「あっ、ほら、あった!」
たとえ見つかっても懐中電灯は壊れてしまっているのではないか? 私はそんなことを考えていた。
そうなれば探検どころではない。ゆう子も諦めるだろう、とそう考え、
懐中電灯が壊れていることを心中で祈った。

かちっ。

あたりがパッと明るくなった。残念。
「やったぁ!」
「なんかちょっと暗くなってる。故障したんじゃない?」
接触不良でもしているのか、かすかに明るくなったり暗くなったり落ち着かない。
「そのうち直るわよ。平気平気」

ゆう子はすぐに立ち上がると、さっきの教室の窓へと駆け戻る。
「あれ、いない」
首を傾げつつ懐中電灯であちこちを照らす。
納得出来ないのか今度は教室の入口へと向かい、ドアを開けようとする。
「開かないよ〜」
仕方なく手を貸したが、ドアは開かなかった。
「やっぱり見間違いなんじゃないの?」
その場はうまくなだめすかして、手を洗うために二人でお手洗いを探すことにした。

立ち去り際にふとさっきの教室の窓に目が行き、人の、顔のようなものが見えた。
ゆう子にはそのことを言わなかった。