は本棚を見て、桃はうわーっと口に手を当てる。
 桃は中学までは地味な子だったのに、高校デビューして姿も性格も激変してしまった。
 スレンダーでお洒落でスクールカーストのトップ。
 未だぽっちゃり陰キャの私は、こうして大人しくダイエットに励むくらいしか彼女に追いつけるすべがない。
「そんなみなトンにぃ。ダイエットが成功するよう祈ってトリックオアトリートン。はいこれ!」
「トンは流石にやめて欲しいな……」
 と言いつつ、口元がにんまりと緩む。桃はどんどん変わっていくけれど根は優しい子なのだ。ていうか唯一の友達だから優しくないと困るのだ。
「ありがと。でもごめん。私用意してないや。……何これ。枕カバー? え、お菓子が入ってる」
「そ、枕カバーの中にぃ、みなトンが大好きなマーブルチョコをいぃっぱい入れたからぁ。好きな時に好きなだけ食べるといいヨ!」
「へ?」
「だからぁ、あーし愛情キャタピラーだからぁ。いぃっぱい水あげてみなトンを枯らすのさぁ」
「なっ、何それ。私、ダイエット中って言ったじゃない!」
「ガタガタうるせーなあ」
 桃は笑いながら私の腹の肉を掴む。真顔になり、声を一段低くした。
「――毎日見にくるからな。枕カバーは絶対捨てるなよ。捨てたら絶交だからな」
 桃は本当に毎日うちに来た。そして減っていくマーブルチョコを見ては追加を補充していった。
 これはいじめだ、と私は悟った。いつかは桃との関係が変わるかもしれないと思っていたけれど。まさか本当に桃が友達じゃなくなるなんて。

 コーンと甲高い音が夜空に鳴る。
 私が藁人形に釘を打ち付ける音だ。桃の写真は持っていなかったから、撮った桃の画像をスマホに表示して、そのまま藁人形ごとコーン。バッキバキに割れていくスマホに快感を覚える。
「許さない。絶対に許さないぃ。桃ぉ。ブクブクに太ってキャタピラに踏み潰されるがいい! スマホなんぞ惜しくもないわ。だってもう誰とも連絡する必要ないしっ!」
 泣きながら、口の中いっぱいに詰めたマーブルチョコをガリガリと噛み砕く。甲高い音は連夜続いた。
0081この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/08(金) 21:59:09.01ID:14unuRlL
お題→『夜空』(2/2)

 二ヶ月後。姿見の前で信じられないと頬を押さえる私を見て、桃はニヤニヤ笑いながらベッドの上でマーブルチョコをつまんでいた。
「みなトン改め、みな鶏ガラ! ダイエット成功おめでとー!」
「桃、私、ハロウィンからどんどん食欲が落ちていったの。どうしてだと思う……?」
「マーブルチョコだよ。それしかないっしょ」
「え、あの枕カバーが……?」
「男がさあ。『アメリカで成功例のあるダイエット法だよ』って教えてくれたんだよ。
食べすぎちゃう人って不安だから栄養を貯めよう貯めようとするんだって。だから逆にいっつもそばに食べ物がある状態にすると安心してフツーの食欲になんだってさ。人間って訳わかんねえよなっ。きゃははっ。面白っ」
「……そうならそうと言ってくれれば」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってないよ!」
「だっけ? ま、いいじゃん。あーし、サボテンに水やりすぎる人だからさあ。やりすぎて湊の脂肪枯らしちゃったってね。てへ」
 小さく舌をだす桃の笑顔を見ているのが辛い。
 私は無言で立ち上がり、机から新品の藁人形をとりした。自分の顔に押し付ける。
「何それぇ。仮装? ハロウィンもうとっくに終わってんだけどぉ。え、何これ釘ぃ?」
 釘とトンカチを押し付けると、桃は訳がわからないという顔で私と手元を交互に見る。
「打ち付けて」
「え?」
「お願い! あなたを疑ったどうしようもなく愚かな私を打ち抜いて。早く! お願いぃ」
「ちょっ、泣いてる!? えーキモ。湊ってキモトンだねー。男の前ではやめろよ。これからモテモテになるんだろ。キャハハッ」
「やめてぇ、お願いぃ」
0082三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/09(土) 01:25:07.21ID:Qg+EViYo
今週はどうしてしまったの・・・
やっぱり作品数が多いと、書いてみようという気になりやすいんでしょうか

>>80
そしてまた毛色の違う、お題ほぼ関係ない話w
うーん>>48さんもそうですけど、うまい人のシュアな、、つまりその、手堅さを感じた
前半下げて後半種明かしは、ドキドキして面白かったですw

あと業務連絡ですが、タイトルの指定がなければ、作品一覧では【無題】となります
0083この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/09(土) 09:04:04.84ID:kVtdY1qD
>>80
秋の夜長に短編ファイター揃い踏み、80氏の選択指定は『夜空』一択! 釘と夜空と私と友と!
さあ、ダイエットを成功させると意気込む黒魔術系女子、みなトンこと湊さんの部屋にスクールカーストのトップ登場〜、現れた桃さんは、きゃははっ愛情キャタピラー、トリックオアトリートンなどと言いながら、
マーブルチョコを枕袋いっぱいにプレゼント〜、あの〜ダイエット中なんですけど、と尻込みする湊さんに、桃さんはドスをきかせて食えと押しつけェ! 思わず『夜空』に藁人形の打ち付け音を響かせる湊さん、さすがだなw
しかしダイエットは成功!? 桃さんの狙いは初めから食料過多による食欲の麻痺〜、高等戦術だw みなトン改め、みな鶏ガラが親友の思いやりをみて反省のあまり、自分に釘を打ち付けさせようと迫る、
友情復活ENDォ〜80氏、お題『夜空』をストーリーの山場、情景に使用〜、起承転結できっちりまとめたフレンドシップ・ストーリーがニコニコでお題クリアーだ!
008480
垢版 |
2019/11/09(土) 12:56:58.66ID:YWrzAnGR
>>82
感想ありがとうございます
本当にお題あんまり関係ないですねw
もう遅いかもしれませんが、タイトルは【友情藁人形】でお願いします

>>83
おお、実況してもらうの初めて
しかも作品より面白いw
感動です!

楽しかったです。ありがとうございました
0086三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/09(土) 16:38:02.26ID:Qg+EViYo
あ、ところで次回のお題
企画を予告しましたが、今の流れだと、企画なしの方がいいような気がしてきました
そのつもりでいた方には申し訳ありません
0087この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 16:48:54.04ID:w1rTvtYN
>>82
>>48ですが、単純に今週辿り着いたんですよね……
久々に見たら「よくわからないお題」スレ死んでるなぁと思って類似スレを探した結果でした
投稿用の長編が行き詰った時とか、お題を貰って勢いで書くの楽しいし気分転換になって好きです
0088三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/10(日) 20:27:37.35ID:5DqlT5Xk
なるほどー
ここは結構長いこと続いてるので、またいつでもご参加くださいw
0089この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 21:55:01.07ID:f/zuIq0X
>>37

使用するお題→『ジャム』『いいね』『夜空』『ダウンジャケット』

【バカップル漫画家と独り身編集者】(1/2)

「え? なんて?」

突然のことで自分でも間抜けな声だとわかる声が出た、いつもの癖で訪れたファミレス、いつもの時間、いつもの混雑具合に絶妙な居心地悪さを感じながら、手に取ったジャムサンドを再び更に戻した。

「別れよう…………って言ったの」

寝不足だからか、彼女から出るはずのない言葉が発せられたような気がしてくる、しっかりしろよネガティブなんてらしくねえぞ俺。

「デートに誘っても仕事ばっかり、スランプで書けなくなったときの気分転換の為にキープされてるみたいでいい加減いやなの」

不機嫌なようで今にも泣き出しそうでもある彼女、そんな彼女は見たことなくて、悪夢にしてはリアル過ぎて……………………

いや悪夢を見てる時はそうと気付けないもんだよ、どんなにリアルに感じて危機感を抱いても、起きてみりゃデキの悪い偽物だったなんて良くあることだろ俺。

「この前だって、アタシと一緒に初詣に行ったときより帰ってから漫画書いてる時の方がずっと楽しそうだった!!」

「そんなこと!!」

思わず怒鳴った、流石自分の夢だ突かれたら痛い所を確実につついてくる、いや……………………夢な訳ないか、自分にとことん甘い俺が、彼女を怒らせたままの夢を見るなんて有り得ない。

「………………ない、いや有る、確かに楽しいよ、楽しくなきゃやってらんないよ、でも………………いつも楽しい訳じゃない、君が何よりも必要な時だってある!」

「そういうの………………都合のいい女扱いって言うんじゃないの!?」

彼女の言うことは全部事実だ、言い返しようのない程のド正論だ、だから俺は取り繕わない、彼女がクズ丸出しの俺を嫌いになるなら、確かに俺達は彼女の言うとおりに別れるべきなんだろう。

「………………都合のいい、君が好きだ」

そうして、俺達はバカップルを辞めた。


痛む左頬を抑えて窓の外を見る、真っ暗に曇った夜空を明るい街の光が照らす、いつの間にか降り出した雨は異様に静かで、繁盛するファミレスの喧騒が意識と共に遠くなる。
0090この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 21:56:05.76ID:f/zuIq0X
【バカップル漫画家と独り身編集者】(2/2)

濡れたダウンジャケットを椅子の背にかけて、変装なみに身嗜みを整えた馬鹿の向かいに座る。

「振られたか?」

左頬に小さな女の手形を残したソイツは俺の言葉に目を覚まし、締め切り前より虚ろな眼をしてこっちを見る、バカップル丸出しだった元旦から一週間もたってないが、どうやら女に振られたらしい。

「打ち合わせのついでにデートってのは…………やっぱマズかったんじゃないか?」

「もっと根本的にマズかったみたいです」

普段の小汚い姿を思えば、まあ奇跡みたいなお嬢さんだったが、やはり駄目だったか。

「………………そうか、根本的に駄目だったか、まあ付き合ってみて合うか合わないかはガチャみたいなもんだしな、俺みたいに一人も当たりを引けないままって可能性も無くはない」

「下を見せて安心させようとするのやめてください惨めになります」

涙声で情けない事を言う馬鹿に思わず笑みがこぼれる、俺が慰めようとしてるように見えるらしい。

「ばーか、慰めてねーよ、明日は我が身って言うだろ? お前もこのまま俺みたいになるんだよ、むしろその方が仕事もはかどる」

まあ、編集としては身の回りの世話をしてくれる人が居ない独身作家は気を使うからサッサと配偶者と言う名の介護要員が欲しいところだが、個人的にはこないだの漫画の礼に沼に引き込んでやりたい気分だったりする。

「まあ」

それに。

「忘れたいなら漫画を書け、忘れられる」

いつまでも惚れた腫れたで編集を煩わせる作家で居られちゃ困るってのもある。

「悲しいなら、怒りたいなら、あるいは生きるのが辛いのなら、漫画を書け表現者、どんなに下らない感情でも、お前が書いたら金になる、無駄にならない、俺がさせない」

コレから一生、面倒を見ていくんだからな。

「俺は編集者で、お前は漫画家なんだからな」

……………………
………………
…………
……

俺のこのこっぱずかしい言葉が“いいね”と“リツイート”で日本中に流される事になるとは、この時の俺は思いもしなかったのだが。

           ーーFinーー

続編です
0091この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 21:56:19.12ID:7a1uiYH8
>>37
お題:『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』

【デビルアンドクラウン】(1/2)


 ハンドルを乱暴に切りながら、バックミラー越しに銃を向ける。
 破裂音を置き去りに、撃鉄が落ちた数だけ追っ手は減っていった。

 先頭を走る古びたシボレーは、蛇行を繰り返しながらも、後ろから追従するカマロやハマーからの銃撃を何とかかわして居る様子だった。

「凄い物だね、流石は組織ナンバーワンは伊達では無かったって事かな?」
『カカッ! 今日もブラザーはごっ機嫌の様だな!!』
「黙れ」

 シボレーの車中に居るのは一組の男女。
 だが、その二人の温度差が、決して色っぽい関係ではない事を物語っていた。

 男の名は中川 翔。元殺し屋で、現逃亡者。
 少女は、元同業者で、現同行者。
 “フェイスレス・ザ・パペットマスター”……こう見えても、一流の殺し屋である。
 そして、翔が握っている銃こそが、彼が追われる理由であり、そもそもの元凶。

 “コルト・シングル・アクション・アーミー『ピースメーカー』”

 数多の血を啜り、やがて自我をも宿すに至った妖銃である。

 追っ手である組織は、ピースメーカーを崇拝する狂信者集団でもあった。

 ターン!

 乾いた音が響き、追っ手がまた、その車ごと減る。

「フム、このままなら、僕の出番は無さそう……」

 ギロリッと、翔が睨み付ける。

「と、思ったが、少しは働かないと、家主がうるさそうだね」

 パペットマスターが、指で銃の形を作ると、引き金を引く動作をする。
 と、追っ手の1人が、突然、隣の運転手を撃ち殺した。

「僕の“人形”は、どこにでも居るのさ」

 硝煙を吹き消す仕草をしながら彼女が言う。
 一瞬、瞠目していた翔だったが、しかし次の瞬間、凶悪な笑みを浮かべた。

「いいね! 思っていたより、お前は良い拾い物だ!!」
「拾い物って……」

 そう言うと翔は、無造作にハンドルを切り、シボレーをターンさせると追っ手達の車に突っ込んで行く。

「ちょ! 君いいぃぃ!!」
「クククッ!!」
『カカカッ! 全く、今日は良い殺し日和だ!!』
「き、君達いいいぃぃぃぃ!!!!」
0092この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 21:58:52.52ID:7a1uiYH8
【デビルアンドクラウン】(2/2)


 ******

 はぁ……と、吐く息が、白い尾をなびかせる。
 ボンヤリと夜空を見上げながら車にもたれ掛かっていた翔は、しかし次の瞬間、ピースメーカーを抜き放っていた。

「やれやれ、君は本当に隙がないねぇ」
『カカッ、ブラザー程、他人ってヤツを信じていない人間も他にゃあ居ないからな!』
「黙れ」

 両手を上げ、片手にジャムったコルトガバメントを持ったパペットマスターを見た翔は、苦虫を噛み潰した様な顔をする。
 パペットマスターは寒さ故か頬を赤く染めながらもニヤニヤと笑みを浮かべた。

「やっぱり、殺気を持たない相手は殺さないんだねぇ」

 空砲を撃った瞬間にピースメーカーで銃口近くを撃たれたせいで、銃をジャムらされたパペットマスターが、半ば呆れながらもそう言う。
 おそらくわざとジャムらせる事で、次弾を撃てなくしたのだろう。
 彼女は、しばらく翔と同行していた事で、彼が自身に殺意を持たない相手を殺さない様にしている事に気が付いていた。

「しかし、まぁ、君も良い肝っ玉をしているね」
「……」
「追われている身でありながら、簡単な変装すらしないで、そうやって堂々と姿を晒しているのだから」
『カカッ! 突っ込むのはそっちの方かい? シスター!!』
「当たり前だろう? 本人のジンクスやポリシーなんて、他人が突っ込んで良いもんじゃ無いだろう?」

 そんな言葉に、翔は益々渋面を作る。
 彼が黙り込んだ事で、ピースメーカーが愉快そうに笑い声を響かせた。

『カカッ! そう言うシスターのソレは、変装のつもりかい?』
「当たり前じゃないか、当然の行動さ」

 翔が舌打ちをする。
 パペットマスターの今の姿は、赤いワンピースに白のダウンジャケットと白い手袋に黒のパンプス。
 それだけでも場違い感が半端ない所に、某ネズミ耳と尻尾まで装着しているのである。
 もはやそれは、変装と言うより仮装だった。

「……足手まといなら捨てて行く」
「それは問題ないとしておこうか。僕の真骨頂は自分で戦う事じゃないからね」

 朗らかに言うパペットマスターに、翔は再び舌打ちをした。
 確かに、彼女の術は、他者を人形の様に操ると言う物であり、彼女自身が巧みな暗殺術を持つ訳ではないからだ。

 翔が無言で車に乗り込むと、パペットマスターもスルリと助手席に滑り込む。
 そして車は、再び逃亡の旅へと舞い戻ったのだった。
0094この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 22:15:56.56ID:5DqlT5Xk
>>37

使用お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』

【北の国】(1/3)

 異世界に転生した俺は、しかしなんの因果か、気付いた時にはスライムだった。
 青かったり赤かったりする、ぶよぶよで半透明のあれだ。

「……――……――――……」

 モンスターがはびこる森の中、俺は一人だった。いや、一匹だった。
 仲間はおらず、たまに同族を見付けても、コミュニケーションの一つも取れなかった。
 およそスライムというものは、例えばちょっかいをかけてみても、ずるずると逃げるばかりで、てんで話にならないのだ。

「……――、ス――――…………」

 他者への関心が薄いのか、そもそも知能が低いのか。
 こちらへ来て間もない頃の俺は、そんな風に考えて、同族を見下していた。

「……――い、――――……――――……」

 ところで、スライムの食事というのは腐肉あさりのようなものだ。
 森の中を移動し、モンスターの死骸を見付けては、骨まで溶かして吸収する。
 それが俺の、俺たちの日課だった。

「……お――……――――…………」

 ずっと違和感があった。
 おかしいな、とは思っていた。
 ただそれはあまりにも小さなサインで、だから俺はその日まで、気付かぬ振りを続けていたのだ。

「……――――、スラ――――……」

 あの日。
 スライムとして、モンスターとして、まどろみの中にいた俺。
 そんな俺の意識を大きく揺さぶる出来事が――――

「――――おい、スラ太郎!」
『おおおぅ! びっくりした!』

 急に大声を出すな。心臓に悪いわ。

「さっきから呼んでるのに、返事をしないから心配したぞ」

 ま、スライムに心臓はないんだが。

「それでスラ太郎」
『その名前で呼ぶな! 目玉の父さんにも呼ばれたことないのに!』
「……何言ってるんだ? おかしなやつだ。いつものことではあるが」

 今の俺には仲間がいる。

「もうすぐ次の町に着くぞ。まったく、姫に歩かせて自分はお昼寝する従者だなんて、前代未聞だ」
0095この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 22:16:33.00ID:5DqlT5Xk
【北の国】(2/3)

 ねずみ色の空が頭上に広がる。まぁ、スライムに頭はないんだが。

「ふむ。並んでるな。我が従者よ、大人しくしておるのだぞ」
『分かってるよ。今回は大丈夫だといいなぁ』

 俺の頭上ではなく、仲間の頭上だ。
 仲間の足元には石畳。前方には立派な城壁と、行列。

「……あれは大失敗であった。スライムの浅知恵など、ろくなものではない」

 モンスターの侵入を阻む城壁。城門には検問所。
 ここの領主は、元はダウンジャケットの発明で財を成した商人で、この大都市を一代で築き上げたらしい。

『俺のせいかよ。姫も賛成したじゃねえか』
「ああ賛成したぞ。だから過去の失敗を反省しておるのだ」

 このような大都市では、通常、モンスターの持ち込みが禁止されている。
 しかしながら、俺はスライムでモンスターだ。
 前回も今回も、俺たちには検問を突破するための作戦が必要だった。

「卑小なスライムの口車になど乗せられて、とんだ過ちであった」

 前回の『豊胸エルフ作戦』は大成功だった。あとスライムには口がない。
 『失敗』だったのは目立ち過ぎたことだ。検問を通過した後、変なやつらに目を付けられて大変だったのだ。

『まぁ、今回は大丈夫だろ』
「そう願いたいものだ」

 俺たちは行列に並んだ。検問所が遠い。
 寒空に震えながら待つこと久しく、ようやく先頭の様子が見えた時、俺たちの目に映ったのは奇妙な人物だった。

「なんだありゃ」
「知らんのか。ご領主様だ」

 震えていたのは俺ではなく、主に俺の仲間の方だ。それと、言うまでもないことだが、目のあるスライムなど存在しない。
 俺たちの前に並んでいた男が、俺の仲間のつぶやきに応えて説明する。

「ああして時々、検問に立ち会われるのさ。風船人形みたいだろ。あれはわざとだ。本人は『寒いから』とかおっしゃってるが、あの衣装でダウンジャケットの街を売り込んでおられる」

 風船とかダウンジャケットとか、そんなレベルじゃない。ぱんぱんに膨らんで、ともすると、丸々と太ったスライムのように見えなくもない。倒れたらそのまま転がっていきそうだ。

「いつかは俺もああなりたいものだ。ところであんた、エルフか。珍しいな」

 言っておくが、スライムは転がったりしない。

「うむ。いかにもエルフだ。こんな北の果てまで足を伸ばす同族もおらんだろう。珍しいエルフに出会えた幸運に感謝するが良い。珍し過ぎて、拝観料を取ってもいいくらいだ」
「ははあ、あんた面白いな。ちょっと待ってくれよ……。俺はこういう者だ」

 そんなやり取りをするうちに、検問の順番が回ってきた。
 俺たちの前の男は、顔パスか、というくらい簡単に通過すると、こちらを見て軽く挨拶してから、門の中に消えた。
 次は俺たちだ。
0096この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 22:17:25.84ID:5DqlT5Xk
【北の国】(3/3)

 仲間が応対する間、俺は風船領主を観察していた。
 検問の職員たちの背後、一段高い場所で、椅子に踏ん反り返っている。
 遠くからは分からなかったが、顔を見ると、枯れ木のような老婆だ。
 なるほど、羽毛で目方を増やしてるのか。

「おい、それはなんだ」

 その枯れ木が不意に言葉を発した。職員の一人が答える。

「はい、ジャムだと申しております」

 今回の作戦。『瓶詰めスライムジャム作戦』だ。
 俺はジャムだ。

「ジャムねぇ……。おい、ちょっとそれをこっちへ寄越しな」

 仲間の荷物から俺の入った瓶が取り上げられる。職員が手に持って移動し、領主が両手で受け取る。
 領主が俺をじっと見る。

「おい、スラ太郎」

 *

 俺と領主は夜空に浮かんでいた。

「下手な変装だ。それでごまかせると思ったか。おい、なんとか言え、スラ太郎」
「違うよ、俺はジャムのおじさんだよ!」
「なら、そっちのエルフはバターの小娘か。馬鹿も休み休み言え」

 むむむ。

「まさかあんた」
「転生者だよ、あたしは。そっちもだろう。予言があったんだ」

 俺たちは普通に話せている。口のない俺と、転生者であるらしい領主。

「予言、って……。俺以外の転生者には初めて会った」
「そうかい。とんだ田舎者だね。結構多いんだぞ。スライムになってるやつは初めて見たが」

 仲間の姿も、検問の職員も、城門も見えない。この空間には俺たち二人しか存在しないようだ。

「いやあ、イキリスラ――」
「ちょちょちょっと待て! 俺はイキってないし、チートでもないぞ!」

 この世界には、転生者が持ち込んだと思われる、有名な物語が存在していた。

「そうかい。まぁいい。ともかく人格には問題なさそうだね。ここは通してやるから、後であたしの家に顔を出しな」

 *

 俺たちは検問を通過した。

「転生者の領主か」
『ああ。ダウンジャケットの発明……。知識チートだったわけだ』
「チートか。物語の英雄のようだな」

 ねずみ色の空が暮れてきた。とりあえず宿を探そうか。
0098三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/10(日) 22:20:48.64ID:5DqlT5Xk
お題→『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>44【定休日は有意義に過ごそう】
>>48【最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜】
>>55【遠い帰り道】
>>56【バカップルの片割れ】
>>63【コメ欄に夢と妄想と現実逃避を】
0100三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/10(日) 22:23:28.24ID:5DqlT5Xk
そして通常お題5つ、よろしくお願いいたします

お題安価>>101-105
0101この名無しがすごい!
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2019/11/10(日) 22:25:44.75ID:i1RnO5IY
限定スイーツ
0102この名無しがすごい!
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2019/11/10(日) 22:32:01.90ID:f/zuIq0X
0106この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/10(日) 23:25:24.86ID:f/zuIq0X
お題のジャンルがカオスで草
0109三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/10(日) 23:55:07.80ID:5DqlT5Xk
☆お題→『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→11/17の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0110三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/11(月) 00:04:45.20ID:wYuBaxZN
進行含めて遅刻しがちなので、締め切りは甘くしてます
ただ進行の中の基準で、ちょっとアウトだった
もう2回やらかしたらスリーアウトチェンジね


そして盛り上がった後の今回ですが!
新スレ3回目!
皆様できるだけ無理なく、引き続きお題スレをご利用くださいー
0111◆p3Ettcg.dM
垢版 |
2019/11/11(月) 03:35:37.25ID:ElDfJ7yZ
★エキストラお題→『また席を外してる時に限って早く埋まる!不思議!』『限定刀バイオ神歯』『進行含めて遅刻しがちなので盛り上がった後の皆様できるだけ無理なく、引き続きお題スレをご利用くださいー』から1つ以上選択

★文字数→1レス以内に収めれば何字でも可。

★締め切り→12/31の25時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【ネタレスのため、作品投稿してもこんなレスに安価しないでください】
0113この名無しがすごい!
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2019/11/11(月) 08:46:18.53ID:jymuhI2U
>>89
剛気! さっそく続編なのか89氏、選択お題は4つで、いや全消化してるな、三連覇だw いざ、あのコミック・コンビに祝福を!
さあ、>>56続編、『変装』なみに身嗜みを整え『ジャム』サンドをかじる漫画家先生が、お付き合い中の女性に別れ話を持ち出されている〜、
前回イチャコラしていたはずのバカップルに暗雲立ち込め、諦めの境地に至った漫画家の言葉に平手打ちの音、曇り『夜空』に悲しく響いたァ〜、もちろんこれを見てニヤけ近づくのが不幸の代表こと編集氏w
『ダウンジャケット』を椅子の背にかけ、ザマミロという調子ながらも、その気持ちを漫画に変えてやれと、職業的友情を発揮し、発奮を促す人徳者だッ
ラスト、このぐっとくるシーンも漫画家によりツイッターへ放流され、『いいね』に変換されるオチw 軽妙洒脱! 三連覇、すごいぞ、憎めぬ奴らの明日はどうなる、気になる名コンビ・誕生ENDに乙×3!

>>91
作家の個性は百花繚乱、えらい豊作でてんやわんやだ、91氏はシリーズものの全選択! 暴れてみせろッ、デビルズガンズ!
さあ、『いいね』、思っていたより良い拾い物だと言う主人公・翔さんと、言われた少女、パペットマスターが登場〜、いつの間にか連れ立ちとなった二人&幼銃が今夜も追っ手と銃撃でダンスっちまっている模様だぜw
一息ついて、ボンヤリと『夜空』を見上げながら幼銃を抜き放つ翔さん、目線の先には『ジャム』ったコルトと少女の笑みィ!? もともと敵同士の連れ合いの旅が、緊張を孕んで蛇行する、
さて『変装』と言うより仮装、赤いワンピースに白の『ダウンジャケット』と白い手袋に黒のパンプス、ネズ耳の○ッキーっぽい格好のパペマスが車に乗り込み、
ハードボイルド&ファニーな銃撃が今夜もまた始まるぜ! 91氏、安心感あるバトル描写で無敵の三人を描き、全選択クリア、次はボス戦でも魅せてくれるんじゃねーの、テンション・アップENDォ!
0114この名無しがすごい!
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2019/11/11(月) 08:50:04.19ID:jymuhI2U
>>94
豊作だし、それぞれしっかり文量やドラマがあってヤバイ回、最後はこの人進行氏、こと94氏の転生ものが全選択で推してまいるッ、スライム太郎、ゴーアヘッド!
さあ、異世界に転生した語り手がスライムになった模様〜、えっこれは、まさか、どこぞでみた記憶がなきにしもあらずな彼がスラ太郎と呼ぶなって感じで目を覚ます、あからさまなオマージュなのかw
エルフの姫と二人連れ、検問所を突破するため立てた作戦は瓶詰めスライム『ジャム』作戦、ジャムに『変装』したスライムで検閲を突破する分かりやすい構え、なのだが
『ダウンジャケット』で財を成した領主の婆さんが『夜空』に浮かび、スライムを見破るw なんだこの荘厳なシーン、どうして入れたw だが転生仲間のよしみで見逃してもらい〜、
イキリ、じゃない、イキってないスライムの旅は続くEND〜、『いいね』消化、どこだw 俺は見破ってるけどね、いやほんとに、ということで進行氏の解答編で豊作回のシメとなったようだ! お楽しみにw
0115三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/11(月) 20:00:08.39ID:wYuBaxZN
w

>>89
こんなに早く続編が来るとは
さすがにダウンジャケット着てきた
一転真面目な話にいいね不可避ですw

>>91
進行が遅刻する一方、危険なドラマがww
お題から得意な話に、そこから堅実に消化する流れ
さすがの手際がいいねです

>>114
感想ありがとうございます
件の作品は、あんまりエルフの印象がないんですよねw
クイズのヒントは、『ね』の周囲、です!
0116この名無しがすごい!
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2019/11/11(月) 22:37:19.03ID:hB7GXm5r
>>109
お題:『限定スイーツ』『バイオリン』『神話』


【世界で一番美しい音色】(1/3)

 ――音が、止む。
 そして、完璧な静寂が訪れたコンサートホールは、あたかもすべての聴衆が命を落としてしまったかのようだった。
 少しの間を置き、息を吹き返した観客全員が両手を膝から上げる。万雷の拍手。
 もちろん、俺にとって舞台の上へと捧げられるそれは、見慣れた光景だったけれど。

 楽屋への関係者以外の入場は禁じられているので、彼女と再び再会したのは舞台が終わってから数十分後のことだった。

「お疲れさん」
「ありがとー! もう、中に入ってもいいっていつも言ってるのに」

 満面の笑顔で通路を駆け寄ってきた沙良を、俺は軽く抱き留める。
 彼女の聞き慣れたワガママに、俺は苦笑して頭を撫でた。
 沙良のコンサートには長く通っているので、何度か演奏したホールであれば顔を知られていることも多い。少し無理を言えば、確かに入ることもできるのだろう。

「他の人に迷惑だろ。合同なら当然だし、今回みたいにソロの時でも演奏前は関係者全員ピリピリしてる。用もないのに彼氏が入り込んだりしたら顰蹙モノだ」
「むぅー」

 可愛らしく頬を膨らませる小柄な沙良はさながらリスのようで、ちょっとしたワガママくらいなら気にもならない。
 そうでなくても彼女の偉業を考えれば、俺に対するこの程度の子供っぽさの発露で済んでいるのは大したものだった。音楽の世界における巨匠の傲慢さと横暴ぶりは枚挙に暇がない。
 そしてそれがどれほどの傍若無人であろうと、許されるのが本物の天才だ。赤いドレスに着飾った沙良には女王として振る舞う権利があり、けれど彼女はそれをしない。
 望めばすべてが手に入る立場から考えれば、謙虚すぎるほどに。

 そう、巨匠にして、天才。
 弱冠十九歳のヴァイオリニストである三堂沙良は、現代のヴァイオリン奏者においてほぼ疑いなく、世界最高の評価を受けている。チャイコフスキー国際コンクールや
エリザベートコンクールといった世界の名だたるヴァイオリンコンクールを十代のうちにほぼすべて制覇し、あらゆる国際評論家の厳しい論評においてさえ「天与の才を認めざるを得ない」と言わしめた、百年に一度の本物。
 生きた神話、そのもの。

 そんな彼女は、けれど何の変哲もない少女のように笑顔を見せる。
 一つ年上の彼氏に甘える、どこにでもいる大学生の女の子のように。

「あ、ねぇ良悟! 約束、覚えてるよね? 今日のコンサートが終わったら……」
「『限定スイーツのお店』、だろ? 安心しろって、ちゃんと予約してあるから。けどその前に着替えてこい。そのドレス、いくらするのか知らないけどケーキのクリームがついたら悲惨だろ?」
「はーい!」

 沙良は物分かりのいい子供のような口振りで、楽屋に取って返していった。
 本当に可愛い彼女だと、心の底から思う。疑いようもなく、これは幸せな交際だ。
 だからこの子を――殺してやりたいと、何度思ったことだろうか?
0117この名無しがすごい!
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2019/11/11(月) 22:37:54.15ID:hB7GXm5r
 その日の夜。
 パティスリーから帰った後、沙良は両親に電話を入れていつものように俺の家に泊まっていった。

「むにゃ……」
「……よく眠ってるな」

 他に使い道もないからと、沙良の天井外れの収入が惜しみなく注ぎ込まれた俺の住むマンションの一室は、さながら

彼女の別荘だ。真っ当な大学生にはとても手を出せないような値段の純白のベッドで、沙良は俺自身よりも気兼ねなく

眠っている。
 多少のバイトの他には大した収入源もない俺は、学業を除けば彼女のヒモ以外の何者でもなかったが、そこに劣等感

や抵抗を感じたことはなかった。

 沙良に対する劣等感など、とっくに溢れすぎて真っ黒に塗り潰されてしまっているのだから。

 何の不安もないかのようにあどけない表情で寝息を立てる少女の首に、そっと触れるか触れないかの距離で手を這わ

せる。細い首筋は、力を込めれば簡単に折れてしまうだろう。けれど、すぐに俺の両腕は震え出す。ガタガタと。神の

領域にいる至尊の存在に、飛沫の如き己が危害を加えようなどという不遜な考えを、俺自身の魂が糾弾する。

 ストラディバリウスの弦と同じ。壊すことはどこまでも簡単で、けれど。その価値を知る者にとって、それはどんな

要塞よりも突き崩すことの不可能な、許されざる蛮行だ。
 その罪深さに比べれば、愛し合った少女を殺めることなど、最初からどうでもいい事に過ぎなかった。

 無駄だとわかりきっている狂気を放り捨て、俺は溜息を零して立ち上がる。
 防音室と、そこにある自らのヴァイオリンの下へ。

 小学校に入る前から奏で続け、日本の頂点に届いたこともある。けれどそんなものは、同じコンクールで沙良に出会

うまでのものでしかなく。世界へと羽ばたき、そこでさえ頂点の座へと容易に登りつめた少女に比べれば、何万もの時

間を捧げようと己の音はどこまでも醜く、無様な鈍才のそれでしかなかった。

 音大ではない大学に入る頃にはコンクールに出ることもなくなり、ヴァイオリンは辞めたのだと、沙良には言ってい

る。けれど今でも、沙良の本気の演奏を聴いた後には、心が昂って仕方がなかった。自傷のように自分の才能のなさを自覚するだけだとわかっていても、
弓を掴まずにはいられなかった。この世に、彼女の演奏よりも感情をかき乱されるものは他に何一つとして存在しない。今も、昔も。

 音楽の怪物。神話を紡ぐ悪魔。
 それが己の手元にあることは、最悪の呪いだとしか思えない。
 けれどその価値を知っているのだから、手放すことなど永遠にできるはずもないのだろう。
0118この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/11(月) 22:38:19.73ID:hB7GXm5r
―――

 良悟の足音が防音室へと去っていったのを聴いてから、私は目を開けた。
 そして――恋する少女のように、歓喜の笑みを、そっと零す。
 シーツをそっと口元に押し当て、湧き上がる歓びを漏れ出さないよう静かに留める。

 彼が私の首元に手を伸ばしてくれた時の、あの言いようのない胸の高鳴りが忘れられない。
 何度でも、何度でも何度でも何度でも。そうして欲しいと、夢にまで願いたくなる。
 
「……大嫌いなお父さんと、大嫌いなお母さんに無理やり押しつけられた夢のために、毎日泣きながら練習してた頃。コンクールで出会ったあなたが、
私の人生のぜんぶになったの。大嫌いだったヴァイオリンも音楽も、大好きになったよ。それは、あなたが私の音を愛してくれたから」

 誰にも聞かれないように、そっと小声で歌うように呟く。
 自分のためだけの、愛の唄を。

 彼がいない時にはいつだって一日中、腕が裂けそうになるまで弦を引いている。
 世界中からのどうでもいい称賛を一つ一つ拾い集めて、女遊びに精を出したヴァイオリニストや、自堕落な贅沢にふけった指揮者や、人さえ殺してしまったピアニストのような、王様の特権を手に入れ続ける。

 どんな物でも望み通りの、女王様の力を手に入れて。
 欲しいものは、この世にたった一つだけ。

「私が世界で一番上手くヴァイオリンを弾く限り、あなたはきっと私だけを見てくれる。私の音だけを聴いてくれる。あなたになら――殺されたって構わない」

 私はそっと、愛を囁く。
 世界で一番、美しい音色で。
0119この名無しがすごい!
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2019/11/11(月) 22:41:00.69ID:hB7GXm5r
>>116(2/3 改行ミスを修正)

 その日の夜。
 パティスリーから帰った後、沙良は両親に電話を入れていつものように俺の家に泊まっていった。

「むにゃ……」
「……よく眠ってるな」

 他に使い道もないからと、沙良の天井外れの収入が惜しみなく注ぎ込まれた俺の住むマンションの一室は、さながら彼女の別荘だ。真っ当な大学生にはとても手を出せないような値段の純白のベッドで、沙良は俺自身よりも気兼ねなく眠っている。
 多少のバイトの他には大した収入源もない俺は、学業を除けば彼女のヒモ以外の何者でもなかったが、そこに劣等感や抵抗を感じたことはなかった。

 沙良に対する劣等感など、とっくに溢れすぎて真っ黒に塗り潰されてしまっているのだから。

 何の不安もないかのようにあどけない表情で寝息を立てる少女の首に、そっと触れるか触れないかの距離で手を這わせる。細い首筋は、力を込めれば簡単に折れてしまうだろう。
 けれど、すぐに俺の両腕は震え出す。ガタガタと。神の領域にいる至尊の存在に、飛沫の如き己が危害を加えようなどという不遜な考えを、俺自身の魂が糾弾する。

 ストラディバリウスの弦と同じ。壊すことはどこまでも簡単で、けれど。その価値を知る者にとって、それはどんな要塞よりも突き崩すことの不可能な、許されざる蛮行だ。
 その罪深さに比べれば、愛し合った少女を殺めることなど、最初からどうでもいい事に過ぎなかった。

 無駄だとわかりきっている狂気を放り捨て、俺は溜息を零して立ち上がる。
 防音室と、そこにある自らのヴァイオリンの下へ。

 小学校に入る前から奏で続け、日本の頂点に届いたこともある。けれどそんなものは、同じコンクールで沙良に出会うまでのものでしかなく。
世界へと羽ばたき、そこでさえ頂点の座へと容易に登りつめた少女に比べれば、何万もの時間を捧げようと己の音はどこまでも醜く、無様な鈍才のそれでしかなかった。
 音大ではない大学に入る頃にはコンクールに出ることもなくなり、ヴァイオリンは辞めたのだと沙良には言っている。
けれど今でも、沙良の本気の演奏を聴いた後には、心が昂って仕方がなかった。自傷のように自分の才能のなさを自覚するだけだとわかっていても、弓を掴まずにはいられなかった。
 この世に、彼女の演奏よりも感情をかき乱されるものは他に何一つとして存在しない。今も、昔も。

 音楽の怪物。神話を紡ぐ悪魔。
 それが己の手元にあることは、最悪の呪いだとしか思えない。
 けれどその価値を知っているのだから、手放すことなど永遠にできるはずもないだろう。
0120三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/12(火) 01:13:53.22ID:Z93n8r44
>>116
一日でこれを書いてくるのか・・・
ま、、まぁその、本人的には普通かもですが
作風だなぁー、と思わせられる部分が、前作よりも真に迫っていて、個人的にはこっちの方が好きです
技巧とか全体のバランスみたいな部分は、前作に軍配が上がると思います!
0121この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 01:39:40.79ID:qfYULQj1
>>120
感想ありがとうございます!掌編は完全に勢いで書いてるので、「こんなもん書けるんだなぁ」と自分でも毎回驚いてます
前作と今作はどっちも小一時間で書けたのに、本命の読むのも書くのも好きなはずの王道系長編は年一作ペースなジレンマ
沙良ちゃんみたいなぶっちぎりの才能が欲しい……

褒められると嬉しいです!
0123この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 07:50:22.15ID:WBsJullD
>>116
次はバイオリン回になるのか〜、って早いな、116氏のお題選択は『限定スイーツ』『バイオリン』『神話』で、掌の中のキミに贈る曲!
さあ、生きた『神話』と謳われし『バイオリン』奏者、沙良さんがコンサートを終え楽屋に戻ると、彼氏である良悟さんが出迎える〜、
良悟さんいわくこれから『限定スイーツ』のお店で二人の時間…疑いようもなく幸せな交際である、うんうん、だからこの子を――殺してやりたい! うんうん、ええッ
自身もバイオリンに全てを賭けてきた良悟さん、沙良さんの才覚に圧倒されなんと殺意を抱いていた模様〜、しかし同時に奏者として崇拝の念に板挟さまれッ、サスペンスかこれ、いや、さらに沙良さんはまたそんなアブノーマルに胸が高まっているのだったァ〜
相反する心がよりあわされることによってオンリーワンの絆となることもある、愛の求道者こと116氏! 一癖ある男女関係が持ち味なのか、宣言お題をクリアし、早々にラブソング・フィニッシュを決めて想像力のポテンシャルを示したッ
0125この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 09:52:06.12ID:vTJ6MOaw
>>123
ありがとうございます! うんうん、えぇッの部分嬉しいです笑
気付いたけど、作者の性癖ってだけじゃなく一見まともなやべーやつにした方がどんでん返しのギミックを作りやすいっていうのが無意識にあるのかも……?
一癖ある男女関係はここで初めて書いた感ありますが、癖のある変な奴らは書いててとっても手に馴染むんですよねぇ
>>124
まぢむり……書き進まない……「あれ、これつまんなくね?」症候群から抜け出せない……
0126この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 10:58:19.13ID:3L+MB1xI
>>113
感想ありがとうございます、お題全消化してるのには投下した後に気付いたんで修正も出来ませんでした、自分でも三作投下はキツいかと思いましたが何とかなりました、良かったです。
0127この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 22:01:44.87ID:CcGZm1Qs
※大遅刻の供養SS(しかも長い)となります、よろしければお付き合いください。
出来れば期間中に仕上げたかった……

>>2
☆使用お題→『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』

【ゆるキャラ奏者ヤゴ太郎:2曲目 〜ハロウィンの夜と押しかけ弟子〜】(1/4)

決してメジャーとは言い難いが、旅慣れた者たちの間では地方都市の老舗宿として知られ
知る人ぞ知る名湯としても名前が上がる『蜻蛉の湯』(せいれいのゆ)では、現在ハロウィンイベントが開催中だ。
カボチャのランタンや洋館、可愛らしくデフォルメされた黒猫や蝙蝠やゴーストなどのオブジェが所狭しと
ロビーラウンジはもとより、正面エントランスや中庭の一部にまで飾られて。
それらは夜間にライトアップされると幻想的に輝き、いつもの和風テイストの館内とは趣を異にしている。

 そんな中でも一番人気のイペントは、やはり当館で誕生したゆるキャラのヤゴ太郎による津軽三味線であった。
その彼の外見も10月からは秋仕様となり、胴体は赤と黒の縞模様で手足は赤いタイツに包まれている。
初披露のときには一部の観客から「今日から赤トンボか〜」「いや塩辛トンボだ」と言われたのに少々ヘコんだりしたものの
大半は「秋らしくていいね!」と概ね好評だった。演目ではいつも弾いている「津軽じょんから節」から始めて
他にも「ハイサイおじさん」「千本桜」「Storm」「ライディーン」など他ジャンルのテンションの高い曲で盛り上げ
最後はハロウィンにちなんで、しっとりと落ち着いたケルト音楽のメドレーで締めくくった。

 しかし今日はこれで終わりではなく、このまま当日限定の観客参加イベントに移行していくのを
司会の若い女性従業員の明るく朗らかで伸びやかな声が宣言する。

「ここからは特別企画の”三味線で音当てクイズ”を行います。皆さん頑張って当ててくださ〜〜い!!
ああっ後ろのお客さま、自撮り棒での撮影は周りのご迷惑になるのでお止め下さい!?」

 声の主は、普段はフロント業務を担当する照山紅葉(てるやま・もみじ)さんだ。
栗色のセミロングが似合う、文系の女子大生のようなふんわりした雰囲気の美人である。
ヤゴ太郎としてライブを始めた当初からコンビを組み、奏太郎がヤゴ太郎である事を知っている数少ない一人である。
今日の彼女は、フリル付きの白ブラウス以外は全て黒いとんがり帽子とマントとミニのプリーツスカ―ト
そして紫と黒の縞々ニーソックスという、気合入りまくりの魔女っ子衣装でステージに立っている。
いつもの制服である宿の法被に紺色のベストやタイトスカートとは大違いの華やかな姿で
ヤゴ太郎に負けず劣らずの注目を集めている。

「ベン♪」 「ド?」 「正解で〜す!」
「トゥン♪」 「ラッ!」 「はいっ正解〜!」
「テンティン♪」「ソとミッ!?」「凄いっ、お見事!!」

 まずは音階を当てる絶対音感クイズが始まったが、今日の観客は音楽通が集まったのか
早くも白熱した点取り合戦になって、子供も大人も関係なく対等な立場での勝負が繰り広げられた。

「続いては”イントロクイズ”になります。一音だけで曲名を当てないといけないから難しいですよ! 
ではヤゴ太郎くんお願いします!!」

「リョ……了解。デハ一問目イキマス……」

近頃はカタコトながら喋るようになり進化を見せるヤゴ太郎が新ゲームの開始を告げた。
0128この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/12(火) 22:05:03.42ID:CcGZm1Qs
【ゆるキャラ奏者ヤゴ太郎:2曲目 〜ハロウィンの夜と押しかけ弟子〜】(2/4)

「チャン♪」 
「花笠音頭っ!」
「当たりっ、定番曲だから分かり易かったかな?」

「ポロンッ♪」
「グリーンスリーブス!」
「正解! この曲は先程のライブでも演奏してましたね!」

「トォ〜ン♪」
「ノルウェーの森!」
「正解っ! お父さんロックにも強いんですね」
「ええ、若い頃はよく飲んでました!」
「それは違うロックでしょ!?」
「「「「「ドッ(集団の笑い声)」」」」」

 やはりここでも激戦となったが、やがて優勝争いは二人の参加者に絞られた。
一人目はイベントの昼の部に単独出演して、そのまま宿泊を決め込んだ浴衣姿の矢後奏吉。
もう一人は、皴一つないワイシャツと黒マントとスラックスで吸血鬼の仮装をした、小柄で中性的な美形の中学生くらいの少年?だ。
現在両者は同点で次の問題で勝負が着くことになる。全観客の目がヤゴ太郎が持つ三味線とバチに集中し、勝負の行方を固唾を飲んで見守った。
そして…………

「タンッ♪」「「はいっ!!!!」」

ほぼ同時に手が挙がったが、僅かに少年?の方が早く照山さんはそちらを指名した。

「はいっ、可愛い吸血鬼のお客さま!」
「ラヴェル作の”ボレロ”」
「正解です。おめでとう! ついに優勝者が決まりました〜〜〜!!」
「「「「「うわぁーーーーー、パチパチパチーーーーー!!」」」」」

 決客がついた瞬間、大勢の観客の拍手と歓声が会場を包み込み。
優勝した少年?は、ヤゴ太郎から賞品の当館特製パンプキンクリーム入り爆弾シュークリーム(特大)
を受け取り、ヤゴ太郎と照山さんの間に挟まりインタビューを受ける。

「おめでとうございます! お名前を聞いてもいいかな?」
「ありがとうございます、ユウキといいます15歳です。優勝するとは思わなかったので凄く嬉しいです!」
「はい有り難う。皆さんユウキくんに、もう一度大きな拍手をお願いします」
「「「「「おめでとーーーー!!!!!」」」」」

 最後に3人で記念撮影を行い、無事に特別イベントは終了したが
部屋に引き上げてからも納得いかず、悔しさを隠そうとしない大人気ない者がひとりいた。

「奏太郎〜〜、何であんな曲を最後の問題にしたんだ? ハロウィン関係ないし
おかげで父さん常連さんから『プロが負けてどうするんですか』って恥かいちゃったぞ……」

「知るかっ! いい年の大人があんなにムキになってこっちが恥ずかしいわっ!!」

 奏吉はプロの三味線奏者だが民謡だけではなく、ジャズやロックやポップスやエスニック等の他ジャンルにも
造詣が深く、特にクラシックには自信を持っていただけに、年少の素人に負けたことがとても悔しかったのだ。
奏吉は湯呑み片手に、サービスで各部屋に配られたクッキーやマシュマロなどの菓子をやけ食いしながら愚痴り続ける。

「わかった。料理長の板井さんに頼んでホウレン草ジュース作ってもらうから、機嫌直してくれ!」
「おおっ奏太郎、気が利くじゃないか成長したな〜〜じゃあ頼んだぞ!!」

 たまりかねた奏太郎が、部屋を出る口実として自ら言い出した手前やむなく厨房に向かった。
そこには40代後半くらいの黒い口髭がダンディなシェフ、料理長の板井さんが明日の準備で一人残っていた。
むろん一般客は出入り禁止だが、VIP待遇の矢後親子は、よほど忙がしい時を別として割と自由に出入りできている。
0129この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/12(火) 22:08:40.16ID:CcGZm1Qs
【ゆるキャラ奏者ヤゴ太郎:2曲目 〜ハロウィンの夜と押しかけ弟子〜】(3/4)

「おおっ奏太郎くんご苦労さん、今日も良い演奏だったよ。特別企画も面白かったね」
「ありがとうございます! 今日はいつも以上に張り切ってやりましたからね。ところで例のアレ今有ります?」
「ああ奏吉さんのリクエストかい? あるよ。苦すぎてとても他のお客さんには出せないけどね」

 板井さんは大型の冷蔵庫を開けると、2lペットボトルに入った濃緑の液体を手渡した。
奏太郎が礼を言って厨房を出るのとほぼ同時に、慌てふためく高瀬社長の声が後ろから聞こえてきた。

「板井くーーーん!? 小麦粉の使用量が昨年の倍近くになってるよ!? いくらハロウィンだからって菓子の作りすぎじゃないかい?」
「あっ、やばっ……ええと社長……これはですね……」
(こ……これは……俺、関係ないよな?) 

これ以上話を聞くのが怖くなってきた奏太郎は、足早にこの場を立ち去った。

 それから部屋に戻る途中で、今度は宿の制服に着替えた照山さんが一人の宿泊客を案内している所に遭遇するが
その客は奏太郎も見知ってた顔で、つい1時間前まで一緒にステージにいた音当てクイズの優勝者だった。
背丈は160p前後、浴衣を着た華奢な体格が、女性としては長身の照山さんと並ぶとより際立ち。
艶のある黒髪は襟首までのショート、肌は透き通った白さで好奇心の強そうなパッチリとした目はキラキラと輝いて
愛らしさすら感じる容姿をしている。

「あっ奏太郎くん、さっきはお疲れ様。この子が温泉入りたいっていうから、今案内してるの」
「照山さんもお疲れ様です、ええと確かさっきのイベントの子だよね? 俺、矢後奏太郎っていうんだ初めまして」
「はい初めまして。じゃないですね? あのヤゴ太郎って貴方のことなんでしょ?」
「ええええええええええええーーーーー!? てっ照山さん、もしかしてバラちゃったの!?」

一目で即正体を見破られた奏太郎が激しく動揺しているのを、照山さんはクスクスと笑いながら忠告する。

「私じゃないよ奏太郎くん、この子すごく勘が鋭いから甘く見ない方がいいわよ!」
「身体の動かし方ですぐに分かりました、あと身に纏っている雰囲気が何となくそんな気がして」
(勘が鋭いってレベル超えてるだろ……この子は超能力者か何かか……)

「じゃあ奏太郎くん、また明日ね。ユウキちゃん浴場はあっちの方だから一緒に行きましょ」
「はいっ、それでは失礼しま〜す」

 衝撃的な出来事が続き、このときうわの空だった奏太郎は何も気づかなかったが
部屋に戻ってから帰りが遅いことに怒った奏吉により、2杯目のホウレン草ジュースを飲まされていたときに
ユウキについての、ある違和感に気づいたのだった。

 そして数日後。ハロウィン企画が終了して、親子は家でゴロゴロしながら久しぶりの休暇を満喫していたが
その日の夕方に現れた訪問客によって新たな展開を迎えることになる。
やってきたのは同じく休日中の照山さんと、彼女に連れられてきた地元高校の制服姿のユウキだった。
それも青いブレザーにネクタイと膝丈スカート、そして黒いストッキングの女子制服だ。
思わぬ形での再開に奏太郎は「そういうことか」と腑に落ちた顔だが、奏吉は唖然とした表情をしている。
0130この名無しがすごい!
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2019/11/12(火) 22:12:10.22ID:CcGZm1Qs
【ゆるキャラ奏者ヤゴ太郎:2曲目 〜ハロウィンの夜と押しかけ弟子〜】(4/4)

「あらためて自己紹介します。琴月優希(ことづき・ゆうき)といいます。東京から先週転校してきました!」
「奏吉さん、奏太郎くん、イベントの時は内緒にしてて御免なさい。実はこの子、私の従妹でいま私の家に下宿中なの」
「ばっ……バカな、あのとき私はこんな小娘に不覚をとったというのか……信じられん」

そう呟いた直後、奏吉は上体をテーブルに突っ伏すとマネキンのように固まってしまった。

「う〜ん、親父は当分このままだろうから、俺が代わりに話を聞くよ。優希さんはどんな用件でここに来たのかな?」

すると優希という少女は強い決意を固めた目を奏太郎に向けた後、畳に手を付き丁寧な座礼をして懇願する。

「三味線の勉強がしたくてここにやって来ました。是非こちらに入門させてください!?」
「えっ…………ちょっと待って冗談でしょ? ちょっと興味あるくらいじゃ出来ない厳しい世界だよこれは」
「分かってます冗談じゃありません!! 本気で三味線がやりたいんです。お願いしますっ!!」

 少なくとも優希が真剣な思いでここに来たのは理解できたが、とても奏太郎の一存で決められるような事柄ではない。
そこで仕方なく未だ突っ伏したままの父に相談するのだが。

「ええと……なあ親父、これどうしたらいいと思う?」
「わ……私は女の弟子を取ったことなど無いから分からん……奏太郎お前に任せるぞ」
 
 奏吉はすっかり優希に苦手意識が生れてしまったのか、明らかに関わりたくなさそうな様子で奏太郎に丸投げした。
もうこちらは当てにならないと、今度は照山さんに助けを求めて目を向けるが
彼女はにこやかな表情で「引き受けないの?」と言わんばかりの無言のオーラを一貫して放っている。

「この子、向こうでも色んな楽器やってて本当に才能ある子だから。試してみる価値はあるわよ!
そもそも彼女が興味を持ったのは、ヤゴ太郎の動画が原因なんだから責任とってくれないと」

 と言われても困るのだが、同時に他の感情も湧いていた。思えばかつて何人もいた兄弟子たちと一緒に修行していたときは
自分が一番若かったので今まで教える立場になったことがなかった(果たして人に教えるとはどんなものだろう……?)
そんな好奇心が奏太郎を動かし、知らぬ間につい口からこんな一言が出てしまった。

「じゃあ先ずは週2〜3日の通いで基本のレッスンから始めてみようか。照山さんのところにいるなら可能でしょ?」
「はいっ奏太郎師匠。これからもよろしくお願いしますね!!」

こうして奏太郎に初めての可愛い弟子が誕生することになった。

 次の日の公演。表向きはヤゴ太郎が一週間の休暇を取っていることになっているので
この日は久々の矢後奏太郎としてのソロライブだ。事前の高瀬社長との打ち合わせだが彼から開口一番に出た言葉は。

「奏太郎くん話は聞いたよ。弟子を取ったんだって? 君もすっかり一人前の三味線弾きだね!」
「社長さんっ、どうして知ってるんですか!?」
「奏吉さんと昼に会ったら嬉しそうに館内のあちこちで話していたよ。もう皆知ってるんじゃないかな……」
(あの親父……また余計なことしてくれやがったな……明日ホウレン草ジュースにタバスコ混ぜてやる!?)

そしてその日のライブは……

「奏太郎師匠ーーー、誕生おめでとーーー!!」
「新師匠がんばれーーー!!」
「女子高生の弟子だって羨ましいぞーーー!!」 
(もう勘弁してくれ〜〜〜〜!?)

常連客はもちろん事情を知った一見客までがノリノリで連発する、師匠コールを受け続けながら行うことになるのだった。
0131三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/13(水) 01:49:52.18ID:+z3fQonh
>>127
なげえ
マジで長かった
文字数を見ると3レス分以内ですが、短編スレ的にはダイエットが必要な長さだった
切り詰めるコツを説明したくなるくらいには長い

ともかく遅刻ながらも執筆乙乙です
話の内容自体は、作者自身が作品世界を楽しんでいることが伝わってきて、こちらとしても元気が出ます
一番面白いと思ったのは、照山さんの親戚だと判明する所ですw

大変だったとは思いますが、どうかこれに懲りず、また続きを書いてくださいー
0133この名無しがすごい!
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2019/11/13(水) 08:17:17.12ID:s1jaP9zC
>>127
シリーズ愛が勝ちすぎ供養となってしまったかw 127氏がハロウィン(Part2)回に追加、全選択! 蜻蛉の湯、ヤゴ弟子編〜
さあ、『幻想』的にライトアップされた老舗宿、蜻蛉の湯では『ハロウィン』イベントの真っ最中〜、『自撮り』棒での撮影はお止め下さいとのアナウンスが宿の仮装ぶりと盛況を伝えるッ、
ただしハロウィンと言えど出し物は三味線なので、やることは渋いイントロクイズだw そこで主人公、ヤゴ太郎さんの父を打ち破った一人の天才少年が特製『爆弾』シュークリームを受け取り、
自棄になった父がお菓子の馬鹿食いで『小麦粉』の消費量を増大させるw ドンマイ、ラスト〜、そういえばさっき少年といったな、あれは嘘だ…よく見たら少女だし、
しかもお前の弟子だぞ、って感じで、ねじ込むように弟子できてるENDォw 127氏、平和な宿の群像を描写し、湯気をカボチャ色に染色する、パンプキン☆フィニッシュ!
0134三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/13(水) 13:27:59.10ID:+z3fQonh
>>132
スルーした方がいいんだろうけど、別にひどくはないよ
問題がないとは言わないけど、行き過ぎがあれば都度叩くし
進行は過疎が一番嫌なので、盛り上がってるのは純粋にありがたい
0137この名無しがすごい!
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2019/11/13(水) 14:29:30.78ID:F0OS5Csj
まあ熱くなる前にそのへんにしときや
ここで喧嘩なんかしてるのは見たくないし
0138この名無しがすごい!
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2019/11/13(水) 18:23:00.73ID:pnYKTpuN
>>109
使用するお題→『限定スイーツ』『刀』

【忍者、現る!?】(1/2)

夜の9時、レストランの閉店時間になった。
ライアンとレイチェルは後片付けを終わらせ、リビングのソファーで温かいココアでホッと一息つく。

「ねえレイチェル」
「どうしたのライアン?」
「1ヶ月くらいさ、期間限定のスイーツを作って販売しようと考えているんだけどどうかな?」
「すっごく良いアイデアね!私はもちろん賛成よ!」
「君ならそう答えてくれると思ったよ」
「だって大学生の時のクリスマスに作ってくれたチョコレートケーキ、絶品だったもん!」
「アハハ、ありがとう。ロールケーキにしようと考えてるんだ」
「ロールケーキ?いいねいいね!」

翌日、ライアンとレイチェルは早速準備に取りかかる。
期間限定で毎日100個ロールケーキ販売をいざ実施した結果、予想以上に人気を博し長蛇の列ができるほどだった。
並んでいても食べられない人ももちろんいるわけで不満を言われることも少なくなかったが、そんな時はお詫びで無料でバニラアイスを提供するなど対応もしっかりした。

「ふぅ、まさかここまで売れるなんて全然予想してなかったよ」
「もう大成功ね。期間限定とか言わずに一般販売すればいいんじゃない?」
「それも考えておこうかな」

限定ロールケーキの販売を始めて2週間ほどが経ったある日のことだった。

「あれ、ないぞ?どこにもない!」

翌日のために予め用意していたロールケーキ100個分が消えていたのだ。
泥棒かと疑ったが、窓ガラスやドアが破壊された形跡は一切なかった。

「一体、誰の仕業だ?寝る前にちゃんとドアや窓の鍵をかけたか確認したのに…」
「まさか壁をすり抜けて入ったのかも…ということは幽霊か何かかしら?」

念のために警察に捜査してもらったものの、ドアや窓には指紋すら一切ついていなかった。

「よし!こうなったら私が徹夜で見張りをするわ!」
「無理しないでレイチェル。材料さえあればロールケーキはいつだって作り直せるよ」
「大丈夫!ライアンの美味しいロールケーキを盗むなんて絶対に許せないから!」
0139この名無しがすごい!
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2019/11/13(水) 18:24:35.23ID:pnYKTpuN
【忍者、現る!?】(2/2)

その夜、レイチェルは徹夜での見張りを開始した。もちろん、いつものガンマン衣装に着替えて。

「この私、レイチェルが絶対に捕まえてみせるわ。女ガンマンの真髄というのを教えてやるんだから覚悟してなさい」

深夜の2時になり既に日付が変わっても、泥棒は姿を現さなかった。
3時頃となるとさすがに睡魔が襲い、レイチェルは熱いコーヒーを飲みながら必死に耐えようとする。

「寝ちゃダメよレイチェル、寝ちゃダメ…」

完全に眠りに落ちてしまいそうになったその時だった。

「あれ?今日はロールケーキ置いてないじゃない!」

どこからか聞こえる女の声にレイチェルはハッと目を覚ます。
思わず上の方を向いてみると、天井には顔をマスクで完全に覆った忍者の姿があった。

「に、忍者!?まさかシチリアにいたなんて!」
「姿を見られては仕方ないわね!」

忍者はとっさに床に降り立ち、同時にレイチェルは腰のホルスターから銃を取り出す。

「あなたがロールケーキ泥棒の犯人ね!覚悟しなさい!」

レイチェルが銃を放つ。だが忍者は背中にかけていた日本刀を鞘から取り出し、
素早い動きで銃弾の一つ一つを華麗に斬り刻んでいった。

「私に銃なんて無意味よ」
「そ、そんな…!!」

レイチェルが一瞬動揺した時、忍者は煙幕を使ってそのまま姿を消してしまった。

「レイチェル、何があったんだい!?」

銃弾の音を聞いて目を覚ましたライアンが駆けつけた。レイチェルはさっきの忍者のことを全て説明した。

「まさか忍者が本当にいたなんて…」
「私があの忍者を絶対に捕まえてみせるから!」
「でもレイチェルに怪我がなくて本当に良かった!それだけでも十分だよ!」

ライアンはレイチェルをギュッと抱き締めると同時に頭を優しく撫でる。
あの忍者は一体誰なのだろうか。いつかまた会うかもしれない。
今度対峙した時は絶対に負けるものかとレイチェルは決意するのだった。
0140三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/13(水) 23:50:56.75ID:+z3fQonh
フォロー助かる><

>>138
こちらも率直に言って色々と助かるー><
刀=サムライかと思いきや、まさかの忍者に加えてガンアクションとはw
この引っ張り方はシリーズ初ですが、に、、忍者の正体とは・・・
0142この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 03:44:18.77ID:wdL2Q7Iy
>>37

使用するお題→『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』

【サムライが少女と、少女がサムライと出会うまで】(1/3)

限定スイーツという悪魔の言葉を生み出した誰かを殺してやりたい、そんな自分ながら物騒にすぎる思考をウッカリ声に出しながら、“抹茶クリームチーズ神話最大の挑戦者”と銘打たれた抹茶クリームチーズと宇宙アナゴの盛り盛りアナゴタルトを頬張る俺。

「抹茶クリームチーズ神話シリーズはハズレが無かったからって油断したぜ、期間限定という思わぬ伏兵まで俺を惑わしやがった」

涙が出てくる不味さに何処へともなく向けた殺気が周囲に漏れていく、何となく営業妨害になってる気がするが、コッチはそれどころではない、この糞マズタルトは一つで140宇宙$日本円換算で2,800円………………

「細々と用心棒で食ってる俺にゃ痛い出費だ、食うしかあるめえ」

自分でもテメエの顔が飯を食うときの顔じゃねえ事ぐらい分かる、まるで修羅場だ、油断すりゃ命を持ってかれるあの場所と同じ空気をこのタルトは放っていやがる。

「よし食うか、さて食うか………………食うぞ? 食うかんな!? 分かってんのかゴルァ!?」

駄目だ、どれだけ鼓舞しても俺ときたらフォークを動かそうとしやがらねえ。

「居たぞ! 腰に刀…………間違いない!」

そんな俺にミニ豚もとい残飯処理係が声をかける、何やら声を上げて威嚇してるようだが、どうにも糞マズタルトをご所望らしいときた。

「待ってたぜぇ! 豚共!!」

駆け寄る先頭の豚にタルトの乗った皿を叩きつけ、仰向けに倒れ込むそいつの腹を蹴って後続の豚共を飛び越える。

「お代はそいつ等にツケといてくんな!!」

間抜けな顔で目を剥く店主にそう告げて悠々と店を出る、其処は宇宙港M-08、雑多な人種が入り乱れる地球の衛星“月”の玄関口、その一つだ。
0143この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 03:44:51.88ID:wdL2Q7Iy
【サムライが少女と、少女がサムライと出会うまで】(2/3)

「よーしよしよし、ストラディバリ云ちゃらは無事無事っと」

エラく高価な物らしい提琴(ていきん)の無事を確認した俺はケースを閉じて背負い込む、今の俺はコイツの護衛が仕事だ、人を守るのだけが用心棒でもねえ、店だの宝だのを守る仕事も偶にはある、だが楽器を守れだなんて言われたのは初めてだ。

「この港で1ヶ月、この提琴を守んのが俺の仕事、その1ヶ月後まであと四半日、ああ………………ちゃんと覚えてら」

わざわざ俺に預けるからにゃなんか有ると思ったがポリ公に追っ掛けられる事になるとは思わなんだ、だが、どうにも楽器自体がこの騒ぎの中心とは思えねえ、アイツ等に芸事の価値が分かる程度の教養が有るんなら、俺も豚だなんて呼びやしねえって話だ。

左腕の時計を覗き、この資材置き場で休憩していた時間が半刻分近くになっている事を知った俺は船着き場と呼ばれるデッカい櫓を見上げる。

分厚い天窓越しに見えるソイツは今も宙(そら)を駆る船の寄る辺となり、碇のように船をこの星へと繋ぎ止めている、確かあの天辺まで依頼主を迎えに行かなきゃならんかった筈だ。

「そろそろ登り始めんと間に合わねえようだし、此処を発つか」

エレベーターってのを使やあ数分で着くんだろうが、今はそうもいかねえ、この疫病神みてえな提琴を持ったままじゃ乗ったところで降りられねえのが目に見えてる。

「豚連中の動き次第では何人か斬るかもな」

そんな、最悪な予想に、しかし俺は笑っていた。

“人を斬る”

戦帰りのカラッカラの喉にきったねえ池の水を押し込むときみてえな潤いがある、1ヶ月もせせこましく港ん中で逃げ回るには不殺が最低条件だったが、ここまでくりゃ関係ねえ、随分と歯痒い思いをさせる依頼だったがよう…………

「アイツ等相手の大喧嘩は楽しそうじゃねえか」
0144この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 03:45:26.68ID:wdL2Q7Iy
【サムライが少女と、少女がサムライと出会うまで】(3/3)

あるヴァイオリンを手放した事を後悔し続ける友達が居た、テラフォーミングされたばかりの火星の更に辺境、宇宙港から五つの山を越えた場所にある山奥に住み着いた彼は私に色んな話をしてくれた、地球で暮らしていた頃のこと、資産家として財を築いていた頃のこと。

奥さんが大のバレエ好きで娘をバレエ教室に通わせていた事、娘がバレエを辞めたのがショックで寝込んだ奥さんの看病が大変だった事、コレクションの一つだったそのヴァイオリンを弾きたがった娘にヴァイオリンを買ってやった事。

宇宙への進出で不動産業界が落ち込み、その煽りで財産の半分だった有価証券の半分が紙屑になった事。

宇宙開発への投資に目処を立てるために赴いた月で未知の宇宙病を患った奥さんの治療に3/4になっていた財産の半分がとけた事。

その頃にはコレクションの半分や家財の一部が無くなり、母と同じように宇宙病に罹った娘の助かるかも分からない治療に残りの全てを売り払った事。

どうやら彼は私を奇跡的に助かったと言うその娘と勘違いしてるらしく、思い出話と言う形で私は彼の辿った半生を知った、そして老体に鞭打って起き上がってきては私に言うのだ「お前にあのヴァイオリンを弾かせてやりたかった」と。

きっと彼に再びヴァイオリンを取り戻すチャンスは訪れないだろう、万一手に入れることが出来たとしても彼の住まいに彼の娘らしき姿はなかった。

「それでも」

最期で良い、彼に思い出のヴァイオリンを聞かせてあげたい、その思いを一心に私は止める両親を振り切って家を飛び出した………………



私が宇宙港Mー08ターミナルの屋上で警察官の血にまみれたサムライと出会う2年前の事である。

「アナタとっても強いのね」

そう話し掛ける私に彼は無言で左手を差し出してきた、金を払え、という意図は読み取れる、血まみれの口で喋るのが不快なのも様子から伝わってくる、しかし依頼主に向ける態度としては如何なものか。

「そうね、態度が悪いから報酬は私の船でシャワーを浴びておあずけってのはどう?」

そうすると、彼は懐紙で血糊を拭き取った刀にわざわざ返り血で文字を書き始めた。

無言で差し出された刀には無駄な達筆で“悪くない”とだけ書かれていた。

そうして船に上がってくるサムライの彼、そんな彼が普段はお調子者で饒舌である事も、この後、火星までの家路に付き合って貰うことになるなんて事も、この時の私には知る由も無かった。
0145この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 03:48:17.75ID:wdL2Q7Iy
スイマセン安価先が先週のままでした>>109と此処で安価しとくんで勘弁してください
0146この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 08:36:21.70ID:9/XSx/V/
>>138
もはや週間連載の様相を呈するレイチェルシリーズw 138氏、今回はお題『限定スイーツ』『刀』を宣言! ロールケーキとレイチェルの巻〜
さあ、1ヶ月くらい期間『限定スイーツ』を作って販売なるライアン氏の発案により、ロールケーキ販売となったレイチェルズ、レストラン、
新メニューにー長蛇の列をなす人気を博すが、ある日、ケーキ100個がまるまる盗まれてしまうッ! これは、ニンジャの仕業だ! なぜニンジャが
容赦なく発砲するレイチェルさんだが、忍者は弾丸を日本『刀』で切り刻んで逃亡ォ〜、弾丸を切り刻むだと…半端ない強者じゃねーかw
138氏、レイチェルシリーズには珍しく、これは投獄できなかったよENDで宣言お題クリア! シリーズ最強の怪盗?が現れ、まさかの黒星フィニッシュで次回になだれ込む!

>>142
どうやら今回も作品投稿の勢いがいい模様だ、『限定スイーツ』がいい味を出す、142氏は宇宙侍モノにて全選択、拙者タルト侍で候!
さあ、舞台は宇宙港M-08、抹茶クリームチーズ『神話』シリーズの糞マズタルトを食す一人の侍が期間『限定スイーツ』という甘い言葉に惑わされたぜと、
糞マズタルトを追っ手の顔に皿を叩きつけるw ドリフw 依頼品の『バイオリン』を一ヶ月守るべく、不殺の誓いを立てた『歯がゆい』思いもそろそろ終わりだ〜
依頼主の少女は友人切望の品であるバイオリンを探し、ついにここ宇宙港M-08にて血にまみれたサムライと出会い、男は『刀』に血文字で「悪くない」と記すッ、渋い絵面ァ!
ドラマチックな出会いがもたらす冒険序説、全選択を攻略した142氏〜 べらんめえ口調の侍のキャラを立て、スペース・ロードームービーの幕開けフィニッシュを決めた!
0147この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 14:32:29.94ID:qLzAzoSj
>>140
>>141
>>146
感想ありがとうございます!
今までは1話のうちに悪者をその場で捕らえて投獄するパターンでしたが、
こう一筋縄ではいかない強敵を出すのも面白いかなあと思い、忍者を登場させました。
忍者が再びレイチェルの目の前に現れるのは一体いつなのか?その時を是非お楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0148この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 14:56:21.57ID:qLzAzoSj
>>109
使用するお題→『限定スイーツ』『バイオリン』『歯がゆい』

【弟とチョコタルトを守れ!】(1/3)

ある朝の7時のことだった。

「お姉ちゃん、もう7時だよ!早く起きてよ!」
「うーんムニャムニャ…って、もうそんな時間!?」

弟のケンスケの声で飛び起きるカナミ。今日は商店街にある喫茶店にて、限定スイーツとしてチョコタルトが販売される日だった。
喫茶店の開店時間は毎朝9時。限定チョコタルトを確実にゲットするため、開店の2時間前には並んでおこうと、昨夜ケンスケと計画を立てていたのだ。
6時に起きて準備して家を出るつもりがもう既に7時。目覚まし時計を忘れずにちゃんとセットしていたのだが、どうやら夜に電池切れを起こしてしまい鳴らなかったのだ。

「ごめんねケンスケ!今すぐ着替えて準備するから待って!」

カナミは急いでパジャマから普段着に着替えて、出かける準備をする。

「それじゃ行ってきまーす!」
「気をつけて行くのよー!くれぐれも事故には遭わないでね!」
「分かってるよー!」

喫茶店へ向かうカナミとケンスケを母は優しく見送る。カナミとケンスケは喫茶店へととにかく急ぐのだった。
必死に走って20分ほど、なんとか喫茶店に辿り着く。既に10人ほどが並んでいた。

「10人ほどなら全然余裕ね。ハァ、ハァ…」
「もう30人くらい並んでいるのかと思ったよ。よかったぁ」

現在8時半、開店まであと30分だ。朝食を取っていなかったため、カナミのお腹がグゥーと鳴る。
そして9時、開店時間となった。カナミとケンスケは難なく限定チョコタルトをゲット、10個入り3セットを持ち帰るのだった。
その後、カナミとケンスケは近くの公園のベンチに座って少し休憩することにした。

「チョコタルト、無事に買えてよかったね!」
「ふぅ、これで一安心ね。寝坊してごめんね」

お腹が空いていたカナミは、近くのコンビニで買ったジャムパンとカフェオレで一息つく。
少し遅い朝食を済ませたその時だった。

「あら、あんた5年の七尾?それに弟くんも一緒じゃない」

カナミとケンスケの目の前に現れたのは、6年の篠塚フミエという女子だった。
0149この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 14:58:00.70ID:qLzAzoSj
【弟とチョコタルトを守れ!】(2/3)

「ろ、6年の篠塚フミエ…!」

カナミはフミエの姿を見てビックリする。6年生のフミエはとにかく意地悪で気の荒い、傍若無人な女だ。
あの妖怪カズコもそうだったが、6年の女子のほとんどが性悪かつ粗暴な性格をしており、下級生をいじめて楽しむのが好きなのだ。

「あの限定チョコタルトを買ったのね。いいわね、私に寄越しなさい」
「絶対嫌よ!これはケンスケとお母さん、お父さんと一緒に食べる物なんだから!」
「生意気な奴ね!」
「ケンスケ、逃げるよ!」
「うん!」

カナミとケンスケは急いで逃げようとする。すると、フミエはどこからともなくバイオリンを出し、わざとギーギーと不快な金切り音を立てる。
その音にカナミとケンスケは動きが止まってしまい、その場にバタッと倒れてしまう。
フミエは非常に悪趣味で、こうやってバイオリンを雑に扱い、ギーギーと音を立てて遊ぶのが大好きだった。

「そ、その音、や、やめてッ…!!!」

フミエの起こすバイオリンの金切り音に太刀打ちすることができず、歯がゆい気持ちに苛まれ、
カナミはそのまま気を失ってしまった。30分ほど経っただろうか、意識を取り戻し体を起こす。
そこには既にケンスケの姿やチョコタルトが入った袋は無かった。

「ケンスケがいない!フミエに連れて行かれたのね!」

カナミは急いでフミエを探しに向かうが、どこにも見当たらない。
フミエの家の場所も分かるはずがないので、もし家まで連れ去られたとなったら完全に終わりだ。

「ケンスケ、絶対に助けるから!」

1時間ほど経過し、人気の少ない土手を走っていた時、遠くにフミエがいるのに気付いた。近くにケンスケもいる。
気付かれないよう音を立てずにゆっくりと距離を詰めていく。履いているスリッポンを脱ぐと、それで思いきりフミエの頭を叩く。

「あいたッッッ!!!」

フミエが倒れて怯んだ隙に、彼女のバイオリンを近くの川に放り捨てた。

「お姉ちゃん!」
「ケンスケ、もう無事よ!」

ケンスケとチョコタルトの入った袋を取り戻したカナミ。
しかし、フミエはすぐに起き上がり、後ろから2人を追いかけてきた。

「よくもやったわね!待ちなさい、あんた達!!」
0150この名無しがすごい!
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2019/11/14(木) 14:59:57.49ID:qLzAzoSj
【弟とチョコタルトを守れ!】(3/3)

「うわあ、フミエが迫ってくるよ!」
「とにかく今は走って逃げるのよ!」

ウガー!と獣のような唸り声を上げて、フミエがどんどん迫ってくる。
フミエが腕を伸ばしてカナミの服を掴もうとした。もうダメだ、捕まると思ったその瞬間だった。
誰が置き忘れたのか分からないスケボーにフミエは足を取られてしまう。

「うわわわわ!!」

フミエはそのままスケボーで滑って暴走し、開いたままのマンホールの中に勢いよく落っこちてしまった。

「フミエ、マンホールに落ちちゃったね」
「悪いことをするからバチが当たったのよ。ケンスケ、もう大丈夫よ。さぁ帰りましょ!」
「そうだね!」

帰り道、ケンスケは嬉しそうにカナミの腕をギュッと掴む。そんな弟の姿を見て、カナミは「甘えんぼさん!」とからかい微笑むのだった。
その夜、テレビを見ながら夕食を食べているとニュースが入ってきた。
小学6年生の女の子がマンホールに落ちて意識不明、全身複雑骨折の重体とのことだった。
カナミとケンスケは一切気に留めず、箸を動かしご飯を食べるのだった。
その後、リビングのソファーに座り、美味しいチョコタルトを食べながら好きなアニメのDVDを見て楽しむカナミとケンスケ。

「6年の女子って本当に怖いの多いね、お姉ちゃん」
「そうよ、興味半分で6年の教室に近づいちゃ絶対ダメよ。酷い目に遭うからね」
「うん!」
「あとそれから…」
「それから何?」
「ピンチの時は必ずお姉ちゃん!と大きな声で叫ぶこと。忘れないで」
「もちろんだよ!」

そして2人は歯を磨きパジャマに着替え、眠りにつくのだった。
0152三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/15(金) 00:27:56.88ID:0zJXAE6F
先週今週と作品だらけですね

>>142
これはw 世界観がいいなぁー
勢いで書いた感と、バラバラお題がマッチしてますね

>>148
タルトかぶせてきたw そして斬新な攻撃w
ともかく結末は平和ですが、こっちはこっちで世紀末感がw
0153この名無しがすごい!
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2019/11/15(金) 04:34:51.76ID:aXmH8uy6
>>146
>>152

感想ありがとうございます、142です3レスじゃ書ききれなかったのでそのうち続編書きます。
0154この名無しがすごい!
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2019/11/15(金) 07:35:28.79ID:YmVdTh1B
>>148
筆が走るぞ148氏、レイチェルシリーズに続きブラコンシリーズも続行、宣言お題は『限定スイーツ』『バイオリン』『歯がゆい』でGO、チョコタルト、それは禁断の果実!
さあ、ブラコンシリーズ、今回はカナミさんと弟のケンスケくんが『限定スイーツ』てチョコタルトをゲット〜、するとほとんどが性悪かつ粗暴な性格をしているという、
暗黒小六女子の一員であるフミエが登場し、『バイオリン』で不快音をかき鳴らしながら私に寄越しなさいと迫ってくるッ
『歯がゆい』気持ちに苛まれ、気を失ってしまったカナミさん、ステータス異常系の陰湿な攻撃w しかし気を取り戻し、スリッポンでフミエの頭を叩くと、怒ったフエミがマンホールに落ちていったァ〜、あら〜、はい複雑骨折!
勧善懲悪きたw 148氏、今回は同情の余地なしとみたか、闇のヴァイオリニスト、フミエの病院送りENDで宣言お題をクリアーし、ホスピタル・フィニッシュで走り抜けた!
0156この名無しがすごい!
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2019/11/16(土) 21:44:43.62ID:daxcrLdS
>>152
>>154
感想ありがとうございます!
はい、この物語に登場する小6女子のほとんどがとにかく野蛮で傍若無人ですw
一見どこにでもありそうなほのぼの日常劇をこう非日常に書くのって楽しいです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0157三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/16(土) 23:56:51.72ID:Z1iVMhQc
確かに募集はしてますが、、次回、もう一度だけ企画なしでやろうかなと思います
その次は、また企画お題をやります
0159この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 08:26:09.63ID:YHR9e2gm
まぁみんな素人でしょ(プロがいたら怖い……)
まずは山なしオチなしでもとりあえず投稿してみて成長してくもんだよ
0160この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 10:06:11.05ID:inG/hcEF
未完の傑作より完結した駄作っていうものね
初めてなら書くだけ書いて無鉄砲に公開するのもいいと思う、恥ずかしい出来の作品だって糧になってるんだから決して黒歴史になんかではないよ
0161この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 14:21:53.74ID:YHR9e2gm
むしろ黒歴史あってこその創作って気がする
過去に書いた作品読みかえして悶えない奴なんているまい
0162この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 20:03:38.02ID:EAqfwJgM
>>109

使用お題→『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』

【スイーツ日記】(1/2)

 私は刀だ。神話の時代から存在する刀だ。さる高貴な姫君の懐刀だったこともある刀だ。
 そんな私だが、刀の時代が終わると、他のがらくたと一緒くたに土蔵の奥深く押し込められ、久しく日の目を見ることがなかった。
 このまま忘れ去られるのだろうと思っていたが、ある日のこと、薄ぼんやりとした明かりに照らされて、誰かが私を手に取るのを感じた。

「んー、これは、なんだぁ? 鉈(なた)代わりに丁度いいなぁ」

 私を手に取ったのは、どうにも間の抜けた話し方をする女だった。どことなく見覚えのある顔立ちは、私の過去の持ち主、その誰かの子孫なのだろうと思わせた。

「んー、これは、よく切れるなぁ。えい、えいっ」

 その口調から受ける印象そのままに、女の刀さばきは刃が……歯がゆいものだった。
 畑を歩いては私を振り回して草を払い。

「おおっと、っと、っと。危なかったなぁ」

 すっぽ抜けそうになった。草ナントカの剣(つるぎ)じゃないんだぞ。
 誰かに当たったら……それは仕方ないが、石にでも当たったら大変だ。
 肥料の袋に私を添えて。

「窒素、リン、カリ。んー、これがバイオテクノロジー、あたしのバイオリンだぁ」

 勢いよく引いた。袋は音もなく切り裂かれ、中身が地面に散らばった。
 意味が分からない。
 台所では私をまな板に叩き付けた。

「んー、あたしのケーキがぐちゃぐちゃだぁ」

 女はケーキを千切って食べた。それなら最初からそうしてくれ。
 使われてこその道具。そこに異論などあろうはずがない。
 そうは言ってもだ。
 道具は持ち主を選べない。ままならぬ身が実に歯がゆい。
0163この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 20:04:03.69ID:EAqfwJgM
【スイーツ日記】(2/2)

「んー、これは、甘いなぁ。畑のスイーツだなぁ」

 夏の間中ずっと、女は私を連れ回した。私の刀身は汚れ、柄(つか)は汗まみれになった。
 やんごとない。実にやんごとない。
 そんな日々が。

「んー、なんか、切れ味が悪くなってきたなぁ。ばあちゃんに相談だなぁ」

 突如。

「ばあちゃーん。これなんだけどなぁ」

 終わりを告げた。

 *

 私は今、しかるべき場所で展示されている。学生たちが私の前を素通りする。

「これさー、期間限定なんだって」
「へー。私にも一個ちょーだい」

 スイーツに目がない彼女たち。古ぼけた道具になど目もくれない。
 使われてこその道具。一夏限りの冒険。
 私の限定スイーツ。

「んー、あったあった。ばあちゃーん、あったんだなぁ」

 私は刀だ。やんごとない刀だ。草をないだり、ケーキを潰したりした刀だ。
 そんな思い出も今は昔。私は籠の鳥。
 毎日退屈だけど、そんな暮らしも悪くない。

「こうして見ると、立派なもんだなぁ」

 そんな風に言ってくれる人もいるからなぁ。

 いとをかし。
0165この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 21:19:09.54ID:YHR9e2gm
刀視点で書くのはちょっとやってみたかった
ヴァイオリン視点も若干興味はあった
0166この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 21:58:51.29ID:/nGm6EEE
>>109
お題:『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』

【異世界喫茶と転生少女】(1/3)


「うん、ここ、当たりだわ」

 お店の限定スイーツを食べながら、甲田 麻紗美はそう呟いた。
 店長の趣味で揃えられたであろう洒落た内装に、娘さんだと言う少女の奏でるバイオリン。
 店員の雰囲気も良く、ゆったりと出来る。

 だからこそだろう。麻紗美は、どうしても歯がゆかった。

 チラリと周囲を見回す。そこかしこで給事をしているウェイトレス、ガチャガチャと防御力を重視した、鎧武者の様な出で立ちと、その腰に差された“刀”。
 それがお店の雰囲気をぶち壊しにしていたからだ。

 何を隠そう、ここは日本ではない。異世界だ。
 麻紗美は、ひょんな事から異世界転生を果して、ここ『ラルノール』の世界に来ているのである。

 ******

『ごっめ〜ん!! うっかりミスっちゃった! テヘペロッ!!』

 全く誠意の見えない謝罪をしたのは天使であると言う少女だった。
 確かに、人間離れした美貌と純白の羽根。そして天使の輪を有して居る事から、それは真実なのだろう。

 この場所は天国門。いわゆる死者の国の入口である。

 なぜ、麻紗美がここに居るかと言えば、偏に眼前の天使のせいだった。元々、彼女の使っていたバスは事故に遭う運命だったらしい。
 しかし、奇跡的に死者がいないハズの事故だったにもかかわらず、このうっかり天使が、真っ先に意識を取り戻した麻紗美を“間違って生き残っちゃった死亡予定者”だと勘違いし、魂を抜いてしまったのだ。
 その事実を教えた同僚の天使は、既に『天界限定スイーツ』で、買収済みであるらしい。

「あ、アタシの命の値段って、スイーツ並みなのか……」
『ひっどーい! 公務員のわたしじゃ、一か月に一度、食べられるかどうかの高級品なんだよ!!』
「……天使って公務員なの?」
『うん、天界公務員』

 公務員であるらしい。
 そんな訳で、予定にない死者である麻紗美は、天国門に入れない。だが、今さら地上に送っても、既に肉体は火葬されている為、亡霊以外にはなれないのだそうだ。

『で、物は相談なんだけど……』
「はい?」
0167この名無しがすごい!
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2019/11/17(日) 22:06:23.56ID:/nGm6EEE
【異世界喫茶と転生少女】(2/3)


 ******

 こうして麻紗美は、創生神見習いの作った異世界へモニターとして送られたのである。
 このラルノールの世界は、ここを創生した見習い神の話では『スーパーオリエンタルファンタージー』な世界であると言う。

 ただ、麻紗美の感覚から言えば『日本かぶれなヲタク外国人の間違った世界観』にしか思えなかったのではあるが。

 そして今、麻紗美は冒険者として、この世界を旅してまわっている訳なのだが……

「何で鎧? どうして鎧? ウェイトレスが鎧?」

 百歩譲って、刀は許せる。麻紗美とて、ヲタクをかじった“腐っていない”女子だ。「大正桜」に浪漫は感じる。
 いや、だからこそ、「可愛いは正義」なウェイトレスが武骨なだけの鎧武者である事が許せなかった。

「せめて馬〇道!!」

 魂の叫びである。

 確かにこの世界は危険が多い。モンスターなんて存在すらいる。だからと言ってコレは無いだろうと言うのが麻紗美の心情だった。

「てか、何なの? 有事の際はこの娘達を戦わせる気なのかな? ここのマスター」

 スイーツセットの抹茶をティースプーンでクルクルかき回しながら、麻紗美が溜息を吐く。
 ウェイトレスが鎧武者でさえなければ、可愛い女の子たちを眺めながら美味しいスイーツを食べられる、理想郷ともなれるスペックを持っているだけに、画竜点睛を欠く歯がゆさがあった。

「ま、アタシがここでぐちぐち言っててもしょうがないんだけどさ」

 結局の所、ここは店主のこだわりで作られた店である。部外者の彼女がどうこう言って良い物でも無かろう。
 そう思い、麻紗美が、席を立とうとしたその時であった。

「きゃ――――!!!!」
「おいおい、この店は誰に断って営業してんだぁ?」

 いかにもチンピラと言って良い風貌の男達が店内に傾れ込んで来たのだ。
 バイオリンを弾いていた少女が、バイオリンを抱えながら、客とチンピラとの間に立ち、店主が一歩前へ出る。
 その毅然とした態度に、麻紗美は内心「へぇ」と、感心した。
 チンピラの一人が、近くにいたウェイトレスの手を掴む。

「お父さん!!」
「大丈夫だ!! ウェンディー! 彼女達は……」

 何か護身術でも仕込んでいるのだろうか? と、麻紗美が考えていると……

「鎧を着ている!!」

 思わずコケそうになった。
 そんな会話を聞いている内にも事態は進んでいた。手を掴まれていた鎧武者のウェイトレスが、その手を捻り上がられ思わず「キャァ」と悲鳴を上げる。

「そんな!! 鎧を着ているのに!!」

 真っ青になって店長が叫ぶ。見れば足元が産まれたばかりの小鹿の様にガクガクと震え、奥歯をガタガタと鳴らしていた。

「どんだけ、鎧を過信してんのよ!!」

 思わず叫んでしまった麻紗美にチンピラの視線が向く。
 その隙を見逃さなかったのが店長の娘であるウェンディーであった。バイオリンに仕込んであった仕込み刀を抜き放つと、ウェイトレスを掴んでいるチンピラに切り掛かったのだ。
 だが……
0168この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 22:08:22.49ID:/nGm6EEE
【異世界喫茶と転生少女】(3/3)


「そうは、問屋が卸さねぇんだな、これが」

 ウェイトレスの首に腕を掛けると彼女を盾にしたのである。思わずその動きを止めるウェンディー。
 もう一人のチンピラはそれを見逃さず、彼女を蹴り飛ばした。

「ぐ……う……」

 床を転がり呻くウェンディーに、追い打ちを掛けようとするチンピラ。
 店主はすでに腰砕けで、他のウェイトレスや客も、顔を青くしているだけで誰も動く事が出来なかった。

「はいは〜い。その辺でやめとこうねぇ」

 手をパンパンと鳴らしながら、麻紗美が一歩前へ出る。

「何だぁ? 手前ぇは!!」
「通りすがりの美少女冒険者。あんまり無法は見てられないの」
「は? イカレてんのか? この野郎!!」
「【デバッグモード】!!」

 彼女がそう言った次の瞬間。人質となっていたウェイトレスの女の子は麻紗美の腕の中へ、殴りかかろうとしたチンピラは床に押し潰された様に突っ伏していた。

「え? へ?」

 訳が分からないのはチンピラだ。気が付けば人質は奪われ、仲間はのされているのだから。

「て、手前ぇ!! 何しやがった!!」
「指定数変更」

 そう、今、麻紗美が行ったのは、世界を構成しているプログラムに干渉して、ウェイトレスの位置とチンピラに掛かっていた重力の数値を書き換えたのだ。
 実際には、この世界はプログラムと言う訳では無いのだが、麻紗美が認識し易い様に、そう言う仕様になっていた。
 この世界にモニターとして送られた際に、見習い神から『不都合な箇所を見つけたら、修正も手伝ってね』と、与えられた彼女の権限でもあった。

 そんな事は知らないチンピラが長ドスを抜き放つ。が、再び麻紗美は【デバッグモード】でその長ドスをチンピラの手から奪うと、そのチンピラの重力も操作して、地に這わしたのだった。

 ******

「いらっしゃいませぇ!!」

 袴エプロンドレス姿のウェイトレスが麻紗美に頭を下げる。
 チンピラを追い払った後、店主が「お礼は何でも」と言う事で、麻紗美はウェイトレスの服装改善を要求したのだ。

「しかしまた、ああ言った輩が来た時は……」
「いや、普通に用心棒でも雇いなよ」

 渋る店主に麻紗美がそう言うと、彼はまるで目から鱗が落ちたかの様な顔で「ああ!!」と言った。

 こうして麻紗美は、至福の場所を手に入れたのだった。

 後に神話で、彼女が『英雄女神』と呼ばれる前の話である。
0169三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/17(日) 22:10:51.40ID:EAqfwJgM
お題→『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』締切

【参加作品一覧】
>>116【世界で一番美しい音色】
>>138【忍者、現る!?】
>>142【サムライが少女と、少女がサムライと出会うまで】
>>148【弟とチョコタルトを守れ!】
>>162【スイーツ日記】
>>166【異世界喫茶と転生少女】
0170この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 22:12:07.17ID:v4YjjO1H
ああああ間に合わなかったーーーーー!!!!!
0172三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/17(日) 22:15:06.13ID:EAqfwJgM
では通常お題5つです

お題安価>>173-177
0173この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 22:15:22.77ID:v4YjjO1H
>>171
了解です
0175この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 22:33:47.30ID:7niFOB6y
0179三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/17(日) 22:53:43.91ID:EAqfwJgM
☆お題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→11/24の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0181この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 23:01:49.72ID:v4YjjO1H
なんか返事がお代になってしまった…………(゚Д゚;)
0182三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/17(日) 23:05:17.59ID:EAqfwJgM
今回は埋まるのが早くて助かるーありがとうございますww

いや実際『万世元年』ってなんぞ?
四国の山奥でフットボールでもするんかい
0183この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 23:06:12.63ID:v4YjjO1H
>>109

使用するお題→『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』

【蛙の子は蛙】(1/3)

M-08宇宙港、そう言われて万人が想像するのは“Moon”ー08宇宙港だ。

けれど私の頭にはその他にもう一つの宇宙港の名が思い浮かぶ、その名は“Mars”ー08宇宙港、私の故郷に最も近い宇宙港だ。

………………………………
……………………
…………

「この値段じゃ買ってあげられないわね」

半重力ジェネレーターの損傷が激しいし素人の修理で誤魔化し誤魔化し使っても往復が限度ね、推進用ジェットもコルクスピン型の一世代前のジャージルピン型で警察に追われる身としては心許ない。

幸いなのはホバー用のライトエンジンが新品と付け替えられているから悪路も気にせず行ける事、五つも山を越えるのだから悪路走行に耐えうる物でないと買う意味がない。

「勘弁してくれ、これ以上値切られたら旨味が無くなっちまう」

そう言って薄くなった頭頂部を掻くジャンク屋の店主の白々しい言葉を思わず鼻で笑う、私のようなお尋ね者が買い物できるような店が旨味が無くなるギリギリまで値引きしているなんて事があるわけ無い。

使い捨てが精々のホバーバイク一台につく値段としてはまだまだ高すぎる、適正価格の1.8倍はする、足元を見られるのは仕方ないとして払うなら1.5倍が限度だ。

「これで手を打っちゃくれねえか?」

厚顔無恥にも白々しい演技を続ける男に、これは苦戦しそうだと、ロビーに残してきた彼という爆弾に一抹の不安を抱えながら私は値段交渉に精を出す。

こんな事に時間を使うくらいなら勢いに任せて払ってしまいたいのが本音だけれど、生憎と彼の用心棒を雇うのに有り金の大半を使ってしまい余裕がない、歯痒いけれど無い袖は振れないのだ、仕方がない。
0184この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 23:06:58.03ID:v4YjjO1H
【蛙の子は蛙】(2/3)

思えば長い長い家出だった、汚れ仕事にも手を出した、例のヴァイオリンを探し出すのにだって随分と汚い金をかけた、貧乏暮らしの小娘には過ぎた夢だった、博物館からヴァイオリンを盗むときに顔がバレ、帰りの船を抑えられた時はどうしようかと途方に暮れた。

怪しげな用心棒の噂にすがり、有り金の殆どを支払い護衛に雇った、そのおかげで足を用意するまでの時間は稼げたのだけど………………

今はそれを少しだけ

「後悔してる!!」

「悪かったってんだろ!?」

どうして追われる身で厄介事を起こせるの!? このサムライは!!

「何したの!!」

「いや喧嘩の仲裁をだな…………」

「それがどうなったら多対一の大立ち回りになっちゃうわけ!? 有り得ないでしょ!!」

早速酷使されるおんぼろバイクに冷や汗を垂らしながら山道を駆け抜ける、使う予定はなかったけど家を飛び出したときに使った父のスカイボードが有ったはず、とにかく其処まで行けば地上の警察は追ってこれない上空まで逃げられる………………

「それまで保って…………私のほぼ全財産!!」
0185この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 23:07:53.34ID:v4YjjO1H
【蛙の子は蛙】(3/3)

荒い息が夜の夜道に響く、必死の思いで警察を撒いた私の後ろには刀を紅く染めたサムライが余裕顔で付いて来る、羨ましいクソ体力を横目に睨む私は同時に、肩に掛かるヴァイオリンの重みに目標の達成が近づいてる事に向ける何ともいえない嬉しさに肩を震わせていた。

そして、

見えてくるボロ小屋…………………………





の跡地に目を見張る、其処には確かに友人の住まう小屋があった筈で、けれど其処にはポツンと立った十字架しか無かった。

「………………おい」

数十秒………………いや数分だったかもしれない、その光景の意味を噛み締めて、そして背後から気遣わしげな声をかける男を無視した。

「…………………………」

無言でヴァイオリンのケースをあけ、肩と顎でそれを挟む、鈍った腕で弓を持ち、弦と垂直になるように白い馬の尾を引っ掛ける、奏でられる音は今までにないほど下手だったけど、弾き終わる頃には一つの拍手がその場にあった。

「ありがと」

理想より一つ少ないその音に礼を言うと、アッサリと私の夢は終わった。

「上手いんだな提琴」

そんな感想に涙がバレないように精一杯笑って私は振り返った。

「好きだったのよ、“お母さん”が」

幼い日、母の持つヴァイオリンに興味を持った、それを触りたがる私に母は言ったのだ、『それは大切な人がくれた大事な物なの』と。

     ーーFinーー

供養兼続編です。
0186この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/17(日) 23:59:22.47ID:r5wZCdrp
>>179
お題:『了解です』『蛾』『令和』『万世元年』


【万世元年】

『――ってわけだから、悪いけどよろしく頼むわ、佐々木』

 そして。鼓膜に、前触れもなく聞き慣れた上司の声が訪れる。
 それは狼狽すべき異常な出来事で、実際に一度目はそうなり、二度目は困惑し、三度目は――どうだったか。
 もはやその記憶さえも遠い彼方へと忘れ去ってしまった。そうでもなければ、とても正気を保つことなどできはしない。

 けれどもちろん、私の正気を証明するものなど、言うまでもなく世界中のどこにもないのだが。

 佐々木。
 佐々木涼。それが、意味を喪失しかけた私の名前だ。
 今回もまだ、きちんと、覚えている。

「――了解です」

 自分の物ではないかのような自動化された声が、喉を通ってスマートフォンの先の上司へと伝えられる。
 実際に、これはもう自分の意思とは関係がない。どうやらそう答えるという電気信号は脳から送られてしまった後であり、だから抵抗などしても意味はないのだ。どうでもいいことだが。
 そこから一言二言挨拶があって、電話は切れる。

 ここまでが、ルーチンワークだ。
 数えることさえとうに諦めた、何万度目かもわからない一年の始まりの。

 用件の済んだスマートフォンをスーツの懐に仕舞い、都内の喧騒に紛れる路上で青空を見上げる。
 整然と区画整備された大通りの、ビル街。歩き行くのは自分と同じスーツ姿の営業マンや、OL、学生、老人に、その他の「何をしているのかわからなかった」人々。
 平日の昼過ぎ。令和元年五月二十四日、午後十二時四十八分。
 東京都千代田区麹町、三丁目二-五。スターバックス麹町店の、その目の前。
 そこが、すっかり文字列まで暗記してしまった、スタート地点だ。

 街路樹の一本に、今回もいつも通り蛾がとまっている。その毒々しい色彩は、都内では比較的珍しい。
 何故都内には蛾をあまり見かけないのか。私自身の勘違いなのか、それとも駆除が水面下では着々と行われているのか。
 どれだけ前かもわからない周回の際に思いつき、それ以来ずっと気がかりな、くだらない疑問。

 けれどそれは、絶対に調べることはしないと心に決めていた。
 何もかもを知ってしまうことは、避ける。守ろうが守るまいが、誰も困らない自分だけのルール。
 だがそれらを一つ一つ守ることが、今の私にとっては何よりも重要なことなのだ。

「さて、今回はどうしようかな……」

 誰に聞かれることもない呟きを漏らす。
 脳内で適当に考えを纏め、ストックしておいた『アイデア』の一つを選んで決める。

「あっ!」

 そして、手近な横断歩道を渡りきった場所で、小さな悲鳴が聞こえた。
 段差につまずいた拍子に、女子高生がポケットの中からスマートフォンを落としてしまったのだ。
0187この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 00:07:23.74ID:IX4D73Ig
「大丈夫ですか?」

 近くにいた私は彼女に、当たり障りのない口調で声をかける。言いながら、スマートフォンを拾う。
 手渡すと、その女子高生は朗らかに笑って、

「ありがとうございます!」

 と元気にお礼を言った。
 『私』は、「いえ、お気をつけて」と、当たり障りのない答えと会釈を残して、何事もなかったかのように歩き去る。

 女子高生は。

 白百合学園中学高等学校に通い、両親と二つ下の弟と暮らす、栃木に住む祖母を一年前に亡くし、運動部には所属せず、
 東京理科大学を目指して来年の受験に向けて勉強に励んでいる、趣味はお菓子作りで、血液型B型で身長156cm体重47kg、
 将来の夢は植物研究者の、十七歳の捺美柚葉は。

 いつも通りに、そのまま二人の友達が待つケーキ屋へと向かっていった。
0188この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 00:07:44.21ID:IX4D73Ig
 スカイツリーの展望階で共に夕焼けを眺めた時の照れた笑顔とも、赤坂の三ツ星レストランで前菜を前にした時の緊張した表情とも、
道玄坂のラブホテルのベッドの上で積極的に迫ってきた時の陶酔した瞳とも、快楽に悶えて自分を見失った獣のようによが.り狂う時の顔とも、
弟と両親を惨殺されて怒りと絶望に支配されて慟哭する姿とも、意味不明な殺人鬼に身体の端から順に切り刻まれて涙と嗚咽でぐちゃぐちゃになった時の様子とも、違う。

 ごく普通の、親切な見ず知らずのサラリーマンに向ける笑顔だけを、残して。

 そして『私』は彼女を振り返ることなく、それとなく街を見渡した。

 若者がいた。老婆がいた。店員がいた。サラリーマンがいた。子供がいた。運転手がいた。小汚い男がいた。完璧に整った美女がいた。
 古暮祥汰がいた。及川幸子がいた。木原実がいた。田崎正次がいた。志藤舞がいた。顕道京一がいた。比村吾郎がいた。三園凛花がいた。

 幾度となく出逢い、幾度となく別れ、ありとあらゆる巡り合いを、喜怒哀楽を、理非善悪を、親愛から憎悪までを酌み交わし。
 そして今はまた見ず知らずの他人となった、名前も人生も、ありとあらゆることを知り尽くした幾万の彼らと彼女らが、視界に溢れんばかりに蠢いていた。

「今回は、『良い人』だからな……それと、『休憩で立ち寄った神社の神主に感化されて、神職への転職を決める』んだったっけ」

 適当に呟く。けれど、もちろんそれは、今の『私』にとっては何よりも重要なことなのだ。
 さしあたっては、神社への道のりをスマートフォンで検索することにしよう。
 『私』は『終わらない外回りに疲れ、都会の喧騒を離れた落ち着ける憩いの場を求めている』のだから。


 令和元年。
 その循環する時間の渦の中に、私は取り残されてしまったらしい。
 今やそれを驚くことも、恐れることもないが、そうでもなければ、とても正気を保つことなどできはしない。

 けれど、もちろん。
 私の正気を証明するものなど、言うまでもなく。
 約一年ですべてが消え去り、無限にやり直しを続けるこの世界中の、どこにもないのだが。


【万世元年】 了
0189この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 00:29:28.39ID:IX4D73Ig
規制対応している間にIDが途中で変わってしまいました、すみません
0190この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 00:53:14.27ID:bPYSCNRK
遅レスですorz
>>44
守護霊となったのでしょうか?
いちゃラブカップルの休日は、きっと幸せ色なのでしょうw

>>48
コワレタ者同士の物語と言った所でしょうか?
それでもお互いを想い合っている感じが素敵ですね

>>55
寒空に温かい姉弟の物語
小さな冒険をして、お互いの大切さを再認識したと言った所でしょうか?

>>56
独り身の編集さんが悲しすぎて(;_;)
それでも、ネタにされる位には親近感を持たれているのだと思います

>>63
人からの評価が気になるお年頃と言う事に成るのでしょうか?
承認欲求を簡単に満たせるツールでもありますから……その内、自分でスレを立ち上げそうな?
0191この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 00:53:58.92ID:bPYSCNRK
>>80
ちょっと深イイ話ですね
と言うか、藁人形常備系JKですかw

>>89
何処かのマンガで、辛い経験をしてるのに「あれ? これ、ネタになるんじゃね?」と考えてる自分がいると言う物を見た記憶があります
ともあれ、支えてくれる人が居ると言うのは幸せな事です

>>94
転生スライムの冒険ですね
姫と出会ったお話も見てみたい所です
0192この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 01:19:15.11ID:bPYSCNRK
>>116
彼女と彼の表と裏
歪な愛情関係でも、二人が惹かれ合っているのは真実なのだと感じました

>>138
ガンマンVS忍者w
アメリカのB級映画になりそうな戦いですねw

>>142
未来の浪人稼業と言った所でしょうか?
用心棒と言っても警察まで敵にまわすとはw

>>148
上級生に恵まれない小学校な件w
誘拐と窃盗で余裕でアウトな気がしますが、弟君が無事でよかった

>>162
収まる所に収まったと言った所でしょうか?
刀のちょっとした冒険……ちゃんと洗ってからケーキは切ったと思いたいw
0193この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 01:38:56.17ID:bPYSCNRK
今さらの感想返しです(;_;)

>>113
感想ありがとうございます
最初っからクライマックスな感じでw
実は夜のシーンから書き始めて、追加でカーチェイスのシーンを書いて居ますw

>>115
感想、何時もありがとうございます
とにかく、時間が無ありませんでしたorz
昼と夜の話の間に、もう一シーン入れたかったのですが……
0194三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/18(月) 01:48:13.93ID:3uZhn0wE
なんか楽しい流れにw

>>165
前スレのブーツのパクリにしかならなくて、駄目じゃね? とは思った
ですがまぁその、とりあえず書くしかなかったんですよ・・・

>>166
そして力作が・・・その発想はなかった色々と
テンプレとはなんだったのか
仕込み刀は一瞬頭をよぎりましたw

>>183
一応言い訳しておくと、お題を取り始める前の投稿なら、おまけしようとは思ってますw
今回はご遠慮頂きましたが><
律儀に素早い続編! からのおおおおオチが、、、

>>186
IDはもちろん構わないですけど、レスに番号は振ってください
つかあんまり言っても悪いですが、言葉の溢れ出るブルドーザー過ぎて!
『万世』から瞬時にこれが出てくるのも、なかなかユニークなのでは

>>191
感想ありがとうございます、機会があればw
>>192
あまり変なものは切っていないはずなので・・・w
0195この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 02:05:11.15ID:acy90pnL
すみません
今回のお題に一部の場にはよろしくない物が含まれているので変更をお願いします
0196この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 04:44:04.96ID:CleanH61
>>179

使用お題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』

【8分の1人前】(1/3)

“万世元年”

スクリーンに映った男はそう言った。

侍ジャパンのつば付き帽子にスキーゴーグルに黒マスクと出来合いの物で取り敢えず顔を隠した感が滲み出るような顔面ファッションのその男は《白い蛾》と名乗り、犯行声明のような物を全国の中継局をジャックした集団に流させた。

『令和が終わろうとする今、日本は変わらなければならない、今日この時をもって今年を万世が変わった年、万世元年とする』

最初は下らない革命家気取りのテロリストだろうと思っていたがどうも様子が違う、それは俺だけが……………………正確には俺を含めた4人にだけ解る異常。

映像の後ろに見える部屋の間取りや家具の配置から、其処が再来年には築100年になるオンボロ独身寮、その一室“俺達の部屋”だった。

すぐさま鳴り出すスマホ、周囲を見回して咄嗟に電柱の裏に隠れる、声を潜めて電話に出た俺の耳に…………

「おい、犯人はお前か?」

と聞き慣れた声が届く、映像に映ってるのは夜の寮室、犯人が着用してる黒マスクは今電話をかけてきた吉田の持ち物、必然そんな事が出来るのはルームメイトだけだ、つまり………………

「お前こそ俺のカメラ使って勝手にあんなもん撮った犯人じゃないだろうな?」

つまりは“そういう事”だ。
0197この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 04:49:59.27ID:CleanH61
【8分の1人前】(2/3)

「今頃は寮が特定されてガサ入れが始まってるだろうな」

自分以外の三人の中に犯人が居る、そんな状況で集まった俺達は探るような視線を交差させ、スキーゴーグルの持ち主である島本が重々しくそう言うまで開店前のBARで顔を付き合わせた男達が無言で睨み合うという怪しさMAXな状況に甘んじていた。

「アンタ達、急にどうしたわけ? まだ店も開けてないのにゾロゾロと…………」

「なに、人生の危機を迎えたので取り敢えず逃げてきただけさ」

吉田の妹であり先月このBARを父親から次いだばかりの新米マスターの小百合ちゃんの問いにいつものスカした声音で川崎が答える、余裕そうに見えて言ってることに余裕の欠片もないのまで普段通りだ。

「兎にも角にも俺達の中にいるテロリストの首魁は俺の黒マスクを付けて」
「私のスキーゴーグルを無断で着用し」
「僕の父の形見である侍ジャパンの帽子を被り」
「俺のデジカメであの犯行声明を撮影したに違いない」

「「「「という事だ」」」」

「そ、そう…………」

このように、俺達は元来この程度のリレー台詞なら朝飯前の仲良し4人組なのだが、今回ばかりはその絆にも傷を付けざるを得ないだろう。

「やはり一番怪しいのは秋山君だね」

一番最初に矛先を向けるのは川崎、俺の名を呼び…………

「僕達が犯人だとしてわざわざ無駄に高性能な君のカメラで高画質な犯行声明を出す訳がない、普段からあのカメラを使っていた人間の犯行と見て良いだろう」

と、犯人の行動の不合理さを俺が犯人だと仮定する事で説明してみせた、コレには俺も反論のしようがない何か知らんが使われていたのだ仕方がないだろう、なんて言えるはずもない事実だ。

「いや、それはないだろう、今朝ランニングに行く際、机の上に秋山君のSDカードが置きっぱなしだったのを見つけてデジカメに戻しておいた。
 普段の彼の行動を鑑みればデジカメの扱いがお粗末に過ぎる、SDカードを出しっぱなしにするなど有り得ない、他人の物だからこその行動だと私は思うが」

しかし、島本が川崎の言に反論する、あくまでも証言の一つでしかないが俺に罪をなすりつけないと言う事は彼は犯人ではないのだろう、とすると怪しいのは川崎と吉田になる。

「そう言う川崎はどうなんだ? 父親の形見を他人の手が届くところに置いておくか? 普通」

「僕が普通じゃないことの何が行けないんだい? サイン入り帽子を見せびらかして悦に浸りたい時ぐらい僕にもあるさ」

「そうだったな、お前はそういう奴だったわ」

格好の付かない事を“俺今格好いい事言ってる”みたいなドヤ顔で言い切る川崎に頭が痛くなる、コイツは奇人過ぎて俺なら憚るような証言もガンガンしてくる、その点だけ見ればコイツ程信用できる奴も居ない。

また、島本が犯人である線はこの場の全員が言うまでもなく否定しているだろう、彼が犯人ならわざわざゴーグルを探すまでもなくアイマスクを付ける筈だ。

彼以外の二人が犯人の場合はアイマスクを取ることで彼が起きることを恐れてゴーグルを使うのだろうが彼が犯人だった場合に限りその心配はない、よってゴーグルを付ける選択を取りうるのは彼以外の二人しかないのだ。

「秋山が犯人でないなら川崎が犯人という事になるんだけどな………………」

島本が俺の犯行を否定していると言うことは二人の目線からすれば互いが最有力の容疑者である筈で、最も最初にその事に気付けるのが、罪をなすりつけられる対象を探してる犯人か犯人を真剣に探してる警官のどちらか………………

その判断は難しいが反応が早いということは余計な思考が挟まってないとも見れる、俺的には先に川崎に矛先を向ける吉田の方が信用できる気がする。

さて、どちらが犯人なんだ?
0198この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 04:50:39.04ID:CleanH61
【8分の1人前】(3/3)

「吉田君は普段から反社会的思想を見え隠れさせていたね、公立校の教師の給与が下がった所為でヤバい奴を採用しないと現場が回らないようになったって」

「事実だろ?」

「そんな訳無いだろう、公務員は高給取り過ぎるんだ、NHKなんて無駄の極みは即刻取り潰すべきだ」

「お前の方が反社会的じゃねーか」

吉田と川崎の疑い合いは数分がたち貶し合いへと姿を変えていた。

「なんだか聞いてるうちにどっちが犯人でも可笑しくない気がしてきた………………」

二人の大の大人が貶し合う、そんな見苦しい光景を見れば信頼度はゴリゴリ下がっていく、貶す人間も貶される人間も信用できなくなる自分の弱さに苦い思いはある物の、今は信じ切ってしまうよりはマシだろうと二人を見守ろう………………

と決めた瞬間に傍聴者が口を出す。

「ねえ、なんで犯人は場所が特定できる場所でこれ見よがしにみんなの持ち物を身に付ける訳? それって犯人感情として可笑しいんじゃない?」

と。


この場の誰よりも客観的に状況を見守っていた彼女、小百合ちゃんの意見は無視できる物ではない、何故犯人は俺達4人の中に犯人が居ると知らせるような情報を犯行声明に紛れさせてるのか………………その答えは余りに簡単だった。

「「「「この4人の中に犯人は居ないから…………?」」」」

同時に同じ結論に辿り着き間抜けにハモる俺達を見て小百合ちゃんはテレビの電源を付ける、其処には俺達の隣の寮室に入居してる佐藤が容疑者として逮捕されたと言うニュースが流れていた。

後日、俺達は木村警部に呼び出され「自分達の判断で犯人探しをする前に連絡しろ馬鹿共め」とお叱りを受けた。

「了解です! ご指導痛み入ります!!」

こう言うときは無駄に元気よく口ごもらずに答えるのが吉だ。

「本当に分かってるのか?」

椅子に座ったまま睨み上げてくる警部から思わず目を逸らす。





最近はそれも通用しなくなってきているがな。
0199この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/18(月) 08:53:12.70ID:Uzq3EKaT
こちら競馬実況だがスレも軌道にのったということで、しばし休業する
よろしくw
0200この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/18(月) 10:25:17.94ID:wvThBQf1
う〜ん、残念ですが、休業があけましたら、またよろしくお願いします
0201この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/18(月) 13:06:38.59ID:wvThBQf1
>>186
最速でアップ! ループする世界ですね
全くの繰り返しの世界は、未来に対する覚悟を決められる幸福な世界か、それとも無限地獄なのか?
擦りきれた主人公が答えだと思いますが……

>>196
警察官の不祥事w
テロを起こしたい程の何があったのでしょうね?
0202この名無しがすごい!
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2019/11/18(月) 13:16:58.29ID:94Xdrsqy
バグじゃなく35件も新着あったからびっくりしたわ
でも競馬実況さんいなくなるのは悲しいなあ……
0203三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/18(月) 19:20:37.09ID:3uZhn0wE
マジですか、、競馬実況さんがいないと、スレを回せる気がしないんですが・・
ともかくありがとうございました・・・
ちょっと休んで、また来てください

>>196
IDがw クリーンなH61年w
こちらも早速の力作過ぎる・・・
何人前なのかミステリーですねw
0204この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/18(月) 20:41:05.57ID:DVqbusGr
>>203
みんなおるからきっと大丈夫だ
2作品投稿してから何もしてない俺が言うのも何だけど
0207この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 01:28:24.93ID:uPaQAN+1
お前らって本当に人としてダメだよな
もう少し自覚した方がいいよ
0208この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 06:56:09.82ID:U0hP/WdH
>>206
すまんな年度明け前頃まで忙しいんじゃ
207は煽りかな、あまり相手にせん方が得策かもしれん
0209この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 13:21:35.60ID:n5Uenl8E
>>179
使用するお題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』

【幸せの青い蛾?】(1/3)

夜の9時、レストランの閉店時間になった。
今日も一日の営業を終え、後片付けも済ませたライアンとレイチェルはリビングでテレビを見ながらゆっくりと寛いでいた。
ふとスポーツのチャンネルに変えてみると、侍ジャパンの優勝の話題でもちきりだった。

「日本が優勝だなんてホント予想外だよね。世界と渡り合えたってことだし」
「………」
「ん、どうしたんだいレイチェル?」

急に黙り込んでしまうレイチェルを見て心配になるライアン。

「あっ、ごめんねライアン。ちょっと「侍」って言葉に一瞬落ち着かなくなっちゃって」
「もしかしてあの時の忍者を思い出したのかい?」
「実はそうなの…」

以前、レイチェルはロールケーキ泥棒の犯人である謎の忍者を取り逃がしてしまったことがあった。
得意の銃撃が全く通用しなかったことがかなりショックだったみたいで、あれ以来休みを利用して
数十キロ離れた射撃場に行って練習することが多くなった。

「今度こそ、絶対にあの忍者を捕まえてみせるんだから!」
「(わっ瞳が炎のように燃えてる。でもそんなレイチェルもすっごく可愛い!)」
「この女ガンマン、レイチェルからは逃げられないってことを教えてあげるんだから!」
「まあ落ち着いてレイチェル。明日は水曜で定休日だからのんびり過ごそう。いつもそんなに神経尖らせてちゃ疲れるよ」
「そ、そうね。ごめんなさい、私ってすぐに熱くなっちゃう…」
「気にしないでいいよ。今日はもう寝ようか」

翌日、レイチェルは早起きしてお馴染みのガンマン衣装に着替えると、ライアンと一緒に庭の花壇に水やりをする。

「可愛いお花さんたち、みんな元気に綺麗に育ってね」

するとどこからか一匹の大きな蛾が飛んできて、チューリップの上にちょこんと止まる。

「わっ、大きな蛾!」
「しかも青い色してるね、まだ発見されていない新種かも?」
「もしかしたら青い鳥みたいに、幸せの青い蛾かしら?だったら捕まえましょ!」

しかし蛾は飛んで逃げてしまう。

「あっ待って!幸せの青い蛾ー!」

レイチェルはその青い蛾を追いかける。

「レイチェルは本当に好奇心旺盛なんだから」

そんなレイチェルを見て、ライアンは思わず苦笑いをする。
0210この名無しがすごい!
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2019/11/19(火) 13:23:09.00ID:n5Uenl8E
【幸せの青い蛾?】(2/3)

レイチェルは目の前をヒラヒラと飛ぶ青い蛾をひたすら追いかける。

「レイチェルさんだ!おはよう!」

町の子供達が挨拶をするも、蛾に夢中なレイチェルはそれに気付かない。
彼女の後を追ってライアンも走ってきた。

「あっライアンさん。レイチェルさん一体どうしたの?」
「レイチェルはね、幸せの青い蛾を追いかけているんだよ。それじゃあね」

ライアンは優しく子供達に返答すると、またレイチェルの後を追いかける。
そんなライアンの後ろを白いワンピースを着た白髪の少女、そうジュディも走って追いかけていた。

「(レイチェルさんって結構メルヘンチックなのね!)」

しかしライアンはレイチェルを見失ってしまった。

「あーあレイチェルったらどこに行っちゃったんだ?」
「(仕方がない、こうなったら私が空から探すしかないわね)」

ジュディは空中に高く舞うと、レイチェルを探しに向かう。

「(そう遠くまでは行ってないはず。待っててねライアンさん、私が見つけるから)」

その頃レイチェルは無我夢中で蛾を追いかけていた。
しかし蛾にとにかく夢中だった彼女は、道端で居眠りをしていた野良犬の尻尾を踏んでしまったことに気付かなかった。
怒った野良犬はワンワン!と激しく吠え、レイチェルを追いかけた。

「えっ!?」

ふと後ろを振り向いた瞬間、犬が鉄砲玉のように自分の方に突進してくるのに気付く。

「ワーーーーッ!!!」

尻尾を踏まれて怒った犬が、勢いよくレイチェルの左太腿にガブッと噛みついた。

「い、痛い痛い!放して、放してったら!!」

犬は頑なに彼女の太腿から放れようとしない。空から一部始終を見ていたジュディがすぐに助けに向かう。
彼女は運良くゴミ箱に捨てられていた、まだ中身の入ったドッグフードの缶詰を見つけるとそれを持って犬に近づく。

「(ほら、これでも食べて大人しくしてなさい!)」

ジュディは思いきり遠くへ缶詰を投げる。犬はレイチェルの太腿を放すと、ドッグフードの良い匂いに誘われて走り去っていった。

「(レイチェルさん、今のうちよ!早く!)」

レイチェルは急いでその場から走って逃げるのだった。
0211この名無しがすごい!
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2019/11/19(火) 13:24:14.27ID:n5Uenl8E
【幸せの青い蛾?】(3/3)

「あの青い蛾、見失っちゃった…」

レイチェルは青い蛾を捕まえられず落胆し、元来た道を辿って家へと帰る。
さっき犬に噛まれた左太腿がズキズキと痛む。ジーンズは牙で破け、血で滲んでいた。
家に帰るとライアンが待っていた。

「レイチェル、青い蛾は捕まえられたかい?…って大丈夫か!?」
「た、ただいまライアン…」

ライアンはすぐにレイチェルの太腿の手当てをし、薬を塗って優しく包帯を巻く。

「これでよしっと!君の好奇心旺盛ぶりには本当にハラハラさせられるよ」
「ごめんねライアン。私ってどうしてこう、すぐに先走ってしまうのかしら…」
「僕はレイチェルのそういうところが大好きだけど、無茶だけは絶対にやめてくれよ」
「りょ、了解です…!!」
「急にかしこまらないでよレイチェル。君らしくないよ(で、でも可愛い!)」
「(レイチェルさんって気分の浮き沈み激しいなあ。ライアンさんもこりゃ大変よね)」

そんな2人の姿を見て、思わず苦笑いをするジュディ。
その後、レイチェルは気を取り戻してライアンと一緒に録り溜めていたドラマの続きを楽しむ。

「あの蛾がもし本当に幸せを呼ぶ青い蛾だったとしても、僕はそんなのいらない」
「私も今そう思ったところよライアン」
「だって僕たちは今…」
「すっごく幸せだもんね!!」

ライアンとレイチェルは顔を合わせ、そして互いに笑い合うのだった。
0212三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/19(火) 19:26:24.64ID:0KODM1mm
>>208
まーそのうちw
その人はただのかまってちゃんっぽい
どうせ暇だろうから何か役割を、とも思うんですが、、うーん・・

>>209
これは楽しい話w
侍・・・ブルーモスを追い掛けて・・・らしくない『了解です』!
結局最後は幸せそうで何よりですw
0213この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 19:36:33.93ID:n5Uenl8E
>>179
使用するお題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』

【奇妙なゲーム】(1/3)

雲一つなく晴れた土曜の朝、カナミとケンスケはのんびりと散歩していた。

「ねえお姉ちゃん、今日はどこに行く?」
「………」
「お姉ちゃん?」
「あっごめん、ちょっと考え事してて」
「考え事?」
「今年さあ平成から令和に変わったわけだけど、令和ってどんな時代になるのかなあって」
「うーん、令和だから令和な時代になるんじゃないかな?」
「アハハ、面白いこと言うわねケンスケ」

しばらくして商店街にやって来た2人。侍ジャパン優勝を記念してか、どの店舗も全品3割引セールを実施していた。

「侍ジャパン優勝、本当にすごいわね」
「ねえお姉ちゃん、何か新しいゲームソフトでも買おうよ。僕、今2000円持ってるよ」
「私は4000円。合わせて6000円あるし、3割引で安くなってるから十分買えるわね」

近くのゲーム店に立ち寄る。中には最近発売された新作がズラリと並んでいた。

「うーん、どれが面白いかなあ?」
「お姉ちゃん、これはどうかな?」

ケンスケが持ってきたのは「バイオモス・アタック!」という、大量発生した蛾から町を守るという内容のゲームだった。

「なんか聞いたことのあるタイトルね」
「これにしようよ、お姉ちゃん」
「そうね。他に面白そうなの見つからないし」

4500円で購入し、家に帰ると早速ゲームの準備をする。ソフトをセットし電源を入れる。
すると黒い画面に白い文字で注意書きみたいなのが出てきた。
「このゲームには一部、刺激の強い場面が含まれています。それでもプレイしますか?」と。

「了解です、っと!」

「了解です」のボタンを押し、ゲームが開始される。
小さくカクカクとしたデザインの可愛らしいキャラクター達が大きな町に住んでいる、
とてもファンシーな世界観なのだがそれが急に一変する。
さっきまで青かった空が赤く染まり、大量の蛾が現れたのだ。

「うっひゃあ、さっきまで世界観が全然違うよ」
「それより蛾を退治して町を救わなくちゃ!」

プレイヤーを操作し、手に持っている銃を使って蛾を駆除していく。
しかし次から次へと現れるためキリがない。
0214この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 19:37:43.63ID:n5Uenl8E
【奇妙なゲーム】(2/3)

開始してから1時間ほど、ようやく最初のステージをクリアしたところだった。
第二のステージでは農作物を食い荒らす蛾の幼虫を退治するのだが、カナミは途中で疲れて離脱してしまった。

「わ、私疲れちゃった…悪いけどリタイアするわ」
「えー、せっかく良いところなのに」
「ケンスケ、やりすぎちゃダメよ」

ケンスケはそのままプレイを続行する。夕食とお風呂を済ませた後も、ケンスケは無我夢中でひたすらプレイしていた。
そんな弟の姿を見てカナミは心配になってきた。

「一心不乱でやってる…一体どれだけ中毒性があるのかしら?」

次の日、カナミが学校から帰ってくると、ケンスケはあのゲームを夢中でプレイしていた。
両親もさすがに心配になってきたようだ。

「ケンスケ、学校から帰ってきてからずっとゲームばかりなのよ」
「ケンスケは確かにゲーム好きだけど、あそこまで病的じゃないぞ。どう見てもあれは夢中ってレベルじゃない」

深夜0時、カナミはベッドを出るとケンスケの部屋に向かい、そっとドアを開けて中を伺う。
もう深夜だというのに真っ暗な部屋の中で、ケンスケはひたすらゲームを続けていた。

「ケンスケ、もうそのゲームやめなさい!」

しかしケンスケは姉の注意に全く反応しない。目をパッチリ開け、口もポカンと開いている。

「ケンスケ?ケンスケ聞いてるの?」

すると突然ゲームの画面から非常に低い声が聞こえてきた。

「おい、邪魔するんじゃない…!!」
「えっ、何なの今の声!?」
0215この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/19(火) 19:38:49.09ID:n5Uenl8E
【奇妙なゲーム】(3/3)

すると大きな白い蛾のモンスターがゲームの画面から現れた。

「お前の弟はもう我々の獲物だ。誰にも渡さない」

大きな脚でケンスケの体を掴む。ケンスケは既に洗脳されてしまったのか身動き一つしない。

「ケンスケに何するのよ!放しなさいよ!」

弟をゲームの世界へ引きずり込もうとするのを何とか阻止しようと、モンスターを叩いたり蹴ったりするものの全く通用しない。
するとカナミは机に置いてあるハサミを見つける。

「これだわ!」

ハサミを手に取り、モンスターの頭部によじ登るカナミ。

「お、おい貴様!一体何をするつもりだ!」
「虫の弱点といえばこれ!」

カナミはハサミで頭部の触覚をチョキン!と切断する。触覚を切断されたモンスターはコントロールを失い、狂ったかのように飛び回る。
その間にコントローラーを手に取り、プレイヤーを操作して銃を放つ。
「グワアアアア!」の断末魔と共にモンスターは爆発し死んでしまった。
同時にゲームの電源が切れ、ケンスケが意識を取り戻す。

「あれっ!?僕、今まで一体何してたんだろう?」
「ケンスケ!目が覚めたのね!」

カナミはケンスケをギュッと抱き締める。その後、さっきまでの出来事をケンスケに全て説明する。

「そ、そんな事があったんだ…」
「全部このゲームのせいよ。もうこのゲームは捨てることにするわ」
「そうだね」

翌日、「バイオモス・アタック!」のソフトは粗大ゴミとして廃棄処分した。
もうあんな呪われたゲームなんて二度とプレイしたくない。

「ケンスケ、今度からはちゃんと決めて買いましょ」
「そうだね、あの時お姉ちゃんがいなければ、ゲームの世界にずっと閉じ込められてたかもしれない。本当にありがとう!」
「て、照れるわねウフフ」

学校に向かう中、楽しそうに笑い合う姉弟なのであった。
0216三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/20(水) 00:31:27.76ID:x4zIt+Ll
>>213
まさかの2連発ww
少し特別な日常から、『了解です』なるほど、奇妙な世界にw、『蛾』の攻撃、再び日常へ・・・
シリーズの設定を生かしつつ、絶好調ですねこれ


仕方ないけど、競馬さんがいないと感想がパワーダウンだw
0217この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/20(水) 08:21:51.92ID:pCCXT9AK
>>209
幸せの青い蛾ですかw
もし、本当に新種であれば、学名に名前が付いたかもしれませんね

>>213
悪魔のゲームと言った所でしょうか
弟を想う姉の絆パワーで、ハッピーエンドになって良かったw
0219三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/21(木) 23:37:32.91ID:fMiN1EcC
ところで次回のお題ですが
全部ひらがな企画をやってみようと思います
ひらがなの、つまり同音異義語になるものを5つです

ご提案頂いた時には却下してしまったんですが、一度カオスを体験してみたい
0223この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/22(金) 13:21:16.30ID:d68FPyq7
>>212
>>216
感想ありがとうございます!
レイチェルは今回も好奇心を爆発、それから弟を悪魔のゲームから救う姉のお話でした
青色ってこう幸運のイメージが強いですよね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0224この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/22(金) 13:26:53.59ID:d68FPyq7
>>217
感想ありがとうございます!
途中でちょっぴり鬱な展開があっても最後は必ずハッピーエンドで締めるのが好きです
レイチェルシリーズもブラコンシリーズもこれからどんどん続いていきますのでどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0229三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/24(日) 20:51:58.06ID:kDoqT2/J
個人的には別に気にしないし、まとめサイトの形で公開されてるなら問題ないけどね
無断転載を発見したのなら晒すべき
0230この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/24(日) 21:44:06.99ID:9PsYnFxx
>>179
お題:『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』

【時をかけない少女】


「了解です!!」

 部屋に朗らかな声が響く。
 その声を上げた少女は、キラキラとした希望に満ちた瞳で辞令を快諾した。

『辞令、令和元年のタイムテレビ支社への出向を命ず』

 辞令を出した側の男は、その頂点まで薄くなった髪をわしゃわしゃと掻いていたが、しかし、すでに決まってしまった事でもある為に、大きな溜息を吐きながらも口を開く。

「くれぐれも分かって居るだろうが、問題をおこすなよ?」
「分かって居ます! 問題などおこっても、この私がズバッと解決して見せます!!」
「だから!! 余計な事に首を突っ込んで、仕事を増やすなと言っているんだ!!」
「ははは! 怒ってばかりだと、ストレスで禿げますよ?」
「余計なお世話だ!!」

 ******

 万世元年

 時間遡行技術が確立してからどれ程の時代が過ぎただろう。
 この時代には、すでに“時間”と言う物も調べ尽くされ、『すでに確定した歴史は、覆す事が出来ない』と言う事も分かって居た。
 つまりは、どれ程、未来の人間が過去を変えようとしても、その結果は変える事が出来ないと分かってしまったのである。

 例えば、超小型で高性能な爆弾を爆破させたとしよう。
 しかし、そこで爆弾が爆発したと言う歴史的事実が無いのであれば、当然、爆弾が爆発する事は無く、不発弾と成ってしまう。
 そして、単分子ナイフなどで現地の人間を斬り付けたとしても、歴史として残っていないのであれば、当然の様にナイフは刺さらず、怪我人が出る事は無い。
 
 そうなると『過去改変』等と言う事を行う者も当然居なくなる。当然だ、全くの無駄な事の為に動く者など居ないのだから。

 つまりは、未来人が何をしても現地に影響を及ぼす事は出来ない。そうなれば、歴史と呼ばれた物が、知識ではなく娯楽に変わったのは当然の事かも知れない。

 東海林 麻由佳は時間リポーターである。過去の時代へと赴き、その時代をリポートするのが仕事だ。
 彼女は、ある意味で人気のあるリポーターだった。

 何せ彼女は、どの時代に行ってもアクシデントに巻き込まれるリポーターだったからだ。
 他の、淡々と歴史的事実を説明するリポーターたちとは違い、彼女のリポートは常にアクシデントが付きまとう。
 それ故に人気が出るのも当たり前だろう。その分、局長の頭は薄くなってゆくのだが。
0231この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 21:46:40.34ID:9PsYnFxx
【時をかけない少女】(2/2)


「令和、令和ねぇ〜。侍ジャパンって、あの辺りだっけ?」

 タイムマシンに向けてウキウキと歩く麻由佳が、振り向いてカメラマン兼ADの津川 智朗にそう訊ねる。
 まだ、それ程リポーター歴の長い訳では無い麻由佳だが、それでも様々な時代の支社へと赴いて、リポートをして来た。
 ただし、令和と言う時代は、そんな麻由佳にっとっても、ぶっちぎりで古い時代ではある。
 結構な功績を認められなければ古い時代に赴く事は許されていないからだ。
 そんな事も有って、麻由佳はかなりご機嫌だった。

「そうっすね。あー東京オリンピックもあの辺りだったかと思います」
「オリンピック? それって、もう二つくらい昔じゃなかったっけ?」
「あれ? 知らないんすか? 東京でオリンピックって、何回かやってんすよ?」
「マジ?」
「フジ」
「マジかぁ、知らなかった」

 それ以外にも、令和時代で歴史に残っている事件は多かった。そのリポートが出来るとあって、彼女のやる気は鰻登りに漲っていたのである。

「そんじゃ!! 張り切ってリポート、行きまっしょい!!」

 ******

「ぎゃー!! ぎゃ! 嫌!! もう、お家帰るぅ〜!!」

 そんな麻由佳は既にホームシックに掛かっていた。
 彼女の生まれた万世の世は、地球環境を維持する為に都市のドーム化が終わっており、人々は管理された都市世界で暮らしている。
 外に出れば全くの手つかずの様な自然界なのだが、都市内はそこから隔離され、人間にとって住み良い環境と成って居るのである。

「確か、“蛾”って、虫っすよね? あれ? 昆虫でしたっけ?」
「知らない! 知らない! どうでも良い!! 誰か、追っ払って!! はやくぅ!!」

 令和支社の窓ガラスに張り付く5cm程の蛾に、麻由佳は半泣きだった。
 そう、この令和の時代、都市は外界と別れてはおらず、当然、万世の時代にはありえない事だが、町の中にも虫が居るのである。
 今まで麻由佳が行っていた時代は、それでも都市のドーム化が進められていた時代であり、こんな町中に虫が居る事などあり得なかったのだが…………そんな予備知識の無い彼女は令和の洗礼を受け、既に心が折れかかっていた。

 だが、既に辞令は下り、彼女は受けてしてしまっている。少なくてもこの時代で何らかの成果を出さねば、意見も通せないだろう。

 会社勤めの悲しい所である。
 頑張れ麻由佳! 負けるな麻由佳! 視聴者が君のリポートを待っている!!

「あ、ごき……」
「うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
0233この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 22:07:00.01ID:kDoqT2/J
>>179

使用お題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』

【お題の時代】(1/2)

 ある日、私たちの学校に、万世元年が転校してきた。

「万世元年くんは、えーっと、数万年前から続く宇宙人帝国の末裔(まつえい)だそうだ。みんな、仲良くしてやってくれー」
「初めまして、皇帝です。『万世』は一万代目という意味で、『元年』は字(あざな)です。よろしくお願いします」

 万世元年くんはイケメン過ぎて、教室に入り切らないほどの見物人が集まってしまった。
 仕方がないので、グラウンドに出て野球をすることになった。

「おーい、皇帝殿。拙者は侍ジャパンでござる。拙者と勝負するでござるよ」

 侍ジャパンくんは野球部の部長で、一騎当九の天才野球選手だ。

「勝負? それは面白そうですね。了解です」
「はい、何か用ですか、皇帝くん」
「了解です殿、丁度いいところに来たでござる。今から拙者、皇帝殿と勝負するでござるから、貴殿の○ッキーを貸してなむや」
「侍ジャパンくん、キャラがぶれてるよ。了解です。はいどうぞ」

 同級生の了解ですくん。彼は正体不明のスーパーマンだ。頼まれごとは絶対に断らず、引き受けたことは必ずやり遂げる。

「よっしゃー、バッチ来いやー! ……でござる」
「侍ジャパンくん、語源に鑑みて、それはちょっと違うと思うよ」

 万世元年くんをマウンドに立たせ、打席で叫ぶ侍ジャパンくん。キャッチャーは了解ですくんだ。
 万世元年くんが無言で振りかぶって第一球を投げようとした瞬間、彼と彼の手の中のボールに何が起きたのか、それを説明するのは難しい。
 彼は最初に、下半身に力を込めた。軸足の底から……中略でござる……ボールに触れる指先まで力が伝わる。だけどそれは本当は逆で、ボールが自分で飛び出したのかも知れなかった。
 ボールは弾丸となり、物質を超越した波動となり、最後には侍ジャパンくんの構えるポッ○ーを直撃した。

「……ばらっばらだ。ばらっばらだよこれ……でござる……」
「侍ジャパンくんほどの天才でも、ポ○キーでホームランを打つチートは使えなかったね」
「まだ勝負は終わってないでござる」

 侍ジャパンくんは、普通のバットに持ち替えて、次の球を待った。
 万世元年くんが無言で振りかぶって第二球を投げようとした瞬間……中略でござる……バットを直撃した。

「……全部省略でござる……ツーストライクでワンナウトチェンジでござる」

 マウンドに立つ侍ジャパンくん。打席には万世元年くんが入る。キャッチャーはいない。

「よっしゃー、バッチ来てください」

 侍ジャパンくんが無言で振りかぶって第一球を投げる。次の瞬間、彼はマスクをかぶってミットを構えていた。
 これこそが侍ジャパンくんの真骨頂、ワンマンチームだ。
 白球がミットに吸い込まれる。万世元年くんはぴくりともしない。これはいい勝負になりそうだ。

「……は?」

 ボールが消えた。
 数秒遅れて、昼の月が輝く。更に遅れて、風が震える。

「ジャストミートでした。えっと、了解ですくん、申し訳ないのですが、月まで行って、ボールを取ってきてもらえますか」
「りょ、了解です。だけど月まで行く宇宙船を用意するのに一年以上かかります」
「そうですか。じゃあいいです。ポッキ○とバットとボールのお代は弁償します」
0234この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 22:07:28.54ID:kDoqT2/J
【お題の時代】(2/2)

 予想外の結果に誰もが言葉を失う中、一人つぶやく子がいた。

「弁償する必要はないでごじゃいます。閣議決定したでごじゃいます」

 令和くんだ。お父さんが政治家の令和くんは、時々意味の分からないことを口にする。

「令和殿、何を閣議決定したでござるか。それと、おなかの調子は大丈夫でござるか」
「宇宙船がなくても、空を飛べる人が取りに行けばいいでごじゃいます。腹案があるでごじゃいます。おなかの調子は絶好調だから大丈夫でごじゃいます」
「令和くん、キャラが混ざってるよ。うちの学校にそんな人いたかな?」

 令和くんが右手の人差し指をこちらに向ける。そして再びつぶやく。

「いるでごじゃいます。蛾(が)さんでごじゃいます」

 *

 空を飛べるのは、私だ。
 私は蛹(さなぎ)だった。
 だけど、ある日突然、私の繭は壊れてしまった。
 壊れてゆがんだ繭から、私は外の世界に飛び出した。

 *

 私は羽を広げる。壊れた月を目指して。

「待ってください!」

 万世元年くんが声を上げた。

「あなたは私の妻ではありませんか? あなたは嫦娥(じょうが)でしょう?」

 私は彼の問い掛けには答えず、羽に力を込めた。

「待ってくれ!」
「皇帝くん! やめるでごじゃいます!」

 万世元年くんが私の羽をつかんだ。鱗粉(りんぷん)が風に舞う。

「嫦娥よ、答えてくれ! 我が妻よ!」

 私は彼の目を見た。それは月のように白く、彼がこの世の者でないことを示していた。
 死臭が風に漂う。

「答えはイエスでありノーです。蛾は姿を変えます。私は芋虫。私は蛹。私は繭。私は蛾」

 万世元年くんも、令和くんも、侍ジャパンくんも、了解ですくんも。みんな私を見ていた。

「私は嫦娥。私はかぐや。私はツクヨミ。月の化身。私はアルテミス。私はセレーネー、そしてヘカテー、冥府の魔女。私は月の女神。易なる蛾、蛾」

 私は風に乗った。月の光を背に浴びて。
 眼下では、万世元年くんがお香をたいていた。令和くんは何かをシュレッダーにかけていた。それは花びらのようにも見えたけど、いつしか風に溶けていった。
 ボールがぶつかって壊れた月は、それでも美しかった。浮かぶ破片から死者の声が聞こえる。
 一万年目の青空が暮れてきた。蛾は月までは飛べない。とりあえずどこを目指そうか。

 明かりを消して。世界中の。そうしたら。
 私はどこまででも飛べる。
0236三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/24(日) 22:15:11.52ID:kDoqT2/J
お題→『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>186【万世元年】
>>196【8分の1人前】
>>209【幸せの青い蛾?】
0240三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/24(日) 22:19:13.44ID:kDoqT2/J
そうなのか・・・
ともかく、、やらかし気味ですがノーカンで、、、

今回は予告通り企画回です!
お題5つ、全部ひらがなでお願いします!

お題安価>>241-245
0241この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 22:20:10.18ID:4Ntcqc8a
とうそう
0242この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 22:20:33.83ID:U5BqjrSM
せんとう
0244この名無しがすごい!
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2019/11/24(日) 22:22:59.98ID:8sWNOFYs
『いちご』
0246三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/24(日) 22:35:20.35ID:kDoqT2/J
☆お題→『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→12/1の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0247三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/24(日) 22:38:42.11ID:kDoqT2/J
びょ、秒速で埋まって震える
ありがとうそしてありがとう

次の締め切りは12月、師走ですね・・・
皆様無理なくマイペースで行きましょうー
0248三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/11/24(日) 23:26:42.33ID:kDoqT2/J
>>230
ハゲの(ある意味)復讐w
辞令を了解、未来の万世、すごい過去の『令和』、『蛾』とごき・・・
多分リポートもこの調子なんでしょうねw
0249この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/24(日) 23:40:12.68ID:t05xQ3Pq
平仮名でやるのなんかいみあんの?って思ってたけど確かにこれは色々取れて面白そう
0250この名無しがすごい!
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2019/11/25(月) 07:55:24.37ID:zgQch1OO
>>233
理不尽系擬人化小説と言う訳ですねw
最終的に主人公が色々なモノから逃避でエンドと言うw
0252三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/25(月) 19:30:50.19ID:poOGmOUn
>>250
感想ありがとうございます
嫦娥乗風、作者奔月、こんなの擬人化に逃げるしかないですw
0253この名無しがすごい!
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2019/11/25(月) 21:50:45.28ID:ENxliBwE
>>246
使用するお題→『とうそう』『せんとう』『いちご』『すき』

【忍者、また現る!そして決着!】(1/3)

定休日である水曜日の夜。ライアンとレイチェルはリビングで夕食を食べながら、テレビを見ていた。
すると奇妙なニュースが飛び込んできた。このシチリアにある小さなイチゴ農園に泥棒が侵入し、大量のイチゴを盗んでいったとのことだった。
その泥棒の正体はなんと日本刀を背負った忍者で、農夫は捕らえようとするも非常に俊敏な動きに対応できず、そのまま逃走を許してしまった。
それを見たレイチェルは思わず立ち上がる。

「あの忍者、ライアンのロールケーキの次は農園の大切なイチゴを盗んだのね。ゆ、許せない…!!」
「お、落ち着けってレイチェル。少し頭を冷やしてさ、ほら」
「ご、ごめんなさい…」
「よっぽど逃したのがショックなんだね」
「だって成す術なくロールケーキを奪われたんだからすっごく悔しくて、悔しくて…」
「でも今は冷静になって。勇敢な女ガンマンである君なら、次こそは必ずあの忍者を捕まえられる」
「ラ、ライアン、ありがとう!」

レイチェルは思わずライアンに抱き着く。

「さ、明日はまた仕事で早いからもう寝よう」
「そうね!」

シャワーを浴びてパジャマに着替え、ベッドに入って寝ようとするレイチェル。
しかし、どうしてもあの忍者のことを思い出して不安になり、なかなか寝つけなかった。

「(あの俊敏な忍者に立ち向かうにはガンマンじゃなく、黒猫の衣装の方がいいのかな…?)」

黒猫の衣装を着れば忍者と対等に渡り合えるかもしれない。

「(だ、ダメダメ!私は基本ガンマンでなくちゃ!黒猫はいざという時のためだけ!)」

あれ以来、負けないよう必死に射撃の練習を積んできたから今度は必ず勝って捕まえられる!
そう信じると、これ以上考えるのをやめて眠りにつくのだった。
0254この名無しがすごい!
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2019/11/25(月) 21:52:03.72ID:ENxliBwE
【忍者、また現る!そして決着!】(2/3)

翌日、レストランの客達の間でも忍者の話題で持ち切りだった。

「昨日のニュース見たか?」
「まさかシチリアに忍者が現れるなんてな。ずっと空想の中だけの存在かと思ってたぜ」

休憩時間、レイチェルがキッチンに入った時、足下に何か落ちているのに気付く。
それはなんと手裏剣だった。レイチェルは急いで手裏剣をライアンに見せる。

「これは何かの合図かもしれないね。もしかして今夜、またここに現れるということかな?」
「そう思った方が良いかもしれないわね。この女ガンマン、レイチェルから逃げられないってことを思い知らせてあげるんだから!」
「レイチェル、君ならできるよ。絶対に勝てる!で、でも絶対に無理だけはしないでね」
「もちろん!」

深夜の0時。ちょうど日付けが変わった頃、レイチェルは今か今かと忍者を待ち構えていた。
すると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。天井の方からだ。

「あら今日はロールケーキは置いていないのね。すっごくがっかりだわ…」
「出てきたわね忍者!今日という今日は絶対捕まえてみせる!」

忍者が床に降り対峙するや否や、レイチェルは腰のホルスターから銃を取り出し勢いよく発砲する。
咄嗟に忍者は鞘から日本刀を取り出す。

「だから私に銃なんて無意味。学習能力のないガンマンね、可哀想に」
「それはどうかしら?」

日本刀で弾丸を切り刻もうとするも、刀は弾丸でパキン!と音を立てて真っ二つに折れてしまった。

「な、何故だ!」
「私の攻撃が一秒速かったから、あなたの日本刀は弾丸の勢いに負けて折れてしまった。つまり一瞬の隙を突かれたってわけ!」
「な、生意気な!」

忍者は刀を捨てて今度は手裏剣で攻めてくるものの、レイチェルは得意の銃撃で難なく手裏剣を次々と破壊していく。
しかし何十発も撃ち続けたため弾切れを起こしてしまい、予備の銃弾ももう無くなってしまったため、銃は使い物にならなくなってしまった。

「し、しまった!」
「銃はもうダメなようね。こっちはまだ手裏剣が一つ残ってる。どういう意味か分かるわよね?」

忍者がレイチェルに最後の手裏剣を投げてきた。
0255この名無しがすごい!
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2019/11/25(月) 21:53:25.40ID:ENxliBwE
【忍者、また現る!そして決着!】(3/3)

手裏剣がレイチェルの方に凄まじいスピードで迫ってくる。

「あなたはもう終わりよ!」

しかしレイチェルはジャンプして回避した後、足を回してブーツの拍車に手裏剣を当て、そしてそのまま蹴り返した。
手裏剣はそのまま勢いよく忍者の方に戻っていき、胸に突き刺さった。

「ギャーーーーー!!!」

忍者が倒れると、レイチェルはすぐに体を縄で縛って身動きができないようにした。
近くで様子を伺っていたライアンも駆けつけてきた。

「レイチェルやったね!」
「うん!さあ観念なさい、悪い忍者さん!」
「レ、レイチェル暗殺はし、失敗したわけね…」
「あ、暗殺!?誰の差し金なの!?」
「ナ、ナタリーって覚えてるかしら…?私はシーラ、彼女の昔からの友人よ…」

忍者は全てを説明した。かつて子供達から盗んだおもちゃを売り飛ばして荒稼ぎしていた老婆で、元女子プロレスラーのナタリー。
脱獄しレイチェルに復讐を果たそうとするが失敗、遥か遠くの大きな刑務所に投獄された彼女は、面会で度々会っていた旧友のシーラにレイチェルを暗殺するよう依頼したのだ。
シーラは元トップアスリートで、年老いてはいるものの高い身体能力は今も健在だった。
忍者に変装するのもナタリーからの提案だった。また、ナタリーは既に老衰で他界していた。

「私の暗殺が目的なのに、何故ロールケーキやイチゴを盗んでたりしてたの?」
「そ、それはただ私が大の甘党なだけ…特に深い理由なんてないわ…」

その後、シーラは駆けつけた警察に逮捕、連行されていった。
この事件で、レイチェルはこれまで以上にシチリアでは知らない者が誰もいないほどの人気者になった。

「それにしても凄く手強かったわ。あの婆さん、元トップアスリートに恥じない俊敏さだったわ」
「レイチェル、僕は君が本当に誇らしいよ」
「ウフフありがとうライアン!私はライアンがいるから強くなれる、いつもそう信じてる」

そんなレイチェルの言葉にライアンも思わず顔を赤らめるのだった。
0256三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/26(火) 01:39:53.70ID:Pvv7JQDi
>>253
おお、、今週も早速
『逃走』する『イチゴ』泥棒、『隙』あり忍者(再登場)と戦闘、拍車も活躍、甘いのが好きな悪党w
アクションあり、過去作の要素ありで、立ち止まらないレイチェルシリーズですね
0257この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/26(火) 12:06:39.46ID:kkVkEwao
>>256
感想ありがとうございます!
今回は忍者との決着、ということで色んな要素てんこ盛りの力作に仕上げることができたと思います
この世界の老婆は年老いていてもとにかくパワフルです(笑)
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0258この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/27(水) 05:16:50.53ID:/44J4iCB
>>246  使用お題→『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』

【私は一人でも大丈夫“だ”】(1/3)

 男…………白浪(パイロン)は、長い逃走と闘争の日々に疲れていた、何物にも代えられない大切な知己や居場所は、他ならぬ彼自身を引き金とした厄介事でとうの昔に消え果てた。
 今の彼に寄る辺はなく、また行く宛もなく、終わり無き旅路の最中、時に置いてかれるような永遠は今も続いていた。

「ねえねえお兄さん」

 美しい田園風景の中で木漏れ日と春風に身を委ねて無防備にも眠ってしまっていたのも、彼が長い旅に疲れているからだったのだろう。

「大人がこんな所で寝てていいの? ひょっとしてお兄さんは畑持ってないの?」

 まあ、彼に話しかける少女からすれば、そんな事情を知るはずもなくただただ暇な大人が昼間から木の幹に寄りかかってサボっているようにしか見えないのだが。

「お兄さんはね、畑どころか家も郷も持ってないんだ、だからずっと旅をしてるんだよ」

 無知で無垢な少女の問いに暖かな笑みを浮かべて答える男の顔には皺一つ無く、どこか幼さすら残る整った顔立ちをしていた、けれどその顔が少女には老爺のように見えていた。

「そうなんだ、家も“さと”? も無いんだ…………じゃあひょっとして夜寝るところも無かったりするの?」

「毎日探してるけど、なかなか良い家が見つからなくてね」

 寝床はあるか? と尋ねる少女に思わず男は普段は口にしない過ぎた夢を語る、旅の路が己の寝床と割り切ったつもりで居たしても、時には安寧の中ひとところに留まる事も夢に見よう、それは彼の日常に失われて久しい物だ。
 疲れもあった、何より少女の雰囲気が穏やかで、感じている以上に彼はリラックスしているのかもしれない、そんなあれこれもあって彼は…………

「じゃあウチにいらっしゃいますか?」

 いつの間にか少女の背後に現れた男の言葉を断らずに受け入れてしまっていた。

◆◇◆◇◆

「いやぁ旅の武芸者をウチにお迎えする日が来るとは、今日の今日まで思いもしませんで」

「いえ、武芸者などと、私ごとき流浪人が名乗れたものでは無いのですが」

 少女の父親李訊(リシン)と名乗った彼は昔、武芸者を夢見て励んでいた時期があるらしく、腰に剣を差す白浪に尊敬と羨望の目を向けていた。
 この国、というよりもこの世界では、武芸者として武者修行の旅に出る事は男児なら一度は夢見る事なのだ、故に彼のように武芸者に寝床と食料を恵む者も少なからず存在している。
 と言っても、白浪がその世話になったのは百と数年ぶりである、久方振りに甘える彼は、人の好意に触れることを嫌うように恐縮していた、李訊の娘雅玲(ヤーリン)はそんな彼を不思議そうに眺めながらいつもより具の多い粥を頬張っていた。

◆◇◆◇◆

 一家団欒の風景に紛れ込んだ白浪は、なんだかんだで腹一杯ご馳走になってしまい、その礼にと雅玲の寝る部屋で彼女に本を読み聞かせていた。

「孫悟空は天帝様の言いつけを破り、バクバク、バクバクと仙桃を食べてしまいました」

「どうして、駄目だって言われたのにお猿さんは桃を食べてしまうの?」

「昔はね不老長寿なんて珍しく無かったんだ、だから自分もそうなりたいと思う者も多かったのさ」

 同じ布団に入り、可愛らしい幼子に読み聞かせる本として、白浪の持ち物である西遊記は最適だった。
 村の集会に向かった雅玲の両親に代わり彼女を寝かしつける彼は自身の身の上と深い関わりのある物語への質問をついつい本気で答えてしまい、彼女を混乱させるのを繰り返していた。

「さあ、もう遅い、今日のところはコレまで」

 自分の言葉に首を傾げながらもうーんうーんと唸っていた雅玲の顔が眠気でトロンとしだしているのを察した白浪はパタリと本を閉じ、優しくそう言った、だが、いくら優しく言われても、納得できるわけがない、彼の読み聞かせは良いところで途切れているのだ。

「明日……また続き読んでくれる?」

 そう尋ねてくる少女の潤んだ瞳に、白浪が否と言えるわけは無かった。
0259この名無しがすごい!
垢版 |
2019/11/27(水) 05:25:50.87ID:/44J4iCB
【私は一人でも大丈夫“だ”】(2/3)

「余録」 「首輪」 「童歌」 「短躯」 「君主」

 2つある集落の出入り口、外界と村とを隔てる木の柵が唯一許す人の通り道の一つに暇な男二人のしりとりの声が響く。
 片方は衛士歴10年の男世隆(シロン)、もう片方はこの村の村人歴4日目の白浪だ、雅玲の家に世話になっている彼は仕事もせずに居るわけにもいかず、こうして衛士の一人として働いていた。

「主君………………あっ」

 三十回目の勝負が終わり、頭を抱える世隆、その様を微笑ましげに眺める白浪はすっかりこの村に馴染んだようだ。
 彼は、それが本来は良くない事だと知りながら、今晩で読み聞かせも終わり、彼女に別れを告げられるだろうと踏んで、5日の期間延長を良しとしていた。
 長い時と共に押し流された記憶が警鐘を鳴らしたとしても、旅の疲れを癒やす憩いにばかり耳を傾ける彼に、その音は聞こえやしない。
 何もかもが懐かしいと心の中で感涙する彼は哀れなほどに愚かで、哀れなほどに痛ましかった。


◆◇◆◇◆


「こうして、取経の旅を終えた孫悟空はその罪を許され、仏の記別を賜り、解脱し悟りをひらきました、おしまい」

「………………」

 最後の一文を読み終え、雅玲の寝顔を慈しむように眺めた後、ゆっくりと名残惜しむように白浪は布団から出ていく、コレでしばしの休息は終わりだ。
 そんな時だった、別れを惜しまれでもしたら旅立てなくなると、黙って出て行こうとする彼の耳に、異常が聞こえてきたのは。

「っ!」

 微かに臭う血と煙の匂い、聞こえてくるのは聞き覚えのある軍靴の音、その瞬間、男は忘れていた全てを思い出した、己が立場、己が分際を。
 剣を取り、走り出す、燃えるような怒りにその身を焦がせながら。


◆◇◆◇◆


 瞬く間に燃え広がる炎、そこかしこから聞こえる悲鳴と怒号に聞き覚えのある物が混じるたびに血が滲むほどに唇を噛みしめる白浪、手当たり次第に下手人達を斬り伏せていく彼の目には多くの“物”が映っていた。
 今切り倒した男は右手に首を持っていた、ここ数日共に衛士として肩を並べた世隆のそれだ、知った顔、関わった人々の末路、二度と忘れまいと思っていたのに、二度と誰とも深くは関わるまいと決めたのに…………

 男は自分の愚かしさに募る怒りを剣に乗せ、“この国の兵士達”を斬り伏せていく。

 彼が全ての敵を始末し、村の火の手が収まったとき、狙ったように東の空が茜色に染まり出す、真っ黒だった空が赤くなる頃、ようやく赤かった村が炭の黒一色になったのだ。
 家だった炭の固まりを掻き分け、死んだ目で生者を探す永遠を生きる生きた屍は、世話になった、あの家がどうにか原形をとどめてるのを見て、縋るような思いで雅玲を探す。
 その奥で、無傷な雅玲を見て希望を抱くように駆け寄り…………………………そして。



 呼吸がないことに気付いた。


 火事場で火に囲まれれば焼かれずとも息は続かない、奇跡的に生きてる事も有ろうが、その奇跡は彼女を救いはしなかったのだろう。
0260この名無しがすごい!
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2019/11/27(水) 05:27:31.33ID:/44J4iCB
【私は一人でも大丈夫“だ”】(3/3)

「私は………………私……が」

 『居なければ』こうはならなかった、本の続きをねだる彼女に、続きを読み聞かせるのではなく、本を置いてその場を去るという選択肢もあった、決して白浪は雅玲のためにこの村にとどまっていたのではない。

「すまない…………」

 疲れた心に心地良かったのだ、人々との交流が、それが大切な物だからこそ、自分が居てはいけないことを彼は知っている筈だったのに。

「私が弱い所為で、君から全てを奪った」

 白浪は涙を流し、自分の行動を悔いる、もう何もかもが遅いと言うのに、今更のように涙を流す。
 仙桃を食し、不老不死となった男白浪、彼の数百年と続く浮浪の旅には隣人などあってはいけない、往々にして為政者という物は彼の体質を羨みその秘密を探ろうとするものだからだ。
 彼の始皇帝ですら目指した末に辿り付けなかった人の夢の極致、それが己が国の中にあるのだ、手を伸ばさない訳がない。
 彼を孤独たらしめ、この村を焼き滅ぼしたのはそういう欲望なのだが、被害者の一人である白浪自信はそう思わない、そう思えない、自分は孤独であるべきで、そうなれず人々を傷付けたなら、それは自分の罪だと彼は言う。
 だからだろう、償いをしようと彼が決めたのは。

 意を決した白浪の手によって、荷物から取り出された“あるもの”が雅玲の口の中へと消えていく、それは死した彼女を生き返らせるに足る奇跡を秘めているが、それと同時に彼女に孤独の呪いを齎す物でもある。

 だから。

「君の口の中には種が残っているはずだ、それを育てれば一つだけ実が生るだろう、それを好む相手に渡しなさい、君が孤独でなくなるにはそれしか方法はない」

 そう、助言を残して立ち去ろうとする。

 しかし、聞かせるつもりのない、その一語を死の淵より帰ってきた彼女は聞いてしまったのだ。

『ーーーーーーーーー“だ”』

 彼女がその言葉の意味に気付くのはずっと先、育てた仙桃が一つきりの実をつける頃だった。
0261三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/28(木) 01:31:30.45ID:nGOfmMLI
>>258
力作だああああ・・・・
とうそうの果て、『しりとり』勝負、心の隙と戦闘、『仙桃』を『好』きな相手に、残された『一語』
永遠の旅路、お題の面白さや意外性、組み合わせの面白さが表れてると思いました
0262この名無しがすごい!
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2019/11/28(木) 01:40:09.26ID:EhyNToqO
>>261
感想ありがとうございます、改行が多すぎると、一行が長すぎるの間で四苦八苦してたら読みにくくなってしまった気がして…………
ちゃんと読んでもらえたみたいで良かったです。
0263三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/11/29(金) 00:43:24.64ID:cDkC0nBM
>>262
確かに文字数で言うと長いですが、読みにくいことはなかったですw

ただそれとは別に、句点の代わりに読点を使うスタイルが引っ掛かる・・・というのはあります
それ以外は読みやすいと思います
0264この名無しがすごい!
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2019/11/29(金) 01:56:59.38ID:FMpTT/hj
>>263
ああ耳に痛いw
昔から句読点の使い方が良く分からなくて…………
勉強します。
0265この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 09:28:02.25ID:Vx5wWid1
句読点の使い方わからんってのはわりとまずいと思うけど、なんかこれはこれで古典文学みたいな独特のリズムあっていいよね
0266この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 16:34:00.68ID:zpLgv72N
>>246
使用するお題→『とうそう』『しりとり』『いちご』『すき』

【クラスメートのハヤト】(1/2)

月曜日の朝、カナミが下駄箱で上履きに履き替えていると一人の女の子が元気よく挨拶してきた。

「おはようカナちゃん!」
「あっリーちゃん!おはよう!」

彼女の名は森野リナ。幼稚園の頃からの親友でお互いにカナちゃん、リーちゃんと呼び合う仲だ。

「急に寒くなってきたよね。先月までは蒸し暑かったのに」
「それなんだよね。今日の体育は外でやるから嫌だなあ」

楽しくおしゃべりしながら階段を上って教室へ向かう中、後ろから一人の男子の声がしてきた。

「おっ、森野に八尾じゃないか。グッドモーニング!」

陽気に2人に挨拶してくるその声の主は、クラスメートの宮坂ハヤトだった。

「あっ宮坂君じゃない。おはよう!」
「オーッス!」
「ちょっと宮坂君、私は八尾じゃなくて七尾よ。いい加減わざと間違えるのやめてよね」
「えーだってお前、七尾というより八尾って感じだし」
「意味わからないよ、まったく…」

ハヤトはいつもカナミの名字である七尾を、わざと八尾と間違えて呼んでからかっている。
ちなみにカナミとは2年生の頃からずっと同じクラスだ。
カナミはよくハヤトからちょっかいをかけられているが、陽気で気さくな彼の人柄はとても好きだった。
最初の授業の初め、席替えをすることになった。アミダくじによる結果、なんとカナミはハヤトと隣でしかも一番後ろの席だった。

「お、七尾と一緒か。しばらくよろしくな!」
「うん。でもあまり教科書の忘れ物しないでよね」
「分かってるって!」

2時間目の理科の授業の中、隣からハヤトが小声で話しかけてきた。

「なあ七尾、しりとりしないか?」
「しりとり?うーん、理科って退屈だし少しならいいよ」
「よし!俺の闘争心が燃えてきたー!負けないぞ!」
「しりとりに闘争心燃やすって…」

ハヤトとのしりとりバトルが始まった。
すずめ、めだか、かたつむり、りんご、ゴリラ…と続けていく。
0267この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 16:35:06.64ID:zpLgv72N
【クラスメートのハヤト】(2/2)

「えっとねー、しじみ!」
「み、み、みかん!あっ、しまった!」
「私の勝ちね!」

ハヤトはうっかりで自滅、カナミの勝利となった。

「今度は負けないからな」
「いつでも勝負受けるわよ」

お互いに顔を合わせ、クスクスと笑う。4時間目の授業が終わり、給食の時間となった。
クリスマスが近いのか、デザートはイチゴショートケーキで豪華なものだった。
また今日は欠席者が1人いるため、男子が数人集まり、一つ余ったケーキの争奪戦が始まった。その中にもちろんハヤトの姿もあった。
熾烈なジャンケンバトルを制したのはハヤトだった。

「ケーキいただき!」
「ハヤトのやつ、ジャンケン強いからなあ」

ケーキをゲットできてハヤトは嬉しそうに席に戻る。すると、彼は手に持っているケーキをカナミのトレイに置く。

「このケーキ、お前にあげるよ」
「えっ?」
「さっき消しゴム貸してくれたお礼さ」
「あ、ありがとう…」

掃除の時間、窓拭きをしているカナミにリナがニヤニヤしながら話しかける。

「宮坂君、もしかしてカナちゃんのことが好きなんじゃない?」
「え、リーちゃん急に何を言うの。そ、そんなことないよ…」

思わず顔を赤らめるカナミ。
放課後、運動場で他の男子と一緒にサッカーをして遊ぶハヤトの姿を少し眺めると、校門を出て家路につく。
家に着くとカナミは自分の部屋に入り、ベッドに寝転がりボーッとする。
するとコンコンとドアをノックする音がし、カナミは体を起こす。

「だーれ?」
「僕だよ、お姉ちゃん。オセロで遊ぼう!」

ドアを開けると、そこにいたのはオセロ盤を持ったケンスケだった。
弟の姿を少しジーッと見つめるとカナミはニコッと微笑み、彼をギュッと抱き締める。

「お姉ちゃん、急にどうしたの?」
「ううん、何でもないわ。それじゃあ早速遊びましょ」
「今日は負けないよ!」
0268三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/01(日) 18:58:16.44ID:EvoBVfnM
>>265
それはある

>>266
今度はちょっと世界が広がる
『しりとり』で『闘争』w『イチゴ』ケーキで豪華な給食、『好き』なんじゃ? 最後に弟くん少しw
こっちのシリーズじゃないとできない話ですね
0269この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 20:37:19.93ID:N60IS05M
>>246
お題:『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』

【信繁と津久エ門】


「隙在り!!」

 打ち下ろされる刀を鉄扇でいなし、座った状態から回転する様に足を刈って転がすと、相手の両腕を膝で固定する様にして、喉元に鉄扇を突き付ける。

「……! くっ、ま、参った」
「…………奇襲をするなら、声を掛けてはダメだと思いますよ?」

 組伏した側の男は、鉄扇を開くと口元を隠しながら相手の上から立ち上がった。
 下茂 信繁。御留流組打ち芸の師範である。

 組打ち芸とは、主に室内での戦闘を念頭に置いた武芸であり、江戸太平の世になってから発展した武術である。
 その基本は“座った状態からの迎撃”であり、後の先を極めた武芸と言って良かった。

「先生!! もう一度!! もう一度だけ機会を!!」
「……武芸は一期一会、二度は有りません。そもそも、今を時めく柳生の門下たる貴方が、田舎武芸の師範でしかない私に、何をしろと言うのですか」
「何を仰る!! 確かに柳生は徳川家指南役ではありますが、昨今の者達は実戦から離れすぎ、あまつさえ型のみを重視する有様!! 決して天下一と言えるものではありません!!」

 そう吠える漢は尾張 津久エ門 時貞。江戸柳生の門下生であり、次期筆頭との呼び声も高い若者であった。

「ならば、貴方がその風潮を変えて行けば良いではないですか。わざわざ、自分の様な者を担ぎ出さなくとも……別に隠す程の物でのないのですから、技の手解きくらい行いますよ?」
「確かに、柳生の剣は無形の剣。時代時代で他の流派も取り入れ進化する物です。ですが、これとそれとはまた違う!! 拙者は“柳生こそ天下無双”と言う思い上がりをこそを正したいのです!!」

 津久エ門の言う事も理解はできる。確かに柳生は様々な流派の理を取り入れ、進化して来た流派であり、それ故に天下一とも成れたのだから。
 そんな柳生が、「既に我が流派に並ぶものなし」と奢り、他の流派を顧み無くなれば、その進化も打ち止めとなるだろう。
 彼はそれを危惧しているのだ。

 信繁が「はぁ」と溜息を吐く。
 懐に手を入れると、金細工で刀装を誂えた小刀を出した。

「では、津久エ門殿、『しりとり』を行いましょう」
「は? 何を」
「『しりとり』です。その『しりとり』が終わるまでに、この小刀を私から奪う事が出来れば、貴方の思惑に乗ってあげましょう」
「!! 本当ですか!?」
「………武士に二言はありませんよ?」

 信繁のその言葉に、津久エ門の表情がパアッと明るくなる。

「では、始めましょうか……『犬』」
「ぬ、『ぬ』? 信繁殿!! 最初から難易度が高くは?」
「では、この話はここまでで……」
「う!! ぬ、『沼』!!」

 そう言いながら、信繁の目の前に置かれた小刀に手を伸ばす津久エ門だったが、しかし、その手は簡単に弾かれてしまう。

「『鞠』」
「りぃ? り、り、り、…………」

 ******

 徳川が天下を統一して百年が経った。
 世は天下泰平、平和な時が積み重なっている。
 この話は、そんな太平の世に有って、武芸者足らんとした男達の物語である。
0270この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 20:40:04.94ID:N60IS05M
時代劇の書き始めの様な感じになってしまいました
そして、続きをかく気は無いと言うw
0271三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/01(日) 22:10:57.45ID:EvoBVfnM
お題→『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』締切

【参加作品一覧】
>>253【忍者、また現る!そして決着!】
>>258【私は一人でも大丈夫“だ”】
>>266【クラスメートのハヤト】
>>269【信繁と津久エ門】
0272三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/01(日) 22:12:35.83ID:EvoBVfnM
よしでは通常お題5つです

お題安価>>273-277
0277この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 23:27:45.41ID:ajkyUYxw
VR
0278この名無しがすごい!
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2019/12/01(日) 23:27:45.49ID:ajkyUYxw
VR
0279三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/01(日) 23:30:20.07ID:EvoBVfnM
☆お題→『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』『VR』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→12/8の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0280三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/01(日) 23:50:28.26ID:EvoBVfnM
ぼ、、某山脈で成長した自家製野菜から逃げ回るVRホラー・・・

前回は思ったほどカオスでもなく、それぞれ工夫があって面白かったですね
そして今回も、楽しい作品をお待ちしておりますー
0281三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/01(日) 23:51:25.35ID:EvoBVfnM
>>269
なるほどこれはw
『隙』あり、室内『戦闘』の武術、『一期』一会、『とうそう』あった!『しりとり』をする武芸者たち・・・
知らない単語があったり、突っ込み所があったりして楽しめましたw
0283この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 09:03:39.36ID:HfEueCcp
>>253
老婆くノ一ですねw
しかも、逆恨みも甚だしいと言う……
結局は自業自得ですしね

>>258
永遠と言う牢獄、そこに見つけた希望でしょうか?
それでも自分と同じ孤独は味会わせたくはないと言う葛藤が切ないですね

>>266
子供は兎に角、自分に興味をもって貰おうとしますからねw
小さな恋の物語が紡がれるかは、これからですねw

>>281
感想有難うございます
この物語はフィクションです
実在の個人、団体とは関係ありませんw
0284この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 10:08:09.42ID:Wr/5HYPa
>>279
使用するお題→『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』

【夢は決してあなたを裏切らない】(1/3)

シチリアでレストランを開業してから10年もの月日が経った。
しかし2年前、数キロ離れた場所に新しいレストランができて以来、ここに食事に来る客の数はめっきり減り、
今は常連客が数人ほど訪れるくらいで以前とは比べものにならないくらい閑散となってしまった。

「ライアン、今日も暇だね。もう毎日がホントに退屈…」
「新しいレストランができたんだから仕方がないよ、レイチェル。あそこは色んな国の料理を多種多様に扱えるんだ。勝てるわけがないよ」

これまでシチリアの山脈で採れた新鮮な野菜、自分達の手で育てた自家製野菜を使った瓶詰めのピクルスや、
オリジナルのスイーツなど販売したりと、あの手この手で対抗してきたのだが減った客数を取り戻すまでには至らなかった。
レイチェルも長年愛用していたガンマン衣装を全く着なくなった。決して西部劇に飽きたというわけではなく、
帽子やコート、ブーツの綻びが酷くなって人前で着れるような物ではないと判断し、今はクローゼットの中に収納、保管している状態だ。
今は店の経営状態が厳しいため、衣装の修繕費用で無駄にしたくなかったのだ。

「レイチェルがガンマン衣装着なくなってから、正直すごく寂しいよ」
「だってもう長年来ているからボロボロなんだもん。ごめんねライアン」

今のライアンとレイチェルにとっての一番の楽しみは、 立派に成長した庭の花を眺めることだった。

「美しく立派に育ったよね。見ているだけでも元気になってくるよ」
「そうね。お花さん達も雨風に負けずに頑張っているんだから、私たちも頑張らなくちゃ!」

あの星座当て勝負で楽しんだ、2人だけの秘密の雄大な丘「シャイニングスターヒル」も
ゴルフ場建設のために切り崩されてしまい、跡形もなく消えてしまった。

「時の流れって残酷なものよね…」
「受け入れることしかできないさ。だって時は止められない」

ライアンとレイチェルはもう本気でレストランを廃業しようと考えていた。
すると誰かが扉をコンコンと叩く音がしてきた。

「ん?誰かな、お客さんかな?」

ドアを開けると、そこに立っていたのは1人のメガネをかけたほっそりとした男だった。
0285この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 10:09:05.66ID:Wr/5HYPa
【夢は決してあなたを裏切らない】(2/3)

「あなた、もしかしてライアン・シードルズさんですよね?」
「は、はい。そうですが…」
「やっと見つけましたよ!ずっと探してんだんですから」
「えっどういうことですか?(も、もしかして警察!?僕、何か悪いことしたのかな?)」
「あ、申し遅れました。私、ハリウッドでエージェントをやっておりますケントと申します」
「ハ、ハリウッドォ!?」

ハリウッドという言葉を聞き、ライアンは動揺を隠せない。

「ライアンさん、あなたかつてハリウッドで俳優をやっていたことがありますよね?」
「は、はい。でもほとんどエキストラでしたし、主役で出れたのもB級の一作だけでしたし…」
「その映画をですね、評論家の方々が大絶賛したのです。あなたには俳優の素質があると!是非主役で出てほしい映画があるのですよ」
「ほ、本当ですか!?」
「ライアン、すごいよ!実力を認めてくれてったことよ!この絶好のチャンス逃しちゃダメ!」

本当の夢だった俳優にまさか復帰できるチャンスが本当に来るとは。
何年修行を積んでも実力を認められず、やっと主役で出れたと思えば一作のB級映画だけ。
自分には俳優の素質、才能なんて無いと自信を喪失する日々だった。

「レイチェル、君のおかげだよ」
「えっどういうこと?」
「もし君がいなければ、僕の心は一生荒んだままだった。もしかしたら自殺していたかもしれない」
「お、落ち着いてライアン。大袈裟よ」
「僕はレイチェルの明るさ、優しさ、奔放さに本当に心を救われたし、癒された。そんな君が幸せを呼んでくれたんだ」
「ラ、ライアン…私もあなたに出会えて、そして結婚できて本当に嬉しかった。今の私があるのもライアンのおかげ」

大学を卒業時、ハリウッドに向かうライアンに最後会えないまま離れ離れになってしまい、
レイチェルも一時期心を病んでいたことがあった。
就職するも長続きせず2年で辞めてしまい、それ以来在宅勤務で食いつないでいく日々。
そんな寂しさを紛らわすためにガンマン衣装に身を包むと、自然と心が晴れ、自分に自信が出るようになった。
それから様々なトラブルに立ち向かい、住人達に愛されるようになった。
そしてライアンと再会、結婚、そしてシチリアに旅立ち現在に至る。

「レイチェル、本当にありがとう」
「ライアンも本当にありがとう!」

互いに抱き合い、嬉し涙で顔を濡らす2人だった。
0286この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 10:10:01.44ID:Wr/5HYPa
【夢は決してあなたを裏切らない】(3/3)

ライアンとレイチェルはレストランの廃業手続き、荷物の整理等を終えると飛行機に乗り、シチリアを後にした。
ハリウッド、そう生まれ故郷のアメリカに戻るのだ。

「アメリカ、十数年ぶりね」
「ああ、また俳優を目指せれるとなると胸が高鳴るよ!でもシチリアを離れるとなるとやっぱり恋しくなるね」
「レストランをしてた日々もすっごく楽しかったわ。忘れられない思い出でもういっぱい!」
「またアメリカに帰ったら一緒にたくさん思い出作りしようね、レイチェル!」
「もちろんよライアン!」

アメリカに帰ってきた2人。ライアンは再びハリウッドで立派な俳優を目指し、鍛錬を積む日々が始まる。
今回、彼が主役で出る映画のジャンルはサスペンス・ホラーものだった。
ホラーものは初めてということですごく張り切っていた。
ライアンがハリウッドでの俳優業に忙しいため、レイチェルは家で一人の時が多かったが寂しくなかった。
近所付き合いも良好で、時々お馴染みのガンマン衣装に身を包んで子供達を楽しませていた。

「ライアン頑張っているかなあ」

数ヶ月後、ライアンが休みをもらい久々に家に帰ってきた。

「ライアンおかえりなさーい!」
「ただいまー!僕がいなくて寂しかったかい、可愛いガンマンちゃん!」

主演の映画は大成功を収め、ライアンは俳優として認められ軌道に乗ったところだ。
この先も映画の撮影などでスケジュールが詰まっているという。

「レイチェル、また忙しくて会えない日々が続くかもしれない。ごめんね」
「気にしないでライアン!私は強い女ガンマンよ、だって…」
「だって?」
「だってライアンがいるから強くなれる」
「僕もレイチェルがいるから強くなれる」

お互いにギュッと強く抱きしめ合うライアンとレイチェル。
そんな2人の姿をジュディは微笑ましく眺めている。

「(私もこの2人がいるからいつまでも幸せでいることができる。本当にありがとう)」
0287この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 11:15:12.92ID:t1ZowcPp
それは最悪の時代の始まり
悪夢が蘇るとは誰も予想だにしなかった

【永久に続く月光】
0288この名無しがすごい!
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2019/12/02(月) 15:22:02.32ID:Wr/5HYPa
>>268
>>283
感想ありがとうございます!
シリーズ序盤の悪役でここまでお話を広げられたのも自分でも書いてて想像がつきませんでした
あと好きな子にはやっぱりちょっかいをかけたくなるものですよね
今回も楽しんでいただき本当に嬉しいです!
0289三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/02(月) 19:58:38.08ID:Hp0XZuv+
>>284
まさかの展開に!
時間経過が割と容赦ないシリーズですけど、十年とは・・・
『山脈』野菜や『自家製野菜』、『成長』した花々、急転直下『ホラー』映画に出演するw
すごい話になってしまった、、こういう振れ幅も本作の魅力ですが、これでシチリア編は完結なんですね

ありがとうレイチェルシリーズ
今後は、、やっぱりまた続きがあれば、書いて頂きたいところではありますがw
0290この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/02(月) 20:21:40.68ID:Wr/5HYPa
>>289
感想ありがとうございます!
以前シチリア編の次もどんどん続けていきたいとコメントしたのですが、これ以上物語のネタを思いつかなくなり、
ちょっと急に打ち切りみたいな形になりましたが、今回でレイチェルシリーズは全て完結です
ライアンと一緒の楽しいシチリア生活を思う存分書けて本当に楽しかったです
今まで応援してくれた読者の皆さん、本当にありがとうございます!
0291三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/03(火) 00:42:07.57ID:HnLy+Oat
そっかぁ・・・これも時の流れですね・・・
シリーズ終了は寂しいですけど、これまで楽しく読ませて頂いてありがとうございました


と言いつつ、まだ何かありそうな気もしてる^^;
0294この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/06(金) 05:15:14.56ID:WgcS++zM
一般宇宙人A「宇宙生活も飽きてきたっすね」
一般宇宙人B「飽きたらだめっすよ」
一般宇宙人A「でも気分転換も必要じゃんよ?」
一般宇宙人B「たしかにぃ」
一般宇宙人A「小説でも書くっすか」
一般宇宙人B「それは無理だな」
一般宇宙人A「じゃあやっぱりこのままの生活でいいっすか」
一般宇宙人B「いつもに感謝を」
0295この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/06(金) 21:20:35.90ID:r7tYb/5C
>>279
使用するお題→『ホラー』『自家製野菜』

【留守番は怖いよ】(1/3)

冬休みに入ってまだ間もない日のことだった。
父と母が仕事の都合で急遽出かけることになり、カナミとケンスケは留守番することになったのだ。

「悪いけど今すぐ出かけなくちゃいけないの。明日の昼頃までには必ず帰ってくるから、それまで留守番お願いね」
「うん!私とケンスケに任せて!」
「頼もしいな!何か美味しいお土産買ってくるから楽しみにしろよ」
「気をつけてねー!」

2人の元気な返事を聞いて安心すると両親は車に乗り、家を後にした。

「お母さんとお父さんが一日いないからちょっと心配だね」
「何言ってるのよ、お姉ちゃんがいるじゃないの」
「そうだね!」

もしもの時は不安ではあるものの、こういう両親がいない時の留守番は妙にワクワクする。
空は曇り、雪がしんしんと降ってくる。

「寒いのは嫌だけど、こう雪が降るのを見てると心が落ち着くのよね。不思議な感じ」

するとピンポーン!とチャイムが鳴る音がする。モニターで確認すると、年配の女性が一人立っていた。

「あっ川村さんだ!」

川村さんはここから数キロ離れた土地で農業を営んでおり、月に一回ほど自家製野菜を近所に配って回っている。

「川村さん、こんにちは!いつもありがとう!」
「おやおや今日は2人でお留守番かい?」
「うん、ちょっぴり不安だけどお母さんとお父さんが帰ってくるまで頑張る!」
「元気と自信があっていいね。それじゃあまた来月ね」

トラックに乗って農場に戻る川村さんに向かってバイバイと手を振る。
お昼の時間になり、母が作り置きしていたカレーと一緒に川村さん家のトマトも食べる。

「このトマトが特に好き!」
「うんうん!すごくサッパリしているよね」
0296この名無しがすごい!
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2019/12/06(金) 21:22:12.94ID:r7tYb/5C
【留守番は怖いよ】(2/3)

お昼を済ませると、リビングのソファーに寝転がり昼寝をする。

「ご飯を食べた後の昼寝ってすっごく気持ち良い、ムニャムニャ…」

2時間後、カナミとケンスケはフワアッと大きな欠伸と共に目を覚ます。
外を見てみるとビックリ、雪が激しく吹き荒れていた。

「えー!こんなに雪降るなんて聞いてないよー!」
「これじゃあ外に出られないわね」
「あっお姉ちゃん、あれでも見ようよ!」
「あれ?ああ、あれね!」

つい最近、映画専門チャンネルで放送されたホラー映画を録画していたのだ。
既にDVDでレンタルも出ているのだが、「こんなの見たら夜眠れなくなるわよ」と借りさせてくれなかったのだ。
廃墟と化した学校に子供達が肝試し感覚で立ち入るが一人一人消えていくという、どこにでもあるような内容の映画だ。

「わっ、後ろからナイフ持った女が迫ってくるよ!危ない!」
「さ、刺されちゃった…なんか想像していたより怖いわね…」

始まって1時間ほどが過ぎた時、気がつくと隣でケンスケが体を毛布でくるみ、両手で目を覆っていた。

「もう見るのやめましょ!」
「さ、賛成…」

カナミはすぐに停止ボタンを押し、録画のデータを消去する。その時だった。
突然家の中の電気が全て消えてしまった。猛吹雪で電線が切れ、停電を起こしたのだ。

「て、停電!?もうウソでしょ…」
「そ、そんなあ」

真っ暗になった家の中。外も5時を過ぎて暗くなっているため、もう周りに何があるのか全く認識ができない。

「ケンスケ、私の手をしっかり掴んで!離れないで!」
「うん!」

持っているスマホのライトを頼りに、カナミとケンスケは家の中を注意深く歩く。
とりあえず懐中電灯やチョコの入った袋を手に取ると、階段を上がり、自分の部屋でじっと待機することにする。
停電で迂闊に動けば危ないし、とにかくエアコンやヒーターといった暖房器具が使えないため、身震いするほど寒い。

「今は絶対に離れ離れになっちゃダメ」
「う、うん…」

さっき見たホラー映画がよっぽど怖かったのか、ケンスケがブルブル震えているのがカナミは気配で感じ取れた。
0297この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/06(金) 21:23:10.35ID:r7tYb/5C
【留守番は怖いよ】(3/3)

「私がいるから大丈夫。よしよし」

カナミはケンスケの頭を優しく撫でる。ケンスケも少し落ち着いたのか、体の震えが止まる。
時間が経つに連れて吹雪はどんどん酷くなってくる。

「このまま家が雪で潰れたりしないよね?」
「縁起でもないこと言わないの。今はこう楽しいことを考えるのよ」

合間にチョコを食べながら空腹を凌いでいく。とうとうスマホの電池も切れてしまう。
カナミはとにかく弟を寒さから守ろうと、体を強くギュッと抱き締める。

・・・・・・・・・・・・

翌朝、雪はすっかり止んで太陽が顔を出し、眩しい光が差し込んでくる。
カナミはハッと目を覚まし、体を起こす。

「あ、あれ?もう朝?」

気付かないうちに眠りに落ちてしまっていたのだ。同時にケンスケも目を覚ます。

「おはよう、お姉ちゃん。ずっとそばにいて守ってくれて本当にありがとう。すっごく温かかったよ」
「エヘヘ、どういたしまして」

停電も無事に復旧し、エアコンの暖房をつけ、冷えきった体を温める。
昼になり、父と母が帰ってきた。

「ただいまー。昨夜、大雪で停電だったみたいだけど大丈夫だったか?」
「うん!お姉ちゃんがいてくれたから全然平気だったよ」
「一日留守番ご苦労様。ほら、お土産よ」
「わあ、ありがとう!」

お土産はイチゴのバウムクーヘンで、ホットココアをお供に楽しむカナミとケンスケなのであった。
0298三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/07(土) 00:24:37.72ID:/66RRGT3
>>295
雪国だw 楽しい留守番からタイトル通りの状況に
川村さんの『自家製野菜』を食べる、『ホラー』映画と停電で震える
ちょっとした非日常、怖さや安心感がとてもよく伝わってきます
0299この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/07(土) 01:15:25.29ID:Ynb8lz1y
>>295
式場のクラウンと言った所ですね
トラブルには機転
様々な人がいるからこそ、柔軟な対応が必要で、様々な人材が在るからこそ、柔軟な対応が出来る
お見事!
0300三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/07(土) 14:24:52.03ID:/66RRGT3
見覚えあると思ったけど、2スレ前のコピペかい
そんなの貼ってる暇があるなら、マジで小説の書き方でも勉強してきてくれればなぁ
感性で書けるとか、集中力が高いとかならともかく、普通はフリーハンドでは何も書けないでしょ


ところで次回のお題ですが、また企画なしでやろうかと
その次は一度企画ありで考えています
0301この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/07(土) 20:54:38.00ID:HV8ObyX5
>>298
感想ありがとうございます!
豪雨とか大雨の中の停電ってすごく恐ろしいものですよね
こういう身近に起こり得るトラブルを非日常として扱っていくのは書いてて楽しいです
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0302この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/07(土) 20:56:06.24ID:HV8ObyX5
すいません、ミス訂正です

×豪雨とか大雨の中の
○豪雨とか吹雪の中の
0304この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 10:10:56.71ID:rFFCYkmr
前に自分の書いた感想を勝手にコピペして貼っている住人がいましてね
それも参照とかではなく……
普通にマナーとしてもどうかと思いますが、何故この場面で唐突にそんな事をしているのかも意味不明なのです
0305この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 10:13:14.63ID:SdxF7TR0
スルー安定でしょ、荒らしに触るのも荒らしになっちゃうよ
特に進行役の酉つけてる時は粛々と進めりゃいいかと
0307この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 12:28:15.46ID:SdxF7TR0
>>279
お題:『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』『VR』

【吹雪の中で暖を取る、たった一つの冴えたやり方】(1/2)

「ねぇねぇあっちゃん。この『おやさい』どうするの?」
「どうするもこうするもあるか。食うんだよ。じゃねえと死ぬだろ、俺もお前も」

 山脈に吹く吹雪の音が、お互いの声を少しだけ聞き取りづらくしていた。
 洞窟の中は、寒さという点でも吹雪の轟音という点でも、少しはマシではある。だが、少しだ。完璧ではない。

 だから青年と幼い少女は身を寄せ合っていたし、持ちうる限りの防寒着も着込んでいた。とはいえそれでも体力は消耗する。だから、食べる。ごく当たり前のことだ。

 青年はしかし、少しだけ頭を悩ませる。大した調理器具もないからだ。
 食材についても、幸い量だけはあるものの到底まともなものとは言い難い。

「つってもそのままじゃあな。んー、火はあるし雪を溶かせば水も作れる。今回は茹でてみるか?」
「お塩が欲しいよねー。ママも家庭科の先生もいってたよ、料理はしおけが大切だ、って」
「贅沢言うな。身体があったまるだけマシだろ、まぁ善処はするけどよ」
「はぁーい」

 傍に置いたサイドバックを漁り、青年は携行用のガスカートリッジと点火器具を取り出す。それから入り口まで行って積もりたての清潔な新雪を選んで集め、コッヘルと呼ばれる小型の鍋に敷き詰めた。
0308この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 12:29:53.62ID:SdxF7TR0
(2/2)

「雪ってのは、実は体積のほとんどが空気なんだってよ。だから溶かすと水はあんまり残らねえ。押し固めて氷にすれば別だけど、そうすると今度は溶けづらくなるからな」
「なんぎだねぇー。ところで『たいせき』ってなに? あっちゃん」

 コイツ小学何年生なんだろう、つーか体積って何年生で習うんだっけ? と青年は少女を見ながら考える。だがまぁ、どうでもいいことだ。まずは食べなければ。

 と、ガスにようやく火がついた辺りで。
 ピコン、と青年の嵌めた腕時計のようなものに、反応があった。

「あー……きちまったか。連続だとどうすっかな。いや外で凍らせとけば、別に腐らねえか」 
「あっちゃん、行っちゃうの?」

 青年は腕の表示機を見つめながら、ぶつくさと呟く。その様子から察した少女が、少しだけ寂しそうに言った。

「しょうがねえだろ、向こうから来ちまったんだから。お前、料理したことあるんなら火の管理くらいはできるか? 火が消えたらガスが漏れる前に一回止めろよ、火傷すんなよ」
「できるよぉ! 家庭科のせいせきいいもん! 3だもん!」

 憤慨して『3』と三つ指を立てる少女に、それは三段階評価なのか五段階なのか、まさか十段階じゃないよな? とかどうでもいいことを青年は思う。
 何はともあれ、時間はない。サイドバックから必要な物を取り出し、青年は立ち上がる。

 自動小銃とレーダー表示機、心もとない防弾アーマーと手榴弾。それと他にいくつかの、人殺しのための道具。
 それらを身に着けて。青年は、人を殺すために洞窟の外へと向かう。

 VRゲームをモデルにした、この理不尽な殺し合いのゲームが始まってから一週間。
 成り行きで一緒になった幼い少女を守るということ以外のすべてを、青年は投げ捨てた。
 人間である、ということさえも。

 目の前に転がる、少し前まで生きた人間だった『おやさい』を、食べてこの地獄のゲームを生き延びるために。山脈のどこかにいる他の参加者を、青年は殺す。
 そんなことが平気でできるのは、人間のはずがないから。

「がんばってね、あっちゃん。あれ、あっちゃんは何なんだっけ?」
「言ってるだろ、俺は悪魔だ。人間を殺して食うんだからな」
「えへへ。だったら、わたしは可愛いこあくまだね! 悪魔のあっちゃん!」

 少女の賑やかな声に見送られ。
 青年は笑って、吹雪の中へと消えていった。


【吹雪の中で暖を取る、たった一つの冴えたやり方】 了
0311この名無しがすごい!
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2019/12/08(日) 12:49:51.02ID:TQmaY7BX
>>307
おやさいの正体は説明なしの方が好みだな
むしろ成長要素が読み取れなかったでござる
0312この名無しがすごい!
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2019/12/08(日) 13:47:31.07ID:SdxF7TR0
>>311
感想ありがと、お題の「悪魔のあっちゃん」ってフレーズから湧いた話なので説明はしたかった感じかも
『自家製野菜』って何だよ、青年は殺して食らって生き延びるようになった、少女は当たり前のようにそれを笑って受け入れるようになった
『成長』って何だよ、みたいなゾクゾクする感じでよろです
0314三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/08(日) 14:19:20.06ID:eO24CWV4
>>303>>306
そう299、前、、直前ねw
行動自体には意味がなくて、八つ当たりみたいなものだと勝手に解釈してる

>>307
殺伐としたスレに作品が!!
『山脈』で『おやさい』、『VR』ではない『ホラー』的状況、悪魔的な『成長』
『おにく』ではなく『おやさい』という変化球、他は真面目に消化ですね
生き残った先には何があるのか・・・
0315この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 15:55:39.44ID:eO24CWV4
>>246
>>94の続編、供養枠で失礼します

使用お題→『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』

【ダウンジャケット一代記】(1/3)

 侯爵領最大の都市、そこで一番大きな屋敷。

「えっと、今なんと?」
「ですから、私の息子の嫁として、侯爵家の一員となる気はありませんかと」

 それは言うまでもなく侯爵邸だ。
 ある日のこと。
 侯爵家の夜会に招待されて、のこのこ出掛けていった私。
 一人別室に呼ばれると、待っていたのは侯爵家の当主。肝心の息子は見当たらない。

「単刀直入に申し上げますが、あなたの商才が必要なのです。この辺境の地にあって、新たな事業を次々に立ち上げられ、そのいずれも成功させておられる。我が侯爵領の希望の星だ」
「はあ。過分なおほめにあずかりまして、恐縮です」
「なんの、ありのままの事実を申し上げたまで。今やその勢いは下手な貴族をも上回るほどです」

 ここで侯爵は一旦言葉を切る。侯爵家の財務状況が良くない、といううわさは聞いている。

「これほどの才媛を放っておく者もおらんでしょう。よそに取られる前に……ということです」

 実際、この手の打診は何度か受けている。これまでは下級貴族ばかりだったけど、とうとう大物が釣れた、というのが私の認識だ。
 もちろん即答などしない。金目当ての縁談。気乗りはしないが、相手が相手だけに、断ることもできない。

「何しろ急なことで……」

 これも本心だ。天下の侯爵家が、私みたいな成り上がりを相手にするなんて。
 言いくるめられては厄介だ。この日は早めに辞することにした。

 *

 翌日。私の事務所、営業本部。

「しゃちょー、この新作のデザインなんですけどー、って、そうじゃなかった」
「おはよう、どうしたの」
「おっとー、おはようです。あのですねー、荷物が届いてますよー、侯爵家から」
「早速来たか……。あ、これお土産ね。みんなで食べよう」

 私は転生者。ここは異世界。
 小さな商家に生をうけた私は、元いた世界との違いに戸惑いながらも、何一つ不自由なく育った。
 優しい両親とかわいい弟。親切な近所の人たち。恵まれた暮らし。文句のない生活。
 とは言え。

「あ、これイチゴケーキですねー。夜会のお土産ですよね。でも、こないだしゃちょーが作ってくれたのと、あんまり違わないよーな?」
「だからさ、みんなで食べるって言ったよね!? 似てるのは多分、渡したレシピが広まってるんでしょう」

 二つ。二つだ。この世界には問題があった。
 一つはモンスター。ファンタジー小説に登場するような危険生物が、人の住む町の近くに存在している。
 もう一つは……寒さ。私の生まれた町は緯度の高い地域にあり、元の世界では暖かい土地で暮らしていた私に取って、肉体的、精神的にきついものがあった。

「いいんですかー、それ。知的財産? ですよね」
「いいのよ、あれは自分たちで考えたものじゃないし」
0316この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 15:56:14.04ID:eO24CWV4
【ダウンジャケット一代記】(2/3)

 特に何か考えた、というわけではない。だけどある時、ふと思い付くことがあった。
 私の町の近くには山があって、その麓には小さな村があった。山には巨大な鳥のモンスターが生息していて、その鳥を狩るのが村の産業だった。
 村では加工品――食肉だったり、羽毛を使ったキルトだったり――を作り、それを町の商人が買い取って販売する。
 私の家でも、これらの製品を取り扱っていた。

「知識チート、ってやつですかー。荷物の中身はなんですー?」
「ブローチ。結構高いやつだわ、これ」
「へー、って、ひょっとして求婚ですかー!? いきなりドレスとか指輪とか送ってくる相手じゃなくて良かったですねー」

 私の思い付き。
 モンスターの羽毛でダウンジャケットを作ったら、いんじゃね?

「どう思う? 相手の爵位は魅力的だけど、お金は持ってなさそうなんだよね」
「そんなのー、ただの村娘のあたしに聞かないでくださいよー、って、忘れるところだった」
「新作のデザインね。当代切っての売れっ子デザイナー様が『ただの村娘』とは、よく言ったものね」

 村の住人と一緒に考えて作ったダウンジャケットは大当たり。
 稼いだ資金で他の商品も改良して、それも大当たり。
 関連分野にも手を広げて、事業は大きくなり。
 そんなこんなで地元から侯爵領の中心都市に進出し、今に至る。

 *

 本部からなかなか動けない私に代わり、地元の方は弟が見ている。
 彼はこちらにも頻繁に顔を出してくれる。

「姉貴はさ、そいつのことが好きなわけ?」
「いいえ全然。会ったこともないし」

 結婚の話になると、弟はいつも不機嫌になる。

「なんだそりゃ。それじゃ話になんねーわ」
「だよね。まずは会ってみないとねー」
「いや、だからさ、現代人の感覚じゃねーだろ、それ」

 実は弟も転生者だ。この異世界で二人。彼に取っての私は、単なる肉親以上の存在なのだろう。

「そう言われてもねー」
「村のやつらも姉貴に会いたがってるし、貧乏貴族に構ってる場合かよ。いつもみたいに断れよ」

 あのねぇ。お姉ちゃんが行き遅れたら、君が責任取ってくれるの?

 *

 侯爵邸の庭からは、教会の尖塔(せんとう)がよく見える。

「はあ。愛人、ですか」
「ええ。婚約した後にお伝えしたのでは、あなたを裏切ることになるでしょう?」

 侯爵家の息子くんは、父親がそのまま若返ったような人物だった。
 顔は悪くないし、物腰も洗練されている。

「父は私たちを別れさせたがっています。ですが私は彼女を愛しているのです。家の事情は分かります。だからと言って、はいそうですかと、愛した人を捨てられるわけがない」
「それで彼女は愛人、私は正妻ですか」
「あなたに取っても悪い話ではないはずです。家のことは自由にして頂いて構いません。父もあなたには強く出られないでしょう」

 雄弁で、情熱的で、世間知らずの夢想家。そんなところさえ好ましい。
 だけどねぇ。
0317この名無しがすごい!
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2019/12/08(日) 15:56:49.43ID:eO24CWV4
【ダウンジャケット一代記】(3/3)

 縁談は断った。

「そしたら関税が引き上げられたとー。しゃちょーの玉の輿(こし)がー」
「きたねーやつらだ。どうするんだ姉貴」
「他の税金も高くなりそうなんだよね。こうなることは分かってたけど」

 向こうも必死なのだろう。どうしてそんなにお金がないのか分からないけど。

「こうなっちゃうとねー、ここにいる意味がないんだよね。下手したら赤字だわ、これ」

 決断が必要だ。みんなの生活がかかってる。私が社長だ。

 *

 城壁の向こうに、教会の尖塔が見える。
 私たちは馬車の中。

「都落ちですねー。あーあ、短い夢だったなー、しゃちょーの結婚もー」
「そお? 『村娘』にしては上出来だったんじゃない?」

 戦略的撤退。敗走したように見えるかも知れない。だけど私はそう思わない。

「またそんなことー。ところでしゃちょー、それって暑くないんですかー。ちょっと季節を先取りし過ぎてるよーな?」

 私はダウンジャケットを着込んでいた。確かにちょっと暑いけど。

「これが私たちの商品だからね。成り金の逃走劇には打って付けじゃない」

 不自由な敵地から、自由への逃走だ。これからまた忙しくなる。仲間もお客さんも待ってる。
 がんばるぞー。

 …………まずはこれを脱ごうか。

 * * *

 領主の話が終わった。

「いやあ、何度聞いても、ご領主様の若かりし頃の話はいいですな」
「領主じゃない。せめて会長と呼べ、会長と」

 俺たちは結局、領主の館に泊めてもらえることになった。
 するとなぜか行列で一緒だった男が現れて、領主に昔話をせがんだ。

「領主殿は、失礼だが、その後ご結婚など」
「どうにもね、いい相手がいなくてね。転生者も変なやつが多かったし。行き遅れのままさ」
「左様で……ブローチはどうされたのか」
「返そうとしたんだけど、こちらで処分するように言われたよ。弟と、ほら、例の『村娘』を結婚させたんだが、その時にプレゼントしたさ」

 老婆は穏やかな表情で続けた。

「弟は去年亡くなった。今はその子供たちが跡を継いでるよ。みんなよくやってる。あたしは悠々自適の老後さね」
「何をおっしゃいますか、こんなに人使いの荒いお方が。まだまだお仕えしますよ、俺は」

 北国の夜が更ける。暖炉の火は赤々と燃え続けるのだった。
0321三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/08(日) 22:12:48.18ID:eO24CWV4
お題→『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』『VR』締切

【参加作品一覧】
>>284【夢は決してあなたを裏切らない】
>>295【留守番は怖いよ】
>>307【吹雪の中で暖を取る、たった一つの冴えたやり方】
0322三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/08(日) 22:14:25.10ID:eO24CWV4
んでは通常お題5つです

お題安価>>323-327
0324この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 22:15:56.56ID:CT0zQxVD
戦奴
0325この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 22:16:23.59ID:HbcF//ML
『空白の100年』
0326この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 22:18:02.31ID:j/bybD7+
サイダー
0329三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/08(日) 23:27:01.50ID:eO24CWV4
☆お題→『後悔』『戦奴』『空白の100年』『サイダー』『満月の夜』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→12/15の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0330この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 23:30:28.48ID:rFFCYkmr
早速供養します

>>279
お題:『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』『VR』

【VRから始まる異世界生活】(1/3)


 必死の形相で、緒方 拓篤は逃げていた。木の枝をくぐり抜け、根を飛び越える。
 背後から迫り来るのは異形の怪物。後ろをチラリと確認しながら、彼は(なんでこんな事に!!)と、舌打ちをした。

 その瞬間、足元が宙を蹴る。

「が、崖ええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 拓篤の身体は、空を舞ったのだった。

 ******

 「『最新VRゲーム機のモニターに選ばれました』? そんな物、応募してたっけ?」

 拓篤が首を傾げる。メッセージの書かれた手紙の入った段ボールの中を見れば、それらしいヘッドギア型の機械が入っていた。

「まあいっか、ゲームは好きだし、どっかで応募してたのかもしれないし……」

 廃人とまでは行かなくとも、拓篤も無類のゲーム好きである。それに、そう言った懸賞にはとりあえず応募するタイプでもあった。

 説明書を見ると、脳波と視線、それと音声でコントロールできるシステムであるらしく、本体であるヘッドギア以外では充電用のアダプタぐらいしか入っていない。
 どうやら、ソフトはダウンロードする方式であるらしい。

「じゃあ、早速……」

 ヘッドギアの電源を立ち上げ頭にかぶる。一瞬間を空けてロゴらしきものが映ると、画面が暗くなり……

 拓篤は原生林の中にいた。

「は? え? いきなり始まったのか?」

 選択画面も何も無かった。本当に“気が付いたら”と言う感じで、彼はそこにいたのだ。

「せめてチュートリアルとか欲しかったなぁ」

 恐らくβ版のゲームでも入っていたのだろうと思った拓篤は、とりあえず自身の状況を確認する事にした。
 格好は何故か部屋で自分が着ていた服装のままだった。

(普通、初期装備とかじゃないのか?)

 どうやって自分の服をテクスチャーに取り込んだのかは分からないが、しかし、世界観に合わせたTPOと言う物もあるだろう。
 ファンタジーの世界観で普段着だとしたら興醒めも良い所である。

「もしかして、現代物? だとしても何で原生林?」

 街中と言う訳でも無く唐突な原生林。アメリカのB級ホラーでもなかなか見ない唐突さであった。
0331三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/08(日) 23:31:28.12ID:eO24CWV4
またも(4つまでは)秒速で埋まってびっくりした・・・
クリスマスにはまだ早いw

お題、作品、感想など、いつもありがとうございます
さむーい季節、皆様体調にはお気を付けください
0332この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/08(日) 23:34:23.05ID:rFFCYkmr
【VRから始まる異世界生活】(2/3)


 しかし、VRゲームである事は確かなのだ。拓篤は操作方法が脳波と視線と音声である事を思い出し、とりあえず「ステータスオープン」と唱えてみた。

「おっ、ステータスウインドーは出るみたいだな、えっとどれどれ?」

 現実であれば、ステータスウインドーなどと言う物が出る事は無い。拓篤はこの原生林が確かにゲームの中だと確信した。

《名前:緒方 拓篤》
《職業:ゲーマー》
《筋力:2》
《耐久力:1》
《精神力:3》
《スキル:なし》
《装備:普段着》

「ふざけてんのかぁ!!」

 例え初期値だとしても低すぎると感じる数値だろう。
 その上、何のゲームかは分からないがステータスの種類が少な過ぎである。
 第一、職業のゲーマーとはなんなのだろうか?
 そんな事を考えていた拓篤だったが、しかし、すくに何かの影にさえぎられ、顔を上げた。

 見上げた先、そこに居たのは…………

『GruuuuGiiiiyawoooom!!!!』
「ぎぃやあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 まるでB級ホラーの異形の怪物だった。

 ******

 木の枝がクッションに成ったのだろう、拓篤はなんとか生きていた。
 だが、あちこちに打ち付けた為だろう。身体中が打ち身と擦り傷でズキズキと痛む。
 ここへ来て、流石の拓篤もおかしいと思い始めていた。

「ホントにこれ、VRゲームなのか?」

 そう呟く拓篤だったが、そのすぐに後、森が開ける。
 少し遠くに山脈が見え、その麓に木製の塀に囲われた幾つもの小屋と、それに付随する自家製野菜であろう畑。
 彼の記憶ではスイスの風景が近いだろうか?
 ようやっと目にした人里に拓篤は思わず駆け寄る。

 畑で作業していた老人が目に入った拓篤は、彼に声を掛けた。

「なぁ! ここは何処で、どうやったらゲームから出られるんだよ!?」

 キョトンとする老人に、彼は更に声を荒げる。

「おい! だから!! ゲームから出るにはどうしたら良いんだよ!!」
「!%’+;$|¥%”_*‘-:^」
「は?」
「!%’+;$|¥%”_*‘-:^」
「何言ってんのか分かんねぇよ!!」

 思わず怒鳴った拓篤だったが、次の瞬間、頭に衝撃を受け意識が暗転した。
0333この名無しがすごい!
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2019/12/08(日) 23:36:40.87ID:rFFCYkmr
【VRから始まる異世界生活】(3/3)


 ******

 ザックザックと畑を耕す。細身だが無駄な贅肉の無い身体は、野生動物の様にしなやかな筋肉が付いて居る。

「タクマ〜!!」
「あー、アルテナ!!」

 バスケットを持った少女に手を振るのは、逞しく成長した拓篤だった。畑からでた彼は少女からバスケットを受け取ると、木陰に腰を下ろす。

 頭を上げれば、太陽が中天をさして居た。

 バスケットの中から、薄いワインと黒パン、そして薄切りのハムを出すと、それに口を付ける。隣では少女も同じ様にばうけっとからパンをだして齧っていた。

 1年……拓篤がこの村に来てからそれだけの時間が経過している。一年前、彼を昏倒させた犯人は、実はアルテナと呼ばれたこの少女であった。
 彼女は、祖父の畑で怒鳴り散らしてる拓篤を見て、祖父が殺されてしまうのではないかと恐怖し、彼の頭を棍棒で打ち据えたのである。
 しかし、祖父にたしなめられ、拓篤がただの異国の遭難者だと分かると、自分の仕出かした事がどう言う事なのか理解し、一転、彼を気遣う様に成ったのだ。

 この一年で、拓篤はこちらの言葉を覚え、彼を助けてくれた老人。カーペンターさんへの恩返しも兼ねて彼の仕事を手伝っている。
 すでに拓篤は、この世界がVRゲームの世界では無い事を理解していた。
 確かにステータスが見えたり、その数値が行動する事で増えたりすると言う不思議状態ではある。

 だが、アルテナやカーペンターと言った人達は決して作り物には見えない。
 確かに生きている存在なのだと感じられる。

 この一年、様々な事を調べてみたが、未だに帰る方法は分からなかった。そもそも、自分がなぜこんな事に成ったのか? おそらくはあのVRゲーム機が原因だろう事は分かって居ても、それに触れる事が出来ない時点でどうしようもないだろう。

 ただ、ステータスウィンドーだけが、この世界と現実とを繋いでいる様に思えるのだが、しかし、どれ程調べても『ログオフ』や『ゲーム終了』の様な単語は見当たらなかったのだ。

「タクマ? 何考えているの?」
「え? あ、いや……」

 ぼうっとしていた拓篤はアルテナに覗き込まれ、あたふたと立ち上がる。そして、再び畑を耕し始めたのだった。

 アルテナは、その少年の背を見つめていた。この変わった風貌の少年が来たのは、一年ほど前である。最初こそ、勘違いをして彼に危害を加えてしまったが、しかし、彼女の祖父であるカーペンターが、おそらく異郷の人物で山で遭難したのだろうと教えてくれた。
 こんな言葉も通じない異国で、たった一人になってしまった彼はどれ程心細いだろう。そう思うと、罪悪感が彼女の心を絞めつけた。
 この一年で、彼は言葉を覚え、祖父の代わりに畑仕事をしてくれるようになって居た。最初こそ少しばかり怖かったのだが、しかし、日々一緒に生活していく内に、彼が優しく、理知的な人物だと理解できる様に成って行った。

 時折彼が、どこか遠い目をしている事をアルテナは知っている。だが、彼女は願う様に呟いた。

「何時までもこんな日が続けば良いのに」
0334三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/09(月) 00:06:55.01ID:0DZ1zcNR
まーたやっちゃったーすまぬー

>>330
そしてまた力作が来てしまった・・・
『VR』ではない、職業:ゲーマーktkr、『ホラー』的怪物、『山脈』に『自家製野菜』、『成長』した一年後w
完全に導入部ですなこれはアルプスの少年的な
まさかの一年後、ちょっと切ない幕切れですが、もちろん運命はゲーマーを放っておかないのだった・・・
0336この名無しがすごい!
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2019/12/09(月) 00:53:17.38ID:A9j90ocw
>>329
【無題】(1/2)

 それは誰も知らない、サイダーの歴史に存在する空白の100年――



「これが上手くいけば……上手くいけば……」

 マルスは後悔していた。奴隷にまで転げ落ちた自分の行いに。
 戦奴として戦うことになってひと月。マルスは早くも限界を感じていた。

「オレは元の地位に……返り咲くんだ……返り咲くんだ……なんとしても……!」

 容赦なく自分に向けられる殺意。容易に命を絶ってしまう、鍛え抜かれた剣や槍。
 それらから身をかわし、逆に相手の息の根を止める。もう限界だ。

「サイの実をすり潰して……イダーの花から抽出した蜜を混ぜ合わせる……」

 だから、それをこの満月の夜に終わらせる。

 マルスは料理人だった。それも、王族へと料理を提供するような、最高位の格をもつ料理人だった。

 思い出すたびに、マルスは後悔していた。ある日、麻薬とか入れてたら食べながら気持ちよくなって最高じゃね? なんて閃いてつい王への料理で実行してしまったことを。

「狭量な王で……やったのが間違いだった……! クソ王め! この素晴らしさがわからんとは……!」

 まずは何も考えてない下っ端共に振る舞って周知させていくべきだった。おかげでこんなクソッタレな目にあっている。

 だが、それもようやく終わる。

「……よし! あとはこの液体に満月の光で祝福をかければ……!」

 とうとう完成したのだ。料理人としての研鑚の果て。一口飲めば、たちまち虜となってしまう、禁断の液体が。

 ――――――――

「兵士長様!」

 戦奴も寝泊まりする闘技場。月に一度、満月の夜に行われる宴会で、マルスはそれを持ってきた。

「今日は新作をお持ちしました! 乾杯にふさわしい至高の味に仕上がっております。サイダーと名付けました!」

 この宴会に限って、戦奴も参加できる。見張り付きで怪しい動きを見せれば即処刑とはいえ、好きに騒げて旨いものを食らうことができる祭日だ。
 なので、兵士長はマルスの言葉に笑顔すら浮かべて返事をした。

「うむ。貴様の料理はいつもうまいからな。期待してるぞ」

 マルスの料理はみんな大好き。戦奴となってからも材料指定で料理を振る舞うことは許されていたので、警戒はされない。
 それ単体では雑草でしかないサイの実とイダーの花をしこしこと集めていたことなど、露とも知らずに。
0337この名無しがすごい!
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2019/12/09(月) 00:53:51.11ID:A9j90ocw
>>329
【無題】(2/2)

「さあさあ、考え抜いた私の自慢の逸品です! 皆様どうぞ一息でお飲みください!」

 配り終え、乾杯の挨拶が終わったあと、マルスはすかさず叫んだ。
 それを受け、兵士、受付嬢、掃除夫、一部の観客、戦奴、その場にいた全員がサイダーの入ったグラスをあおった。

「ヒャッハー! 祭りだぜーッ! うめえうめえ!」

「ふわふわするわ! 気持ちいいわ気持ちいいわ!」

「なんてうめぇ飲み物だ!!」

「うふふ……楽しい楽しい!」

…………
……

 兵士から奴隷まで、瞬く間に闘技場は壊滅した。
 国は犯人を即行でマルスと断定、翌朝には捕まえて処刑した。

 こうしてサイダーと名付けられた至高の飲み物は誕生後すぐに歴史から消えることとなる。

 しかし飲んだ者の多くはその味を忘れられず、研究に研究を重ね。
 危険な薬効のみを消すことに成功し、純粋に美味しさだけが備わったサイダーが生みだされたのは、それから100年後のことだった。



「後悔してる。ずっと後悔してる」

「マルスおじさん。また愚痴ってるよ」

 台所にいるオッサンを見ながら、女の子はうんざりした。

「満月の光が強すぎたんだ。あそこまで暴徒と化すとは思わなかったんだ。クソ、上手くいくはずだったのに」

「お酒を飲んだらいつもこの話をするよね、おじさん」

 同じような背丈で、同じような顔をした男の子が言う。

「作り話にしても適当すぎるよね。っていうか、本当だったらマルスおじさん何万年生きてるのって話だよ」

「あ、ボク聞いたことあるよ。おじさんなんでそんな長生きしてるのって」

 男の子が自慢話でもするように身を乗り出して笑った。

「自分用の特製サイダーを飲んだら不老不死になったんだって」

「サイダーすげー」

 おしまい。
0338この名無しがすごい!
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2019/12/09(月) 00:58:22.07ID:A9j90ocw
麻薬ってR18?だったらごめんなさい

4、5スレぶりくらいにお題即興書いたー
というか久しぶりに小説書いたー
リハビリがてらに使わせてもらいました

山無し谷無しオチ弱ですが賑やかしにでもなれば幸いですです
三人称ってはじめて書いたけど難しいですね
0339この名無しがすごい!
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2019/12/09(月) 01:21:12.34ID:63UOA8tv
戦奴ってまだ造語のニュアンスが強いみたいだな
かしこまったとこなら安易に使わずに奴隷兵士とか表記したほうがいいかもね
0340三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/09(月) 19:29:47.83ID:0DZ1zcNR
>>336
復帰は助かりますー、今回一番乗り
競馬実況さんが不在なので、、『サイダー空白の100年』、『後悔』する『戦奴』の男、『満月の夜』に・・・
なんだこれwwサイダーってなんだっけw
楽しいお題スレ全消化小話でしたw
0342この名無しがすごい!
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2019/12/09(月) 22:12:21.75ID:A13URPcJ
やっぱりR18になっちゃうのか…失礼しました

>>340
深夜テンションから覚めて冷静に考えると、これサイダーって名前にしてるだけで完全に別の飲み物だなあ苦しいお題消化だなあってw
レスありがとうございます。また顔出せるようがんばります
次はもうちょっとまともなものを!


少し目を離していた間に実況感想さんが休業してて驚き
何回か感想もらったことありましたありがとうございました
これまでものすごい作業量でしたしゆっくり休業してください
0343三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/10(火) 00:09:28.57ID:O7E3R1ee
ああ、R18はなろう準拠のつもりですので、過度のエログロでなければいいです

実況さん、、実際あれを読みに来てる部分が大きかったので、いないと正直やりにくいですw
でも本当に大変な作業量でしたね・・・
0344この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:12:10.27ID:+gWMLVmr
ドはドーナツのド
0345この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:12:42.06ID:+gWMLVmr
レはレンコンのレ
0346この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:13:35.12ID:+gWMLVmr
ミはみそ汁のミ
0347この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:14:05.09ID:+gWMLVmr
ファはファミチキ
0348この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:14:41.24ID:+gWMLVmr
ソはクソッタレ
0349この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:15:09.85ID:+gWMLVmr
ラは特にない
0350この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/10(火) 03:15:41.81ID:+gWMLVmr
シは幸せの…
幸せって…なんだろうね…
それを見つける為にぼくらは生きているんだ
0353この名無しがすごい!
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2019/12/11(水) 19:40:54.15ID:cJNkG44I
>>329
使用するお題→『後悔』『サイダー』『満月の夜』
※前スレ>>277【小さくなった魔法少女の冒険】を先に読んでおくことをオススメします

【恐怖の炭酸怪人】(1/3)

私は魔法少女。
どこにでもいるごく普通の高校生なんだけど、ある日突然現れた謎の妖精から魔法少女になれるペンダントを託されて、
それ以来魔法少女に変身して、町に現れる邪悪なモンスターを倒して平和を守っている。
あ、肝心な名前を言うのを忘れてたわね。私の名前は佐久間ナツミ。
最初は魔法少女になって世界の平和を守る使命を受けた時は、なんで私が?とは思ったけど
今では凄くやり甲斐を感じるようになったわ。
今日までもう100体以上は倒してきたけど、その中で特に強かったモンスターの話を聞かせてあげる。

・・・・・・・・・・・

ある夏の日。期末テストが終わり、夏休みが近づいてきていた。

「化学のテスト、心配だなあ…。もし赤点で追試だったらどうしよう」

テストの点数のことで頭を悩ませながら、ナツミは家路についていた。

「それにしても暑いなあ、さっきポカリ飲んだばかりなのにまた喉が渇いてきちゃった」

自販機を見つけた彼女はお金を入れ、サイダーを買う。

「暑い夏にはやっぱりサイダーよね!」

蓋を開けると、一気にゴクゴクと飲み干す。爽やかな炭酸が喉に潤いと刺激を与えた。
空になった缶をゴミ箱に捨てようとしたが、ゴミ箱がどこにも見当たらない。

「あれ?ゴミ箱がない。普通、自販機の近くにゴミ箱ってちゃんと置いてあるはずなのに」

仕方なく別の自販機の置いてある場所まで歩くが、そこにもゴミ箱は置いてなかった。

「もう仕方がないわね…」

ナツミは空き缶をそのまま近くの川にポイ捨てしてしまった。
そんな彼女の行動を誰かが物陰からニヤニヤと眺めていた。
0354この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/11(水) 19:41:40.03ID:cJNkG44I
【恐怖の炭酸怪人】(2/3)

その夜は満月だった。オオカミ男がワオーン!と吠えながら変身しそうなほどの満月の夜だ。
そんな満月から突然、奇妙な緑色の光線が放たれ、ナツミが川にポイ捨てしたサイダーの空き缶を包み込む。
その空き缶はどんどん巨大化し、腕や足が生え、鋭い赤い目も現れた。
なんとか赤点を免れ、無事に夏休みに入り、ナツミはクーラーの効いた涼しい部屋の中で漫画を読んでいた。
すると外の方からキャー!ギャー!と悲鳴が聞こえてくるのに気付いた。

「モンスターが現れたのね!」

急いで家を飛び出し、近くの町まで走ると巨大なサイダー缶のモンスターが暴れまわっていた。
すぐにナツミはペンダントに手を当てる。ペンダントから放たれる赤い光に包まれ、彼女は魔法少女に変身する。

「あっ、魔法少女が現れたぞ!」
「彼女がいればもう安心ね!」
「みんな、急いで安全な場所に避難して!」

モンスターは細く長い指から、勢いよくサイダーを発射する。そのサイダーの水圧は非常に強烈で、高層ビルをいとも簡単に破壊してしまった。
ナツミは一瞬の隙を突いて強力なキックを食らわせるが、少し凹んだだけでほとんどダメージが入らなかった。

「い、意外と固いのね!缶のくせに!」

するとそのモンスターを操っているであろう、ドラキュラ伯爵のような男が姿を現す。

「あなた、今自分が戦っているモンスターが何か分からないわけではないザマスね?」
「ど、どういうこと!?」
「このモンスターの正体は以前あなたがポイ捨てした空き缶なのザマスよ!」

男の言葉にナツミはハッと思い出す。そう、以前ゴミ箱が見つからないといって川にポイ捨てしたあのサイダーの空き缶だ。

「わ、私のせいでこんなモンスターが誕生した、ってこと…!?」
「今更後悔しても遅いザマスよ!」

モンスターはナツミの足を掴むと勢いよく地面に叩きつけた。そして動けなくなった彼女に向かって、サイダー光線を放つ。

「(私のせいで町のみんなが危険に晒されてる…私、魔法少女失格ね…)」
「そう自分を責めるんじゃない!」

聞き覚えのある声がどこからか耳に入ってきた。
0355この名無しがすごい!
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2019/12/11(水) 19:43:02.98ID:cJNkG44I
【恐怖の炭酸怪人】(3/3)

「だ、誰!?」
「私ですよ、私」

その声の主はそう、ナツミに魔法少女に変身できるペンダントを渡したあの謎の妖精だった。

「な、何故ここに?」
「ナツミよ、そう自分を責めてはいけません。確かにポイ捨ては悪いことだが、今はそんな事を悔やんでいては何も始まらない」
「で、でも…」
「今はモンスターを倒すことに専念するのです!あなたはもっと自信に満ち溢れた立派な魔法少女のはずですよ!」

その励ましの言葉と共に、妖精は姿を消してしまった。
サイダー光線で変身が解けそうなくらいのダメージを負い、今にもダウンしそうになる。
しかしナツミは立ち上がる。

「あ、あれだけの攻撃を食らって立ち上がるとは!?」
「わ、私がやらなきゃ誰がやるってのよ!」

すると近くで避難していた女の子がナツミに向かって、ある物を投げてきた。
ナツミが受け取るとそれは小さなオレンジジュースの缶だった。

「魔法少女さん!それを飲んで回復して!」
「ありがとう!」

ナツミは蓋を開けてジュースを一気に飲み干す。体力が一気に回復した。

「どこからでもかかってきなさい!」

モンスターがナツミを捕らえようと腕を伸ばすも逆に掴まれ引っ張られ、ブチっと千切られてしまう。
サイダー光線を放つことができなくなり動揺するモンスターに向かって、また勢いよく強烈なキックを食らわせる。
モンスターはバラバラに破壊される。伯爵もその残骸に巻き込まれ、そのまま姿を消滅してしまった。

「な、なんでこんなことになるザマスかーーーッ!!」

町にまた平和が訪れ、住人達は歓喜に満ち溢れる。
その後、ナツミは変身を解いて家に帰ると、自分の間違った行動が原因でモンスターが生まれてしまったことを反省するのだった。
これからは普段の行いにももっと注意しよう。そう決意し、また世界の平和を守るために戦うのであった。
0356三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/12(木) 00:35:43.26ID:L+pzleYI
>>353
どう来るかと思いきやw
『サイダー』の缶をポイ捨て、『満月の夜』のモンスター、主人公の『後悔』・・・
ちゃんと魔法少女してるw、そして敵の伯爵がウザいww
これまた独特の面白さでしたw
0357この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/12(木) 08:09:58.88ID:aHqea/B4
>>356
レイチェルシリーズの者です。感想ありがとうございます!
前スレで初めて書いた時、あっこれ続編作ったら結構面白いかもと思い書いてみました
こちらもシリーズ化して続けていこうと考えています
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0358三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/14(土) 16:24:19.55ID:fSf/Q0a9
ところで次回のお題ですが、一度ジャンル指定をやっておこうかと思うザマス
0360この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/14(土) 23:13:27.40ID:LKrAP/UA
ザマスはございますの訛りで、明治時代に成立した山の手言葉の一種
麹町や番町を含む山の手と呼ばれる地区の夫人の言葉を冷笑的に「ざあます言葉」と呼んだらしい
江戸時代の吉原でも遊女が使っていた
ソースはウィキペディア100%
0361この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 10:01:08.51ID:IxdutwMV
何巻目か忘れたけど「日本人の知らない日本語」でもそのエピソードが書かれてたな
0363この名無しがすごい!
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2019/12/15(日) 19:34:01.84ID:yhtihrgt
>>329
前スレ959の続きですにゃー

使用お題→『後悔』『戦奴』『空白の100年』『サイダー』『満月の夜』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第三話】(1/2)

 監獄惑星から脱出した俺は、とある未開の星へと降り立った。
 そこでは現地人たち――ネコミミ族とイヌミミ族――の争いが続いており、俺は、ネコミミ族の協力者として、その争いに身を投じることとなった。

「がああああっ! わん! わん! わんわん!」

 犬耳のおっさんが拳銃を取り出した。猫耳のおっさんたち目掛けて繰り返し発砲するが、一発も当たる様子がない。
 猫耳のおっさんたちは意外と素早く……いや、軽く人間離れしたアクションで銃弾を回避しまくっていた。

「何が『にゃーたちは弱いのですにゃー』だ。あんなの聞いてないぞ」
「そうですかにゃー。でも逃げてばかりでは勝てないのですにゃー」

 とは言え、拳銃は弾切れになったようだ。すると犬耳のおっさんは、今度は一機だけ用意されていたロボットに乗り込んだ。

「これを食らうわん!」

 ロボットの背中には大砲が装備されていたのだが、その砲身が前へと向けられた。
 そして脚部などからワイヤーが射出され、ロボットを地面に固定する。
 更にはロボット本体から砲身の側面、その先端まで光のラインが表示され、それが脈動を始める。

「これはなんですかにゃー」
「帝国の新兵器ですかにゃー」
「危ないから離れた方がいいですにゃー」

 そう言いつつ、猫耳のおっさんたちは逃げる様子がない。

「おい、『あれは量産型』じゃなかったのか」
「あんなのは初めて見ますのにゃー」

 聞いてないぞ。どう見ても、威力の高い攻撃を放つ前振りだ。

「わん! 猫ども! このイヌダーキャノンで、森ごと消し炭にしてやるわん!」

 そして数分が経過した。

「今日も曇りですからにゃー」
「あれも太陽光か……」

 やがてチャージが完了したのか、砲身のラインが点灯状態になった。

「まずいぞ。発射をやめさせるか、射線をそらさないと」
「よーし、一丁やってやりますかにゃー」

 俺とニャンダモは森の中から飛び出した。だが……ニャンダモの動きが遅い!
 太陽光で動くニャンダモは、曇天では性能を発揮できないのだ。
 落とし穴を掘る分には問題なかったが、今の状況では役立たずもいいところだ。

「わっはっはっはっはーだわん! さらば猫どもだわん!」
「おらあっ!」

 俺はロボットの足元へ駆け寄り、パワードスーツの力に任せて、ワイヤーを引っ張った。
 するとロボットはバランスを崩し、大砲の砲身が上を向く形となった。

「ななななっ、何をするわん!」
0364この名無しがすごい!
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2019/12/15(日) 19:34:53.23ID:yhtihrgt
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第三話】(2/2)

 イヌダーキャノンが発射された。
 その威力のほどは正直よく分からなかったが、反動で、ロボットの背中が地面に打ち付けられた。
 犬耳のおっさんたちは、ロボットや工事車両から脱出すると、ほうほうの体で逃げていった。

「くっ、こっ、後悔させてやるわん!」
「後悔してるのはそちらですにゃー」

 *

 その夜は満月だった。

「月が出てますにゃー」
「サテライト授業のガイド映像が見えますにゃー」
「元ネタから離れ過ぎて意味が分からないですにゃー」

 俺たちは勝利を祝う宴会を開いていた。

「このサイダーの水は、村の近くの炭酸泉で採取しますのにゃー」
「にゃーたちに取っては、命の水ですにゃー」
「アルコール度数ゼロパーセントですにゃー」
「乾杯ですにゃー」
「にゃー」
「完敗したのは帝国のやつらですにゃー」

 宴会と言っても、村人全員が広場に集まっての食事会だ。その一方で、中には踊り出す者もいた。

「サン、サン、サン、サン、サンライズですにゃー」
「それはもういいんじゃないか。夜だぞ」
「いい夜ですにゃー。ニャンダモ決起の夜がしのばれますにゃー」

 古代ネコミミ族の戦士、ニャンダモ。その名を与えられたロボットは、広場の片隅にたたずんでいる。

「これは……例のあれをやりますかにゃー」
「あれですかにゃー」
「なんでしたかにゃー」
「ネコミミ族空白の百年に終止符を打った、戦奴ニャンダモの伝説ですにゃー」

 前回よりも多くのおっさんたちが、今回は落ち着いた様子で整列した。
 仮面を装着し、身なりを整え、始まったのは歴史劇だった。

「アーバイト、マハト、ゲルト! 猫ども、働くわん! ですにゃー」
「嫌ですにゃー。絶対に働かないのですにゃー」
「働いたら負けですにゃー」
「ニー党ですにゃー」
「違いますにゃー。ただの無職ですにゃー」

 イヌミミ族に搾取されるネコミミ族……なのか? そこに登場するニャンダモ。

「あなたは無職ですかにゃー?」
「にゃーは無職ではないですにゃー。さっき脱獄してきましたのにゃー。にゃーの名前はニャンダモですにゃー」

 村長かよ。ニャンダモ役は村長だった。ちなみに、ニャンダモのパイロットの女は、素人の芝居には目もくれず、食事に集中している様子だった。

「ネコミミ族の同志たちよ、資本家の言い成りになってはいけないのですにゃー」

 俺はまたしても不安になった。
 そもそも、ネコミミ族とは一体何者なのか。
 俺の疑問に答えはなく、劇は夜遅くまで続いたのだった。
0365三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 19:37:32.46ID:yhtihrgt
お題をとりあえず消化して安心した話

続きは・・・あります・・・多分・・・
0366三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 22:13:36.15ID:yhtihrgt
お題→『後悔』『戦奴』『空白の100年』『サイダー』『満月の夜』締切

【参加作品一覧】
>>336【無題】
>>353【恐怖の炭酸怪人】
>>363【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第三話】
0367三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 22:15:02.95ID:yhtihrgt
では今回はジャンル指定です
前スレと同じく、ジャンルはなろう準拠ではなく、進行が独自に調整したものです
0368三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 22:16:18.89ID:yhtihrgt
ジャンルは次の中から1つ選択→
『恋愛』『ファンタジー』『歴史』『推理』『ホラー』『コメディー』『SF』『童話』
『冒険』『幻想』『日常』『人生』『家族』『戦争』『動物』『スポーツ』

お題安価>>369-372
ジャンル安価>>373
0370この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 22:18:39.95ID:gDy96S60
世界征服
0371この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 22:21:09.32ID:IpoaIcMa
アイスクリーム
0373この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 23:00:47.59ID:PXOHHmut
コメディー
0374この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 23:02:10.45ID:PXOHHmut
ぬおおおおおおおお! 間に合ったけど間に合わなかったーーーーー!! そのうち供養します!
0375三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 23:03:01.30ID:yhtihrgt
☆お題→ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』『キーホルダー』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→12/22の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0376三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/15(日) 23:04:40.40ID:yhtihrgt
書きやすそうな書きにくそうなw
今回もよろしくです
供養もよろしくですー
0377この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 23:07:25.65ID:PXOHHmut
使用するお題→『後悔』『戦奴』『空白の100年』『サイダー』『満月の夜』

【奴隷なんてとんでもない全ては俺の捏造です】(1/3)


後に空白の100年と呼ばれる戦争があった、

世界規模の戦争、後に第一次世界大戦と呼ばれる大戦よりも遥か昔に、先史文明によって引き起こされたそれを考古学者達は日夜研究していた、

◇◆◇◆◇◆◇

ただでさえ語られぬ古代の戦争において、取り分け記述の少ない言わば歴史のアウトサイダー、後の世でそんな存在として扱われるとは思いもしない彼等には、“ある”特徴があった、

「よう、元気か」

「………………」

彼等は等しくその首に、真っ黒な首輪を付けているのだ。

◇◆◇◆◇◆◇

最前線に向かう船団が錨をおろす補給基地、かつては其処にも一つの国が在り、素朴に暮らす民達が人のように生きていた、“自分の故郷と同じように”、満月の夜空を見上げた戦奴の少女は、そんな感傷を胸に抱きながら船番をしていた、

そしてそんな彼女に元気かと尋ねた男もまた、戦奴として運ばれてきたこの船の積み荷の一つである。

「…………黙るなよ、どうせ長くねえんだ楽しもうぜ人生ってヤツをよ」

少女の歳は数えで15、男の歳は数えで29、ちょうど男は少女の倍の人生を生きている、彼が少女を気に掛けてしまうのは、今は離れ離れになってしまった家族と、彼女を重ねてしまったからだ、所詮は家族の代わり、今頃故郷でしてたはずの事の矛先を手頃な物に向けただけだ、

それは男も自覚していて、少女は数分前に明け透けと自分を語る男にそれを聞かされた、しかし少女は何も語らない、語ったところで何か意味があるわけでもないと口を開く気になれないのも理由の一つだが、

それ以前に少女の喉はとっくの昔に潰れていて、枯れた音を漏らすしか能のない存在になり果てていた、奴隷身分に相応しいボロ布の隙間から覗く惨たらしい残痕に男が気付かない筈もなく、応じられる事もないと分かっていながら、男は少女に話し掛け続けるのだ、

残り短い人生から孤独を追いやるために、それが少女のためなのか自分のためなのか………………

それは男自身にも分からない事だった。
0378この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/15(日) 23:09:49.04ID:PXOHHmut
【奴隷なんてとんでもない全ては俺の捏造です】(2/3)

降り注ぐ弓矢、軍港全体で氾濫する鬨の声に合わせて枯れた喉を締め上げる少女、逃げれば殺され、戦っても殺される、戦奴の命など戦場に立った時点であってないような物だ、彼女と彼女の隣に立つ戦奴の男に残された道は二つ、

黄泉への旅路か………………修羅の道、

奴隷産地を巡る正義無き争いに奴隷が駆り出される、苦しみながら苦しみを増やす、勝っても負けても奴隷達は依然支配されたまま…………

何の得もなしに命を懸けて、馬鹿みたいに言いなりになる、それは修羅というよりは畜生に近いのかもしれない、あるいはその両方の道を同時に歩むような苦しみと屈辱が彼女の生を貶めるだろう、

それでも、

それでも“生きたい”、喉の奥の更に奥から轟くような雄叫びを上げる少女の横顔がそう言っているように戦奴の男には見えていた。

盾を構え、ナマクラの剣を血で濡らす、いつの間にか同時に突撃させられていた仲間達は倒れ、戦奴達の背後に隠れて弩をやり過ごした本隊が敵軍基地へ雪崩れ込んでゆく、

趨勢は決した、圧倒的な勝ち戦、しかし、戦奴に褒美を取らせる者など居ない、敵を斬り殺したからといって、それをなすのに使った凶器に褒美など与えはしないのと同じだ、

ただ、そんな彼等彼女等にも得られる物はある、それを得るためになら自分達を奴隷にした忌まわしい戦士達の言いなりになったって後悔しない、

それは…………

「生き………………てる……」

「ああ、生き残ったな………………とりあえず」

ただ、自分の体が物を見て、動いて、

“息をしていること”

ただそれだけの為に彼等彼女等は戦い続ける、少女も男もこうして生きてて、名前も持ってる、だが少女も男も表舞台に立つ役名を戦奴と定められてしまったのだ、今後何があろうとその名が戦奴から人に変わる事はない、
0379この名無しがすごい!
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2019/12/15(日) 23:11:32.03ID:PXOHHmut
【奴隷なんてとんでもない全ては俺の捏造です】(3/3)

そうして、軍港に押し寄せた軍勢は謎の集団に殲滅され、戦奴二人は歴史に綴られる機会を永遠に失った、以降戦奴という役名が歴史に綴られる事は二度と無かった」

宇宙暦091年、開拓の手は太陽系から外へと伸び、膨張し続ける人口が地球から溢れるまで秒読みと噂される昨今、この星で私のような変わり者は中々いない、アナザーアースと呼ばれるテラフォーミングの必要のない都合の良い新天地、

そんな夢一杯のこの星でとっくの昔に滅んだらしい現地文明の研究なんて金にならない事に注ぐ旨みは殆ど無い、

私自身、この研究は趣味の一環でしかない、このままでは開発と共に消え去るだろう痕跡を忙しくなくかき集める日々は楽しいことこの上ないが、儲からないのは私自身痛感しているところだ、

突如として戦争の舞台から消えた戦奴達、そんな彼等に紛れて暗躍したという黒い首輪の集団“オリンポス”

その名を知らぬ歴史学者は居ない、歴史と神話は似て非なるどころか全くの別物だが、知の探求者たる学者様がオリュンポスの神々を知らない筈がない、

私だって知っている、その神々が実在したと言うつもりなど無い、だが言語形態の違う異星の遺物から故郷の神々の名が出てくる事に遠く離れたこの地と地球に繋がりを感じずにはいられない、

失われるには惜しい謎だ、明かさぬ手はないと学者魂が叫ぶ、

老後の趣味に良いものが見つかったと小躍りしたい気分である、妻に先立たれてから暇で暇で仕方がなかったのだ、息子には財産は残せないと先に謝っておいた、後一人暮らし時代ぶりの懐かしき自由を謳歌すれば良いのだ。





なんて事を考えていた私が戦奴の男と戦奴の少女の出会いを知るのは、病に伏せり孫に研究を引き継がせた後の事だった、

男の名は“ゼウス”

少女の名は“アテネ”

後に義理の親子となる二人の“神”の名だ。
0380三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/16(月) 00:32:29.70ID:dXc15PXQ
>>377
なるほど書き上がってたわけですねw
戦争『空白の100年』、、アウト『サイダー』w、、『後悔』もなし
えっなんか真面目に『戦奴』の話だし壮大な世界観がすごい
意味深なタイトルも想像をかきたてます
0381この名無しがすごい!
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2019/12/16(月) 01:34:36.78ID:RANsl0TN
>>380
感想ありがとうございます、いやあ戦奴の話なんてマジメに書いてると苦しくて仕方ないですね中々の難産でした、次こそは間に合わせようと誓いつつ

コメディーなんてやたらハードルの高いジャンルを選んだ数時間前の自分をぶん殴ってやりたい気分です。。。間に合うかな俺
0382この名無しがすごい!
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2019/12/16(月) 16:53:20.07ID:ah3pdHFk
>>375
使用するお題→ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』

【脅威の冷気!アイスクリームガール!】(1/3)

夏休みの真っ只中、ナツミは白いワンピースにつばの広い麦わら帽子を身につけ、街中を散歩していた。
もちろん魔法少女に変身するペンダントも一緒にだ。いつどこでモンスターが襲撃しに現れるか分からない。

「それにしても暑いなあ。嫌になっちゃう…!」

公園のベンチに座り、麦わら帽子を団扇代わりに扇ぐ。そんな彼女の近くを、アイスクリームを持った少年が横切っていく。
その少年は躓いて転倒し、持っていたアイスは地面に落ちて台無しになってしまった。
ナツミは急いで少年の方に駆け寄った。

「大丈夫?ケガはない?」
「う、うん…でもアイスが…」

ナツミはバッグからティッシュを取り出し、地面に落ちてグチャグチャになったアイスを包むとゴミ箱に捨てる。
そして財布から300円ほど出して、少年に手渡す。

「これでまた新しいアイスを買うといいわ。今度は転んで落とさないように気をつけてね」
「あ、ありがとうお姉さん!」

嬉しそうに走り去る少年にナツミはバイバイと優しく手を振る。
その後、近くの喫茶店でイチゴパフェとアイスココアを楽しむ。

「ここのイチゴパフェ、すっごく美味しいのよね〜!」

スプーンに乗せたイチゴを口へ運ぼうとしたその時だった。外からワー!キャー!と人々の悲鳴が聞こえてきた。

「ま、まさかモンスター出現!?」

急いで喫茶店を飛び出すと、ピンクや白に水色、黄色とカラフルな体をした女が暴れている。
サイズは今までのモンスターと全然違って常人サイズで、見た感じ自分と同じくらいの身長だ。
しかしモンスターであることに変わりはない。すぐに魔法少女に変身する。

「現れたわね!邪悪なモンスターめ!」
「私はICG(Ice Cream Girlの略称です)。この世界を氷漬けにしてやる!」

どうやら強力な冷凍攻撃で世界征服を企んでいるようだ。
ICGと名乗るそのモンスターは口から氷の息を吐き、ありとあらゆる物を凍らせていく。
それを避け、ナツミは思いきり得意のキックをお見舞いし、体を粉々に粉砕する。
しかし、そのアイスクリームの体はすぐに再生されてしまった。

「やっぱり一筋縄ではいかないわよね!」
「私を甘く見ない方が身のためよ。アイスだけにね」
0383この名無しがすごい!
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2019/12/16(月) 16:54:39.99ID:ah3pdHFk
【脅威の冷気!アイスクリームガール!】(2/3)

するとICGは自分の体を自在に溶解させ、液体の姿になると非常に俊敏な動きで
ナツミの足下に向かい、そのまま彼女のブーツの中に入り込んだ。

「わっ!つ、冷たい!やめてー!」

足に襲いかかる冷気にナツミはのたうち回る。

「アハハ!もっと苦しんで踊るがいいわ!」
「こ、こうなったら…!!」

ナツミは急いでブーツを脱ぐが、冷静な判断ができず何を狂ったのか、近くの川に思いきり放り投げてしまった。
ブーツはそのまま川に流されてしまった。咄嗟にブーツから出たICGは彼女の行動に唖然としていた。

「あなた、ブーツ脱ぐのはともかく川に捨てちゃってどうするのよ?」
「わ、私もよく分からない。アハハ…」
「(こいつ、しっかり者そうに見えて意外とドジだわ)」

とりあえずバトル再開。しかしブーツが片方無いためバランスを取り辛く、得意のキック攻撃の威力も半減だった。

「邪魔者のあなたさえ消えれば、世界は私だけの物!さっさと消えてもらうわよ!」
「ヒーッ!!ちょ、ちょっと今すぐブーツ取って戻ってくるから一時休戦させてよー!」
「そんな猶予を許可する敵がどこにいるっていうのよ!冗談はやめな!」

とりあえずICGの猛攻から必死に逃げるナツミ。
完全に不利な状況だ…といっても動揺してうっかりブーツを放り捨ててしまったのは、完全に自分の自業自得だが。
しかし、このまま逃げてばかりでは町の住人達に被害が及んでしまう。

「わ、私は魔法少女になって、モンスターの魔の手から世界の平和を守り抜くって決意したんだ!」

たかがブーツが片方無いくらい何だ。よく考えれば大したことない、ないはず…。

「さあICG。私はもう逃げないわよ!」
「それでこそ、私の闘志が燃えてくるわ。どこからでもかかってきな!」

ナツミはとりあえずどう倒すか、頭の中で必死に考えた。
アイスだから炎とか熱で攻撃すればいい、といっても体を溶かしてもさっきのように液体化させて反撃してくるだろう。
それに下手すれば町を火災にしてしまう危険もある。あまりにもリスクが大きすぎる。

「アイス、アイスクリームといったら食べ物。いわばお菓子、スイーツ…そうだ!」
「何をボソボソと呟いてる!さっさと氷漬けになって観念しな!」

自分の方に勢いよく突進してきたICGを、ナツミは両腕で力一杯止める。
0384この名無しがすごい!
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2019/12/16(月) 16:55:34.27ID:ah3pdHFk
【脅威の冷気!アイスクリームガール!】(3/3)

「私の体は非常に強力な冷気で覆われている。少しでも触れたら凍って、さらに凍傷よ?」
「ふん!そんなの関係無いわ!」
「へっ?」

ナツミはそのままICGの体を掴んで持ち上げる。腕がどんどん凍りついていく。
そのままジャンプし空中に高く舞うと、最後の力を振り絞って彼女を勢いよく投げ飛ばす。

「あーれー!」

ゴミ置き場に落下し、その衝撃で体は粉々に崩れてさらに溶けてしまう。

「これくらいすぐに再生でき…」
「何だ?こんな所に溶けたアイスがあるぞ、誰が捨てたんだ?汚いなもう…」

一人の清掃員が溶けたICGをシャベルで掬い上げると、ゴミ袋に入れて紐を括る。
そしてゴミ収集車の中に放り込まれてしまった。

「ちょ、ちょっとこんなやられ方ってアリなのー!?」

ICGの叫び声は清掃員には一切届かず、そのままゴミ処理場へと送られてしまった。
町にまた平和が訪れ、人々がナツミに感謝する。

「魔法少女、ありがとう!」
「またあなたのおかげで町が救われた!」

その後、うっかり川に放り捨ててしまったブーツを探しに行くも見つかるはずがなく、ナツミはハァと溜め息をつく。
夜、パジャマに着替えて部屋で漫画を読んでいると、あの謎の妖精が姿を現した。

「ナツミよ、今日の戦いぶりは見事でしたぞ」
「あ、ありがとう」
「どうやらブーツを川に放り捨てしまったようですな。何を狂ったのか分かりませんが」
「あいつ(ICG)が嫌な攻撃してくるから…」
「残念ですが無くしたブーツはまた向こうの世界の工場で製造してもらう必要があります。それにはお金もかかります」
「う、うん。多分そんな感じだろうとは思ってた。で、どれくらいかかるの?」
「日本円に換算すると、おおよそ10万円はかかるのですが…」
「じゅ、10万円!?それは流石にキツすぎる…」
「ですが今回は特別に無償で新たなブーツを提供します。ナツミ、あなたは本当に魔法少女として一生懸命ですから」
「ほ、本当!?じょ、冗談とかじゃないわよね!?」
「本当です」
「ヤッターーーーッ!!」

まあとりあえず大喜びするナツミなのであった。
0385三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/16(月) 22:53:18.78ID:dXc15PXQ
>>382
新シリーズの続き、冬なのに夏の『アイスクリーム』の話
『世界征服』を企む敵、魔法少女の『決意』、特にやられ方や謎の行動が『コメディー』
地味に手が込んでるw
アイスでコメディーなのに熱いバトルでしたw
0386この名無しがすごい!
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2019/12/17(火) 12:09:13.45ID:GAgJ+4zf
>>385
感想ありがとうございます!
季節外れもいいところですね(笑) 普通に倒されるとかではなく、
まさかのゴミ処理場行きのラストという予想外?な展開もこれはこれで良かったかなと思います
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0387この名無しがすごい!
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2019/12/17(火) 20:07:11.18ID:GAgJ+4zf
>>375
使用するお題→ジャンル『コメディー』+『決意』『アイスクリーム』『キーホルダー』

【弟は名探偵?】(1/3)

ある日のこと、カナミは困っていた。

「どこにもない!どこかに落としちゃったのかな?」

自分の部屋の床や机の下、クローゼットの中だけでなく、とにかく家中を走り回って必死に何かを探している。
そんな姉の姿を見たケンスケが声をかける。

「お姉ちゃん、一体どうしたの?」
「あ、ケンスケ。私のキーホルダー見なかった?可愛いリスのマスコットがついてるものなんだけど…」
「うーん、見てないなあ」

カナミが今、必死に探しているのは数ヶ月前、家族揃ってデパートへお出かけした時に
買ってもらったリスのマスコットがついたキーホルダーだった。
学校に行く時にランドセル、どこかお出かけする時にバッグに付けたりしていてとてもお気に入りだった。

「昨日まではちゃんとあったはずなのよ」
「そうかぁ。それなら僕も探すの手伝うよ。だって僕は名探偵だから」
「名探偵?」

最近、シャーロックホームズか何かの本でも読んでハマってしまったのだろうか。

「(ケンスケって割と影響されやすいところあるし…)あ、ありがとう。ケンスケがいたらきっとすぐに見つかるかも」
「よし!ちょっと準備するから待っててね!」

しばらくするとケンスケが戻ってきた。
手には虫メガネ、頭にはキャスケット帽、そしてダウンジャケットを羽織っている。

「この名探偵ケンスケにかかれば、どんな物も見つけちゃうよ!」
「(か、可愛い…)じゃあ早速、キーホルダーの捜索スタートね!」
「お姉ちゃん、昨日何があったか覚えてる限り教えてよ」
「えっと、確か昨日はリーちゃんの家に遊びに行ってたのよね。その時バッグにちゃんと付けてたわ」
「帰る時にどこか寄り道しなかった?」

寄り道、という言葉を聞いてカナミはハッとした。昨日の帰り道、公園の近くを通りかかった時に
可愛い野良猫を見つけ足を止め、思わず撫でてしまったことを思い出した。

「た、多分その時に落としちゃったのかな…」
「よぉし、まずは公園へレッツゴー!」

家を出て、公園へ向かうカナミとケンスケ。公園に来てみると、子供達が数人ほど来ていて楽しそうに遊んでいた。
そこにいる子達にとりあえず聞いて回る。

「一つ聞きたいんだけど、この辺りにキーホルダーか何か落ちてなかったかな?リスのマスコットが付いてる物なんだけど」

どの子に聞いても「見てない」、「知らない」の返答ばかりだった。
するとニャーンの鳴き声と共に一匹の野良猫が現れた。昨日カナミが公園で見つけた猫だ。
0388この名無しがすごい!
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2019/12/17(火) 20:08:16.71ID:GAgJ+4zf
【弟は名探偵?】(2/3)

「わっ可愛い猫!よしよし」

その野良猫は嬉しそうにケンスケに体を擦り寄せてきた。あまりの可愛さに悶絶しそうだった。

「ケンスケ、今は私のキーホルダー探しの途中でしょ?」
「えーだってこの子可愛いんだもん!」
「可愛いのは分かってるけど、今はそんな事してる場合じゃないって!」

弟の腕を掴み、少し強引に引っ張るカナミ。

「バイバイ、また会おうねー!」

手を振るケンスケにニャーン!と元気よく返す野良猫だった。その後、昨日通った道をくまなく散策するも、キーホルダーは見つからなかった。

「やっぱりどこか川か用水路に落ちて流れてしまったんだわ」
「待ってよお姉ちゃん、諦めるのはまだ早いよ。探し物は近くにあるってよく言うじゃない」
「そ、そうだけどさ、これ以上ケンスケに迷惑かけたくないし」
「僕、あの時必ず探すって決意して約束したんだ。最後までやり遂げなくちゃ!」
「ケ、ケンスケ…」
「あっ、あんた5年の七尾じゃない。それに弟君も一緒ね」

その声の主は6年の西岡ミズホだった。もちろんあの意地悪な小6女子の一人で、性悪な乱暴者だ。

「ろ、6年の、に、西岡ミズホ…!」

一瞬、ミズホのカバンに何かキーホルダーが付いてるのが見えた。よく見るとリスのマスコット付きだ。

「それ私のキーホルダー!」
「このキーホルダーあんたの物なの?昨日、歩いてたらたまたま見つけたのよねー」
「普通落し物見つけたら交番に届けるのが当たり前でしょ!返してよ泥棒!」
「うるさい!私が見つけたんだから私の物よ!」

ミズホに思わず突っかかるカナミ。しかし、逆に突き飛ばされ倒されてしまう。

「い、痛たた…」
「お姉ちゃんに何てことするんだ怪物女め!」

姉を守ろうとミズホに飛びかかるケンスケ。しかし相手は相当強い。

「無茶はやめてケンスケ!」
「僕はいつもお姉ちゃんに助けられてばかり。今度は僕がお姉ちゃんを守る番だ!」
「全く生意気なカスどもね!」

ミズホの拳がケンスケの顔面にヒットしそうになったその時、あの野良猫が現れた。
野良猫はミズホの顔に飛びつき、シャーッと牙を見せると鋭い爪で引っ掻き始めた。

「な、何するのよこのドラ猫!」
「今のうちだ!」

野良猫の猛攻を受けている隙を狙い、ミズホのカバンに付けられたカナミのキーホルダーを奪い返す。

「やった!お姉ちゃんのキーホルダー奪還成功!」
0389この名無しがすごい!
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2019/12/17(火) 20:09:19.22ID:GAgJ+4zf
【弟は名探偵?】(3/3)

顔に纏わりつき引っ掻いてくる野良猫で前が見えなかったミズホは
誰が捨てたか分からないバナナの皮に足を取られ、そのまま坂道を滑り落ちていく。

「ワ、ワーーーッ!!」

そのまま路上に止まっている大型トラックに激突、気絶してしまった。
その間にカナミとケンスケ、野良猫は急いでその場から走って逃げる。

「ケンスケ、それに猫さん本当にありがとう!」
「いやあ何もかも猫さんのおかげだよ」

姉弟は野良猫の頭を優しく撫でる。
野良猫はニャーン!と嬉しそうに鳴くと、どこかへと走り去っていった。

「あの猫さん、一体どこから来たのかしら?」
「また会えるといいね」

夕方になるとピューピューと冷たい風が吹いてきた。寒くならないうちに急いで家へと帰る。
夕食を済ませ、カナミが部屋でのんびりしているとドアをノックする音がする。
ドアを開けると、そこには雪見だいふくを持ったケンスケがいた。

「お姉ちゃん、雪見だいふく一緒に食べよう!」

冬に食べる雪見だいふくは絶品だ。

「うーんモッチモチで最高!」
「ですよねー!」

外はまた風が強くなり、雪が降ってきた。

「あの猫さん、大丈夫かな」
「優しくてタフだからきっと大丈夫よ」
「そうだよね!」

あの野良猫にまた会えるだろうか。そして無事に寒さを凌いでいるだろうか。
期待と不安に挟まれつつも、2人はベッドに眠りにつくのだった。
0390三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/17(火) 23:18:52.99ID:EgQRk450
>>387
こちらも絶好調、今度は冬の話ですねw
『キーホルダー』を探す、弟の『決意』、なるほどそのアイスもありか
これは楽しい話、悪役にスラップスティック発動
弟の探偵スタイルも、可愛い野良猫も、親しみが感じられました
0392この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 08:37:29.34ID:bsIb+kCr
遅い春を、駆ける書いた者だけど、Twitterの方に作品晒しても大丈夫かな?
0393この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 09:25:08.58ID:XJULWs89
>>1のなろう投稿と同じじゃね
あくまで他人から剽窃した、って場合を防ぐためのルールなんだし、自分が自作を扱う分には別に
0395三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/18(水) 12:27:04.84ID:94btxT1W
自作として晒す場合、客観的な本人確認が難しい(お前本当に作者本人か)という問題があるんですよ

この問題への対応は、間接的な何かしらで本人だと推測させるとか、特に証拠は示さず本人だと主張するとか、だろうと思います

つまり、投稿後に作品を自由に持ち出せるとは思わないでね、だけど持ち出すのは全然禁止じゃないよ!
というのが進行の見解です!
0396この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 12:59:16.39ID:bsIb+kCr
一応できるだけここのとおりにやってる
外路非一ってアカウントだよって言っておけばそこそこの信憑性は出る?
あと、ここのルールに則ってやろうとしたら使ったお題がわからなくて……どうすりゃいいかな?
0397この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 13:07:27.35ID:uHHgDcfi
自分のレス参照すればお題書いてあるんだから、それが参照できない状態ならそもそもルール違反だろう

何より、長々とこういう話してると「へぇ他人のコピペか、やってみよ」みたいな愉快犯荒らしが触発されかねないし、勝手にさっさとやって話題に出さないのが一番だと思うわ

このレス含め、お題か作品か感想以外のレスはノイズだし、ちゃっちゃと流しちゃって欲しいな
0398この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 13:19:18.41ID:bsIb+kCr
ああすまんな
なんとか過去ログあさって見つけられたよ、お騒がせして申し訳ない
0400この名無しがすごい!
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2019/12/18(水) 20:07:35.84ID:Cg5w69vG
>>390
感想ありがとうございます!
コメディーとして書いたつもりが途中でシリアスっぽくなっちゃって
途中でバナナの皮で滑るという古典的なギャグを入れちゃいました(笑)
こちらも楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0401この名無しがすごい!
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2019/12/21(土) 22:02:18.23ID:lXofmzdS
>>375
使用するお題→ジャンル『コメディー』+『決意』『アイスクリーム』
※完結したレイチェルシリーズの番外編です

【アイス売りの女ガンマン】(1/3)

レイチェルはウキウキしていた。
今日は3ヶ月ぶりにライアンが休みをもらい、家に帰ってくる日なのだ。
俳優業で忙しいためライアンは中々家に帰ってこれず、レイチェルは一人ぼっちの時がほとんどだった。
ライアンがいなくて寂しくて泣きそうになりそうな時もあるが、ハリウッドで俳優として活躍する彼のことを思うと、そんな寂しい気持ちは自然と消えていった。
夜の7時、ライアンが帰宅した。

「おかえりなさーいライアン!」
「ただいまー!寂しかったかい、僕の可愛いガンマンちゃん!」

ライアンはレイチェルをギュッと抱き締め、彼女の頭を思いきり撫でる。

「仕事はどう?」
「ああ絶好調だよ。僕が主役の映画、来年の夏頃に公開予定だよ」
「絶対に見るわ!ライアンのアクションシーンを劇場のスクリーンで早く堪能したい!」
「アハハ。落ち着いてレイチェル」

ディナーを済ませ、温かいココアを飲みながらリビングのソファーで寛ぐ2人。

「ねえライアン、次の撮影はいつ?」
「1週間後だね。それまではここにいられるよ」
「ライアン、絶対に無理はしないでね。ちゃんと休みもとって、たまには帰ってきてね」
「分かってるよ。レイチェルもくれぐれも事故には気をつけてね。あ、少し話が変わるんだけどさ…」
「どうしたの?」
「君があの町でいた時の出来事、もっと聞かせてくれないかな」

ライアンとレイチェルはどちらもアイオワ州出身だ。
大学卒業後、ライアンはハリウッドのあるカリフォルニア州のロサンゼルスに旅立った一方、レイチェルは仕事の関係でコロラド州に引っ越したのだ。
ライアンとお別れの挨拶もできずに離れ離れになり、その寂しさからか仕事は長続きせず、僅か2年で辞めてしまった。
その後は在宅勤務をする一方、寂しさを紛らわすために暇さえあれば、いつでもお気に入りのガンマン衣装を身につけて町を散歩していた。

「あの時は本当に変人扱いされてたのよね」
「その時の思い出をさ、もっといっぱい話してほしんだ」
「うーんとね、あっ思い出した!」

レイチェルは早速その話をライアンに聞かせる。
0402この名無しがすごい!
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2019/12/21(土) 22:03:18.36ID:lXofmzdS
【アイス売りの女ガンマン】(2/3)

それは、あの悪ガキから帽子を奪われて取り戻す騒動が起こる少し前のことだった。
レイチェルはいつものようにガンマン衣装を身に包んで、町中を散歩していた。
公園のベンチでのんびりしていると、楽しい音楽と共にアイス売りのおじさんが屋台を押してやって来た。
子供達が嬉しそうに駆け寄り、おじさんはみんなにアイスを配る。その中にもちろんレイチェルも混じっていた。

「おじさん、ストロベリーちょうだい!」
「見ろよ、変な女ガンマンがまたアイス買いに来てるぞー」

子供達はレイチェルの姿を見る度に「変人」と呼んでからかう。おじさんも同様で彼女を好奇の目で見ていた。
ある日の朝、レイチェルが町中を散歩していると、おじさんがアイスを売るため屋台の準備を整えていた。

「あっアイス売りのおじさんだ!おはよう!」

おじさんの方へ駆け寄るレイチェルだが、足下に落ちている空の瓶に気付かず足を取られてしまう。

「わっ、ワッ!ウワワワワッ!!」

瓶で足を滑らせ、レイチェルは止まることができず、そのまま屋台にドーン!と激突してしまう。
アイスはグチャグチャに潰れてしまい、おじさんは激怒した。

「何て事をするんだ!アイスが台無しじゃないか!」
「ご、ごめんなさい!足を滑らせてつい…」
「言い訳はやめろ!アイスと壊れた屋台、弁償してもらうぞ!」
「えっ!そ、そんなぁ…!」
「弁償が嫌なら、代わりにそのガンマン衣装を貰ってもいいんだぞ?」
「そ、それだけは勘弁して!私もアイス売りを手伝いますから!」
「ふむ、それなら…」

おじさんはレイチェルに条件を与える。
今日から1ヶ月、アイスを売って500ドル稼げれば弁償は無しとするが、できなかったら壊れた屋台の弁償とガンマン衣装の没収とのことだ。
レイチェルは唾をゴクリと飲むが、この状況だと受け入れるしか他なかった。

「わ、分かりました!絶対に500ドル稼いでみせます!」
「よーし!だったら早く売ってこい!」

レイチェルは屋台を押して、早速アイス売りに出かける。公園に来た時、子供達はアイスを売る彼女の姿を見てビックリした。

「見てよ。いつものおじさんじゃなくて、あの変な女ガンマンがアイス売ってるぞ」
「みんなお待たせー!しばらく私がおじさんの代わりにアイスを売ることになったの、よろしくね」

子供達は渋々アイスを買っていく。嫌な顔をされながらも、レイチェルは必死にアイスを売っていく。
始めて1週間、なんとか100ドルを稼ぐことができた。

「こ、この調子で頑張れば500ドル達成できるはず…!」

ほぼ毎日、休みもなくアイスを売らなければいけないため、レイチェルの疲労は日に日に溜まっていった。
0403この名無しがすごい!
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2019/12/21(土) 22:04:18.91ID:lXofmzdS
【アイス売りの女ガンマン】(3/3)

「あ、諦めちゃダメ…ちゃんと500ドル稼ぐって決意したんだから!」

疲れてはいるものの、レイチェルは笑顔で子供達にアイスを売っていく。
こうなったのも事故とはいえ全部自分のせいだ。おじさんとの約束をちゃんと果たさなければならない。
そして最後の日となった。現在450ドル、目標の500ドル達成まであと50ドルだ。

「が、頑張らなくちゃ…!」

最初は嫌そうな表情を見せていた子供達だったが、次第に一生懸命アイスを売るレイチェルの姿に惹かれるようになった。
午後、少し休憩を取ろうと屋台を止め、ベンチに座るレイチェル。かなり疲れていたため、一瞬深い眠りに落ちてしまう。
するとカラ…カラ…と何かが動くような音がし、レイチェルはハッと目を覚ます。
屋台の車輪をちゃんと止めていなかったため、屋台がそのまま坂道を滑り落ちていくではないか。

「いけない!」

レイチェルは急いで屋台を追いかける。
何とか追いつき、屋台の前に立って止めようとするが屋台は重い上、坂道なためかなりスピードが出ているため止めることができない。
拍車を地面に強く擦らせて止めようとするが無駄だった。そのまま池に屋台と共にレイチェルはドボンと落ちてしまった。
なんとか池から這い上がるが、屋台は壊れ、アイスも全部台無しになってしまった。
びしょ濡れになった彼女の目の前におじさんが現れた。

「ほ、本当にごめんなさい!500ドル稼げなかった上に屋台もアイスもまた台無しにしてしまって…」
「謝らなくてもいい。お前さんはよくやってくれた。疲れていても笑顔で子供達にアイスを配るそのタフさ、すごく感心したよ」
「え、で、でも私…」
「その頑張りを認めて屋台弁償の件は全部チャラだ。私もお前さんを見習わなくちゃと思ったよ。今まで本当にご苦労だった」
「あ、ありがとうございます!」

・・・・・・・・・・・・・

「へぇ、そういうことがあったんだ。おじさん、頑固そうかと思いきや結構寛大だね」
「うん、あの悪ガキとの騒動が凄かったからすっかり忘れてたの」

顔を合わせアハハと笑い合うライアンとレイチェルの姿を、近くでジュディが微笑ましそうに眺めていた。
そして1週間後、また仕事のためハリウッドへと飛行機に乗るライアンをレイチェルは笑顔で見送る。

「ライアン、頑張ってね。いつでも私がいるから」
0404三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 12:25:27.73ID:jU5A7ERK
>>401
帰ってきてくれた、女ガンマン
『アイスクリーム』と言えばこの人w、レイチェルの『決意』
おじさん優しい><
また地味に細かい設定と、ドジっ娘レイチェルさんに容赦ないw番外編でした
0405この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 21:42:19.57ID:VF3CEcMU
>>375
お題:ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』『キーホルダー』

【魔王討伐のその後の話】(1/2)


「私はやり遂げて見せる!! 世界征服を!!!!」

 やらなくて良い決意をする元魔王を俺は冷めた目で見ていた。
 魔王……言わずと知れた魔族の王。英語で言えばサタン。
 どうでも良いが魔王サタンって、英語だとサタンサタンになるんだな。

「おい!! 聞いているのか勇者!! 私は世界を征服すると言っているんだ!!」

 チラッチラッと、こっちを見ながらそんな事を言う。おそらく、“約束の時”間直になった為に何かアクションを起こしたくなったのだろう。まったく、寂しがり屋のかまってちゃんだな。やれやれだ。

「勇者って呼び方は止めてくれ元魔王、“元”だし、クラウトって名前がある……取り敢えず聞いとくけど、世界征服? てどうやってだ?」
「なら、私も元魔王では無く名前で呼べ!! フフッこれでも私は魔族の王だった女だぞ? 恐怖と絶望で……痛い! 地味に痛いからアイアンクローは、アイアンクローは止めてくれ!!」

 “ソレ”をやって討伐されたって自覚は無いんだろうか? この阿保女は。
 第一、こいつの名前「アマルティアスロウレスク・シャリウラウル・エブト・ルマイヤルリリーティム・エルベガルム」と言うのが長すぎる。
 面倒だから、コイツは“元魔王”で十分だろう。

 全くやれやれだ。

 魔族が人間領を侵略し始めた本当の理由は、領土的野心や種族差別的な物では無く、病魔の様に蔓延していた邪神の力の為だった。
 邪神は、妬み、嫉み、怒り、恐怖と言った負の感情を糧にして育っていたスピリチュアルな存在で、魔族達はそんな邪神に操られ人間達に戦争を仕掛けていたのだ。
 その為、勇者として召喚された俺は、その邪神を封印し、魔族の心に巣くって居た邪神の“芽”を消滅させたのである。

 邪心の邪神を封印したって訳だ。

 当然、この元魔王もその軛から解き放たれたハズなんだが、事ある毎にこうして『かまってアピール』をしてくるのである。この寂しんぼめ。

「ちょ、本当、痛!」

 大元の邪神を封印した事で我に返った魔族達は、自らの行いを反省し、これからは人間達に迷惑をかけない様にと大結界で作った亜空間領域に引きこもる事に成った。
 少しばかりの交易はするらしいが、細かい事は分からん。

 さて、そんな状況で、何故、元魔王が俺の所に居るのかと言えば、まぁ、人質代わりと言うやつだ。やれやれな事だが。

 曲がりなりにも、俺は人類を救った大英雄な訳だ。そんな男の所に元魔族のトップを置いておけば、“私達は逆らいません”ってポーズには成る。
 俺のやった事と言えば、魔王領にある魔王城に忍び込んで魔王を選り代にしていた邪神を封印しただけなんだがな。
 やってる事は正義の暗殺者って所か? やれやれだ。

「マジ、ギブ! 止め……」

 因みに魔族が許されたのは、そもそもが邪神のせいだって事も有るが、邪神の封印を強化するのに力を貸してくれたからって理由もある。
 ギブアンドテイクってよりは司法取引に近いか? 気持ちは分かるが、理由がなくちゃ相手を許せないってのも大変だな。やれやれだ。

「……? あ……」

 やけに静かだと思ったら、アイアンクローをされていた魔王が泡吹いて白目に成ってる。
 …………やれやれだ。
0406この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 21:46:11.16ID:VF3CEcMU
【魔王討伐のその後の話】(2/2)


 ******

 約束の時……年一回の封印の確認の為に、元魔王と二人で元魔王城まで足を運ぶ。
 これも、俺の元に送られた元魔王の大切な仕事だ。
 この間、アイアンクローで気絶させたお詫びも兼ねての同行って事にしている。もっとも、コイツを1人で出歩かせる訳にはいかないのだから、当初の予定通りではある。

 魔王本人にも力が出せない様に封印のシールが張られている為、実際の所、放置していても構わないし、直前まで俺は「1人で行ってこい」とからかっていた。
 だが、何とかついて来て欲しかったのだろう。あんな三文芝居をしてきたのはそれが理由だと思われる。とんだかまってちゃんだ。やれやれである。
 どうでも良いが、封印シールも英語で言えばシールシールだな。どうでも良いが。

 さて、約一年ぶりに訪れた元魔王城なのだが……

「はい! 魔王城名物『封印まんじゅう』だよ! 出来立てだ!!」
「『封印アイス』! 『封印アイス』! ほ〜ら、こんなに伸びる、不思議なアイスクリームはいかがですかぁ?」
「魔王城に来たなら、是非とも買って行かなきゃ!! 『封印キーホルダー』!! 持ってない奴は遅れてる!! ってなもんだ!!」
「勇者の聖剣を模した『封印木刀』!! お土産、御贈答、実用品としてどうだい?」

 無言で指をさす元魔王の視線が痛い。

 一年ぶりに来た元魔王城は、見事な観光地と化していた。こう言った人間のバイタリティーってヤツには頭が下がる思いだ。
 しかし、こうも景色が一変してるとはな……全く、やれやれだ。
0408この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 22:04:51.48ID:jU5A7ERK
>>375

使用お題→ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』『キーホルダー』

【機知に富んだ紳士ドン・タローテ】(1/2)

 遠くハポンの地に一人の紳士がいた。
 彼は三度の飯よりもサイバーパンク武士道小説が好きで、そのために有り余る財産を費やし、寝食を忘れてそれを読みふけり、最後にはすっかり気が狂ってしまった。
 千年の眠りより目覚めし『ヘーケ』が世界征服をたくらんでいるという妄想に取りつかれた彼は、その名を『ドン・タローテ』と改め、自動運転トラック『イマナンテ』に嫁を乗せ、世直しの旅に出ることを決意した。

 *

 今は、朝。爽やかな朝だ。トレーラーハウスの自室。太陽の光に照らされて、彼は眠っていた。
 そこへ唐突に。
「ピピピッピピピッピピピッ」
「うーん……」
「オイオキロ、オイオキロ、ピピピヒピピピピピピッ!」
 イマナンテにセットされていたアラームが鳴る。だが、宵っ張りの彼は、一向に起きる気配がない。
 アラームが鳴り続ける。
「ピピピヒピピピ――」
「うるさーい!」
 戦国武将のコスプレをした女子が乱入してきた。
「お屋形様、うるさいでございますよ!」
「あっはい、すみません」
 小兵ながら大音声で呼ばわる、目にも鮮やかなその姿。全身が赤、黒、白で塗り分けられている。
 彼女こそドン・タローテ家臣団筆頭『<赤いべこ>野牛ハチベヱ』である。
「いつまで寝ているでございますか。今日もその嫁と、その……朝チュン……朝チュンでございますか!」
「違う! 断じて違うぞハチベヱ!」
「では一体なんでございますか! 世直しの旅に出ると言いながら、いつまでもぐずぐずと、今日は日が悪い、明日から本気出す、お部屋に嫁を飾って酒池肉林、わたくしというものがありながら――」
「待て待て、落ち着け、分かった、分かったからハチベヱ、今日から本気だ。それと嫁を飾っているのは決して酒池肉林などではない。武士とは孤独なのだ。いささかの安らぎも許されぬでは参ってしまう」
 するとハチベヱはぶぜんとして、次のように問うた。
「ではわたくしはなんでございますか」
「お前は……俺の家臣であろう」
「……そうですか……そうでございますね!」
 言うとハチベヱは、どこかへ行ってしまった。
 ドン・タローテはしばらくぼんやりとしていたが、やがておもむろに口を開いた。
「ヘイ、イマナンテ、今日の天気は?」
「ピピッ、イマナンテ?」
 今日の天気は、晴れ。雲一つない快晴だ。

 *

 今日から本気と言ったから、ドン・タローテに二言はない。
 砂色の地面を照らす太陽。黒いアスファルト。その上を走る灰色のトラック。
「ハチベヱのやつめ、どこへ行ってしまったのだ……」
 本気を出すと決意したものの、頼みの家臣が行方不明だ。
 ドン・タローテは生来の怠け者であったが、この時ばかりは本気でハチベヱを探していた。
 だって今日から本気と言ったのだから。
 手始めに、イマナンテ(住居部分は置いてきた)に乗ってご近所を一周してみた。
 ハチベヱは見付からない。
 次に、ハチベヱが行きそうな場所を考えてみた。
 一切何も思い浮かばない。
 だって家臣は主君に付き従うのが当然で、主君が家臣の行方を探す羽目になろうとは。
 最後に。
「まさか……まさかヘーケの手の者に誘拐されたのではあるまいな。いやまさか……だが……ううむ、おのれ、おのれヘーケめ……!」
 これはヘーケのグランドマスター『カズキ・スバモリ』の差し金である。彼はそう結論付けた。
0409この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 22:05:32.75ID:jU5A7ERK
【機知に富んだ紳士ドン・タローテ】(2/2)

 犯人が分かったところで、ドン・タローテに打つ手はない。
「ああああ、あの緑色のもじゃもじゃ頭め、ハチベヱをどこへやったのだ。ハクアたん、何か知っていたら教えてくれ……」
「ピピッ、イマナンテ?」
 キーホルダーの嫁が揺れている。『<連邦の白いゴ某>エリミヤ・ハクア』。イマナンテの車内は、彼女のグッズで一杯だ。
 もちろん彼女が返事をすることはない。それはドン・タローテとて認識している。
「これが嫁にもすがる心境か。ハチベヱよ、どうか無事でいておくれ……――――」

 ――――ヘーケのロッジ、その一室。
「くっ、殺せ!」
 縄で縛られ床に転がるハチベヱ。そんな彼女を、男たちが見下ろしている。
 その中から一人、全身毛むくじゃらの怪人が進み出る。
「モリモリモリ、うっかりさんめ。折角捕らえたものを、殺すつもりならとっくに殺してるモリ」
「では何が……はっ! まさかわたくしに乱暴する気か!? エロ同人みたいに!」
「へけっ、ぺったんこさんめ。そんなことしないのだモリ。もっといいこと、エロ同人なんかより、もっとずーっといいことをするのだモリー♪」
「……分からん、貴様ら、一体何が目的なのだ!」
 毛だらけで分かりづらいが、怪人の顔に下卑た笑みが浮かぶ。
「モリモリ。まずはお前を肉骨粉レベルまで分解するモリ。次に、我がヘーケが誇る最新のサイバネティックス技術で、お前を再構成するモリ。最後はモリの毛をお前に移植するモリ。これでお前はモリの嫁『<緑のヤク>モリノ・ウシサン』になるのだモリー」
「くっ、狂ってる……! やめろ。来るな! ……来ないで! いやっ! やめて! いやぁあああ!」
 少女の悲鳴が暗闇に――――

「――――うわぁああああ!!」

 *

「ハチベヱ! ハチベヱよ、どこへ行っておったのだ!」
「あれ、お屋形様こそ、どこへ行っていたでございますか!」
 トレーラーハウスに戻ってみれば、そこには辺りをきょろきょろと見回すハチベヱの姿があった。
「ヘーケに連れ去られたのではなかったのか……。それとも逃げ出してきたのか?」
「何を言っているでございますか? わたくしはこれを買いに行っていたでございますよ」
 それはアイスクリームだった。目にした瞬間、あっこの白さハクアたん、とか思ってしまったのは内緒である。
「甘味こそ安らぎでございましょう。これを食べて、今日から本気を出すのです」

 *

 ドン・タローテの旅立ち。
「それで、最初はどちらへ向かうでございますか?」
 嫁と家臣を乗せたイマナンテが、一般道を快走する。
「ふっ、世直しの旅に行き先などない。ヘーケは至る所に潜んでいるのだ。見付け次第たたっ切るのみ!」
 随分といい加減な話だが、それを聞いたハチベヱは優しげな笑みを浮かべた。
「ともかく、お屋形様がようやく本気になってくださり何よりでございます。不肖ハチベヱ、これからもお供いたします!」
 やがて太陽の光が車内を暖めた。するとドン・タローテは眠ってしまった。
 イマナンテは自動運転で走り続ける。

「お屋形様……あどけない寝顔でございますね。わたくし、嫁などには負けません。……お屋形様の全財産を、このわたくしが頂戴するその日まで……!」
「ピピッ、イマナンテ?」
0411三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 22:13:01.72ID:jU5A7ERK
お題→ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』『キーホルダー』締切

【参加作品一覧】
>>382【脅威の冷気!アイスクリームガール!】
>>387【弟は名探偵?】
>>401【アイス売りの女ガンマン】
>>405【魔王討伐のその後の話】
>>408【機知に富んだ紳士ドン・タローテ】
0412三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 22:14:26.99ID:jU5A7ERK
では今回は通常お題5つです

お題安価>>413-417
0413この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 22:15:37.69ID:CrBIcNx8
平面
0414この名無しがすごい!
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2019/12/22(日) 22:23:25.53ID:FzEo0fG4
クローゼット
0418三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 23:16:41.83ID:jU5A7ERK
☆お題→『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→12/29の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0419三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 23:19:44.06ID:jU5A7ERK
『レジェンド』こないだやったじゃーん
でも今回の組み合わせにはマッチしてますねえ

お題、作品、感想、今回もありがとうございます
今週は『クリスマス』・・・ゆっくり進めていきましょう
0420三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/22(日) 23:53:41.74ID:jU5A7ERK
>>405
はっきり言っちゃうと心配してましたw
クラウトさん、、聞き覚えがあるw、『世界征服』の『決意』をする魔王・・・女魔王!、まんじゅう『アイスクリーム』『キーホルダー』・・・なんだこれw
勇者召喚の後日談、やれやれ主人公の日常、って感じですね
0421三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/23(月) 00:03:02.08ID:bOmivJdy
あと今回はもう一つ
前に、感想を書くイベント、みたいなご提案がありましたが
それをやってみようかと

【2019年の作品、スレ5からスレ7まで、どの作品の感想を書いてもいい強化週間】

☆締め切り→12/31まで。

あまり盛り上がらなさそうだし、別にいつどの作品の感想を書いても構わないんですが
期間を区切れば書きやすいこともあるかなぁ、と
よろしくです
0422この名無しがすごい!
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2019/12/23(月) 08:41:07.10ID:lJo0z6Xf
>>404
感想ありがとうございます!
レイチェルのちょっとした裏話でした。
悪ガキとの騒動より時系列は前でまだまだ変人扱いされてた頃ですが、
おじさんや子供達の一部からは少し受け入れられ始めた感じです
こちらも楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
あとコメディーって書くの楽そうに思えるけど結構難しいです…(笑)
0423三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/23(月) 21:43:49.40ID:bOmivJdy
ですよね・・>コメディー

落語とか
このスレ的には馴染むかなぁ、とは、ちょっと思ってました
0424この名無しがすごい!
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2019/12/24(火) 19:22:40.08ID:QciAMxJ/
前と同じお題を出してたか…すまない
もう今までどんなお題が出てきたか数が多くなってきてわからなくなってきたもので…
0425この名無しがすごい!
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2019/12/24(火) 19:33:46.74ID:YC/dsFAr
>>418
使用するお題→『クローゼット』『クリスマス』『手入れ』

【あなたに出会えて本当によかった】(1/3)

私は名も無き女ガンマン人形。もう20年くらいも前に作られた、古いお人形よ。
私を製造した会社は既に倒産している。もう長いこと、この店に売れ残ったままでいる。

「この人形、あと1ヶ月以内に売れないともう処分するしかないな」

店長の言葉に私は焦る。処分って、まさか売れなかったらゴミとして廃棄されるとということ?
そんなの絶対に嫌、誰でもいいから私を買って。本当に誰でもいい。
そう願いつつ3週間ほどが過ぎ、クリスマスがやって来た。一人の父子が店に入ってきた。

「ライアン、欲しいおもちゃはあるか?何でも買ってあげるぞ」
「ありがとうパパ。今すぐ決めるからちょっと待ってね」
「アハハ、慌てなくていいぞ」

ライアンという名の少年が店の中を歩き回る。すると、彼の目に私が入ったのか、立ち止まりじっと私を見つめる。

「パパ、この女ガンマンの人形が欲しい!」
「よし分かった」

私は一瞬驚きを隠せなかった。まさか本当に買ってもらえるだなんて。
袋に入れられ数十分後くらい経過し、少年の家に着いたようだ。ライアンは早速私を箱から取り出す。

「カッコいいね、この人形。そうだ、名前をつけよう。うーんとね…決めた!君の名前はレイチェルだよ!」

レイチェル、すっごく良い名前ね。ずっと名前なんて無かったから、嬉しさで胸が満ち溢れてくる。

「今日から君は僕の家族だよ、レイチェル!」

私は今にも泣きそうになるくらい嬉しかった。人形である私を家族の一員として扱ってくれるなんて。
ライアンはその証として、マジックで私のブーツの裏に「RYAN」と書いてくれた。
それ以来、ライアンは友達と遊んだり、どこか旅行へ出かける時も必ず私も一緒に連れて行ってくれた。

「その女ガンマンの人形カッコいいね、ライアン」
「レイチェルっていうんだ。さすらいの女ガンマンで、旅の邪魔をする無法者を撃ち倒すんだ!」

2年が過ぎたある日、ライアンが私を持って友達の家へ向かっている時だった。

「よぉライアン、良い人形持ってるじゃねえか」
「ノ、ノーマン…!」

近所に住んでいる、ノーマンといういじめっ子とうっかり出くわしてしまった。

「そのレイチェルっていう女ガンマンの人形、俺に寄越せ!」
「絶対に嫌だ!レイチェルは僕の人形なんだから!」
「つべこべ言うんじゃねえ!」

ノーマンはライアンをドンッと思いきり突き飛ばし、彼から私を乱暴にひったくった。

「じゃあなー!」
「ま、待てノーマン!」

ちょ、ちょっと私をどこへ連れて行く気!?
放してよ、汚い乱暴者!ライアンのところに返して!お願いだから!
そのまま私はノーマンの家に連れて行かれた。
0426この名無しがすごい!
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2019/12/24(火) 19:34:44.36ID:YC/dsFAr
【あなたに出会えて本当によかった】(2/3)

「レイチェルはライアンではなくて、この俺に相応しい人形だと思うんだよな!」

ふざけたこと言ってんじゃないわよ!私が人形でなく本物のガンマンだったら、とっくにあんたの脳天撃ってるところよ!

「さてっと、まずは…」

するとノーマンはブーツの裏に書かれたライアンの名前を、ベチャッと修正液で雑に塗りつぶした。
乾くと「NORMAN」と自分の名前をマジックで上書きしたのだ。

「これでレイチェルは俺の物だ!」

私はもう酷くショックだった。その後、ノーマンは私を床に叩きつけたり、ラジコンで引きずったりととにかく乱暴に扱う。

「ゲハハハ!スッゲエ楽しい!」

ライアンのところに帰りたい、温厚で心優しいライアンのところへ。
すると突然、ライアンがバンッ!とドアを蹴り破ってノーマンの家に突入してきた。

「ノーマン、レイチェルを返してくれ!」
「誰が返すかよバーカ!」

ライアンはノーマンに勢いよくタックルし、彼が一瞬よろけたその時に私を奪い返す。

「痛え!この野郎よくもやったな!」

ライアンは私を持って、急いでその場から逃げようとする。しかし、ノーマンが私の左腕をギュッと掴んで引っ張った。

「レ、レイチェルから手を放せ!」

ノーマンが頑なに放そうとせずに強く引っ張ったため、私の左腕の付け根がビリッと音を立てて破け、綿がはみ出した。

「何するんだ!もう許さないぞ!」

ライアンは怒り狂い、ノーマンの顔面を勢いよく殴り飛ばした。ノーマンは気絶し倒れてしまい、彼はその隙を狙って素早く逃げた。

「レイチェル、もう大丈夫だからね」

家に戻ると、ライアンは裁縫箱を持ってきて、すぐに私の破けた左腕を縫って修理してくれた。
少しちぐはぐした感じだが、私はちっとも気にならなかった。いや寧ろ凄く嬉しかった。
また除光液で私のブーツに上書きされたノーマンの名前を綺麗に落とし、自分の名前を書いた。

「レイチェル、危険な目に遭わせて本当に悪かった。もう絶対に離さないからね!」

その後、ライアンは毎日のように私と楽しく、そして優しく遊んでくれた。
しかし彼が中学生に進級してからは勉強やクラブ活動で忙しくなり、私で遊ぶ時間はめっきり無くなってしまった。
いつか気付かないうちに、私は他の衣類や書物と一緒にクローゼットの中に入れられていた。
子供は大きくなれば、おもちゃで遊ばなくなる。そんなこと分かっている。
クローゼットの中からだけど、順調に成長していくライアンの姿を眺めるのはすごく楽しかった。

「ライアンったらすっかり凛々しくなっちゃって。素敵だわ」
0427この名無しがすごい!
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2019/12/24(火) 19:35:38.74ID:YC/dsFAr
【あなたに出会えて本当によかった】(3/3)

そしてライアンは大学生になり、一人暮らしするため引っ越しすることになった。
彼が部屋の荷物を整理する中、ふとクローゼットを開けた。

「レ、レイチェル…!」

ライアンが私を手に取り、ギュッと抱き締める。中学生になってから長いこと遊ばれてなく、
ずっとクローゼットの中にいたから、私の体は埃まみれだった。

「暗いクローゼットの中に閉じ込めたままでごめんね、レイチェル」

ううん、全然気にしていないわ。ライアンが無事に成長してくれたら、私はそれだけで十分満足よ。
するとライアンは私の体についた埃を払うと、水で濡らしたタオルで顔や帽子、ブーツ等を綺麗に拭いて手入れした。

「レイチェル、君は大切な家族の一員。君と離れ離れになりたくない」

ライアンは私を引っ越し先に連れて行くことに決めたのだ。最初は大人になって遊ばれなくなったから、
捨てられることを覚悟していたので予想外なものだから驚きはしたものの、やっぱり嬉しかった。

「さすらいの女ガンマン、レイチェル参上!」

大学生活で勉強やスポーツに励む一方で、時間さえあればいつも私と遊んでくれた。

「じゃあ行ってくるね、レイチェル」

ライアンは家を出る前、私に必ず挨拶する。
気をつけてねライアン。でも絶対に無理はしないで。私がいつでもそばにいるからね。

・・・・・・・・・・・・

「ハッ!ゆ、夢だったのね…」

レイチェルは目を覚ます。今までのは全て夢だったようだ。

「不思議な夢、でもライアンも出てきて楽しかったわ」

今日はクリスマス。レイチェルは七面鳥やケーキを用意して、ライアンの帰りを待っているうちに眠りに落ちてしまったのだ。
数分後、チャイムが鳴りドアを開けるとそこにはライアンが立っていた。

「ただいま!そしてメリークリスマス、僕の可愛いガンマンちゃん!」
「おかえりなさいライアン!待ってたよぉ!」

そして楽しいパーティーが始まった。そんな2人の近くにはもちろんジュディもいる。

「ジュディ、そこにいるんでしょ?」
「えっ!?」
「僕とレイチェルから君へのクリスマスプレゼントだよ!」

ライアンとレイチェルが大きな箱から出したのは、とってもフワフワした大きなウサギのぬいぐるみだった。

「本当にありがとう!ライアンさん、そしてレイチェルさん!」

嬉し涙で顔を濡らしながら、ウサギのぬいぐるみに抱きつくジュディなのであった。
0428三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/24(火) 23:51:48.32ID:ORm7TOyc
>>424
先日の『ハロウィン(Part2)』の続き的なやつかとw

>>425
シリーズ屈指の感動回だった・・・
『クローゼット』の人形を『手入れ』する、『クリスマス』の夢
センスあると言うか、ちょっと変化球な発想で、素敵なクリスマス物語ではないかと
メリークリスマスです
0429この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 00:21:17.52ID:8/IXfRi+
>>425
感想見て久々に読んでみたらめっちゃ良い話だった
普段のコメディ調とのギャップでこれは卑怯だろう……涙腺に来るぜ、メリクリ!
0431この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 03:03:47.35ID:CHOhZgiH
>>428
>>429
感想ありがとうございます!
某おもちゃ物語が大好きなのでそれを意識して書いてみました
レイチェルとライアンはちゃんとジュディの存在を知っていて、最後は彼女にも素敵なクリスマスプレゼントという最高の結末で
シリーズを締め括ることができて、自分でも書いててすごく満足感、そして達成感を感じました
たとえ幽霊になっても大切な家族の一員ですからね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0432この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 08:05:03.30ID:8/IXfRi+
>>430
なら、書けばいい
俺は書きたい時に書いてるし、レイチェルの人がいつも書いてるから創作意欲も刺激されて有難いぞ
0433三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/25(水) 12:26:39.63ID:7tchiUfK
やっぱ感想って大事ですよねw
それと今は過疎なので、レイチェルスレに見えちゃうのは仕方ない
もちろん誰でも好きなだけ、有意義かつ無理のない範囲で書き込んでもいいのよ

>>421の感想企画もよろしく・・
0434この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 17:50:50.06ID:MWsvkeIb
>>432
なんか過疎ったなっていう素朴な感想と、レイチェルシリーズ完結かぁ〜からの次週になったら普通に続いててわろたって感じたんや

>レイチェルさん
なんか批判っぽくなってすまんかった
ただ、どんなお題でもジャンル:レイチェルになってちょいと飽きつつあるかも…別の作風も見てみたいなーなんて
0435この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 18:17:10.29ID:8/IXfRi+
今回はかなり作風違うないかなぁ? ま、俺は応援する側ってことで
過疎ったって、単にここ最近一気に増えてたギャップがあるだけだろ笑

とか言っててもしょうがないし、なんか一本考えてみるかな
0436この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 21:09:24.05ID:8LlGSUFp
児童文学っぽいのや、純文学を書く人がいた時期が面白かった。

特にあの二人は書き方がラノベっぽくなくて印象に残ってる。
0437この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/25(水) 21:31:54.50ID:CHOhZgiH
>>434
レイチェルシリーズの者です
ご指摘ありがとうございます。元々レイチェルシリーズはレイチェルがライアンと再会して結婚、という形で完結…するつもりが
後のシチリアでの新しい生活を想像したら楽しくなっちゃって、そのまま続編として書き続けました
>>284【夢は決してあなたを裏切らない】でシリーズは全て完結となり、前回と今回のお題でスピンオフとして書きました
他にもカナミとケンスケ姉弟や、魔法少女ナツミのお話も現在シリーズとして書いていますので、そちらも楽しんでいただければ幸いです
基本的にドタバタやハチャメチャ系が書くのが大好きですが、これからはシリアス系にももっと挑戦してみようかなと思います
コメントありがとうございました!
0438この名無しがすごい!
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2019/12/25(水) 21:39:32.04ID:CHOhZgiH
>>432
>>435
私のおかげで創作意欲が刺激されて有難い、なんて凄く嬉しいお言葉ありがとうございます!
私の書くお話は上でも述べたように基本ドタバタで単調な展開が多く、
自分でもあまり代わり映えしないなあとは感じていたのですが、そう言ってもらえると凄く励みになります!
もっと色んなジャンルのお話を書けるよう日々精進しなくてはッ!
こちらもコメントありがとうございました!
0439この名無しがすごい!
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2019/12/26(木) 00:30:35.83ID:/wuhAoIm
書きたいけどおちごといちょがちいしゲームおもしろいし
正直今はアウトプットよりインプットしたい気分
0441この名無しがすごい!
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2019/12/26(木) 22:15:41.38ID:eiTAcw3e
>>418
お題:『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』

【平面世界に喝采を!―二十五世紀のとある作り手は悦に浸る―】(1/3)

 進歩というのは上昇だけでなく下降をも可能にする、と言った二十四世紀の偉人は誰だったか。
 とりとめのない思考を繰り返しながら、ぼくは目蓋を開けて二度、三度と首を振った。

「あ、あーあー。テステス」

 言葉が波となって聴覚を刺激する。喉が流れを生み出す。どうやら今回も成功らしい。
 もちろん転換に失敗なんて今時ほとんどないのだけれど、それでも確認してしまうのは生真面目と人から言われる気質の性か。こればかりは、いくら損な性分だと言われても中々直る気配はなかった。

 視界に――どこまでも『平たい』視界に、無数の色と形状が飛び込んでくる。
 それは、明らかに異常な描像。理解不能なはずの世界の、認識不能なはずの光景だ。
 けれどぼくは、それをごく当たり前の景色として見ることができる。普段過ごしている四次元世界の街中と同じ、ごく普通の風景として。

 平面世界。二次元領域への「下降」を可能にした次元干渉技術は、ぼくのように四次元で暮らす人間だろうと、古式ゆかしい三次元で生活を営んでいる人だろうと、分け隔てなく次元の上昇と下降を許してくれる。
 さながら次元境界を行き来する便利なエレベーターだ。どこにでもある五感翻訳機のように、上位次元の拡張された感覚を上手く落とし込んで、違和感なく認識させてくれるオプションまで込みで、
次元転換サービスは月額五十幇ドルと格安だった。サブスクリプションモデルはこれだから有難い。

 ぼくは頭の中で「クローゼット」を呼び出し、空間に黒い円を描いて現れたそこに手を突っ込んで、必要な道具を取り出した。見た目は手のひらサイズのリモコン、というより携帯用ゲーム機に近い。
 勿論自分で設定した各種のショートカット機能はどんな形式でも呼び出せるのだけど、こうして画面とボタンを用意された方が扱いやすいのは、ぼくがレトロゲーマニアだからなのだろう。

 今更、誰にその非効率を咎められるわけでもない。ぼくはボタンを何度か操作し、自分を目的地へと送り込む。

「おお、レジェンド! 来てくれましたか!!」

 ぶわ、と転送が完了する感覚が訪れるよりも早く、その騒々しい声が鼓膜(のような感覚)に飛び込んできた。
 ぼくはうげ、と少しだけ嫌そうな顔になる。ぼくがこの平面世界で取っている身体デザインは黒いロングヘアの女の子なので、カジュアルな格好の女の子に嫌そうな顔をされる男、という哀れな状況が生まれる。

「レドラ、まさかずっといたの? ていうかその呼び方やめてって言ってるじゃん」
「はっはっは! すみませんレジェンド! しかしこればかりはね!」
0442この名無しがすごい!
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2019/12/26(木) 22:17:26.13ID:eiTAcw3e
(2/3)

 男――とは言ったものの、彼、レドラのデザインは別に少しも男らしくはない。というか人間らしくもない。
 宙に浮かぶ機械的な継ぎ目のあるボールに表情を表す電光掲示板の顔と、ロボットアームが一対生えている。それが、このレドラの平面世界における身体デザインだ。

 まぁ、別に平面世界で人型をしている必然性は何もないので、レドラのようなデザインは珍しくもない。
 ぼくは周囲を見渡し、師走らしい喧噪に包まれた街中の賑やかさに目を向ける。

 そこは平面世界第三の都市、「カリコロ」。
 人型やそれ以外の住民が雑多に暮らす、娯楽をメインの文化とした平面都市だ。
 上位次元から平面世界へと移り、戻ることをやめた『永住者』は比較的少なく、上位次元に本来の姿を持ってこちらには余暇のレジャーとして訪れている人が多い。
 その気軽さも、ぼくがこの都市を好んで居場所にしている理由の一つだった。

「で、レドラ。今はどんな感じ?」
「それはもう、クリスマスまであと一週間ですからな。皆張り切って「手入れ」をしておりますよ。もちろん、レジェンドも参加なされるのでしょう?」
「ま、そりゃね。そのために来たんだし」
 
 一向に呼び方を改めないこちらでの旧友への指摘を早々に放棄し、ぼくは本題に移る。
 一部の地域を除いて時間の概念を上位次元と同期させてある平面世界では、クリスマスに年越し、バレンタインからサマーバケーションといったイベント行事の類も揃っている。
 何なら三次元四次元のあらゆる国家、あらゆる集団の文化がごちゃ混ぜになっているので、上位次元よりもイベントの数は多いくらいだ。

 とはいえやはりクリスマスはかなりの一大行事であり、だからそれに合わせて多くのイベントも開催される。
 その内の一つが、「『カリコロ』都市デザインリニューアルコンテスト」だった。

「今年も皆さん粒揃いのアイデアが山盛りで。今回ばかりは、レジェンドといえど危ないかもしれませんぞ?」
「どうかな。ま、そのくらいの方が、勝ち甲斐があるけど」

 ぼくはあえて不敵に笑い、レドラに「おお!」と興奮の叫びを上げさせてみせる。
 その頃には周囲の人々もぼくとレドラに気付き始め、「レジェンド!」「レジェンドだ!」とはしゃいだ声で有形無形、多様な形態のカメラを向けてきていた。

 ちやほやされて、悪い気はしない。
 普段の生活ではうだつの上がらない……とまでは言わないまでも、取り立てて目立つようなタイプでもないからだ。
 この平面世界で自分が思わぬ有名人になってからは、最初はビビったりもしたものの、今ではすっかり寄せられる称賛のゾクゾクとした魅力に虜になってしまっている。

 危ない危ない、と自制心をどうにか働かせ、ぼくは軽く手を振って群衆の注目を霧散させた。いや、成功したわけではないけれど、とりあえずそうしようと努力はした。

 ともかくこれから始める作業においては、自分自身の集中が肝なのだ。周囲がどうあれ、表面的なファンサービスはこれでおしまい、と自分に言い聞かせる。
 クリエイターとして評価された以上、作品づくりから離れてしまっては元も子もない。それぐらいは、ぼくにだってわかっている。

「始めますか?」
「うん。リアル、っていうか職場はもう仕事納めだし。ここからは一週間、ぶっ通しでいくつもり」
「では、私はライブドローイングの中継とタイムラプスの録画係を務めるといたしましょう。レジェンドの作業過程とあらば、コンテスト優勝の暁にはカリコロじゅうの住民から引く手あまたですからな!」

 ロボっぽいボディのビデオ機能を起動して撮影に入るレドラを気にせず、ぼくは「クローゼット」から作業環境を呼び出した。登録済みのアカウントから都市の基本設定にアクセスし、
都市デザインコンテスト用に用意された、位相のズレたデベロッパー向け都市空間を拡張された五感で捉える。
0443この名無しがすごい!
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2019/12/26(木) 22:18:27.71ID:eiTAcw3e
 そこから。ぼくは、没入する。

 街灯の並び、石畳のパネルカラー、貸し出し店舗のデフォルトセット、空の天候偏移、夜に輝く何百万の星々の運行パターンまで。
 レイアウトに直接「触れて」、ぼくは脳裏に浮かぶ都市デザインの中から最良の物を描き出し、選び、配置し、構築していく。

 指先は魔法の杖で、視線は神の息吹だ。瞬く間に時間が飛び去り、加速されたような体感時間を築き上げられてはパラメータを動かされる都市構造が波のように揺らいでは消え、消えては現れる。

 そして、ぼくの指先が動かしていた中央広場に置く彫刻のアイコンが、最も美しい位置に配置された時。
 ふっ、と解除されたデベロッパー知覚の外から、群衆の大歓声がぼくを出迎えてくれた。

「レジェンド……おお、おお! まさに貴方はレジェンドですとも!! 衰え知らずとはこのことです!!」

 レドラはとても興奮した様子で、向けていたカメラも放り出さんばかりに狂喜乱舞していた。
 まぁうん、わからなくはない。ぼく自身、今回は過去最高の出来だと言ってもいい達成感があった。

 街角の時計で日付と時刻の表示を見ると、まさにちょうど一週間。
 空腹や思考限界の設定を取り払って作業をした結果、どうやら予定通りのスケジュールでぼくは創作活動をこなせたらしかった。

 来年の『カリコロ』の都市レイアウトを決める、毎年恒例のクリスマスリニューアルコンテスト。
 ぼくはそれで、今のところ三連覇を果たしている。そしてたった今、造り上げた作品の出来から四連覇をできる自信が生まれた。

 四次元世界では都市計画設計に携わる公務員をしているので、慣れた仕事ではある。だがこの平面世界を訪れるまでは、こうも自分の磨いたスキルを活かせる趣味が見つかるとは思ってもみなかった。
 歓喜する群衆とレドラに取り囲まれながら、ぼくは照れ笑いを浮かべて幸福に浸る。

 次元干渉技術。それは大層なものとして生まれ、けれど結局は使う者次第でもある。
 どれだけスケールの大きな文明が築かれようと。こうしてくだらない使い道で一喜一憂するぼくらの娯楽に早変わりしてしまうのだから、人類なんて可愛げのある生き物だよな、だなんて。
 調子に乗ってファンのインタビューに答えつつ、ぼくはとりとめもなく考えていた。
0445三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2019/12/27(金) 12:56:26.27ID:8reIHCup
>>441
来てくれましたか!、うーん今回はちょっと神林っぽさもあるようなSF
『平面』世界で『クローゼット』を開く、主人公は『レジェンド』、『クリスマス』前、都市デザインの『手入れ』
作り手の愉しみ、割とこう勢いと言うか、ちょっと面白いものを詰め込んだ未来のマイクラですねw
0446この名無しがすごい!
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2019/12/28(土) 16:32:46.35ID:P/XKkABi
>>418
使用お題『クリスマス』
【愛惜サイゼリヤ】(1/2)

 クリスマスである本日十二月二十五日、僕たちはある
観光地を訪れた。若者文化には疎い僕たちであるが、ク
リスマスムードに便乗して出掛けたいという気持ちはあ
った。しかし騒々しい場所は避けたい、そんな二人の意
向から行き先には日光が選ばれた。日も暮れかけて、僕
たちはファミリーレストランでそれぞれ食べる物を注文し、今は料理が座席に届くのを待っている。
「今日行った場所でどこが印象に残ってる?」と彼が聞く。
「うーん、東照宮かな。なんか眠り猫小さくなかった? もっと大きいんだと思っていたからびっくりした」
「眠り猫は前行った時に見たからあんまりびっくりしな
かったな。てか陽明門じゃないんだ。一番の見どころっ
て言われているのに」
 そんな会話をしているうちに料理が届き、店員が「ご
ゆっくりどうぞ」と言いながら斜筒に伝票を差し込んで
立ち去る。
「お前はどこが印象に残った?」と聞くと彼は一切迷う
様子もなしに即答した。
「華厳の滝」
 華厳滝も確かに良かった。「なんでそこなの?」と聞
くと、
「凍ってたじゃない? あれが綺麗だなって思って。あ
んな大きい氷の塊を生で見るのは初めてだったから圧巻
された」
「軒先にあるようなつららとは桁違いに大きかったね。
生命力を感じた」
「あれって流れる滝の形のままで凍ってるんだと思った
んだけど違うのかな。形が歪だったからさ。あれは躍動
感だとか生きてるって感じを助長してたな」
 彼と僕が同じような感想を抱いていたものだから驚いた。見た者に似た思いを起こさせる華厳の滝。なぜあれ
ほどまでに人気があるのか、日光三大瀑布のひとつに数
えられるのか、その理由が少しだけ分かったような気が
する。
「あそこも良かったよな」
「だろだろ。今度は溶けている時に行こうぜ」
 今度か。この先日光を訪れる機会はあるのだろうかと
疑問に思った。
「また行きたいのは山々だけどそんな余裕あるのかな?
大学生になったら一人暮らしでお金のやりくりとか大変
だよ。こっちに戻ってくるだけでも結構な金額かかるし。忙しかったりして疎遠にならないとも限らない。そした
ら今度なんて無くなるかもよ」
 これからおよそ三か月の後に僕たちは栃木を離れる。
お互いに関東地方ですらない場所に行くため栃木に戻る
ための交通費だけでも結構かかる。大学に入ってからの
生活がどうなるかなんて分からない。時々この仲もいつ
の間にか消え去ってしまうのではないかと不安になって
いた。この先どうなるのかなど神のみぞ知ることだ。
「そんな頻繁に行くわけじゃあるまいし、ちゃんとお金
を貯めれば一回くらいどうってことないよ」
 彼は楽観的に答える。
「それより疎遠になるって? 昔だったら分かるよ、連絡
手段が乏しいし。でも今はスマートフォンっていうのが
あるじゃん。LINEだって電話だって簡単にできる。距離
が離れたり、散々一緒にいたんだからちょっと忙しいく
らいで疎遠になんかならないよ」
0447この名無しがすごい!
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2019/12/28(土) 16:34:31.66ID:P/XKkABi
>>418
【愛惜サイゼリヤ】(2/2)

 そんなに単純なものなのだろうか。「そんなこと言いき
れなくない?」と聞くと彼は笑って話を続ける。
「いや、俺らって高校に入学してからというものほとん
ど毎日一緒にいたじゃん。今みたいに長期休みにだって
会って遊んでいた。会わない日だってLINEは必ずしてい
たじゃん。そう簡単に連絡を取るのをやめられないんじ
ゃないかなって思うんだよね」
 確かに彼とは公私を問わずに親交を深めていた。彼の
言うとおり簡単に連絡が途絶えさせるのは難しいことな
のかもしれない。「まあ確かにな」と答える。
「そうだ、『瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても
末に 逢はむとぞ思ふ』って百人一首知ってる?」
「知ってるけどそれが何なんだよ」
 その一首は以前に国語の授業で習ったので知っていた
がなぜ今のタイミングで持ち出したのか、その意味が分
からない。
「話の流れから分かるだろ。今の俺たちにピッタリじゃ
ない? この一首」
「どんな意味なんだっけ」 知ってはいるものの、それに
込められた意味など忘れてしまっていた。
「川の瀬の流れが速くて岩にせき止められた急流が二つに
分かれる。でもまた一つになるように愛しいあの人と今
は別れてもいつかはきっと再会しようと思っている。そ
んな意味だよ」
「え、お前はその一首みたいに思ってるってこと?」現代
語訳を聞いて分かったけれどさっきの歌は恋の和歌のよ
うだ。使う場面が少々ずれているような気がする。
 そんな風に返されるだなんて思っていなかったのだろう。彼は虚をつかれた様な表情をしていた。
「うん、そうだよ? 文脈からしてそうでしょって言った
ばかりじゃん」
「僕たちにピッタリって言ったけどこれは恋仲の二人の歌
じゃないの」
そういうと彼は笑いだした。
「いや、そうだけどそこは臨機応変にさ。別れが近い親友
同士に当てはめたっていいじゃん」
それに、と彼は付け足す。
「愛しいのには変わりが無いし。そうじゃなかったら今一
緒にいないよ。大切でもない人とクリスマスを一緒に過
ごそうとか思わないから。大切な人と一緒にクリスマス
を過ごしたいと思った。だから今日誘ったんだよ? 行
先はクリスマスっぽくなかったかもしれないけど」
「どこに行くかじゃなくて誰と行くか、じゃない? 一年
生の時担任の先生も言ってた」
「懐かしいな、それ。まあそういう訳だからさ、話は戻る
けどこの先もお前と仲良くしていきたい。どうかな?」
 そんなの、嫌だと言う理由がない。
「うん、僕もそうしていきたい。いつか日光にまた行こう」
 だらだらと話しているうちにお互いに料理を食べ終えた。店の前で数分間話してから帰路につく。次に一緒に
日光に行けるのはいつになるのだろう。その日を楽しみ
にしたい。
0448三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/28(土) 23:39:22.87ID:muRvxEV8
>>446
うーん個人的には約物(の全角半角混在)が読みづらく感じました
改行は意外と気にならず、すらすら読めた
内容は、当スレでは異色の『クリスマス』譚で、これまた新鮮です
気の置けない友人同士、カジュアルかつ渋過ぎるクリスマスw
0449この名無しがすごい!
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2019/12/29(日) 21:59:55.91ID:LCthFSEA
>>418
お題:『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』

【XXXXXmas】


 12月25日と言うのは、言わずと知れたクリスマスである。仲の良い家族が、親しい友人達が、そして恋人達がそれを祝い、思い出を作る日であろう。
 だが、それを外れた……いや、際のすれすれアウトをひた走る者達も確かに存在している。
 これは、そんな最下層民(ボトムズ)達の物語である。

 ******

「じんぐるべーじんぐるべーすっずがなぁる〜」

 独り厳かにクリスマスを祝う……中年。しかし、彼がそれを突っ込まれれば「違う!!」と即座に否定されるだろう。

 何故なら……

 彼の前にはデスクトップPCが置かれ、そこには彼の2次元嫁が微笑んでいるのだから。

「へへ、チキン良〜し! ケーキ良〜し!!」

 ニヨニヨと笑みを浮かべながらコンビニチキンとケーキを一人二役で、『エアあ〜ん』しつつ食べて行く。
 不気味と言う事なかれ、彼の目には確かに嫁とのスウィ〜トな時間が流れているのだから。

「今日は、二人の初めてのクリスマスだね」
『うん、わたし、ちょっと緊張してるかも?』
「フフ、緊張なんてしなくても良いよ。ここには僕と君の二人しかいないんだからさ」
『……でも、良いの? わたしで』
「どういうことだい?」
『だって、貴方ったら、モテモテなんですもの……』
「何を言っているんだい? 僕の嫁は今、君だけさ」
『!! 嬉しい!!』
「さあ、二人だけの特別な夜だ!! ……良いだろう?」
『うん!』

 話がまとまったらしい男はクローゼットを解き放つ。そこには1/1スケールの嫁の姿が。
 流石にこれから過ごす夜の為には平面嫁では都合が悪かったらしい。
 この時の為に朝から手入れをしていた1/1スケール嫁をベッドに降ろす。

「さあ、これからは大人の時間だ」
『はい、私の全てを受け取ってください!!』
「フフ、可愛いヤツだ」

 そしてこの夜、彼は確かにレジェンドとなった。 
0450この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/29(日) 22:10:34.26ID:rok+j2Th
>>418

使用お題→『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』

【機知に富んだ紳士サン……】(1/3)

「なっ……なんじゃこりゃー!!」
 遠く北の果て、ラップランド。そこに一人の聖人がいた。
「どうしたでございますかおや、……おやー? どうしたでございますかー」
 白い付けひげには威厳がなく、中肉中背……むしろ痩せ気味のシルエットも頼りない。
 しかしながらこの男。
「どうしたでございますかー、サンタクロース様!」
 この男こそ、言わずと知れたクリスマスのレジェンド、サンタクロースその人である。

 *

 それはクリスマスを控えたある日のこと。例の赤い服の様子を見るため、男はクローゼットに踏み込んだ。そこで男は見てしまった。
「こりゃ手入れどころではない。新調するしか……」
「こっ、これはひどうございますね」
 地球温暖化の影響は、この極寒の地にまで及んでいたのだ。
「俺の服が……どうしてこんなことに……」
「これも、それも、あれも、カビだらけでございますよ」
 一年近く閉め切られていたその場所は、カビのパラダイスと化していた。
 それなりに広さのある空間が胞子に沈む、恐るべき状況。
 想像を絶する状況に、男はしばらく立ち尽くしていたが、やがておもむろに口を開いた。
「これは……これは正にヘーケの――」
「あー! こっちには黒いゴ某の死骸が落ちてるでございますよ……。それと床に穴が……これはシロアリではございませんか……?」
 北国の冬は暗く、深い。底の見えない極夜の闇が、彼らの眼前に広がっていた。
0451この名無しがすごい!
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2019/12/29(日) 22:10:52.28ID:rok+j2Th
【機知に富んだ紳士サン……】(2/3)

 シロアリ駆除業者はクリスマス休暇に入っていた。クリーニング店も同様である。
「ああああ、どうしたらいい。これがナイトメアか。ハクアたん、どうしてみんなはお休みで、俺だけが働いているんだい。ああ働きたくないでござる、働きたくないでござる……」
 ここはサンタクロースの執務室。そしてハクアたんは雪の妖精である……飛行機や氷の弾幕とは無関係である。ドン……サンタクロースは彼女の大ファンで、部屋には彼女のグッズが所狭しと並べられている。
「しっかりしてくださいおや……サンタクロース様。わたくしも働いてございます。雪が降ろうが、雪が雨に変わろうが、お城がシロアリで穴だらけになろうが、子供たちにプレゼントを届けるのが我らの務めにございます」
 全身がなんとなく赤っぽい彼女は、サンタクロースを手伝う妖精である。カバみたいなやつとかスナナントカさんの親戚とは無関係である。ちなみに当代のサンタクロースはいまだ独身だが、彼女はその妻の座を狙っている。
「う……うむ、うむ。であるか」
「はい」
「して……なんとする? 冷静になって考えてみれば、今は冬。シロアリの件は年が明けてからでもよかろう。しかし赤い服はなぁ」
 別に赤でも白でも緑でもいいのだが、みんなが赤だと思っているので、赤でなくては具合が悪い。
「そうでございますね……わたくしの服をお貸しいたしましょうか」
 彼女の服は赤いのばかりである。
「いやサイズが合わないだろ」
「おや……サンタクロース様の服の外側に縫い付けるのでございます」
「うーん、ちょっとそれもどうかと…………あっ!」
 言ってサンタクロースは立ち上がった。部屋の片隅へと一直線。
「これだー! クリスマス限定ハクアたん特大マント!! 基本白ばかりのハクアたんグッズの中で唯一、唯一、他の色をベースとした逸品だ! この真っ赤なマントを羽織れば、ちょっとはごまかしが利くのではないか」
「おっ、えっ、あの、サンタクロース様、えっと、そんな貴重な品を、おいそれと持ち出してよろしいのですか!?」
 聞かれたサンタクロースは自信満々、次のように答えた。
「構わぬ。これは布教用である故、ハクアたんもお喜びになろう。うおおおお! やる気が出てきたぞー!」

 こうしてサンタクロースは無事にプレゼントを配り終えた。
 余談だが、テクノロジーの進歩は我らがレジェンドにまで及び、トナカイたちはレイオフされ、今や彼の足は有人マルチコプターのイマナンテである。
0452この名無しがすごい!
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2019/12/29(日) 22:11:09.63ID:rok+j2Th
【機知に富んだ紳士サン……】(3/3)

「さて……」
「とうとうこの日がやってきたでございますね」
 一月。シロアリを駆除する日である。
 サンタクロースとお手伝いの妖精は、お城の玄関ホールに立っていた。
「モリー! いい加減モリを開放するモリー!」
 ホールの中央には、緑色のクリスマスツリーみたいな物体がそびえる。
「んー? 門松がなんか言ったかな」
「いいえ、わたくしには何も聞こえないでございます」
 この緑色の物体、悪いトロールである。今では額に封印スタンプを押され、お城の不出来な魔よけと化している。
 おもちゃ工場なども併設された巨大施設。
 平面でも立体でも、クリスマスプレゼントならなんでも作り出せる。
 かつては多くの雇用を生み出していた工場だが、今ではゴー……ロボットに占拠されてしまった。そのロボットも、今日は稼働していない。
「お城全体をビニールテントで覆って、毒ガスで殺虫とは……大変なことになってしまったでございますね」
「是非に及ばず。だが数日は城の外でテント暮らしだ」
「そのことでございますが……」
 お手伝いの妖精がもじもじとする。
「サンタクロース様とわたくしと、一緒のテントで――」
「ふっ、そんな狭苦しい思いなどさせぬ。ハクアたんテントも、ハクアたんストーブもカイロも、十分に備蓄があるからな!」
 冬はまだ終わらない。それでも遠く春の足音が。木々の声が。彼らには聞こえるのだった。

「モリ……モリ……こんなことでモリは死なないモリ……」
0454三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/29(日) 22:15:20.34ID:rok+j2Th
お題→『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』締切

【参加作品一覧】
>>425【あなたに出会えて本当によかった】
>>441【平面世界に喝采を!―二十五世紀のとある作り手は悦に浸る―】
>>446【愛惜サイゼリヤ】
>>449【XXXXXmas】
>>450【機知に富んだ紳士サン……】
0455三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/29(日) 22:16:44.45ID:rok+j2Th
では今回も通常お題5つです
今年最後の募集!

お題安価>>456-460
0456この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/29(日) 22:17:09.42ID:XuA4e/4C
ファイナル
0459この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/29(日) 23:36:41.16ID:XYnTF0Gb
0461三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/30(月) 01:07:45.60ID:f75TjNFz
☆お題→『ファイナル』『かがみ』『鈴蘭』『餅』『正月』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→1/5の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0462三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/30(月) 01:22:14.15ID:f75TjNFz
今年も最後まで遅刻で面目ない、以前のと足して1.5アウトかなぁ

しかしー、また席を外した途端に埋まるのね・・・
前回は意外と作品が集まり、今回もしっかりお題が集まりました

今年も残り二日、そして来年も、どうか引き続きよろしくです
0463三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/30(月) 01:24:45.96ID:f75TjNFz
>>449
これはひどいw
『クリスマス』を『平面』嫁と、『クローゼット』から『手入れ』されたアレ、主人公は『レジェンド』に・・・
これは、、ギリギリ遅刻してなくてセーフだけど、内容はアウト、アウトです!w
0464三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/30(月) 19:53:52.03ID:f75TjNFz
長文です・・・>>421の話をしようと思って、過去ログを見直してたんですが・・・

なんか作品だらけで、どれがどうってレベルではなかった

とりあえず、2019年後半のMVP?は、レイチェルシリーズで決まりですね
スレ5の843が初出、スレ6、スレ7と続きました
こんなに続くことになるとは、誰も予想してなかったと思いますw

感想は、やっぱり競馬実況さんね
今は休止中ですが・・・あれがないとお題スレじゃないみたいw

ベテラン氏と三代目進行も、まぁよく書き続けられたものだと・・・
(今でもそういう部分はありますが)特に前半は、ベテラン氏がいないとスレが持たなかった
この作品が良かった、みたいなのもありますけど、とにかく作品の総数が・・・

他にも印象深い作品や作者様、進行が意識して、または無意識に引用した作品とか、色々ありました
とにかく数が多過ぎて言及し切れないので、進行からは以上ですw
0465この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/30(月) 20:58:16.63ID:AEmpHtij
スレ6>>499【怪談「赤い壇」】

誰も蹴っていないのにカランカランと鳴る空き缶に恐怖心を煽られていく末に
ただ階段を転げ落ちてるから鳴ってるだけ…というオチに思わず笑ってしまいました
ギャグとホラーは紙一重、というのを上手く表現できた作品だと思いました
0466この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/30(月) 21:25:00.41ID:AEmpHtij
それからこちらも印象的でした

スレ>>688【星座は誰が決めた?】
とにかく架空の星座の連続攻撃に、読んでいて自分は一体どこの世界にいるんだ?と錯覚してしまいました
最後の言葉にハッと思わず我に返りました、今自分がいるのは地球でも何でもない異次元の世界だと(笑)
『妹座』なんてあったらすごく見てみたいですね
0467この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/30(月) 21:27:09.95ID:AEmpHtij
>>466の訂正ですがスレ6です
0468三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/31(火) 16:13:12.63ID:tNmZLvkC
その作者さんのだと、他にも挙げたい作品があるw
反対にすっげ長いのを書く作者さん(複数)のも力作ぞろいでした
0469三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2019/12/31(火) 19:12:42.27ID:tNmZLvkC
やっぱり感想企画は盛り上がらないですね・・・
でも感想書いてくれた人はありがとうです
書き込んでくれたのを見ると、あれもこれも面白かった、って言いたくなってしまう

企画の締め切りは今日までですが、感想自体は常時受け付けております
0471この名無しがすごい!
垢版 |
2019/12/31(火) 23:42:13.47ID:RyqJLILN
感想書こうと思って過去スレを開いたら自分の投稿が目に入ってしまいそっ閉じした。
0474三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/01(水) 15:32:02.42ID:iAf2iHWK
あけおめ〜
自作の感想って言うか、振り返っての後書きみたいなのを書いてもいいと思うけどねw
0475この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/01(水) 18:40:45.30ID:Tw0baF73
レイチェルシリーズの者です、あけましておめでとうございます!
自作の感想、ということで今まで書いた全てのレイチェルのエピソードに改めて感想をつけてみようかなと思います

スレ5 843【気分はいつでも西部劇】
記念すべき第1話。全てはここから始まった(笑)
悪ガキに奪われたウエスタンハットを取り戻すべく、西部劇マニアのレイチェルが奮闘する!
…とはいっても警察に通報するのではなく、自分から不法侵入して無理矢理にでも奪い返す(オイオイ)
少年が起きて見つかってしまって大ピンチ!しかし床に放置したままの機関車のモデルに足を滑らせ転倒、そして気絶
飼い犬のブリテリアもなんとか振り払い、無事に帽子の奪還成功!
結局悪ガキ本人がドジしたから助かったという…
本当にそれでよかったのか?感のあるラストだったと自分でも思います

スレ5 951【レイチェル、再び参上!】
前回、悪ガキから帽子を取り戻したことが地元で大きな話題となり、一躍有名人となったレイチェル
ただそれだけなのにここ最近頻発するおもちゃ窃盗事件を解決してほしいという依頼が舞い込んでくる
自分は警察でも探偵でもなんでもないただの西部劇マニアなのに
この話では今後何かとレイチェルをいじめてくる元女子プロレスラーの老婆ナタリーが初登場
まさかナタリーがあそこまで絡んでくるとは、自分でも書いてて想像ができませんでした
この話では『メキシカンスタンドオフ』という西部劇にピッタリなお題があったのに
レイチェルが自分から転んでピンチになるという展開はさすがにまずかったなと後悔しています
でもなんとか事件は無事に解決できて、めでたしめでたしということでw

スレ6 138【ガンマン VS アンドロイド】
レイチェルが、マッドサイエンティストの手によって生み出された自分のクローンにしてアンドロイドとの熾烈なバトル!
そんな強固なボディを持つアンドロイドもビー玉で転倒、拍車でコードを千切られあっさりダウン…
街に再び平和が訪れました、しかしそれは映画監督を志す一人のティムという少年が
小説サイトに投稿した一エピソードだった。彼もレイチェルの大ファンなのであった
ティムもこの後のエピソードで何かしらの形で登場させようかなと考えていたのですが、
再登場させることができませんでした。ごめんねティム(涙)
0476この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/01(水) 19:14:08.35ID:Tw0baF73
>>475の続き

スレ6 173【ガンマンはベビーシッター!?】
あの悪ガキとの騒動依頼、何かと便利屋扱いされるレイチェルにベビーシッターをしてほしいという依頼が舞い込んでくる
バーバラという少女の子守りをするが、バーバラは忙しい両親が自分に構ってくれないストレスを
思わずレイチェルにぶつけてしまうが、レイチェルはこれを優しくしっかりと受け止める
仕事も良いけどちゃんと娘とも遊んであげようね、とレイチェルは子守りの仕事を終えて去っていく
進行さんや実況競馬さんの感想でもありましたが、いつもの勧善懲悪とは違ったテイストの物語を書けて自分でも凄く新鮮味を感じました

スレ6 211【迷子のペット探し】
拍車をうっかり紛失しては買い直すを5回も繰り返してる、というレイチェルがいかにドジかが分かる回(笑)
またも拍車を無くしてしまった、無念なところにアニーという少女が現れて
迷子になってしまったトニーというイグアナのペットを一緒に探すのだがなかなか見つからない
最後はトニーも自分の拍車も無事に見つかって、終わり良ければ全て良し!なエンド
このアニーとトニーは書いてて凄く気に入ったキャラの一人(と一匹)で、
彼女達メインのスピンオフもいつか書いてみたいなあ、と考えています

スレ6 【ガンマンとしての自分を捨てた日】
もう何かと便利屋扱いされ、住人達はみんな自分を買い被り過ぎだと憤慨し、
レイチェルはいつものガンマン衣装をクローゼットに片付け、普通の生活を送ることに
大好きなガンマンのコスプレをやめて以来、町のみんなの雰囲気が暗くなってしまう
しかし困っている人を放っておくことのできないレイチェルはまたガンマンのコスプレを再開!
まあ、とにかく町の住人達はレイチェルに依存しすぎなのがよく分かる回ですw
一応、レイチェルの住んでいる町はあまり治安が良くないという設定があります

スレ6 423【老婆の復讐】
あの盗んだおもちゃを売り飛ばして荒稼ぎしていた、悪の老婆ナタリーが脱獄するというまさかの形で再登場
そんなナタリーに捕まってしまったレイチェルは、彼女から拷問を受けたりとピンチな状況に陥ってしまう
逃げ道が無くもはや絶体絶命、しかしあのアニーとトニーが飛ばされたレイチェルの帽子を見つけたことで
彼女の危機を察知、警察に通報したおかげでレイチェルは命を救われたのであった
アニーとトニーを再登場、活躍させることができてすごく嬉しかったです
再び逮捕され、遠い場所にある刑務所に送られたナタリーですがまた悪巧みをするから困ったものです
0477この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/01(水) 19:21:26.47ID:Tw0baF73
【ガンマンとしての自分を捨てた日】のレス番号を入れるのを
すっかり忘れてしまいました
正しくは252です
0478この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/01(水) 21:13:06.32ID:Tw0baF73
>>476の続き

スレ6 466【もっとクールになりたい!】
もっとクールになろうと頑張るけど空回りしちゃうレイチェルのお話
クールになろうと必死で子供達に変人扱いされるレイチェルや、ラストでクールでなくても
いつも優しくて一生懸命なレイチェルが大好きと励ます子供達を書くのは楽しかったですし
何より心が和みました。ちなみにレイチェルは本当は勧善懲悪とかそういうのではなく、
正義とか悪とかに一切こだわらないダークヒーローものが大好きという設定です

スレ6 516 【深夜の赤信号にご用心】
ナイトバザーの帰り、豪雨に見舞われ急いで帰るも交差点の赤信号で立ち止まった時、
血で染まった赤い手に足を掴まれてレイチェル大ピンチ!
でもそれはただの赤いロープで足に絡まってただけというオチでしたw
昨夜見たホラー番組の内容と同じ状況になってしまって、あたふたするレイチェルを書くのが楽しかったです
ホラーとか心霊物は、本人の思い込みや精神が大きく関わってくるんだろうなあと感じました

スレ6 548【ガンマンのアウトドア】
レイチェルがアウトドアを楽しもうと湖畔へと出かけ、楽しい時間を過ごすお話
いつもレイチェルは徒歩で移動することが多いから、実は車持っていないというイメージを持たれがちでしたが
ちゃんと車持ってますよ(笑) また、この話で大学時代の恋人であるライアンの存在が示唆されています

スレ6 605【再会、そして新たな道へ】
レイチェルシリーズ無印編の最終回です
この話でライアンと再会し結婚、アメリカを離れてシチリアへ旅立つことになります
ライアンはレイチェルシリーズ開始からまだ間もない頃から構想していたキャラで、必ず本編に出そうと考えていました
俳優になろうとハリウッドへ旅立つも、実力を認めてもらえず挫折を味わったライアンですが
料理人になってレストランを開業することもまた夢の一つであり、レイチェルは喜んでライアンに協力します
シチリアへ旅立って3年、レストランは成功しそこでは楽しく仕事をするライアンとレイチェルの姿があったのでした
当初はこの話でレイチェルシリーズ完結の予定でしたが、その後のシチリア生活を想像したら
楽しくなってきちゃって、勢いでそのままシチリア編へと続くことになりました
とにかく大好きなライアンと再会、そして結婚できて本当によかったねレイチェル、この一言に尽きます


…ということで本日はここまでにして、明日以降シチリア編の感想を書こうと思います
0479この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/01(水) 22:13:38.03ID:EpjroY3E
レイチェルさんばっかりだと味気ないだろうし、俺もちょっとだけ書こうかな
0480三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/01(水) 22:48:19.87ID:iAf2iHWK
>>478>>479
どちらもそうしてもらえるとw

って言うか長文でびっくりしたわ、シチリア編のはもう少し手短に頼みますw
トニーアニーは同じく気に入ってるー、赤信号の話も面白かった
0481この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 08:54:14.32ID:iynzRM1r
スレ6 581【朽ちを知る】

ここに初めて投稿した作品。「なんでこいつら全選択ばっかしてんだろうな?」って思いながら一個だけ選択して、夏目漱石風のタッチを意識して書いた。
書き始めたのが水曜日で最後までは書ききれずキリのいいところで終わらせたけど、実はあのあと鯉が思考を重ねながら慌てて河口まで泳ぎ、
何かの「真実」にたどり着いたとき自ら死を選ぶというエンドを予定してた。
着想はうちの近く川から河口のとこまでサイクリングしたときに。
鯉の感情を人間にわかる形で表現することを意識するのと、雌の鯉の体をエロティックに描くことがなかなか難しかった記憶。

スレ6 618【剔抉】

自らお題に最近授業で学んだ「シチリア」をぶち込んで書いた。
書きづらいのつっこんですまねえ。
太宰治風のタッチを意識して書いたら行が長すぎで投稿できない。
でも妙に短い段落分けになるのは嫌だったので、あえて変な改行させて違和感を鮮烈に覚えさせることで同じ段落を意識させる方法をとった。
あとギャングぶち込んだのは絶対に黄金の風の影響受けてる。
「意識」はしていないが必ず! 絶対に受けているッ! 
暗い中での男の逡巡を延々書きつつ緩急つけきれずにまだ未熟だなと実感した。


スレ6 713【遅い春を、駆ける】

内容には太宰の得意とする女性の告白体、タッチは女流作家を意識して書いた。
「自分をありのまま受け入れてくれる娘との心中」という理想がテーマで、
主人公のモデルは予備校で可愛いと思ってるちょっと陰気な女の子。
彼女の三十年後を想像したけどやっぱりかわいい。
多分今は付き合わないだろうなって思って書いたらほんとに付き合わなかった。ちょっと寂しい。
俺の中では二人はあのあと山で自殺していて、街に向かったのはそのための薬を取りに行くためというのが裏エピソード。
自分の中でこの三作では一番出来が良かったと思ってる。
なので知り合いなんかに見せることが多く唸ってもらえるけど、改めて読み返すとまだまだうまく書けるなと感じる。
0482この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 09:08:10.25ID:iynzRM1r
あとがきイベントにしたほうがいいかもな
こんなに堂々と汚いオナニーできる機会もあまりない、結構気持ちいいよ

あのあとしばらく忙しくなっちゃったんで書けてないけど、ここのシステムはなかなか構成抜きで描写力を鍛えるのには最適と思ってるからまた3月頃になったら書くよ
そうでなくとも友達には結構紹介してる


でも今構想ある作品がもろ男同士がアナルセックスする話なのでこっちに公開できないのが残念すぎる
0483この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 11:18:59.78ID:PUCDRuUa
お題:『復讐』『魔物』『両親』『妹』『スケルター』『吸血』

【ブラッドリベンジャーズ】
40XX年。
惑星ブラッドネス。
その星には、血式人と呼ばれる存在がいた。
多くの血式人達は平穏に暮らしていたが、突如デストロスの襲撃により、世界は混乱した。
血式人の一人である少女マナテリアはデストロスに襲われるが、突然ブラッドキャリバーという大剣を授かり、デストロスと戦うが、その最中に両親と妹がデストロスに殺害されてしまう。
その悲しみと怒りのあまり、自分自身がブラッドスケルターになり、デストロスと戦う。
両親と妹を失った悲しみに暮れるが、ネビュラスの隊長に誘われ、デストロスを根絶やしにするため、ネビュラスに入隊する決意をする。
0485この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 19:22:33.13ID:Z1ryfNsN
>>48
【最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜】
直後に痛いレスをした通り、よくわかお題スレが消えて移住先を求めて辿り着いた直後に書いた話
褒められて調子に乗って居着いたところはあるので、感想書いてくれた方には感謝
神様ぶっ殺思想(ジョジョ的に言うと運命は自分で切り拓く的な)はわりと基本理念なので、最初に一行目が浮かんでそこから勢いで書いた
セックスという単語を入れてみたことで挑戦的だなぁと満足している、ただし作者は……
ヒロインは嫌いではないものの、極まった奴が好きな性癖的には一番タイプというわけではなかった
>>116
【世界で一番美しい音色】
初回で褒められたことに気を良くして書いた話、やべーカップル書くのがそこまでぶっちぎりで
好きなわけでもないんだけどなぁと思いつつ、表現者の執念に囚われた主人公と愛に囚われたヒロインは書いてて魅力的だった
この頃悩んでた長編書けねぇ問題は最近解決して、最近は長編書き進めては悦に浸ってる変態に進化した
>>186
【万世元年】
確か最速タイムアタックやろうとして、出てきたお題で万世元年って何だ!?って動揺しつつ書いた話
今のところ一番狂った話だし、ここまでイカレた世界観は中々書く機会ないので面白さというより尖りっぷりは個人的に好き
>>307
【吹雪の中で暖を取る、たった一つの冴えたやり方】
なんか荒れかけてるので一本書こうと思って書いた、わりとお題が統一感あってスルッと出てきた話(他も勢いだけど)
デスゲーム物は意外と書くの難しいけど、主人公と幼女ヒロインがどっちも既にだいぶSAN値削れてるって設定は書いてて楽しかった
お目目のハイライトが消えつつ満面の笑顔浮かべてそうな幼女が可愛い
>>441
【平面世界に喝采を!―二十五世紀のとある作り手は悦に浸る―】
平面ってフレーズがもうSFしか連想できず、元々わりとSF書きなので勢いでいった
次元に関する自分世界物理学はあんま他で出してないので書けて楽しかった
「未来のマイクラ」は確かに……と思った、AI脅威論とか新技術に恐がってばっかの人へのアンチテーゼ?というほどでもないノリで書いた話
ぼくっ娘でアバターが女の子だが、四次元世界の本体が男か女かそもそも人型かは定かではない(考えてない)

書いてみたら確かに楽しいなこれ……
このスレで書き始めてからメインの長編も順調になったので感謝も込めつつ
0486この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 19:34:56.68ID:Z1ryfNsN
元旦ネタは一つ思いついてるけど、長編書くのが余りにも楽しすぎて手、というか創作用思考が割けない……
0487この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 20:39:36.06ID:DNC7d8yk
>>478の続き

スレ6 671【あの日見た夜空】
こちらはシチリア編の第1話…というより無印編最終回の後日談といった感じです
星座当て勝負を楽しむライアンとレイチェルの幸せそうな姿を想像しながら書くのがすごく楽しかったです
ここからシチリア編も書こうという意識が一気に強まってきました

スレ6 720【楽しい休日】
こちらがシチリア編の正式な第1話ですね
暗い森の中を怯えながらライアンを恋しがるレイチェルが書いてて一番楽しかったです
私もライアンみたいにレイチェルにちょっかいかけたり、いじめたくなる時がございます(オイ)

スレ6 776【一つ目の悪魔】
無印編の【老婆の復讐】の焼き直しみたいになってしまったお話ですね
いきなり新キャラのノーマンが出てきて、こいつ誰?と思った方も多かったでしょう
この話を書く前に出すべきだったとちょっぴり後悔しています

スレ6 841【どんな衣装が一番?】
レイチェルが初めて黒猫コスになる記念すべき回ですねw
レイチェルも恥ずかしがってるように見えて、新境地を開けたと喜んでいたりしてw

スレ6 891【ハロウィンの夜の決闘】
ライアンとガンマン衣装を奪われたレイチェルが黒猫コスで大活躍!
犯人である市長の秘書の犯行動機をもっとじっくり書きたかったのですが余裕が無く、
かなり省いた内容になってしまって惜しかったなぁと感じています
でも黒猫コスで秘書と戦いを繰り広げるレイチェルに力を入れて書けれたので満足です
0488この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 21:13:44.65ID:DNC7d8yk
>>487の続き

スレ6 943【とある教会での出来事】
シチリア編きって?のドタバタ回にして、ジュディちゃんの初登場回です
好奇心旺盛が故にトラブルを起こしちゃうレイチェルには私も本当に困ったものですよ、勝手に行動しちゃうんだからw
トリニティ・サンダーボルトももっと活躍の機会を与えたかったキャラの一つです
あと無印編でよくあった拍車ネタを久々に使って、思わず懐かしく感じちゃいました

今スレ 6【最高の一枚】
レイチェルは自撮りが苦手、というのが分かるだけのただの些細な日常回と思いきや
前回登場し亡霊となったジュディちゃんが写真に写る形で再登場!というサプライズを書けて楽しかったです
これでジュディちゃんはライアンとレイチェルと同じ家族の一員になれました

今スレ 44【定休日は有意義に過ごそう】
ライアンとゲーム勝負に負けたレイチェルが罰ゲーム?として黒猫に変身したり、
ラストで秘密の丘で星座当て勝負したりとシリーズ屈指のほのぼの回だなと書いて思いました
もうライアンは本当にレイチェルに対して意地悪なんだから!

今スレ 138【忍者、現る!?】
今まで一話完結式で悪人を倒してきたレイチェルが倒せなかった謎の忍者の初登場回です
こういう今まで出てこなかったのがおかしい?くらいの強敵を出せて良かったなと思います

今スレ 209【幸せの青い蛾?】
これまた好奇心旺盛なレイチェルがトラブルを起こしちゃう傑作です
青い蛾は本当に珍しいかもしれないけど周りが見えなくなっちゃって突っ走ったら
ライアンが心配するから程々にしないとダメだよレイチェル!

今スレ 253【忍者、また現る!そして決着!】
謎の忍者との決着にして、【ハロウィンの夜の決闘】と同じくらいのアクション回です
ナタリーは一体どこまでレイチェルに対して逆恨みしたら気が済むのか、
やっぱり悪人には天罰を下さないといけないですね!
0489この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 21:28:41.03ID:RyiOEYoe
スレ7 446 【愛惜サイゼリヤ】

 好きなバンドのとある曲に着想を得て書いたプロットをもとに『クリスマス』というお題に沿って書き直した。
 センター試験の過去問を解いている際の古文の分野。
想い人どうしが和歌を詠みあって想いを表現するという話が素敵だと思った。
現代に生きる友達でも恋人でもない関係の二人の片方が和歌を使って想いを遠回しに伝えさせてみたくなり、和歌を絡めた話にした。
 出かける先に日光を選んだ理由は、最近自分自身が訪れた場所の中で特に滝が綺麗だった場所だったから。
作品中に入れる和歌として水にまつわる『瀬を早み.......』を選んだ。
そのため滝や川のような水に関係のある場所を登場させたかった。
 書いている間に機種変更をし、その際に使用するキーボードアプリを変更した。
そのため記号の全角半角が混ざってしまっていたが指摘されるまで気がつくことができなかった。
推敲不足だった。
また、投稿慣れしておらず、一文の文字数がどのくらいまで平気なのか勝手が分からなかった。
改行しまくった結果訳の分からないところで改行されてしまい読みにくくなってしまった。
自然な改行ができるように気をつけたい。
0490この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 21:37:13.14ID:DNC7d8yk
>>488の続き

今スレ 284【夢は決してあなたを裏切らない】
シチリア編最終回にして、レイチェルシリーズ完結回です
俳優になる夢を叶えることができたライアンとそれを心から大いに喜ぶレイチェル、書いてる途中でもう涙出てきそうでした!
シチリアで過ごした楽しい日々は2人だけでなく、私にとっても最高の思い出にして素晴らしい経験となりました

今スレ 401【アイス売りのガンマン】
完結したレイチェルシリーズの番外編です
あの悪ガキとの騒動以前にこんな知られざる真実(?)があった!という展開も面白いかなと思って書いた回ですね
アイス売りのおじさん、ちょっとツンデレ?なだけでレイチェルのこと好きだったのかもしれませんw

今スレ 425【あなたに出会えて本当によかった】
クリスマスの季節ということで書いた特別編です
たとえレイチェルがお人形だったとしても必ずライアンと出会い、幸せになる運命だという話をいつか書きたかったんです
ライアンとレイチェルはジュディちゃんの存在にちゃんと気付いており、彼女にプレゼントを贈る展開は
レイチェルシリーズを締め括る最高のラストに仕上げれたと達成感を感じています

これでレイチェルシリーズ全エピソードの感想、振り返りは以上です
レイチェルやライアン、ジュディちゃん、みんな本当にありがとう!
0491この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/02(木) 21:42:20.59ID:DNC7d8yk
>>480
自分で感想を書くとなるとつい熱くなっちゃって長文になってしまいました
それからアニーとトニー、お気に入りと言っていただけて本当に嬉しいです!
ボクっ娘とイグアナのペットの組み合わせは自分でも斬新かなと思ったほどでした(笑)
0492三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/03(金) 01:22:24.51ID:6SLSXW9e
振っておいて悪いけど、後書きイベント長文でウザいなw
でも書いてくれてありがとう
やっぱりみんなそれぞれ色々と考えて書いてるってことが分かりましたー

思ったのは、まぁ当たり前だけど、自作に自信奴と自信なし奴がいるのね
自信なし奴の作品も、本人が思ってるよりは面白いので、ブラウザ閉じるほどじゃないのでw

後書きの感想も投稿しようと思ったけど、更に長くなるのでやめますw
ただここまでの4人の後書きレスは全部読んでるのでよろしく!

>>483
新年初作品らしきあらすじ! 今回お題と全然関係なし!
ひょっとして面白いんじゃないかと思ったけど、まぁいいやw
0493三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/03(金) 01:44:40.24ID:6SLSXW9e
蛇足だけどやっぱり出しておきます・・・
【剔抉】感想が一杯で(進行的には)ありがたかったw、他のも力が入ってた
【万世元年】あれで動揺してたとはw、長編書けてるのは良かった
【愛惜サイゼリヤ】注意したが推敲不足おk、渋さ真面目さは身近な題材を素直に選択してたのね
シチリア編、こうして見ると本当に色々あった・・・サンダーボルト忘れてたw、最後は本当に最高だった
0494この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 04:37:46.91ID:sdnwbqT3
>>振っておいて悪いけど、後書きイベント長文でウザいなw
ひでえw
でも凄いわ、ほぼ毎回全文読んで……三代目進行さんには頭が上がらんね
>>490
>>書いてる途中でもう涙出てきそうでした!
ああいいなぁ、レイチェルの人の創作への情熱ほんと好き、俺も頑張ろうって思えます
あなたに出会えて本当によかったは、失礼ながらこういう作風も書けるんだ、と驚いたし感動しました
0496この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 10:08:01.94ID:sdnwbqT3
またすげーのが湧いて……きてるな
自治もあれだし、スルーにしろ何にしろ対応は任せよう
0497三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/03(金) 13:39:00.48ID:6SLSXW9e
>>496
多分毎回同じ人だと思うんですよ
んで何かしてあげたいんですけど、ここはお題小説スレであって、人助けスレじゃないんだよなぁ

>>495
それでまぁなるほどねw
マジレスすると、二次ならハーメルンとかで書いてください
ここは二次禁止じゃないけど、お題を使わんのなら話にならんね

そうじゃなくて、このあらすじで書いてくれ、って話なら、それはないな
そこは自分の頭を使うなり、目の前の箱で研究するなりして、自力で何とかするしかない
0498この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 14:05:31.65ID:sdnwbqT3
そうなんだ
まぁもっと凄い荒らしも山ほどいるし、進行の妨げにならないならいいか
0500この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 18:02:56.95ID:MlQJRaoB
>>494
レイチェルシリーズの者です
私の創作への情熱が好きだなんて…嬉しいお言葉ありがとうございます!
【あなたに出会えて本当によかった】は今まで書いたことのない感動ドラマチック系でしたので
あまり自信が無かったのですが、すごく楽しんでいただけたようで私も思わず感涙です
あと他にも短編もたくさん書いており、それらの方にも振り返り感想をつけてみようと思います

スレ5 138【ルーズってのもいいじゃない】
初めて投稿した作品です
愛用品に時代遅れなんてそんなの関係ない!というメッセージを伝えたくて書きました

スレ5 158【ハチャメチャウエスタン】
私にとって思い入れの強い作品の一つで、レイチェルシリーズのベースとなったといっても過言ではありません
本当の西部劇かと思いきや実はコメディ映画の撮影でした…というラストは書いてて楽しかったです

スレ5 251【ブーツ探し】
ブーツを奪われた主人公と探偵を名乗る少年のちょっぴり奇妙?なお話
盗んだブーツをオークションに出そうとする犯人の男は、今読み返してみると
まんまレイチェルシリーズのナタリーだなと笑っちゃいました

スレ5 439【思い出は風化しない】
こちらも非常に思い入れの強い作品の一つです
そろそろ中学生に進級する主人公のお気に入りのハイソックスにまさかの悲劇が!
どんなに大切にしている物でもいずれ古くなってお別れしないといけない時がくるもの
それを主人公がいかに受け入れるかを考えながら書くのが楽しかったです

スレ5 880【せっかちなんて百害あって一利なし】
ドラマの最終回を早く見たいがために近道をする主人公の女子高生がまさかの泥道との格闘
ちゃんと録画してあるというのに、本当そそかっしい主人公で書いているこっちも心配になってきましたよ(笑)
0501この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 18:36:01.93ID:MlQJRaoB
>>500の続き

スレ6 132【幸運の白ウサギ】
定義が非常に難しいSFがお題でしたので、なんとかSFらしく書こうと苦労した作品です
落し物拾ったのに交番に届け出ない主人公にツッコんだ人も多いはず(笑)
ウサギがとんでもなく嫉妬深いモンスターでしたが、あの最期はちょっと報われない感じがして
ちょっと罪悪感を感じました。ウサギだって主人公のことすごく好きだったでしょうし

スレ6 272【マイライフ・アズ・ブーツ】
ロングブーツという靴、いわば無生物を主人公にした物語です
これまでの短編でよく書いてきた「愛用品との別れ」というテーマを
無生物視点で書いたのは、自分でも大きな試みだったなと思います

スレ6 417【登校中の悲劇】
遅刻しそうで焦る主人公の女子高生に降りかかる数々の受難…
もっと冷静に、落ち着いてさえいればトラブルに見舞われることも無かったかもしれませんねw

スレ6 430【マイライフ・アズ・ブーツ THE FINAL】
まさかの続編にして完結編。いやあ私も続きを書くとは本当に予想外でした(オイ)
履き物としてはもう使い物にならないのは、靴の立場にしてはすごく辛いことだけど
別の人生を見つければ、また幸せを掴むことができるんだよということを表現したくて書きました
0502この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/03(金) 18:52:32.75ID:MlQJRaoB
>>501の続き

スレ6 686【狙われた靴下】
主人公が謎の兄妹によって、サイハイソックスを奪われるという災難に見舞われる奇妙なお話
夢で安心、しかし背後からあの兄妹が迫ってきていることを主人公である彼女は知る由がなかった
ちょっとオチをどう書こうか分からなくなってしまって、最後は投げやりになってしまいました
もっと考えながら書くべきだったと少し後悔しています

完結したレイチェルシリーズ、現在続いているカナミとケンスケ姉弟や魔法少女ナツミシリーズを除けば、
今まで書いた作品はこれで全部ですね。もう早く気付いた人も多いかもしれませんが、
私、靴や靴下(特にハイソックスやニーソといった長い系)といった履き物を題材にしたお話を書くのが大好きです
今後も履き物メインのお話を書くことが多いかなと思いますw
0503三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/04(土) 00:10:35.45ID:P2I9Im3t
どこまで続くかと思ったw
そしてどれも覚えてる・・・ルーズ、ウエスタンが一作目二作目だったとはw
自分がスレに流れ着いたのがその頃なので、こちら読者としても印象深い作品です
0504この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/04(土) 01:08:38.17ID:UzdEDq43
闇金紛いの事をやってる淳くんの話と子供の恋愛話。あと、女体化競馬実況さんの話を書いてました。

淳くんはとある地方の超有力者の息子の1人で悪ガキ共の親分。性格はサイコパスそのもの。親の七光りと己の腕っ節の強さで善悪の判断無くやりたい放題してる男です。敦以外にも兄妹がいたりのと色々な設定があるので、時間と機会があれば書いてみたいです。

子供同士の恋愛は性癖。

女体化競馬実況さんの話は楽しくてノリノリで書いてました。

本当にごめんなさい。

今年もまたなにか書きますので宜しくお願いします。
0505この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/04(土) 08:07:58.81ID:h1p19cgT
結構あとがき盛り上がってんじゃん!
これからも定期的にやらん? これ
0506この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/04(土) 08:22:33.90ID:uY4fJDIc
進行さんの負担がえらいことになりそうだなw まぁその場合はある程度読み飛ばしても構わないかと
感想企画がほぼなくてあとがきだと元旦らしい大盛り上がりなのは面白いよね
人の作品に興味がないわけじゃないだろうけど、やっぱ自作のが覚えてるし思い入れもあるよね、ここは「書く」スレだから
0507三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/04(土) 13:42:57.93ID:P2I9Im3t
本当に時々やれば楽しいでしょうねw
流れから軽い気持ちで振っただけなのに、こんなに盛り上がるとは

>>504
あれとあれが同じ作者だったとは!
言われればですが、作風が違うから別人だと思ってたw
0508この名無しがすごい!
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2020/01/05(日) 21:57:37.46ID:gJqvPXzf
>>461
お題:『ファイナル』『かがみ』『鈴蘭』『餅』『正月』

【最初で最期の春】


『さあ! 今年も既にファイナル!! カウントダウンの開始です!!』

 茶髪の司会者の言葉を聞きながら、大野 健は鼻白んで眉をひそめた。
 周囲には家族連れやカップル等が、ワイワイと楽しそうにしており、華やかな雰囲気を醸し出している。

(やっぱり来るんじゃなかった)

 そう、1人心の中で呟いた。

 そもそも健がこんなホテルの催しに参加したのはチケットが有り、尚且つ予定がなかったからだ。
 いや、正確には“有った”。それも、このホテルでである。

 マフラーを上げ、ダウンジャケットのポケットに手を突っ込む。
 指先に触れた紙袋の端に眉を顰め、それを握り潰した。

 ******

「健にはさ、私って必要ないよね?」

 大学の頃から付き合っていた篠原 佐由美はそう言った。
 特に言葉を繕わなくても、側に居るだけで良い。そんな距離感の心地好い関係だと思っていたのは、健の方だけだったらしい。

「知ってる? 笹山くん。 ゼミの後輩だった。彼がね?『付き合ってほしい』って『僕には君が必要だ』って」
「え」

 そう言われた瞬間、健の頭は真っ白になった。そもそも、自分と付き合っているんじゃないか? とか、何でそんな事を自分に話すんだとか、様々な事が頭の中をグルグルと回って行く。

「……だよね、健、私の事なんて必要ないもんね……じゃ、サヨナラ、バイバイ!!」

 あまりの急転直下に、言葉が出て来ず、口をパクパクとさせる。手足が鉛の様に重くなり、去って行く佐由美の後を追う事も出来なかった。

 ******

『ハッピーニューイヤー!! 新年あけましておめでとう!!』

 健がボウっとしている間に年は明け、新年へと成って居た様だ。
 ラウンジから見える中庭には、簡易的な神社が作られていて、ホテルの来客たちは、早速と初詣にしゃれ込み始めていた。

「すみません、通ります〜」

 そう声を掛けられ、健は慌ててそこを退く。
 見れば、巨大な鏡餅と賽銭箱が据えられる。実際に参拝出来る様な物ではなく、お正月のオブジェと言うヤツであろう。

 楽しそうな周囲を眺め、酷く孤独な気分に成る。

 ふと、先程、指が触れた紙袋を取り出した。袋を破き、ひっくり返す。
 彼女が好きだと言っていた鈴蘭を模したイヤリング。
 健はソレを自棄気味に賽銭箱へと放り投げた。

 イヤリングは、チャリっと音をさせ、賽銭箱にスポっと入った。
0509この名無しがすごい!
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2020/01/05(日) 22:04:19.72ID:fv/Pl5T6
>>461

使用お題→『ファイナル』『かがみ』『鈴蘭』『餅』『正月』

【短日のこと】(1/2)

 正月のある日、僕は散歩に出る。
 外は風もなく穏やかで、ねずみ色の空に、かたくり粉の雪原が広がる。
 足跡一つない。
 歩く。歩けばぎゅるぎゅる鳴って、雪が潰れて、僕の足跡が残る。
 ぎゅるぎゅるが残る。
 足跡に、耳の中に、残ったぎゅるぎゅるは、ぎゅるぎゅる反響して、僕の体を温めた。

 *

 黒い林の横を通った。白い世界との落差で、林の中はよく見えない。
 僕は、特に注意もせず、林の横を歩いた。
 影が流れ出す。
 流れ出した影は、しかし、僕の足跡にすら届くことなく、雪の中に溶けてしまう。
 なあんだ、おかしいな。そう思って歩いていると、今度は小さいのが三つ、僕の目の前に飛び出した。
「ヤッ、コレハ、チュウ」
「デッカイヤツダ」
「トマルナ、チュウ」
 僕もそいつらも驚いて、雪の中で停止した。ネズミだった。
 その時、林の中で、白い影が揺らめいた。見ると、その影は、餅が伸びるように細く、長くなって、林の奥へと消えてしまった。
 するとネズミたちは、気が抜けたようになって、その場にへたり込んだ。
 僕はネズミたちから話を聞いた。それは小さな冒険の話だった。

 *

 ネズミたちの名前は、それぞれ、ファイナル、リーガル、ロイヤルと言った。
「オレガファイナルダ」
「リーガルトハ、チュウ、ワタシノコトデス」
「オイラガロイヤルダゼ」
 僕には全員が同じように見えた。
 ネズミにしては変わった名前だが、それは、ちょっと賢いやつが一族にいて、ハイカラな名前を付けて回ったのだった。
 そいつはもう死んでしまって、群れの中で、気の利いた名前のネズミは、この三匹で最後だった。
 そんなネズミの群れに、ある日、問題が持ち上がった。
 餌が足りない。
 ネズミたちは、一族総出で、冬籠りの準備をする。雪が降るまでの間、ねぐらに餌を集めるのだ。雪が積もったら、餌集めは終了だ。ネズミたちにできることはない。
 山ほど集めたはずだった。巣穴が一杯になるくらい。事実、餌はまだ沢山残っている。だけど春まで過ごすには全然足りない。
 ままあることだった。所詮はネズミのやることだ。とは言え、去年も、その前も、大丈夫だったのだが。
「オレタチコレデオワリカ」
「ウエジニカ」
「タベモノ、チュウ、ドコカニ……チュウ!」
 誰かが思い出した。
 林の中。ほこら。お供え物。
 まずは調査のため、三匹が選ばれた。若くて、素早くて、仲のいい三匹だ。
 風のない、穏やかな日だった。三匹のネズミは、白の世界に飛び出した。
0510この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/05(日) 22:04:55.67ID:fv/Pl5T6
【短日のこと】(2/2)

 雪の上は冷たくて、手足がじんじんするようだった。
 見慣れた地面は雪に隠れ、三匹は迷子になりかけた。
 立ち木を目印に、ウサギの足跡を追う。カモシカの気配。カラスの視線を感じる。
 やがて三匹は、ほこらのある林の外に到着した。
「ダレガセントウ、オマエガセントウ」
「ワタシガマンナカ、チュウ」
「ダレデモオナジ」
 危険な生き物が隠れているかも知れない。見通しの利かない林の中、何者かの呼吸が満ちている。
「おい」
「チュウ!」
 後ろから声がした。ネズミたちは飛び上がった。振り返って確認すると、黒いイノシシが立っていた。
「やめとけ」
 イノシシは、ただそれだけ言うと、そっぽを向いて立ち去った。
 それでもネズミたちはぐずぐずしていたが、誰か一匹が踏み出すと、なし崩しに歩を進めることとなった。

 *

 林の中は静かだった。
 初めはびくびくしていたネズミたちだが、どうやら危険がないらしいことが分かると、ほこらのありそうな方角に向かって、着実に進んでいった。
 木々の間を抜け、雪に覆われた道をたどり、小高く積み上がった場所を乗り越えると、そこには季節外れの光景が広がっていた。
「ハルダ」
「ナンダコレ、アノヨカナ」
「チュウ」
 ほこらがあった。
 そこは小さな広場で、地面が出ており、草は青々として、色取り取りの花まで咲いていた。
 ネズミたちはすっかり驚いて、凍える手足も置き去りに、ぼんやりと立ち尽くした。
 それから、また誰か一匹が、広場に足を踏み入れた。それで三匹で連れ立って進んでいった。
 スズランの花が揺れていた。
 ネズミたちはその花をよけて歩いたが、横を通った時、その揺れが不意に大きくなって、がらがらと音まで鳴り出した。
 すると広場の様子が一変して、銀月を映す鏡のように輝き、ほこらからは白い何かが顔をのぞかせた。
 ネズミたちには、それが白いキツネのように思われた。
 三匹は転がるようにして逃げ出した。白いやつは追ってきた。
 自分たちの足跡を踏み付けて、ネズミたちは必死に走った。
 それでとうとう林を抜けて、僕の目の前に飛び出したのだった。

 *

 ネズミたちは食べ物の調達に失敗した。このままでは帰れないと言う。
 僕は彼らを気の毒に思って、お正月の残り物を分けてやろうと言った。
 散歩を途中にして家まで戻り、僕は玄関の戸を開けた。ネズミたちは僕のすぐ後ろにいた。
 猫。
「チュウ!」
「ニゲロ!」
「ハシレ!」
 僕は飼い猫のことなどすっかり忘れていた。
 三匹は素晴らしい逃げ足で、僕と猫の前から消えてしまった。
 それで彼らがどうなったのか、僕にはとんと分からない。
0511三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/05(日) 22:11:00.78ID:fv/Pl5T6
お題→『ファイナル』『かがみ』『鈴蘭』『餅』『正月』締切

【参加作品一覧】
>>508【最初で最期の春】
>>509【短日のこと】
0512三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/05(日) 22:13:23.35ID:fv/Pl5T6
それでは新年最初の募集、通常お題5つです

お題安価>>513-517
0514この名無しがすごい!
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2020/01/05(日) 22:24:11.06ID:bGV5/xjg
カマキリ
0515この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/05(日) 22:38:11.97ID:Ei55ZMga
みかん
0518三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/05(日) 22:56:15.97ID:fv/Pl5T6
☆お題→『お酒』『カマキリ』『みかん』『出初式』『うどん』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→1/12の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0519三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/05(日) 22:57:55.20ID:fv/Pl5T6
進行は相変わらず遅刻ですが・・・まぁそれはいいや・・・
後で少しだけ自分の後書きも書くw

そしてお題は、引き続き正月っぽいですね
今年も安価お題スレを、どうぞよろしくお願いします!
0520三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/05(日) 23:08:36.98ID:fv/Pl5T6
>>508
そして新年一発目に悲しい話w、新年の喧噪と孤独;;
今年も『ファイナル』、『正月』のオブジェ『鏡餅』、『鈴蘭』のイヤリングを投げる
コンパクトにお題を消化して、ビターな余韻のある話でした
いいな
0522この名無しがすごい!
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2020/01/05(日) 23:30:06.62ID:mDOP2ZQl
>>518
☆お題→『お酒』『カマキリ』『みかん』『出初式』『うどん』から1つ以上選択

自転車の前かごにみかん、後ろのかごにわたしを載せて大通りを走るお母さんの服をもちのように伸ばしながら、
わたしはあしたの
「もうすぐ春ねぇ」
0523この名無しがすごい!
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2020/01/06(月) 00:57:28.06ID:n2YeOnm/
>>522
誤爆ったすまぬ

《あれがたべたい》

自転車の前かごにみかん、後ろのかごにわたしを載せて大通りを走るお母さんの服をもちのように伸ばしながら、
わたしは伸びた部分が餅にならないだろうかと5才児の小さなあたまを悩ませていると
軽快に自転車を走らせていたお母さんが自転車を降りてゆっくりと歩き出した。

「ではつしき なんだって、あなたのだいすきなあかいくるま みていきましょうね」

お母さんはそう言うとみかんとわたしを連れて最強にかっこいい消防車の前にわたしを連れていってくれたが、
わたしはというと辺りに漂う湯気の香りに夢中だった。
お酒、焼きそば、お団子……よくわからないながらも魅力的なワードの行列に、ぐずぐずと歩みをのろくしているとお母さんは諦めたように屋台の一つに吸い込まれてくれた。
お母さんの足に挟まれ、うちのチャーリー(カマキリ)がわたしに捕まっている気分を味わいながらいい匂いをふすふすを嗅いで待っていると、
お母さんは白いお椀を持って壁際に並んでいる椅子にわたしを連れていき、
短く切れたうどんをわたしの口元に寄越してくる、
わたしはありがたくそれを頂戴し、お母さんはろくに何も食べずにまたわたしを連れて自転車に向かおうとした。
わたしがあんなにお腹が空いていたのだ、お母さんも空いているに決まっているのに、なぜお母さんは食べないのだろう?

温かいうどんで空腹が紛れたわたしはポケットからチャーリーが作ったメレンゲのような卵鞘を母に差し出して食べてと言うと、お母さんはなぜか引きつった顔で呟いた。

「もうすぐはるねぇ」
0524三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/06(月) 19:26:50.03ID:9x03S0qB
>>523
深夜に早速w
『みかん』と5才児、『出初式』に『お酒』や『うどん』、『カマキリ』の卵鞘
生煮え感もありつつ、細部に、お母さん漢字w、生活感がありますね
日常の一コマ
0525この名無しがすごい!
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2020/01/07(火) 15:56:07.65ID:rurB6yyO
>>518
使用するお題→『お酒』『カマキリ』『みかん』

【酔っ払ってしまった弟】(1/3)

冬休みが終わる3日ほど前のことだった。
カナミは宿題である計算ドリルを終わらせようと頑張っていた。

「あと少しで宿題全部終わる、頑張らなくちゃ…!」

正午、父が早く仕事を終えて家に帰ってきた。

「ただいまー!」
「お帰りなさい、あなた。早いけどビールでも飲む?」
「ああ。仕事もなんとか一段落ついて安心したから、グイッと一杯やりたいね」

スーツから部屋着に着替えた父は冷蔵庫からビールを取り出し、グラスに注いでいると
突然プルルルとスマホが鳴り出した。

「はい、もしもし。七尾です」

会社の同僚からの電話のようで、父はそのまま食卓を離れてリビングの方へと向かった。
その間、友達の家に遊びに行っていたケンスケが家に帰ってきた。

「ただいまー!ふぅ、喉が乾いて何か飲みたいな」

食卓に入ると、グラスに注がれたビールに目が入る。

「オレンジジュースだ!お母さんが入れてくれたのかな」

ビールをオレンジジュースと勘違いしたケンスケは、それを一気に飲み干してしまった。

「に、苦ッ!!オレンジジュースってこんなに苦かったっけ?」

その瞬間、頭がフラッとなりケンスケはそのままバタッと倒れこんでしまった。

「やれやれ長電話になってしまった…ってケンスケ!?」

リビングから食卓に戻ってきた父は、倒れているケンスケを発見してビックリした。
父の大きな声に、母だけでなく宿題に集中していたカナミも食卓の方に駆け込んできた。

「ま、まさかビールをオレンジジュースと間違えて飲んでしまったのか?放置していた俺のせいだ…」
「あ、あなた落ち着いて。とりあえず目を覚ますまで待ちましょう」
「ケンスケ、大丈夫なの?ケンスケ?」

するとケンスケが徐々にだが目を覚ましてきた。

「う、う、うぅ…」
「ケンスケ!大丈夫なの!?」

眠たいのか目が虚ろになっているケンスケ。ふと母の方に目を向けたその時…。

「うわああデッカいカマキリだー!食べられるー!」

緑の服を着ている母が巨大なカマキリに見えてしまったようだ。

「ケンスケ、アルコールのせいで完全に酔っちゃってるわね」
0526この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/07(火) 15:57:08.43ID:rurB6yyO
【酔っ払ってしまった弟】(2/3)

次にカナミの方に目を向けた時、ケンスケの目が大きく開きキラキラと輝き出す。

「なんと可愛いお嬢さん!この僕がお守り致します!」
「へっ?」

ケンスケは嬉しそうに姉の腕を掴んできた。

「お母さん、お父さん。ケンスケの意識がちゃんと戻るまで、私がしっかり見守るわ」
「大丈夫?もし何かあったらすぐに呼んでね、いつでも病院に行けるよう準備しておくから」
「本当にごめんな、ケンスケ」
「お父さん、そう自分を責めないで。わざとやったわけじゃないんだから」

落ち込む父を慰めると、カナミはケンスケを自分の部屋にへと連れて行く。

「お嬢さん、今から楽しいお茶会ですか?」
「ケンスケ、私よ。お姉ちゃんのカナミよ、分かる?」
「カナミ?僕にお姉ちゃんなんていたっけぇ?覚えてないやあ」

カナミはケンスケのそばに座り、彼をしっかり抱き締めるように離れずにくっつく。
しばらくの間、ケンスケは一言も話さずに黙り込んでしまう。その沈黙が30分ほど続いたその時だった。

「うわああああん!!」

何の前触れもなくケンスケが急に泣き出したので、カナミは思わず心臓が止まりそうになるくらいビックリする。

「ケ、ケンスケ!落ち着いて!」
「ぐひっ、ひっくひっく…」

ポロポロと涙をこぼしながら、ケンスケはカナミに寄り添ってきた。

「よしよし、怖いことを想像してしまったのね。お姉ちゃんがいるから大丈夫よ」

涙で濡れる弟の顔をハンカチでしっかりと拭く。
徐々に泣き止んでいき、また眠りに落ちていくケンスケをベッドに寝かせ、優しく毛布を被せる。

「カナミ…ぼ、ぼくのお、お姉…ちゃん…」

少し前までちょっとした記憶喪失に陥っていたのに、寝言ではあるが姉の名前を発するようになってきた。
ちょっと安心感を感じ、カナミがベッドから立ち上がろうとした時だった。
眠っているケンスケの腕が急に動き、姉の腕を掴んできたのだ。

「お姉ちゃん…僕の優しいお姉ちゃん…ムニャムニャ…」

不安でいっぱいだった姉の表情は少しずつ微笑みへと変わっていく。
あとは無事に意識を取り戻すのを待つだけだ。
0527この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/07(火) 15:58:02.35ID:rurB6yyO
【酔っ払ってしまった弟】(3/3)

夕方の6時になった頃、5時間ほど深い眠りに落ちていたケンスケが目を覚ました。

「ん?あれ、ここはどこ…?ってお姉ちゃんの部屋!?」
「ケンスケ!目が覚めたのね!」
「どうして僕、お姉ちゃんの部屋のベッドで寝てたの?」
「ケンスケ、私の名前は?」
「きゅ、急にどうしたの?」
「いいから答えて」
「お姉ちゃんの名前はカナミじゃないか。忘れるはずないじゃん」
「よかったぁ〜!!」

思わずギュッと力強く抱き締めてくる姉に、ケンスケは今の状況を飲み込めれなかった。
その後、無事に意識を取り戻したケンスケにカナミ、父、母は今まであったことを全て説明した。

「そ、そうだったんだ…!うっかりビール飲んでしまってから、それ以降は何も覚えてないんだ」
「ビールをそのまま放置しておいた俺が悪かった。本当にごめんよケンスケ」
「いや、すごく喉が渇いていて、何も考えずに飲んだ僕が悪いんだ。お父さんは全然悪くない」

その後、もしものことがあっては大変だとすぐに病院に連れて行ってもらい、医師から診察を受ける。
それ以降、ケンスケの体に特にこれといった症状が現れることはなかった。

「ケンスケ、あの時何があったか話してあげようか?」
「えっ、一体何があったの?」
「ケンスケね、私のことを可愛いお嬢さんって呼んだのよ。しかもお守り致しますって、ね」
「だってお姉ちゃんって本当に可愛いんだもん」

弟の突然の発言にカナミは思わず動揺するが、同時に嬉しくなり顔を赤くする。

「えっ、そ、その…ありがとうケンスケ!」

ケンスケをギュッと抱き締めるカナミなのであった。
0528三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/07(火) 23:44:30.58ID:VoeHQ/lv
>>525
また思い切りのいい話w
『お酒』を誤飲、巨大な『カマキリ』w、『み……』あれか!探したw
これはなかなか書けない、作者の持ち味が出てると思いました
まさかの酔っ払いw
0529この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/09(木) 02:52:02.20ID:jR9PfBwZ
>>51
使用するお題→『ビンタ』

【意味がわかると○○なやつ】(1/3)
お仕置きの理由は日常の常識から言えば到底受け入る事ができないであろう理不尽でつまらない事だが、遊び(プレイ)をする為なので当然彼女も了解済みだ。

私の正面に立たせて、理由を告げ、体罰を宣言する。

彼女から了解を取る。

顔を上げさせ私の目を見つめさせる。そして・・。

彼女のやわらかい頬に愛情をこめてビンタ!

手加減はしない。

痛さ、屈辱、辛さにじっと耐えている彼女が愛しい。

厳しい、時にはやさしいを言葉をかけながらビンタを続ける。

涙がこぼれ頬が徐々に赤く腫れていく。

今回は久しぶりに多く叩いた。おそらく左右合計で150発はビンタした。

赤く腫れた頬をなでて耐えたこにお礼を言いう。

ビンタが嫌いな彼女なのに下着をみると・・・

その後はいつものようにやさしく彼女を抱いた
0530この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/09(木) 21:20:50.97ID:uWzsHiCZ
>>528
感想ありがとうございます!
焼酎をソーダと誤って飲んでしまった時の思い出を基に書きました
ケンスケは酔っ払ってしまうと、どうやら泣き上戸になってしまうようですw
0532この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/09(木) 23:59:12.14ID:ZyUtZbXF
自作の後書き、3作分だけ

スレ5、179【お姉ちゃんケーキ返して】
当時は長編が書けず・・・どこかで聞いたような話w
お題と他作品を手掛かりに、つまり構造とパロディを道具に、筆力不足の作者にしては調子良く書けた話
要はいつものパクリ芸なんですが、これには作者なりの大義があります
ありますが、それはともかく、長編はいまだに書けてないw

スレ6、62【いとしの】
作者自身の認識では、自作の中で最もバランスのいい話
なので、、語ることはなくもないけど、、とりあえず優等生なので気に入ってるw

>>509【短日のこと】
言っちゃうと目先を変えただけのいつものなんですが、いつも通り、、よりも少し大変だった・・・
まずお題を見て途方に暮れた:大きいの4つ、キャラ強いの1つ
それとメタを回す、つまり【ドン某の正月】ではなく【ムー○ン谷の正月】を書く必要がありました
最終的に、出来はともかく、天沢退二郎と宮沢賢治をイメージして寄せています
各お題について:
『ファイナル』頑張ろうとしたが時間切れ
『かがみ』『餅』世界観の構築に使用、雪の発想はここからも
『鈴蘭』登場は一瞬ですがこれが前提の話、雪も、実はキツネもここから生やしてます
『正月』雪は季節柄です、ネズミも当然ここから
上述の通り『雪』『キツネ』『ネズミ』を補助お題とし、スレの文脈を構想レベルでの支えとしました
あと『キツネ』は作者が思っていたよりも強力でした

後書きはここまでですが、これら3作以外だと、9月の4作品は『星の四部作』、11月お題のは『タイトルだけ81年シリーズ』とか、あだ名を付けて遊んでたりしますw
少し長くなりましたが以上です
0533この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/12(日) 21:59:09.52ID:NZQ0hrYE
>>518
お題:『お酒』『カマキリ』『みかん』『出初式』『うどん』

【帰省】


 成人の日と言う話で、田舎では出初式をやっていた。
 江戸……と言うか東京のソレと違い、梯子に登ったりと言う事も無く、お偉いさんが並ぶ中を消防車やはしご車が出発して行く。
 軽くその辺を一周した後、はしご車の籠に乗れるイベントがあるとかで、僕は姪っ子とそれを待つことにした。

「はしご車、楽しみだね?」
「うん!!」

 笑顔でそう言う。女の子にしては、魔法少女系より戦隊系が好きな姪っ子は、こう言った“男の子向け”のイベントが好きなようだ。
 待っている間、寒いだろうと、近くの婦人会の人達が餅やうどん等の身体のあったまる物を振舞ってくれていた。

「雑煮ときな粉餅、どっちが良い?」
「うどん!!」

 まさかの第三の選択。2択にした意味が無かった。
 うどんも、茶碗程度の大きさの発泡スチロール製の容器に入った物で、それ程、量は無かったからか姪っ子は一人で全部食べられた様だ。
 姉からは「あんまり食べさせないでよ」と注意されていたけど、この程度なら良いだろう。

 姪っ子は、同年代の子供と比べても頭一つ背が高くポッチャリしている。
 姉的には、その辺が少々気に入らないらしい。僕なんかは子供らしくて良いと思うんだが……

 背だけ高くてガリガリだった僕なんかは、良く「ナナフシ」だとか「カマキリ」だとか揶揄された物だ。それに比べれば多少ポッチャリしていた方が健康的で良いと思うんだけど、どうも、姉は、ポッチャリにトラウマがある様に思われる。

 やはり、“関取”と言うあだ名はかなり答えていた様だ。大学に入ってから、の猛ダイエットのお陰で痩せた事を少しだけ誇らしく思っているらしい。

 「そのおかげで旦那を捕まえられたんだから上々よ」ってのは、二人で酒を飲んでいると良く口にする事なので、よっぽどの事かも知れない。

 雑煮の後に出された甘酒を飲んでいると、町内を一周して来たはしご車が戻って来た。乗り込みの列で待ちながら、最近のお気に入りのアニメの話を聞いていたのだが、某、ポケットのモンスターは今でも子供に強いらしい。
 ゲームから足を洗ってずいぶん経つ僕には、既に何の話か分からなくなりつつあった。

 はしご車のラダーが伸びて行く。普段上空から見る事の無い田舎の景色。

「やっぱり田んぼだらけだなぁ」
「あ! こうじ君家だ!!」

 どうやらボーイフレンドの家が見えたらしい。小さくても女の子だなぁとか思った。

 帰りがけに段ボールに入った中から、ミカンを一つずつ貰ったのだが、姪っ子が「後二つ!!」と我儘を言ったので眉根を寄せる。
 ただ、聞けば「お父さんとお母さんの分!!」だとの事。

 みかんを配っていたおばさんが、苦笑しながら、もう二つ渡してくれた。
 素直に「ありがとう」と言う満面の笑みの姪っ子に苦笑しながら、このまま優しい子に育ってくれたら良いな……等と思ったのだった。
0534三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/12(日) 22:10:04.19ID:3AYm2LDT
お題→『お酒』『カマキリ』『みかん』『出初式』『うどん』締切

【参加作品一覧】
>>523【あれがたべたい】
>>525【酔っ払ってしまった弟】
>>533【帰省】
0535三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/12(日) 22:11:31.54ID:3AYm2LDT
ではまた今回も通常お題5つですー

お題安価>>536-540
0536この名無しがすごい!
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2020/01/12(日) 22:17:06.93ID:WAKcmnrq
レンガ
0539この名無しがすごい!
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2020/01/12(日) 23:45:58.40ID:QGAv1SWw
生配信
0541三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/12(日) 23:55:05.11ID:3AYm2LDT
☆お題→『レンガ』『港』『図書室』『生配信』『魔獣』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→1/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0542三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/12(日) 23:59:24.07ID:3AYm2LDT
またちょっと楽しげなお題
どうなるか

お題も作品もありがとうございます
ゆっくりするか、盛り上がるか、よろしくですー
0543三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/13(月) 00:13:33.64ID:XEZ32eiO
>>533
今回も間に合ったw
田舎の『出初式』、『うどん』を頼む、ポッチャリと『カマキリ』、『酒や甘酒』、最後は『みかん』
イベントや思い出を通して、田舎の風情を感じさせる話ですね
叔父さんの優しさ・・・
0544三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/13(月) 00:13:55.37ID:XEZ32eiO
>>533
今回も間に合ったw
田舎の『出初式』、『うどん』を頼む、ポッチャリと『カマキリ』、『酒や甘酒』、最後は『みかん』
イベントや思い出を通して、田舎の風情を感じさせる話ですね
叔父さんの優しさ・・・
0546三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/16(木) 23:59:56.70ID:1NawfGAt
書きやすい方だと思いますけど、今週は静かね・・・
次回のお題ですが、書き出しの一文指定をやろうと思います
最後にこれをやったのが8月だったw


ところでスレ民には受験生もいらっしゃるかと思いますが
もしこの書き込みを見ていたら、どうか睡眠と体調管理にお気を付けくださいー(雑談
0549この名無しがすごい!
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2020/01/19(日) 21:59:36.25ID:8KL9Fkh0
>>541
お題:『レンガ』『港』『図書室』『生配信』『魔獣』

【オルト・ノルトの冒険記】
 レンガ造りのギルドハウスにある図書館は、その規模には見合わない程の大きな物だった。

「と、ボケッとしてる暇はないな」

 オルト・ノルトはその中でいくつかの図鑑を手に取った。主に水棲系の魔獣の載っているモノである。
 何故彼がそんな事をしているのかと言えば、港町『ウォルヘーム』での魔獣討伐の依頼を受けた為である。

 オルトは、彼の姉であるルビィと共に『ルビィの冒険チャンネル』と言う魔導配信を行い、人気を博していた。
 今回は、第100回の記念回と言う事で、生配信を行うつもりだったのだ。
 その為、下手な真似は出来ない。

「まぁ、姉さんが下手を打つって場面は想像出来ないけどさ」

 オルトは苦笑しながらそう呟いた。彼の姉であるルビィに限って負ける事など有りはしないだろう。
 問題は、むしろオルトの方だ。
 今回の配信は生配信である。どれだけ迫力ある映像が撮れるかは彼の手腕に懸かっているのだから。
0550三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/19(日) 22:06:10.01ID:XnJa1Omk
1レスのみ、、ですね?
生配信と言えばそれだよね!とは思ってました!w
0551この名無しがすごい!
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2020/01/19(日) 22:06:40.87ID:XnJa1Omk
>>541

使用お題→『レンガ』『港』『図書室』『生配信』『魔獣』

【一億個のレンガを積んだ私は、気付いたら最強のダンジョンマスターになっていた】(1/2)

 私の母は港町の出身だった。彼女は自由で明るくて、水平線を照らす太陽みたいな人だった。
 彼女が海から離れ、ここ内陸の地に嫁いだ理由。それは彼女が領主の娘だったからであり、つまりは政略結婚のためだった。
 私は海を見たことがない。海を見たことがない私のために、彼女は色々な話をしてくれた。
 潮風の匂い。船の汽笛。バルコニーからの眺め。
 迷い道。そこを走り抜ける子供たち。その先の倉庫群。
 岸壁。波の音。そして異国の船乗りたち。
 彼女の実家には来客が絶えず、見るもの聞くものすべてが珍しい。
 この閉ざされた田舎と違って。
 だからそれは、本当は、私のための思い出話ではなかったのだろう。それは誰のためでもなく、彼女はただ味方が欲しかった、私に自分の味方でいて欲しかったのかも知れない。
 なんにせよ私は、彼女も、彼女の話も好きだった。飛べない海鳥のさえずりが、私を想像力豊かな少女にした。
 彼女は、もういない。ここには誰もいない。お屋敷だった建物の、図書室だった場所。
 ここは私の港町。波止場には本が並ぶ。私はそれを一番高い場所から眺める。
 時々、そう、本当に時々。お客様がやってくる。
 招かれざるお客様。
 その人たちをからかって遊ぶのが、今の私の楽しみだ。
 今日も誰かがやってくる。命知らずの船乗りたち。
 私は波を起こす。風を吹かせる。雨も降らせる。私に会いたいのなら。

 会いたい。ねえ、会いたいよ。おかあさま。

 *

 暗い廊下を進む一行。
「……はぁ、まだざらざらする。帰ってお風呂に入りたい……」
 一人は魔法剣士。黒いロングヘアと銀色の防具がよく似合う、スレンダーな美少女だ。
 だが、その自慢の髪の毛と、魔法のオーラで輝くはずの装備品。ほこりにまみれて薄ぼんやりとしている。
「まったくですにゃん。話には聞いていましたが、こんなに大変だとは思ってなかったですにゃん」
 その隣には、栗色のショートヘアがキュートな、猫耳の少女。彼女の両腕には、魔法工学によって生み出された、最新式の、巨大な、攻撃用の魔法ガントレットが装着されている。
「……ああー、もう。あなたってば、どうして考えなしに突っ込んでいくの。自分は囲まれてピンチになるし、こっちはこっちで……ああー、もう……」
「ごめんなさいですにゃん」
 その威力たるやパンチ一発で敵は粉々だが、それが今回は裏目に出たようだ。
「……はぁ。あんまり言うと、性格が悪いみたいに思われちゃうから、言いたくないんだけど。配信映えって、大事でしょ?」
「その通りですにゃん。面目ないですにゃん」
 猫耳拳闘士はしゅんとするが、多分、本当には反省できていない。
 カメラは彼女たちの背中を捉えている。猫耳少女の発言を受けて、黒髪の少女が何かを言おうとするが、その時、もう一人の仲間、カメラの背後の人物が声を上げる。
「……ハァハァ……しょんぼりお耳もかわいらしいですわ〜。わしゃわしゃしたい……」
 魔法剣士の視線が突き刺さる。だが、言葉を発した本人には、まったくダメージが入っていない。
「その軽蔑のまなざしもたまりませんわ〜。これぞ配信映え……」
 剣士の少女は、諦めたように首を振って、あちらを向いてしまった。
「次はもっと、配信映えを考えて全力で行きますにゃん」
 この三人、冒険者パーティーだ。魔法通信技術の発達により、昨今の冒険者たちは、ダンジョン攻略の様子を配信するのが普通になった。
「……はぁ、また出てきた。今度は……って、ちょっと!! どうしてまた突っ込むの!?」
 生きたレンガの怪物、ブリックゴーレム。その姿を認めるや否や、止める間もなく突進する俊足の拳闘士。
「配信映えとぉぉりゃぁぁあああ!!」
「はああああ!? 違うでしょー!」
「ちょっとお馬鹿なところもスウィートですわ〜」
 彼女のパンチが決まって、今回も、ブリックゴーレムは粉々になる。
 そしてまた今回も、広がる粉塵(ふんじん)で視界が遮られる。配信どころではない。
「……もうやだ。帰る……」
 魔法剣士は本当に帰ってしまいそうだ。こうなると探索の中止も有り得る。それはちょっと困る。
「すねた表情も……見えませんわ〜……わ〜……わわわっ、地面が、レンガの床が」
「配信映え……揺れてますにゃ……うんにゃ、運ばれてますにゃん!」
「……はぁ。帰りたい……」
0552この名無しがすごい!
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2020/01/19(日) 22:07:11.12ID:XnJa1Omk
【一億個のレンガを積んだ私は、気付いたら最強のダンジョンマスターになっていた】(2/2)

 母の家系は風魔法が得意。父の家系は水魔法。私は?
 私は他の誰にも似なかった。私の魔法は土魔法。
 どうやら母方の先祖に異民族が混じっており、こういうことは時々あるらしかった。
 私の存在は隠された。この閉鎖的な土地で、私の姿は体面が悪いから。
 私はお屋敷の中で過ごした。特に長い時間を過ごしたのが、ここ、図書室だ。
 母と。家庭教師たちと。仲のいい使用人たちと。
 この部屋は私のすべてと言ってもいい。
 魔法の練習もここでやった。教師はいない。一族には土魔法の使い手がおらず、高名な使い手は他領の人だったからだ。
 最初は失敗が多かった。部屋を砂だらけにして、使用人を困らせたこともあった。
 水魔法の本に、効率的な練習の仕方が書かれていた。ある一定量の水を繰り返し生成する。私はそれをまねた。
 容器一杯分の水の代わりに、これくらいの大きさのレンガを一つ。
 容器二杯分の水の代わりに、同じくらいの大きさのレンガを二つ。
 容器三杯分の水の代わりに、三つ子のレンガを積み上げて。
 私は毎日練習した。
 毎日、毎日、毎日。来る日も、来る日も、来る日も。
 余ったレンガは砕いたり、父に頼んで売ってもらったりした。
 これで魔法が上達したのか、それは分からない。だけど、ある日ふと我に返ると、私の魔法は土魔法ではない、何か別のものに変貌を遂げていた。

 なんで?

 *

 私は体を起こす。そして部屋の入り口の方を見下ろす。
「ファンだってばれたら、かっこ悪いよね」
 独り言を口にしながら、受信機を止める。それから、はしごを下りていく。
 別に飛び下りてもダメージはない。なんなら動くのをサボって分身を出してもいい。
 だけどそれは、人間だった過去を捨てること。たとえそれが、流砂のかなたの蜃気楼(しんきろう)だとしても。
「……はぁ。服の中まで砂まみれ……」
「ドキドキしましたにゃん。これって配信映えしますかにゃん」
「しますわ〜。動くレンガの床に、ダンジョンの中で砂嵐。配信映えするお天気ですわ〜」
 ちょっとやり過ぎたかな。そこで彼女たちの一人が私の姿を認める。
「あれは……美少女!? こんなところに美少女ですわ〜! そこのお嬢さん! あなたには私とお茶する義務があるのですわ〜!!」
 いいね! 私もお茶したいと思っていたの。
「……はぁ。この大空間。それにダークエルフの少女。あれは『図書室の魔獣』、このダンジョンのボスよ。誘い込まれた……」
 その名前で呼ぶのはやめて! 昔の話でしょ! 恥ずかし過ぎる。
「天井が見えないですにゃん。この……あちこちに立ってるリアルな人形は……にゃにゃっ! 動きましたにゃん!」
 それは在りし日の残影。私のしもべたち。
 意志なき人形の彼ら彼女らが、テーブルと椅子をセットする。カップとお皿も要るかしら。
「お茶、しましょうか、お客様たち」
 普通に話し掛けた私に戸惑っているのだろう。彼女たちは固まってしまった。
「あいにくと人間が食べられるものはここにはないの。お茶とお菓子はそちらで用意してくださる?」
 いつも見てます! ファンです! サインください!! なんて言えない。
「……す……す……」
 彼女たちの、ダンジョン攻略生配信。結構人気なのだ。今を時めく美少女三人組。
「……はぁ」
 ダウナー系魔法剣士。
「にゃ?」
 ぽんこつ猫耳拳闘士。そして。
「……す……素敵過ぎますわ〜! これぞご褒美……美少女パーティーですわ〜!!」
 クレイジー撮影担当。
 その憧れの三人組が、今、私の目の前に立っている。
「……ハァハァ……褐色ダークエルフハァハァ……」
 私は苦笑する。画面の中の私は、どんな風に見えているだろう。
 敵意のなさが伝わったのか、三人は席に着いた。さすが撮影担当は準備が良く、お茶もお菓子も出してきた。彼女は少しだけ、本当に少しだけ、私の母に似ている。それも私がファンである理由の一つ。
 何を話そうか。何から話そうか。友達になってくれるかな。
 私は彼女たちのことが知りたい。だから。
「私の図書室へようこそ。あなたたちの話を聞かせて?」
0554三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/19(日) 22:12:14.90ID:XnJa1Omk
お題→『レンガ』『港』『図書室』『生配信』『魔獣』締切

【参加作品一覧】
>>549【オルト・ノルトの冒険記】
>>551【一億個のレンガを積んだ私は、気付いたら最強のダンジョンマスターになっていた】
0555三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/19(日) 22:15:09.99ID:XnJa1Omk
なかなかの過疎でピンチですが・・・書き出しの一文指定です!

お題安価>>556-559
書き出し安価>>560
0557この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/19(日) 22:18:28.63ID:t1Lov8R3
『会場』
0558この名無しがすごい!
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2020/01/19(日) 22:28:20.43ID:HzQ81mh8
四次元
0561三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/19(日) 23:43:47.95ID:XnJa1Omk
☆お題→書き出し『「やめてくれ!」』+『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→1/26の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0562三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/19(日) 23:48:17.57ID:XnJa1Omk
書き出し、前後の括弧に意味がありそうだったので含めましたが、作品では省くのも可とします

ともかくお題も作品もありがとうございます
引き続き当スレをよろしくですー
0563三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/19(日) 23:50:08.46ID:XnJa1Omk
>>549
改めて・・・帰ってきた弟くん、手短に、って感じですね
『レンガ』のギルドハウスの『図書室』、『港』町での『魔獣』討伐、『生配信』・・・の、準備
乙であります、姉の活躍にも期待!
0564この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/19(日) 23:53:45.11ID:0ciTq9/H
過疎いみたいだけどもうちょいしたら戻ります
それまでもってくれー
0565この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/20(月) 13:55:56.74ID:laeBBkYk
>>563
感想有り難うございます
本当は姉の討伐のシーンまで行きたかったのですが、時間が……
来週の日曜は休めるはずなので、もう少し何とか……orz

できれば感想も書きたい所です
0566三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/20(月) 23:45:28.42ID:oMe4kpLS
どっちも無理のない/無理し過ぎない範囲でよろしくですー><


ところで別の話だけど、続きを待ってるシリーズとかもある・・・名指しはしないけど・・・!
心当たりの方は、こちらもどうか無理のない範囲でよろしく・・・
0567この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/22(水) 23:18:30.93ID:9eKQjvm1
日本も明治になるまでは天保暦使ってたのに旧正月に何かやる文化少ないよな
最近は在日中国人韓国人も多いし、春節の大型連休でインバウンド消費もバカにならないんだから企業もイベント考えれば良いのに
0568この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/22(水) 23:19:22.46ID:9eKQjvm1
>>567
すみません誤爆です
0569この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/23(木) 19:36:19.32ID:sQKtP+T/
日本も明治になるまでは天保暦使ってたのに旧正月に何かやる文化少ないよな
最近は在日中国人韓国人も多いし、春節の大型連休でインバウンド消費もバカにならないんだから企業もイベント考えれば良いのに
0570この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/23(木) 19:37:19.30ID:sQKtP+T/
>>569
すみません誤爆です
0572三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/25(土) 15:33:56.29ID:+XJJBD3E
実はずっと過疎
レイチェルの作者さんが書いてくれてた間は、日を置かずにスレが動いてましたけど、それがないとマジで過疎

何か間を持たせる企画が必要ですね
0573この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/25(土) 15:38:43.03ID:25SImYl2
すまんな……そろそろ書こうとは思ってるんじゃが……

1レスや三行小説企画とか、タイトル、キャラ企画とか?
リレー小説は大抵地獄絵図になるけど、それなりに書いてる人が住民のここなら成立するんだろか
0574この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/25(土) 15:40:09.21ID:25SImYl2
PCでがっつり書かなくても、行き帰りのスマホで参加できる系の気軽な企画なら(少なくとも俺は)やれるとおもう
0576この名無しがすごい!
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2020/01/25(土) 18:46:02.94ID:efXwjj+v
リレーはかなり計画的にやらんときついと思うわ
結局誰が起承転結のどこまで進めればいいのかわからんもんな
逆にやばくならない程度に固定した安価で設定とかストーリーの流れとか担当する人とか決めたらうまいとこできそうだが、それだと自由度低くて面白いかって問題になる
0577この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/25(土) 18:53:55.72ID:DOEALAjO
>>576
期間決めて、失敗してもしょうがないって諦めがつく形で挑戦するぐらいがいいかもね
0578◆z7dgioThwU
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2020/01/26(日) 01:57:36.68ID:KrlnSFDE
>>561

使用お題→書き出し『「やめてくれ!」』+『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』

【私が騎士団長様に代わって応募用紙を提出するのですよー】

「やめてくれ!」
 そう騎士団長様はおっしゃいます。ですが。
「やめません! 騎士団長様の鋼鉄の胃袋をもってすればー、打ち破れない敵などありませんー」
 神殿の守護者。その筆頭。私の目の前で通せんぼしている、クマさんみたいな大男。
 神殿騎士団長様です!
 その恵まれた体格もさることながら、大きな体に見合うだけの大食漢、健啖家(けんたんか)である、そのことでも有名なのです。
「それは買いかぶりというものだ。食事はゆっくり落ち着いて。これが俺のモットーなのだ」
 そう言いながら、応募用紙を取り上げようと、両腕を広げた格好で迫ってきます。
 でっかいなー。捕まったら逃げられないでしょう。
「モットー。モットーですか。それは結構なことです」
 対する私は、落ち着いて、騎士団長様の、やっぱりクマさんみたいなお顔を見上げます。
 この大会に参加するか否か、それは騎士団長様次第である。当然のことです。
「ですが! 騎士団長様!」
 私には使命があるのです。
「あなたのモットーと、あなたの胃袋が最強であること。その二つは矛盾しません……」
 騎士団長様の動きが止まります。
「ゆっくり食べる……それは確かに大事なことです。ですが、例えば、例えばですよ、神敵が目前に迫る状況をお考えください。あなたはそんな時でも『ゆっくり食べる』と、そうおっしゃるのですか?」
「いや俺はだな」
「否! そんなはずはない! あなたは大急ぎで食事を済ませ、最前線に駆け付けることでしょう」
 強くて立派なお方なのです、騎士団長様は。
「今回も同じです。神殿の危機なのです。故に! あなたは! あなたの意志で! この大会に参加する!!」
 そして優勝する! 私の脳裏には、そんな光景が浮かびます。
「いやあのな、仮に神殿の危機だとしてもだ、俺は戦士なのだ。そんな大会に出場するいわれもなければ、見世物になるつもりもないぞ」
 むむむ。この頑固者めー。話になりません。
 こうして、必死の抵抗むなしく、騎士団長様の、クマさん顔負けの大きな手のひらが私を捕らえようという正にその時。
「こっちゃこーい、こっちゃこーい」
 援軍の登場なのです。
「何をやっておられるのだ、あのお方は……」
 白い修道服に身を包んだ、信仰の力で文字通りピッカピカに光り輝く、ものすごい美女。あまりにも美し過ぎて、何を着てもコスプレにしか見えない彼女が、受付に立って手招きをしています。
「出場者募集中ですよー。こっちゃこーい」
「…………」
 その人間離れした美しさに、騎士団長様も目が離せないようです!
「いかがですか、騎士団長様。聖女様自らあのように呼び掛けておられるのです。これはもう参加するしかないなーそうだなー」
 返事がありません。ただのクマさんかな?
 騎士団長様の注意は、すっかり聖女様へと向けられているようです。これはチャンスです。
 私は、気付かれないようにこっそりと、騎士団長様の横を擦り抜けます。
 そこから一歩、二歩、三歩。ダッシュ!
「あっ、こら!」
 騎士団長様が追ってきます。聖女様! 受付に飛び込めば私の勝ちです!
「……捕まえたぞ! まったく……」
 クマさんの腕が、私のおなかに回されています。これは……!
「きゃーちかんーおそわれるー」
「なっ、何を馬鹿な!」
「あらー? 聖女の面前で不埒(ふらち)を働こうとはー」
「そんな!? 誤解です、いや言い掛かりです聖女様」
「問答無用ですー。お説教して差し上げますからー……こっちゃこーい」
「はめられたーッ!?」
 やれやれです。こうして私は使命を果たし、聖女様と私は騎士団長様の捕獲に成功しました。
「ぐぬぬ。こうなっては仕方がない。全力を尽くすのみ」
 いい加減な私たちの適当な計略でしたが、彼は神殿が主催する大食いタイムアタックの会場まで連行されてくれました。四次元の現実世界を食らい尽くす、異次元の胃袋を幻視する私たち。ところが。
 ダークホース。優勝したのは無名の若者でした。
 よもやの事態に、優勝賞金を支払わずに済ませて節約しようという私たちのたくらみは、失敗に終わったのでした。

※トリップ当てクイズ、縦読み、ひらがな4文字です。
0579三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/26(日) 02:01:34.46ID:KrlnSFDE
気軽に、簡単なルールで、失敗を許容する・・・

リレーというか、なんかこう、、まだ何かアイディアが・・・
0580この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/26(日) 12:32:30.16ID:OM7yKCqj
リレーやるとして先に投稿されたのを採用するのか
どんどん枝分かれさせてくのか
事前に担当者を決めとくのか
0581この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 12:40:18.68ID:3cCw27Sy
触れられてるのがリレーだけな辺り、やっぱどうせなら複数人でやりたいって意識はみんなあるんだな

・【1】【2】【3】とかって番号振って、前の作品に安価つけつつ書く
・分岐は基本なしの一本道(少なくとも初回で分岐やると崩壊する)
・テーマ、お題はいつも通りあってもいい(全員が、じゃなく全体のお題でいいと思うけど)
・被らないように宣言してから書く? 書き上げるまでの期限は宣言した日の当日中
・被った場合は遅かった方を供養し、早かった方を採用

辺りでできるんじゃないかな、どうだろ
0583三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/26(日) 17:05:34.19ID:KrlnSFDE
うーん、、通常の作品募集に加えて、リレーを試してみましょうか?
基本的なルールは>>581でいいような気がします
1人1レス、とりあえず3人くらい集まれば
担当者は最初に決めた方がいいと思う、【1】担当、【2】担当とか
お題は各レス1つ以上必須
0584三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/26(日) 17:08:28.56ID:KrlnSFDE
>>582
感想ありがとうございます!
なのです系?小動物系?みたいな?
類型的な主人公なんですが、はっきりとした分類を見たことがない・・・
0585この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/26(日) 17:25:37.14ID:3cCw27Sy
>>583
いいんじゃないかと思う
「序・破・急」とか「起・承・転・結」を役割決めするルールも考えたけど、
縛りが多すぎて破綻する気がしてやめた……
0586三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 17:46:13.08ID:KrlnSFDE
>>585
それは同意で、緩い方がいいんではないかと
話を始める人、展開を考える人、最後に何とかして話を終わらせる人、とか
先発、中継ぎ、抑え、みたいな感じで

あと担当を決める時に、各自の締め切りも決める必要がありそう
0587この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 17:53:54.37ID:3cCw27Sy
最初から【1】【2】【3】が決まってるんであれば一人三日くらいで……足りるかな?
筆の遅い早いがだいぶ影響するな
というか、例えば一人の締め切り一週間にしたら間を埋めるって目的はどっか行くなw

まぁどっちにしろ楽しそうだしいいんでないかと
進行さんのベターだと思う期間を設定してくれれば、自分は時間確保できるのわかってる日が三日あれば間に合うと思う
0588この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 17:54:48.95ID:3cCw27Sy
通常のお題と同時進行しておけば、もしグダグダになっても笑い話で済むしねw
一回お試しでやって、ルールに問題点があれば修正する感じでもいいのでは
0589三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 18:16:07.40ID:KrlnSFDE
一週間はさすがに困るw
だけど通常募集よりは(最後の人の締め切りを)長くしないと駄目そうですね
とりあえず今夜のお題を集めてから、今日明日で担当が決まったらいいな・・・
0590この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 18:17:04.13ID:5UiUoUhR
>>561
使用お題『やめてくれ、』『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』

【VR】(1/2)



「やめてくれ!」
「うるさい、さっさと金を出せ!」
「お金は出しますから! お願いですから刺すのはやめてくれ!」
 私は、左手には包丁、右手には現金を詰める用の黒いバッグを持っている。
全身黒の服を着てマスクとサングラスをしているこの格好は、いかにも強盗らしいのではないだろうか。
私はこの銀行に着くやいなや窓口に向かい金を要求した。
「ぐずぐずしていないでさっさとあるだけの金を詰めて持ってこい」
 手こずっているのかなかなか出てこない銀行員にイライラが募る。
先程他の銀行員が通報しているのを見てしまった。
このままの調子では警察が到着してしまう。
「はい、ただいま詰めておりますので少々お待ちを!」
 パトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
どんどん大きくなっている。
このままではまずい、捕まってしまう。そう思い金は諦めて逃げ出そうとしたその時、入口のドアが開き警察が中に駆け込んできた。

 目の前が真っ暗になり、音が何も聞こえなくなった途端に「体験はこれで終了です。VRゴーグルとヘッドホンを外してください」という文字が見えた。
それらを外して座席から立ち上がる。
 本日、私は日本最大級のVR体験イベントの会場に来ている。
このイベントには先程の銀行強盗体験ブースを始め、ゲームの世界を体験できるブースなど大小様々な五十を超える体験ブースが参加している。
周りを見渡すとどのブースにも大勢の来場者が並んでいる。今の時刻は十四時五十二分、まだまだ閉場までには時間がある。
次はどんな体験をしようか、歩きながら考えるうちにとあるブースが私の足をそちらに向かわせた。
 
 そのブースは「四次元ポケットの中で宝探し体験をしよう!!」といった題が付けられていた。
とても広いブースに設けられたそれは規模のわりには回転率が高いのか、それともたまたま空いているだけなのか並んでいる人が少なかった。
幼少より某国民的アニメのファンである私はそのブースでの体験に参加しようと決めた。

 五分程並ぶと私の番が来た。
ブースの中に入るとVRゴーグルとヘッドホンと専用のものらしきグローブを着けるように求められ、それらを付けるとあのポケットの中の光景と説明係の女性が目の前に現れた。
彼女は言った。
「本日は『四次元ポケットの中で宝探し体験をしよう!』に来て頂き誠にありがとうございます!! このブースでは名前の通り四次元ポケットの中での宝探し体験となっております。
しかし、ただ宝探しをするのではつまらないですよね? そこで参加者さん五人でこちら側が指定するひみつ道具、いいえ宝の中から五つ見つけるまでの時間を競ってもらうタイムアタック方式となっております!! 
制限時間はありません。最初の一人が五つ見つけた時点で終了です!! 
一位になった方には全国で使える商品券がプレゼントされます。金額は、宝探しの労力に見合った額となっておりますのでお楽しみに。
なんと今回の対決には先程も参加して頂き一位を獲られました方がいます。今回が初参加なのは一人となっています。
商品券はまたも彼のものとなるのでしょうか? 今回の宝はこちらです!! 
皆さまの目の前に表示された三十個となります!! 確認はよろしいでしょうか? それではスタートです!!」
 頭の悪そうな案内係の説明を聞き宝探しは始まった。
一位になれば商品券を貰える。
このような参加費無料のイベントで商品券という金銭的価値のあるものを貰えるなら儲けものだ。
是非とも欲しい。
彼女の提示した宝はどれも皆アニメで何度も見たことのあるようなひみつ道具だった。
私には周りの人々よりもあのアニメを見てきたという自負がある。
少しでも視界に入れば見分けられるという自身もある。
絶対に商品券を貰ってやる。
そう意気込んで宝を探しにかかった。
0591この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 18:25:19.56ID:5UiUoUhR
【VR】(2/2)


「ここで皆さんが現時点で見つけた宝の数を見てみましょう!! 一個、一個、四個、一個、二個。四個見つけたのは優勝候補さんですかね? 
あれ、違いますね。ということは初参加の方が四個見つけているということになりますね!! ダークホースの登場でしょうか?」
 持ち前のアニメの知識を活かして現時点でトップに躍り出ることができた。
商品券まであと一個だ。
四個見つけるのに二十分くらいかかっただろうか。
このペースで行けばあと五分もあればもう一個見つけられる。
宝のリストを見るとまだ見つけられていない宝の中に、ある特徴的なひみつ道具があった。
ピンク色をしていて大きくてアニメでは瞬間移動に使われていた。
あれだけ目立つ色と大きさをしているのならそれだけに集中して探せばすぐに見つかるだろうと高を括ってその宝を探し始めた。

「ついに五個見つけた方が出ました!! ということで体験はこれで終了となります。
皆さん、宝探しお疲れ様でした!! 見事商品券を獲得となったのは先程のダークホースさんです!! おめでとうございます!!」
 そのピンクで大きな宝は探し始めてからすぐに見つかった。
晴れて一位となり商品券を貰える。
体感時間として三十分ほどの努力の甲斐が有る。
VRゴーグルなど諸々の装置を取り外し、商品券の受け取り場所に行く。
「あ、商品券これです。はいどうぞ。」
 そこにいたスタッフと思しき男性が疲れた様子でぶっきらぼうに商品券を渡してくる。
一日中ここに立って商品券を渡しているのだろう、午後にもなれば疲れてくるのも当然だ。
心の中で労いの言葉をかけてその場を立ち去る。
商品券は一体いくら分なのだろう。
袋を開けて中を見てみるとそこには五百円分の商品券が一枚入っているのみだった。

「三十分走り回ってその景品がたったの五百円だなんて酷くありませんか?」
 私はスタッフに文句をつけに行った。
「ルール説明の時にあの女の人が言っていたじゃないですか。労力に見合った額だって。これじゃあ安すぎます。」
 すると先程の疲れた様子のスタッフが、
「疲れたからって高い額を出すなんて言っていませんよ。見つけるまでにかかった時間に見合った額の商品券を景品としているんです。
仕事だってそうじゃないですか。歩合制でなく時給制ならば。
たったの五分で五百円も貰えるんだから金額としては高いと思うんですけどね。一時間で六千円も貰えるんですから。」
 この人は何を言っているのだろう。
「五分じゃなくて三十分かかりました。そのルールでいくと三千円のはずじゃないですか!!」
「いいえ、時計を見てください。今は十五時ちょうどですよ。」
 そんな訳ない、そう思ったが念の為時計を見ると針は十五時ちょうどを指していた。
「あなたでもう何人目か分かりません。いちいち対応するのにも疲れました。
我々のイベントは四次元空間でのできごとなので、いくら体感時間が長くても現実世界での時間経過と合致しないんです。
現実世界での時間経過よりも体感時間が長くなるようになっています。」
 そうか、と納得がいくと共に自分のことを恥じた。
私が探すスピードが速いのではなく、周りがわざとゆっくり探していただけだったのだ。商品券でより高い金額が欲しいがために。
「初参加で一位になられる皆さんの大半があなたみたいに抗議してきましたね。先程参加していたあなた以外の四人もそのうちですね。」
 時間をかけて見つければかける時間が長いほど高い額を貰えるんだ。
「皆さん高額の商品券を貰おうと時間をかけているのに初参加の人がさっさと見つけてしまって台無しにしてしまうんですよね。」

 時は十七時三十分。「四次元ポケットの中で宝探し体験をしよう!!」では五人の参加者が宝探しをしている。
しかし誰も五個目を見つけようとしない。
全員が四個見つけてからもうすでに三十分が経とうとしている。
この勝負に終わりは来るのだろうか。
0592この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 18:29:53.82ID:3cCw27Sy
>>590
軽く流し読みして「ん?」ってなって読み直したら面白かった
VR高次元空間いいよね……認識世界でなら大体なんでもできる
SCPでもちょっと近いtaleあった気がする、好き
0593三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 20:33:06.67ID:KrlnSFDE
危ないところだったw、ひょっとして話が終わるのを待ってたならすまぬー

>>590
『やめてくれ』銀行強盗!、体験『会場』、『四次元』のアレwの中で『タイムアタック』、主人公は『ダークホース』?
ほんとだ、ほーぅ・・・ってなりますねw
金額のグラフ、最適なプレイ時間、初参加の確率、、これは面白い
0594この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 21:59:03.92ID:pnw96Mm6
>>561
お題:書き出し『「やめてくれ!」』+『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』

【アムネジア】(1/2)
「やめてくれ!」

 そんな声が響く。

(ここに来てそんな弱音を吐く位なら、最初から参加しなければいいのに)

 高畑 瑞穂はそう思う。ここに居る参加者は大なり小なり自分の意志でこのゲームをしているはずだ。
 にも拘らず、今さらそんな事を言い始めるなんて認識が甘すぎると言う物だろう。
 果たして、それが“神”によって起こされたデスゲームだったと知らなかったとしてもだ。

 ******

 会場に集まった参加者の目はギラギラと輝き、自らの欲望を隠そうともして居なかった。そこに居るの者達はネットで告知された、あるゲームに参加する為にこの場に来ていたからだ。

 賞金1千億。

 主催者を名乗る者から提示された金額は、一生遊んだとしても使いきれない額であり、ここに集まる者達の欲を大いに刺激する物だった。
 瑞穂は、そんな大人達の様子を見ながら溜息を吐く。
 これが、そんな生易しいモノでない事を良く知っていたからだ。

【次元ゲイム】

 告知されたタイトルは、そんな物だったと思う。思うとしているのは瑞穂自身もそのタイトルが既にうろ覚えに成って居るからである。
 それでも彼女が自身を見失わずに済んでいるのは、全ての事柄を記録として残しているからと、彼女にはやり遂げなくてはならない信念があるからに他ならなかった。

 会場に入った参加者は、一様に驚きの表情を見せた。外見は普通のオフィスビルに思えていたにも拘らず、中に入ってみれば真っ白な天井と安っぽい床の、しかし、見渡す限り果てしの無い空間だったからだ。

 瑞穂が驚かなかったのは単純にその事を知っていたからである。

 会場にすべての参加者が入ると、空中にある人物が現れた。老人にも子供にも、男性にも女性にも見える不思議な人物だった。
0595この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 22:01:11.89ID:pnw96Mm6
【アムネジア】(2/2)


(あれが、神……)

 これから行われるゲームの内容を語る人物……いや、神の様子を瑞穂はじっと眺める。

『はい、と言う訳で、最も早く、この空間に戻って来れた人が優勝者と成ります。まぁ、タイムアタックと言う所です』

 誰からも質問が来なかった事で神が満足そうに頷く。

『では、最終確認です。これから起こった事で、あなた方がどの様な状態になったとしても、自己責任です。参加を取りやめたい方は、今の内ですよ? ……ふむ、全員参加ですか、よろしい。では、開始です!!』

 そう宣言すると同時に浮遊感が襲い、光の無い、しかし何故か見通しの効く空間へと送り込まれた。
 上下左右の分からない空間。神の説明通りだとすれば、そこは四次元であり、今、彼女達の目の前で蠢いている“黒いホース”の様な物全てが《異なる次元》であり《異なる時間》となるのだろう。
 この、無数に蠢く黒いホースの中から、先程の空間を探し出し、先程までいた時間へと戻った者が優勝者と成る訳だ。

 ただし、選択できる時間が無数にある訳でも無い。何故なら、先程の神の説明によれば……

「期限は、私達の記憶が残っている限り……ね」

 最終決定はその黒いホースに入った時点で有るらしい。ただし、それ以前であれば、幾つかの次元を下見できると言う。
 その対価が自分の記憶なのだ。

 うっかり見てしまった次元が元の次元より“離れた次元”であり、“離れた時間”であればあるほど大きく記憶を喪失する。

 つまりは一回でまるっきりの記憶喪失になる可能性もあるのだ。

 だが、瑞穂には目的がある。それはこんなゲームを始めた高次元的存在をぶちのめす事だ。
 その為には、何とかこの場に神を引きずり出さなければならない。
 だからこそ、瑞穂はこのゲームに参加したのだ。

 かつて、このゲーム失った記憶を取り戻すために。
0596この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 22:05:33.51ID:pnw96Mm6
……暗黒ホースにすれば良かったですね
暗黒物質(ダークマター)とか暗黒エネルギー(ダークエネルギー)みたいにorz
0597三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/01/26(日) 22:11:33.02ID:KrlnSFDE
お題→書き出し『「やめてくれ!」』+『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』締切

【参加作品一覧】
>>578【私が騎士団長様に代わって応募用紙を提出するのですよー】
>>590【VR】
>>594【アムネジア】
0598三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 22:14:02.58ID:KrlnSFDE
よし、、では通常お題5つです

お題安価>>599-603
0599この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 22:15:02.52ID:PLs51A1t
考察
0603この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 22:35:12.72ID:G3JyQVfb
夜空
0604三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 22:39:53.20ID:KrlnSFDE
☆お題→『考察』『vtuber』『ライト』『病気』『夜空』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→2/2の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0605三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 22:44:21.34ID:KrlnSFDE
えっはやっ、今日に限って早い
まだなんにも準備できてませんので、少々お待ちを

ってか『夜空』は>>37でやったけどね、近いお題でかぶっちゃうのが最近多いですね
でもいいぜー秋の夜空でも、冬の夜空でも、どこの夜空でも
お題も作品も感想もありがとうございます
0606三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 23:15:07.91ID:KrlnSFDE
えーっと、では
リレー企画の参加者を募集します

・定員は3名で、早い者勝ちです
・1人1レスのみ、今回お題を各自1つ以上選択します
・最終デッドラインは、成功しても失敗しても、2週間後とします

参加したいという方は、以下を明記の上、このレスに安価してください

・ポジション:【1】【2】【3】のいずれか
・ポジション【1】の方は、自分の担当レスの提出予定日

ポジションが取れ次第【1】の方は書き始めて頂いて結構です
作品のタイトルは【1】の方が決めてください
投稿の際【リレー企画:作品のタイトル(1)】のように、企画作品であることを明記してください

【2】の方は、【1】の方の提出予定日を見てから、自分の担当レスの提出予定日を宣言してください
【3】の方は宣言不要で、最終デッドラインが締め切りとなります

なんか長文で分かりにくいですが! 質問等あればどうぞです
よろしくお願いします
0609三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/26(日) 23:22:19.41ID:KrlnSFDE
ああ、ごめんごめん
自分の担当レスの提出予定日を言わないだけで、参加の宣言自体は必須です
0611この名無しがすごい!
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2020/01/26(日) 23:51:44.86ID:X8W7mO8r
>>606
しくった!
勘違いしたわ
1に変更で頼む、
>>608のもの
掻き回してほんと申し訳ない、終盤だと忙しくて参加できなかった
0612三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/27(月) 00:11:52.44ID:CCSZ7icT
おお、1を選んでもらえるなら、とりあえず始められますね
やっぱり説明がややこしかったなぁ・・・
もし日数がかかるようであれば、提出予定日も宣言よろです

残りのポジションは【3】ですね
0613三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/27(月) 00:14:03.95ID:CCSZ7icT
>>594
そして今回はシリアス! 記憶かぁ・・・
『やめてくれ』デスゲーム、白い『会場』、まぁ『タイムアタック』、『四次元』空間の『ダークホース』w
なんか聞き覚えのあるゲイムw、記憶を対価に、終わりなき戦い
神の目的とは、彼女に勝機はあるのか・・・
0615三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/27(月) 00:35:19.82ID:CCSZ7icT
お題まとめってなんだべ?
お題と作品をまとめた一覧は、スレの最後、埋め立てる時に書き込んでますね
なので現スレのまとめはまだないです・・・

ダブり防止のコツを言っておくと、全部のレスを表示して『締切』で検索すれば、過去のお題が見れますね
0616三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/27(月) 00:46:40.42ID:CCSZ7icT
ああ、、、そういえば昔あったなぁ、、お題まとめ・・・
それ作ったの進行さん以外のスレ民でしたよね
って言うか三代目進行はその時まだいなかったので・・・

微妙に流れてますが、ポジション【3】への応募もよろしく
0617この名無しがすごい!
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2020/01/27(月) 22:02:20.85ID:BVsPE3IB
>>612
今日中に書き送るつもりだったがきびそう
明日には提出したいけど一応余裕とって予定日は明後日にします
0619三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/27(月) 23:56:11.76ID:CCSZ7icT
>>617
報告ありがとうー、明後日だと思っておけば大丈夫そうですね

>>618
なるほど、そもそも『ダークホース』からの発想w


ポ、、ポジション【3】は、、まぁ急いでも仕方なさそうw
0620この名無しがすごい!
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2020/01/28(火) 10:57:06.01ID:mNEh/T6h
>>619
まぁ1と2を見て書きたいと思う人がいるかもだし、もう一回書いてもいいし、進行さんが書いてもいいしw
とりあえずお試し回なので、どうとでも
0622この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 00:02:12.25ID:d90uF0xq
そうなんか、まぁその辺りの匙加減はお任せで
しかしうーん、いい加減普通に書きたいなぁ>>604
0623この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 22:07:57.31ID:q1HGnc87
やべえ1レスしかないの忘れてた……2レスなら収まるんだけど特許でないかな……
0624この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 22:21:47.11ID:q1HGnc87
ごめんね進行さん!
申し訳ないが2番目の人の持ち時間いたずらに削るほうが迷惑だと勝手に判断して強行するぜ!
ほんとすまねぇ!
0625この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/29(水) 22:27:25.12ID:q1HGnc87
>>604 >>606
【リレー企画:『ライト・ライト』(1)】
使用お題→『ライト』
(1/2)

 妙な街だった。
 生暖かい灯の中に浮かび上がる酒一杯をつつくようにして呑んでいると、昼間の光景が目に浮かぶ──私には、この街の人間からくる視線が何か寒々しい含蓄のあるものに思えた。
 このカウンターの向こうで皿の手入れをする機微の通じていそうな店主でさえ、刹那に目を剥いてみせていたのが瞼の裏から離れない。
 彼が「旅の方ですか?」と訊くので首を縦に振って見せると、今の席に案内してくれたので束の間、胸をなでおろしていたが、ちびちびと酒を口に含むうち、水の塊に心を食い破られているような恐怖がわき起こった。
 天井を見上げると、長嘆が喉元を冷やすように這い出る。ほぼ同じに、ドアの鈴が鳴っているのが聞こえた。
「あれェ?」素っ頓狂な声だった。「奇遇ってやつだね」
 床を叩く靴音の方を見やると、馴染みのある顔が目に入る。思わず、おお、と声が出た。
 前の街宿で意気投合した友人だった。
「辛気臭いツラしてるじゃあないのさ」
「ちょっと聞けよ」私は、かなり早口にそう口走った。
 その焦燥している具合に、彼も少し顔をしかめた程だった。
「よくわからないよ、この街。俺はなにかしたかな」
「誘拐」彼が顎で示す部屋の隅には、私の召使いをやる少女がいた。
「あれはちゃんと港で買ったやつだって、前も言っただろ。やめろって。まず傍からみたら彼女と俺は父娘だろうよ。好意的に見られるべきだね」
 友人は肩をすくめてから軽々しく店主に酒を頼むと、これもまた軽やかな足取りで召使いの娘に歩め寄った。
「なにしたらチクビ見せてくれるんだっけ?」
「つつくんだよ」
 私は首を捻って、彼の指先が少女に触れようとするのを凝視した。指の腹が娘の白いワンピースの生地を撫でると、彼女は無言で肩紐を外し、服をはだけた。
 友人は破顔して笑い声を上げる。
「面白いねえ、あんたが躾けたんだろ」
「うん」私は浅黒い肌の上に塗りつけられたような、赤銅色の乳頭を眺めながら言った。
「で、見つめてんだろ。少女は花……ああ、キモチワル」
 いよいよ腹を抱え始めた彼に、私もつられて笑みがこぼれた。ひどく下卑た笑いだった。

 友人が飲みはじめると、二人だけの喧騒はようやく収まりを見せた。
 落ち着いても達者な彼の喋りに聞き入ってばかりいたが、外の往来もかなり静まった頃になってその話題は再び鎌首をもたげた。
「あんた、」友人は言った。「左折しなかった?」
「左折ぅ?」
「そうだよ、左折。左に曲がることだよ。しなかった?」
 しないはずがない。人間誰しも、十字路では右に目的地があれば右に行くし、左に目的地があれば左に行くものだ。
「したさ」私は頷いた。「なんの話だよ」
「やっぱり知らないんだなあ」
「だから」
「落ち着けって。飲み過ぎなんじゃあないの」
 私は、彼のしわくちゃな肌に張り出した頬骨のあたりを注視した。
 彼の方は手元のコップに視線を落として、酒の中に揺らぐ底を眺めているようだった。
「右に曲がらなくちゃいけないんだ。この街ではな。右には光があって、左には闇がある。人は光を求めるはずだから、左に向かうやつは悪魔の類らしい」
「はァ? なんだそりゃ」
「慣習だろ。旅行客に関しては理解のある町人が多いが、夜な夜なリンチをやっているようなやつもいる。あんたも気をつけな」
 満タンの酒樽を叩いたような、鈍い声色だったのが気にかかった。店の灯に照りつけられた彼の表情の中で、黒い影が燃えているように思われるほどだった。
 以前、お気に入りの男娼が死んだと話していた彼の、その時の面立ちが、不意に思い起こされた。
 やがて彼は、コップを唇にぐいと押し当てて飲み干してから、懐をあさり始める(少しそのポケットが前より膨らんでいて重たげなのが目についたが、気にかけることでもなかったのですぐに視野から捨ておいた)。
「もういくよ。あんたも早足で帰りな」
「ああ」
 勘定を店主に収め、足をぶらぶらと投げ出す彼を目尻で見送ると、店は彼と再会したときの騒々しさが嘘のように静かになった。
 手元の酒杯には、未だなみなみに酒が注がれている。コップに顔を近づけて、猫のように舌を酒の中に入れても、もう薄暗い静寂の中では味気なかった。
 単調なものばかり照らし出す明かりに押し出され、私の視界は後ろへ追いやられた。娘が、浅黒い肌を晒したまま、虚空に溶け出しそうな佇まいで隅にいた。
0626この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 22:28:29.21ID:q1HGnc87
【リレー企画:『ライト・ライト』(1)】

(2/2)

「こっちへきなさい」私は、言葉の通じない彼女に手招きと合図を送りながらそう言った。「服はもとに戻して」
 肩紐をかけながら暗闇から現われる彼女は、さながら明かりに輪郭を与えられているようだ。私は、彼女が私の隣で静止すると、その滑らかな頬に手を伸ばした。
「左に曲がるとリンチだってさ。馬鹿馬鹿しいね」
 語りかけても、彼女は虚ろな瞳を私の太腿のあたりに落としこんで、黙りこくっているだけだった。
──正しさなんて、そんなもんじゃないか。俺は、興味ないね。窮屈なだけだよ。それをわかってるやつが、一番自由で気持ちがいい。
 私は、山の稜線を見上げるように、彼女の肌を肩までひと撫でしながらそう思った。
 他者の軽蔑など歯牙にもかけてたまるものか。小児性愛をやっている俺が、左に曲がるごときで……。
 私が生まれて初めての銃声を聞いたのは、その直後だった。何やら遠くの方から響き通ってきたような音だったので、最初は何か雷の類のものだろうと直感したが、頭が冴えてくるほどにあれは紛れもなく銃声であると思い直した。
 そこで、少し苛立っていた私は、劇場じみたその光景をつい、一目見たいと考えてしまった。
 すぐに勘定を済ませ、娘には宿に帰るよう命じて勘を頼りに音の方へ向かい始めると、泥のようだった内情をあちこちに吹き飛ばしていくような精力を感じた。
 私の体は、夜更けの寒い風が火照った頬を愛撫していく心地よさを感じながら、素早く街の空気を切っていった。
だが──例の友人が黒光りする得物を持って走り去るのを横目に見ながら地面を蹴り、
(このとき私は、気づくべきだったのかもしれないが、酔いと苛立ちと心地よさとが私の足を現場にだけ向かわせたのだった)
現場でリンチをやっていたという男の血溜まりを目に映すと、知りもしない醜男の体に赤いものが滲んでいるだけのその光景は、私の皮膚の内側をしきりに叩いていた活力を急速にすぼめていった。
 もうそれ以上は、何もなかった。私自身、何もあってほしくなかった。張り合いを失った私は、ひどく疲れを感じていた。
 宿への帰路についた頃に、これがあの友人の仕業であったという事実を確信してもなお、胸のうちにはなんの気勢も起こらなかった。
──どうでもいいんだ。やりたきゃやればいいんだ。好きにやればいいじゃないか。それが一番、いいじゃないか。
 そう言い聞かせながら部屋に戻ると、召使いの少女には目もくれずにベッドに倒れ込んで、そのまま泥のように眠った。──彼を探してみようなどと思い立ったのは、翌朝になり、コーヒーを一杯飲み干した頃になってやっとだった。
0627この名無しがすごい!
垢版 |
2020/01/29(水) 22:32:14.74ID:q1HGnc87
いろいろアホ晒してしまって恥ずかしいしほんと申し訳ない
データ消えるトラブルがあって余裕がなかったということを言い訳として伝えておく
ほんとすみませんでした……

一応「正義」を主題にして書いたけど、それが「正義とはどんなものなのか」「正義はなぜあるのか」とかそういう具体的なものはうまいとこ後発の人の落としどころに任せます
もちろんガン無視で好きにやってもらっても結構

とにかく今回はほんと申し訳なかった
0628この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 22:46:20.62ID:d90uF0xq
乙です、【2】引き継ぎます
もしかしなくてもこれは初手から凄まじいキラーパスなのでは……?(戦慄)
とりあえず自分の期限は三日後に設定しておきます、これの後に何を書くことになるのかが自分でもわからないw

>>625 【リレー企画:『ライト・ライト』(2)】

提出予定日:2月1日(三日後)
0629この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 23:38:11.01ID:d90uF0xq
>>604,606
>>625 【リレー企画:『ライト・ライト』(2)】

使用お題→『病気』

「フロラ」

 この安宿に、カーテンなどという上等な設備は無い。網膜を焼く朝陽を直に浴びながら、
私は召使の少女を呼んだ。フロラ。当然それは、彼女が生まれ持った名などではない。
 彼女は名を削り落とされた類の品物だったし、だからそれは、私自身の趣味で付けた名に過ぎない。
 こくり、と彼女は頷き、私の下へと歩み寄った。異国の少女は言葉を解さないが、名ぐらいは教えられる。

 白いシーツの上で、私は朝の「支度」を手短に済ませる。抵抗はない。痣も傷も、その肌にはもう残っていない。当然だ。私がフロラにそうした強情さを見せる機会など、ほとんどなかったのだから。
 最初から刻まれていた商人によるそれらが癒えれば、それで終わりだ。私が彼女を傷つけることなどない。
 彼女を友人として扱うことがないのと、同じくらいに、無い。

 用が済んでから、私はコートを羽織って顔馴染みの殺人者を探しに出かけることにした。
 残った酒精が頭を苛み、曇った空は何重もの蜘蛛の巣で覆われた、虫による虫籠じみている。
 足跡が百を数える頃には馬鹿らしくなり、飲める水でも探した方が有益ではないかと早々に後悔を始める。
 けれど有難いことに、どうやら私と彼には左に曲がる者同士、引き合う何かがあったらしい。

「やぁ、どうしたの」
 びくりと、街路を歩いていた友人の肩が跳ねる。友人? さて、それは一体誰のことだっただろう。
 彼のポケットの片方は硬い何かで不自然に膨らみ、その重量によってズボンが不均衡にずり下がっていた。
 フロラは何も言わずに佇んでいる。まぁ彼女は彼が人を殺したことを知らないのだから、当然かもしれない。
 だから、代わりに僕が言った。

「気にしているのか? 左へ曲がったことを? 後悔している?」
「あんた……いや、昨日のは、やっぱりあんたか。……後悔? まさかだ。俺はやるべきことをやった」

 そう口にしながらも、友人だった彼はキョロキョロと怯えたように視線を巡らせ、目の下には濃い隈があった。眠っていないのだろう。休んでさえいないかもしれない。
 ゲイの殺人者の気持ちは、私にはわからない。友人ではない男娼を殺されて憤る、復讐者の考えも。
 幼い少女を買って連れ回す人間の病も、周囲からは同じことだろう。

「これからどうするんだ?」
「そりゃ、街を出るさ。一刻も早くな。もうこんなロクでもない所に用はない」
 深い隈のある目元を神経質に瞬かせる彼は、けれど旅荷物を何一つ抱えてはいなかった。
 そもそも本気でそう思っているのなら、夜中の内に逃げ出してしまえばよかったのだ。
 では、彼が本心で求めるのは何なのだろう。罰か、それとも赦しか。
 
 昨夜の酒場での姿とは別人のように変わってしまった彼を眺め、私はかえって、
自分がひどく落ち着くのを感じていた。安定している、振り子のように。
 彼が左へ曲がることを選んだのは彼自身の考えだが、それが常に最良の結末に続くとは限らない。
 後悔しないことさえも、難しいのだろう。糸の切れたまま動き回る人形のように街路を行き交う街の住民に
通り過ぎられる私も彼も、この街には存在していない。その矮小さが、どこか肌に馴染み、染み込んでくる。

 そしてフロラは、何も言わずに。
 彼のずり落ちたポケットの奥の、重い塊を見つめていた。
0630この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 23:41:13.80ID:d90uF0xq
意外と書けたので提出、作風はあえて変えるのがリレー小説の醍醐味かなと思いつつ、
破綻しない程度に踏襲……とはいえ作者個人の味は多少再現しようとしても違ってくるなとも思ったり
一応ストレートに書けば【3】は比較的書きやすいはず、もちろんそうしないこともできる
0631この名無しがすごい!
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2020/01/29(水) 23:57:41.00ID:HLEVqllS
>>604 3番やります
0634この名無しがすごい!
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2020/01/30(木) 00:30:43.83ID:pu5+BbAQ
一箇所一人称の私が僕になってることに気づいた
まぁいいか……誤字ではあるけど、何らかの解釈もできるかもしれない
0635三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/01/30(木) 23:27:45.14ID:7ttXinbf
一応感想を書いておきます!

>>625
『ライト』の多義性、際に立つ半裸の少女、復讐者・・・いやどうするんだこれw
文字数行数ともオーバー、デカダンでヘヴィーな作風丸出しですがー
日本語側での解釈なら、これはこれで面白いし、英語側だと、作者自身の一応の解説よりも、もう少し奥行きがあると言うか、本文の方が近い感じがします(right や justice の意味を検討する)

>>629
復讐者の変容、『病気』なんだ僕らは・・・大丈夫バランスは取れてる!
傍観者の少女に名前を付ける、正しさとは、友人とはなんだったのか! 分かんねー!!
書かされてこれがすらすらと出てくるのも分からんけどw

あと一応言っておきますが、企画じゃない通常募集の作品も投稿可ですし、感想などもお待ちしております
0639この名無しがすごい!
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2020/01/31(金) 19:46:27.63ID:4m0Cd2bV
>>604
使用するお題→『ライト』『病気』『夜空』
>>44【定休日は有意義に過ごそう】を先に読んでおくことをオススメします

【あの日食べたポトフ】(1/3)

それはレイチェルとライアンがシチリアでレストランを開業し、楽しい生活を過ごしていた時の出来事だ。
レストランは地元のお客達にとても人気で、毎日がとても忙しかった。
レイチェルはウエイトレスを担当する一方で、お馴染みのガンマン衣装に着替えて
ギターやピアノを演奏したりと余興で客達を楽しませていた。
その頃は特に定休日を決めておらず、臨時休業を除けばほぼ年中無休で営業していたため、
レイチェル自身に疲労がどんどんと蓄積していった。
そんなある日の余興の時間、ギターを演奏する最中、レイチェルはバタンと倒れこんでしまう。

「レイチェルちゃん!」

キッチンで料理を作っていたライアンが、客達の騒々しい声を聞いて急いで駆けつけた。

「レ、レイチェル!大丈夫なのか!?しっかりするんだ!」

レイチェルの額に手を当てるととても熱い。高熱を出している。
ライアンはその日の営業を急遽中止し、レイチェルを抱えると寝室のベッドに寝かせる。
ハァ、ハァと喘ぐ彼女の姿にライアンはとにかく心配で気が気でなかった。
数時間後、眠りに落ちていたレイチェルが目を覚まし、ライアンは涙を流しながら彼女をギュッと抱き締める。

「レイチェル、意識を取り戻したんだね!」
「し、心配かけて、本当にごめんねライアン」
「何言ってるんだよ。とにかく本当によかった!」

急ではあるがレイチェルの体調がしっかりと回復するまで、ライアンはレストランを休業することに決めた。
レイチェルがベッドで安静にしていると、何か良い香りがしてくる。
ライアンが手作りのポトフを持ってきたのだ。

「レイチェル、あったかいポトフだよ」
「ありがとうライアン」

ざく切りの大きなニンジンやジャガイモを口に運んでいく。ホクホクしてて本当に美味しい。

「あちち…!すっごく美味しい!」
「ほらほらゆっくり食べて。おかわりはまだいっぱいあるよ」
「おかわり!」
「アハハ、食いしんぼうなガンマンだね!」
「もう失礼ね!」
0640この名無しがすごい!
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2020/01/31(金) 19:47:21.97ID:4m0Cd2bV
【あの日食べたポトフ】(2/3)

ポトフを三回おかわりし、レイチェルは満腹になった。

「その食欲ならきっとすぐに回復するね」
「うん!もう明日から動けるわよ」
「ダメだよレイチェル。しばらくはまだ安静にしておかなくちゃ」

ライアンがレイチェルの頭を優しく撫でる。

「また何かあったらすぐに呼んでね。欲しい物があったら買ってきてあげるよ」
「うん、ありがとう。でもライアンも無理しないでね」
「僕は大丈夫だよ。生まれて1回も風邪引いたことないんだ」
「ほ、本当!?」
「アハハ嘘だよ。高校の時に1回引いてるんだ、それだけさ」
「ライアンって本当にタフね。感心しちゃう」

熱もだいぶ下がり疲労も抜けきっていたはいたが、もしものことがあってはいけないと
レイチェルは無闇に体を動かしたりせずに安静で過ごしていた。

「ライアン、今日もポトフがいい!」
「OK!よっぽど気に入ったんだね」

レイチェルはライアン手作りのポトフにもう病みつきだった。

「ライアンの料理はどれもすっごく美味しいけどこれが一番かも!」
「あれ、この前はクリスマスの時のローストビーフって言ってなかったっけ?」
「どれもこれも美味しいんだから仕方がないじゃん!」

また、ライアンがレイチェルのウエスタンハットやスカーフ、コートを身につけて、彼女の真似をして楽しませることもあった。

「俺はさすらいの旅を続ける女ガンマンのレイチェル。旅の邪魔をする奴は誰であろうと許さない…」
「アッハッハ!面白いわライアン、それに結構似合ってるわよ」

そして1週間ほどが過ぎ、レイチェルの体調は完全に回復した。
0641この名無しがすごい!
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2020/01/31(金) 19:48:13.40ID:4m0Cd2bV
【あの日食べたポトフ】(3/3)

「もうすっかり元気だわ!これも全部ライアンのおかげ、本当にありがとう」
「どういたしまして。レイチェルはやっぱり快活でなくちゃね。明日からまたいつも通り営業再開だね」
「そうね。突然の休業でみんなに迷惑かけちゃったから、休んだ分頑張らなくちゃね!」
「そうだレイチェル、今日は天気がすごく良いからあそこに行かない?」
「あそこ?ああシャイニングスターヒルね!」

その日の夕方、早めの夕食を済ませ、ライアンが車のエンジンをかけて準備をする中、
レイチェルが乗り込む。もちろんお馴染みのガンマン衣装を身に包んで。

「さあシャイニングスターヒルへ出発進行!!」

しかし車のライトが点かない。

「あ、あれどうしたんだろ?ライトがちゃんと点かない。壊れたのかな?」

どうやらライトが壊れてしまったようだ。これでは暗い夜道の中、車を走らせることはできない。

「ごめんねレイチェル。今夜はもう出かけられないよ」
「気にしないでライアン。近くの公園まで軽く散歩しましょ」

ライアンとレイチェルは公園に着くと、ベンチに座り綺麗な夜空を楽しむ。

「また今度必ず行こうねレイチェル」
「もちろん!それにシャイニングスターヒルは逃げたりしないわ」

1時間ほど温かいコーヒーを飲みながらおしゃべりして楽しむと家路につく。
次の日、レストランの営業が再開し、訪れた常連客達が元気になったレイチェルの姿を見て喜び安心する。

「レイチェルちゃん、元気になって本当に良かったよ」
「1週間きっちり休んだからもう大丈夫よ。今日からまた余興で思いきり楽しませるわね!」

それ以来、ライアンとレイチェルは毎週水曜日を定休日に決めて、しっかりと休養を取れるようにした。
お客達も納得してくれて2人は安心した。

「レイチェル、調子が悪い時は絶対無理せずに言ってくれよ」
「OK!そう言うライアンも無茶しないでね」

また今日も忙しくも楽しいレストランの営業が始まるのであった。
0643三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/01(土) 01:41:49.94ID:Pcbi6Li5
いやー、、正直心配してましたので安心しました
これがないと始まらないw

>>639
今回は『病気』のエピソード、『ライト』が点かない、公園の『夜空』
ここで定休日の件が回収されるとはw、そして割といつもおいしそうなものを食べてるw
なんか読んでて思うのが、登場人物たちの人間らしさです
別に言動や振る舞いのリアルさの話ではなくて、シリーズ通して人間性を獲得してるんですよね・・・
0644この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/01(土) 18:23:30.48ID:/VtIL8NJ
俺3じゃないけど、これ最終デッドラインギリギリに投稿するときも使用するお題は今週のでも許されるの?
0647この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/01(土) 21:11:33.26ID:+Exhf82A
>>642
>>643
感想、そして嬉しいお言葉ありがとうございます!
レイチェルシリーズは完結はしましたが、たまにネタを思いついた時は
それまで語られなかったお話を番外編として書くのも良いなあと思いました
今回は『病気』と『夜空』というお題に目がついて書きました
そうですね、何かお話を書く時は各キャラの人間らしさ、なるべく個性を重視し
本来のキャラを崩さないよう気を配って書いていますがこれが結構難しいんですよね
時々書いている途中で、あれレイチェルってこういう性格だっけ?と頭を悩ましてしまうこともありますw
レイチェルとライアンは私にとって特に思い入れの強いキャラで、可愛い我が子のような存在です!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0648この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/01(土) 21:19:47.10ID:pHUavOlN
>>604
お題:『考察』『vtuber』『病気』

【さようなら】

空乃ミソラ@misora_vtuber 2週間
みんな、いつも応援ありがとう! 次の配信は明日の20時からだよっ!!
リプライ 2 RT 37 いいね 42

空乃ミソラ@misora_vtuber 2週間
ごめんなさい、今日の配信は延期になりました……。
すぐに元気になって戻ってくるので、待っててください!
リプライ 17 RT 152 いいね 177

空乃ミソラ@misora_vtuber 3日
【大切なお知らせ】
大変勝手ながらVtuber空乃ミソラは、本日で活動を終了させて頂くこととなりました。
皆様、これまで応援本当にありがとうございました。
リプライ 119 RT 1052 いいね 870

(ヘミングウェイが著者とされる世界一短い小説、
「売ります。赤ん坊の靴。未使用(For sale: baby shoes, never worn)」をモチーフに)
0649この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/01(土) 23:46:07.80ID:/VtIL8NJ
面白い、というより芸が細かい、というべきな感じ
話の流れではなくリツイート数とかの工夫とか見て初めてくるものがある
0650三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/02(日) 01:28:48.37ID:GcJtQMeX
>>647
作品から思い入れは伝わってきますねぇ

>>648
読者が『考察』する『病気』で休止した『vtuber』の引退
今週は次々w、なるほど今回この発想はなかったので、、これはいいなぁ
アイディア勝利、>>649を否定するみたいで悪いんですが、読んでの主観としては面白いw
vtuberに必然性あり、二番煎じが許されるなら短縮も可能ですけど、ちょっとこれには敵わない
0651三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/02(日) 22:13:11.88ID:GcJtQMeX
お題→『考察』『vtuber』『ライト』『病気』『夜空』締切

【参加作品一覧】
>>639【あの日食べたポトフ】
>>648【さようなら】

【リレー企画参加作品一覧】
>>625【リレー企画:『ライト・ライト』(1)】
>>629【リレー企画:『ライト・ライト』(2)】

※ただしリレー企画の締め切りは1週間後です。
0652三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/02(日) 22:15:37.61ID:GcJtQMeX
では今回も、通常お題5つです

お題安価>>653-657
0653この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/02(日) 22:18:07.63ID:p9gX7wdI
靴紐
0654この名無しがすごい!
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2020/02/02(日) 22:20:17.21ID:hzKFVVXI
『改造』
0658三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/02(日) 22:42:16.70ID:GcJtQMeX
☆お題→『靴紐』『改造』『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→2/9の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0659三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/02(日) 22:48:00.61ID:GcJtQMeX
今回も早く集まってありがたいですけど、、なんだこれw
『ハゲ』は今確認したら9ヶ月前でした、覚えてる!
そして謎の楽器ww

ともかく今週もお題、作品、感想、ありがとうございます
引き続きよろしくです
0661この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/03(月) 20:15:22.09ID:WVnLbhe4
>>658
使用するお題→『改造』『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』

【女ガンマンはただ旅を続ける】(1/3)

岩石やサボテンしかない広大な荒野の中を、黒く大きな馬に跨って颯爽と駆け抜ける一人の女がいた。
彼女の名はシンディ、さすらいの旅を続ける女ガンマンだ。

「そろそろ町が見えてもおかしくないんだけど…」

今走っている荒野はとても蒸し暑い。近くに川が流れていたらそこで休憩したいところだが、それもない。
つばの広いウエスタンハットを目深に被るも、太陽の眩しく熱い光が照りつけてくる。

「ヒヒーン!」

シンディを乗せて走っていた黒い馬が足を止める。

「サンセット、どうしたの?」

馬の名はサンセット。シンディの愛馬にして、彼女の最高の旅のパートナーだ。ちなみに性別はメス。
長い時間走り続けていて疲れてしまったのだろうか、無理もない。しかし周りに何もない荒野のど真ん中に止まってしまってもどうしようもない。

「サンセット、お願いだから次の町まで頑張って。美味しいニンジンやリンゴ買ってあげるから」

しかしサンセットが止まったのは疲れたといった理由ではないようだ。
彼女の視線の向こうには、地面に落ちて苦しそうにしている鳥の雛がいた。巣から落ちてしまった上に迷子になってしまったのだろうか。
すぐにシンディはサンセットの背中から降りて雛のところに駆け寄る。

「可哀想に…」

すぐに太陽の熱い光を遮られるよう、スカーフで雛の全身を覆う。
弱肉強食の自然界に人間が干渉するのは決して良いことではないが、シンディは雛を見捨てることができなかった。

「何の鳥の雛かしら?」

すると近くの断崖の方からピーピーと可愛らしい鳴き声が聞こえてくる。上を向いてみると、そこには鳥の巣があった。

「あそこの巣から落ちたのね。すぐに戻してあげる」

シンディは自力で断崖をよじ登る。巣は大体地上から30メートル上のところに位置していた。

「安全なお家までもう少し…!」

なんとか巣まで辿り着くことができ、雛をスカーフから出して巣に戻す。

「もう大丈夫よ。巣から落ちないように気をつけてね」

地上に下り、雛に向かって手を振るとシンディはまたサンセットの背中に跨り、荒野の中を走り出す。
再び走り出して1時間ほど経っただろうか、町が見えてきた。

「サンセット、町が見えてきたわよ!」

サンセットもヒヒーンと嬉しそうに鳴く。町につくとシンディはサンセットに冷たい水を与え休憩させ、店に立ち寄る。
食糧やサンセットの餌であるニンジンやリンゴの調達を済ませると、バーの中に入り、自分も休憩する。
0662この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/03(月) 20:16:28.32ID:WVnLbhe4
【女ガンマンはただ旅を続ける】(2/3)

「マスター!とびきり冷えたコーラ一つお願い!」
「コーラ?うちにはそんな物ありませんよ、あるのは熱々のコーヒーだけでございます!」
「こ、ここ喫茶店とかそういうのじゃなくてバーだよね?」
「文句言うなら何も飲まずに帰っていいんですよ」
「わ、分かったわよ…それじゃあコーヒーを一杯…」

バーのマスターが嬉しそうに熱々のコーヒーの入ったティーカップを差し出す。
仕方ないがこれで水分補給するしかない、とシンディはハァと溜め息をつく。

「…ったくどこまで横柄なマスターなのかしら!」

日が暮れて夜になった。今夜はそこの宿で一夜を明かし、翌朝早くシンディはサンセットに跨り町を後にした。

「あんな町、二度と来たくないわ。バーはコーヒーしかないし、宿のベッドはボロボロで寝心地最悪だったし…!」

また広い荒野の中を走る中、シンディはさっきから一羽のハゲワシが飛んでついて来ていることに気付く。

「あのハゲワシ、朝からずっとついて来ているけど、私何かやったかしら?」

食糧を狙っているのか、もしかして自分自身に襲いかかって食べるチャンスでも伺っているのか。
そう考えるとシンディはだんだん怖くなってきた。

「サンセットお願い!できるだけ速く走って、あのハゲワシを振り切って!」

シンディにお腹を拍車で当てられ、サンセットは猛スピードでぶっ飛ばす。

「ちょ、ちょっとそこまで速くなくてもいいから!落ち着いて!」

あっという間に次の町に辿り着いた。サンセットは拍車を当てられることがあまり好きではなく、シンディに対して鼻息を荒く当てる。

「ご、ごめんねサンセット。ハゲワシが怖かったからつい…」

喉が渇いたのでシンディは近くのバーに寄って休憩しようとする。

「ここは普通にコーラとかあったらいいんだけど…」

そんな彼女に、一人の男が陽気そうに楽器を演奏しながら近づいてきた。とても良い音色にシンディは思わず足を止める。

「おじさん、ギターの演奏すごく上手いわね!」
「そうかいお嬢さん。でもこれギターじゃなくてね、ハーディー・ガーディーって言うんだよ…」
「ハーディー・ガーディー?何それ、初めて聞くわね」

男の持っていたハーディー・ガーディーという楽器が突然ガチャガチャと音を立てながら、ライフルに変化した。
えっ!?と一瞬驚き躊躇したその時、男はライフルを発砲し、シンディは左腕を撃たれてしまう。

「キャッッ!!」

左腕が大量出血する中、シンディは右手で急いで腰のホルスターから銃を取り出して反撃しようとするも、男に右手を踏まれ動けなくなってしまう。

「シンディよ、俺を覚えているか?お前が壊滅させたブルーストーンズの生き残りよ!」

ブルーストーンズは名の通った無法者集団で半年ほど前、東部にある一つの町を襲撃しているところを
たまたま訪れたシンディに容赦なく撃ち倒されて壊滅してしまったのだ。

「殺された仲間の仇を討つために貴様をずっと探していたんだよ」
0663この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/03(月) 20:17:34.71ID:WVnLbhe4
【女ガンマンはただ旅を続ける】(3/3)

男はそのハーディー・ガーディーという楽器をいつでもライフルに変化できるよう、細かな改造を施していたのだ。

「お前はもう終わりだ、この自慢のライフルで脳天をブチ抜いてあの世へ送ってやるよ」

額にライフルを向けられ、もはや絶体絶命!するとあの一羽のハゲワシが鉄砲玉のように男に突進し、鋭い嘴で彼の頭を勢いよく突いてきた。

「い、痛え!やめろ!あっち行け!」

男がハゲワシに頭を突かれ出血し怯んだ瞬間、シンディはなんとか立ち上がって銃を取り出し、
彼の心臓に向かって発砲する。男はグボッ!と吐血しそのまま息絶えてしまった。
建物の中に隠れて避難していた住人達がゾロゾロと出てきて、シンディに駆け寄ってきた。

「どこのガンマンか知らないけど町を守ってくれてありがとう!」
「い、いや、私はこいつがムカついたから撃ち倒しただけ…」

その後、シンディは町の医者に左腕を手当てしてもらう。

「是非、この町の保安官になってくれませんか?」
「ごめんなさい、私はそういう責任感のある仕事できる柄じゃないの」

住人達から保安官として町に残ってもらうよう懇願されるが、彼女は悉く突き放した。
1週間ほど安静にすると、シンディは住人達がまだ寝静まっている夜明け前にサンセットに跨り、町を出て行った。

「それにしても、あのハゲワシは何故私を助けてくれたんだろう?」

不思議に思いつつもシンディはこれ以上深く考えずにまた旅を続けるのだった。

・・・・・・・・・・・

「すっごく面白かったぁ!ホント最高ッ!!」

西部劇マニアのレイチェルがコーラとポップコーンを手にしたまま叫ぶ。
そう今まで見ていたのは、彼女が大好きな西部劇のドラマだったのだ。
何ヶ月もブルーレイに録画して溜めていたものを今、一気に見ているところだった。
主人公の女ガンマンであるシンディの活躍にもうレイチェルは目が釘付けだ。

「シンディ、カッコよすぎて憧れちゃう!さてと次のディスクはっと…」

別のディスクをプレーヤーに挿入し、またレイチェルはドラマを楽しむのだった。
0664三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/04(火) 00:39:59.55ID:tJXOBwlD
>>661
どんなのが来るかと思ってましたが・・・!
女ガンマンと鳥、『ティーカップ』なんだこれww、『改造』された『ハーディー・ガーディー(という楽器)』、『ハゲ』ワシに助けられる
いや好き過ぎでしょこれw、この終わり方も知ってたw
落ち穂拾いも楽しい番外編(?)でした
0665この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/04(火) 07:46:46.22ID:5pjrE8s7
>>664
感想ありがとうございます!
そういえばレイチェルの大好きな西部劇ドラマがあったなというのを思い出して書いたお話です
このドラマの主人公であるシンディがレイチェルにとってまさに憧れの存在なんです
一応時系列としてはスレ6>>466【もっとクールになりたい!】と>>516【深夜の赤信号にご用心】の間ですね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0667三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/04(火) 23:34:04.98ID:tJXOBwlD
そゆことだったのか
人生いろいろ><

リレー企画の3番さんの方は、調子はどんなもんでしょ
0668この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/05(水) 22:52:35.60ID:eUNqrG6D
>>658
使用するお題→『靴紐』『改造』『ティーカップ』

【狂気の爆走スクーター女】(1/3)

ある土曜の朝7時。ジリジリと鳴る目覚まし時計の音に、カナミはフワァーッと大きな欠伸と共に起床する。
パジャマから普段着に着替え、1階に下りて食卓に来るとケンスケが既にトーストを頬張っていたところだった。

「お姉ちゃん、おはよう!」
「おはようケンスケ」

カナミとケンスケは今日、一緒に近所のショッピングセンターにある映画館へ一緒に映画を見に行く約束をしていたのだ。

「今日は目覚まし時計ちゃんと鳴ったから、寝坊せずに起きれたわよ。もう同じ失敗は繰り返さない」

以前、カナミは限定チョコタルトを買いに行く約束をしていたのに、目覚まし時計が壊れていたせいで寝坊してしまったことがあったのだ。
まあ何とか喫茶店の開店時間までには間に合い、無事に購入することはできたが(※>>148【弟とチョコタルトを守れ!】を参照)
机に座り、カナミがコップに入った牛乳を飲んでいると、母が皿洗いをしながら言った。

「あっカナミ、あなたのスリッポン汚れてたから今朝洗って今乾かしているところなの。悪いけど今日は別の靴で出かけてね」

母の言葉に、カナミは思わず口の中の牛乳を噴き出してしまいそうになる。

「えー!別の靴ってスニーカーしかないよ!それ履いて行ってっていうこと?」
「そういうこと。我慢して履いてちょうだい」

カナミはスニーカーを履くのが嫌いだ。靴紐が解けたりすると、その度に結んで直さないといけなくて面倒だから嫌なのだ。
朝食を終えて歯磨きも済ませ、ハァと溜め息をつきながらスニーカーに足を入れる。

「お姉ちゃん、そんなに落ち込まないで。今日は思いきり映画を楽しもう!」
「そ、そうよね。たかがスニーカーくらいでイライラしちゃダメよね」

行ってきまーす!と元気な挨拶をすると、カナミとケンスケは映画館へと向かう。
しかし靴紐が途中で解けたりしないかカナミは心配になり、時々足下をチラチラと見る。
30分後、ショッピングセンターの最上階にある映画館に到着した。

「お姉ちゃんと一緒に映画を観れるなんてもう最高ッ!!」
「ウフフ、それはこっちのセリフよケンスケ」

映画が終わり、ショッピングセンターの中を歩いている時だった。

「あっ宮坂君!」
「おっ七尾じゃないか!」

偶然にもクラスメートのハヤトと会ったのだ(※>>266【クラスメートのハヤト】を参照)

「こんな所で会うとは奇遇だな」
「弟と一緒に映画を観に来てたの」
「どうも初めまして。僕…」
「ケンスケ君だろ?」
「えっ、どうして弟の名前を知ってるの?初対面なのに」
「お前、よく弟の話してるじゃん。名前なら何回も聞いてるよ」
「そ、そうだったんだ。エヘヘ…」
「七尾、お前って面白いよな」
0669この名無しがすごい!
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2020/02/05(水) 22:53:31.41ID:eUNqrG6D
【狂気の暴走スクーター女】(2/3)

その後、カナミ、ケンスケ、ハヤトの3人はカフェでパフェやケーキを食べながら楽しくおしゃべりをする。

「そうだ、今から俺の家に来ないか?」
「そういえば宮坂君の家って雑貨屋だよね」
「ああ、良い物いっぱいあるぜ」
「行ってみたいなあ!」

ハヤトの両親は雑貨屋を営んでおり、カナミとケンスケを連れてきたハヤトを見てからかう。

「お帰りハヤト。あら今日はガールフレンドも一緒なのね」
「ショッピングセンターでたまたま会ってさ、せっかくだから家に招待したんだ」
「こんにちはー!(ガ、ガールフレンドって、な、何か照れちゃう…)」
「お姉ちゃん、顔が赤くなってるよ」
「な、何でもないわ!」

雑貨屋だけあって、ありとあらゆる多種多様な商品で揃っていた。

「なあ七尾。このティーカップ、お前にピッタリだと思うんだ。今なら特別に安くするぜ」

ハヤトが出してきたのは雪の結晶柄が可愛らしい、青いティーカップだった。

「すっごく可愛い!必ず買うから、それまで誰にも売らないでね」
「心配しなくても大丈夫だよ」

その時だった。ブオオオンと凄まじいエンジン音が外から響いてきた。
一体何事かと外に出てみると、小学生の女がノーヘルでスクーターに乗って爆走していたのだ。

「ろ、6年の岩崎ヒロミだわ!」

彼女の名は岩崎ヒロミ。あの意地悪な6年女子の一人で、平気で無免許で改造スクーターを乗り回している。

「あら5年の七尾に七尾の弟君、それに宮坂もいるじゃないの」

ヒロミは猛スピードでスクーターを走らせ、カナミ達に向かって突進してきた。

「危ないじゃないか!」
「小学生が無免許でスクーター運転なんて犯罪よ!」
「黙りな!私の辞書にルールなんて言葉なんて無いのよ!」

まさに傍若無人の化身にして塊だ。

「な、七尾!危ない!逃げろ!」
「お姉ちゃん!!」
0670この名無しがすごい!
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2020/02/05(水) 22:54:44.69ID:eUNqrG6D
【狂気の暴走スクーター女】(3/3)

ヒロミのスクーターがカナミに激突!…したと思いきやカナミはギリギリのところで避けていた。

「し、心臓が止まるところだったわ…」

一瞬、足の方に目を向けるといつの間にかスニーカーが脱げていた。
さっきスクーターを避けた一瞬の間に、スニーカーの靴紐が解けて脱げてしまったのだ。
その脱げたスニーカーはスクーターの前輪に引っかかり、ヒロミはコントロールを失ってしまった。

「うわわわわわ!!!」

そのまま近くに駐車していた宅配のトラックにドゴーン!と激突してしまった。

「おい俺の大事なトラック壊しやがって!弁償してもらうからな!」

怒り狂うトラックの運転手は警察に通報し、ヒロミと彼女の両親は逮捕されると同時に、多額の修理費も請求されたのだった。

「お姉ちゃーん!」
「七尾、ケガはないか?」
「大丈夫よ、ありがとう」

カナミの無事にハヤトとケンスケはホッと安堵した。
夕方になり、家に帰らないといけない時間になった。

「それじゃあ私たちは帰るわ。6時過ぎちゃうと親に怒られちゃうからね」
「ハヤト兄、また来るからねー!」
「ああ、またいつでも来てくれよ。また月曜に学校で会おうな!」
「うん!宮坂君、バイバーイ!」

ハヤトに大きく手を振りながら、カナミとケンスケは家路につく。
家に着き、ドアを開けると綺麗になったスリッポンが置かれており、カナミはそれを見て笑顔になる。
夕食を終えると姉弟はベランダで夜空を眺めながら、今日のことを楽しく振り返る。

「お姉ちゃん、ハヤト兄って本当に面白くて良いお兄ちゃんだよね」
「そう思う?まあ、お調子者で少し何を考えているか分からないところはあるけどね」

2人は互いに顔を合わせて笑うと、部屋に戻って眠りにつくのだった。
0672この名無しがすごい!
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2020/02/05(水) 23:53:19.10ID:ekCkHX+q
やっぱレイチェルの人が来ると活気が出るな
【3】の人は無事だろうか
0674三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/06(木) 12:54:43.81ID:yFZFVStD
いや課題をやろう!!
あと夜は寝よう
某書籍化作家さんも、夜は寝た方がいい、みたいなこと言ってた

>>668
また絶好調w
スニーカーの『靴紐』、雑貨屋の『ティーカップ』、『改造』スクーター
なるほどお題からの発想が面白い
そしていつもの狂気にまみれたお話でしたw
0675この名無しがすごい!
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2020/02/06(木) 15:04:24.32ID:8FDWcvsU
>>672
【3】の者です。
大体の案は浮かんでいるので、明日か明後日には出せると思います。遅くなり申し訳ありません。
0676この名無しがすごい!
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2020/02/06(木) 15:18:04.43ID:CmmpF1Ms
>>674
感想ありがとうございます!
今回は久々にクラスメートのハヤトが登場です。作中に出てくる小6女子はとんでもないのがいっぱいですw
今後も一見ほのぼのしてるけど狂気に満ち溢れた展開が続いていきますので、どうぞお楽しみに!

>>672
嬉しいお言葉ありがとうございます!
今は完結したレイチェルシリーズの全エピソードを改めて読み返すことが多く、
あっこのネタ使えそう!面白そう!と思ったらすぐに書きたくなっちゃいますね
完結はしましたが今後は番外編をメインに書いていこうと思います
0677この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 21:58:15.68ID:8YEZJ4u5
>>658
お題:『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』

【一夜の夢】
 楽器が掻き鳴らされ、辺りは華やかな音楽で満たされていた。
 丸いテーブルの上には、こんな色とりどりの花の咲き誇る花園には、いっそ似つかわしい白磁の茶器が用意され、無機質な表情のメイドがお茶を淹れている。

「何を考えている?」

 剣を構えたまま、勇者と呼ばれる少年が、眼前の男に訊ねた。

「いや、そう言えば、殺し合いなどしているにも関わらず、私達は、お互いにの事を知らなすぎると思ってね」

 その、病的な程の白い肌と漆黒の髪、そして捻れた角をコメカミの辺りから生やした男、魔王は、優雅な手付きでティーカップに手をかけた。

「ふざけんな!!」

 勇者が剣を振り、花々が舞う。
 アコーディオンやハーディー・ガーディーを演奏していた魔族達の手が止まる。
 魔王はどうと言う事もないと言う表情でその剣を指先だけで摘まみ止めた。
 魔王が大きな溜め息を吐く。

「成る程、まだ君は、この世界の事をよく知らない様だ」

 突風が吹き、花びらが舞う。
 目を守る為、腕で突風を塞いでいた勇者が、その目を再び開けた時、そこに有ったのは赤茶けた土で覆われたハゲ山だけだった。

 これが、その後、何度となく切り合い、しかし、親友と成った二人の最初の出会いだった。
0678三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/09(日) 22:06:34.29ID:kkS+7mdN
おお、、なんとか
3番の人は来れてないみたいですが、、書けてるようなら締め切り延長してもいいですが・・・
0679この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 22:07:19.84ID:kkS+7mdN
>>658
スレ5→743、スレ6→868の続編です

使用お題→『靴紐』『改造』『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』

【砂漠の休日】(1/2)

 キリンギガスの襲撃を退けたギガスウォンバット。
 その後、エヌエックス炉の暴走……オーバードライブ現象を再現するための実験が行われた。
 最も優秀なパイロットを集めて実験は繰り返されたが、ついにその現象が再現されることはなかった。
 そして。

「改造ねぇ」
「ああ。研究者の人らが言うには、キリンギガスのエヌエックス炉が特別なんじゃないかって」
 地下にある格納庫。二人の男が話している。
「まぁな。そりゃ分かりやすい話だが、俺は違うと思うんだがなぁ」
 一人はスキンヘッド……有り体に言えばハゲ頭の中年男性。
「そう……かな。うん。おっさんもそう思うよな」
 もう一人は少年。一見すると、小柄で頼りない印象だ。
「ああ。いや、あれが特別なのは確かだと思うが、だからって、こいつを改造してどうするんだ? これだって最新型だろ。それを都合良くなぁ」
「世代も技術も大差ないって言ってた。あっちは出力優先の設計になってるって」
「出力優先ねぇ……気に入らねーな……」
 会話が途切れる。そこへタイミング良く、女の声が加わる。
「お兄さんたち、お茶でもいかが?」
 すらりとした若い女だ。よく通る声が、格納庫の中で反響する。
「頼んでねーぞ」
「あらー? あたしはそっちの子に持ってきたんですけどー? 飲みたくないなら、どうぞ、ご勝手に」
 彼女が持つトレイには、ティーカップが三つ並んでいる。
「ありがとう」
「ほらほらー。若い子は素直よねー」
「ちっ。なんの用だ」
 そう言いながらも、ティーカップを受け取る。
「だからさー、お茶を持ってきただけだって。どうせ暇なんでしょ」
 格納庫の中に、他に人影はない。黒いギガマウントが三人を見下ろしている。
「今はな。ここしばらくひどかったろ。次は何をやらされるのやら」
「やらされてたのは、あなたじゃないけどね」
「違いねぇ。ま、何もないならそれでいい」
 カップを空にした三人は、連れ立ってその場を後にする。出入り口まで来た時。
「ん? おい小僧、靴ひもくらいしっかり結べや」
 少年の靴のひもがほどけていた。
「ああ、ちょっと待って」
「ここってあんまり明るくないけど、よく気が付くわね」
「不器用なやつだな。ちょっと貸せ」
「……父親じゃないんだから……それはどうなの……?」
0680この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 22:07:54.84ID:kkS+7mdN
【砂漠の休日】(2/2)

 襲撃があって以降、実験場の警備は強化された。それに伴い、ここで働く者の外出は制限が多くなった。
 これまでは比較的自由に出歩くことができた。だから例えば、肝心な時にパイロットがいないとか、そんな事態も発生し得た。
 新たな制約には一部から不満の声も上がったが、最先端の軍事機密を扱う施設として、従来のままでは問題があった。
 とは言え、外出したところで、外に広がるのは無人の荒野。ここは砂漠のど真ん中なのだ。
 どこへも行けない。行く意味もない。だから出掛けない。
 普通ならそう考えるだろう。
 だが、世の中には普通とはちょっと違うやつがいて、そんなやつは普通とはちょっと違った行動を――――

「また、会えたね。うれしい」
 灰色の岩に腰掛ける少女。ここは実験場から少し離れた高台だ。
「うん……会えて良かった」
「この間は大変だったでしょ。だからもう会えないかと思ってた」
 色白で、柔らかそうで、どことなくヒツジを思わせる少女。砂漠には場違い過ぎる人物だ。
「うん、大変だった。それに外出が禁止されちゃってさ。だけど」
「お別れを言いに来た? ここを離れるから?」
「……うん。やっぱり知ってるんだ」
 少年は、この少女が火星か木星の辺りの出身で、どこかの国か組織のスパイなのだろうと思っていた。
「それ、今日もいい音だよね」
「ふふっ、ありがと」
 少女はハーディー・ガーディーという楽器を演奏していた。膝の上に本体を載せて、片方の手でハンドルを回し、もう片方の手で鍵盤を操作する。
「今日はどうやって抜け出してきたの?」
 少女がいたずらっぽく質問する。
「秘密だよ、そんなの」
「トンネルを掘って、そこを通って……?」
 穴掘りは、彼の乗機の得意技だ。
「図星でしょ。やったー」
「さっ、さあな。どうだかな」
 会話が途切れる。少女は楽しそうに演奏を続ける。
 やがて少女が演奏を終えると、その場には静寂が訪れる。
「もっと聴きたかったな。多分もう会えないと思うし」
「そうかもね。でも」
 少女の目が少年を見詰める。それは、確かに彼の方を向いているのだが、なんとなく焦点が合っていないような、見えているのに見えていないような、そんな印象を与えるものだった。
「また、会えるよ。今日も会いに来てくれたでしょ。だから、また会える」
 少女はそう言ってから、視線を少年の足元に移した。
「靴ひも、ほどけてるよ」
「ああ、ごめん。よくほどけちゃうんだよね」
 少年はしゃがみ込んで、靴ひもを結び始めた。少女は、にこにことしながら、その様子を眺める。
 ふと、少年は違和感を覚えた。少女の座っている岩。気色に溶け込んではいるが、何かが、おかしい。
「ふふっ、気付かれちゃった」
「えっ」
 少女と岩が、忽然(こつぜん)と姿を消した。赤い地面の色が目に飛び込む。
「ええっ!!」
「びっくりしたでしょ」
 少女の声だけが、同じ位置から聞こえてくる。まるで透明人間だ。
「どういうこと!?」
 ハーディー・ガーディーの演奏が再開された。幻惑されてしまいそうな、不思議な音色。
「それはね、こういうことでしたー」
 砂漠の風景を背にして、そこに存在しなかったはずのものが浮かび上がる。
「ギガマウント……」
 無色の機体。
「ギガスゼロ、カメレオンだよ」
 演奏が止まる。少女の声が、スピーカーを通したものに切り替わる。
『今日は会いに来てくれてありがと。また会おうね。約束だからね』
0681三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/09(日) 22:14:07.09ID:kkS+7mdN
お題→『靴紐』『改造』『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』締切

【参加作品一覧】
>>661【女ガンマンはただ旅を続ける】
>>668【狂気の爆走スクーター女】
>>677【一夜の夢】
>>679【砂漠の休日】
0682三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/09(日) 22:16:37.96ID:kkS+7mdN
リレー企画の締め切りは、一旦保留とします!
今回も通常お題5つですー

お題安価>>683-687
0683この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 22:18:04.14ID:gX2woBYe
精神異性化
0685この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 22:30:38.37ID:sMAPwo+0
ブルーベリー
0687この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 23:22:12.33ID:MU2ozSQ+
枯れ葉
0688三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/09(日) 23:25:26.39ID:kkS+7mdN
☆お題→『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→2/16の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0689三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/09(日) 23:27:07.60ID:kkS+7mdN
またカオスなお題ですがw
今週もお題、作品、感想などありがとうございます

リレー企画は、締め切りを有耶無耶にはしないけど、もう少し待ちかな
とりあえず進行は寝るので悪しからずー
0690三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/09(日) 23:28:10.59ID:kkS+7mdN
>>677
これは、ひょっとしてと言うか、普通にあれの続きですねw
魔王の『ティーカップ』、『ハーディー・ガーディー』などの演奏、『ハゲ』山w
話を忘れてたり、他のと混ざってたりなんですが、これが最後の一人でしたっけ?
待望の続き物の一つでした!
0691この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 23:38:49.33ID:MU2ozSQ+
>>604,606
【リレー企画:『ライト・ライト』(3)】

使用お題→『夜空』

「じゃあ、一緒にこの街を出てもいいか?」
私がそう言うと彼は訝るような目を向けてきた。
「なぜ? あんたは街を出る必要ないだろ。」
「再会したのも何かの縁って事でさ。同じように左に曲がる者同士やっていかないか?」
彼が本心で求めるもの、それは一体何なのかが気になってついて行こうと考えたのだ。
「分かった.......」
 
 彼はどこへに向かうつもりなのかを道程で聞くと、聞いた事がない街だった。
彼の話によるとそこは先程の街とは打って変わって妙な慣習などない街だそうだ。
一年ほど前にその街でお世話になった時に仲良くなった友人の住処を訪ねるつもりらしい。
 
 私達三人がその街に着いたのは夜空に月が高く昇る夜のことだった。
住処に行く前に腹を満たそうと言う話になったので何か食べてから向かうと連絡すると、その友人も来るという。
結果待ち合わせ場所は街中の酒を出す店になった。
店に入るとすぐに彼の友人らしき男性が声をかけてきた。
「遠くからご苦労。一緒に来ると言っていた二人はそこにいる二人かね?」
「ああ。ひと月ほど前に仲良くさせてもらっていたやつとその召使いだ」
彼は私達を一瞥するとその友人に歩み寄り懐から何か黒い物体を取り出した。
次の瞬間には激しい音とともに友人だった彼が倒れ、ポケットに入っていたのであろう、数枚の硬貨とずっしりとした小銃が床に転がった。
「約束どおり殺してやったよ」
彼はそう言うとどこかへと立ち去り、その場には私とフロラの二人が残された。
0692この名無しがすごい!
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2020/02/09(日) 23:39:55.35ID:MU2ozSQ+
低クオリティな上に遅くなってしまい申し訳ないです。
0693三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/10(月) 13:00:32.74ID:v7tq8v+u
お題→『考察』『vtuber』『ライト』『病気』『夜空』締切

【リレー企画参加作品一覧】
>>625【リレー企画:『ライト・ライト』(1)】
>>629【リレー企画:『ライト・ライト』(2)】
>>691【リレー企画:『ライト・ライト』(3)】
0694三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/10(月) 13:28:55.74ID:v7tq8v+u
>>691
彼が求めていたものとは、、『夜空』に響く銃声!
左へ曲がり続けた先には、破滅が待っていた・・・完!
主人公たちは何を思うのか

ともかく締め切り当日中には間に合った!
頑張ってもらって良かったです
まぁ書いてる本人は難しいなぁとしか思わなかったかもですけど、しかし面白かったのではないでしょうか

企画としては成功、でいいのではないかと
難し過ぎたのは1番さんが悪いでしょw、協調性ゼロかよw

そういう部分も面白かったので、リレー企画は時々やっても良さそう
0695この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/10(月) 14:17:45.36ID:JZdVc/Li
ボロクソ言われてて草、まぁあの一番で始まった割にはなんだかんだちゃんと収まったのがすごいw

結構楽しかったのでまたやりたい、一行リレー小説とかはすぐただのネタ落書きになるけどこういうとこでやるといいな
0696この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/10(月) 15:46:20.98ID:rqXBgOq3
>>688
使用するお題→『世界規模』『ブルーベリー』『枯れ葉』
>>661【女ガンマンはただ旅を続ける】を先に読んでおくことをオススメします

【大切な帽子】(1/3)

さすらいの女ガンマン、シンディが今日も愛馬のサンセットと共に自由気ままに旅を続けていた。
旅の邪魔をする者は誰であろうと絶対に許さない、ただ撃ち倒して退けていくのみだ。
今日も周りにサボテンや岩石しかない広大な荒野の中をひたすら駆け抜けていく。

「ふぅ、もうさっきからサボテンとか岩ばっかり。アメリカって本当に広いのね」

しばらく走っているとサーッと水が流れるような音が微かに聞こえてきた。

「水の音がする…きっと川が近くにあるわ!」

彼女の予想通り、川が見えてきた。とても綺麗に澄んでおり、また近くには森があった。

「ちょうどいいわ、ここで休憩しましょ」

サンセットがヒヒーン!と嬉しそうに鳴く。
シンディは何時間も走って泥や土埃で汚れたサンセットの体を綺麗に洗った後、綺麗な川の水をコーヒーにして飲んで寛ぐ。

「ここは割と自然豊かで空気が美味しいわね。なんだか眠くなってきちゃった…」

シンディはカウボーイハットを脱ぎ、フワアアッと大きな欠伸をするとそのまま眠りに落ちてしまった。

・・・・・・・・・・・・

数時間が経過した。何かが頬にぺチャッと触れ、濡れるのを感じてシンディは目を覚ます。
どうやらサンセットが自分の顔をペロペロ舐めていたようだ。

「サンセット、どうしたの?」

すっかり日が暮れて夜になり、空には月が昇っていた。

「えっ、もう夜!?長いこと寝てしまってたのね…」

シンディの言葉にサンセットはコクリと頷く。夜になると気温は一気に下がり、冷たい風がピューピューと吹いている。

「さ、寒い!昼は結構ポカポカしてたのに、これじゃあ風邪引いちゃう!」

こうなったら急いででも町を見つけて、そこの宿で泊まった方が良いだろう。
するとシンディはあることに気付く。眠る前に脱いで、そばに置いていたカウボーイハットが無いのだ。

「サンセット、私の帽子知らない?」

サンセットは顔を横に振る。彼女も眠っていたので、帽子がどこに行ってしまったのか知らなかった。
風で飛ばされてしまったのだろうか。帽子が見つからず、シンディは焦りだす。

「ぼ、帽子が無い…どうしよう…」

シンディは取り乱してしまうものの、すぐに冷静さを取り戻し、サンセットに跨る。

「私ったらいけない。今はすぐに町を見つけなくちゃ」

シンディを乗せ、サンセットは近くの森の中を足早に駆け抜ける。
風が吹いて落ち葉が飛び、顔に当たってくるが気にせず走り続けた。
なんとか森を抜けると、明るい光が見えてきた。
そこには町があり、シンディはホッと胸を撫で下ろすとそこの宿で一夜を明かすのだった。
0697この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/10(月) 15:47:44.11ID:rqXBgOq3
【大切な帽子】(2/3)

翌朝、シンディは宿を出ると食料などの調達のために近くの店に向かう。
しかし帽子は見つかっていないままで、シンディはそのせいでやけに落ち着かなかった。
歩いているとジャムを売っている店を見つけ、ふと足を止める。
イチゴジャム、ブルーベリージャム、マーマレード等種類がたくさんあった。

「ジャムかぁ。懐かしいなぁ…」

シンディは幼い時のことを思い出す。彼女は小さな農家の一人娘として生まれ、父と二人で農業に励んでいた。
父の名はバイロンで、彼は男手ひとつでシンディを育ててくれた。
母のジェーンは自分を産んだ一週間後に亡くなってしまい、シンディは母の顔を全く覚えていない。
シンディは力持ちで優しい父が大好きで、父と共に毎日楽しく農業に明け暮れていた。
バイロンは元気に育ったイチゴやブルーベリー等をジャムにし、シンディは父手作りのジャムをトーストに塗って頬張るのが大好きだった。

「パパの作ったジャム、すっごく美味しい!」
「アッハッハ!豪快な食べっぷりだなシンディ、まるで肉食獣だな!」
「に、肉食獣だなんて、失礼しちゃうわね!」

そんなある日、シンディが冷たいレモネードを飲んで休憩しているとバイロンが話しかけてきた。

「なぁシンディ、お前には夢はあるか?」
「夢かぁ。そうね、この小さな農場をすっごく大きくして有名にさせるわ!そう、世界規模って言えるくらいにね!」
「とても大きい夢だな。でも何かしたい事が見つかったら絶対に悩んだりせずに、思う存分楽しむんだ。それが人生ってもんだ」

当時まだ10歳のシンディには父の言葉があまり理解できなかった。
その10年後、シンディが20歳を迎えた時のことだ。バイロンが道具の調達のためトラックに乗って町へと向かう中、落石事故に遭ったのだ。
知らせを聞いたシンディはすぐに現場に駆けつけるものの、バイロンは既に死亡していた。
突然の父の死に彼女は動揺し、涙を流しながら、落ちていた父のカウボーイハットを拾い上げる。
そう、あのカウボーイハットは死んだ父の形見なのだ。帽子を被っていると、優しい父が近くにいるような安心感を感じるのだ。

「帽子を見つけなくちゃ!サンセットと形見の帽子だけは絶対に失いたくない!」

父のカウボーイハットは鮮やかな赤色で、黒い飾り紐が付けられているのが特徴だ。
割と目立つ色をしているから頑張って探せば、すぐに見つかるかもしれない。
食料の調達を済ませるや否や、サンセットに跨る。昨日走った森の中や、休憩した川辺に戻って探そうと決意した。

「行くよサンセット!」

すると一人の少女が駆け寄ってきた。

「わぁ!このお馬さん、すっごく強そう!」
「ちょ、ちょっと危ないわよ。って、あれ?」

シンディはあることに気がついた。その少女はカウボーイハットを被っており、その帽子は鮮やかな赤色で、しかも黒い飾り紐がついている。

「そ、その帽子!」
0698この名無しがすごい!
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2020/02/10(月) 15:48:43.76ID:rqXBgOq3
【大切な帽子】(3/3)

シンディは急いでサンセットから降りて、その少女に話しかける。

「お、お嬢ちゃん、その帽子どこで見つけたの?」
「これー?昨日、近くの森を歩いてたらたまたま風で飛んできて拾ったの。どう、結構イカすでしょ?」
「それね、私の大切な帽子なの。お願いだけど返してくれないかしら?」
「返してほしいの?それじゃあね、勝負しよう!」

少女が持ちかけてきた勝負は、追いかけっこで20分以内に捕まえることができれば帽子を返すとのことだった。
もちろん失敗すれば、帽子は少女の物となる。シンディはその条件を受け入れた。
元はと言えば、自分が目を離した隙に無くしたから自己責任だ。

「子供を捕まえるくらい簡単なものよ!」

身体能力に自信のあるシンディがそう呟く。いざ勝負開始だ。
しかしシンディの想像以上に、少女の動きは非常に軽快で足が速く悪戦苦闘していた。
少女は町の住人達の間でも異常にすばしっこいことで知られていた。
勝負開始からもう既に15分が経過しており、残り5分。このままじゃ帽子は少女の物になってしまう。

「お姉さん、あと5分だよー!もう諦めたらー?」

少女の生意気な態度に思わずムッとする。するとシンディは足下にロープが落ちているのに気付く。

「そうだわ!もうこれを使うしかない!」

勝負終了まで残り1分、シンディはそのロープを投げ縄にして少女に向かってかけた。
一か八かの賭けだったが、投げ縄は見事に彼女を捕らえた。
投げ縄は幼い頃に少しやったくらいで自信が無かったが、なんとか少女の捕獲に成功しシンディはホッとする。

「捕まえた!さあ帽子を返してもらうわよ」
「な、投げ縄なんて卑怯よ!」
「使っちゃいけないって一言も言ってないでしょ?ただ「捕まえれば」いいって事なんだし」

少女は何も言えず、シンディに帽子を返す。大切な形見の帽子を取り戻せてシンディが大喜びする一方、
少女は捕まえられたことがあまりにも悔しかったのか、フグのようにプンプンと頬を膨らませれていた。
そんな彼女の姿を見て少し可哀想に思ったのか、シンディは袋の中から何かを取り出す。

「これあげるから、もう膨れっ面はやめて。見苦しいわよ」

シンディが少女に渡したのはペンダントだった。

「旅の途中でたまたま貰った物なの。特に必要ないからあげるわ」
「うわあ綺麗!お姉さんの帽子なんかよりもずっといいわ!」
「(こ、このガキ…)」

少し苦笑いするとこれ以上は何も言わず、シンディはすぐにサンセットに跨り、町を後にするのだった。
とにかく大切な帽子が戻ってきて彼女は凄く嬉しく、満面の笑みを浮かべるのだった。
さて、次は一体どんなハプニングがシンディを待ち受けているのだろうか。
それは誰にも分からない。
0699この名無しがすごい!
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2020/02/10(月) 16:02:38.66ID:rqXBgOq3
>>696に誤字があったので訂正

×風が吹いて落ち葉が飛び、
○風が吹いて枯れ葉が飛び、
0700三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/10(月) 20:04:16.83ID:v7tq8v+u
>>695
ごめんw
もちろん、手加減されるよりは、なるべく本気で書いてもらうのがいいですよね

>>696
そして今週も好き過ぎる続きw
『枯れ葉』が飛ぶ夜の森、『ブルーベリー』と『世界規模』の夢
また好調と言うか、意外や真面目な話だったり
これもうまく続きそうな感じがしますね
0701この名無しがすごい!
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2020/02/10(月) 20:26:13.77ID:rqXBgOq3
>>700
感想ありがとうございます!
シンディはもはやレイチェルシリーズのもう一つの顔であり新しい主人公のような存在だな、と書いてて感じました
たとえテレビで放送されてるただのドラマだったとしても、
その中の世界で繰り広げられる壮大な物語を想像しながら書くのもこれまた楽しいですね!
こちらもどんどん続けていく予定ですのでどうぞお楽しみに!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0703この名無しがすごい!
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2020/02/11(火) 02:12:34.67ID:+gzaaele
精神異性化
何かの用語かと思ってググったが出てこないな
心の性別(男女)が変わるってことでいいのか?
0704この名無しがすごい!
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2020/02/11(火) 06:29:36.95ID:B71TSWtw
>>703
同じく身体異性化なら女体化とか男体化ってことで分かるけれど精神異性化とは一体どういう事なんだ? となりました。
0705この名無しがすごい!
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2020/02/11(火) 09:14:03.98ID:yikXFc1N
そりゃ肉体はそのままでメンタルが異性になるってことでしょ、後天的LGBT……他の解釈してもいいだろうし

すごい発想だが、万世元年よりはわかりやすいw
0707この名無しがすごい!
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2020/02/11(火) 12:46:49.72ID:TjQbL4jY
そこんところ書く人が勝手に解釈してやってくぐらいの自由さがあったほうがおもろいと思うしわざわざ定義を確定させなくてもいい気がする
0710この名無しがすごい!
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2020/02/12(水) 19:22:28.17ID:BSP4TXMM
>>688
使用するお題→『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』

【親友は大食い】(1/3)

「それじゃあ行ってきまーす!」
「気をつけて行くのよー!」

ランドセルを背負い、元気よく家を飛び出し学校へと向かうカナミ。
途中、彼女は親友のリナと会った。

「リーちゃん、おはよう!」
「あっカナちゃん、おはよう!今日も良い天気だね」
「ねえリーちゃん、もしかしてまた太った?」

リナはぽっちゃりとした体型で、食べるのが大好きだ。1ヶ月前より少し丸々とした体になった親友の姿を見て、カナミは驚く。

「そう?ここ週に一回くらいね、家族と一緒に焼肉の食べ放題に行ってるの」
「ほ、本当?(そういえばリーちゃんの両親も結構肥満体型だったわね…)」
「私ね、最近サムギョプサルにすっごくハマっちゃってるの!あれもう最高!」
「す、すごいねリーちゃん…」

学校に着き、下駄箱で靴を履き替えているとハヤトと会った。

「よっ七尾にそれから森野!あれ?森野、お前もしかしてまた太った?」
「宮坂君もそう思う?私、特に太った感じしないんだけどなー」
「(い、いや一度鏡でちゃんと見た方がいいレベルだろ…)」

午前の授業が終わり、給食の時間になった。今日のメニューはビーフシチューだった。

「わーい!今日はビーフシチューだー!!」

リナは嬉しそうに一気に3杯もおかわりをした。

「な、なあ七尾。森野が食べるの大好きとは知ってたけど、あそこまで大食いだなんて、俺全然知らなかったぜ」
「そうなの宮坂君。リーちゃんがあんなに食い意地張ったのはつい最近だと思う、多分…」

放課後、カナミとリナが一緒に帰る中、トラックの焼き芋屋さんが公園に止まっているのを見かける。

「わあ焼き芋屋さんだ!カナちゃん、ちょっと買ってくるから待ってて!」
「リ、リーちゃん!」

数分後、焼き芋が5個ほど入った袋を持って、リナが嬉しそうに戻ってきた。

「うーんホクホクしてて最高!」
「リーちゃん、そんなに食べたら夕御飯食べれなくなるよ?」
「えー大丈夫よ。私の胃袋は世界規模クラス、そう無限大よ!」

カナミはあまりにも食い意地の張った親友に呆れ、言葉を失ってしまう。

「(いつか絶対体を壊すわ、あの食べっぷりじゃ…)」

翌朝、学校に着くとリナがガーガーといびきをかきながら居眠りをしていた。

「あぁ、確か今日の給食はムニャムニャ…ミートスパゲッティ…だったはず…」

リナの寝言にカナミはますます呆れる一方だ。

「森野のやつ絶対何か変な物食べちゃったんじゃないか?」
「そ、そうかもしれない。こうなったら…!」
0711この名無しがすごい!
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2020/02/12(水) 19:23:35.59ID:BSP4TXMM
【親友は大食い】(2/3)

家に帰るや否や、長めの黒いコートを羽織り、父のサングラスと母の帽子を借りて身につける。
ケンスケにも協力を仰ぐ。

「お姉ちゃん、探偵ごっこでもするの?もちろん僕も協力するよ!」
「ありがとうケンスケ、でもこれはごっこ遊びじゃないの。もっと深いもの…」

その日の夕方6時、カナミとケンスケは9時までには帰ると両親に告げると家を出て、リナの家の近くまで向かう。

「確かリーちゃんは週に一回ほどは家族と一緒に、焼肉の食べ放題に行くって言ってた」
「へえ、そんなに食いしん坊だったんだ」

電柱の陰に隠れて20分ほど経った時、リナが両親と一緒に家を出るのが見え、気付かれないように尾行する。
リナ達が着いたのは、「スタミナのアカヌマ」という名前の焼肉店だった。

「スタミナのアカヌマ?アカヌマ…まさか!」

カナミの悪い予感は的中した。そう、その店は意地悪な乱暴者ばかりの6年女子の一人である赤沼ミチエが経営している焼肉店だったのだ。
ミチエがその店を営業する権利を握っており、両親は彼女の言いなりで反抗できなかった。
非常に脂肪分たっぷりで少し食べただけでも胸焼けしそうな肉を使っているのだ。
そのことを全く知らないリナはただひたすら大好物のサムギョプサルと一緒に大盛りのご飯を何倍もおかわりしている。

「リーちゃん、ものすごい勢いで食べてる…そんなに食べちゃダメ!」

1時間ほどすると会計を済ませ、リナと彼女の両親が店から出てきた。
リナの体はかなり太ってしまっており、服のボタンが今にもちぎれて飛んでいきそうなくらいだ。

「うわあ、もはや怪物レベルだね」
「これじゃあリーちゃんの命が危ない!」

するとリナは地面に落ちている枯れ葉を拾う。

「こんな所に煎餅が落ちてるわ」

枯れ葉を煎餅と間違えている。とっくに重症の域を超えていた。
翌朝、ゾウのようにデカく丸々と太ったリナの姿にクラスメート達は開いた口が塞がらなかった。

「リーちゃん!もう焼肉とか焼き芋は禁止!ダイエットしなきゃ!」
「い、嫌よカナちゃん、今日も焼肉食べに行くんだから…!」

その日以来、クラスメート全員が一致団結し、給食の時はなるべく魚や野菜だけを中心に食べさせ、
体育の時間はひたすらハードル走をやらせた。

「リーちゃん、ダイエットにはブルーベリー食べたらいいみたいだよ!」
「ブ、ブルーベリーなんかよりも焼き芋が食べたい…」
「つべこべ言わずに食べるの!」

無理やりにでもブルーベリーを口に入れて食べさせる。これも親友のためだ、鬼にならないといけない。
一方、ミチエは警察に逮捕され、店は1年の営業停止処分となってしまったが
娘がいなくなったおかげで、彼女の両親はまたちゃんと営業できることに大いに喜んでいた。
0712この名無しがすごい!
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2020/02/12(水) 19:24:37.44ID:BSP4TXMM
【親友は大食い】(3/3)

ダイエット開始から3ヶ月が経過した。ゾウのようにデカく丸々と太っていたリナはかなり痩せ、
元の少しぽっちゃり体型に戻りつつあった。

「リーちゃん、調子はどう?」
「な、なんか体が随分と軽くなった感じ…」
「意識も正常に戻ってきたようだな」

その後、カナミはリナにあの焼肉店のことを全て説明した。

「あ、あの店、6年の赤沼ミチエが営業していたの!?し、知らなかったぁ…」

一気に肩の力が抜け、萎んだ風船になりそうな気分だった。
あの焼肉のせいでかなり舌が肥え、脂っこい食べ物を欲しがらずにいられなくなってしまったのだろう。

「ミチエはもう警察に逮捕されたから大丈夫よ。今後は彼女の両親がまともにやるみたいだから安心ね」
「そうだな。森野、これから給食でおかわりする時は1杯くらいにしておくんだぞ」
「えー2杯じゃダメなの?」
「ま、まあ極力控えろよ(これでもまだ食い意地張ってるのかよ…)」

放課後、トラックの焼き芋屋さんがまた公園に止まっているのを見て、リナが嬉しそうに駆け寄る。

「おじさーん!焼き芋2個ちょうだい!」

今まで5個ほど買っていたのを2個にまで減らしたようだ。まあ、反省したといえるか。

「今日の夕御飯ね、お父さんの社長就任記念でハンバーグやトンカツだったりと豪華なんだー!」
「そ、そうなんだ。すごいね(リナちゃん、懲りたのか懲りてないのか分からない…)」

それでも何とか正常に戻った親友の姿に、カナミはとりあえず安堵するのだった。
0713三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/12(水) 23:29:45.86ID:KcyAmmZe
>>710
また発想がカオス・・・w
『世界規模』の胃袋、脂肪たっぷり『サムギョプサル』、『枯れ葉』が煎餅、『ブルーベリー』ダイエット!
すごいな、、うそっぽく聞こえたらすみませんが、どっからこの発想が出てくるん・・・
こっちのシリーズも、何でも消化できそうですw
0714この名無しがすごい!
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2020/02/13(木) 00:20:09.46ID:9KBCqAlR
>>688
使用するお題→『精神異性化』『ブルーベリー』『枯れ葉』

【日本語と英語】(1/2)

 ふっと、冷たい風が吹き抜けた。
 木の枝から何枚かの葉が剥がれ空を舞う。散りゆく枯れ葉を目で追いながら、私はポツリと呟く。
「木枯らしって、センスあるよね」
「ん? 何?」
「だから木枯らし。冬の風をよく喩えていると思うの。知ってる? ショパンの『木枯らし』って、海外じゃ『ウインターウインド』って言うのよ。興ざめじゃない?」
「あー、かもね」
 紗月の生返事に、私は彼女の顔をしらーっと半目で見遣る。
「かもねって、素っ気ない返しですこと」
 紗月は肩を竦める。
「だって、そんなの普段気にしないよ。私みたいなのが、普通、普通! 智子が変わってるのよ。相変わらず詩人だねぇ」
 私は、むっと口を尖らせる。
「詩人は止めて。私はポエムなんて書かないわ」
「だったね。書いてるのは、小説だった」
 口の軽い友人に、今度は冗談ではなく本気で咎める視線を向ける。
「……ちょっと、誰かに聞かれたらどうするのよ」
 低い声音を出すと、サッと視線を走らせる。……幸い、目の届く範囲には誰もいなかった。
「誰もいないじゃーん、大丈夫、大丈夫」
「そういうのは、発言前にキチンと確認した上で言ってもらえるかしら?」
「……目が怖いよ。いや、マジでごめんなさい」
 睨み付けてやると、紗月は頭を下げて見せた。
 ふん。最初から、そういう態度を見せなさいな。と内心吐き捨てたのを最後に、この無神経な友人を許してやることにする。
「で? 智子は今、どんな小説を書いてるんだっけ?」
 少しは反省したのか、紗月は私の耳元に顔を寄せ、囁くように尋ねる。彼女の吐息が耳を撫ぜて、何だかむずがゆい。
「……今書いているのは、海外の女子校を舞台にした小説よ。主人公のソフィアは、同級生のメイに恋をしてしまうの」
「ほう。いわゆる百合ものですな」
 私は軽く頷く。
「メイは、闊達で、どこか無神経な所もあるけれど、それでもどうしてか憎めない。そんな女の子。短髪で男勝りな性分だけど、でも心は普通の女の子なの。ソフィアのように同性の女の子に恋をしたりはしない」
「おっと、悲恋チックな気配が流れて来たね」
 紗月は、それでそれで? と視線で促してくる。
「叶わぬ恋心に、ソフィアは思い悩むわ。……そこに、一人の魔女が現れるの」
「魔女? 真っ黒なとんがり帽子を被ったお婆ちゃんかな?」
 私はくすりと笑う。
「そうね。童話に出てくるような老婆の魔女。安直かしら?」
「いや、いいんでない? 分かりやすいの大事だよ、きっと」
「そうね。私も、分かりやすいのは大事だと思うわ」
 私はふるふると首を振ると、脱線しかけた話を元に戻す。
0715この名無しがすごい!
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2020/02/13(木) 00:24:20.31ID:9KBCqAlR
【日本語と英語】(2/2)

「でね。その魔女は、魔法のブルーベリーをソフィアに差し出すの」
「ブルーベリー?」
「……メイの好物なのよ」
 私は紗月の顔をまじまじと見る。紗月は、そうなんだ、と只頷いただけだった。
「それでね。そのブルーベリーには、食べた人の心を変えてしまう効果があるの」
「心を、変える?」
「ええ。恋愛対象の性別を反転させてしまうの。つまり、普通の女の子に食べさせれば、その子は男の子ではなく、女の子を恋するようになる」
 パンと、紗月は両手の平を合わせる。
「なるほど! ソフィアは嬉々として、メイにブルーベリーを食べさせるんだな!」
「違うわ。ソフィアをそんな浅ましい女の子に仕立て上げないで。……ソフィアはやはり思い悩むことになるわ。メイに振り向いてもらいたい。でも、好きな子の心を捻じ曲げてしまうことに、良心の呵責も覚える」
「おお……! そういう展開か!」
 紗月はオーバーな合の手を入れた。
「決断できないソフィアに、魔女は囁くわ。魔法のブルーベリーの効果を打ち消す果実も与える、と。但し、魔法のブルーベリーの効果を一度打ち消したが最後、二度と魔法のブルーベリーは効果を発揮しない、と言い添えた上でね」
「ひゃー! これはソフィアの心も揺さぶられるね!」
 やはり紗月の合の手はオーバーだ。まあいい。
「リセットできるのならと、ソフィアはついにメイに魔法のブルーベリーを食べさせる。その結果、女の子を恋愛対象と見るようになったメイは、ソフィアに恋をするようになる。晴れて、二人は恋人関係に……」
 でもね、と私は続ける。
「……ソフィアは恋人となったメイとの生活に満たされながらも、同時にずっと罪悪感に苦しみ続けるの。そうして……」
「そうして?」
「……続きはまだ考えてないわ」
「えー! すごい、続きが気になるじゃん!」
 紗月は、ガシガシと短く切り揃えた髪を掻く。
「小説を完成させたら、いの一番に紗月に見せるわよ」
「あいあい。早く完成させておくれ。感想くらい言ってあげるからさ」
「感想、ねえ」
 私はチラッと紗月の顔を見る。
「あによ?」
「いえ、どうせ紗月には、私の小説に込められた意図を読み解けないだろうなあ、なんてね」
「あー! 智子、私のことを馬鹿にしてるでしょ! ふーんだ! いいもん、見てなさい! 智子を仰天させるような、それは見事な読解力の発露たる感想をぶち上げて見せるわ!」 
 ふくれっ面になった紗月は、そのような宣言をしてくる。
「ふふ、期待しているわ」
 私は笑い交じりにそう返す。でも分かってる。彼女はきっと、小説の意味に、私の真意に気付きはしないだろう、と。
 安堵と未練がない交ぜになったような、複雑な心を抱いたまま、私は紗月と共に通学路を歩いた。
0716この名無しがすごい!
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2020/02/13(木) 16:16:20.62ID:7tryANjS
>>713
感想ありがとうございます!
今回は親友のリナが主人公?のお話でした(主人公にしては酷すぎる扱いではあるが)
このシリーズは基本ほのぼの時々支離滅裂といったスタンスで書いていますね
もう既に割合的に支離滅裂度の方が大きいかもしれませんがw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0717三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/13(木) 20:06:58.27ID:QGmkIPA0
>>714
そのネタw、ズルいなこっちは一文字も書けてないのに!
木枯らしと『枯れ葉』、『精神異性化』させる『ブルーベリー』
気付いて・・・気付いてるだろうなぁどうかなぁ
安定感のある文体と、二人のキャラ性がいい感じではないかと!
0718この名無しがすごい!
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2020/02/13(木) 22:50:25.41ID:9KBCqAlR
>>717
感想ありがとうございます

コテから察するに、スレ主さんが二度代替わりされたんでしょうか?
以前ここのお題で書かせて頂いたときは、
初代? のスレ主さんの時だったかと思います
0720三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/14(金) 00:33:49.46ID:We7bsfOx
>>718
確かに二度代替わりしてますが、あれー? 思ってたのと違う?
三代目も一年近くなりますので、ここ数ヶ月の話なら、その時も三代目ですね

その前の一年と少しが二代目さん、それ以前が初代さんです

あと以前は競馬実況さんが感想を書いてましたけど、今は休業中なので、進行がカバーしてる部分もあります
0721この名無しがすごい!
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2020/02/14(金) 01:54:54.70ID:EGjpYgPC
>>720
チラッと調べたら、2018年の1月と2月ですね

『擬人化』『鯖缶』『猫娘』で書いた時と、

『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』で書いた時の二回です
0722三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/14(金) 13:30:02.84ID:We7bsfOx
>>721
うゎすっげ前(スレ2)じゃないですか! 失礼しました
見返してみたら、二作目は二代目さんに交代する直前だし

おかえりなさいませですー、また気が向いたら書いてくださいw
0723この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 20:36:45.56ID:kyk7gUpz
>>688
使用お題→『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』

【 代替案】

 葡萄といえばワインの原材料であることは言わずと知れた事実である。
そんな葡萄が穫れなかったら何が起きるだろうか?
 その年代、地球規模で葡萄の凶作が起こった。
葡萄の生産量のうち大きな割合を占めるイタリアやフランスは経済に大打撃を受けた。
主要な輸出品であるワインを十分な量作ることができなかったからだ。
ワインが作れないと困るのはワイン生産国だけだろうか? 
そんな事は無い。
今回の話は、地中海地方から東に一万キロメートル程移動した国の話である。

「あの、ワインはないんですか?」
「すいません。只今品切れ中でして.......」
「ワインと一緒に食べるのを楽しみにしてたのに」
「本当に申し訳ありません」
「ごめんなさい、今日はもう帰らせてもらいます。しばらくしてワインが入荷したかなって頃にまた来ますね」
「本日はまことに申し訳ありませんでした。またのご来店をお待ちしております」 
 空前の韓国ブームが起きた日本では、ここ数年のうちで韓国料理店の店舗数がうなぎ登りで増加した。
現在の店舗数は五年前の百倍とも言われている。
そんな店々で提供されている韓国料理の中で一番の人気を誇るのはサムギョプサル。
どこのお店の看板にも「삼겹쌀」の文字が書かれていると言っても過言ではない。
ワインはそんなサムギョプサルと相性抜群の飲み物だ。
サムギョプサルを食べに店を訪れる客の多くが合わせて注文する。
近頃の葡萄の凶作の影響でワインが入荷できなくなり困っている店は少なくない。
そんな中で声をあげたのはとあるブルーベリー農家だった。
「葡萄の代わりにブルーベリーでワインを作れば良くない?」
この農家は粒の大きさなどの関係で出荷できなくなったブルーベリーの利用法として、以前からブルーベリーワインを作っていた。
しかし知名度はあまり高くなかった。
ブルーベリーワインも葡萄から作られるワインと同様に甘味と酸味のバランスがよい。
ブルーベリーワインには葡萄ワインとは違った味わいもある。
今、このワイン不足に便乗してブルーベリーワインを大々的に売り出せば一儲けできるのではないか?
そう考え通常業務である、ブルーベリーの実の出荷と並行して、ブルーベリーワインの本格的な製造を始めた。

 結果としてその農家の試みは上手くいった。
ワインを入荷できていない飲食店からの注文が殺到し、多大な利益をあげた。
今まで行ってきたブルーベリーの実の出荷で得られた利益よりも、ブルーベリーワインの出荷で得られる利益の方が上回った。
葡萄ワインの代わりにブルーベリーワインを使う飲食店が増えるにつれ、日本国内では徐々に葡萄から作られるワインに代わってブルーベリーワインが台頭するようになった。
その現象は瞬く間に世界へも広がった。
日本国内でブルーベリーワインが利用され始めてものの数年で、ワインの原材料としてブルーベリーが最も一般的なものとなった。
ブルーベリーワインの普及は、世界的なワイン不足から起こる弊害の解消へと繋がったのだ。

 その頃、以前のワイン生産国であったイタリアやフランスといった国は経済への大打撃が止まらずにいた。
ブルーベリーワインが主流になった頃には葡萄の凶作は解消されていた。
しかし葡萄が穫れるようになっても、またワインが作れるようになっても、今までのようには葡萄から作られるワインが売れない。
ブルーベリーワインの普及は世界的なワイン不足を解消したという点で素晴らしい功績を残した。
その一方で、以前の主なワイン生産国の経済に大打撃を与えた。
物事には二面性がある。
今回のできごとはその事実をよく表しているのではないだろうか。
0724この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 20:39:09.93ID:kyk7gUpz
>>723
上手く表示されなかった......
「삼겹쌀」となっている部分はハングルでサムギョプサルって書いてあります。
0725この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 20:53:55.44ID:10kOLAvo
>>688
お題:『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』

【世は事も無し】(1/2)
 その、全世界規模の事件が起こったのは去年の年の暮れだった。

 “精神異性化”

 肉体はそのままで精神の性別だけが入れ替わって仕舞うと言うその事件は、新年を迎えるにあたり、世界を震撼させたものだ。

 ジュー……

「お姉ちゃん、焼けたよ」
「うっす」

 弟の焼いてくれたサムギョプサルをタレに付けて食べる。脂うま!

 年初めの1、2ヶ月程は、カップルの破局報道で賑わっていたTVも、それ以降は左程目立った報道は無かった。
 精神的な性別が変わったと言っても、それで変化するのなんて男が好きか女が好きかって位なもので、個人的な趣味嗜好がそれ程変わる事は無かったし、定年退職後のお爺ちゃんが家事に目覚めた事で、熟年離婚が減ったのだと言う統計が出た位だ。

 ジュー

「お姉ちゃん、こっちも食べて」
「うっす」

 弟の焼いてくれたカルビをレタスに巻いて食べる。脂うま!!

 確かに、昔より、女の子が一人で焼き肉屋に来る姿が増えた様には思う。
 その前まで「パンケーキクリームマシマシ、ブルベリー多めで!!」とか言っていたのが「サムギョプサル脂身マシマシ、キムチ多めで!!」って感じに変わった位? あれ?あんま変わってない?

 いや、元々韓流とかって、焼肉女子とか居たくらいだから、比率が多少増えたって程度なのかな?

 そもそもが、‟男が好き”とか‟女が好き”とかって話だって、程度の問題だ。昔っからホモっぽい奴なんて結構居たし、逆に百合っぽいヤツだってそれなりに居た。
 学校に通ってる間なんて、「あの先輩(同性)結構いいよね?」なんて会話、良く友達として居たもんだ。
 よくよく考えれば、精神異性化以前だって、“親父ギャル”や“ギャル親父”、“男子の女子化”なんて話題があった位だ。 
 そう考えると、結局、比重の問題でしかないのかもしれない。
0726この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 20:54:50.69ID:10kOLAvo
【世は事も無し】(2/2)


「お会計、五千七百円になります」
「あ、はい、あ、お姉ちゃん、先に出てて良いよ」
「うっす」

 木枯らしが吹き、枯れ葉が舞う。
 弟の編んでくれたマフラーがあったかい。

「お待たせ!!」
「ん」

 満面の笑みで弟が横を歩く。昔から甲斐甲斐しく私の面倒を見てくれる良く出来た弟だ。

 世界中の人の精神が異性化した。
 だけど、中身の志向が変わっても、私達姉弟の関係は結局変わらなかった。
 相変わらず、弟は私の事が好きらしいし、私だってこの子の事が好きだ。当然、家族としてと言う枕詞は入るが。

 まぁ、何が言いたいかと言えば……

「世は事も無し」
「ん、何?」
「何でも無いよ」
「そう?」
「そう」

 何にせよ、私の弟は可愛いって事だ。
0728この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 22:11:04.30ID:W9DGUNga
間に合わなかった
0729この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 22:11:04.59ID:W9DGUNga
間に合わなかった
0730三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/16(日) 22:11:11.69ID:151UbuQP
お題→『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』締切

【参加作品一覧】
>>696【大切な帽子】
>>710【親友は大食い】
>>714【日本語と英語】
>>723【代替案】
>>725【世は事も無し】
0732三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/16(日) 22:14:26.27ID:151UbuQP
では、、最近、お題の企画をやれてないですが・・・
今回も通常お題5つで

お題安価>>733-737
0733この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 22:15:36.31ID:TRCUCv98
0734この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 22:17:29.07ID:W9DGUNga
シャブ
0736この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/16(日) 22:26:56.19ID:AFKqwKBh
生誕
0738三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/16(日) 22:32:08.99ID:151UbuQP
☆お題→『駅』『シャブ』『方程式もの』『生誕』『バナナ』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→2/23の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0739この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 22:33:55.81ID:W9DGUNga
じゃ供養いきます
0740この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 22:37:02.97ID:W9DGUNga
>>688

使用お題→『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『枯れ葉』

【「日本の真島瞬」と「この世界のロザリア」】(1/4)

「俺は男だぁーーーーーー!!!」

 何やら懐かしい言葉が聞こえてきた、街中を駆ける少女と緩みきった顔で少女を追いかける男、さて、明らかに少女は助けを求めている、しつこい男に付きまとわれているようだ、

 しかし、ここでサッと助けに入れる人間はそう居ない、大抵は奇異な光景に目を奪われたまま呆然と立ち尽くすか咄嗟に走り出せずに見送ってしまうのが精々、

 現実にヒーローなど居ないのだ、かく言う俺もその一人だった、愛剣の研磨が済みほくほく顔で鍛冶屋から出てきた一剣士が御伽噺のヒーローになれる訳が無い……………無いはずだ……………………

 それなのに、

 腰の剣に手をかけた物の、走り出せない俺に少女が投げかけた恨みがましい視線が妙に頭から離れなかった。

◆◆◆

 気付けば路地裏に立っていた、人気が無く助けを呼んでも誰も来ないような、そんな場所だ、響き渡る悲鳴に背筋が凍る、震える足はいつの間にか走るのをやめていた、

 恐る恐る剣を手に掛け、角に隠れて様子を窺う……間もなく俺はすぐさま飛び出した!

「たたた助けてぇ〜!」

 我ながらに素晴らしいと褒め称えたくなった、スルリと音もなく抜き払った剣が鮮やかな銀光を放ち、踵を天に向けて真っ直ぐと頭よりも高く上げていた“少女”の首元にピトリと触れた、

 血も出ないくらいの力加減で肌を押す刃の感覚に驚いた少女はひっくり返って強く頭を打った、

 お礼も言わず、謝りもせずに悲鳴を上げて去っていく男には一瞥もくれず俺は気絶した少女を見下ろしていた。

「どうすんだコレ」

 少女の真意は分からないが、人気の無い路地裏に逃げなければ反撃できない理由なんて不穏な物しか思い浮かばない……………………

「でも放っとけねーしなぁ」

 いつもの事ながら俺の運勢は今日も最悪だ。

◆◆◆

 見慣れない旅の男が気絶した可憐な少女を背負って歩く、なんて怪しさMAXな姿は見せられない、何度経験しても街から追い出される時の惨めさは慣れる気がしない、

 殆どの場合で俺に落ち度が無いのだから尚更だ、運も落ち度のうちと言われれば黙るしか無いが………………

 何にしたって追い出されるのは気分が悪い、出来るだけ穏便に済ませたいのが、日本生まれ日本育ち特有の日和った小市民心というものだ。
0741この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 22:41:51.06ID:W9DGUNga
【「日本の真島瞬」と「この世界のロザリア」】(2/4)

 手持ちを使い切って一通りの治療を済ませた、正直言ってかなりの出費だ、補填はあるのだろうか?

「無いんだろうな〜………………ハァ」

 自分の疑問に自分で答える、まるで一人問答だ、というか独り言そのものだ、言い逃れできないくらいキモい、

 別に俺は、生まれつき独り言が多かった訳でも、性格的な問題で話し相手が居ない訳でもない、ただ故郷を失った直後の生活の後遺症というか、考えた事を出来るだけこっちの言葉で口に出す癖が出来てしまったというか……

 そんな風に自分に自分で言い訳をしていると「…………ん゛っ!?」と少女が呻き、ガバリと上体を起こす、

 いきなり現れた男に気絶させられ介抱される………………俺が美少女ならその男に裏があると決め付けて、勝手に貞操の危機と騒ぎ出す自信がある、

 恐らくそれと同じような反応をこれからするのだろう少女を前に知らず知らずに重い溜め息を吐き出した、何だかここ数年でこの動作に慣れてしまった気がする………………

◆◆◆

 段々と綺麗になっていく街並みで不機嫌な少女を連れ立つ、よく見れば少女はかなり身綺麗な格好をしていた、

 髪の手入れや化粧もしっかりしている事から彼女が上流階級の人間である事が分かる、どれだけ市民風の粗末な装いをしていても、市民からすればそれは紛れもなく異物だった。

「いや、なんと言いますか……………………ハハ」

 14年、こっちで生きてきた、当時は16だった俺もすっかり三十路だ、そんな俺が一人旅をしてるんだ、年頃のお嬢様と話す機会なんて物は無いに等しい、

 だから、彼女とどう接すれば良いか分からず俺は誤魔化し笑いばかり……………………本当にやめて欲しい、独り言が多くてその上コミュ障じゃまるでボッチだ、

「…………腕は良いようだが、根無し草と見える」

 気を使ったのか少女はボッチ臭い俺にそう問いを投げる、浮浪者に向かって腕は良いと言う言い回しはコッチでは確か旅の理由を聞くときの物だ、どうやら茶を濁し損ねた俺の代わりに話題を振ってくれているようだ、

「故郷を無くしまして、今は行方の知れぬ家族と親友を探して宛てのない人捜しの旅をしております」

 そう、俺は日本に居た頃の親しい人達を求めて生きてきた、怪しい浮浪者、怪しい流浪人、怪しい怪しいと言われながら、この世界の俺ではなく、日本人の俺として、ずっと、ずっと……………………

 思わず胸のペンダントを握った、旅の理由を聞かれるといつも思い出してしまう、そんな俺の様子が気になったのか少女は問い掛ける、

『そのペンダントは?』と
0742この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 22:45:21.59ID:W9DGUNga
【「日本の真島瞬」と「この世界のロザリア」】(3/4)

 『俺が旅を始めて半年ぐらいの頃』と

 俺の親友は語り出した、あの世界規模の消失災害で世界中の人間がコッチにやって来た、多くの友人家族恋人達が引き裂かれ、見知らぬ異世界に放り出された、

 コイツも最初は戸惑っていたのだろうが、見知らぬ少女でしかない俺にそんな身の上話を言うこともなく、

 とある俺にとっても衝撃的な出来事について語り出した。

 危険な一人旅を続けていくうちに独学ながら剣の腕が上達していた男、そんな男にとある商人が交渉を持ちかけてきた、

『ある森にジャムスライムという熟した物の収穫されずに地に落ちた木の実が魔力で変質したモンスターが大量発生していて、それを倒せば上質なジャムがとれる、とってきたなら全て買い取ろう』

 要するに、採取者から買い取り収集する流通業者に払う金を、腕の良い戦士に採取を依頼すれば減らす事が出来るという弱小商人らしいセコい商売だった、

 何はともあれ路銀が目減りしていた男は意気揚々と森に出かけて無抵抗のスライムを斬り殺して回ったそうだ、

 そうして報酬の金貨とオマケのブルーベリージャムの瓶を持ったホクホク顔の間抜けが一人出来あがった、

 ジャムには異物が混ざっておりとても商品には出来ないからと貰ったそれは男からすれば久々のジャムだったらしい、混入した枯れ葉や土も気にせずパンに塗って美味しく食べていた男は、

 ある日の朝、瓶の底に“見覚えのあるペンダント”が入っているのに気付いた、気付いてしまった、妹の14歳の誕生日、大枚をはたいて購入した誕生日プレゼント、

 えらく気に入ったらしく毎日肌身離さず身に付けていたイニシャル入りのペンダント……

「それはっ………………」

 思わず話を遮った、話の結末が見えたからだ、消失災害の被害者は俺や目の前のコイツのようにコッチの世界で生きている、だが無事とは限らない、

 ある者は若返り、ある者は年老いた、そしてある者は人としての姿を失った、

 指の数や瞳の色が変わったぐらいの者はまだ良い、だが“人がスライムになってしまう”なんて最悪も無い訳じゃない、

 俺のように胎児になって生まれ変わりのような経験をした者は容姿は愚か、性別や種族まで変わっている事もある、

「…………悪い事を聞いたな」

 話題を間違えたと、心の底から後悔した、14年ぶりの再会で遠慮という物を忘れていた、だが同時に安堵もしていた、同郷を探していくうちに得た知識のおかげで、親友に

『俺、妹を殺した事があるんだ』

 なんて事を言わせずに済んだのだ…………と
0743この名無しがすごい!
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2020/02/16(日) 22:47:49.75ID:W9DGUNga
【「日本の真島瞬」と「この世界のロザリア」】(4/4)

 昔を思い出し、切ない顔をしていた親友が謝る俺に驚いた顔を見せる、コイツが驚く時の顔は面白い頬と顎が少しだけ落ちて代わりに大きく目を見張る、その微妙に分かりづらい表情が好きで、よく見ていた覚えがある、

 胸の内に湧いて出た懐かしい気持ちを精一杯隠して顔を背ける、一瞬悩んだが俺はコイツに昔の名を名乗れない、俺を捜していると言う親友と昔話に興じる事など出来ない、

 今の俺には今の家族が居て、他の誰かだった事なんて知って欲しくない、

 新しい名と共に新しい人生を歩む事を両親に誓った、俺は日本の俺でなく、この世界の俺だ、まだ日本の事を引きずってるコイツに名乗ってしまえばその俺が揺らぐ、だから……………………

「私はロザリア、この家の娘だ」

 この世界の両親に名付けられた名前を名乗った、そして男は名乗る、

「俺は真島瞬、旅人をしています」

 懐かしくて懐かしくて、涙が出そうな日本の名前を、

 屋敷の前で名を交わした俺とシュンは、もう、昔馴染みの親友などではない……………………

“ただ”

「また会えるか?」

 また一緒に居られるような関係になれたらと思った、我ながら乙女かと言いたくなるようなセリフを吐いたように思う、

「………………」

 そんな乙女に男は言う、

「すみませんが…………明日には街を出ようかと」

 街を出る、誘いには答えられない、もう会えない、

「此処に探し人は居ませんでしたよ」




 背を向ける男を見送る俺はどんな顔をしているだろう…………此処にアイツの探してた親友は居ない、居るのは見知らぬ令嬢だけだ、他ならない俺自身がそう決めた、それに後悔らしき感情が芽生えた、

 話したいことがある、愚痴りたい事、自慢したい事、一緒に振り返りたい事、一緒に………………

「決めた」

 だから決めた、

「そうだな、取り敢えず“俺”はやめよう」

 “私”は“私”としてアイツの……………………隣に
0744三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/16(日) 22:55:55.02ID:151UbuQP
なんかすごいね、集まりが早くて
その中身もすごいけどw

供養の前に宣言するのも助かる
微妙に危ないところでしたw

とりあえず色々とありがとうございます
また引き続きよろしくですー
0745この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 00:41:39.37ID:zE2GkQwT
>>688
それでは遅くなりましたが、供養枠で失礼します

使用お題→『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』

【魔法少女戰域】(1/3)

 その日、世界規模で発生した災禍的暴風《パンドラ・ストーム》。
 昨日までの現実は失われ、私たちの日常は崩壊した。

 *

 そんな世界の、とある地方都市。
「あっ、いたいた。おーい。やほー! ネージュってば、相変わらず白いねぇ」
 名前を呼ばれて、私は顔を上げる。広場の向こうから走ってくる、青いチャイナドレスの少女。
「藍莓(ランメイ)、おひさだね。そう言う君だって、相変わらずじゃない」
 私の前で、その薄い胸を張って立つ彼女は、しかし、自信満々に言い放つ。
「ふっふっふー。甘い、甘いよ! 甘過ぎる! やっぱりネージュってば、お砂糖で出来てるんだー!」
 そう言って、私に抱き付いてくる。
「ちょっ、やっ、やめてよ! はぅ……みんな見てるよー」
 広場には、これから起きることに備えているのだろう、私たちの他にも、多くの女の子たちが集まっている。
「やだもーん、やめない! お砂糖に、スパイスに、いいものぜーんぶ!」
 それはごちゃ混ぜの女の子。
 私は恥ずかしくて、視線だけでも空へと逃がす。よく晴れて気持ちのいい天気。明るい太陽に白い雲。
「……『いい天気だな』って思ったでしょ。ほんと、いい天気だよねぇ」
 私に抱き付いたまま、ぽつりと。
「どしたの?」
「ううん、なんでもない。ただ、こんな天気が、いつまでも続けばいいのにな、ってね」
「藍莓……」
 その時、広場の外で悲鳴が上がる。それから、警報が鳴り始める。
「来た来た」
 そう言ってからやっと、彼女は私を開放する。
 明るかった日差しが、何か不吉なものに遮られる。警報は鳴り続けている。騒ぎはどんどん大きくなる。
 やがて。
「……何度見ても、でっかいねぇ」
「うん」
 そう短く返事をして、私はそれを見上げる。
 暴食大鼠《グラトニー・ラット》。
 ただのネズミではない。巨大なモンスター。その大きさ、何かが混ざった異様な姿に、広場の女の子たちにも緊張が走る。
「だけど今回も楽勝でしょ。ネージュは大丈夫?」
「うん。……藍莓ってば、まだ覚えてるの? あれは最初だけだから!」
 初めて参加した時は、気持ち悪くなって……吐いてしまったのだ。
「ごめんごめん。ほら、もう飛び出してるのがいる。私たちも行くよ!」
「うん!」

 日常が崩壊した後に、待っていたのは戦いの日々。
 今日の現実は、狂った怪物。
 明日の現実は、分からない。
 そんな世界で。

 私たちは、魔法。なんだってできる、無敵の力。
 私たちは、少女。いいものだけで出来ていて、悪いやつらをやっつける。
 待っていて。

 私たちは、魔法少女。
0746この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 00:42:13.53ID:zE2GkQwT
【魔法少女戰域】(2/3)

 巨体に取り付いていた何人かが振り飛ばされて、枯れ葉のように宙を舞った。
「ネージュ!」
「分かってる! 雪よ、あの子たちを守って。雪兔擁抱《スノーラビット・エンブレイス》!」
 私の周りに浮かび上がる、幾つもの小さな雪玉。
 次の瞬間、それらは光の筋となって、落下する女の子たち目掛けて飛んでいく。
 雪玉が命中すると、それは白く大きく爆発して、その女の子をウサギの姿に変える。
 白くて大きなウサギたち。ふわふわと地面に舞い降りて、そうして、ぱちん! と、はじけて消える。
「助かったー」
「ありがとー!」
 女の子たちは全員無事のようだ。私は怪物の方を見やる。
「うぉりゃああああ!」
 近接タイプの子たちが張り付いて攻撃している。藍莓はその中で、新しい武器だろうか、青いオーラが軌跡を描く、偃月刀(えんげつとう)を振り回している。
 遠隔タイプの子たちや、私を含む支援タイプの子たちも、危なげなく戦っている。
 このまま削り切る。

「あっ、あたしの! あたしのサムギョプサル返してー!」

 えっ。怪物とは反対側、背後からの声。振り向いて確認すると、こんな時に焼き肉でもしていたのだろうか、箸を持った手を空中へと伸ばす少女がいた。
 笑ってしまいそうなほど不自然な、だけどその表情は真剣な、少女の視線の先。

 豚肉が空を飛び。
 怪物の口へと吸い込まれる。

 それを皮切りに、市街地のあちこちから食べ物だと思われるあれこれが飛んできて、怪物の口に入る。
「なんなの、これ……」
「回復されたら終わらないぞー! 誰かなんとかしてー!」
 大きなネズミの、ブルーベリーみたいに小さな瞳。それが妖しく光っている。
 どうしよう。何か。私にできること。
「…………雪よ、風よ、私に力を貸して。この世界を凍らせるの。ほんの少しの間だけ」
 最近覚えた、新しい魔法。
 空気中の水分が氷になって、きらきらと輝く。
「時間よ止まれ。天地凍結《フローズン・ワールド》」

 *

 システムメッセージが流れる。

『暴食大鼠を撃破しました。参加者全員に報酬「バレンタイン・チョコ・ギフト」が配布されます』

 藍莓が走ってくる。
「やったね! ネージュってば、相変わらずなんて言って、ごめんねぇ」
 ここはVRゲームの世界。今倒したモンスターは、バレンタインデーのイベントボスだ。
「藍莓だって、一番ダメージ出してたんじゃない?」
「そうかなぁ。ネージュから褒められると、照れるなぁ」
 広場に集まっていた女の子たちは、次の場所へと移動するようだ。
「ネージュは、今日はどうするの? 一緒に、次の街に行く?」
 うーん。どうしよう。
「……行きたいけど、やめとく。あんまり連続でやると、また具合悪くなっちゃうし」
「そっか。このー、ネージュってば、か弱いなぁ」
「ごめんー」
 そう言って互いに思いを残しながらも、私たちは、さっぱりと別れる。
 藍莓、また一緒に遊んでね。
0747この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 00:42:47.57ID:zE2GkQwT
【魔法少女戰域】(3/3)

 体からVRデバイスを外して、僕は、うーんと、伸びをした。
 最新式のフルダイブ型VRシステム。だけどVR酔いなどの問題は、完全には解決されていないのだ。
「楽しかったけど、ちょっと疲れたな。なんか食べよう」
 独りごちて、キッチンへと向かう。

 *

 僕の遊んでいた、このゲーム。よく出来ているのだけれど、問題が一つ。
 VR酔いの話じゃない。それはプレイヤーキャラクターの性別。女性しか選択できないのだ。
 そんなの気にしない、という人もいる。女性の外見で、男性の振る舞い。
 ちょっとは気にする人もいる。そういう人はキャラメイクを工夫して、少しでも男っぽい見た目にする。
 最後に僕みたいなネカマ組。なりきり、ロールプレイとも言う! 折角のかわいいキャラなのだ。これを生かさない手はない、という考えだ。
 ちなみにボイスチェンジャーは、ゲームとセットで配布されている。
 これはもう完璧ですね。

 *

 キッチンには妹がいた。
「あ、お兄ちゃん。どしたの」
「んー、なんか食べようと思ってさ。何やってるの?」
 妹は何か……チョコレートを溶かしている様子だった。
「これね、バレンタインでしょ。義理チョコだよ。本命じゃないよ」
「そっかー。いや本命とかは聞いてないけどさ」
 ゲームでも現実でもバレンタインか……。
「チョコねー……。あのさ」
「何?」
「それ余ったら頂戴」
 妹はちょっとだけ考えて、それから返事をする。
「いいけど、なんで?」
「義理チョコ。作って友達に渡す」
「ふーん。……ん?」
「ん?」
 んん? …………何か問題でも?
0748三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/17(月) 00:48:51.50ID:zE2GkQwT
割と無理のあるお題消化かも知れないw
ネカマ主人公とかTS主人公って、とりあえず白いイメージがあります(偏見
0749この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 17:59:23.46ID:SSV6lXge
>>738
使用するお題→『駅』『方程式もの』『生誕』『バナナ』

【ガンマンと駅長さん】(1/3)

さすらいの女ガンマンのシンディと彼女の愛馬サンセットは、雪が降り、銀世界と化し険しくも美しい渓谷の中を走っていた。

「雪を見るなんて久しぶり、もう何年ぶりかしら。で、でも寒い…」

しばらく走っていると何か茶色で長い物が見えてきた。よく見ると錆びたレールだった。
昔、列車が走っていたものの、廃線になったしまった名残だろうか。
特に気にも留めず走り続けるが、途中シンディのお腹がグゥーッと音を立てて鳴った。

「そういえば今朝早く町を出てから、何も食べていないんだったわ…」

携帯している食糧も既に底を尽きていた。こうなったら何とか次の町が見つかるまで我慢するしかない。
しかし、この寒い中体力が持つかどうか不安だった。すると小さな建物が見えてきた。
先ほど見かけた錆びついたレールがそこへと続いている、駅舎に違いない。

「あそこに寄ってみるしかないわね」

サンセットから降りると、シンディはその駅舎へと向かう。入る前に一応、ドアをコンコンとノックした。

「誰かいませんかー?」

大きい声で尋ねるも返事がしない。もう既に廃虚と化していて、誰もいないだろう。
シンディはお構いなくドアを開けて中に入る。

「食料庫くらいはあるはず…」

床板は錆びており、その上を歩く度に拍車のカチャカチャ音が余計に大きくなる。

「誰かいるのかね?」

突然、人一人いないであろう駅舎の中に老人のような声が聞こえ、シンディは一瞬心臓が止まりそうになる。
暗闇の方に目を向けると、こちらに一歩一歩と足音が近づいてくるのが確かに聞こえてくる。
そこに現れたのはサンタクロースのように白い髭をたくわえた、恰幅の良い老人だった。

「か、勝手に入って悪かったわ。誰もいないと思ったから…」
「気にしなくてもいい。そりゃ誰もここに人がいるなんて思うはずあるまい」
「私はシンディ、さすらいの旅を続ける女ガンマンよ。お爺さん、もし食糧があったら分けてほしいんだけど。お金はちゃんと持ってるわ」
「食糧かい、近くに倉庫がある。好きなだけ持っていきなさい」

老人にそう言われ、倉庫に向かうがそこにあるのはたった一本のバナナだった。

「バ、バナナ!?それにたった一つだけ!?」
「そのようじゃな。欲しければ遠慮なく」
「うぅぅ仕方ない。ありがとうお爺さん、5ドルあげるわ」
「わしゃ金はいらんよ」

一本のバナナだけでこの寒い雪の中をやり過ごせるのか不安でしかなったが、何も無いよりはマシだ。

「お爺さん、風邪引かないようにね」
「お嬢ちゃんも旅、気をつけるんじゃぞ」

駅舎を出ようとしたその時、シンディは足下に落ちている空の瓶に気付かず、足を取られてしまう。

「ウワッ!ワワワワワワッ!!!」

そのまま足を滑らせ、後ろの大きな古い時計にドンッとぶつかってしまう。
0750この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 18:00:28.20ID:SSV6lXge
【ガンマンと駅長さん】(2/3)

「い、痛たたた…」
「大丈夫かい、お嬢ちゃん」
「え、ええ。何とか…」

するとゴゴゴゴゴゴと大きな音がしてくる。先ほど勢いよく古時計にぶつかった音で、雪崩が起きてしまったようだ。
その雪崩で駅舎は深い雪に覆われ、シンディは閉じ込められてしまった。

「そ、そんな!どうしよう!」
「あちゃー雪崩が起こるとはこりゃ想定外だねえ」

「サンセット!サンセットーッ!!」

シンディは声が枯れるくらい大きな声でサンセットの名を呼ぶが、彼女の鳴き声は聞こえてこない。

「そんなぁ。このままじゃ寒さで野垂れ死んでしまうわ…」
「まあまあそんな悲観的にならずに…」

さっきからやけに呑気な老人に、シンディは腹が立ってきた。

「お爺さん、どうしてそんなに楽観的なのよ。雪崩で埋もれて閉じ込められたのよ!」
「まあ確かに一大事ではあるが…。あ、そういえば自己紹介がまだだったな、わしの名はベンジャミン。まあベンと呼んでくれ」

ベンと名乗るその老人は、かつてこの駅の駅長であった。シュッシュッと走る蒸気機関車や、乗客の笑顔を見るのが何よりも好きだった。

「この時代、ここアメリカに鉄道なんてほとんど残っていない。みんな列車に乗るよりも、馬に乗って旅をするのが好きになってしまったわい」
「そ、そうなの…ま、まあ時代は移り変わるものよね」
「わしはこの駅舎が大好きでな、もう長いことここに蓄えられてる食糧だけで食いつないでおる」
「えっ外に出てないってこと!?」
「そういうことじゃなアッハッハ!」

外はゴオォォッと吹雪いているのが聞こえてくる。さっきよりもかなり寒くなってきた。
食べる物といえばたった一本のバナナだけ、これを食べるか食べないかが自分の命に大きく関わってくる。

「お爺…いやベンさん、バナナ半分にして食べましょ?」
「何を遠慮しておる、わしはもうこの先長くない。いつ突然死んでしまったとしても、それくらいの覚悟はできておる」

その言葉にシンディは立ち上がり、思わずベンの胸ぐらを掴んでしまう。

「ふざけないで!何もせずにただ死ぬのを待つだけ?人生を何だと考えてるのよ!」
「お、お嬢ちゃん…!」

ふとシンディはハッと我に返り、冷静になる。

「ご、ごめんなさい!つ、つい…」
「お嬢ちゃん、ありがとう。熱意がすごく伝わってきたよ」

するとベンは昔話を始めた。10代の頃から見習いで駅員になり、立派な駅長になってみんなに愛される鉄道にするのが彼の夢だった。
その時の駅長であり師匠であったMr. クラレンスのことを今もずっと覚えている。

「Mr. クラレンスは厳格ではあるが寛大で優しいお方だった。そんな彼の生誕50周年を記念して建てられたのがこの駅じゃった…」

シンディは彼の話にもう興味津々だ。

「わしは幼い頃からの夢だった駅長になれた。しかしそれで夢、いや人生は終わったわけではない。まだまだこれからなんだ」
「そう、その通りよ!何が起こるか分からないこの人生、後悔することなく思いきりエンジョイするのが一番!」
「お嬢ちゃん、本当にいいこと言うねぇ」
0751この名無しがすごい!
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2020/02/17(月) 18:01:32.76ID:SSV6lXge
【ガンマンと駅長さん】(3/3)

「エ、エヘヘ。私は今この広い世界を思う存分、自由気ままに旅をするのが何よりの楽しみなの」

楽しくおしゃべりしていると夢中で熱くなったからか、自然と体が温かくなってきた。

「何だか、いつに間にか寒さなんて感じなくなっちゃった」
「わしもじゃよアッハッハ」

その時だった。雪の向こうから男達の声が聞こえてきた。

「おーい聞こえるかー!?」
「わ、私達はここよー!!」
「ここだ!ここに違いない!」
「急いでシャベルで雪をどかすんだ!」

男達はシンディの声を頼りにせっせと雪を掻き分けていく。
2時間後、シンディとベンはようやく雪の中から救出された。

「どうもありがとう!」
「あなたの馬が落ち着きがなくて必死そうに何かを訴えているような様子だったんだ」
「そのおかげであなた達を救出することができた」

サンセットは嬉しそうにヒヒーン!と鳴くと、シンディの顔をペロペロ舐めた。
シンディも彼女の頭をよしよしと撫でる。

「サンセット!本当にありがとうね!」

その後、シンディはベンと共に近くの村で温かいスープを飲んで、冷えて疲れた体を癒した。

「よしっ!これで準備完了ね!」

村人から食糧を分け与えてもらい、再び旅をする準備が整った。
一方、ベンは立派な技師になるため学びながら旅をすることに決めた。いつか自分の手で大地にレールを敷き、
立派な蒸気機関車が走り、そしてみんなに愛される鉄道を作ることが彼の目標だった。

「色々世話になったね、お嬢ちゃん」
「それはこっちのセリフよ。その夢がいつか叶うまで、人生大いに楽しんでね!」

シンディはサンセットに跨るとベン、そして村人達に大きく手を振りながら村を後にした。
何が起こるか分からないこの人生、たとえ夢が叶おうとも叶わなくともそれを大いに楽しめればそれに越したことはない。
シンディはそれを胸に、サンセットと共にひたすら走り続けるのだ。
0752三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/17(月) 23:27:35.32ID:zE2GkQwT
遅くなりましたが、、感想が追い付かないわw

>>723
なんか賢そうな話w
『世界規模』の凶作、『サムギョプサル』への影響、『ブルーベリー』ワイン!
風が吹けば的な、SF感もある思考実験、作品自体も、これを書こうという発想も面白いのでは

>>725
お題に忠実な全消化!
『世界規模』の『精神異性化』事件、『ブルーベリー』から『サムギョプサル』へ、『枯れ葉』舞う中
いい弟だw、ではなくて、結局は平和な世界でしたw

残りの感想は、また明日書きます〜
0754この名無しがすごい!
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2020/02/18(火) 11:38:30.16ID:qxukVUL8
みんな書いてると書きやすくていいよね
リレーも月一くらいでやってみたい
0755この名無しがすごい!
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2020/02/18(火) 21:31:23.84ID:DjfW3xpH
>>738
使用するお題→『駅』『シャブ』『生誕』『バナナ』

【売人を懲らしめろ!】(1/3)

雪がしんしんと降る土曜の朝、ナツミは駅前で親友が来るのを待っていた。
今日は一緒に電車で都市部で開催されているアニメ展に行く約束をしているのだ。
もちろん、魔法少女にいつでも変身できるペンダントも一緒だ。

「ユカリンったら遅いなあ。もう…」

腕時計を見ると、待ち合わせの時間である9時を既に15分も過ぎている。そして30分になった時…。

「ナツミーン!遅れてごめーん!」
「もうユカリン、30分遅刻よ!本当に時間にルーズなんだから…」
「エヘヘ、ごめんごめん!」

彼女の名は江本ユカリ。ナツミの親友であるが、とにかく時間を守らない困り者で、学校では遅刻常習犯として有名だ。

「ねえナツミン、ここ最近シャブで逮捕された人多くない?」
「シャブ?ああ覚醒剤のことね。本当に物騒で怖くてたまらないわ」
「別のクラスの子もそれで捕まったって聞いたよ」

数ヶ月ほど前から、ナツミの住んでいる町では薬物乱用で逮捕される人が続出している。

「(何か怪しい臭いがする…)」

夕方、アニメ展を大いに楽しみ、ユカリと別れて家路についている時だった。
2人のグラサンをかけ、グレーの帽子にスーツを身に包んだ男が走っていく姿を見かける。
あまりに怪しすぎる。ナツミはそう感じ、急いで後を追いかける。
追いかけたその先には小さなビルがあり、男らは何やら暗号のようなものを呟くとドアを開けて中に入っていった。
ナツミはドアを開けて中に入ろうとするが、固く頑丈に施錠されており開けることができない。

「こうなったら…!」

魔法少女に変身してそのパワーでドアをブチ破ろうと考えるが、それでは余計に目立って気付かれるかもしれない。
とりあえず変身するのをやめ、今日は一旦退くことに決めた。

「必ず手掛かりを掴んでみせる!この魔法少女、ナツミに不可能はないんだから!」

それから一週間が経ち、学校からの帰り道のことだ。またあの男らが走っていくのを見かけ、ナツミは急いで物陰に隠れて魔法少女に変身する。

「待ちなさーい!」
「な、何だ!?」

男らが振り返ると、空からナツミが勢いよくこちらに目掛けてキックしてきた。

「あ、危ねえな!…ってお前は魔法少女のナツミ!!」
「あら、私の名前を知っているということはあんた達モンスターね!」
「フッ、バレちゃ仕方がねえな!」

男らは人間の姿から、牛のような角を生やした赤い体のモンスターに変身した。

「あの怪しげなビルの中に入っていくのを見たけど、一体何をしているのかしら?」
「秘密にしても意味がないから、せっかくだから全て話してやる」
「俺たちゃ、このシャブをボスに高値で売りさばいているんだ!」

モンスターは、大きなトランクケースに入った大量の覚醒剤をナツミに見せる。

「最低ね。そのボスという奴を捕まえる前に、まずあんた達を始末するのが先ね」
0756この名無しがすごい!
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2020/02/18(火) 21:32:20.97ID:DjfW3xpH
【売人を懲らしめろ!】(2/3)

「生意気な小娘だ!痛い目に遭わせてやる!」
「ザコに私を倒せるかしら?」

ナツミにとって彼らはちっとも敵ではなく、数秒足らずで圧倒した。

「もっと私を楽しませてくれないかしら?弱すぎて話にならないわ」
「弱すぎて悪かったな。でもな、これを奪ったぜ…」
「そ、それは!!」

モンスターの手には、魔法少女に変身するペンダントがあった。一瞬の隙を突いて奪い取ったのだ。

「これが無かったら、どうなるか分かるよな?」
「か、返して!!」
「もう遅いぜ、マヌケな魔法少女め…」
「ボスの生誕祭を祝えれば、俺たちはそれで十分なんだよ…」

そのままモンスターは息絶えると同時に姿を消してしまった。ペンダントが奪われてしまった。
あのペンダントが無いと魔法少女に変身することができなくなるだけでなく、変身を解除することができないのだ。
そう、永遠に魔法少女の姿のままということだ。

「こ、こんな姿じゃ家に帰れない…」

魔法少女の姿の自分を見たら、両親は思わずビックリして失神するかもしれない。

「た、立ち止まっちゃいけない。たとえ元の姿に戻れなくなっても、ボスを捕まえて懲らしめて平和を取り戻さなくちゃ!」

ナツミはそのビルに向かって走った、ひたすら走った。そんな中、彼女の姿を見た子供達が興味津々に近づいていくる。

「わあ魔法少女だ!サインちょうだい!」
「ご、ごめん!今はそんな暇ないの!また今度ね!」

何とかそのボスがいるであろうビルに到着すると、強烈なキックでドアをブチ破る。

「さあボス、姿を見せなさい!さもないと…」

ツルン!と何かに足を取られて滑り、ドテッと尻餅をついて転倒する。

「痛たたた…何よもう!」

立ち上がって周囲を見渡すと床には大量、いや無数ともいえるくらいのバナナの皮が落ちていた。

「そ、そんな古典的ギャグで私に対抗するつもり?」

…と言うものの、ナツミはバナナの皮を踏んで滑らないように慎重に歩く。バナナの皮で転倒するのは結構痛くてバカにできない。

「ガッハッハ!バナナの皮に苦戦する魔法少女とはこれまた滑稽だな!」
「そ、その声はボスね!姿を見せなさい!」
「そのバナナの皮地獄を抜け出してからな!」
「キーッ!ムカつくわーッ!!」
0757この名無しがすごい!
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2020/02/18(火) 21:34:36.11ID:DjfW3xpH
【売人を懲らしめろ!】(3/3)

100メートルにも及ぶバナナの皮地獄に悪戦苦闘しつつも、ナツミは何とか抜け出すことに成功した。

「さあ早く姿を見せなさい!」
「なかなかやるな!さすが魔法少女だな!」

ボスと呼ばれるそのモンスターは、全身真っ黒で頭部に無数のトゲを生やした悪魔のような姿だった。

「ウワッ禍々しいわね…」
「私がボスのブラックニードルだ!以後お見知り置きを」
「うるさい、今そんなのどうでもいい!」
「無礼な魔法少女だな」

ブラックニードルと名乗るそのモンスターは、覚醒剤を売りさばくことで人類を崩壊かつ破滅させ、モンスターだけの世界にしようと企んでいた。

「人類なんてこの世に必要ない!必要なのはモンスターの世界だけなのだよ!!」

頭のトゲで突き刺そうとブラックニードルがナツミに突進してきた。
彼のあまりに俊敏な動きに対応できず、左足の太腿にトゲが当たり貫通してしまう。

「グッ!!」
「これが最後だ!あと一回でも刺されば、お前はあっという間にあの世逝きだ!!」
「あんたの動き、全て見切った!!」
「ヘッ!?」

ブラックニードルの突進をナツミは軽快な動きで避け、彼はそのまま壁に突き刺さり動けなくなってしまう。

「お、おい待て!引っこ抜くまで待ってくれ!お願いだから!」
「黙って、うるさいから」

そのままナツミはブラックニードルの尻に勢いよく蹴りを食らわせる。あまりの痛さに彼は意識を失いかけた。

「お、俺の記念すべき生誕祭がこんな形で終わってしまうのか…」

そう言うと息絶え、姿を消してしまった。それと同時にペンダントがナツミの手に戻り、彼女は元の姿に戻ることができた。
覚醒剤事件の首謀者であるモンスター達を倒し、何とか解決することができた。

「本当にどうしようもないクズばかり…悪いことする奴は、このナツミが徹底的に潰してやるんだからね」

魔法少女ナツミの戦いはまだまだ終わらない。
0758三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/18(火) 23:58:43.49ID:cszG4eS+
感想の続きを

>>740
・・・また逢えたわね、、ではなく、、、さすがにムズムズするわw
『世界規模』の消失、『枯れ葉』の混ざった『ブルーベリー』ジャム、『精神異性化』の決意
いつもの疾走感と、ちょっとシビアな世界観、奇跡的な邂逅、、、盛り沢山な話でした

スレの盛り上がりはー、いつまで持つかw
リレーは、また来月やってもいいかもですね
0759三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/19(水) 00:56:29.84ID:2oHDu1rX
>>749
すっかりシンディシリーズと化してますがw
廃線の『駅』、『バナナ』しかねえ『方程式もの』、当時の駅長の『生誕』50周年
地味に想像を超える話だった、、生誕、、生まれ変わったとも言えますね

>>755
これまたストレートなw
『駅』前で待ち合わせ、『シャブ』の売人のボスの『生誕』祭、『バナナ』の皮地獄w
無駄に丁寧なボスw、そして魔法少女はこうでなくては! と言える話ですねぇ
0760この名無しがすごい!
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2020/02/19(水) 07:01:33.14ID:tIl/c6i2
>>759
どちらも感想ありがとうございます!
今回はお題の一つ『方程式もの』が少し難しかったかなと思いましたが、意外と和やかな形で書けてよかったです
それから久しぶりの魔法少女ナツミシリーズです、バナナの皮で転倒って古典的ながらも結構大好きなネタです
セリフの数々から分かるかもしれませんがナツミ、とにかく無慈悲レベルでモンスターに対して容赦がなくなってきていますw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0761この名無しがすごい!
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2020/02/19(水) 21:32:11.43ID:tIl/c6i2
>>738
使用するお題→『駅』『シャブ』『生誕』『バナナ』

【弟の悩み】(1/3)

「お姉ちゃん、ゲームで勝負しよう!今日は負けないよ!」
「あらケンスケ、自信満々ね。もちろんよ!」

ケンスケは姉のカナミが大好きだ。姉と一緒に遊んだり散歩したり、行動を共にするのが何よりも好きだ。
ある日の朝、姉弟揃って元気よく家を飛び出して学校へ向かう中、ハヤトと会った。

「ハヤト兄だ!」
「あっ宮坂君!おはよう!」
「おっ七尾!それに弟のケンスケ君じゃないか」

するとカナミとハヤトは仲良くペチャクチャとおしゃべりする。

「そういえば今日、1時間目に算数のテストがあるんだよね。自信ないなあ…」
「テストはさすがに嫌だよな」
「うんうん!」

そんな嬉しそうに仲良くおしゃべりする2人の姿に、ケンスケはニヤニヤと笑いつつも少し複雑な感情を抱く。
授業中、黒板に書かれたことをノートに取りつつもつい上の空になってボーッとしてしまい、担任に注意されてしまう。

「(お姉ちゃん…)」

昼休みになると、その気分を少し紛らわすために図書室に行き読書するもなかなかスッキリしなかった。

「(何なんだろう、不思議だけどどこかスカッとしない…)」

放課後、友達と少し公園で遊んだ後に家路についていると、カナミの姿を見かける。ハヤトも一緒だ。

「今日のテスト、結構難しかったね。50点もなかったらどうしよう」
「俺だったらお尻ペンペンされてるな。アハハ!」
「じゃあまた明日ね!」
「ああ!気をつけて帰れよ」

ハヤトと別れた後、カナミは後ろにケンスケがいるのに気付く。

「あっケンスケ!まだ先に帰ってないってことはまた友達と遊んでたの?」
「う、うん。そうだよ…」
「どうしたの?あまり元気なさそうだけど」
「い、いや何でもない!気にしなくても大丈夫だよ」

今日の晩御飯は豪勢なしゃぶしゃぶだった。

「ごちそうさま…」
「あらケンスケ、肉3切れしか食べてないじゃない。それにご飯も残しちゃってどうしたの?」
「ごめん。早く終わらさないといけない宿題が多くて、それしないといけないんだ」
「(ケンスケ、一体どうしたんだろ?)」

部屋に入り、宿題をするもなかなか集中できない。なんとか宿題を終わらせた頃には、既に10時を過ぎていた。

「いけない!もう寝る時間だ!」

急いで風呂に入ってパジャマに着替えると、すぐにベッドに入り電気を消す。
眠ろうとする中、ケンスケはふと何かを思い、独り言のように呟き出す。
0762この名無しがすごい!
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2020/02/19(水) 21:33:21.26ID:tIl/c6i2
【弟の悩み】(2/3)

「お姉ちゃんってハヤト兄のことが大好きなんだよね。すっごく仲良いもん。好きな人ができるってすごく大事なこと…」

その独り言は、無意識のうちに1時間も続いていた。

「で、でも、もしそれでお姉ちゃんが僕に見向きしなくなったらどうしよう。そ、そんなの絶対にい、嫌だ…」

途中で言葉が途切れ、ケンスケはスヤスヤと眠りに落ちてしまった。
翌朝、カナミと一緒に学校へ向かう中、姉が心配そうに話しかけてくる。

「ケンスケ、昨日からちょっと様子がおかしいよ?何か悩みがあるなら、お姉ちゃんがいつでも相談に乗るわよ」
「僕ね、お姉ちゃんが大好き。すっごく大好き!」
「だ、大好きだなんて!て、照れちゃうじゃないエヘヘ」

今日も途中で偶然にもハヤトと会う。

「おっ七尾!それにケンスケ君!オーッス!」
「宮坂君おはよう!」
「お前らってホント仲良し姉弟だよな!見てて微笑ましいぜ」

ハヤトの突然の言葉に、カナミとケンスケは顔をトマトのように赤くし、思わず照れてしまう。

「俺、一人っ子でさ、時々弟か妹が欲しかったなあって思うことあるんだ」
「そ、そうなんだ。私、ケンスケがいて本当に嬉しくてたまらない。ホント素直でおっとりしてて…」
「僕もお姉ちゃんがいてくれてすっごく幸せ!優しくて強くて面白くて、ちょっと気が強いところはあるけど」
「き、気が強いは余計でしょ!」
「多分世界で一番仲良しな姉弟なんじゃないか?」

ケンスケはふとハッと我に返ったかのような気分になる。自分は気付かないうちに、姉と仲の良いハヤトに対して勝手に嫉妬していた。
姉に好きな人ができることは弟としても嬉しいことではあるけど、それで姉が自分から離れていったらどうしようという不安感を抱いていた。
そんな不安感や嫉妬を自分の心の中で勝手に増大させ、ついハヤトを敵視してしまったのだろう。
初めて会った時、ケンスケにとってのハヤトの第一印象はとても良かった。面白くて気の良いお兄ちゃんのような感じだ。
つい昨日まで彼に対して敵視し、変な対抗意識を抱いていた自分がとてもバカに思えてきた。

「(バカバカ!僕のバカ!ハヤト兄はすっごく良い人なのに、何で敵認定してたんだろう…)」
「ケンスケ、どうかしたの?」
「あ、い、いや何でもない!」
「来週の土曜日さ、一緒に遊びに行かないか?」
「私は大丈夫よ!ケンスケは?」
「うん!特に予定ないから大丈夫だよ!」

弟の元気いっぱいな返事にカナミも安心する。
0763この名無しがすごい!
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2020/02/19(水) 21:34:14.18ID:tIl/c6i2
【弟の悩み】(3/3)

次の土曜日の朝10時。公園にてカナミとケンスケ、そしてハヤトが集合する。

「今日はさ、駅前にあるスイーツ店へチョコバナナ食べに行こうぜ」
「いいねいいね!」
「それじゃあレッツゴー!」

駅前にあるスイーツ店に向かう姉弟とハヤト。その店は何十年も腕利きのパティシエが代々経営している老舗だった。
今、その先代パティシエの生誕100周年を記念して、スイーツ全種類を半額で販売しているところだった。

「前に2回くらい来てるけど、ここのチョコバナナ超美味いんだぜ」

そこでチョコバナナを数本買うと、近くのベンチに座って早速楽しむ。

「宮坂君の言う通りね!ほっぺがトロけ落ちそうなくらい美味しい!」
「だろ?まあ美味しいからって食べ過ぎには気をつけないとな」
「そ、そうね。でないとリーちゃんみたいなことになるし…」(※>>710【親友は大食い】を参照)
「あの丸々と太った体は今思い出しても衝撃的だよね」

ケンスケの言葉に、カナミとハヤトは思わず苦笑いする。
その後、近くの海岸沿いの道を散歩しながらおしゃべりしたりと楽しい時間を過ごした。
夕方になり、そろそろ日が暮れる時間となった。

「今日も楽しかったね宮坂君!」
「ハヤト兄、また楽しい場所見つけたら教えてね!」
「ああ、俺に任せておけ。それじゃあ気をつけてな!」
「ありがとう!」
「あっケンスケ君、いやケン…」
「ん?ハヤト兄、どうしたの?」
「お姉ちゃん、大切にするんだぞ」
「もちろんだよ!」
「み、宮坂君ったらもう…!」

ハヤトと別れて、姉弟は家路についた。

「お姉ちゃんも悩み事があったら、無理せずにいつでも僕に相談してよね。何でも解決してあげる!」
「あら頼もしいわね!じゃあ宿題多くて困ってるから、全部やってくれるかしら?」
「そ、それはさすがに範囲外だよ…」
「ウフフ、冗談に決まってるじゃない」
「僕、いつもお姉ちゃんに助けられてばかりだから、お姉ちゃんの力になりたいんだ」
「何言ってるのよ。ケンスケが私のそばにいてくれるだけで、十分助けになってるわ」

姉の言葉に顔を赤らめ、思わず湯気が湧き出てしまう弟なのであった。
0764三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/20(木) 00:49:58.06ID:0FPN9XV3
>>761
おお3連続、、そして今回は弟くんの話ー
『しゃぶしゃぶ』、『駅』前、『生誕』100周年、チョコ『バナナ』
悩める弟くんですが、ハヤト氏は何を思ったか・・・今回はカオスじゃない方の話でしたw
0765この名無しがすごい!
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2020/02/20(木) 09:28:53.13ID:h1XN1U7N
>>764
感想ありがとうございます!
今回は一気に3シリーズ書いちゃいました、最近少しでもネタを思いつくとすぐにお話を書きたくなっちゃいますね
このシリーズは他のと比べるとカオスな時とそうでない時の差が一層激しいな、と私も書いてて思いましたw
ハヤトは一人っ子ではあるけど兄弟、姉妹を持つ者と同じ気持ちや立場になって考えられる、洞察力の高い子なのかなあと思います
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0766三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/23(日) 19:03:33.10ID:b2toPIdT
>>738

使用お題→『駅』『シャブ』『方程式もの』『生誕』『バナナ』

【いつかの道連れ】

 昔話をしようか。お前が生まれる前の話だ。
 俺はその頃、御者として働いていた。馬車に荷物を積んで、何日も旅をするんだ。人は乗せない。貨物だけだ。
 その時の仕事は、荷台に一杯のバナナだった。分かるか? バナナだ。青いやつだ。それをすっかり積み込んで、俺は意気揚々と出発した。
 町を出てすぐのことだ、俺はおかしなことに気が付いた。気配、人の気配だ。荷台に誰かいる。
 俺は言ったな。俺の荷馬車に人は乗せないんだ。俺は馬車を止めた。それで荷台を確認したんだ。
 女だった。若い女だ。そうだな、あいつと同じくらいか、もう少し行ってたと思うが、いい女だった。そいつが、荷物も何も持たず、着の身着のまま、そんな状態で俺の馬車に乗っていた。
 俺は質問した。どうしてここにいる? なんで隠れてた? お前は誰で、どこから来たんだ?
 女は答えた。自分は誰でもない。売られてきた。そして逃げてきた。たまたま目に付いた馬車があったから、そこに隠れた。自分はこの町にはいられない。どこか別の場所へ行きたい。
 俺は考えた。この女、無賃乗車だ。まあそれはいい。逃げてきたと言った。ならば追っ手が気になるだろうが、それは俺には関係ない。
 考える俺を見て何を思ったか、女はこう言った。もし私が捕まるようなことがあれば、この人の指示でやったんですって言うわ。
 それはシャブ……だったか分からないが、まあなんにしても具合の悪いものだった。俺は捨てろと言ったが、女はそうしなかった。
 どうする? この時はまだ引き返すこともできたが、共犯者にされてはたまらない。俺にはバナナを運ぶという仕事がある。面倒事はごめんだ。
 ならば、こいつを連れて旅を続けるか? 足手まといの女を連れて、馬車と、限界まで積まれた荷物を守り切れるのか? それに食料はどうする。一人分しかない。次の駅まで食いつなげるか、怪しいところだ。
 整理すると、こういうことだ。手癖の悪い女がいて、そいつが俺の馬車に紛れ込んだ。旅客を運ぶ余裕はない。このままでは目的地に到着できない。
 どうする? なあ、お前ならどうする。……宇宙船だったら? …………どうだろうな。
 俺の場合は、だ。大した話じゃない。女から運賃を取ることにした。バナナの代わりに女を運ぶ。食料? バナナだ。食った分は違約金だな。追っ手はとうとう現れなかった。
 俺は女の持ち物を換金した。知り合いに頼んで、足が付かないようにしたつもりだ。これで損した分を穴埋めして、それでこの話は終わりだ。
 ……ああ、そうだな。女はどうなったか。聞きたいか。詰まらない話だ。……いい女だった。やがてお前が生まれた。それで全部だ。
0767三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/23(日) 19:07:22.03ID:b2toPIdT
作品投稿ではトリップを外すんですが、また間違えたー

今回は難しかった・・・
0768この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 21:57:03.02ID:7me6qDJa
>>738
お題:『駅』『シャブ』『方程式もの』『生誕』『バナナ』

【クソッタレ共の賛歌】(1/3)
 その事故の原因が何だったのか? それは分かりはしなかったが、21番ステーションから出発した宇宙船『ガニメデ』は、その航路の途中で突然の制御不能状態に陥った。
 乗員であったストライク・ラッキー、マルボロマン・レッド、スター・セブン等の必死の操作によって、暴走状態からは回復したものの、そのメインエンジンは停止し、サブエンジンでの航行を余儀なくされてしまっていた。

「どうだ? ラッキー」
「切り詰めてギリギリですね、下手すりゃOUTです」

 スター・セブンの問い掛けに、コンソールを叩いていたストライク・ラッキーが、ずり落ちかけたメガネを直しながらそう言った。

「チッ、マジかよ」

 サラサラとした金髪をガシガシと掻きながらセブンが溜息を吐く。彼らの目的地である42番ステーションは、プルトー近くの辺境ステーションであり、その間に有用なステーションも小惑星も存在しない。
 その為、42番ステーションに到着するまで、メインエンジンの修理はおろか、物資の補給も出来ないのである。
 多少の余裕は有るとは言え、サブエンジンの出力ではメインエンジン程の速度は出せない。
 その為、彼等の船に積んである水や食料と言った物は、計算上ギリギリと成って居た。

「まぁ、そう悲嘆しないでくださいよセブン。何事も無けりゃ、着けなくはないんですから」
「おい馬鹿、止めろ。そりゃフラグだ」
「え?」

 ラッキーがセブンにそう聞き返したその時であった。

「おい!! 止めろ!! 手を離せ!! このウドの大木!!」
「喧しいぞ!! このクソガキ!! 外に捨てられないだけましと思いやがれ!!」

 操縦席の扉の外からけたたましい言い合いの声が聞こえて来た。
 その内の片方は仲間であるマルボロマン・レッドの声で間違いなかったのだが……

 ******

「密航者、ですか……」
「だから言っただろ? 『そりゃフラグだ』ってよ」
「僕のせいですか?」

 責める様な視線のセブンに、ラッキーは眼鏡の奥の瞳を嫌そうに歪めた。
 そんな二人にレッドが溜息を吐く。

「変な所で揉めるなよ、問題はコイツをどうするかって話だろ?」
「コイツ言うな!! オレにはバット・ゴールデンって立派な名前が有るんだからな!!」
「黙れよ小僧、手前ぇはただの密航者だ」

 睨みを利かせるレッドにバットが歯を剥く。

「はぁ、確かにな。問題はこっちの方か」
「厄介ですね、計算はやり直しますが、でも、これで食料が足りないってのは決定事項です」

 溜息交じりのラッキーの言葉に反応したのはレッドだった。彼は人一倍立派な体格をしている為、二人よりも食事の量も多い。
 そんな彼が食事量を減らすと言う事は、本人と彼の筋肉にとっては死活問題だった。

「そりゃマジか!? やっぱり、見つけた時、外に放り出しゃ良かった!!」
「ちょっと待てよ!! そんな事すりゃ、お前等、国際宇宙法違反だぞ!!」
「密航者が言うな!!」
0769この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 21:58:54.31ID:7me6qDJa
【クソッタレ共の賛歌】(2/3)


 この宇宙時代、人命は何よりも優先された。それは『命は何よりも尊い』と言う博愛精神と慈愛に満ちた人命尊守の為……などでは無く、壁一枚外は死の世界と言う極限世界のため、むしろ人の命など軽視され、その黎明期には不要な殺人事件などが起こった為だった。
 今では、全ての宇宙船に船内記録用のブラックボックスの取り付けが義務化されており、当然だがガニメデにもそれは付いている。

「いや、むしろお前さんは良くやったさレッド。何も気付かずに食いつぶして居た方が最悪だった」
「そうか……で、どうする? コイツ」
「コイツ言うな!!」
「救命ボート……は、最後の手段だな、取り敢えずはどうにもならん。勝手に出来ない様に個室に閉じ込めておくしかないな」
「おい! オレの人権を無視するな!!」
「だから、密航者が偉そうな口を利くな!!」

 そんな言い合いをしていると、ラッキーが血相を変えて飛び込んで来た。

「おい!! お前!! 何をした!!」
「ど、どうしたラッキー」
「どうしたもこうしたも!! あー、お前!! 密航するスペースを作る為に、エネルギーパックを勝手に捨てただろう!!」

 凄い剣幕のラッキーを前にバットが目を逸らす。
 それを見たセブンとレッドも顔を見合わせた。

 ******

「第一回、チキチキガニメデ耐久大会ぃ〜」
「……」
「……」
「ん〜!! ん〜!!」

 バットが捨てたエネルギーパックの為に、ガニメデ内のエネルギーは完全に足りなくなっていた。その為、救命ボート内のコールドスリープ装置の使用を余技なくされてしまったのだ。
 元々、救命ボートと言う物は、何時助けが来るか分からない宇宙空間で最低限生き延びる為に、コールドスリープによって生命活動を最小限に軽減させる装置が積んである。
 今回は、その救命ボートで二人がコールドスリープする事で、何とか42番ステーションまで持たせようとしたのである。

 当然だが、バットは問答無用であった。

 問題はもう1人である。これは揉めにもめた。何せ、このガニメデに積んである救命ボートは中古の旧式であり、当然、コールドスリープ装置も型落ちどころか骨董品と言って良い物だった。
 一応のメンテナンスはして有るとは言え、使ったが最期、目が覚めないと言う事も十分にある。
 そこで彼らが最期の一人を決める為行っているのが、この『チキチキガニメデ耐久大会』……睡眠我慢大会であった。
 何せ、船の物資は使えない。かと言ってカードゲーム等で決めるには重すぎる。その為、寝落ちした者を問答無用でコールドスリープ装置に押し込んでしまおうと言う事に成ったのだ。

「取り敢えず、密航者くんは眠って貰った」
「永遠にか?」
「HAHAHA、人聞きの悪い。ちゃんと、メンテナンスはしてあるだろう?」
「だったら、お前がコールドスリープ装置に入ったらどうだ? ラッキー」
「残念、まだ、眠気は来てないんだよセブン。読まなけりゃいけない本もあるしね」

 眦を吊り上げるセブンにラッキーが軽口を叩く。ただし、そのメガネの奥の瞳は笑っていなかった。

「まぁ、先は長いだろう? ちったぁ落ち着けや、二人とも」
「……」
「……」

 レッドの言葉に、二人は腰を落ち着けた。
0770この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 22:03:52.39ID:7me6qDJa
【クソッタレ共の賛歌】(3/3)


 ******

 −10時間後−

 食事の時間になり、宇宙食が解凍される。それを前にしてレッドが顔を顰めた。

「ちっと、少なくねぇか?」
「ギリギリなんですよ、あの小僧がエネルギーパックを捨ててしまったので、航行の為のエネルギーも心許なくてね」
「チッ、やっぱ、外に捨てっちまえば良かったぜ」

 申し訳なさそうに言うラッキーに、レッドが忌々しそうにそう言った。

「なんなら、コールドスリープに入っても良いんだぜ? そうすりゃ、食事の心配も無くなる」
「おっと、その手には乗らねぇぜ?」

 ******

 ―20時間後―

「暇だな」
「なら、寝てても良いぞ?」

 セブンの呟きにレッドがそう答える。

「いや、眠いって訳じゃねぇよ……ただ、暇だなって思ってな」
「なら、寝てても良いですよ?」
「寝ねぇよ!?」

 ******

 −80時間後−

「う……シャブでも欲しいな」
「……あぁ、眠気が減退するんでしたっけ? ですが、あれは廃人になりますよ?」
「眠いなら、寝てて良いぞ?」
「いや、寝ねぇからな?」

 ******

 −160時間後−

「よ〜し! スターチャイルドでも爆誕させるか!!」
「何出そうとしてるんですか!!」
「眠気覚ましにナニを……」
「男ばっかの時点でスターチャイルド誕生は無ぇんじゃねぇか?」
「そう言う問題じゃなくてですね……って、お前は、そのモンキーバナナをしまえ!!」
「は〜ん? 俺のはモンキーバナナじゃないですぅ〜。ムサインゲンス(世界最大のバナナ)ですぅ〜」
「おう、あれはデカかったな」
「レッド、お前も黙ってください!!」

 ******

 およそ三ヶ月後、42番ステーションに到着した宇宙船ガニメデ。その乗組員は4人仲良くコールドスリープ装置に収まっていたと言う。
 しかし、その内二人が下半身裸だった事について、明らかにするものは誰も居なかった。
0771三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/23(日) 22:13:19.82ID:b2toPIdT
お題→『駅』『シャブ』『方程式もの』『生誕』『バナナ』締切

【参加作品一覧】
>>749【ガンマンと駅長さん】
>>755【売人を懲らしめろ!】
>>761【弟の悩み】
>>766【いつかの道連れ】
>>768【クソッタレ共の賛歌】
0772三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/23(日) 22:15:21.23ID:b2toPIdT
ではまず今回も通常お題5つです

お題安価>>773-777
0773この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/23(日) 22:15:57.66ID:FOYbPXK8
おでん
0774この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 22:16:36.08ID:Mz5kuqwr
スクラップ
0775この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 22:18:01.20ID:3wQnd2KI
美術部
0776この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 22:26:02.28ID:Lv3ifaSe
美術部
0778この名無しがすごい!
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2020/02/23(日) 22:37:42.90ID:LaMOQ27N
ドリル
0779三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/23(日) 22:43:27.35ID:b2toPIdT
☆お題→『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/1の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0780三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/23(日) 22:53:54.63ID:b2toPIdT
今回も早いね・・・前回よりも書きやすそうな・・・そうでもないような・・・w
引き続きよろしくです

あと次回は一度企画お題をやりたいんですが、リクエストやアイディアがあればどうぞです
0781三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/23(日) 23:22:29.09ID:b2toPIdT
>>768
今回は本格的な『方程式もの』w
次の『ステーション』まで何ヶ月、『シャブ』なし『生誕』無理『バナナ』をしまえ!
いやー真っ当なSFで良かったですけど、ひどい話wどうしてこうなったww
0782この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 01:04:27.20ID:yT1yJODx
舞台指定とか
あんまり固有名詞まで出し過ぎちゃうと面白くないけど
「海のある街」とか「郊外の一角」とか「オアシス」とか、抽象的に示す言葉ならある程度幅が出ると思う
0783三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/24(月) 12:38:20.24ID:gkQe9iYy
なるほど
あるいは、前やった主人公指定みたいに、2つか3つくらい組み合わせるとか
0784この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 12:46:28.77ID:DeZz5E/9
>>781
感想有り難うございます
何故こうなったのかは、この手のSF系は、ドラッグと下品な会話と言う、自分のイメージが強いせいでしょうw
0785この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 13:53:23.09ID:yT1yJODx
>>783
そうそう
テーマ指定なんかもいいと思う
抽象的に決めてもいいけどそれはやりづらい気もするから
>>〇〇が>>□□する話
ぐらいに決めるとか
0786この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 14:31:48.43ID:l5k8qSuZ
>>779
使用するお題→『スクラップ』『777』『ドリル』

【イエローマスクド・デーモン】(1/3)

広い荒野を颯爽と駆け抜け、さすらいの旅を続ける女ガンマンのシンディと彼女の愛馬サンセット。

「この町で少し休みましょ」

小さな町に辿り着き、シンディはサンセットの背中から降りると近くのバーへと向かう。

「マスター、コーラをお願い!」

冷たいコーラを飲みながら寛いでいると、近くでビールを飲む男達の会話が聞こえてきた。

「おい今日の新聞読んだか?クレイグが現れたらしい」
「ク、クレイグ!?あのクレイグ・バスターか!?おいおい嘘だろ、悪夢じゃねえか」
「(クレイグ・バスターって…)」

クレイグ・バスター。シンディはその男の名前を知っていた。
そのクレイグという男は過去に777人もの罪の無い人を惨殺した殺人鬼として有名で、既に彼によって100以上もの町や村を滅ぼされている。
顔を黄色い仮面で覆っており、彼を知る人々からは「イエローマスクド・デーモン」、「地獄からの使者」等と呼ばれ、非常に恐れられていた。

「あんな奴に目をつけられたら、命いくつあっても足りねえぞ!」
「と、とにかく用心するしかないだろ。見かけたらとにかく逃げて隠れるんだ、それしかねえ!」
「(危険な奴が現れたものね、まあ私の旅を邪魔するつもりならこっちも容赦はしないけど…)」

金を払ってバーを出ると、サンセットに跨る。

「それじゃあ行こうかサンセット!」
「ヒヒーン!!」

町を飛び出して1時間後のことだった。ついさっきまで快晴だった空が急に真っ黒な雲で覆われ、ゴロゴロと雷が鳴り雨がザーザーと降り出した。

「あ、雨?ウソでしょもう!」

シンディはズブ濡れになりながら、急いで雨宿りできる場所を探す。

「仕方ない、こうなったらさっきの町まで戻るしかないわね…」

全然雨が止む気配がない上にこの先、次の町か村を見つけるとしても間違いなく数時間はかかる。
ここは1時間ほどかけて、さっきの町に戻って雨宿りする方が賢明だろう。次第に風もビュービューと強くなってきた。

「サンセット!なんとか頑張って!」

すると微かに小さな山のような物が見えてきた。それは山ほどスクラップが捨てられた広場で、近くに小さな馬小屋もあった。

「あそこなら雨宿りできる…!」

急いでその馬小屋に入って雨宿りをするシンディとサンセット。

「無理させてごめんね、サンセット」

近くに落ちている布でサンセットの濡れた体を拭いてやると、シンディは干草の山にもたれかかる。

「フワアアッ。なんだか眠くなってきちゃった…」

大きなあくびをすると、疲れたのかシンディはそのまま眠りに落ちてしまった。
0787この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 14:32:43.81ID:l5k8qSuZ
【イエローマスクド・デーモン】(2/3)

「ムニャムニャ…あ、あれ寝ちゃってたのね」

数時間が経っただろうか。目を覚ますといつの間にか雨は止んで夜になっており、空には無数の星が顔を出している。

「もう遅いから今夜はここで野宿ね」

すると近くからガチャガチャ、キンキンと金属が当たるような音が聞こえてくる。
誰かいるのだろうか、シンディはこっそり隙間から外を覗くと何やら人影が見える。

「もしかして、このスクラップ置き場の管理人?」

その男は顔を何かで覆っている。それは黄色い仮面だった。

「ま、まさかあのイエローマスクド・デーモンことクレイグ・バスター!?」

こんな所でクレイグの姿を見かけるとは。黄色い仮面を被っているくらいしか彼の容姿については知らないが、
殺人鬼として非常に名が知られているため、見つかってしまったら間違いなく殺されてしまうだろう。
シンディもクレイグの姿をいざ目の当たりにするとなると、さすがにブルブルと身震いがしてきた。

「こ、こっちにき、来たら銃で、う、撃ち殺してやるんだから…!」
「んー?なんか人と馬の臭いがするな。小屋に誰かいるなぁ?」

どうやら小屋の中にいるシンディとサンセットの存在に気付いたようだ。男はどんどんと小屋の方に近づいてくる。

「く、来るなら、い、いつでも来なさい!こ、こっちだって、よ、容赦はしないんだから!」

銃を握る手もブルブルと震え、今にも落としてしまいそうだ。男が小屋の扉を開けたその瞬間…!!

「う、撃つわよ!」
「わっ!ちょ、ちょっと待て!落ち着け!何もしないって!」
「へっ?」

銃を持つ手を下げると、男は咄嗟に黄色い仮面を脱ぐ。

「あ、あなたは?」
「俺はジョンソン。ここのスクラップを漁って、マシンとか作ってるんだ」
「わ、私はシンディ。さすらいの旅を続けるガンマンよ」

その男の名はジョンソン。この広場に捨てられたスクラップを使って、色々なマシンを作るのが大好きだ。
被っていた黄色い仮面は、ただスクラップを集めて作ったただの創作品だ。
シンディはジョンソンにクレイグ・バスターのことを話す。

「クレイグ・バスターなら知ってるよ、残虐非道で知られた恐怖の殺人鬼だね。いつどこで現れるか分からない、まさに神出鬼没の悪魔」
「黄色い仮面被ってたから、てっきりクレイグかと思って心臓が止まりそうだったわ」
「黄色い仮面はただの噂話にしか過ぎなくて、本当はどんな容姿なのかハッキリと分かってないらしいんだ。彼の姿を見た者は一瞬で殺されるから」

少しおしゃべりすると、ジョンソンはシンディをある場所へと連れて行った。
そこは誰もいなくなって無人とかした工場跡だった。
0788この名無しがすごい!
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2020/02/24(月) 14:33:49.26ID:l5k8qSuZ
【イエローマスクド・デーモン】(3/3)

「俺ここで住んでて、マシンとか作ってるんだ」

自動缶詰め開き機や懐中電灯、火炎放射器だったりと、日常生活で使えそうな物や物騒な物でとにかく溢れかえっている。

「す、すごいわね…」

するとドカーン!と何かが爆発するような音と共に、屈強な男の集団が中に入ってきた。

「おいジョンソン、ここにある物全部もらうからな!」
「デ、デビルファングズ!とうとう奴らに目をつけられたか…!」

それはデビルファングズと名乗る盗賊集団で、この工場跡に狙いをつけて攻めてきたようだ。

「お、俺のマシン勝手に持っていくんじゃねえ!」
「うるせえ!黙ってろ!」

リーダーの男が放った銃弾がジョンソンの胸を貫く。彼はグハアッと血を吐いて倒れてしまった。

「あんた達、いい加減にしなさいよ?」

我慢できなくなったシンディは咄嗟にホルスターから銃を取り出し、デビルファングズのメンバーを次から次へと撃ち倒していく。

「生意気な女ガンマンめ!こいつで焼き殺してやる!」

リーダーの男がジョンソンが作った火炎放射器で攻撃をしかけるが、
シンディは華麗な身のこなしで回避し、男の脳天に勢いよく踵落としして拍車を突き刺す。

「グワアアアアアッ!!!」

頭から血が噴き出し暴れる男に向かい、再び脳みそ目がけて発砲する。男の頭は破裂しグチャグチャになり、そのまま倒れて息絶えてしまった。
シンディは急いでジョンソンを抱え、炎に包まれる工場跡から脱出する。

「ジョンソン、しっかりして!」
「お、俺はも、もう終わりだ…シンディさん、こ、これを持っていくといい…」

ジョンソンはジャケットに手を入れ、何かを取り出す。それは先端がドリルになった小さくて細い棒だった。

「こ、これは俺特製のドリルスティックだ…護身用に持っておけば、あ、安心だ…」

そのドリルスティックをシンディに渡すと、ジョンソンはそのまま息を引き取ってしまう。
翌朝、シンディは焼け落ちた工場跡の近くにジョンソンの墓を立てると、サンセットに跨って再び走り出す。

「ジョンソン、このドリルスティックありがとう。大切にするわ」

このほぼ無法地帯と化した世界を生き残るには、とにかく自分の身は自分で守らないといけない。
自分もこれまで数々の無法者集団を潰し、恨みをかなり買っているため命を狙われていることくらいシンディはよく理解している。
明日生きるか死ぬか、それは本人にしか分からないことなのだ。
0789三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/25(火) 01:15:03.05ID:aG1AOF/3
すっかり遅く・・・全レス失礼

>>784
そう言えばSFが得意な作者様でしたw

>>785
どこかで、誰かが、何かをする話+予備2つ
これだw

>>786
絶好調じゃないですか・・・
『777』人殺した殺人鬼、『スクラップ』の山、『ドリル』棒w
マスターがまともで安心したwのに、、最後は世紀末な話になってしまった!
ある意味西部劇らしくもあり、これは殺人鬼本人の登場が待たれますね
0790この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/25(火) 08:05:32.73ID:N3Nvpmf6
>>789
感想ありがとうございます!
もう書くのが書くのが楽しくて、ほぼ週刊連載みたいな感じになっちゃってますねw
西部劇は多少世紀末な世界観の方が味はあると思いますけど、あまりにも殺伐なのはさすがに苦手なので
時々おちゃらけコメディとか人情を混ぜて書いていこうと考えています
殺人鬼のクレイグ、一体いつ登場するのでしょうか?私もワクワクドキドキが止まりません!
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0791この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/25(火) 21:53:15.21ID:vOG5Qb9B
>>もう書くのが書くのが楽しくて
かっけぇ……
レイチェルの人(今はシンディの人か)のそういうとこほんと尊敬
0792この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/26(水) 16:52:08.89ID:mmsTKdyS
>>791
嬉しいお言葉ありがとうございます!
お話を書いているとレイチェルやライアン、みんなが近くに集まってきて
自分を応援してくれるような気分になりますね
多種多様なお題からいかにお話を繋げていくか、それだけでも創作意欲を凄く掻き立てられます
0793この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/26(水) 19:23:08.99ID:mmsTKdyS
>>779
使用するお題→『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』

【最悪最強!?猛攻のスロットモンスター】(1/3)

部活を終えた後の帰り道、ナツミは近くのコンビニに立ち寄って、おでんを買っていた。

「おでん!おでん!」

大根、ちくわ、玉子と定番のメニューを容器に次々と入れていく。
コンビニを出ると近くの公園のベンチに座り、中のつゆが溢れてしまわないようフタをゆっくりと開ける。

「うーん良い匂い!寒い冬にはおでんが欠かせないよね!それじゃあ、いっただきまーす…」

割り箸で玉子を掴んだその時だった。どこからともなくボールが飛んできて、おでんの入った容器に直撃する。
その勢いでナツミの顔や髪、ブレザーはつゆでビチョビチョだ。大根やちくわといった具は地面に落ちてしまい、もう台無しだ。

「お姉さん、ごめーん!大丈夫ー?」

近くで遊んでいた子供達がサッカーで遊んでいて、そのボールがこっちに飛んできたようだ。

「だ、大丈夫よ…気にしないで」

ハンカチで顔や髪を拭きながら、ナツミは笑顔で答えるものの内心は怒り心頭だ。

「(このクソガキ共…!あっ、怒っちゃダメ…冷静に、平常心でいるのよナツミ…!)」

地面に落ちた具を拾うと容器に入れてそのままゴミ箱に捨てると、ナツミは公園を後にする。

「せっかく買ったおでん、無駄になっちゃった…」

落胆しながら家路についていると、クラスメートで美術部に所属している宮田クミと会った。

「あっ佐久間さんじゃない。どうしたの?」
「み、宮田さん。あのね…」

さっきあった出来事を全てクミに話す。

「それは災難ね、でも子供達がワイワイ遊ぶ公園で食べるのもねぇ」
「宮田さんもそう思う?そ、そうよねアハハ…」
「私は早く描かないといけない絵があるからもう帰るね。じゃあまた明日ね!」
「う、うん。バイバイ」

家に帰るとナツミはすぐに風呂に入り、つゆで濡れてベタベタになった髪や体を綺麗に洗う。
そんな彼女の姿を物陰から誰かが眺め、ニヤニヤしながら呟いている。

「魔法少女のナツミ、おでんが食べられなかったくらいであんだけ落ち込むのか。ニヒヒ、いいこと思いついた!」

ナツミはパジャマに着替えてベッドに寝転び漫画を読むが、なかなか気が晴れない。

「もう!私の至福のおでんタイム台無しにされてムカつくーッ!!」

すると、魔法少女になれるペンダントを見つめ何かを思いつく。

「ストレス解消に魔法少女に変身して、思いきり暴れてやろうかしら…」

しかし、その興奮をすぐに自制し、ナツミは平常心を取り戻す。
0794この名無しがすごい!
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2020/02/26(水) 19:24:18.26ID:mmsTKdyS
【最悪最強!?猛攻のスロットモンスター】(2/3)

「バカバカ!私のバカ!何でそんなくだらないこと考えてるのよ!私は魔法少女になって平和を守らないといけないのに!」

そんな自分を愚かに思いながら消灯、眠りにつくのだった。

「(私、魔法少女失格かも…)」

翌朝、ナツミは大きなあくびをしながら登校する。あまり寝つけれなかったのか、目の下にクマができている。

「あっ今日の英語、単語テストあるのに全然勉強してないや。まあいいか…」

その時だった。数キロ先の方からドゴーン!と、非常にけたたましい音が響いてきた。
ワーワー!キャーキャー!と人々の悲鳴も聞こえてくる。

「モンスターが現れたのね!このナツミが許さない!」

急いで人気の無い場所に隠れて、ペンダントを強くギュッと握る。

「(何をいつまで悩んでのよ!私は魔法少女!平和を守るため、常に前向きでなきゃ!)」

眩い光に包まれ、ナツミは魔法少女に変身するや否や、モンスターが暴れている町へと超特急で向かう。
そこでは赤く巨大なスロットのような姿をしたモンスターが大暴れし、町は阿鼻叫喚と化していた。

「グヘヘ。来たな、魔法少女のナツミ!」
「邪悪なモンスター!このナツミが成敗してやるんだから!」
「生意気だが威勢の良い小娘だ。まあいい、この俺様がたっぷりと可愛がってやる」

体のリールがクルクル回り、「777」が表示される。

「オォーッ!777とはラッキーだな!」
「ど、どういうこと!?」

突然リールに穴が開き、無数のドリル状のミサイルがナツミに向かって迫ってきた。
そのドリルのいくつかが彼女の腕や太腿に直撃してしまう。

「ウッ!!」

そのドリルミサイルの威力は絶大で、いくら魔法少女に変身し、常人の数百倍以上の頑丈な体になっているとしても血が滲み出てくるほどだ。

「あと数発食らえば、いくら魔法少女とはいえ出血多量でおしまいだ!」

ナツミは死に物狂いでドリルミサイルを避けたり、パンチやキックで破壊し続けるも、次から次へと出てくるためキリがない。
そんな彼女の隙を突くかのように、スロットモンスターは屑鉄の塊をぶつけてきた。

「グヘヘ!スクラップボムだ!」

スクラップボムと呼ばれるその塊はドカーン!と爆発し、その爆風でナツミは勢いよく遠くへ飛ばされてしまう。
そのまま通っている学校の窓ガラスをガチャーン!と割って突き破り、中に突っ込んでしまう。

「ウ、ウッ、グヘッ!!」
「ま、まさか魔法少女!?」

吐血するナツミに、誰かがトタトタと駆け寄ってくる。なんとクミで、そこは美術室だった。

「(み、宮田さん…?)」
「会えてすごく光栄!サインちょうだい、と言いたいところだけど今はそんな状況じゃないよね」

すぐに状況を察したのか、クミはある物をナツミに手渡す。
それは赤、青、緑の3色の絵の具チューブだった。
0795この名無しがすごい!
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2020/02/26(水) 19:25:27.84ID:mmsTKdyS
【最悪最強!?猛攻のスロットモンスター】(3/3)

「(え、絵の具?)」
「これならモンスターを倒せるはず!頑張って、魔法少女!」

何が何やらわけが分からず、とりあえず絵の具チューブを手に持ち、ナツミは再びスロットモンスターに攻める。

「何だ?絵の具で俺様を倒そうっていうのか?笑わせるんじゃねえよ」
「正直、私もこの絵の具でどうすればいいか分からない。でも、これであんたを倒してみせる…!」
「攻撃を喰らいすぎて精神がおかしくなったようだな。まあいい、次でフィニッシュだ」

先ほどのドリルミサイルとスクラップボムが融合した大技「ドリラップボムイル」が、ナツミに迫ってくる。
しかし、彼女はじっとしたまま動かない

「どうした、逃げないのか?死を覚悟したようだな」

ドリルのように高速で回転する黒い屑鉄の塊が、勢いよくナツミに直撃する。ドカーン!の爆発音と爆風と共に、ナツミは再び吹き飛ばされる。
その瞬間、手に持っていた絵の具チューブを強く握り締める。チューブから出てきた3色の絵の具が、スロットモンスターの体内に入り込む。

「グ、グガッ!な、何だ!?か、体が自由に動かねえ!」

体に入った絵の具が固まると共に、中の機器が赤、青、緑が互いに混じって汚くなる。ギシギシと音を立て、バチバチと火花が飛び散る。

「フフフ!まんまと引っかかったわね、おバカなモンスターさん!」
「こうなったら自爆だー!!」

自爆寸前の自らの巨体をナツミ目がけて突っ込んでくるものの、腕を掴まれてブンブン振り回され、遥か遠くに飛ばされてしまう。
空中でウギャアアアの断末魔と共に大爆発、木っ端微塵になって砕け散ってしまうのだった。

「やったー!魔法少女がまたモンスターをやっつけたぞ!」

まさかクラスメートの助け、しかも絵の具でモンスターに勝利するとは、ナツミもさすがに予想外だった。
数日後、部活からの帰り道のこと。ナツミはまたコンビニに寄って、おでんを買っていた。
今日は公園ではなく、ちゃんと家に帰って食べよう。そう考えながら帰る中、足下に落ちているボールに気付かずに足を滑らせて転倒してしまう。
その拍子に手に持っていた、おでんの入った容器を落としてしまう。
フタが開いたためにつゆは溢れ、具は地面に落ち、またも食べられなくなってしまった。

「私って、おでん食べちゃいけない呪いにでもかかってるのかしら…」

何かとおでんに関してアンラッキーな自分をとにかく恐ろしく思ってしまうナツミなのであった。
0796三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/27(木) 00:52:49.93ID:SGAN4saV
>>793
珍しく全選択!
『おでん』が食べられない、『美術部』のクラスメート、『777』の表示、『ドリル』や『スクラップ』ボムの攻撃
主人公の人間らしい苦悩、手強いモンスター、からのオチが楽しいですねw
0797この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/27(木) 15:58:33.13ID:KES4GqR7
>>796
感想ありがとうございます!
ナツミまさか闇堕ちする前兆か!?…ってつい書いてて思いましたw
今回出てきたモンスターは今の所まさに最強、とは言いつつも最期はあっけなかったですね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0798この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/27(木) 22:35:59.85ID:KES4GqR7
>>779
使用するお題→『おでん』『777』『ドリル』

【姉弟はいつでもラッキーセブン】(1/2)

「お姉ちゃん、早くどこか遊びに行こうよー!」
「ちょっと待ってケンスケ、あと少しで宿題終わるから」

ある土曜の正午、カナミは宿題である計算ドリルを早く終わらせようと必死だ。
土日を楽しく過ごすには、まず宿題はなるべく手っ取り早く片付けること、それが彼女のモットーだった。

「ふぅ、やっと終わった。すぐに準備するから待ってて!」
「宿題なんて後でもやる時間、十分あるのにさ」
「そう考えてると痛い目見るわよ」

お出かけする準備が整い、カナミとケンスケは早速家を飛び出す。

「お姉ちゃん、ゲームショップに寄っていかない?」
「ゲーム?いいわね、そろそろ何か新しいの欲しかったと思ってたところなのよね」
「でも、うっかり危険なゲーム買ってしまわないように気をつけなくちゃね…」
「そうね、じっくり考えて買うようにしましょ」(※>>213【奇妙なゲーム】を参照)

商店街にあるゲーム店のドアが開き、足を踏み入れたその時だった。
パンッ!と大きな音と共に天井に飾られていたくす玉が開き、姉弟の体が紙吹雪に覆われる。

「おめでとう!君達はこの店の記念すべき777人目のお客様だよ!それをお祝いして、どれでも好きなソフトを一本、特別に7割引で売っちゃうよ!」

ゲーム店の店長が嬉しそうに、声高らかにしてお祝いする。

「お姉ちゃん、聞いた?僕達、777人目のお客様だってさ!」
「こんなラッキーなこと、本当にあるものなのね…」

好きなソフトを7割引でゲットでき、カナミとケンスケは嬉しそうにゲーム店を後にする。

「まさにラッキーセブンね」
「それに僕達の苗字、七尾で七がついてるもんね!やっぱり7と縁があるんだね!」
「ンフフ、ずっとラッキーでいられたら最高よね。でも、さっきので一気に運を使い果たしちゃったかもしれないわよ?」

途中、土手の近くを歩いているとハヤトと会った。

「ハヤト兄だ!」
「こんにちは宮坂君!」
「おっ七尾、それにケンじゃないか」

よく見るとハヤトの手には、無残に潰れたサッカーボールがあった。

「そのボール、一体どうしちゃったの?」
「ん?ああ、これな…」

1時間ほど前、運動公園でサッカー仲間と遊んだ後の帰り道のことだった。
ボールを持つ手が滑ってボールを落としてしまい、たまたまそこを通ったダンプカーに潰されてしまったのだ。

「親のお手伝いとかして貯めた小遣いで買った、お気に入りのボールだったんだよなあ。まあうっかり落としてしまった俺が悪いけど…」
「それは、そんな狭い道を我が物顔で走ってたダンプカーの方が悪いと思うなあ」
「うんうん」
「それにさ、一昨日なんて店の商品並べてる時にうっかり落として壊しちゃったんだ」
「えー!?大丈夫だったの?」
「親はわざとじゃないからって許してはくれたけど、また発注しないといけないから手間かけさせてしまって…。ここ数日、冗談抜きで不幸ばかりなんだよな」

そんな落胆するハヤトを見て、カナミとケンスケはとても気の毒に思った。
0799この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/27(木) 22:37:06.66ID:KES4GqR7
【姉弟はいつでもラッキーセブン】(2/2)

「でもさ、何だろう。お前ら姉弟と一緒にいる時って、いつもすっげえラッキー、いやハッピーな気分になるというか…」
「えっ?どういうことなの、宮坂君」
「お前らと会う時って単なる偶然かもしれないけどさ、いつも快晴な気がするんだ。割とポカポカして陽気というか」
「それはさすがに大袈裟だよ、ハヤト兄」
「お前らには大袈裟に聞こえるかもしれないけど、俺はマジでお前らは晴れ姉弟だと思う」

晴れ姉弟、その言葉にカナミとケンスケは照れて頭を掻く。

「今、割と気温が高くなって温かくなったような感じだ。お前らと会うまでは、少し肌寒かったんだ」
「……………////」
「本当にラッキー、いやハッピーセブンな姉弟だよ。苗字が七尾、だけにな」
「エヘヘ。ハヤト兄、もうやめてよぉ」

すると、さっきまで晴れていた空が急にどんよりした雲に覆われ、しんしんと雪が降ってきた。

「あっ雪が降ってきたよ」
「ほ、ほら宮坂君。雪が降ってきたんだから、私達は別に晴れ姉弟というわけじゃないんだって」
「まあ、そうじゃない時もあるなアハハ」
「(からかってるのかしら?)」
「寒くなってきたな。そうだ、コンビニに行こうぜ」
「コンビニ?」

近くのコンビニに立ち寄り、ハヤトがおでんを奢ってくれた。
そして公園のベンチに座り、3人で仲良く一緒に食べる。

「寒い時はおでんだな。俺、ちくわが一番好きなんだよなー!」
「私は定番の玉子ね」
「僕もお姉ちゃんと同じ!」
「もうお前らと一緒にいるだけでポカポカするよ」

おでんを食べ終わった後、しんしんと降る雪をじっと眺める。

「寒いのは好きじゃないけど、雪って綺麗だから見てると癒されるのよね」
「もし今度雪が積もったら、雪合戦でもしないか?負けないぞ」
「お姉ちゃんとハヤト兄の雪合戦とかすごく面白そう!僕が審判やるね」
「アハハ!ケンは面白いこと言うな」

しばらくおしゃべりして楽しむと、雪が積もってしまわないうちに早く帰ることにした。

「じゃあまた学校でな!風邪引くなよー!」
「バイバーイ!」
「早く雪が積もって、お姉ちゃんとハヤト兄の雪合戦見たいなー!」
「それ以上からかうと、こめかみグリグリするわよ?」
「ご、ごめんなさい…」
「ウフフ、冗談よ」

互いに顔を合わせ、笑いながら家路につく姉弟なのであった。
0800三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/02/28(金) 00:36:26.82ID:vTcAtX24
>>798
そして姉弟の日常
計算『ドリル』、『777』人目、『おでん』を食べる
そのドリルがあったw、晴れ姉弟だけあって、こっちの3人は普通におでんを食べてますねw
0801この名無しがすごい!
垢版 |
2020/02/28(金) 08:37:41.74ID:whYRKIcN
>>800
感想ありがとうございます!
お題の一つ『777』が、姉弟の苗字である七尾と上手くマッチできそうだなと思って書きました
ラッキーセブンって良いですよね、一番好きな数字は?と聞かれたらやっぱり7です
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0802三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/02/29(土) 14:25:31.68ID:aalGh6rF
なんか前から思ってたんですけど、ここは感想が流れるんで、なろうの感想欄より気持ち的に軽くていいですよね

ところで次回のお題ですが、>>789の形式、状況指定をやろうと思ってます
0803この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 21:43:59.68ID:2kCJXmye
>>779
お題:『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』

【魔王アンジェリカの色々な冒険】(1/4)


 スクラップを無造作に組み上げて作られた様な巨大物体は、通称「廃棄城」と呼ばれていた。最近になって国境付近の魔族領に出来た建造物である。
 普通の神経をしていれば決して近付かないであろうこの城に足を踏み入れる人間は、何あも考えていない馬鹿か欲にまみれた馬鹿だけだろう。

 なぜなら、『この城には、莫大な財宝と、勇者しか抜けない聖剣が封印されている』と言う噂が、まことしやかに囁かれているからだった。
 その為、近隣の一攫千金を狙う冒険者や名誉欲にまみれた冒険者、辺境領の領主等が、こぞってこの城に集まって来ているのである。

 ただし、それでも例外と言う物はある。

「おー……結構な人出だね、こりゃ」
「さすごしゅ!!」

 幼女を連れた一人の少年が、廃棄城の、その城下町とも言える広場に出来た屋台村を見ながらそんな事を呟く。
 少年の名はタカシ。調服し、幼女へと人化したクラーケンをお供した彼は、数少ないその例外だった。

 ******

「ちぃ〜っす」
「さすごしゅ〜」
「んあ?」

 どてら姿でコタツに潜っているグルグルメガネの……おそらく女性であろう人物が、半ば夢の国の住人と言った様子で涎を垂らしながらタカシとクラーケンを見上げた。

「? …………タ、タカシしゃん!? ひゃ!! うぎゃあ!!」
「お、おい、大丈夫か?」

 見上げた先に居たタカシをしばらく見ていた女性は、二度三度と目をしばたたかせていたが、眼前に居る彼が、夢や幻想では無く現実だと認識した途端に、ガタリと立ち上がり……コタツに足を引っかけて向う脛を強かに打ち付ける。
 脛を押さえてピョンピョンと跳ねる女性に、タカシは心配して声を掛けるが、女性の方は「だ、大丈夫ですから」と彼を押し止めると、「ちょっと待っててください〜」と、言って隣の部屋に走って行った。

「……え〜と?」
「さすごしゅ?」
「……すみません、家の魔王様が……」

 呆気に取られるタカシ達に、彼をここまで案内して来た魔族メイドが、申し訳なさそうに、そう謝ったのだった。

 ******

「よく来たな! 勇者よ!!」

 近衛兵の立ち並ぶ謁見の間に、魔王アンジェリカの声が響く。緑がかった金髪に、コメカミから突き出た二本の角。額にはティアラを身に着け、深紅の豪奢なドレスに紫紺のマントを羽織っている。
 先程まで、どてら姿でコタツでうたた寝をしていたとは思えない威厳を湛えた姿である。

 しばらく彼女の私室で待っていたタカシとクラーケンだったが、しばらくすると魔族メイドが、彼等をこの謁見の間へと呼びに来たのだ。

 一方のタカシはと言えば、苦笑をしながら「そう言うのは良いから」と、手に持った食材を掲げた。
 それを見たアンジェリカは眉をハの字にして焦った様に言う。

「で、ですが、私にも魔王としての尊厳が……」
「今更だろう? さっきまでコタツで寝てたくせに」
「さすごしゅ!」
「!! 〜〜〜〜〜〜〜〜」

 アンジェリカが顔を真っ赤にして足をバタバタさせた。

「して、勇者殿。この度の来訪の目的は?」
0804この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 21:53:22.64ID:2kCJXmye
【魔王アンジェリカの色々な冒険】(2/4)


 このままだと、いつまで経っても話が進まないと思ったアンジェリカの側近である竜人族の少女、エミリアがそう訊ねる。
 その目には敵対しているはずの魔族とは思えない程の尊敬の念が込められていた。
 それは、タカシは、ある意味でこの小国の救世主だからだった。
 この魔王アンジェリカの国は、下手な魔族領よりも小さな小国であり、その国力は、同じく魔王であるスゲエデ・プターの国とは比べ物にならない。
 その為、人間領に攻め入ると言うスゲエデ・プター国の方針に対し、意見を述べる事も中立を宣言する事も出来なかったのだ。
 そんな訳で、人間領との境界にある彼女の国は最前線として扱われ、国力は疲弊する一方だったのである。

 そんな時、この国を訪れたのが勇者であるタカシだった。
 当初は、何の躊躇いもなくアンジェリカの城に攻め入ったタカシだったが、彼の隔絶した戦闘力を前に早々に白旗を掲げた彼女に対し、彼は、それ以上の戦闘を行う事は無かった。
 それどころか、この国の窮状を知り、あるアイデアを出したのである。

 それが、『魔王城のダンジョン化』だった。

 魔王スゲエデ・プターの手前、アンジェリカも交戦をしていると言う建前が必要となる。だが、戦争等と言う物を繰り返していては国力は低下する一方なのだ。
 そもそも、魔物の数が増え過ぎたが為に土地が無くなり、その為に人間領を攻めようと言うのは、スゲエデ・プターの一方的な理由である。
 確かに、アンジェリカの国でも、魔物の増加はあるが、しかし、むしろ兵力増強の為と押し付けられた魔族兵の方がアンジェリ達にとっては頭痛の種だった。
 荒くれ者の兵士による治安の低下や、彼等に掛かる維持費による国庫の消費等だ。

 ちなみに、そんな魔族兵は、悪名高き勇者タカシが攻め入ったとたんに、この国を放棄して逃げ去っている。
 アンジェリカ達が殆ど戦闘も行わず白旗を上げたのにはそんな理由も有った。

『土地が足りないなら、ダンジョンを創ればいいじゃない!!』

 そんな事を言い出したタカシに、当初アンジェリカは目を点にした。『ダンジョンって何ぞや』と。
 そう、この世界には、ダンジョンと言う概念が無かったのだ。
 確かに古代の遺跡などは存在する。しかし、タカシが想像する様な“ダンジョン”と言う物はこの世界に存在しなかったのだ。

 平面的な土地が足りないなら立体的に土地を活用すればよい。タカシの考えは高層ビルや地下都市のそれであり、いわゆる、ゲームでおなじみのダンジョンのソレである。

 そうと決まれば、話は早かった。
 タカシは、『ドリルランス』や『爆砕岩斬破』等の必殺技、『アースウォール』や『状態保存』等の魔法を駆使し、元の姿で顕現させたクラーケンの力も借りて、あっという間に魔王城を地上111階、地下666階、計777階のダンジョンにリフォームしてしまったのだ。
 普通の城だったアンジェリカの王城をオドロオドロしい外見に変えた事については、「俺、元美術部だから!!」と、意味不明の理由をあげていたが、彼の中で“ダンジョンの魔王城”とはこうあるべきと言う何らかの指標があった模様である。

 そんな訳で、新生アンジェリカ城こと廃棄城は、魔王軍の兵士を押し込めつつ、人間を迎撃する為の施設として完成したのだった。
 こうして、城が出来上がった当初こそ、本当にそんなに上手く行くのかと不安に思っていたアンジェリカ達であった。
 が、しかし、タカシが子飼いの隠密獣人集団「オボロ」を駆使し、噂をばらまいたおかげで、人間達は、この城だけに集中する事と成り、彼女の国の村々の被害は抑えられるようになった。
 それどころか、魔王軍の方にも、「人間戦力を一点に集める事で迎撃がしやすくなります」と言う言い訳で、魔王軍をダンジョン内に閉じ込める事に成功したのである。
 そして、副次効果として、城下町に人が集まり、そこで宿屋や武器、防具、ポーション類を買う事での経済効果まで表れる様になったのだ。
0805この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 21:59:52.38ID:2kCJXmye
【魔王アンジェリカの色々な冒険】(3/4)


 当然だが、アンジェリカの城の者達は、タカシに感謝する様に成って居た。それは、エミリアとて同じ事である。
 そんなエミリアの声を聞き、タカシはニンマリと笑いながら言った。

「ああ、前に約束してた“おでん”を御馳走しようと思ってね」
「なるほ「本当ですか!!」ど」

 納得したと言うエミリアの言葉に、被せるようにアンジェリカが目を輝かせながらそう言う。
 そこに、魔王の尊厳などどこにもなかった。

 ******

 アンジェリカの私室。そのコタツの上には、土鍋とそれに入ったおでんがクツクツと美味しそうな香りをあげている。

 先程まで豪奢なドレス姿だったアンジェリカは、今はフレアスカートとセーターと言う姿で、タカシの対面に座り、何処か落ち着かなさそうにソワソワとしていた。

「よっし、そろそろ食べ頃だ」
「さすごしゅ!」

 タカシが深皿におでんの具を盛ると、彼の膝の上に座っているクラーケンが、早速と言った感じで大根にかじりつく。

 ハフハフを熱を冷ましながら頬張る彼女を優し気な目で見ながら、タカシも煮卵に箸を付けた。

「ん? どうしたアンジェリカ、食べないのか? 旨いぞ、この出汁の元に成っている怪魚カツオブッシと怪藻コブーンは、クラーケンが獲って来てくれたんだ、な?」
「さすごしゅ!」

 ニンマリと笑うクラーケン。どうやら自慢げに胸を張っているらしい。

「あ、いえいえ、食べさせていただきますよ。えっと、その、あの胸おオバケ……じゃなくて、聖女アリサや、他の方々は?」
「うん? ああ」

 タカシは廃棄城を訪れるにあたり、彼のパーティーメンバーである‟聖女アリサ”と‟くノ一ボタン”を連れて来てはいなかった。
 当然だが、パーティーメンバーに入れて貰おうとつけ回して来る“自称剣客”のハルナは撒いて来ている。
 アリサの方は、彼女が所属している『聖教会』からの呼び出しで王都に赴いており、ボタンの方は、『オボロ』の頭領にお使いを頼んでいたからだ。
 そんな訳で暇の出来たタカシは、様子見がてら、約束していたおでんを食べさせに、アンジェリカの元を訪ねて来たのである。
0806この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 22:05:15.49ID:2kCJXmye
【魔王アンジェリカの色々な冒険】(4/4)


「よっしゃあ!」
「ん?」
「さすごしゅ?」
「な、何でもありませんわ! オホホ」

 その話を聞いたアンジェリカは小さくガッツポーズをとる。
 今まで、タカシとの距離を詰めようとする度に邪魔して来たアリサは居ないと分かったからだ。
 そして即座に行動に移した。

 タカシの横まで、すすすと近寄ると、上目使いで、彼の目を見る。そしてタカシの手を取ると……

 ジ――――――。

 クラーケンがじっと見ているが、所詮は魔物。今は小動物と変わりないと意を決し、「タカシさん」と口を開き……

 ジ――――――。
 ジ――――――。

「あ、自分の事は気にしないで構わないっスよ?」

 ハフハフと竹輪を頬張るくノ一メイドが増えていた。

「ギャ―――――!!」

 アンジェリカが羞恥の為に飛び上がる。と。どたばたと廊下から足音が聞こえ、城のメイドと何か言い争ってる声が聞こえたかと思うと、ドアがバン! と開き。

「見つけましたよ!! タカシ殿!!」

 と、サムライ風の少女が魔族メイドを引き摺りながら飛び込んできて、アンジェリカが足を引っかけたせいで宙を舞ったおでんが……

 ******

「……何があったのですか?」
「うん、まぁ、色々」
「さすごしゅ!!」

 用事を終え、急いでタカシの後を追ったアリサが廃棄城のアンジェリカの私室で見たもの。
 それは、向う脛を押さえて蹲る魔王と、おでんを被り転げまわる剣客少女の姿だった。
0808この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 22:07:57.16ID:hpqb+BUw
>>779
にゃーの無意識が>>363の続きを望んでいるのですにゃー

使用お題→『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第四話】(1/3)

 森の外でイヌミミ族を撃退した俺たち。つかの間の勝利に酔いしれるも、翌日には、次の戦いのための準備を始めていた。

「思った通り、昨日のままですにゃー」

 現場には、敵のロボットや工事車両がそのまま残されていた。

「意外といい加減なやつらだな」
「イヌミミ族は、命令に従うのは得意なのですが、想定外には弱いのですにゃー」

 村長の指示で、俺とニャンダモ、おっさんたちは、現場の片付けを始めた。

「サン、サン、サン、サン、サンライズですにゃー」
「真面目にやれよ」
「今日も曇りですからにゃー」

 働いているのは、主に俺とニャンダモだ。おっさんたちは役立たず……ではない。ではないが、どうやらネコミミ族というものは力仕事が得意ではないようで、あまり頼りにならなかった。

「サン、サン、サン、サン、サンライズ、にゃー」
「サン、サン、サン、サン、サンライズー……あっ」
「晴れてきましたにゃー」

 おっさんたちの踊りの効果ではないだろうが、灰色の雲が薄くなって、その切れ間から青空がのぞいた。

「太陽が出てますにゃー」
「出てはいませんが、明るくなりましたにゃー」

 ニャンダモの動きが目に見えて良くなった。おっさんたちの動きは大して良くならなかったが、士気は大いに上がった。
 俺たちは大急ぎで作業を進めた。敵の機械を回収し、暗くなる前に落とし穴の修復まで終わらせると、俺たちは全員で村に戻った。

 *

 翌朝は雨だった。しとしとと降る雨を眺めていると、村長が俺を呼びにきた。

「こんな天気ですが、お見せするものがありますのにゃー」

 俺は村長に連れられて、村の外に出た。わだちが続く泥道を歩くこと数分、やがて、森の中に、大きく口を開けた洞窟が現れた。
 洞窟の中は暗かったが、床面は広く平らに加工されていた。俺たちは奥へと進む。いよいよ外光が届かない深さになると、電灯の明かりが俺たちを照らした。
 一番奥まで進むと、そこは開けた空間になっており、一種異様な、洞窟の外とは別の世界が広がっていた。

「これは……」

 広場の半分は掘り込まれて、何かの液体で満たされていた。そこに、丸やら三角やら四角やら、機械の部品らしきものが浮かんでいる。

「ここがにゃーたちのニャンダモ整備工場ですにゃー」

 残りの空間には、がらくたのようなものが積まれていた。その手前には、昨日運び出した敵の車両が並んでいる。クレーンのような機械も見える。

「学士様はどこですかにゃー」

 俺がこの施設に半ば感心し、半ばあきれている隣で、村長は誰かを探している様子だった。

「おやー? どうしましたかにゃー」
「あっ、学士様」
0809この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 22:08:27.89ID:hpqb+BUw
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第四話】(2/3)

 村のやつらとはまた別の、猫耳のおっさんが現れた。例によって仮面を装着している。

「どうしましたかにゃー、村長。そちらの方はどなたですかにゃー」
「こちらの方は脱獄囚ですにゃー」
「脱獄囚……! それはそれは。にゃーはエヌ学士ですにゃー。全部で五人いるニャンダモ開発者の一人ですにゃー。一応申し上げておきますが、にゃーも脱獄囚ですにゃー」

 脱獄囚だらけだな……。どうも釈然としないが、まあいいだろう。

「それで、どうして俺をここに連れてきたんだ?」
「それはですにゃー」

 村長が固まった。

「村長……? どうしましたかにゃー」
「おい村長」
「…………なんでしたかにゃー」

 大丈夫かよ。

「……ああ、思い出しましたにゃー。学士様、昨日の今日ですが、ニャンダモ弐号機はどうなってますかにゃー。それとにゃーの物忘れは単なる文字数稼ぎなので心配ないですにゃー」
「そうですかにゃー。弐号機ですが、壊れた部品は交換しましたにゃー。後はプログラムの修正が終われば、起動できますにゃー」

 そう言ってエヌ学士が振り向いた先には、見覚えのあるロボットが立っていた。

「昨日運んできた敵のロボットじゃないか。何がニャンダモだ」

 スクラップで補修したのだろう、部品の色や形が合わない箇所がある。

「大砲……イヌダーキャノンはどうしたんだ」

 ロボットが背負っていた新兵器、イヌダーキャノンが見当たらない。

「あれは邪魔なので外してありますにゃー。それと、後で調べてみますが、にゃーの見たところ、あれは使い捨ての兵器ですにゃー」

 一発撃ったら終わり、ってことか。随分と効率の悪い話だが、それに見合うだけの威力があったのだろうか。

「もしよろしければ、にゃーの仕事を手伝っていきますかにゃー」

 このために俺を連れてきたのか? 村に戻っても暇なので、俺は学士の提案を受け入れることにした。
 とは言え、急に来て何かできるはずもなく、俺と村長は、学士が作業するのをただ眺めていた。

「にゃー。これはにゃーには難しいですにゃー。にゃーはプログラムの専門家ではないですからにゃー」

 ロボットの胸部ハッチからはケーブルが引き出され、学士はそのケーブルに接続された情報端末を操作している。

「どうして難しいのですかにゃー。そのままでは起動できないのですかにゃー?」
「それが起動できないのですにゃー」

 村長の質問に対する学士の説明は長かった。

「まず、このロボット、パグ・ワンコーの制御プログラムは、プロテクトされてますのにゃー。ですがそれは問題ではないのですにゃー。こうやって配線を引き出して直接いじればいいのですにゃー」
「なら何が問題なんだ」
「世代が違いますのにゃー。にゃーは最初、ニャンダモのプログラムをコピーすればいいと思ったのですにゃー。ですが、ワンコー世代のニャンダモと、このパグ・ワンコーとは、似ているようで全然違うのですにゃー」

 プロテクトのせいもあって起動ができず、修正はできるが学士の手に余る、ということか。

「ではどうしますかにゃー」
「これはもう仕方がないので、ここをこう……これで起動自体はできますにゃー」
0810この名無しがすごい!
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2020/03/01(日) 22:09:31.98ID:hpqb+BUw
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第四話】(3/3)

 ロボットの電飾が点灯した。素人目には問題なさそうに見える。

「そしたらフラグをごまかして……『777』ですにゃー。これだと通常モードでは動かせないのですが、緊急避難ですにゃー」

 学士の作業は続いた。時々、ロボットの手や足が動いたりする。

「とりあえずこれで完了ですにゃー。これ以上はエム先生がいないと無理ですにゃー」
「そうですかにゃー。お疲れさまですにゃー。ああ、エム先生はニャンダモ開発者の一人で、プログラムの専門家ですにゃー」

 俺も村長も見ているだけだったが、パグ・ワンコー改め、ニャンダモ弐号機が動くようになった。

「それでは学士様、弐号機を村の方に持っていって、色を塗りますのにゃー」

 俺たちは洞窟を後にした。弐号機にはケーブルと端末が接続されたままだ。学士はコックピットには乗り込まず、徒歩で機体を先導している。

「ところで、洞窟の中のプールだが、あれにはなんの意味があるんだ?」
「おでん池のことですかにゃー。あれはにゃーの趣味で、特に意味はないですにゃー」

 朝から降っていた雨は、村に着く頃には上がっていた。弐号機が村に入ると、ブラシや絵の具らしきものを手に、村人たちが集まってきた。

「あっ、学士様ですにゃー。ねこの岩戸から出てきましたにゃー」
「お絵描きの時間ですにゃー」
「お絵猫きですかにゃー」
「違いますにゃー。そんな誤字でにゃーたちが釣られニャー」
「にゃーたちは何をするのでしたかにゃー」
「お絵描きですにゃー。サンダーボルト森林のネコミミ村美術部ですにゃー」

 肉体労働では今一つだったネコミミ族だが、弐号機の塗装では意外なほどの実力を発揮した。

「これで完成ですにゃー」
「これで完成ですが、何か物足りないですにゃー」
「なんですかにゃー」
「なんでしょうかにゃー」
「文字数でしょうかにゃー」
「違いますにゃー。まだ使ってないあれが……あっ」

 そう言うと何人かが走っていった。しばらくして戻ってきたやつらの手には、何か先のとがったものが握られていた。

「これですにゃー」
「これはなんですかにゃー」
「にゅんにゅん丸ですかにゃー」
「違いますにゃー。そんな造語でにゃーが釣られニャー」
「これはドリルですにゃー」
「……それはにゃーが言おうと思ってたのですにゃー」

 三角コーンほどの大きさのドリル二つが、弐号機の頭部に取り付けられた。猫耳のように見えなくもない。

「ちゃんとくっ付きましたかにゃー。試しに回してみますのにゃー」

 学士が操作すると、弐号機の頭のドリルが回り始めた。

「いつも通りに回ってますのにゃー」

 回り続ける弐号機のドリル。そして学士が持つ情報端末。
 これは……未開の星の技術じゃない。
 俺は強大な敵との対決を予感し、先行きへの懸念を深めるのだった。
0811三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/01(日) 22:11:27.72ID:hpqb+BUw
こちらも長いけれども、作者本人はそれなりに満足した話

続きは・・・いずれまた・・・
0812三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/01(日) 22:13:09.86ID:hpqb+BUw
お題→『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』締切

【参加作品一覧】
>>786【イエローマスクド・デーモン】
>>793【最悪最強!?猛攻のスロットモンスター】
>>798【姉弟はいつでもラッキーセブン】
>>803【魔王アンジェリカの色々な冒険】
>>808【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第四話】
0813三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/01(日) 22:16:00.48ID:hpqb+BUw
では予告通り、状況指定をやってみます
予備のお題2つ
どこかで、誰かが、何かをする話←これが3つ

お題安価>>814->>815

場所>>816
人物>>817
行動>>818
0814この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/01(日) 22:17:38.93ID:VO7XWd8N
ケチャップ
0816この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/01(日) 22:20:43.63ID:+yP/lZKX
銀河
0817この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/01(日) 22:49:56.62ID:PIW6CcEA
検察官
0819三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/01(日) 23:04:58.72ID:hpqb+BUw
☆お題→『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/8の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0820三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/01(日) 23:29:28.15ID:hpqb+BUw
どうなるかなと思いましたが、今回もかなり早く集まりましたね
普通に考えればSFですが、これはどうなるか

お題も作品もアイディアもありがとうございます
今回もよろしくです
0821三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/01(日) 23:30:43.49ID:hpqb+BUw
>>803
来た来た、今回これが来るとは思ってませんでしたがw
『スクラップ』の城=『777』階のダンジョン、『ドリル』ランスで元『美術部』のセンス、『おでん』が・・・
これは楽しい話、とうとう最後の一人が登場で、通常営業のドタバタって感じですねw
0822この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/02(月) 13:12:32.36ID:b4CLKce4
>>821
感想有り難うございます
短編連作なので、初めて読んだ方ですと分かり辛いかもしれませんが……
なるべく“なろうテンプレ”をつぎ込んでいるお話ですので楽しんでいたたけたなら幸いですw
0823この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/02(月) 14:35:41.59ID:4T9QTdoq
>>819
使用するお題→『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』

【魔法少女、銀河に行く!?】(1/3)

今日も世界の平和を守るため、ナツミは魔法少女に変身し、極悪なモンスター達と激しいバトルを繰り広げていた。

「なかなか手強かったわ。ま、特に骨が折れるほどではなかったけどね」

モンスターを倒し、その場から立ち去ろうとするナツミ。

「(ふん!バカな魔法少女め、油断しやがって…)」

モンスターは息絶えて消えそうになる数秒前、ナツミの足下にコロコロと黒く丸い何かを転ばせる。それは爆弾だった。

「ん?」

それに気付いた時にはもう遅かった。ドカーン!と大爆発し、その爆風でナツミは勢いよく空中に吹っ飛ばされた。

「ワーーーーーーーッッッッッッ!!!」

まるでロケットのような勢いで大気圏に突入、宇宙空間、そう銀河にまで飛ばされてしまった。

「えっ?ここって宇宙ってか銀河!?こ、これじゃ息ができずに死んじゃ…って、あれ?」

どうやら普通に呼吸できるようで、体には特に何の異常も起こらない。

「もしかして魔法少女だから宇宙でも平気でいられるってこと?もはや何でもありなのね」

早く地球に戻ろう。ナツミはそう思いつつも赤や青、金色に輝く美しい無数の星につい見とれてしまう。

「すっごく綺麗…心が癒されるわ」

しばらく壮大な宇宙の中をのんびり散歩することに決め、自由気ままに飛び回る。
すると、突然ゴンッ!と何かにぶつかってしまう。

「痛タタタ!もう何よ!」

目の前にあったのは巨大なサファイア色をした宇宙船、いや軍艦だろうか。

「宇宙だからエイリアンでも乗ってるのかな?友好的で襲ってこなかったらいいんだけど…」

するとナツミの存在に気付いたのか、軍艦から大きな吸引機のようなホースが現れる。それに彼女は吸い込まれ、そのまま軍艦内に入ってしまう。

「もう乱暴ね!いきなり何するのよ!」
「大人しくしろ!不審者め!」

ナツミの前に姿を現したのはエイリアン、と思いきや普通の人間の姿をした生命体のようだ。

「に、人間なの?」
「人間のように見えるが違う。我々はブルースパークル星人で、宇宙の治安を守る警察部隊マイティーコメッツだ」
「ブルースパークル星人?マイティーコメッツ?もう何が何だか訳が分からない…」
「いや、ちょっと待て。お前、もしかして今地球の平和を守るため日々戦っている魔法少女か?」
「そうよ、名前は佐久間ナツミよ。…って、どうして知ってるの?」
「我々は宇宙の平和を守ってるだけでなく、地球での人々の様子を見て楽しんでいたりもしているのだよ」
「すごく目立ってるから一瞬で分かったよ。私、あなたのファンでして会えて凄く嬉しい。サインくれないかな?」
「べ、別にいいけど…」

渡された色紙に、ナツミはとりあえずサインをするのだった。
0824この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/02(月) 14:36:49.68ID:4T9QTdoq
【魔法少女、銀河に行く!?】(2/3)

「モンスターと戦うあなたの勇姿は本当に素晴らしい。いつも応援してます!」
「あ、ありがとう」

そのままナツミは、ブルースパークル星人達に大きなモニター室のような場所に案内された。

「ここでこの壮大、いや無限大ともいえる宇宙空間で誰か困っている人がいないのか見ているのです」
「地球での人々の暮らしなどを眺めたりもしていて、それもすっごく楽しいんですよ。決して監視してるわけじゃないですよ」
「そういえば、この前イタリアのシチリアだったかな?爽やかな好青年と、西部劇に出てくるガンマンのような格好した女のカップルが、丘の上で星空を眺めているのがありましたよね」
「ああ。あれは本当に幸せそうで印象深い光景だったな。確かどれが何の星座か当てる勝負やってたなアハハ」

そんな楽しそうに会話するブルースパークル星人達を、ナツミは微笑ましそうに見つめていた。

「(地球にすごく憧れを持ってるのかな?)」
「あっナツミさん、置いてけぼりにして申し訳ない」
「ううん、気にしないで」

すると、他よりも一回りか二回りくらい大きな体をした星人が現れた。

「初めまして、ナツミ様。私は検察官をしております、グラヴィスと申します。今、行方不明の男を捜索しておりまして…」
「行方不明?一体、どういうことなんですか?」

グラヴィスと名乗るその検察官は、半年ほど前に失踪し行方不明となっているチャムという男を必死に捜索しているのだという。

「彼には妻子がいるのです。必ず見つけ出して会わせてやりたいのです」
「私もお手伝いします!」
「本当にありがたい。あなたがいると心強い」

その時だった。けたたましい音のサイレンが艦内に響き渡った。

「敵襲だ!」

外に出てみると、脳が破裂しそうなくらいに膨らんだ緑色のモンスターがいた。彼らはナツミの姿を見てビックリした。

「ま、魔法少女ナツミ!?何でお前がこんな宇宙にいるのだ!?」
「モンスター!?宇宙でも悪事をしているってこと!?」
「俺達モンスターは地球だけで暴れてるとは一言も言ってないぞ。あ、名乗るのが遅れたな。俺はウィズダム、そう最高のIQを誇るモンスターだ」
「だからそんなに脳が膨れているのね」
「おしゃべりはそこまでだ。こいつを見ろ!」

ウィズダムと名乗るそのモンスターの腕には、一人の男が捕まっていた。

「チャ、チャムだ!」
「さっき言ってた行方不明の方?」
「た、助けてくれー!」
「一歩でも近づいたら殺すからな。人質を傷つけられたくなかったら大人しく身代金を出せ」
「ひ、卑怯な…!」

迂闊に近づけば、チャムの命が危ない。しかも相手は自称ではあるが最高のIQを誇るモンスターだ。

「グラヴィスさん、ここは大人しく身代金を渡しましょう」
「犯人相手に屈することにはなるが仕方ない。人質の命を守るのが最優先だ」
「待ってください。私に良い考えがあるんです!」
「な、何ですと?」

ナツミには「ある作戦」があった。

「おい、お前ら何をヒソヒソ話し合ってやがる!ちょっとでも下手なことしたら、こいつは一瞬でこの世からおさらばだぜ!」
0825この名無しがすごい!
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2020/03/02(月) 14:38:13.90ID:4T9QTdoq
【魔法少女、銀河に行く!?】(3/3)

「おいウィズダムとやら!これに身代金が入ってる!受け取れ!」
「おう潔くていいじゃねえか」

グラヴィスが身代金が入った「何か」をウィズダムに向かって投げる。それを上手くキャッチするウィズダム、しかしそれは…。

「こ、これナツミのブーツじゃねえか!」

ナツミのブーツだった。ちゃんと彼女のブーツの中に身代金が入っているのだが、ブーツの強烈な臭いでウィズダムは失神しそうになる。

「く、臭えッ!ちゃんとブーツ洗ってるのかよ!」

一瞬ウィズダムが怯んだ瞬間、ナツミは電光石火の如く彼の背後に回り、脳に向かって勢いよく踵落としを食らわせる。

「ウゲッ!!」
「私の方が少し賢かったかもね」

ウィズダムの脳は歪に変形、ドカーン!と破裂死してしまった。そして無事にチャムの救出を成功させた。

「本当にありがとうございます、皆さま!そして魔法少女のナツミさん!」
「ご無事で何よりですチャムさん。一体何があったのですか?」
「ああ、それはね…」

チャムの話によると、失踪した半年前のこと、仕事帰りに突然飛んできた隕石に衝突してしまう。無傷ではあったものの船が大破してしまったため、家に帰る事ができなくなってしまった。
何とか歩いて帰ろうとするも、無限と言えるほど広大な宇宙空間なため途方に暮れてしまう。
途中、たまたま落ちていたケチャップを拾ってそれを一応非常食として携帯し、何日もかけて帰ってる中でウィズダムに見つかって捕まってしまった、というわけなのだ。
少しでっぷりしている写真の姿と比べるとかなり痩せ細っていた。

「ケチャップだけで本当辛かったですよ。でもこれでやっと妻子に会うことができて嬉しい限りです」

その後、マイティーコメッツが手配した宇宙船でチャムは無事に妻子の元に送られた。

「ナツミさん、今回は本当にありがとうございました。我々もモンスター達に負けないよう、もっと強くならないといけないですね」
「どういたしまして。マイティーコメッツのこれからの健闘をお祈りします」

ワープルームに案内され、ナツミはそこの自動転送システムで地球に戻ることができた。

「銀河、すっごく綺麗だったなあ。また行きたいなあ」

そう考えながら、ナツミは家路につくのだった。
0826三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/03(火) 01:39:40.62ID:5a0uZDYk
>>823
早速なんだこれw、なんでもあり過ぎるw
『銀河で〜』ブーツw『ケチャップ』を食料にしていた
いやーこれは、まさかの宇宙進出、見覚えのある人たちもw、かなり自由な話でしたw
0827この名無しがすごい!
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2020/03/03(火) 07:20:55.96ID:VYvJMOqB
>>826
感想ありがとうございます!
魔法少女が宇宙で大活躍!?なお話でした。
宇宙空間でも呼吸かつ行動が可能なのは魔法少女で無敵状態であるから故、という解釈でw
会話の中だけですが地味にレイチェルとライアンも出ちゃってますねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0828この名無しがすごい!
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2020/03/04(水) 20:23:31.27ID:TGD/2JUI
>>819
使用するお題→『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』

【ギャラクシーコップ】(1/3)

「ねえねえ、お姉ちゃん!あのゲームの続きやろうよ!」
「そうね!すぐに宿題終わらせるから、リビングで準備して待ってて」

今やっている宿題を手っ取り早く片付けると、カナミは1階のリビングへと向かう。

「お待たせー!それじゃあプレイ開始といきますか!」

カナミとケンスケは早速あるゲームをプレイする。「ギャラクシーコップ」というタイトルで1週間ほど前、
777人目のお客様記念として7割引で購入したゲームだ(※>>798【姉弟はいつでもラッキーセブン】を参照)
ギャラクシーコップと呼ばれる警察部隊を操作し、無法者らから銀河の世界の平和を守るといった内容で、現在ストーリーモードを進めている真っ最中だ。

「もう終盤だね。今日は一気に全クリしちゃおうよ!」
「ケンスケ、焦らないの。先走ってちゃ何も手に入らないわよ」

ストーリーはもう終盤、検察官であるジェムという名の男を操作、行方不明となった一家を探し出し、
その事件の元凶であるラスボスを倒せば完結を迎えることができる。
カナミとケンスケは2人同時プレイで協力しながら、着実にストーリーを進めていくものの
途中、一家を探し出すヒントをなかなか掴むことができずに悪戦苦闘する。

「ヒントはあと一つなのにぃ!!」
「このゲーム、割と推理必要なんだね」

ヒントを見つけることができず、足止めを食らってしまう。既にゲームを始めてから2時間が経過していた。

「もうゲームはやめて、風呂に入ってもう寝なさい」
「はーい!」
「分かったわよぉ」

お風呂に入ってパジャマに着替え、それぞれ自分の部屋に向かう。

「お姉ちゃん、こうなったら攻略本買おうよ」
「攻略本に頼ってちゃ面白くないわ!たとえゲームでも自分の力でクリアするってのが醍醐味なんだから!」
「そ、そうだね。それじゃあ、おやすみ(お姉ちゃん、なんか熱くなってて怖い…)」
「おやすみなさいケンスケ!」

翌朝、授業中でもカナミはゲームをクリアすることばかり考えてしまい、なかなか集中することができない。

「(わ、私のバカ!ゲームのことばかり考えて何してるのよ!これじゃあケンスケの二の舞になっちゃう!)」

カナミは自分の頬を強くつねり、なんとか冷静になる。放課後、家に帰るとケンスケが既に帰っていた。

「お姉ちゃん、宿題終わらせたら早く昨日の続きやろう!」
「分かった、分かったから落ち着きなさい。ゲームは逃げたりしないんだから」

宿題を終わらせると、リビングに向かいソファーに座って早速プレイする。

「昨日のお姉ちゃん、鬼気迫るものがあったよ」
「だ、だって難しいからつい熱くなっちゃって仕方がないじゃない!」
「熱くなりすぎちゃ、手に入れれる物も手に入ることができないよ」
「そ、その通りね。冷静、冷静に…」
0829この名無しがすごい!
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2020/03/04(水) 20:24:47.50ID:TGD/2JUI
【ギャラクシーコップ】(2/3)

広い銀河に住む、多種多様な宇宙人や異星人に話を聞き、行方不明の一家を探し出せる最後のヒントを掴もうとする。

「お、お姉ちゃん、ちょっとトイレ行ってくる。すぐ戻るから」
「わ、私も!ポーズしとかなくちゃ!」

とりあえずポーズ状態にして、姉弟はトイレに向かう。
その後、少し喉が渇いたので冷たいお茶を飲みに食卓に行くと、父が大笑いしながらテレビを見ていた。

「お父さん、何見てるの?」
「芸人や俳優オールスターのお笑いスペシャルだよ。ほら、誰がワサビ入りのケーキを選んでしまうかで面白いところだ」
「アハハ!楽しいわね!」

そのお笑いスペシャルに夢中になってしまい、姉弟はゲームのことをすっかり忘れてしまっていた。
ゲームがつけっぱなしで誰もいなくなったリビングの窓ガラスが突然割れ、誰かが中に入ってきた。

「ここがあの七尾の家ね。今日こそ、あいつを見つけて捕まえて思いきり可愛がってやるわ!」

七尾家に不法侵入してきたのは、乱暴凶悪の小6女子の一人である柿田ハルコだった。
これまで無残に散っていった(無論、自業自得だが)同胞達の仇を討つために、カナミを捕まえにやって来たのだ。

「ん?ゲームがついてる…」

ポーズ状態のギャラクシーコップに目が入り、興味を持ってしまう。

「面白そうね。せっかくだから私がもらうわ」

勝手に電源を切ると、ハルコはソフトを抜いてそのまま出て行ってしまう。片手に持っているホットドッグのケチャップがポタポタ落ちているのにも気付かずに…。
2時間後、スペシャルが終わった途端、カナミとケンスケはゲームのことを思い出して急いでリビングに戻る。
割れた窓ガラスやゲームソフトが無くなっているのを見て、驚きを隠せない。

「ど、泥棒!?一体、誰の仕業なの!?」
「お姉ちゃん、見て。何か赤い物が落ちてる、絵の具かな?」
「トマトのような匂い、これはケチャップね。ケチャップ…ということは6年の柿田ハルコね!」

カナミ曰く、ハルコはハンバーガーやホットドッグといった高カロリーなジャンクフードが大好物で
コンビニでよく万引きしていることでも知られている。

「あいつ、よくケチャップとかマスタードをポタポタ落としながら食べてるのよく見るわ。彼女に違いないわ!」

地面に落ちてるケチャップを辿って、姉弟はハルコを探しに走り出す。向かった先にあったのは他でもない彼女の家だった。

「うーんホットドッグ美味しい。ムシャムシャ…」

窓からじっと様子を伺うカナミとケンスケ。

「さてっと、さっき奪ったゲームで遊ぶとしよっと!」
「うわ、ケチャップでベトベトの手でソフト触ってる!最悪!」
「ホント下品だね」

ストーリーモードの続きで遊び出すハルコ。
こうなったらこっちも強行突破だ!と、カナミは近くに落ちている大きめの石を拾うと
思いきり投げて窓ガラスをガシャーンと割る。
0830この名無しがすごい!
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2020/03/04(水) 20:25:32.64ID:TGD/2JUI
【ギャラクシーコップ】(3/3)

「な、何!?」
「6年の柿田ハルコ!私よ、七尾カナミよ!そのゲーム返してもらうわよ!」
「あら自分からノコノコ現れるとは潔いじゃないの。感心しちゃうわ」
「(ケンスケ、今よ!早く!)」
「(OK、お姉ちゃん!)」

カナミの合図に、ケンスケはハルコに気付かれないようにゲームを取り戻そうとする。

「柿田ハルコ!どこからでもかかってきなさい!」
「いいわ、思う存分グチャグチャにしてやるわ。仲間達の仇を今こそ討ってやるんだから」

ハルコのパンチを避け、カナミは彼女の脛を思いきり蹴る。ウッ!と一瞬怯んだ、かのように見せかけてハルコはニヤリと笑う。

「それくらいで私がダウンするとでも思ってるのかしら?」

ハルコはカナミの体を持ち上げると、壁に向かって思いきりブン投げた。

「お姉ちゃん!」
「あら、弟君も来てたのね。せっかくだから、あんたも可愛がってあげる」
「ケ、ケンスケ!私のことはいいから早くゲームを持って逃げて!」
「あんたは黙ってな!」

ハルコに足を踏みつけられ、カナミ大ピンチ。その時だった。
突然テレビの画面から眩しいレーザーのようなものが飛び出し、ハルコの体を勢いよく貫いた。
ブヘッ!とハルコはそのまま気絶し倒れてしまった。テレビの画面の方に目を向けると、
検察官のジェムがレーザー銃を放ったかのようなポーズで立っていた。
ジェムがそのまま姉弟に向かってニッコリと微笑むと、「MISSION COMPLETE!」の文字が現れた。
その流れで行方不明の一家が無事見つかって事件は解決。そう、ストーリーモード全クリアを達成できたということだった。

「まさかこれで全クリとは、一本取られたね」
「つまり元凶は柿田ハルコだったってことね」

その後、駆けつけた警察により、ハルコは不法侵入と器物損壊の罪で逮捕された。
ゲームを無事に取り戻し、カナミとケンスケは家路につく。

「ゲームのキャラもちゃんと意志を持ってるんだなあ」
「やっぱり製作者の愛が詰まってるのかしらね」

グゥッとお腹が鳴り、姉弟は互いに顔を合わせてアハハと笑うのだった。
0831三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/05(木) 12:45:32.93ID:D5597veL
>>828
なるほど考えたなぁ
『銀河で〜人捜しをする』ゲーム、『オールスター』のテレビ番組、『ケチャップ』の痕跡・・・!
とうとう自宅にまで押し掛けられてますがw、やり返した上に助っ人登場で事件解決でしたw
0832この名無しがすごい!
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2020/03/05(木) 17:14:37.64ID:LVHU4Z5U
>>831
感想ありがとうございます!
前回はゲームのキャラに襲われる展開でしたが、今回は逆に助けられるパターンでした
話が進むに連れて小6女子がますます凶暴化してますねw
でも仕方がありません、彼女ら本当に目的のためなら手段を選ばないくらいの冷酷非道ですからw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0833この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 21:13:51.62ID:TpkuDDyQ
>>819
お題:『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』

【星空の下の検事】
 空を見上げれば、満天の星空。
 吹きすさぶ北風に身を晒し、凍える様に身を竦める。

(まるで、この銀河でたった一人の様じゃないか)

 加藤 優司は、埒も明かない想像を振り払うかの様に頭を振った。
 同僚の検察官からは、「やめておいた方が良い」と言われ続け、実際に上からの圧力も掛かっている。
 この寒空の中、周囲の反対を押し切りながらも何処にいるかも分からない証人を探す作業は、正直、疲労感が大きい。

 被疑者、能登 佳純は、いわゆるエリート官僚であり、しかし、欲望を我慢すると言う事の出来ない男でもあった。
 今までに彼が手を染めたであろう犯罪は、詐欺、横領、窃盗、脅迫、暴行、薬物、強姦、殺人と、まるで犯罪のオールスターの様な状態なのだが、しかし、それ等は一つとして立証される事は無かった。
 それもこれも、証拠不十分であるとされたり、被害者が提訴を取りやめる事態が続いたからである。

 要は、誰もそれもが、能登の権力に屈したと言う事だ。

 しかし、今回だけは優司は諦める訳には行かなかった。これ以上、彼の犠牲者が増える事が無い様にと言うのも確かに有ったが、今回の被害者が彼の亡くなった妹と重なった為だった。

 両親を早いうちに亡くし、さして裕福でも無かった加藤の家は、優司本人も、その妹の香奈見も奨学金によって大学まで卒業をした。
 彼の妹の香奈見も、苦労して就職し、ようやっと人並みの生活に成れると思った矢先だった。

「はい、お兄ちゃん、ケチャップライス。大好物だったでしょ?」
「いや、大好物と言うか……(他に食べられる者が無かったと言うか……)」
「え?」
「あ、いや、大好物だよ、うん」

 ケチャップで炒めただけのライスをさも美味しそうに食べる優司を見ながら、香奈見はニコニコとしていた。

「……何か良い事でもあったのか?」
「うん? 分かっちゃう? へへ、あのね? 私、プロポーズされたんだ」
「へ? え? へー……そ、そうか」

 正直、苦労して育てて来た妹を他の男に渡すのは業腹だった優司だが、しかし、幸せそうな彼女を見てしまえば、それも許すしかない。

「そ、そうだな、今度、お兄ちゃんにも、その男を紹介してくれるのかな?」
「フフ、当たり前でしょ? たった一人の家族なんだよ?」

 だが、その幸せは長くは続かなかった。
 彼女が結婚をしたのは、小さな工場を経営する社長だったのだが、しかし、贈賄の容疑で逮捕され、会社は倒産。
 そして、その男は獄中で謎の病死をしたのである。
 当初こそ、多額の借金を返しつつ、彼の帰りを待っていた香奈見だったが、獄中死をした言う事を聞き、心が折れてしまったのだろう。
 自らに保険金をかけ、謎の事故死をしてしまったのである。

 その陰には、やはり能登の姿がチラついていたのだが、しかし、立件するには至らなかったのである。

 今回の事件は、その時の状況とあまりにも似通っていた。

 白い息を吐き、コートの襟を立てながら、優司は満天の空を見上げる。
 美しい筈の星の輝きが、今は、まるで彼の事が銀河でただ一人の様な気分にさせた。
0834この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 22:00:11.10ID:4RNwmC9w
>>819

使用お題→『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』

【コンテンポラリー・ユニヴァースィズの私たち】(1/3)

「いらっしゃい」
 落ち着いた雰囲気の店内。初老の店主の穏やかな声が私を迎える。私はカウンター席に座る。店主と私の他に人影はない。
「ご注文は?」
「コーヒーで。あの、マスター」
 私が話し掛けるのを手で制して、店主はゆったりと告げる。
「慌てない、慌てない」
 言われた私は、店主の仕事を黙って眺めることにする。
 やがて私の前にコーヒーの入ったカップが差し出される。
「それで、ご用件は?」
「あの、私」
「ああ、ごめん。まずはコーヒーを飲んでからね」
 私はコーヒーを一口含んで、それを飲み込んでから、改めて話を始める。
「人を捜しているんです。その人は――――」

 * * *

「いらっしゃい」
 その店の中は薄暗く感じられたが、それは砂漠の日差しが特別に強かったからだ。
 私は数瞬立ち尽くし、目が慣れてくると、カウンターの中に店主の姿を認めた。落ち着いて歩み寄る。
「ご注文は?」
 私が席に着くと、店主が愛想良く話し掛けてきた。
「コーヒーで」
「コーヒー? うちにはそんなものありませんよ。あるのはコーラと、よく冷えたビールだけでございます!」
 私は店主の返答に面食らったものの、大人しくコーラを注文する。
「それでマスター、お聞きしたいことがあるのですが」
 私はコーラを一口飲んでから、そう切り出した。店内に他の客の姿はない。
「なんでしょう」
「私、人を捜しているんです。その人は――――」

 * * *

「いらっしゃいませですにゃー」
 林の中に隠れるようにして、その店は存在していた。店主の声は決して大きくはなかったが、よく通る声で聞き取りやすかった。
「ご注文はなんですかにゃー」
 カウンター席しかない小さな店だ。店主の頭には猫耳が生えている。
「コーヒーで」
「コーヒーですかにゃー。それはなんでしたかにゃー」
 私は答えに窮した。ここはコーヒーを出す店ではないのか。その後ろにあるのは?
「……ああ、コーヒーですにゃー。失礼しましたにゃー。これのことですにゃー」
 私は少なからず不安に駆られたが、余計なことは言わず、静かに待つことにした。
 やがて私の前に、間違いなくコーヒーの入った、なんの変哲もないカップが差し出される。
「どうぞですにゃー」
「ありがとう。あの、マスター。お聞きしたいことがあるのですが」
「なんでしょうかにゃー」
 私は、この優しそうな店主に事情を話すことにする。
「私、人を捜しています」
「そうなのですかにゃー。その人は脱獄囚ですかにゃー?」
 脱獄囚……? その発想はどこから出てくるんだろう。
「いえ、その人は――――」
0835この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 22:00:49.12ID:4RNwmC9w
【コンテンポラリー・ユニヴァースィズの私たち】(2/3)

 私がその店の前に着いた時、店の戸には『closed』のプレートが掛けられていた。
 私は、一瞬迷ったものの、すぐにその場を後にした。

 * * *

「いらっしゃいませぇ!!」
 ウェイトレスの元気な声に、私はびくっとした。
「お席にご案内いたします!」
「あの」
「はい、なんでしょう」
 趣味のいい内装に、エプロンドレス姿が素敵な店員たち。忙しい時間帯は避けたつもりだが、テーブルもカウンターも客で埋まっている。
「私、人を捜してまして、こちらの店主の方にお話を伺いたいのですが」
「あっ、はい。店主ですか。ではこちらへ……マスター、こちらのお客様なのですがー」
 店員は店主らしき人物に声を掛けてくれたが、声を掛けられたその人には、この状況で私の話を聞く余裕はなさそうだった。
「申し訳ありません、今ちょっと忙しくて。あと二時間くらいしたら落ち着くと思うのですが。どんな方をお捜しなのでしょうか」
「いえ、えっと、そうですね。ではすみませんが、二時間後に出直してきます」
 説明を始めると長くなってしまう。私は一度その店を後にした。

 * * *

 その建物の内も外も、治療の必要な人間であふれていた。そして、もう治療の必要のない人間も。
「あの」
 責任者らしい人物に、私は声を掛けた。
「はいなんでしょう」
 間髪いれず返事があって、私は戸惑った。見るからに大変な状況で、それでも私は自分の事情を告げる。
「お忙しいところすみません。人を捜しています。ここの患者さんたちの中にその人がいるかどうか、調べて回ってもよろしいでしょうか」
「それは構いませんが、邪魔にならないようにしてください。ああそれと、身元の分からない方が多くいらっしゃいます。お知り合いの方を見掛けられましたら、係の者にお知らせください」

 床やベッドに並べられた患者たち。赤黒い染みが目立つ、着衣や包帯。兵士も一般市民も混ざっている。私はその人々の間を注意深く進む。
「あっ……」
 私と目の合った一人が、小さく声を上げた。
「あなたは……いえ……人違いですね……」
 私もこの人には見覚えがない。本人の言う通り、人違いだろう。
「あの……」
 だとしても、この人は私に用があるらしい。
「はい、なんでしょう」
「人を……捜しています……」
「……それは奇遇ですね。私も、人を捜しています」
 馬鹿にされたように感じただろうか、特に表情は動かさなかったが。
「こんな状況ですからね……。実はさっきから、あなたがどなたかを捜しているのは、気付いていました。そう言えば、王様の行方は……王は見付かったのでしょうか……」
「それは私にも分かりません。うわさはここまで広がっているのですね。何か分かれば発表があると思いますが……」
「そうですね……」
 この騒がしい中にあって、私たち二人の間にだけ、刹那の沈黙が訪れる。
「人を捜しているとおっしゃいましたが。もしよろしければ、私が、ついでと言ってはなんですが、捜すこともできると思いますが」
 私がそう提案すると、その人はゆっくりと口を開く。
「そうして頂けると助かります……。私が捜しているのは――――」
0836この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 22:01:33.47ID:4RNwmC9w
【コンテンポラリー・ユニヴァースィズの私たち】(3/3)

「いらっしゃい」
 落ち着いた雰囲気の店内。まだ若い、三十代だろうか、その割に老成した印象を与える店主が、にこやかにたたずんでいる。
「お客さん、初めてですね」
「ええ。コーヒーを。それとちょっと事情がありまして、お話を伺いたいのですが」
「そうなんですか。構いませんよ、私で良ければ」
 他に客はいない。コーヒーを待つ間、私は店主に話し掛けてみる。
「このお店の名前、『銀河』ですが」
「はい。あんまり『銀河』って感じがしないでしょう?」
 それはちょっと分からないけど。店内を見回すと、星座を模した小さなオブジェが置いてあったりする。
「はいどうぞ、コーヒーです。ここにミルクを、ちょっとだけ垂らすと……」
 ちょいちょいと手を動かす店主。
「これがほんとのミルキーウェイ、ってね」
 うーん……。
「お気に召しませんか。ところで」
 店主が私の顔を見詰める。
「あなた、検事さんですよね。こないだ裁判の中継で見ましたよ」
「ええ、まあ、そうですが。よく分かりましたね。私なんて隅っこに小さく映っていただけだと思いますが」
 私がそう言うと、店主は我が意を得たりという顔で言葉を継ぐ。
「好きでよく見てるんですよ。弁護士を目指してたんです。あの事件は、検察側も弁護側も、我らがサクラ・カウンティーのオールスターじゃないですか。だから本当はずっと見ていて、全員の顔を覚えてしまったんですよね」
 熱っぽく語る店主は、どうやら本当に裁判を見るのが好きらしい。
「ああ、すみません、しゃべり過ぎましたね。それで事情というのは? 事件の捜査ですか?」
 わくわくと楽しそうな店主は、第一印象とは別人のようだ。
「いえ、そうではなくて、どちらかと言うと個人的なことです。ある人を捜しているんです」
「人捜し、ですか」
「ええ。それで、ずっと捜してるような気がするんですけど、不思議ですね」
「何がですか?」
 そう聞き返す店主の顔も不思議そうだ。
「初めて入ったお店のマスターが、その、裁判オタクで、私の顔を覚えているなんて。ある意味面白い偶然ですよね」
 すると店主は少しだけ思案顔になり、それからすぐにこう言った。
「偶然ではないですね。あなたは、たまたまではなく、この店を選んで入った。違いますか」
「まあ、そうです。ここで聞き込みをすれば何か手掛かりが得られるだろうと、そういう見込みがあって、ここに来ました」
「そうですよね。だから、これは運命、とまでは言いませんが、あなたが検事であることも、私が弁護士を目指したことも、あなたが捜している人のことも、全部つながってるんですよ」
「……おっしゃっていることが、よく分からないのですが」
 私の困惑した表情に、しかし店主は動じる気配もない。
「大丈夫ですよ、分からなくても。あ、ところで、お食事は済ませましたか」
「いえ、まだですが」
「ではオムライスをごちそうします。この写真のやつです」
 ケチャップの星座がなんだかおかしい、オムライスの写真だった。
「それであなたのお話を伺います。どんな人を捜してるのか。それでいいですよね」
 言って、店主はさっさと料理を始めてしまった。私はそれを眺めるしかない。
 まあ、いいか。何か手伝ってくれるなら、問題はないはずだ。

 私は捜している。
 オムライスの香りが、私の鼻孔をくすぐる。
 私が捜している人。その人は――――
0837三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/08(日) 22:02:36.17ID:4RNwmC9w
見た目以上に僭越な話なんですが・・・
なんか無駄に長いし・・・
でもまぁ・・・
0838三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/08(日) 22:09:20.39ID:4RNwmC9w
お題→『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』締切

【参加作品一覧】
>>823【魔法少女、銀河に行く!?】
>>828【ギャラクシーコップ】
>>833【星空の下の検事】
>>834【コンテンポラリー・ユニヴァースィズの私たち】
0839三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/08(日) 22:11:38.08ID:4RNwmC9w
では通常お題5つです

お題安価>>840-844
0840この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 22:17:09.64ID:ZL0ZiZVl
クッキー
0841この名無しがすごい!
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2020/03/08(日) 22:24:15.44ID:YOBt7EaA
庶民サンプル
0842この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/08(日) 22:26:40.20ID:qgAYMCkk
肉襦袢
0843この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/08(日) 23:13:04.67ID:S78PBlcM
信楽焼
0845三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/08(日) 23:20:22.10ID:4RNwmC9w
☆お題→『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』から1つ以上選択

☆文字数→4レス以内に収めれば何字でも可。ただし3レス以内を目標とすること。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/15の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0846三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/08(日) 23:28:55.39ID:4RNwmC9w
なんかまた微妙な過疎、、あと今回お題の組み合わせがすごいですが・・・
ともかくお題も作品もありがとうございます

それと気が早いですけど次回、リレー企画をやろうか、どうしようか、って感じですが
まーそれはその時募集してみて、って感じですよね
0847三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/08(日) 23:29:38.17ID:4RNwmC9w
>>833
超シリアス・・・!
『銀河で、検察官が』証人を探す、犯罪の『オールスター』な被疑者、『ケチャップ』ライス
なんやこの細かい設定と壮大なプロローグ・・・でした・・・!
0848この名無しがすごい!
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2020/03/09(月) 14:10:31.76ID:HKAGCOfW
>>847
感想有り難うございます
体調を崩して、ネガティブに成っている為、何だか暗い話になってしまいましたorz
とりあえずコロナではなさそうなので、一安心ですが
0849この名無しがすごい!
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2020/03/09(月) 19:59:44.71ID:gvM0loJD
>>845
使用するお題→『クッキー』『肉襦袢』『マンティコア』
※スレ6>>891【ハロウィンの夜の決闘】を先に読んでおくことをオススメします

【伝説の怪物、現る!?】(1/3)

今年もシチリアにハロウィンの季節が近づいてきた。
町の広場では、住人達がお祭りの準備で大忙しだ。

「今年もまた賑やかで楽しいハロウィンパーティーになりそうね、ライアン!」
「そうだね、レイチェル。今年も仮装コンテストに出場するんだよね?」
「もちろん!このガンマン衣装でね!」
「おやおやライアンさんにレイチェルさん、お久しぶりです」
「あっグレーズ市長!」

シチリアの市長であるルイーニ・グレーズが、ライアンとレイチェルに挨拶をする。

「去年は、私の秘書が君達に迷惑をかけてしまって本当に申し訳ない」
「いえいえ、全然気にしてませんよ。だって黒猫のレイチェル、すっごくカッコよかったんですから!」
「ラ、ライアン…!!」

そう、昨年のハロウィンではグレーズ市長の女秘書がレイチェルのガンマン衣装を盗んだ挙げ句、ライアンを誘拐した事件があったのだ。
大好きなライアン、それにお気に入りのガンマン衣装を奪われて途方に暮れるレイチェルだったが
黒猫の衣装を身につけてパワーアップし、犯人である女市長を倒し、無事にライアンを救出することに成功したのだ。

「あの時のレイチェル、カッコいい上にすっごく可愛かった!まさに闇夜の戦士って感じだったよ」
「て、照れるからやめてよライアン。でも私の本来の姿はさすらいの女ガンマンなんだからね!」
「(カッコつけちゃって。もうレイチェルは可愛いんだから!)」

グレーズ市長はそんな2人の姿を微笑ましそうに眺めていた。

「そ、それじゃあ、またパーティーの日にお会いしましょう」

そう言うとグレーズ市長は去っていった。

「じゃあ僕達も帰って準備を始めようか」
「そうねライアン!」

レストランに帰ると、ライアンは早速お祭りで配るケーキやお菓子作りの準備に専念する。

「このチョコチップクッキー、すっごく美味しいのよね!」

レイチェルは、ライアン手作りで出来立てのチョコチップクッキーを一つ摘んで口に入れる。

「うーん最高!!」
「レイチェル、摘み食いしちゃダメじゃないか」
「だ、だって美味しんだから仕方がないじゃない」
「本当に君は食い意地の張ったガンマンだね、困ったもんだ」
「し、失礼しちゃうわね!」
「でもレイチェルのそういうところが好きさ!」
「もうライアンの意地悪!」

すると近くに置いてあったラジオから臨時ニュースが流れてきた。

「先ほど入ったニュースです。このシチリアでマンティコアを見かけた、という情報が入ってきました」
「マンティコアって、確かライオンっぽい空想上の生き物よね?」
「そうだね、赤い体にサソリのような尻尾、そして人間のような顔つきをしているんだ」
「そのニュース、本当なのかしら?ただデカい野良犬でも見かけただけなんじゃない?」
「アハハ、そうかもね」
0850この名無しがすごい!
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2020/03/09(月) 20:00:47.68ID:gvM0loJD
【伝説の怪物、現る!?】(2/3)

ハロウィンのパーティー当日の早朝。
レイチェルは早起きしてお馴染みのガンマン衣装に身を包むと、自転車を漕いで近くの店まで買い物に向かっていた。
小麦粉や調味料などを調達し終えて、沼地沿いの道を走っている時のことだった。
少し尖った小石が自転車の前輪に当たって、レイチェルはよろけてバランスを失ってしまう。

「ウワワワワッ!!」

そのまま近くの沼地にボチャン!と落ちてしまった。幸いレイチェルにケガはなかったものの、沼地の泥でガンマン衣装はひどく汚れてしまった。

「さ、最悪…」

レストランに帰ると、泥だらけになったレイチェルを見てライアンはビックリする。

「この汚れようじゃ、今すぐ洗ってもパーティーまでには間に合わないよ」
「ど、どうしよう。ということは…」
「うん、あれしかないね!」

レイチェルは今年は仕方なく、あの黒猫の衣装でパーティーに参加することとなった。

「黒猫はあくまでも「もう一つ」の姿なんだけどなあ…」
「落ち込まないで、レイチェル。黒猫な君も僕はすっごく大好きさ」
「ラ、ライアンがそう言うなら…」

仮装コンテストで黒猫の衣装で現れたレイチェルを、住人達が物珍しそうに眺めている。

「今年のレイチェルさんはガンマンじゃなくて黒猫だよ!」
「黒猫ニャンニャンなレイチェルちゃんも最高だぜ!」

レイチェルは苦笑いしながら住人達に手を振る。今年も豪華で盛大なハロウィンパーティーは無事に幕を閉じ、ライアンとレイチェルは家路につく。
レストランへ帰る途中、ふと近くの茂みから聞こえるザザザッという音に足を止める。

「な、何!?」

茂みの方に目を向けると、何か大きなものが姿を現し、レイチェルとライアンの方にゆっくりと近づいてくる。
その姿は赤い体にサソリのように先が尖った尻尾、そして人間のような顔つきをしたライオンだった。

「ま、まさかマンティコア!?本当にいたなんて!」
「レイチェル、早く逃げるんだ!僕が囮になる!」
「そ、そんなライアン!冗談言わないで!」
「いいから早く!必ず無事に帰るって約束するから」

ライアンに強く促され、レイチェルは急いでその場から走って逃げる。

「来いマンティコア!僕が相手だ!レイチェルには指一本触れさせないからな!」

マンティコアがライアンに向かって突進してくる。ライアンは内心とても怖かったが、レイチェルを守るため今はとにかく必死だった。
銃口から放たれた弾丸の如く突進してくるマンティコアはライアンに襲いかかる…と思いきや高くジャンプして
彼を飛び越えると、死に物狂いで走って逃げるレイチェルを追いかけた。

「ま、待て!レイチェルを傷つけたら絶対に許さないぞ!」

自分に向かって突進してくるマンティコアに、レイチェルは恐怖のあまり泣き叫ぶ。
しかし足下に落ちている小石に躓いて転倒してしまう。マンティコアがじわじわと彼女の方に迫ってくる。

「わ、私を食べても美味しくないわよ!お願いだからあっち行って!」

大きく口を開けて鋭い牙を見せるマンティコアに、レイチェルは死を覚悟した。
0851この名無しがすごい!
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2020/03/09(月) 20:01:56.44ID:gvM0loJD
【伝説の怪物、現る!?】(3/3)

マンティコアはレイチェルに噛みつく!と思いきや、両前脚を大きく出して彼女をギュッと抱き締めるかのように掴む。
そしてペロペロと嬉しそうに顔を舐め始める。

「えっ!?ど、どういうことなの?」
「も、もしかしてレイチェルを本当のネコと思って一目惚れしちゃった?」

ライアンの言う通り、マンティコアは黒猫衣装のレイチェルを本当にネコだと思い込んでいるようだ。
そのマンティコアはレイチェルはおろか、ライアンに敵意すら一切向くことはなかった。
よく見るとマンティコアではなく体を赤いペンキで塗られたライオンで、顔に人間のマスク、尻尾に尖った枝をつけられただけだった。

「オイオイオイ、俺の商品をどうしてくれるんだよ」

その言葉と共に現れたのは、ボディービルダーのように筋肉質で屈強な体をした男だった。

「それでせっかくのハロウィンを血と恐怖で盛り上げようと計画していたのに、お前らにバレてしまっちゃ仕方がないな。悪いが死んでもらおうか」

男がライアンに銃を向けたその瞬間、黒猫衣装でパワーアップしているレイチェルが非常に俊敏な動きで、男の手にある銃を蹴り上げる。

「な、何だ!この黒猫女、人間離れした動きしやがる!」

レイチェルの動きに戸惑っている隙を狙って、ライアンは男の腹に目掛けて思いきりパンチを食らわせる。
ライアンの重みのあるパンチに、男は気を失ってそのままバタンと倒れてしまった。

「ライアン、ナイスパンチ!」
「レイチェル、ナイスアシスト!」

その男の体は本当の筋肉ではなく、ただ肉襦袢を身につけていただけの見せかけで痩せ細った体をしていた。
パンチ一発であっさりダウンしても全然不思議ではなかった。その後、駆けつけた警察によって男はあっけなく逮捕された。
そのライオンは遥か遠くのサバンナから密輸して奪ったもので、自分に絶対服従するよう調教されていた。
生まれ育ったサバンナに必ず戻すと約束され、レイチェルとライアンは安心した。
その騒動は瞬く間に地元の新聞の一面を飾り、レイチェルだけでなくライアンまでもが彼女同様にレジェンド扱いされることとなった。

「まさか今年のハロウィンも大騒動になるなんて思いもよらなかったわ」
「あのライオン、人懐っこいようで本当に可愛かったね」
「そうねライオン…じゃなくて、ライアン!」
「今噛んだね?」
「だ、だってライアンとライオンで一字違いで紛らわしいんだもん。もうライアンの意地悪!」

さて来年のハロウィンでは一体どんな騒動が起こるのか?
それはライアンとレイチェルにしか分からないのである。
0852この名無しがすごい!
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2020/03/10(火) 00:50:20.53ID:/1gjbGkb
>>849
安定の速筆ですね
楽しいお祭りを恐怖で染め上げようとは、ひどい犯人です
このレイチェルシリーズを読むと、何故かキャ○テンパワーのopが頭の中を流れますw
0853三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/10(火) 13:08:40.98ID:J88foFpB
>>849
お久しぶりのレイチェルさん、しかも黒猫w
ライアン氏の『クッキー』、『マンティコア』登場、犯人の『肉襦袢』
黒猫衣装の効果もあったとは言え、温厚なライオンで運が良かったですねw
0854この名無しがすごい!
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2020/03/10(火) 16:56:36.85ID:qwU17ZrI
>>852
>>853
感想ありがとうございます!
およそ1ヶ月ぶりのレイチェルにして季節外れのハロウィンのお話でしたw
急に黒猫のレイチェルのお話が書きたくなったんですよね、来年のハロウィンもまた大騒動が起こりそうな予感です
あとレイチェルってどことなく80年代後半〜90年代のドラマによく出てきそうなヒロイン像だなあ、と書いてて思いましたねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0856三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/13(金) 20:46:09.35ID:JIxXvOaI
いいね! 次の次くらいにやっても良さそう

ただし2つは無難で関連性のあるもの、3つは変わったものとか、出題側での配慮は必要そうです
0857三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/15(日) 22:12:18.96ID:tPm+FkgJ
お題→『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』締切

【参加作品一覧】
>>849【伝説の怪物、現る!?】
0858三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/15(日) 22:13:33.22ID:tPm+FkgJ
では、、今回はリレー企画をやりますが、お題は普通に5つです

お題安価>>859-863
0860この名無しがすごい!
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2020/03/15(日) 22:21:13.06ID:dqlYrDSg
蜂蜜
0864この名無しがすごい!
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2020/03/15(日) 22:56:57.59ID:tmTzISae
中の人
0865三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/15(日) 23:00:30.72ID:tPm+FkgJ
☆お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/22の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0866三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/15(日) 23:01:48.35ID:tPm+FkgJ
【リレー企画の参加者を募集します】

・定員は3名で、早い者勝ちです
・1人1レスのみ、今回お題から各自1つ以上選択します
・3レス目の締め切りは、企画の成否にかかわらず、2週間後とします

参加希望の方は、ポジション【1/2/3】のいずれかを明記の上、このレスに安価してください

・ポジションが取れ次第【1】の方は書き始めて頂いて結構です
・作品のタイトルは【1】の方が決めてください
・投稿の際【リレー企画:作品のタイトル(1)】のように、企画作品であることを明記してください
・【1】【2】の方は、次の方のために、自分の担当レスの提出予定日を宣言してください
0867三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/15(日) 23:03:33.09ID:tPm+FkgJ
『エラー』で採用しようかと思いましたが、集まったのでw

供養はちょっとお待ちを

リレー企画、誤解のないように申し添えておきますが、話の内容や文体に制限はありません
3作でそれなりに話が成立すればオッケーです
0868三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/15(日) 23:48:44.93ID:tPm+FkgJ
リレー企画は集まらなさそうね・・・

募集は続けますが、供養や今回作品の投稿があればどうぞ・・・
0869この名無しがすごい!
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2020/03/15(日) 23:57:51.17ID:op5Duw2I
では、供養させていただきますorz

お題:『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』

【異世界召喚物語】(1/2)


 気が付けば見知らぬ人達に囲まれていて、と言うのは、加藤 直也にとっては、実はそれほど珍しい事ではない。
 それほどアルコールに強い訳でも無いにもかかわらず酒好きな為、記憶を失うことが度々あるからだ。
 ただ、どう言うわけか――直也自身には自覚が無いのだが――信楽焼のタヌキにひどい執着があるらしく、気が付いた時には、タヌキの置物を抱いている事が多く、彼のアパートには大小様々な信楽焼のタヌキが集まっていた。
 その為、この時も……

「離せ!! 離さんか小僧!! よりにもよって姫の御前で、この様な!!」
「あ? ん、んあ?」

 目の前に“居る”のは、まるで生きているかの様なリアリティーを持った信楽焼のタヌキ。
 そのタヌキが、直也の手から逃れようと四苦八苦している。
 そして周囲には、人間とは思えないシルエットをした物モノの群れ。

「……うっわー、何だこれ? 夢?」
「夢ではない!! 起きたのなら儂を離さんか!! 小僧!!!!」

 怒りの為か顔を真っ赤にする信楽焼をまるで不思議な……いや、事実不思議なのだが……物を見た様な惚けた表情で眺めていた直也だったが、しかし「やっぱり夢か」と呟くと、再び目を閉じる。

「寝るな小僧!! ね〜〜る〜〜なぁ〜〜〜〜!!!!」

 ******

 直也は頭に出来たタンコブをさすりながら、胡坐をかいていた。
 彼の隣には先程の信楽焼のタヌキ……ではなく、リオンラクーンと言う種族のシャガラーキが片膝をついていた。
 リオンラクーンと言う種族は幻術を得意とする種族であり、このシャガラーキはその中でも高位の使い手だと言う。
 その幻術は、空間ですら騙す事が出来るらしい。
 つまり直也は、世界を“騙して”この異世界に召喚されたのだ。

「クックック。中々楽しい見世物だったぞ? シャガラーキ」
「お戯れを姫様。このシャガラーキ、御前での醜態、汗顔の至りでござりまする」

 直也とシャガラーキの居る床から数段上にある、やけに豪奢な椅子に座るのは、まるで冠の様に見える角に、刻褐色の肌、漆黒の長い黒髪を持った、深紅のドレスを着た少女。
 シャガラーキが言う通りであるなら何処ぞかの姫であり、日本生まれの日本育ちである直也にはなじみの薄い“王族”と言うやつなのだろう。
 ならば、ここは謁見の間であり、周囲を囲ってるのは貴族……なのだと思われる。
 ただし、それに確証が持てないのは、その周囲にいる者達が、いわゆる“人”の形をしていなかったからだ。

 百鬼夜行。

 そんな言葉がぴったり来る様な異形の者達。誰一人として同じ形の者など居ない空間に、直也は……特に気圧されても居なかった。

(SAN値直送ってやつだな)

 ふわぁ……と欠伸を一つすると、腕をボリボリを掻き毟る。酒を飲んだ後特有の気怠さが彼の体を包んでいたと言うのも理由の一つだろう。

「ふむ、これが“向こうの世界の”庶民と言うヤツか? 何ぞ、間抜けな顔をしておるな」
「御意に、向こうの世界の“あらゆるモノ”の中で“最も平均的”なサンプルを選びましたのでするが……成程、平均がこの程度であれば、異世界侵略も容易かと」
「はい?」
「小僧!! 勝手な口は慎め!!」

 あまりに物騒な話に思わず直也が声を上げると、シャガラーキが彼を制する様に怒声をあげた。

「いやいや、出しますよ、ものっそ出しますって、だってオレ等の世界、侵略するとか言ってるんでしょ? そりゃ出しますって」
「えぇい!! 黙れ!! 黙らんか庶民の分際で!! 本来なら、その首、掻っ切ってるところぞ!!」
「だ〜まり〜ませ〜ん!! オタク等も、あんま舐めた事言ってると、痛い目みせちゃるぜぇ!!」
0870この名無しがすごい!
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2020/03/16(月) 00:02:25.28ID:BC8QyazN
【異世界召喚物語】(2/3)


 まるでおちょくるかの様に直也は両手を顔の横でワキワキさせながら舌を出す。その表情に、シャガラーキの目が更に吊り上がった。
 そしてそれは、周囲の者達も同じであった。
 当たり前だろう。
 ただの人間。それも、何の力も感じさせない“庶民”が、この大勢を前に、まるで全員を相手にして勝てるかの様な、啖呵と言うのもおこがましい軽口を叩いているのである。

「クックック。言いおるではないか庶民。本来なら耐久力を調べる為の実験動物にしようと思っておったが、やめじゃ! 今直ぐ後悔の中で死んでゆけ!!」

 そう、姫が宣言すると同時に、直也の周囲にいたモンスター達が、怒声をあげながら襲い掛かって行った。
 瞬く間に化け物共の群れに飲み込まれる直也。

「フンッ! 口ほどもな……」

 ビユン!! ドゴン!!

「は?」

 姫が呆気に取られる。えらい勢いで飛ばされ、壁に張り付いたのはリオンラクーンのシャガラーキ。そしてその後、次々に姫の配下のモンスターが投げ飛ばされ、壁に張り付いて行く。

「ってか、面倒だぁ!!」

 直也はそう叫ぶと、手近に居たマンティコアのサソリの様な尻尾を鷲摑みにして、それを振り回し始めた。
 ドゴンドゴンと重量物がぶつかる音が響き、モンスター達が弾き飛ばされる。

「な、何じゃ!! その体は!! さ、さっきと体形が変わっておるではないか!!」
「え? 疑問に思う所、そこ?」

 姫の叫びも尤もだろう。今の直也の身体は、先程の8倍近くに膨れ上がっていたのだから。

「え? 肉襦袢だよ肉襦袢」
「そんそんな訳有るかぁ!!」
「おっと、これ以上振り回したら死んじまうか」

 そう言って、マンティコアを放り投げると、次に直也はサイクロプスに狙いを付けた。

「さ〜あぁ、悪い子は居ねがぁ〜」
「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぶぎゃう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「あんぎょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「ぎょらぱあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ひぃぃぃぃ……」

 阿鼻叫喚である。
0871この名無しがすごい!
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2020/03/16(月) 00:03:31.84ID:BC8QyazN
【異世界召喚物語】(3/3)


 ******

 最後の仕上げとばかりに、姫の尻を百叩きにした直也は、「もうしません、ごめんなさい」とすすり泣くモンスターの姫を見ながら溜息を吐いた。

「っと、確かこの辺りに……」

 どうやら、巻き込まれ召喚されたらしい自分の鞄をガサゴソと漁っていた直也は、目当てのものを見つけると、姫の前にしゃがみ込んだ。

「う、うえ、ごめんなさい、もうしません」
「おい、こっち見れ」
「うえ? んう!」

 姫の口に突っ込まれたのは、茶色で丸く薄い物体。
 思わず吐き出そうとしたそれを直也は無遠慮に押さえ込み、「食え」と一言だけ言った。
 おそるおそる、それをかみ砕く姫。

「!!」
「旨いだろ?」

 その言葉に姫は思わす盾に首を振った。

「侵略とか、物騒なこと言わんで、遊びに来るってだけなら、御馳走してらるからよ、まぁ、お行儀よくな?」
「うん……」

 ******

 こうして地球侵略の危機は去って行った。もっとも、侵略されたとしても返り討ちにしていた可能性もある訳だが。
 確かに、シャガラーキの呼んだ直也は平均だった。しかし“ありとあらゆるモノ”の中での話だ。
 そう、神話で語られる神々や伝説の存在も含めてでの話である。
 もし、シャガラーキが、“人間の中だけで”の平均を召喚していたのなら、話は又違っていただろう。
 ともあれ地球は今日も平和だった。

「直也殿〜!! 遊びに来たのじゃ!!」
「ん? おう、ゆっくりしてけ」

 時折、異世界から、遊びに来るモノができた様だったが。
0873この名無しがすごい!
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2020/03/16(月) 06:08:14.48ID:dm+1tNci
今回のお題一般小説で使えそうなやつばっかやん
≫866
リレーは前回一番もらってキラーパス呼ばわりされたんで、今回はあんまりやることない2番行ってみるよ
0875この名無しがすごい!
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2020/03/16(月) 13:07:24.83ID:VhJUW8FI
では、僭越ながら一番をやらせていただきます
おおよそ三日後の水曜にはアップさせていただきますので、よろしくお願いします
0877三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/16(月) 13:18:20.13ID:ULtNr8+a
いやあれはまごうことなきキラーパスでしたが^^;
1番を取る人は、、、現れましたねありがとうありがとう><

>>869
結果的には無駄にお待たせを、、普通に3レス分の長さ、、なんで2レス分だと思ったんでしょう?
『信楽焼』のアイツ、『庶民サンプル』の主人公、『肉襦袢』だよw、『マンティコア』を投げ、姫に『クッキー』
平均、、どこの世界でも平均はとんでもなかった・・・
タヌキ=盾のヒロインのイメージなので、普通におっさんで安心しましたw
0880この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 20:38:48.05ID:VhJUW8FI
>>877
感想有り難うございます
自分のイメージだと、タヌキといえば八百八狸なので、どちらかと言えば水木○げる風ですw
そして、『縦に首を振る』を『盾に首を振る』と誤変換したのは、きっと盾の呪いですw
0881この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 22:03:50.07ID:rd56vPYY
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『広告』

【また会いたいな】(1/2)
※レイチェルシリーズ無印編(スレ5>>843【気分はいつでも西部劇】〜スレ6>>605【再会、そして新たな道へ】)を一通り読んでおくことをオススメします

ある日の朝、一人の少女がイグアナを連れて公園の中を散歩していた。
その少女の名はアニー、そしてイグアナはトニーで彼女の愛するペットだ。
ベンチに座ると手に持っている紙袋から何かを取り出す。それは近くのパン屋で買った蜂蜜トーストだった。

「あそこのパン屋の蜂蜜トーストはすっごく美味しい。ほらトニーもどうぞ」

トーストを少しちぎってトニーに与える。トニーもそれが大好物のようで美味しそうにムシャムシャ食べる。

「レイチェルさんがいなくなってから、やっぱり寂しいなあ…」

レイチェルは半年ほど前、大学生の時のボーイフレンドであるライアンと再会し結婚、そしてシチリアへ旅立ったため、彼女はもうこの街にはいない。
レイチェルがライアンと結婚して、彼とシチリアで楽しく生活していることを考えるとすごく嬉しいけど、やはり恋しくなってくる。

「レイチェルさんと遊んだりした日々、すごく楽しかったなあ」

トニーもアニーの言うことを理解しているようで、彼女がレイチェルのことを話す度にコクリと頷く。
やはり一番思い出に残っているのが、ナタリーに捕まって絶体絶命のレイチェルを救い出したことだ。

「トニーは大ピンチのレイチェルを救って本当に偉い子ね。それに無くした拍車も見つけ出したんだし」

アニーはトニーの頭を優しく撫でる。トニーもハァハァと舌を出して嬉しそうだ。

「あっアニーじゃない!」
「バーバラ?久しぶりね!」

アニーの目の前に現れたのはバーバラだった。かつて仕事で忙しい両親の代わりに、
ベビーシッターとして来てくれたレイチェルにお世話してもらったことのある少女だ。
アニーとバーバラはお互いレイチェルを通じて仲良くなった関係だ。

「レイチェルさん、もういないんだよね。レイチェルさんの結婚式に参加したかったけど、都合が悪くて行けなくて残念…」
「うん、でもライアンさんと結婚した時のレイチェルさん、すっごく幸せそうで本当良かったよ」
「レイチェルさん、明るくて優しくて楽しい人だったよね」
「初めてレイチェルさんを見た時は変な人だなあ、とは思ったけど同時に面白そうって印象も強かったわ」
「やっぱりあのガンマン衣装が素敵よね」
「うんうん!」

それからレイチェルのことについて、ひたすら楽しくおしゃべりをする。

「あのレイチェルさんの帽子を奪った男の子、今頃どうしてるんだろうね?」
「さあ、今も少年院でシバかれてるんじゃないの?」
「それからレイチェルさんをしばらく見かけない時期もあったよね」
「そうそう、急にいなくなるからビックリしちゃった。でも、ただどこかに出かけてただけで安心したわ」
「あっ!バーバラちゃんに見せたい物があるんだ」
「見せたい物って?」
0882この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/16(月) 22:04:53.82ID:rd56vPYY
【また会いたいな】(2/2)

アニーはどこからともなくノートを取り出す。ノートに貼ってある、地元の新聞から切り抜いた広告をバーバラに見せる。

「これを見て。レイチェルさんがなぜか市長選に立候補された時の広告の一部よ」
「レイチェルさんに清き一票!…ってレイチェルさん、市長になるつもりだったんだ」
「ううん違うの。レイチェルさんは最初から市長になるつもりなんて全然無かったのに、町の誰かさんが無許可で勝手に立候補してこの広告を作ったのよ」
「これ見た時、レイチェルさん本当にビックリしてたわ」

「まあ、あれだけの活躍ぶりを知ったら、市長に立候補したくなっちゃう気持ちも分からなくはないかもね…」
「あとそれからね、私、実はレイチェルさんとメールアドレス交換してあるんだ!」
「あら偶然ねアニー。実は私もなのよ!」

お互いのスマホを見てみると、ちゃんとレイチェルのメールアドレスが登録されていた。

「こう、ちょっと退屈な時はレイチェルさんとメールのやり取りして楽しんでたわ」
「レイチェルさん、結構いろんな話題を提供してくれて面白かったわ」
「なんかナイトバザーの帰りに豪雨に見舞われて、赤信号で止まった時、血で染まった腕に足を掴まれたと思ったらただの赤いロープが絡まってただけだったり…」
「あとアウトドアに出かけた時、クマに追いかけられてブーツを片方持っていかれたりとかね」

もうすっかりレイチェルの話で夢中で、気がつけばお昼を過ぎており、お互いお腹がグゥーッと音を立てた。

「あっ、もうとっくにお昼来てたのね」
「楽しい時間ってあっという間に過ぎるものよね」
「近くのコンビニで何か買って食べようよ」
「いいわね」
「トニーもお腹空いたでしょ?」

トニーはうん!と元気よく相槌を打つ。
ベンチから立ち上がるとアニーとバーバラは近くのコンビニへと向かう。

「また、レイチェルさんと会えたらいいな」
「うん、メールで色々お話しとかしたいけど、ライアンさんとの生活を邪魔しちゃ悪いしね」
「確かレストランを開くみたいだから忙しくなりそうだしね」
「でもレイチェルさんと一緒に撮った写真があるから、寂しくなった時はそれを見てるんだ」
「私もよアニー。レイチェルさんはいつでも私達を元気づけてくれた。それを絶対に忘れちゃダメ」
「そうよね!今は心からライアンさんとの生活を応援しなくちゃ!」



レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ
0883この名無しがすごい!
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2020/03/16(月) 22:12:30.41ID:rd56vPYY
>>882の最後の一部に誤りがあったので訂正

×レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ
○レイチェルさん大好き by アニー&バーバラ(そしてトニーも)
0884三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/17(火) 13:21:13.45ID:TyxYW6a0
>>880
カースシリーズw

>>881
今回も早速w
『蜂蜜』トースト、市長選の『広告』w、レイチェルと『メール』
アニートニーの話かと思ったら、意外な人物がw
ずっとシリーズを追ってると、色々あったなぁ、って思い出しますね
0885この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 13:50:20.32ID:Gt3ubqo2
>>884
感想ありがとうございます!
レイチェルがライアンと結婚してシチリアに旅立ったおよそ半年後の番外編です
シリーズで比較的出番の多かったアニーとトニーのスピンオフを書けて楽しかったです
でも彼女達だけじゃ寂しいかなと思って、ベビーシッター回のバーバラも共演させちゃいましたw
あと読み返してみるとアニー、ボクっ娘なのに一人称が何故か私になっているミスもあって「あちゃあ」となりました
ま、まあ子供は一人称が安定せずにコロコロ変わりやすい、ということで(笑)
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0886この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 18:12:32.94ID:GWrjcDTk
>>881
閑話と言った所でしょうか?
懐かしい人を思い出して話し込むと言うのも良くある話ですね
レイチェルさんがSNSをやっていれば、きっと二人の話題も尽きないでしょうね
0887この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 19:30:43.63ID:Gt3ubqo2
>>886
感想ありがとうございます!
バーバラはレイチェルのおかげで両親が以前よりも一緒に遊んでくれる時間が増えましたから、レイチェルにはすごく感謝しているんですよね
そうですね、もしシチリアでのハロウィンやVS謎の忍者騒動を聞いたら一日ずっと大盛り上がりしてそうですw
もし黒猫衣装のレイチェルを見たらどんな反応をするのか、想像しただけで面白いですウフフ
楽しんでいただけて本当に嬉しいです、ありがとうございます!
0888この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 21:34:33.26ID:Gt3ubqo2
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【魔法少女、最後の闘い】(1/3)
※魔法少女ナツミシリーズ完結編です

ナツミは魔法少女に変身し、そのパワーで凶暴で凶悪なモンスターの脅威から町の人々を守り続けていた。
ある朝、ナツミは制服に着替え、食卓でこんがり焼けたトーストを美味しく頬張っていると、新聞を読んでいた父が言った。

「なあナツミ、この一面を見ろよ」
「ん?何か面白いニュースでもあったの?」

父が見せたのは新聞の一面に大きく飾られた魔法少女の写真だ。まさにナツミ自身のことであった。

「(えっ、いつの間に誰が写真とか撮ったのよ…)」
「この魔法少女、本当に大活躍で凄いな。それにしても、どことなくナツミに似ているような感じだが気のせいかな?」
「き、気のせいよお父さんアハハ…(まずい、バレたらどうしよう)」
「それに今日ね、こんな広告も入ってたのよ」

今度は母が一枚の広告を見せる。その広告にあったのは「魔法少女さん、我々はあなたを愛している」の言葉と一緒に描かれた、魔法少女姿の自分だった。

「(こ、こんな広告勝手に作って!で、でもなんか嬉しいような…)」
「私達も今度会ったら握手かサインが欲しいわね」
「あ、もうこんな時間!私、行かなくちゃ!」

トーストと牛乳を一気に口に入れると、ナツミはカバンを持って家を飛び出した。

「ここまで話題になってたなんて全然知らなかった。まあスーパーヒーローみたいなものだから仕方がないか…」

一方、非常に深い地下の広い空間の中でモンスター達が集まって、何やら会議をしていた。

「我々モンスターの勢力は、憎き魔法少女ナツミの手によって崩壊の一途を辿っている。それを阻止するには、確実に彼女を抹殺せねばならん!」
「そうだそうだ!生意気な魔法少女なんか容赦なくブッ潰してしまおう!」
「骨も残らないくらいにな!」
「そのためには我々も捨て身の覚悟で挑まなければならん!あいつは強すぎる!」
「何か計画でもあるんですかリーダー?」
「ああ、もちろんだ…」

学校へ向かう中、ナツミのスマホの着信音が鳴る。メールのようだ。
一体誰からなのかとバッグからスマホを取り出して見てみるが、そのメールにはこう書かれていた。

"ナツミよ、我々はお前の正体を知っている。それからお前はあと数日の命だ"

その言葉にナツミは驚き冷や汗を流すが、メールの送信元は一切表示されていなかった。

「い、一体誰よ!イタズラメールにしてはやりすぎよ!まさか私を脅している気?」

その後も奇妙な通知がたくさん届き、ナツミは怖くなってスマホの電源を切ってしまった。

「(ガハハ、確実に動揺している。情けない姿だ、魔法少女よ…)」

物陰から誰かがニヤニヤしながらナツミの姿を眺めている。
今日は期末テストの最終日でしっかり勉強しているはずなのに、ナツミはあのメールのせいで試験に集中できなかった。
テストの最終日ということで今日の授業は午前中に終了した。

「ナツミン、今から一緒に喫茶店に行ってケーキでも食べない?」
「ご、ごめんユカリン!今日ちょっと家族で用事あるから、じゃあねバイバイ!」

親友のユカリの誘いを断り、ナツミは急いで家に帰る。
0889この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 21:37:43.55ID:Gt3ubqo2
【魔法少女、最後の闘い】(2/3)

ふと公園に立ち寄ってスマホの電源をつけてみると、不気味なメールは既に100件以上も届いていた。

「悪ふざけにしては度を越しているわ。こうなったら警察に相談するべきかしら」

すると遠くからドゴーン!と凄まじい爆音が響いてきた。

「モンスター襲来!?こうしちゃいられない!」

今はメールのことで悩んでいる場合じゃない。ナツミは急いで赤いペンダントで魔法少女に変身し、爆音のする方へと向かう。
そこでは大きな黒い塊のロボットのような怪物が大暴れしていた。

「モンスター、また自分から無残にやられに来たのかしら?」
「口を慎め、生意気な魔法少女よ。今回の我々は本気だ、ナメてかかると痛い目に遭うぞ」

ロボットの中からであろうか、モンスターの声が響き渡る。

「そのセリフ、もう100回は聞いたわ」
「我々モンスターは元々700体の一大勢力であったのに、お前のせいで僅か10体にまで減少してしまった」
「ほとんど壊滅してるのと同じじゃん」
「今回はまさに我々モンスターの存亡をかけた最後の闘いだ。確実にお前を抹殺する!」
「そんな存亡とかどうのこうのは私にしちゃどうでもいいこと。来るならさっさと来なさい!」

ロボットの中では、生き残りの10体のモンスターが操作していた。

「食らえ!地獄の炎というものを!」

ロボットのアームから勢いよく繰り出される火炎放射、しかしナツミはそれをあっさりと回避する。

「廃虚となった銭湯にあったボイラーを盗んで改造したものだ!ちょっとでも食らうと火傷どころじゃ済まないぞ」
「いくら強力でも当たらなければ意味がないじゃない。知らないの?」

ナツミは次々と繰り出される火炎放射や冷気光線、放電といったバリエーション豊富な攻撃を軽々と回避していく。
どんなに攻撃をしても彼女に当たらない、しかしそれがモンスターの狙いだった。
一瞬、ロボットの攻撃がストップし、ナツミが地上に降りたその時だった。
ベチャッと変な音がし、足下を見てみるとオレンジ色のベタベタした液体のようなもので地面が覆い尽くされていた。

「な、何これ!?なんか良い匂いがする、もしかして蜂蜜?」
「ガハハ!その通りだ!」

ナツミが攻撃を避けるのに夢中になっている隙を狙って、地面を大量の蜂蜜で覆ってベトベト地獄にしたというわけだ。

「う、動けない!」
「いくら強力な魔法少女でも動けなくなったら全然怖くない!」

ロボットのアームから冷気光線が放たれ、ナツミの体がどんどん凍っていく。

「つ、冷たい!や、やめて…!」

ナツミはベトベト地獄で身動きできないまま、容赦なく氷漬けにされていくしかなかった。
とうとう完全にナツミの体は凍りついてしまった。町の人々も成す術なくやられる彼女の姿に絶望を感じるしか他なかった。

「やったぞー!ついにナツミを倒したぞー!」
「我々の完全勝利だ!」

モンスターのリーダーがロボットから降りてナツミの方に歩み寄る。

「あとはハンマーで粉々に砕ければOK、でもその前に…」
0890この名無しがすごい!
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2020/03/17(火) 21:46:03.14ID:Gt3ubqo2
【魔法少女、最後の闘い】(3/3)

リーダーはどこからともなくマジックを取り出して、氷漬けになったナツミの体に「バカ」「アホ」「マヌケな女」と落書きして遊ぶ。

ロボットの中からその光景を見て、下っ端の一人がゲラゲラと笑うがその拍子に赤いボタンを押してしまう。
その赤いボタンは火炎放射を発動するもので、その炎が氷漬けになったナツミに直撃する。
強力な火炎放射のおかげで氷が溶けていき、ナツミは完全に自由の身となった。

「やった!自由になれた!さてっと反撃開始といきますか!」
「く、くそぉ!こうなったらヤケクソだー!!」

リーダーは急いでロボットに乗り、再び猛攻を始める。しかし、ちっともナツミの敵ではなかった。
ヤケクソの攻撃を軽々と回避し、ナツミは勢いよくジャンプするとロボットに飛び蹴りをクリーンヒットさせる。

「こ、こんな形で壊滅とか…そんなバキャ…!!!」

ロボットの体にヒビが入り大爆発、その断末魔と共にモンスターは全て消滅してしまった。

「やったー!今回も魔法少女大活躍だー!!」

人々が歓喜に満ち溢れる中、ナツミは急いでその場から飛び去っていった。

「今度こそ中の人が誰か掴めるチャンスだったのになあ…」

陰でナツミの勇姿を撮影していた新聞記者達が悔しそうに呟く。
ナツミが物陰に隠れて変身を解除したその時、ペンダントがパリン!の音と共に割れてしまった。

「割れちゃった!?ど、どうして!?」
「魔法少女としての使命を果たし終えたからです」

その言葉と共に現れたのは、あのナツミに魔法少女に変身できるペンダントを渡した謎の妖精だった。

「ナツミよ、あなたのおかげで凶悪なモンスター勢力は完全に滅亡となりました。もう二度と現れることはないでしょう。心から感謝しております」

その妖精は、モンスター勢力に容赦なく一族を殺された被害者だったのだ。その悪の組織による暴虐から人々や世界を守るため、
必死に魔法少女に相応しい人物を探していたのだ。それがまさにナツミだったというわけだ。

「私の目は間違ってはなかった。ナツミ、あなたは最高の魔法少女でした。今まで本当にありがとう。私とも二度と会うことはないでしょう…」

妖精は既に寿命が来ていたのであろうか、それが最後の言葉となり消滅してしまった。

「そ、そんなあ…こんな別れなんてないよ…」

ナツミの目からポロリと大きな一粒の涙がこぼれる。

・・・・・・・・・・・・

あれから2年が経過し、ナツミは既に高校を卒業して就職していた。
魔法少女になってモンスターと闘っていた日々は、とても良い思い出として残っている。
魔法少女に変身して悪と闘いたくなる時も今もよくあった。でもやっぱり平和が一番だ。

「妖精さん。私、あなたの分まで力強く生きるわ!」

その言葉を胸に毎日を前向きに、そして一生懸命に生きる。それがナツミなのである。
0891三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/18(水) 12:41:47.62ID:VeFmu8s1
>>888
これまたまさかの完結編で全選択とは
新聞に『広告』に、脅迫『メール』、『銭湯』のボイラー、『蜂蜜』攻撃w、『中の人』は知れず
まだまだ続けられたのではと思いますが、敵が滅亡では仕方ないw
最後はちょっと物悲しい、独特の世界観が楽しいシリーズでした

レイチェルシリーズほどの広がりはないにしても、なんかまだ引っ張れそう^^;
0892この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 13:07:21.88ID:8Qc8fXW2
>>891
感想ありがとうございます!
はい、突然ですが今回で魔法少女ナツミシリーズは完結です。もっと続けたいとは思ってたのですが、
これ以上強い敵を思いつかなくなったのと、基本一話完結式だけど日常色の強いレイチェルシリーズと違って
悪を倒していくのが目的のストーリー色が強いシリーズですからきっちり締め括ろうという考えが自然と強まってきたんですよね
ナツミの活躍やユニークなモンスター勢を色々と書けて本当に楽しかったです
でも今のところ続編とか番外編を書く予定は一切ないですね(もしかしたら気が向いたら書くかもw)
今まで楽しんでいただき、そして応援していただけて本当に嬉しいです!
0893この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 23:10:54.76ID:gL3uKiw0
>>866
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】(1/2)

お題:『広告』『中の人』


『散りぬべき
 時知りてこそ
 世の中の
 花も花なれ
 人も人なれ』

 不意に耳に届いた聞きなれた声に、天城 洋輔は思わずカードを捌いていた手を止めてしまった。
 広告用の店内モニターの中では、随分と現代ナイズされた甲冑姿の姫武者が周囲の男達をバッタバッタと切り倒している。
 多くの来店客が足を止め、中にはスマホで写真をとっている者も居た。
 そんな人達を横目で見ながら、洋輔は、つまらなさそうに筐体のモニターを睨み付ける。

(最近の中の人は、随分と露出の多い事で)

 「へっ」っと鼻で笑いながら頭の中で悪態を吐くと、広告用モニターに映る、中の人こと九条 空音の姿を盗み見る。
 モニター越しの彼女は、キリリとした表情で自身の担当するキャラクターの衣装を纏い、まるで本物の姫武者の様に見えた。

 洋輔と空音の家は隣同士で、昔から家族ぐるみでの付き合いがある。
 その為、洋輔も彼女とは物心付く前からの知り合いであり、空音とは良く一緒に遊んだものだった。
 洋輔が前を歩き空音が後ろをくっついて行く……そんな関係に終止符が打たれたのは、彼女が声優に成ったからである。
 そもそも空音は「女優さんになりたい」と言う夢を持っており、その為、子供でも所属できる劇団に入っていた。
 そして、彼女が12才の頃受けたオーディションで、見事合格したのである。

 それこそが、今洋輔のやっているアーケードゲームであり、しかし、その時の空音の役は大勢いるキャラクターの内の一人にすぎなかったのだが。
 しかし、このゲームが大ブレイクし、その上、空音の声をあてていたキャラクターが、メインヒロイン達を差し置いて、まさかの大人気キャラクターとなったのである。

 そうなれば、中の人である空音に注目が集まらない訳はない。
 彼女は、その整ったルックスも相まって、一躍アイドル声優の道をひた走る事と成ったのである。

 当然だが、決してそこまでの道のりが平坦だった訳ではない。彼女がどれ程努力を重ねて来ていたか等と言う事は、洋輔だって知っている。
 ただそれと、どうにもできない持て余した感情が沸き上がる事を止められないと言う事とは関係は無い。
 そればかりは、理屈でどうにか成ると言う話では無いからだ。

 しかし現状、洋輔はただの学生でしかなく、洋輔と空音の関係は、ただのご近所さんでしかない。
 そんな彼が、彼女にとやかく言える事など何もなく、精々、このゲームで空音が声をあてているキャラクターを使わないと言った程度の抵抗しか出来なかった。
0894この名無しがすごい!
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2020/03/18(水) 23:14:12.05ID:gL3uKiw0
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】(2/2)


 ゲームが終わり、筐体からカードが吐き出される。
 洋輔は何時もの様にそれに手を伸ばす。今日の戦果はコモン13枚にアンコモン5枚。Sレアとまでは行かなくともレアくらいは引いて置きたい所だった。

「!!」

 カードが手に触れた瞬間、静電気が走った様な痛みを感じ、洋輔は思わず手を離す。
 自分の手とカードとを交互に見返すが、しかし、その原因が分かる訳も無く、洋輔は恐るおそると言った感じで、カードを引き抜いた。
 ホッと息を吐き、クルリとカードを表に向けた洋輔だったが、そこに描かれていたキャラクターを認めると彼は顔を顰める。

 『EXR:細川ガラシャ』

 ホロ印刷されたそのカードは、まごう事なきレアカードであり、それを手に出来る者はほとんどいないだろう。
 だが……

「こんなデザイン、ゲーム雑誌に載ってたっけ?」

 ガラシャと中の人がダブって見える様なデザイン等、洋輔が知る限り記憶には無い物だった。その強さも含め、色んな意味でエクストラレアなのだろう。
 だが、そのカードは洋輔にとっては確かに鬼門だった。
 何せ、このキャラクターこそ、あの空音が声をあてているキャラクターに他ならなかったからだ。
 当然だが、このカードを洋輔が使う事は無い。まさに無用の長物である。

 洋輔は、そのカードをごみ箱に捨てようとして、しかしなぜか捨てる気が起きず、結局思いとどまった。

「カードやキャラクターに罪がある訳じゃないしな」

 そう呟くと、そのカードはデッキケースに仕舞わずに、そのまま制服の胸ポケットに仕舞い込んだのであった。

 ******

 スマホを操作しながら、洋輔は家路を歩く。
 色々なネットの情報を見てみたのだが、やはり、あのカードについての情報は皆無だった。

「限定カードって事なのか?」

 チラリと、カードをしまっている胸ポケットの方を見る。だからと言って答えるはずも無いのだが。
 もうすぐ自宅と言う所で、洋輔は車が止まっている事に気が付いた。車中の男女であろう二人は、外からでも分かる程に近い。

(こんな真昼間からさかってんじゃねぇよ……)

 眉根を寄せながらも、視線を逸らし通り過ぎると、その直後、車のドアがガチャリと開き、誰かが小走りで降りて来た。
 その人物が彼の脇を通り過ぎる時、洋輔は思わ磁目を瞠った。

「空音?」

 その呟きに反応したのか、その人物……空音が驚いた様な表情で振り返る。

「ヨーちゃん?」
「お、おう」

 何とも気拙い気分で洋輔が視線を逸らす。空音はどこか安堵したような表情を浮かべるが、しかし次の瞬間、ビクリと身を震わせると「ゴ、ゴメンね? ちょっと急いでるから」と言うが早いか踵を返して走っていっていまった。

「……何やってんだよ、俺は」

 手で顔を押さえながら、洋輔は自己嫌悪で思わずため息を吐いたのだった。

 だから、気が付かなかったのだろう。そんな洋輔に鋭い視線を送るものの存在を……
0896三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/19(木) 13:18:49.50ID:JCzgtvA5
>>893
キラーと言うか、、全力で風呂敷を広げちゃった感じですね・・・
なんで誰が書いても2レス使ってしまうのか!
『広告』のキャラ、『中の人』はお隣さん
謎のカードと中の人の事情、続きが気になります!
0897この名無しがすごい!
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2020/03/19(木) 15:24:39.47ID:66z7ET4u
ふろしき広げまくってるぶんにはいいと思うな
割とまとめるだけだからアイデア出しはかなり楽だよ
二番手、明後日中には書きます
あと進行さん、これの字数制限だいぶ厳しいものあるから3レスにしたほうがいいと思う
0898三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/19(木) 18:27:15.45ID:JCzgtvA5
まぁー、この続きを1レスってのも書きにくいでしょうから、3レスでも仕方ないですね

もちろん1レスで超手短にまとめてくれてもいいのよ!
0899この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/19(木) 21:50:06.18ID:N/mzhw+S
>>888

魔法少女ファイナルですね
世界を荒らしていたモンスターも、これで居なくなりましたね
世界の平和を守ったナツミ、修造並のポジティブも流石です

>>896
感想有り難うございます
実の事を言えば、これでも半分近くエピソードを削ったのですが……
自己申告の締め切りギリギリになり、あわてて投稿と言う体たらく
1スレに纏めきれず、申し訳ありませんでしたorz
0901この名無しがすごい!
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2020/03/19(木) 22:27:34.43ID:zdK0ZfL7
>>899
感想、嬉しいお言葉ありがとうございます!
ナツミのモットーはいつまでも悩んでいないでまっすぐ行こう!ですからね
彼女のポジティブで尚且つちょっとやそっとでは絶対に折れない精神の強さに妖精さんは惹かれたのです
レイチェルに対するライアン、カナミに対するハヤトのようにナツミにも恋人的存在を作って
恋愛要素も取り込もうと考えたのですが、余計かなと思い結局ボツになりました
とにかくナツミとモンスターの激しいバトルをメインにして書きたかったのでw
今まで応援していただき本当にありがとうございました!
0902三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/19(木) 23:23:25.89ID:JCzgtvA5
>>899
うーんそれはそれでなんかすまぬです

ただ1レスルール、厳守させようとは思わないですけど、無制限に緩和するわけにもいかねえ
0903この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/19(木) 23:27:10.10ID:JCzgtvA5
>>865

使用お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【銭湯のクマさん】

 番台に女一人。ロビーにクマ一頭。
「なあ」
「何かな、クマさん」
 黒々とした毛皮が、湿り気を帯びてつやつやと光る。
「客、来ねえな」
 このクマはほとんど毎日顔を出す。初めて来た時は、男湯のみならず建物全体が獣臭くなり、皆大いに困ったものだが、今ではすっかり清潔なクマである。
「来ないね。もう少ししたら来ると思うけど」
 まだ早い時間なので、客が来ないこと自体に不都合はない。だが問題はそこではない。
「なあ」
「何よ」
「バランスシートは大丈夫か」
「……はっ?」
「BSCは作ってるか。KPIは設定してるか?」
「……このクマ何言ってんの」
 どこで聞きかじったか、このクマは、難しいことを話すのが好きなのだ。
「とりあえず……広告でも出したらどうだ」
 つまりはこの銭湯の経営を心配しているのだった。
「そうだね。広告でも出したらいいかもね」
 客の入りが悪いのは事実だ。常連客はそこそこ入っているが、ともすると赤字になりかねない状況だ。
「なあ」
「何?」
「『蜂蜜の湯』ってのはどうだ」
「何それ」
「蜂蜜だ。クマの好きな蜂蜜だ」
 そう言いながら、両手で持ったカップを器用に傾ける。風呂上がりに蜂蜜の入った飲み物。このクマの習性だ。
「よく分からないけど……それってクマ得なだけよね。却下よ、却下」
 言われてクマは気落ちしたか、少しの間だけ黙っていたが、やがて再び口を開く。
「なあ」
「……今度は何よ」
「インターネットだ」
「はあ」
「メールマガジンなんてどうだ」
「……いいんじゃない」
 するとクマは満足そうにうなずいて、カップの中身を飲み干す。
「俺がクマだ」
「……そうだね」
「これを見ろ」
 どこからともなくタブレットを取り出すクマ。あるサイトを開く。
「オダイチューブ?」
 動画サイトだ。
「これだ。この……ナントカ太郎ってやつだ」
「はあ」
「こいつには中の人がいるようだが……いないかも知れんが……俺には中の人などいない」
「ああそう」
 クマはまた一つうなずく。
「もふもふだ」
「もふもふ?」
 クマはうなずく。
「もふキャラだ」
「…………どゆこと?」
 クマは大仰にうなずく。
「俺がクマ――」
「あっ、お客さんだ。いらっしゃーい」
 こうしてクマの話は尻切れとんぼに終わったが、筆者は、お題をすっかり消化した上、話が丁度一レス六十行に収まったので、そこそこ満足した。おしまい。
0904三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/19(木) 23:28:17.87ID:JCzgtvA5
実はくまクマもシロクマも読んでない作者
ともかくこのお題、、、これ以外考えられないクマー

検索すると泉鏡太郎(泉鏡花)の「銭湯」が引っ掛かってきます
当然にうまいんですが、注釈がないと細かいところの意味が分からないw
0906三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/20(金) 12:18:15.17ID:I9JhyEkN
>>905
本来の趣旨は、3人で1作品、かるーく書いてスレの間を持たせよう、ってことだったんですけどねw
1レスで書きにくいってんじゃ仕方ないなぁ
0907この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 19:23:42.30ID:z48xzElt
まぁ「三人分の作品を完成させてスレを盛り上げよう」でもいいんじゃない?
前回書いた時は、それなりに収まったけど3レスあると安定するとは思うしね

どっちにしろ結構楽しいので好き
0908この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 22:23:15.88ID:kXFR3O5a
>>865
使用するお題→『蜂蜜』『メール』『広告』『中の人』

【保安官も楽じゃない】(1/3)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは彼女の愛馬サンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。

「あっ、そういえば!止まってサンセット!」

シンディはふと何かを思い出し、腰にホルスターと一緒に付けている黒い袋を取り出す。
その袋にはお金が入っているのだが、中はスッカラカンで一文無し状態だった。

「どうしよう、お金が全然無い。参ったわね…」

シンディはさすらいの旅を続ける一方で、賞金稼ぎとして高値がつけられた賞金首を捕まえて荒稼ぎしていた。
これまでに賞金首を20人以上捕まえて得た大金も既に底を突いていた。

「これじゃあ私とサンセットの食糧が買えない。誰でもいいから急いで賞金首を見つけて金を作らなくちゃ」

シンディは仕方なくあらゆる町や村を渡って、指名手配のチラシや広告が無いか確かめるも都合良く見つかるはずがなかった。
必死に探しているうちにすっかり日が暮れ、夜になっていた。シンディのお腹がグゥーッと音を立てる。サンセットも空腹なのか不機嫌そうだ。
すると目の前に小さな森が見えてきた。森の中なら何かしら果物でもありそうだ、シンディはそう考える。

「サンセット、何か食べれそうな物見つけてくるからここで待ってて。なるべく早めに戻ってくるから」

シンディはサンセットから降りると、森の中に入っていった。しかし既に夜で真っ暗なため、周りがよく見えない。
その時だった。シンディは足を滑らせ、急斜面を真っ逆さまに転げ落ちていった。

「ウワアアアアアアッ!!!」

シャツやコート、ジーンズは破け、腕や足を酷く擦り剥いて出血してしまっている。

「い、痛タタ…」

そのままシンディは気を失ってしまった。

・・・・・・・・・・

「う、うーん…って、ここどこ!?」

目が覚めるといつの間にかベッドの上にいることに気付く。擦り剥いた腕や足には、きちんと包帯が巻かれて手当てされている。

「あっ気がついたようだね!お姉さん、大丈夫?」
「あ、あなたは?」
「僕はケビン。お姉さん、傷だらけで倒れているの見てビックリしたよ」

ケビンと名乗るその青年が見つけ、自分を手当てしてくれたのだ。

「あ、ありがとう。でも行かなくちゃ、サンセットを待たせているの」
「お姉さん、もしかしてシンディさんだよね?」
「ど、どうして私の名前知ってるの?」
「だってよく新聞に載ってるんだもん!」

今いる部屋の中を見渡すと、自分の姿が描かれた新聞の広告が壁にたくさん貼られているのに気付く。

「無法者達を倒して、さすらいの旅をしてるんだよね。僕、あなたの大ファンなんだ!」
「私、新聞に載せられるほど有名だったのね。全然知らなかった…」

すると一人の髭を生やした小柄な男が入ってきた。
0909この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/20(金) 22:24:08.37ID:kXFR3O5a
【保安官も楽じゃない】(2/3)

「初めまして。私、この町の長でありますロバートと申します。あなたがシンディさんですね、お会いできて光栄です。実はあなた様にお願いがございまして…」

町長ロバートの話によると、この町には長いこと保安官が不在ということだった。
その保安官になって町を守ってほしいという要望だった。

「私、保安官とかそういうガラじゃないの。別の人に頼んでもらえるかしら?」
「そう言わずに。しばらくの間でも構いませんから保安官をやってもらえませんか?報酬はいくらでも出します」

報酬、その言葉にシンディは目をキラキラと輝かせる。

「仕方ないわね、分かったわ。7000ドル出すならやってもいいわよ。私、こう見えて結構お金にはうるさいの」
「いいでしょう!」

7000ドルの報酬のため、シンディはしばらくの間その町で保安官を担うこととなった。
ロバートから渡された保安官の証である銀色のバッジを胸につける。

「(今はとにかくお金のため!お金を貰ったらすぐに出て行くから悪く思わないでね)」

しかしシンディは保安官の仕事をかなり甘く見ていた。
朝の5時に起きて町の巡回、郵便配達の手伝いや書庫の整理、清掃など数々の雑用をこなし、夜の11時に就寝というルーティンだった。

「こ、こんなにハードとは思わなかった…」

ただ外でのんびりと椅子に座って、いざ無法者が攻めてきたら戦闘開始!それだけと考えていた自分がバカに思えてきた。
保安官の仕事、そのルーティンを始めてから1週間ほどが経過した。

「も、もうイヤだ…」
「シンディさん、保安官の仕事今日もお疲れ様!」

ケビンが何か入ったボウルを持ってシンディに駆け寄ってきた。それは蜂蜜のかかったビスケットだった。

「僕のお婆ちゃんが作ってくれたんだ。どうぞシンディさん、疲労回復には蜂蜜が良いんだよ」
「ありがとう、すっごく美味しい!」

蜂蜜ビスケットを楽しんでいたその時、ズシンズシンと大きな足音が聞こえてきた。
その音のする方に目を向けると、2メートル以上もある黒くて毛むくじゃらの体をした大男が立っていた。

「あ、あれってもしかして…!」
「ビッグフット!?」

まさか伝説の生き物がこんな町に現れるとは、まさに予想外の出来事だった。
ビッグフットはウガアアッと牙を剥き出しにして、シンディとケビンの方に突進してきた。

「ケビン、危ないから隠れて!」

シンディはホルスターから銃を取り出して、ビッグフットを撃ち倒そうとする。
しかし、その巨体からは想像できないほど俊敏で、ビッグフットは彼女を思いきり殴り飛ばす。

「グヘッ!!」

シンディは吐血、右腕を骨折してしまったようだ。そんな彼女の折れて動けなくなった右腕を、ビッグフットは笑いながら踏みつける。

「ぐ、ぐわあ!!」
0910この名無しがすごい!
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2020/03/20(金) 22:25:00.31ID:kXFR3O5a
【保安官も楽じゃない】(3/3)

ビッグフットの大きな足が迫ってくる。もうダメだ、踏み潰される!シンディが死を覚悟したその時だった。
ヒヒーン!の雄叫びと共に一匹の馬が現れ、ビッグフットに勢いよく体当たりした。

「サ、サンセット?」

その馬はサンセットだった。今まで保安官の仕事で多忙だったため、すっかり彼女のことを忘れてしまっていた。
サンセットは倒れたビッグフットに追い討ちをかけるかのように後脚で蹴り飛ばす。
その勢いでビッグフットの頭が吹き飛んだ…と思いきや、そこから人間の顔が露わになった。

「クッソ痛えな!生意気なメス馬め!」

どうやら着ぐるみで中の人は筋肉質の屈強な男だった。その男の名はクランク。
かつて無法者集団「ブラッディドラゴン」を率いるリーダーだったがシンディによって部下を全滅させられ、以後賞金首として狙わられる日々を送ることとなったのだ。

「シンディ、やっとてめえを見つけて殺せるチャンスが来た!お前の馬も一緒に天国に送ってやる!」

サンセットの渾身の蹴りを食らってもピンピンとしている。その頑丈さに諦めるしかない、と絶望を感じた次の瞬間!
バン!と銃声が響き、銃弾がクランクの頭を貫く。なんとケビンが気付かれないように背後に回って撃ったのだ。

「こ、この小僧…!き、貴様、ぶっころ…!」

そのままクランクは息絶えてしまった。

「やったわねケビン!」
「ハァ、ハァ…僕もすっごく怖かったよ」

保安官の仕事を全うしたことでシンディは7000ドルの報酬を無事に得ると同時に、ケビンは勇気ある行動が認められ、町の保安官に任命された。

「ま、まさか僕が保安官に選ばれるなんて…自信ないなあ」
「あなたなら大丈夫。銃の扱いもなかなか良かったわよ」
「あ、ありがとうございますシンディさん。僕、頑張ります!」

胸につけられた銀色のバッジだけでなく、ケビンの顔も満面の笑みでキラキラと輝いている。

「サンセット、これ見て!7000ドルもゲットできたわよ!これなら数年は大丈夫ね」

しかし、サンセットは不機嫌そうな顔でシンディを睨み、彼女に向かって荒々しく鼻息を吹きかける。

「そうだったわね、心配かけて本当にごめんなさい」

そうシンディが謝るとサンセットはすぐに笑顔になり、嬉しそうに彼女の顔をペロペロと舐めた。
骨折した右腕を手当てしてもらい、動かせるようになるまで回復するとシンディはサンセットに跨って町を後にするのだった。
0911三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/21(土) 01:00:31.96ID:wrIeWDIX
>>907
それでいいことにしましょうか
今回の1番さんには不公平になるので、その点は申し訳ないですが、これはもうどうしようもねえ><
1レスルールは以降なしとします

>>908
実は待ってたシンディシリーズ
『広告』など、『メ……』郵便かw、『蜂蜜』ビスケット、ビッグフットの『中の人』
今回はサンセットと離れ離れ、その上すっかり忘れる、ひどいw
しかし最後はうまくいって、有能な後任までw、なかなかに楽しい話でした
0912この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 06:25:00.31ID:lpglQaKq
>>911
お、まじ? 今回からいいのか!
先鋒さんには申し訳ないがありがたく使わせていただきますわ
ご英断ありがとうございますー
0913この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 07:45:38.28ID:aWtiE6Th
>>911
感想ありがとうございます!
シンディは賞金稼ぎでもあり、冗談抜きでお金には結構がめついところがありますw
お金のことで必死だったとはいえ、愛馬の存在を忘れるなんて確かにひどいですよねw
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0914この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 20:53:35.96ID:Dd95QjiE
>>908
貧すれば鈍すると言った所でしょうか?
ですが、情けは人のためならずの様に、巡り巡って、我が身を助けたと言う事ですねw
0915この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 21:19:01.15ID:aWtiE6Th
>>914
感想ありがとうございます!
貧すれば鈍する、情けは人のためならず…今回の話はまさにその通りですね
シンディは基本的に利己的で自ら率先して人助けはしないんですけど、何だかんだ言ってお人好しなんですw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!シンディシリーズはどんどん続きますのでどうぞお楽しみに!
0916この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:46:00.40ID:lpglQaKq
>>866
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(1/2)

お題:『広告』『中の人』


 車がエンジンをふかしながら、日光に煌めく道を走り去り、青空に溶け出すように消えていく。
 それをぼうっと見送ってから太陽の白い熱線のなか五歩、洋輔は踏み出すと、ふと生暖かい感触が太もものあたりをさすってくるのを感じた。
「ナイ……ナイ……アルノニ……ミエナイ」
 その声に「はあ?」と反応したとき、思わず目を剥いた。
 白昼の住宅街にはあまりに不似合いなちぎれ錆びれた鎖帷子が、艶も失った禿げ頭と共に、彼の足にまとわりついていた。
──なんだ、こいつ。浮浪者──にしては、おかしいぞ……。
 道のど真ん中で、洋輔は固まっていた。ズボンの上から下半身を撫で上げるねっとりとした感覚に、思わず顔をしかめる。
「おい、おっさん」
 生理的な反応に身を任せて、喉元を開く。魚のように視線の定まらない双眸が、はっきりとこちらをとらえたのが分かった。
「ミエテイルナ……キ、サ、マ」
 こいつは、何かヤバい。脊髄反射がそう叫んだ。
「誰か!」
「キサマ! ミテイルナァァァ!」
 刹那、洋輔は刀で肉を切る音を初めて聞いた気がした。肩に伝う大きな衝撃。自分は、横向きに倒れこんだらしい。
 瞼を開くのが怖い。自分の肉体が今どのようになっているか、それが身を強張らせるのだ。
 が、ふと耳に入った聞きなれた声が、筋肉も瞼も弛緩させた。
「ヨーちゃん!」
 漆塗りのようなあでやかな髪が、最初の視野に収まった。
「空音……?」
「ヨーちゃん、大丈夫?」
「ああ……」自分の体に視線を落とすと、四肢は今まで通り胴体につながれている。
 ほっと胸をなでおろしたが、つかの間、こちらをかかんでのぞき込む空音の背後に俊敏な黒い影が飛び込んだ。
「空音、後ろ!」
「ッ! 『星の暗示』!」彼女は素早く懐からカードを取り出して、目前に掲げると、手元にあった刀が光を帯びる。「オラァ!」
 一手遅れた。それは洋輔にも見てとれた。
 相手が俊敏に繰り出した脇差しの剣戟を弾くことはできたが、空音はその勢いに負け体勢を崩し、尻もちをつくようにして倒れこむ。
 しかし、彼女の表情にちらと目をやると、存外に空音は取り乱していなかった。息を切らしながら、彼女は立ち上がり刀を構える。
「星の光の力……これでしばらくあなたは動けない……。とどめよ! 『戦車の暗示』!」
 カードを投げ捨てながらそう吐き捨てる彼女の刀身は細かく振動をはじめ、次の瞬間、目にもとまらぬ高速の刺突が繰り出された。
──すげえ。
 洋輔は不意にそんな彼女の姿に目を奪われていた。
 銀色の閃光を放ち敵を刺し貫く彼女の姿は、あまりに美しく、あまりに力強く、あまりに遠い。痺れるような羨望の念さえわいた。
「ヘァァア!」刀身が鋭く閃き、空音の背中で「落ち武者」は崩れ去った──。

「ヨーちゃん、大丈夫?」
 洋輔の喉元を「うん」という声は通らない。何かを肯定できるほど、洋輔が落ち着いていられるはずもなかった。
──でも、何か答えなくちゃ……。
 怪訝そうにこちらをのぞき込む彼女の大きな目を見つめ返すと、なぜかそんな気がした。
 深く息を吸ってみて、やっとセリフが唇をすり抜け始める。
「説明してもらうぞ」
「……」切なげに目を細めてから投げやるように地面を見る彼女の横顔は、記憶を辿るよりも鮮明に、ディスプレイよりずっと美しく網膜に映った。
「古代より世界各地に存在する妖の類に対応してきた組織──秘密結社アルカナ。名前を聞いたことは?」
「ないな。都市伝説にでもなってるのか」
「一部ではね。私はそこに所属する兵士の一人なの。様々な『カード』を使ってその中に含まれる意味や表現から力を引き出して戦う。それが私」そこまで言うと彼女はまっすぐこちらを見た。「このこと、黙っていてね」
「ああ……」
 あまりに直線的な目線は同じベクトルに洋輔の言葉を巻き込んだようだった。
 空音が「私、行かなきゃ」と満足げに立ち上がるのを、引き止めもせず見上げていることしかできない。
 その小ささが自分に合っている気さえしてしまう。
──雲の上だよな、結局。
 自分も膝を立てながら、卑屈な笑みがこぼれるのを感じた──瞬間、空音の痛烈な足蹴が顔面に炸裂した。
0917この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:49:50.19ID:lpglQaKq
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(2/2)

お題:『広告』『中の人』


「ヨーちゃん! 右よけて!」
「ボムギ!」
じーんと痛みが滲む鼻先を手で覆いながら空音の方を見やると、既に再び光を帯びた刀が空を舞っていた。
 刃先が示す剣筋、その同線にあの禿頭はよろめきながら佇んでいた。
「さっき空音が倒したはずじゃ──」
 洋輔の言葉は、空音の野太いうなりにかき消えた。「オラオラァ!」
 白昼の陽光に刃は煌めき、男の体は両断された。
「これで……」
 刀を鞘に納め、軽い嘆息を一つ漏らした。だがつかの間、その瞼は大きく見開かれる。
「ムダムダ……シンシュノワタシハ、ホカノアヤカシヲブッチギリデコエタノダ!」
 思わず、洋輔の視線もその薄汚くグロテスクな傷口に釘付けにされた。
 ぱっくりと二つに裂かれたはずの肢体が、湯気をあげながら瞬時に修復している。
 「そんな」と、洋輔が呟くのと同時に、空音の体躯がガクンと落ちていく。
 膝をついた彼女の表情はまるで見えなかったが、小刻みに震える華奢な肩に、その面立ちは浮かび上がるようだった。
「私、やっぱりだめだ……」
 その言葉が、洋輔の頭をなぐりつけながら優しく包み込むような気がした。
 腹から煮えたぎる悔しさと胸の奥底から噴き出す生気が、口の中で歯軋りとなってがりがり音を立てた
──空音。俺は……。
 洋輔はかがむと、空音の刀の柄に手を伸ばし、掴んだ。
 その時、彼女の白い指先が手のひらに触れるのを感じた。
「ヨーちゃん……?」
「お前の手、大きくなったけどさ」ちらと、涙にぬれかけたくしゃくしゃの顔を見る。それでも、彼女は美しかった。「まだ俺のほうが力は強いかもな」
 そしてはっきり、まっすぐに敵の立ち姿を視界に収める。深く息を吸うと、横隔膜が選択を確認するように、何度も波打った。
「……行くぞ、化け物!」
 空音の叫び声が、振り上げた鉄塊の重みを加えるようにのしかかる。
 心臓が震え、身を焦がし燃え尽きそうなほどの熱がたぎるまま、雄たけびを上げる。
 脈が血液のビートを刻んでいるかのように激しい動態を示した次の瞬間、日光に照らされ山吹色に閃いた刀身が、過剰なまでのスピードで空中を駆った。
「コォォォォォォ!」
 刃は敵の体を肩から脇腹に抜けようと走りゆく。洋輔は柄を握る手に力を込めた。──が。
0918この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:51:50.00ID:lpglQaKq
(すまんレス数の見積もりを誤った)

【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】(3/2)

お題:『広告』『中の人』



「ムダムダムダァ! サルガニンゲンニカテルカ? オマエハオレニトッテノ──」洋輔が双眼を見開く間もなく、敵の拳がみぞおちに食い込む「モンキーナンダヨ!」
 血反吐を吐きながら、洋輔は後方に吹っ飛び塀に叩きつけられる。
 間髪入れずにじり寄ってくる影をはじめ敵と錯覚したが、艶のよい髪を見て少しだけ胸をなでおろした。
「なんでこんなこと……」さっき目尻に浮かんでいた涙はいまやぼろぼろと落ち洋輔の体表に雨を降らしていた。「あいつには勝てない……最新アップデートされたカードがなきゃ」
 うつむき加減の彼女は、「私のせい」と続ける。
「今日、カードの支給を私がミスってなければ……」
「うるせえよ」空音は、拍子抜けしたように顔をあげた。彼女の嗚咽が、一瞬でも止まったことに安堵している自分がいる。「お前は昔から、俺が『無理』とか『無駄』とか思いたくなるようなこと散々やって、成し遂げてきてる。
それはお前が生まれた瞬間から持っていたものだけが作り上げてきた結果じゃないはずだ」
 彼女の瞳の中を、洋輔は見つめた。
──そうだ、こいつは雲の上にいるアイドル声優なんかじゃない。俺が昔たくさん遊んでよく知っている、負けず嫌いで頑張り屋な九条空音だ。
 ポケットの中をまさぐり、固く、滑らかな感触を確かめるとそれを引き出し、空音の前に掲げる。彼女は涙を拭ってから目を丸めた。
「最新鋭のカード!」
 敵が「ソコニアッタカ!」と叫ぶのも聞こえる。
「やっぱそうか。なんかそんな気がしたんだ」頭の後ろのあたりに手をまわし、ポリポリと掻く。妙に心地よかった。
「なんであんなところから出てきたのかは知らないけど、これで戦えるよな」
「でも、初使用の時はこのカードのデータを私にインストールする必要があって……」
「どれだけあればいい」
「……三分」
 おもむろに、洋輔は刀を立てながら膝を地面に突く。瞳は敵をはっきりとらえている。
「ちょっと、そんな体じゃ……」
「無理じゃない」悲痛さを浮かべた面貌を一瞥してから、洋輔は刀を構えた。「お前に乗り越えられてきた『無理』ぐらい、俺の手にかかれば朝飯前だよ。調子乗んなよな、空音のくせに」
 ハッと息をのむ声を背中に受けながら、地面を蹴る。
──昔も、こんなことあったかな、そういえば。
 フラッシュバックする画像たちを瞼の裏に映じながら、洋輔は刀を横なぎに振り払った。
「行くぞ……最終ラウンドだ」


←To be continued―
0919この名無しがすごい!
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2020/03/21(土) 22:54:02.00ID:lpglQaKq
いやー久々にラノベラノベしたラノベ書いたわ
ちょうど自作の戦闘シーン書くとこだったんだけどほんといいリハビリになった。
あと一番手さんが一生懸命作った世界でふざけてごめんなさい
でも今回はキラーパスではないはず!
0920三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 01:17:38.64ID:9CC65lfg
>>916
だがこの文章力にシビれる!
なんか進行が勝手に想像してたのと微妙に違うけどw、相変わらずうまいしキラーパスでもないからいいや
『広告』よりも美しい『中の人』、1番に頼ってお題ほぼ使ってない!
ともかく! これなら3番さんがうまいこと処理してくれそうw
0922この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 05:57:22.88ID:HjIo/e5f
>>865
仕様お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【邪神パスタ】(1/3)

鼻から熱いものが流れてきた。ぽたぽたと紙面に紅い液体が垂れる。
しばらく作業を続けていると、紅色が広がってダイアグラムを侵食してきた。
ちょうど行き詰っていたところだ。私はペンを置いて、ティッシュをちぎって鼻に突っ込んだ。

伸びをして台所に向かうと、壁一面に貼られた模造紙たちが目に入る。
こうしておくと現在の理論展開が一目瞭然となり何かと便利なのだ。
うちに招いた友人は『一生独身結界』とか失礼なことを抜かしていたが。
そういえば、あいつからもらったお酒があったのだった。

ボトルにはドイツ文字で「MET」と書かれている。蜂のマークがあるから、蜂蜜のお酒ということだろう。
なんだかおしゃれな気がする。こういうセンスが人たらしの秘訣なんだろうか。
コルクを抜いて、一口飲んでみると、すっきりした舌触りにほんのりと甘みがある。
もしかして上等なお酒か。鼻に詰め物をして飲んでいいものではないかもしれないが、のどが渇いていたこともあってごくごく飲んでしまう。

大して酒に強いわけでもない私は、たちまち体が火照ってきて、気分が高揚してきた。
ふらふら机に向かっていき、ぐびぐび蜂蜜酒をラッパ飲みする。
次第に正気では浮かばないアイデアが次々浮かんでくる。
ペンを動かせば、数字と関数が手を取り合ってロンドを踊りだす。
思考の濁流にさらわれ、「あああ!」「いいい!」と歓喜の雄叫びをあげる。
空間がうねり、視界が暗くなる。頭痛とともに机のダイアグラムが赤く脈動する。
壁一面の数式や図形がぼんやり光って浮かび上がり、とめどなく増えていく。

気が付くと周囲は星々がちりばめられた暗黒宇宙となり、私は机とともにぽつんと浮かんでいた。
0923この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 05:59:14.47ID:HjIo/e5f
【邪神パスタ】(2/3)

いつの間にか、机の上にはタコが鎮座していた。
ただし、緑色で、翼があるし、体表はほのかに銀色に光る鱗で覆われている。
それは触手をゆっくりとこちらに差し向け、くぐもった呻き声をあげた。

「星辰たどり、門を叩きし人の子よ……」

タコって喋れたのか。そういえば、この間友人が読んでいた本はタコの知性について論じた内容だった気がする。
しかし発声器官はないと思うし、遠隔操作してる中の人がスピーカーごしに喋ってるんだろうか。
それとも放射線によって産まれた悲しき超オクトパスだろうか。

「汝に宇宙の真理を授けよう……」
「え、そういうのいらないです」

何を言い出すのだろう、この頭足類。全然わかってない。
仮にこのタコが宇宙で一番偉い何かだとしても、宇宙の真理を知らされてしまったら探す楽しみが無くなるではないか。
白けて酔いがさめてしまった。せっかくいい気分だったのに。
向こうも気分を害したらしく、目をギラギラさせて、何処からかぶぉぉんと奇妙な音を鳴らした。故障かもしれない。

「ではなぜ宙を渡った……汝の星から我を訪れることは二度とは叶わぬというのに」

どういう設定なんだ。いつから人間は深宇宙に旅行できるようになったんだ?そういうのは物理屋に言ってやってくれ。
せっかく行き詰りを打破するいいアイデアが浮かんだのだ。早く一人にしてほしい。

「なぜと言われましても。私は部屋で酔っ払っていただけですが。今すぐ帰してもらっていいですか?」

タコは触手を引っ込めると、身をよじって禍々しいうなり声をあげた。

「汝のような愚か者が最後の来客とは……」

銀色に輝く触手がゆっくりと振られ、落下するような感覚とともに私の意識は暗くなっていく。

そういえば、もしこのタコが神とか邪神的な存在なんだったら、アレ、頼んでおけばよかった……
0924この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 06:03:15.54ID:HjIo/e5f
【邪神パスタ】(3/3)

ぺちぺち頬を叩く音で私の意識は覚醒した。

「おー、起きたか。お前、本格的にイカレたのか?」

蜂蜜酒の送り主が不法侵入していた。いや、合鍵を持っているのだったか。
こいつは頼んでもいないのに定期的に私の世話を焼きに来るのだ。
私が一か月に一度しかメールを確認しないと知ると押しかけてくるようになった。

「……タコはどうなった?」
「何で知ってんの?今日の広告で安かったからタコも買ってきたぞ。パスタに入れよう。タコスパ作ったる」
「頭足類って頭良いんだっけ」
「お前よりかしこいだろうな。いろんな意味で」

台所の友人をぼーっと眺める。
あれは夢だったんだろうか。素晴らしいはずのアイディアを思い出そうとするも、靄がかかったように手が届かない。

「暗い部屋、蜂蜜酒。処女の生き血が垂らされた魔法陣。悪魔でも呼んだのか?」
「悪魔って、鼻血で釣れるかなあ。魔法陣って、足して15にするあれ?」
「それじゃなくて、呪いに使うやつ。お前の大好きな矢印だらけの奇怪な図形」
「おまじないと一緒にしないでよ。これは図式、ダイアグラムといって代数学の──」
「はいはい。……それよりさ、あげた蜂蜜酒、そのまま飲んだろ?お湯で薄めて飲みなって言ったのに」
「あー……ごめん、世話かけた」
「大の字でぶっ倒れてたぞ。色気のかけらもない……。髪もボサボサだし、また風呂サボったな」
「いやー風呂壊れちゃってさ……。これ幸いと没頭していた」
「これ幸いってなんだよ。食い終わったら銭湯行くぞ。へい、おまち」
「いただきます」

タコのペペロンチーノか。オリーブオイルのいい香りがする。
うまい。相変わらず料理が上手い。一口ごとに心身ともに回復するのを感じる。久々の上質な料理に目から熱い液体が流れてくる。

「お、おいひぃ。邪神のダシが効いている」
「泣こうが喚こうが銭湯には連れてくからな。しかしこの時期に故障じゃ、しばらく直らんかもなぁ。数日おきに引っ張り出す必要があるか」
「そんな、殺生な。というか今何時?銭湯やってる?」
「お前近所なのに知らんのか。深夜までやってるし、ヤーさんも来る」
「数学者とヤクザが交差するとき、物語は始まる」
「似非数学者とヤクザを交配させたとき、産まれてくるのはインテリヤクザかなあ」

ま、風呂は直してもらわなくてよかったかな。ひとまずは、邪神パスタに舌鼓を打つ私であった。■
0925三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 16:26:31.97ID:9CC65lfg
>>922
このタイミングで新規参戦w
『蜂蜜』酒、タコの『中の人』、『メール』も見ない、『広告』のタコ、『銭湯』へ
一見お題から離れてるようで、うまい具合に組み込まれてる、ちょっとハイセンスな話
女数学者はともかく、タコはどっから出てきたんでしょうw
0926この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 20:41:24.51ID:HjIo/e5f
>>925
感想有難うございます!素人なりに何とか書いたので嬉しいです
リレーに挟んでしまってすみません

タコについては蜂蜜酒を儀式に使う某創作神話の丸パク……オマージュですw
0927この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 20:53:49.36ID:Tf2V5KjX
>>866
お題:『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【タイミング】(1/2)


 羽田で飛行機を降りた僕は、京急線の改札に降りる広場で炭酸水を買う。
 視線を上げると『空飛ぶバナナ、ふんわり蜂蜜味』と言う広告を目にし、首を傾げた。

「東京銘菓って、鳩とかヒヨコじゃなかったけ?」

 視線を動かせば同系列のお菓子なのだろう『バナナカステラ』だとか『コーヒー牛乳味』だとかラインナップも充実しているらしい。

「……気には成るけど……まぁ、お土産は後回しかなぁ」

 どの道、帰りも空港を使うのだ、その時に確かめれば良いだろう。
 たまりにたまった有休を消化して来いと言うホワイトな我が会社の命令で、僕は東京観光に来ていた。
 時期的にどっかで祭りがあると言う訳でも無く、だからと言って野山を歩き回る趣味も無い。
 『まぁ、東京なら何かあるだろう』と言う消極的発想でここまで来たわけだ。

「あ、到着したってメール入れんと」

 「有給で東京まで行く」と言った時、一番に反応したのが某友人だった。気分が乗らない何て理由で会社をサボる度に有休を使っていた為、年度末のこの時期に有給はまったく残っていないらしい。
 「俺も有給残しておけばよかったぜ」とは言っても、使い切ったのは自業自得だ。
 『ご利用は計画的に』ってやつだな。

 どうせならと、変な形の自販機前で自撮りをしてメールを送る。
 『どこだよw』という返信が即座に来た。

「今、営業の時間じゃねぇのかよ」

 そのメールを読みながら思わず苦笑した。
0928この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 20:54:50.38ID:Tf2V5KjX
【タイミング】(2/2)


 ******

 駅の路線図を見ながら眉根を寄せる。

「うん、地名が分かんねえ」

 新宿、渋谷、池袋位か? 分かる地名は。もっと、観光客に優しい路線図は無い物だろうか?
 そう思いながら、スマホの乗換案内とやらのアプリを立ち上げる。

「そう言や、初めて使ったな」

 田舎暮らしじゃ全く使わないアプリの一つだ。無料だから消しちゃいないが、何で、はいっちぇるのか意味不明だった。さっきまでは。

「都会中心って事なのかね?」

 自慢じゃないが、うちの田舎はアニメ何かが、『一部地域では、来週から番組が変わります』ってテロップが出た時に一部地域になる方の田舎だ。
 使うだろうってアプリが全く使われてないって事なんてよくある。

「へぇ、ランドマークでの検索も出来んのか」

 そうなると、さて、何処に行くか?
 『中の人なんていません』ってポーズの夢のネズミ園が良いか、それとも、実物大MSを見に行くか、日本最高電波塔も良いな。
 あ、一時期ネットで有名だった、中国でパチモン作られたスーパー銭湯ってのも良いか……

「よっし、某漫画家さんのミュージアムに行ってみよう!!」

 ******

「あーうん、あ、うん」

 某ウイルスのせいで、休館してたよorz
0929この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 21:08:14.71ID:Tf2V5KjX
>>916
予想以上にこちらの意図を汲んで下さり、ありがとうございます
ハイスピードな戦闘シーンで、退魔物はこう言う疾走感が必要だなと改めて思いました

>>922
黄金の蜂蜜種ですね
何となく、菊〇秀行の「妖〇グルメ」を思い出しました
0930この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/22(日) 21:12:53.82ID:Tf2V5KjX
>>902
何となく「く〇みこ」をほうふつとさせますね
のんべんだらりとした会話が良い感じです
0931三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/22(日) 22:13:24.40ID:9CC65lfg
お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』締切

【参加作品一覧】(1/2)
>>881【また会いたいな】
>>888【魔法少女、最後の闘い】
>>903【銭湯のクマさん】
>>908【保安官も楽じゃない】
0932三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 22:14:05.64ID:9CC65lfg
【参加作品一覧】(2/2)
>>922【邪神パスタ】
>>927【タイミング】

【リレー企画参加作品一覧】
>>893【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】
>>916【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】

※ただしリレー企画の締め切りは1週間後です。
0933三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 22:17:42.66ID:9CC65lfg
では、、企画を予告していましたが、バタバタなので通常お題5つで

お題安価>>934-938
0934この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 22:18:02.09ID:vZTUJYtQ
たぬき
0935この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 22:19:42.32ID:anpB5qFi
フェチ
0936この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 22:20:14.58ID:ajm+e8LK
化ける
0937この名無しがすごい!
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2020/03/22(日) 22:24:06.85ID:DDJZha1H
『イタズラ』
0939三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 22:34:44.07ID:9CC65lfg
☆お題→『たぬき』『フェチ』『化ける』『イタズラ』『巨大』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約2000字、60行が上限。

☆締め切り→3/29の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0940三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 22:39:12.60ID:9CC65lfg
すごい速度で集まりましたけど、今回お題はどうなってるのw

残りレス数が不安ですが、現スレで続けます
引き続きお題スレをよろしくお願いします
0941三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/22(日) 23:14:54.69ID:9CC65lfg
>>926
もちろん構いませんが、そゆことか! そのまんまでしたか!

>>927
恒例の全選択!
『蜂蜜』味の『広告』、自撮り『メール』、『中の人』などいない某か、スーパー『銭湯』か
このタイミングwでの東京観光w、そつなくタイムリーにまとまってるー
某ウイルス、田舎と都会で温度差はありますねぇ

>>930
感想ありがとうございます
なーんか引っ掛かってる気がしないでもなかったんですが、、もう正にそれそのまんまですねw
0942この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 15:12:44.29ID:rHc7gkBS
>>941
感想、有り難うございます
ロボット物が書きたかったのですが、上手くからめられずこんな話にw
羽田空港を舞台にした割には、飲む出汁缶を書くのを忘れていましたorz
0943この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 17:19:12.51ID:QjettNbq
>>939
使用するお題→『たぬき』『フェチ』『イタズラ』

【弟は靴下フェチ?】(1/2)

朝の7時、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にカナミはふわぁっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替えて1階の食卓に来ると、ケンスケがジャムを塗ったトーストを頬張っているところだった。

「おはようケンスケ。相変わらず早起きね」
「お姉ちゃん、おはよう!今日もそのハイソックスいいね!」
「ん?」

ケンスケは、カナミの履いている白にピンクのダブルラインの黒いハイソックスをじっと見つめる。
これはカナミの一番お気に入りのハイソックスで、毎日といっていいくらい履いている。

「あ、ありがとうケンスケ」

そう言うとカナミは椅子に座って、トーストにジャムを塗って食べ始める。
ケンスケは基本素直でおっとりした性格なのだが、一方で自分のハイソックスにやけに夢中になるという変わった一面を持っていた。

「(ケンスケって脚、いや靴下フェチなのかしら?ちょっと変な感じ…)」

ある土曜の昼、カナミはリビングのソファーに寝そべって漫画を読んでいる内に、いつの間にかスヤスヤと眠りに落ちてしまっていた。そんな姉にケンスケがニヤニヤしながら近づいてくる。
するとケンスケはカナミの履いているハイソックスの爪先の部分を掴むと、気付かれないようにズルズルと両足とも脱がしていった。
それから1時間後、カナミはやけに足が涼しく感じて目を覚ます。

「って、あれ?私のハイソックスは?」

すると目の前にケンスケが立っていて、自分のハイソックスを持ってブラブラと振っていた。

「お姉ちゃんのハイソックスいただき!」
「こらケンスケ!返して!」
「ただで返すわけにはいかないなあ、ゲームで勝負しよう。お姉ちゃんが勝ったら返してあげるけど、僕が勝ったら一週間は僕の物だよ」
「生意気言っちゃって。まあいいわ、その勝負乗った!」

ゲームの準備が整うと早速勝負開始。動物を操作して戦うアクションバトルゲームで、カナミはウサギ、ケンスケはタヌキを選択し、白熱のバトルを繰り広げた。

・・・・・・・・・・・

5回勝負のうち、姉弟共に2勝2敗の接戦だったが、最後の勝負でカナミの勝利となった。

「そ、そんな…ずっと練習を積んできたのに…」
「ケンスケは腕はなかなかだけど、最後の最後で詰めが甘いのよね。ほら、私のハイソックス返しなさい」
「わ、分かったよ」

ケンスケは潔く姉にハイソックスを返す。カナミはハイソックスをきちんと履き直すと、自分の部屋に戻っていった。
このイタズラは今回が初めてではなく、これまで何十回以上も繰り返しているが、カナミは悉く勝利し、ちゃんとハイソックスを取り戻せている。

「まあ、これくらい全然気にしてないし、楽しいといえば楽しいんだけどね」

その時、カナミはあることを思いついた。
翌日の日曜の朝、ジリジリと鳴る目覚まし時計の音にケンスケはふわあっと大きな欠伸と共に目を覚ます。
パジャマから普段着に着替える中、ふと足下に何か落ちているのに気付く。

「ん?何だろう、これ」
0944この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 17:20:08.48ID:QjettNbq
【弟は靴下フェチ?】(2/2)

眠たい目をこすり、足下に落ちている何かを手に取って拾い上げると、それは姉のハイソックスだった。
ケンスケは一瞬ビックリする。

「な、何で僕の部屋にお姉ちゃんのハイソックスがあるんだろう?お母さんが間違えて持ってきた?」

少し開いたドアの隙間から、カナミがじっと眺めていた。実は昨夜、ケンスケが寝ている間に部屋に入って、自分のハイソックスを配置したのだ。
するとケンスケは長ズボンから短パンに穿き替えると、少し照れながらカナミのハイソックスを履く。
普段特に暑い季節でもない限り、弟は基本長ズボンで短パンは滅多に穿かない。

「(ケンスケったら顔赤くなっちゃってる…可愛い…)」

カナミはそのまま気付かれないように先に食卓に行って、ケンスケが来るのを待った。
数分後、自分のハイソックスを履いて現れた弟を見て、ついニヤニヤする。

「あらケンスケ、どうして私のハイソックスを勝手に履いてるのかしら?」
「な、何故か部屋の中に勝手にあったんだ…」
「それにしても結構似合ってるわよウフフ」
「そ、そう?それじゃあ、お姉ちゃんの真似しちゃお!」

すると自分の真似をして遊び、ふざけ始める弟をカナミは追いかける。

「私はそんなんじゃないでしょ!待ちなさいケンスケ!」
「アハハ!捕まえられるもんなら捕まえてごらん!」

家を出て逃げるケンスケをカナミが追いかける中、偶然にもハヤトと出くわした。

「あ、あれ七尾?それにケンも何やってるんだ?」
「「あっ!!!」」

姉のハイソックスを履いているケンスケとそんな逃げる弟を追いかけるカナミの姿に、ハヤトは状況が飲み込めなかった。

「「じ、実はね…」」
「ん?」

実はかくかくしかじか、姉弟から全て話を聞いたハヤトは思わず笑いだす。

「アッハッハ!マジで笑える!お前ら、本当に面白いくらい仲が良いよな!」

顔を赤らめる姉弟にハヤトは笑いを堪えきれなかった。

「まあ気にするなって、俺とお前らの秘密ってことにしよう。買い物頼まれてるからもう行かなきゃ。じゃあな!」

そう言うとハヤトは走り去っていった。
カナミとケンスケは顔を合わせると苦笑いして、家に戻るのだった。
0945この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 20:13:29.36ID:QjettNbq
>>939
使用するお題→『たぬき』『化ける』『イタズラ』『巨大』

【未知の大陸から来た猛者】(1/2)

今日もさすらいの女ガンマン・シンディは愛馬のサンセットに跨り、広大な荒野の中を颯爽と駆け抜けていた。
しばらくすると小さな町が見えてきた。その町に着くと、シンディは近くのバーで冷たいコーラを一気にグイッと飲み干す。

「ふぅ、暑い時のコーラは最高ね!」

蒸し暑い荒野の中を走ってきたので、汗びっしょりでとにかく喉が渇いていた。
すると近くのテーブルに座っていた男達の会話が聞こえてくる。

「おいおい聞いたか。ここ最近、妙な服を着て細長い刃物を持った怪物が目撃されたんだってよ!」
「ああ、俺も聞いたぜ。しかもそいつ、顔がアライグマのようでスッゲー気味が悪いんだ」
「体は人間で顔はアライグマ、想像しただけで吐き気がするぜ」

シンディはその話に興味津々だった。

「(きっと新手の賞金首に違いないわね。この私、シンディが捕まえて大儲けしてやるわ)」

その後、食糧の調達を終えると町を後にし、再び荒野の中を走り出す。
蒸し暑い荒野も夜になると冷え、涼しくなっていく。途中、信じられないくらい巨大な樹木を見つける。

「サボテンや岩しかない荒野にこんなデカい木があるなんて…」

シンディは少し奇妙に思いつつも、今夜はその樹木の下で野宿することに決めた。

「今日もお疲れ様、おやすみなさいサンセット…」

シンディとサンセットは木陰に包まれるように眠りにつく。

「私のイタズラにまんまと引っかかるなんてドジね!」

突然、その樹木が白い煙に包まれて消えてしまう。その煙に思わずシンディは目を覚ます。

「ゲホッゲホッ!い、一体何なの!?」
「おやおや、どうやら起こしてしまったようね」

シンディの目の前に現れたのは手に刀を持ち、着物を身につけ華奢な体型をした、アライグマのような顔をした怪物で、声からしてどうやら女のようだ。

「ア、アライグマの怪物!変な服を着て、それに細長い刃物を持ってる!」
「変な服?これは着物っていうの、あんたの薄汚いコートやシャツと違って品があって美しい物なの。それにこれは刀よ…」
「キモノ?カタナ?何それ、全然知らないわ!」
「それから、これはアライグマでなくてタヌキのお面…」
「あなた、もし賞金首なら容赦はしないわよ」
「いちいちうるさいわね、あなた…」

シンディがホルスターから銃を取り出し発砲するが、その女は俊敏な動きで軽々と回避してしまう。

「どうやら相当の強者のようね…!」
「私を捕らえられるならどうぞ、やってごらんなさい」

早撃ちとしても知られているシンディの華麗な銃撃も簡単に避けられると共に、いくつかは刀で真っ二つにされてしまう。

「(な、何こいつ…!)」
「アメリカのガンマンって大したことないのね」

お面で顔が隠れているが、シンディは彼女が明らかにほくそ笑んでいるのが分かった。
0946この名無しがすごい!
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2020/03/23(月) 20:14:31.43ID:QjettNbq
【未知の大陸から来た猛者】(2/2)

「バカにしないで!」
「往生際の悪い人ね…」

その女はボンッと白い煙に包まれ、その瞬間、大きな黒いオオカミのような姿に化けた。

「オ、オオカミに変身した!?」
「私の特技、とくとご覧あれ!!」

オオカミに変身した女が、シンディに向かって突進してくる。
シンディはやけになって銃を撃ちまくるが、そのオオカミの姿に銃弾はすり抜ける一方で全く通用しない。

「こいつ、一体何なの!?」
「さあ、これで終わりよ!」

牙を剥き出し、シンディの首に噛みつこうとしたその瞬間、オオカミの姿は消えてしまった。
今まで見たことも感じたこともない不思議で奇妙な技の連続に、シンディは動揺し、足がよろけて倒れてしまった。

「勝負はついたわ、それじゃあまたね」
「ま、待ちなさい!あんたは一体誰なの!?」
「私のことが知りたいなんて、余程の物好きのようね。そんなに知りたけりゃ教えてあげる」

その女の名はシグレ。遥か遠くの日本という国から来た女の侍で、日本を飛び出し、小さな舟で航海しているうちに
嵐に巻き込まれて、たまたまこのアメリカに来てしまったようだ。

「日本は狭くて飽きちゃったから、何も考えずに海を渡ってたら、ここに来て偶然あなたと出会った。それだけのこと」
「シグレ、変わった名前ね。しっかりと覚えたわよ」
「そういうあなたは?」
「私はシンディ、さすらいの女ガンマンよ」
「シンディね、またいつか会うかもしれないわね」

その言葉と共にシグレは風と共に姿を消してしまった。
ニホンという聞いたことのない国から来た女のサムライという謎の存在に恐れを抱きつつも、シンディは自然と興奮が収まらなかった。

「次会ったらまた勝負よ、シグレ!」

太陽が顔を出し、朝が来た。シンディはシグレの名を胸に刻んで、サンセットに跨り、再び走り出すのであった。
0947三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/24(火) 01:40:02.76ID:oFn3xvI/
>>943
やっぱり今回も早かったw
靴下『フェチ』、『たぬき』を操作、姉弟の『イタズラ』
これはちょっと愉快な話、そう言えばこれが持ちネタの作者様でしたw

>>945
そして連続!
『巨大』な樹木、『イタズラ』に引っかかる、『たぬき』のお面、オオカミに『化ける』
すご、侍なのかそれw、止まらないシンディシリーズですw
0948この名無しがすごい!
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2020/03/24(火) 06:52:56.95ID:2HaArv8p
>>947
感想ありがとうございます!今回は2作連続の大盤振る舞いです!
弟の意外な一面?が見られる回でしたね、久々に持ちネタの一つである靴下ネタを書けて楽しかったですw
それから日本から来た謎の侍シグレは、シンディのライバル的存在となって今後また出てくることでしょう
レイチェルシリーズ後期にあった、レイチェルVS謎の忍者を彷彿とさせる感じですね
今回も楽しんでいただけて本当に嬉しいです!
0949この名無しがすごい!
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2020/03/25(水) 06:21:59.17ID:7K0HC3Fx
>>932
リレー3番ですが、ようやく書き込める環境になったので取り急ぎ
29日締切かな? それまでには間に合わせますー(しかし前回とは違う意味ですごいな今回)
0951この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/25(水) 15:07:45.62ID:IRn6OIN9
>>943
小学生から業の深いw
それでも、根本には“姉”に対する愛情が見え隠れしていますね

>>945
ガンマンのライバルはやはり侍ですよね
ただ、女サムライなら良いのですが、サムライ女を漢字で書くとw
0952この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/25(水) 16:17:58.67ID:p7XY5Ltd
>>951
感想ありがとうございます!
姉が大好きが故に、姉が身につけている物にも執着しちゃう弟も可愛いなあって思いましてw
そうですよね!ガンマンのライバルといえばまさしく侍だと私も強く思います!
レイチェルVS謎の忍者回を書いた時も感じたのですが、銃と刀の対決を文で上手く表現するのって結構難しいです
次また対決する話を書く時は、もっと迫力感を出せるよう頑張りたいです
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!どちらのシリーズもまた次回をお楽しみに!
0953この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 16:02:09.07ID:wEd3k0lY
>>866
【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(3)】(1/3)


 吶喊の声が尾を引いて、ぶつかり合った二振りの刀が火花を散らす。
 だが膂力も、技巧も、何一つ洋輔が人外たる落ち武者に勝っている物などなかった。
 洋輔の刀は弾かれ、受けた衝撃を殺し切れないままに足はたたらを踏む。
「がっ……!」
「フン、トウゼンダ」
 落ち武者は超然と。というよりも嘲笑うように、洋輔の醜態を眺めている。
 肩の刀傷は浅くは無い。下手をすればこれだけでも失血死の理由になるかもしれず、
朱く染まった腕では刀を満足に握る力さえ籠められない。
 何一つ、勝っているものなどないのだろうか。
 何一つ、生き延びられる理由などありはしないのだろうか。
 ――いいや、ある。たった一つだけ、洋輔にも、負けられない物が。
 この想いだけは。どんな化け物にも、否定なんてさせるものか。
 いつの間にか、空は夕暮れに変わりつつあった。橙色の陽光が、二人と化け物だけの小さな世界を染め上げる。
 洋輔の視界に映る落ち武者は、けれどよく見れば。それは現代的なデザインにアレンジされすぎた、ただの作り物だった。
 そこには本物の武士の覚悟だとか忠義だとか、そんなものは宿っていない。生まれたての力に酔う、空っぽな器があるだけだ。
 それを理解して、洋輔は笑う。落ち武者が怪訝そうに首を傾げた。
「……ナニガオカシイ? アタマガオカシクナッタノカ」
「別に。ただ、あんたがあんまり滑稽なもんでさ」
「ナンダト?」
 洋輔は、目一杯憎たらしく笑う。口の端を釣り上げて、目の前の化け物に伝わるように。
 最大の武器を、唯一勝っている、想いの差を。見せつけてやるために。
「守りたい物も、誇りも、何もない。そんな武者がいるかよ。俺にとってあんたはサルですらない、ただの――お人形だ」
 そしてその策は、どうやら成功したらしかった。
「――ッ、キサ、マァァァァアアアアアアアアアッ!!」
 激昂した落ち武者は、ガシャガシャとやかましく鎧を揺らしながらも、信じられない速度で突っ込んでくる。
 車と正面衝突するようなものだ、避けられるはずもなかった。だから、それで期待通りだ。
「ヨーちゃん、いやぁっ!!」
 背後で固唾を飲んで見守っていた空音が、死の光景を前に悲鳴を上げる。
 だから心配するなと、胸の内で洋輔は呟く。お前を残して死んだりなんてしないから、と。
0954この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 16:03:08.43ID:wEd3k0lY
(2/3)

「ォオオオオオオオアアアアアアアッ!!!」
 怒りに震えて飛びかかる落ち武者は、まるで一個の砲弾のようで、だから。
 洋輔は、正面からそれに向かって突っ込んだ。
「えっ!?」
「ナッ!!」
 二人の驚く声が木霊するが、その間にも落ち武者との距離はゼロに近付いていく。
 想定外の行動に動揺しながらも、落ち武者は振り上げた刀を振り下ろそうとし、けれど遅い。
 自分自身の速度が仇となって、落ち武者が刀を振るう頃には洋輔は落ち武者の懐に潜り込んでいた。
 落ち武者の胴体に、白光の刃先を突き立てる形で。
「ガァッ……」
「オォォッ!!」
 洋輔が、貫いた勢いを捻って落ち武者の体を横に並ぶブロック塀まで押し付け、縫い止める。
 尋常ならざる切れ味の空音の刀はやすやすとコンクリートの塀を貫き、標本のように落ち武者の動きを封じた。
「キ、サマァッ!」
「ぐ、がっ! 絶対に、はな、すかよ……っ!」
 白光の効果なのか、弱まった力で、けれど不死身に近い落ち武者は洋輔を殴りつける。
 だが頭から、頬から血が流れても、洋輔は刀を放すつもりはなかった。そして。
「――ヨーちゃん」
 背後から、声がかかる。それは銀鈴が鳴るような、聴き慣れた涼やかな、けれど優しい声で。
「ごめんね、ありがとう。未熟な私を助けてくれて。ヨーちゃんはいつも、そうやって私を助けてくれるよね。……だけど」
柔らかな声に、決意が宿る。振り向いた洋輔の目に飛び込んできたのは、眩い光の帯に包まれた幼馴染の姿だった。
光の帯が弾け、その中から、カードに描かれていた衣装の空音が現れる。夕暮れの街を、けれどさらに強い輝きで昼へと変えるほどの、力の奔流。
覚悟を瞳に宿した空音は、まるで。
「今度は私も!あなたを、助けるから!ーー世界を照らせ、生命と力、浄化と焔よ!『太陽の暗示(アルカナ)』!」
地上に光る、一個の太陽であるかのようだった。
「グォ、グァアアアアアッ!!」
「っ、肩の傷が!?」
突然、空音の放つ光を浴びた落ち武者と洋輔が焔の中に燃え上がる。
しかし落ち武者は苦痛に叫び、洋輔は自らの傷が癒えていくのを見て驚愕を顔に浮かべた。
「『太陽の暗示』の炎は、仲間を癒し、敵だけを灼くの。特に不死の『吊られた男(ハングドマン)』のあなたには、浄化の炎は熱いでしょう?」
太陽の輝きを放つドレスを纏った空音には、まるで先程までとは別人のような落ち着きがあった。
けれどそれは、きっと落ち武者のように力に呑まれてしまったからではない。洋輔が空音を守ろうとしたように、空音もまた洋輔を守ろうとしてくれたからだ。そう思うと、どこか胸が熱くなるのを感じた。
「グ……コンナ、トコロデ……ニンゲン、ナドニ……ッ!」
半ばまでが灰に変わりつつある落ち武者が、最後の力を振り絞って洋輔に刀を突き立てようとする。自分にも突き刺さる向きだったが、道連れにしようとする気なのかもしれない。
0955この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 16:04:44.75ID:wEd3k0lY
(3/3)

だが、洋輔にもう恐怖はなかった。
「させない!」
「ギ、ガァアアアアアアアアアアアアッ……!!」
空音が太陽の輝きを絞り、落ち武者へ焔を集中させると、落ち武者は力を失い、やがて全身が焼き消えていった。
空音の炎が消えると、跡には炭化した骨すらも残ってはいなかった。落ち武者が、元よりこの世の存在ではないからなのかもしれない。
代わりにーー
「……これは?」
治ったばかりの傷の痛みも、二人で生き延びたことへの安堵感さえ、少しの間忘れて。洋輔は、目の前に浮かぶ一枚のカードを見つめていた。
「『吊られた男の暗示』のカード。強力な不死の力があるけど、強すぎる力に呼応して、自我を持って暴走してしまったの。……でも、カードはあなたを選んだみたい」
空音が太陽のドレスを解除し、私服姿になって
洋輔の傍へと歩み寄る。
洋輔はそちらへと振り返り、
「カードに選ばれた……じゃあ、もしかして」
「……うん。私も、そうやってカードへの適合者になったから、アルカナのメンバーとして戦うことになったんだ」
「ってことは、俺も?」
「うん。今はまだ、ヨーちゃんが適合者になったことは、誰にも知られてないだろうけど。遅かれ早かれ、招集が来ると思う。……でも、危険な仕事だよ、ヨーちゃんがやりたくないなら、私は……」
戦っていた時とはまるで違う不安そうな顔で、空音は俯く。おおかた、アルカナという組織に背いてでも洋輔のことを隠し通すと言いたいのだろう。
ころころとよく変わる表情も、お転婆なわりに優しすぎるその性格も。二人で遊んだ子供の頃から、本当は空音は何も変わってなんかいなかったんだと、洋輔は思った。
「その危険な仕事を一人でやってるのは誰だよ? 心配すんな、隠したりなんかしなくていい。これからは俺も空音と一緒に戦う。もう一人で抱え込まなくて、いいんだよ」
背の低い空音の頭に、洋輔は安心させるために、ポンと手を置いてやる。
昔、子供の頃には、空音が無茶をして転ぶとよく泣いていた。そんな空音のことを、洋輔はこうしてよく撫でてやっていた。
そんなことも、ようやく思い出せたのだ。
「ヨーちゃん……!」
ホッとしたのか、空音は目尻に涙を浮かべて花が咲くような笑顔になる。
洋輔は腕の中に空音を抱きながら空を見上げる。沈みかけた夕陽が、けれどこれから登る朝日に見えた。

雲の上の太陽に、手を伸ばせ。
その隣に立ちたいと、ずっと願ってきた想いだけは。
誰にも、負けることはないのだから。


【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』 完】
0956この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 16:07:22.29ID:wEd3k0lY
一応間に合った、のかな? 途中でPCからスマホに変えたので行頭空け変わってますねすみません
普段書いてる長編に近いジャンルを書くのは新鮮で楽しかった、けど世界観設定に一貫性持たせるために読み込むのが結構ハードだった……!提出ギリギリでごめんなさい

次があったら1番希望してみようかな
0957この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 18:02:20.61ID:PLB4FB3i
おおお
二番手のものです、良かった……!
文体がクライマックスにピッタリでハマってんじゃないこれ?
とにかく、自分のがキラーパスとはならなかったようで何より
0958三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/03/29(日) 19:47:09.68ID:n1b/6BE9
>>953
さすがきっちり間に合わせてきたw
お題・・・お題使って・・・2番さんも3番さんも『蜂蜜』くらい使えたのでは・・
内容は読み応えあり違和感なし・・・完!

1番さんこと好調のベテラン氏が(勢い余って)削ったとか言い出した時は、どうなることかと心配しましたがw
2番さんが実力を発揮しつつ構成もしっかり、3番さんが1番2番の要素を拾い上げて期待に違わず
自分が読者として拾えてなかった部分も3番さんが拾ってくれてるので、そこも良かった

あと2番さんの、今思い返すと前回1番でもそうでしたが、実は上手な構成が、前回も今回も全体通して生きてるなぁと思いました

>>957
キラーパス気にし過ぎw
むしろ進行としては、協調性ゼロかよw、って言ったのが申し訳なかったです(もちろん協調性ゼロではない)
0959この名無しがすごい!
垢版 |
2020/03/29(日) 22:00:49.88ID:RUAVnTuT
>>939
お題:『たぬき』『フェチ』『化ける』『イタズラ』『巨大』

【入道退治】(1/2)


 白刃が煌めき、1つ目の入道がたたらを踏む。
 ヨロズ買い取りの古道具屋、『白化け堂』店主である天羽 頼光は、その光景を紫煙を燻らせながら眺めていた。

「よ、頼光くん! 手助けをしても良いのではないか?」
「手助けねぇ……」

 彼の横で心配そうにしているのは矢来 翼。今、入道に斬りかかっている矢来 瀧の姉であり、頼光とは旧知の仲である。
 そんな彼女の言葉に、頼光は気が進まないとばかりに眉根を寄せ、紫煙を飲み込んだ。

「何故だい? 君とて術者の端くれだろう? ならばあの、人喰いの化け物を放って置けないのは分かるだろう!」
「人喰い……ねぇ。その情報元は、本所の婆さんかい?」
「うん? そうだが」

 その言葉を聞いて納得が行ったのか、頼光がペタペタと入道に向けて歩き出す。

「!! 頼光! 手出しは無用だ!!」

 入道の目を見つめ、瀧がそう言って牽制する。
 だが、それを聞く様な頼光ではない。
 彼は、なぜか巨大な入道の足元腰を下ろすと、手をパンと1拍し、紫煙を吹き出した。

「我、一線す。夢と現の線引きを! 夢は夢なり、現は現なり、此は現なり、則ちそは現なり!!」

 そう言って剣印を結ぶと横に一線した。

「な、何を!!」

 驚いた瀧が思わず頼光を見る。と、巨大な入道がまるで幻の如く消え去ると、空中から何かが落ちてきた。

 頼光は、つまらなさそうに歩いて行くと、落ちてきた“それ”、子ダヌキを拾い上げた。

「な、何だ!! それは!!」

 慌てた様に瀧が言う。当たり前だろう、先程まで自分が死闘を演じたいた相手だ。
 それが、こんな小さなタヌキだったとしたら、あまりにも滑稽だろう。

「ん? あぁ、これは……」
「きゃーーーーー!! 何それ!! モフモフ!? きゃーーーーー!!」

 言葉を遮られた頼光が、顔をしかめて弟の方を見る。

「あーー、何と言うか、すまん! 姉貴はモフモフに目がないのだ」
0960この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 22:03:01.48ID:RUAVnTuT
【入道退治】(2/2)


 ******

「人喰いの……なんて話は、枕詞の様なもんでな」

 子ダヌキを拾って店まで戻ると、頼光はほうじ茶を出しながら、話始めた。

「本当に人を食べてるって事じゃないんだ」
「ならば、なぜ、本所のご老人はそんなデマを」
「お前を試したんだろう? 気が付くかどうか」
「むっ」

 事の起こりは、瀧の姉である翼が頼光の店に来た事だった。
 先祖代々続く退魔の家系である矢来の、その後継者の証である鬼切丸を瀧が授けられたのだ。
 その初めての実践として、退魔の元締めである本所の老人に指定されたのが今回の話だったのだが、その助っ人として、頼光が指名されたのである。

 だが、瀧の方はと言えば、初任務であるため張り切り、頼光に、手助けをする事に難色を示した。
 しかし、元締めの言葉を蔑ろにする事もできず、同行だけは許すが、手出しは無用としたのだ。

 だが、最初から違和感を感じていた頼光は、翼から話を聞き、本所の老人の意図に気が付き介入したのである。

「昔話何かじゃ良くある話さ。人喰いの化け物だと嘯いていた入道の正体が、タヌキのイタズラだった何て事はな」
「しかし、そのタヌキが化け物だと言う事には変わりない」
「あのな、人を驚かしたってだけで殺してたら、全ての化け物は敵になっちまうだろうが」
「しかし!!」

 頑なな態度の瀧に、頼光は溜め息を吐く。

「闇は敵じゃないんだ。常に傍らに居るモノだ。古来から日本人はそうやって生きてきた。お前に必要なのは余裕と寛容さだ」

 「第一……」と言って、頼光は親指をさす。
 そこには翼にモフられ倒し、ぐったりした子ダヌキがいた。

「あれが、退治が必要に見えるか?」
「ぬっ」

 モフモフフェチだったのか、存分にモフったおかげで、やけにツヤツヤした顔の翼と、白目を剥いた子ダヌキを交互に見ていた瀧だったが、やがてガックリと肩を落とし、溜め息を吐いたのだった。
0961三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/29(日) 22:15:12.32ID:n1b/6BE9
お題→『たぬき』『フェチ』『化ける』『イタズラ』『巨大』締切

【参加作品一覧】
>>943【弟は靴下フェチ?】
>>945【未知の大陸から来た猛者】
>>959【入道退治】

お題→『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』締切

【リレー企画参加作品一覧】
>>953【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(3)】
0962三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/29(日) 22:17:12.32ID:n1b/6BE9
ではー、通常お題5つ、現スレで取ります

お題安価>>963-967
0963この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 22:18:01.83ID:MxZ0vLGt
トライアル
0964この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 22:18:09.12ID:oOIj1k/4
レビュー
0965この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 22:22:10.55ID:G3ox2JvB
クリスタル
0966この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 22:24:26.96ID:XIcVtIRH
『マシマシ』
0969三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/03/29(日) 23:13:02.24ID:n1b/6BE9
>>959
ここでこれを繰り出してくるとは!
説明しよう!この作品はスレ5→272の続編なのだ!説明終了!
『巨大』入道に『化ける』子『ダヌキ』の『イタズラ』、モフモフ『フェチ』
このシリーズ専用みたいなお題で、新キャラ登場の出張編でしたw
0970この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 23:16:34.99ID:PLB4FB3i
リレーのやつ、実を言うと途中まで一番さんの要素拾い上げながらジョジョネタをぶちこむのに夢中で完全にお題のこと忘れてたっていう
言葉だけだしとこって入れた「ディスプレイ」の6文字だったわ
0971この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 23:21:25.31ID:RUAVnTuT
>>953
1番の者です
綺麗に纏まとめていただいて有難うございます
ひたすら伏線っぽいだけの曖昧な文章で済みませんでした
2番の方も有難うございました!!
0972この名無しがすごい!
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2020/03/30(月) 00:02:53.52ID:pZ6PKG3l
>>969
感想有り難うございます
妖怪系の話は好きなのですが、どうしても水木御大の足元にも及ばないのがコンプレックスです
0973この名無しがすごい!
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2020/03/30(月) 00:42:17.70ID:n/bs88To
>>957,958,971
どもども、好評なようで何より
終わってみるとラノベというよりニチアサ系アニメとかジャンプ漫画の一話みたいな感じになりましたね
書き慣れた方向性なので、世界観とキャラの設定を飲み込んだ後はすんなり書けたかなと(でも時間ギリギリだったせいで推敲できず、改行や句読点に違和感があるのサーセン)

リレーのお題って、全体で共通だから一人目の人だけなのかと思ってた……(愕然)気をつけやす!
独自設定多めの現代ファンタジーアクション、楽しかったです、提示した方も広げた方もお疲れ様でした!
0975三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/04/01(水) 00:04:11.14ID:d9+tlZKt
募集期間2019.10/28〜11/3

『自撮り』『小麦粉』『ハロウィン(Part2)』『幻想』『爆弾』

【参加作品一覧】
>>6【最高の一枚】
>>29【ハロウィンの夜の……】

>>127【ゆるキャラ奏者ヤゴ太郎:2曲目 〜ハロウィンの夜と押しかけ弟子〜】(供養
0976この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:05:01.41ID:d9+tlZKt
募集期間2019.11/4〜11/10

『ジャム』『夜空』『いいね』『ダウンジャケット』『変装』

【参加作品一覧】(1/2)
>>44【定休日は有意義に過ごそう】
>>48【最低で、ごく普通で、いちごジャム色の夜】
>>55【遠い帰り道】
>>56【バカップルの片割れ】
>>63【コメ欄に夢と妄想と現実逃避を】
0977この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:05:47.22ID:d9+tlZKt
【参加作品一覧】(2/2)
>>80【友情藁人形】
>>89【バカップル漫画家と独り身編集者】
>>91【デビルアンドクラウン】
>>94【北の国】
0978この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:06:25.77ID:d9+tlZKt
募集期間2019.11/10〜11/17

『限定スイーツ』『刀』『バイオリン』『神話』『歯がゆい』

【参加作品一覧】(1/2)
>>116【世界で一番美しい音色】
>>138【忍者、現る!?】
>>142【サムライが少女と、少女がサムライと出会うまで】
>>148【弟とチョコタルトを守れ!】
0980この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:07:37.94ID:d9+tlZKt
募集期間2019.11/17〜11/24

『了解です』『侍ジャパン』『蛾』『令和』『万世元年』

【参加作品一覧】(1/2)
>>186【万世元年】
>>196【8分の1人前】
>>209【幸せの青い蛾?】
0982この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:09:03.09ID:d9+tlZKt
募集期間2019.11/24〜12/1

『とうそう』『せんとう』『しりとり』『いちご』『すき』

【参加作品一覧】
>>253【忍者、また現る!そして決着!】
>>258【私は一人でも大丈夫“だ”】
>>266【クラスメートのハヤト】
>>269【信繁と津久エ門】

>>315【ダウンジャケット一代記】(供養
0983この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:09:45.21ID:d9+tlZKt
募集期間2019.12/1〜12/8

『山脈』『成長』『ホラー』『自家製野菜』『VR』

【参加作品一覧】
>>284【夢は決してあなたを裏切らない】
>>295【留守番は怖いよ】
>>307【吹雪の中で暖を取る、たった一つの冴えたやり方】

>>330【VRから始まる異世界生活】(供養
0984この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:10:26.65ID:d9+tlZKt
募集期間2019.12/8〜12/15

『後悔』『戦奴』『空白の100年』『サイダー』『満月の夜』

【参加作品一覧】
>>336【無題】
>>353【恐怖の炭酸怪人】
>>363【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第三話】

>>377【奴隷なんてとんでもない全ては俺の捏造です】(供養
0985この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:11:17.04ID:d9+tlZKt
募集期間2019.12/15〜12/22

ジャンル『コメディー』+『決意』『世界征服』『アイスクリーム』『キーホルダー』

【参加作品一覧】
>>382【脅威の冷気!アイスクリームガール!】
>>387【弟は名探偵?】
>>401【アイス売りの女ガンマン】
>>405【魔王討伐のその後の話】
>>408【機知に富んだ紳士ドン・タローテ】
0986この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:11:57.74ID:d9+tlZKt
募集期間2019.12/22〜12/29

『平面』『クローゼット』『レジェンド』『クリスマス』『手入れ』

【参加作品一覧】
>>425【あなたに出会えて本当によかった】
>>441【平面世界に喝采を!―二十五世紀のとある作り手は悦に浸る―】
>>446【愛惜サイゼリヤ】
>>449【XXXXXmas】
>>450【機知に富んだ紳士サン……】
0987この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:12:59.39ID:d9+tlZKt
募集期間2019.12/30〜2020.1/5

『ファイナル』『かがみ』『鈴蘭』『餅』『正月』

【参加作品一覧】
>>508【最初で最期の春】
>>509【短日のこと】

 * * *

募集期間2020.1/5〜1/12

『お酒』『カマキリ』『みかん』『出初式』『うどん』

【参加作品一覧】
>>523【あれがたべたい】
>>525【酔っ払ってしまった弟】
>>533【帰省】
0988この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:13:52.24ID:d9+tlZKt
募集期間2020.1/12〜1/19

『レンガ』『港』『図書室』『生配信』『魔獣』

【参加作品一覧】
>>549【オルト・ノルトの冒険記】
>>551【一億個のレンガを積んだ私は、気付いたら最強のダンジョンマスターになっていた】

 * * *

募集期間2020.1/19〜1/26

書き出し『「やめてくれ!」』+『タイムアタック』『会場』『四次元』『ダークホース』

【参加作品一覧】
>>578【私が騎士団長様に代わって応募用紙を提出するのですよー】
>>590【VR】
>>594【アムネジア】
0989この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:14:41.37ID:d9+tlZKt
募集期間2020.1/26〜2/2

『考察』『vtuber』『ライト』『病気』『夜空』

【参加作品一覧】
>>639【あの日食べたポトフ】
>>648【さようなら】

【リレー企画参加作品一覧】
>>625【リレー企画:『ライト・ライト』(1)】
>>629【リレー企画:『ライト・ライト』(2)】
>>691【リレー企画:『ライト・ライト』(3)】
0990この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:15:38.34ID:d9+tlZKt
募集期間2020.2/2〜2/9

『靴紐』『改造』『ティーカップ』『ハゲ』『ハーディー・ガーディー(という楽器)』

【参加作品一覧】
>>661【女ガンマンはただ旅を続ける】
>>668【狂気の爆走スクーター女】
>>677【一夜の夢】
>>679【砂漠の休日】
0991この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:16:21.84ID:d9+tlZKt
募集期間2020.2/9〜2/16

『精神異性化』『世界規模』『ブルーベリー』『サムギョプサル』『枯れ葉』

【参加作品一覧】(1/2)
>>696【大切な帽子】
>>710【親友は大食い】
>>714【日本語と英語】
>>723【代替案】
>>725【世は事も無し】
0992この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:16:57.38ID:d9+tlZKt
【参加作品一覧】(2/2)
>>740【「日本の真島瞬」と「この世界のロザリア」】(供養
>>745【魔法少女戰域】(供養
0993この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:17:52.58ID:d9+tlZKt
募集期間2020.2/16〜2/23

『駅』『シャブ』『方程式もの』『生誕』『バナナ』

【参加作品一覧】
>>749【ガンマンと駅長さん】
>>755【売人を懲らしめろ!】
>>761【弟の悩み】
>>766【いつかの道連れ】
>>768【クソッタレ共の賛歌】
0994この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:18:32.47ID:d9+tlZKt
募集期間2020.2/23〜3/1

『おでん』『スクラップ』『美術部』『777』『ドリル』

【参加作品一覧】
>>786【イエローマスクド・デーモン】
>>793【最悪最強!?猛攻のスロットモンスター】
>>798【姉弟はいつでもラッキーセブン】
>>803【魔王アンジェリカの色々な冒険】
>>808【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第四話】
0995この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:19:12.29ID:d9+tlZKt
募集期間2020.3/1〜3/8

『銀河で、検察官が、人捜しをする話』『ケチャップ』『オールスター』

【参加作品一覧】
>>823【魔法少女、銀河に行く!?】
>>828【ギャラクシーコップ】
>>833【星空の下の検事】
>>834【コンテンポラリー・ユニヴァースィズの私たち】
0996この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:19:54.73ID:d9+tlZKt
募集期間2020.3/8〜3/15

『クッキー』『庶民サンプル』『肉襦袢』『信楽焼』『マンティコア』

【参加作品一覧】
>>849【伝説の怪物、現る!?】

>>869【異世界召喚物語】(供養
0997この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:20:33.93ID:d9+tlZKt
募集期間2020.3/15〜3/22

『蜂蜜』『メール』『銭湯』『広告』『中の人』

【参加作品一覧】(1/2)
>>881【また会いたいな】
>>888【魔法少女、最後の闘い】
>>903【銭湯のクマさん】
>>908【保安官も楽じゃない】
0998この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:21:14.63ID:d9+tlZKt
【参加作品一覧】(2/2)
>>922【邪神パスタ】
>>927【タイミング】

【リレー企画参加作品一覧】
>>893【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』】
>>916【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(2)】
>>953【リレー企画:『魔聖妖神奇譚アルカナ』(3)】
0999この名無しがすごい!
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2020/04/01(水) 00:22:20.17ID:d9+tlZKt
募集期間2020.3/22〜3/29

『たぬき』『フェチ』『化ける』『イタズラ』『巨大』

【参加作品一覧】
>>943【弟は靴下フェチ?】
>>945【未知の大陸から来た猛者】
>>959【入道退治】

 * * *

以上102作品
内、供養8

募集期間2019.10/28〜2020.3/29

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安価・お題で短編小説を書こう!8
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