ナポレオン時代のフランスでは、20歳から25歳の壮丁に兵役義務があった。
兵役年限は平時に5年、戦時には無期限。
初期にはくじ引きで当たった者だけが召集されたが、ロシア遠征のころにはほとんど全員が召集された。

当時、兵役に行けば生きて帰れるのは3人に1人と言われており、
当然ながら兵役逃れのあの手この手が横行することになる。

手っ取り早いのは、既婚者は兵役を免除されたため、徴兵年齢以前に結婚してしまうことだった。
次の手は身体を傷つけることで、
当時の銃は火薬の包みを歯で食い破って装填するものだったが、前歯を折ってしまうとそれができない。
それも通用しないとなれば、撃鉄を起こす親指を切り落としたり、足を折ったり、片目を潰す者まで現れた。