カウンターに肘を付き、安い煙草を吹かすマスター。
何時もよりハンターの登場が早く客が逃げて退屈を隠せない。
壊れかけのｼﾞｭｰｸﾎﾞｯｸｽにｸﾚｼﾞｯﾄを投入する男が視界に入った。

それは動かない

マスターが声をかけるより先に男はｸﾚｼﾞｯﾄを入れ旧世紀の音楽を奏でた。
男は無言でマスターにｸﾚｼﾞｯﾄを渡し、慣れたそぶりで狭い部屋へと趣き、
ﾍｯﾄﾞｾｯﾄを装着する。マスターは止めることをせず、カウンターに備え付けてあるモニターでハンターの殺戮劇を見つめる。

男が落とされた場所は市街地だった。正規ﾕｰｻﾞｰが行儀良くﾁｰﾑを組んでｱｻﾙﾄﾗｲﾌﾙを構え行進して行く。
ｸﾗﾝの認証をしながら連中は敵と味方を識別する。
男にはｸﾗﾝなど関係ない。初期装備のﾊﾝﾄﾞｶﾞﾝとｽﾓｰｸが2つあるだけだ。
突然現れた男に戸惑う男達。ｸﾗﾝ認証を求められる前に銃弾を撃ち込む。
高価なﾎﾞﾃﾞｨｰｱｰﾏｰの隙間を銃弾が貫く。
脅えるようにﾗｲﾌﾙが男に向けられるが、怯むことなく銃弾を放つ。
一瞬にして5人の小隊を抹殺し、ﾎﾞﾃﾞｨｰｱｰﾏｰとｱｻﾙﾄﾗｲﾌﾙを手に入れる。
弾の切れたﾊﾝﾄﾞｶﾞﾝを廃棄し、ｱｻﾙﾄﾗｲﾌﾙの残弾を確認する。
気配を消すようにゆっくりと進む男。
引き裂くような音に足を止めるが、強烈な衝撃に弾かれる。
狙撃されたのだ。それもエリアの片隅から。男からは狙撃した相手が見えない。
ｽﾓｰｸを使い建物の中へと逃げるも、音と共に男の腕が吹き飛ぶ。