ナチ戦争犯罪人といえば、「ナチスのユダヤ人問題の最終的解決」に関わって
第二次世界大戦後、アルゼンチンへ逃亡していたアドルフ・アイヒマンが
イスラエル諜報特務庁(モサド)に拉致されてイスラエルにて裁判を受けさせるという話が有名だ。

しかしアイヒマンみたいに捕まっちゃったのはかなりの珍しいケースだ。
ナチス戦犯の多くはナチ・ハンターの手から逃げられていたという実態があった。
その逃亡先はアメリカ合衆国だった。

アメリカ・ソ連・英国をはじめとした連合国軍は、通信とレーダーを除く殆ど全ての戦争関連技術において、
ナチス・ドイツの科学技術・医学が連合国の技術を上回っているという認識を持っていた。
だがしかし、その劇的な進化の多くは強制収容所の囚人を使って強制労働をさせていたり
ユダヤ人やソ連軍捕虜などを実験台にして人体実験をおこなった末の「成果」であった。

本来なら裁判にかけて罪を償わせる必要があった。 だがしかし当時はソ連との冷戦がはじまっており状況が違っていた。

第二次世界大戦後、ナチス・ドイツの優秀な科学者たちをアメリカに移住させるアメリカ政府の極秘プロジェクトが実行された。
通称「ペーパークリップ作戦」と呼ばれ、フォン・ブラウン、アーサー・ルドルフ、ヒューベルタス・シュトルグホルトを始めとした
医師、科学者、技師などが、第二次世界大戦中に行った残虐行為の罪を問われることなく
アメリカによって保護され、高い賃金と自由な暮らしを手に入れた。
これだけのドイツ人科学者が「ナチ・ハンター」から逃げられているという現実を考えると
旧日本軍の元731部隊の科学者が実験データを提供してあっさり無罪放免になっているのも当然であろう
ナチスや旧日本軍の戦犯達も東西冷戦の恩恵を大きく受けたのだと言わざるをえない。

ちなみに、現在のアメリカ政府は、多数のナチ戦争犯罪人たちをアメリカに受け入れてしまったことを既に認めている。

さらにFOIA(米国情報自由法)に基づいて国家機密の指定が解除されたCIA文書によれば、
アドルフ・アイヒマンを始めとした元ナチス第三帝国の人材を対ソ連向け工作員として使っていたことも明らかになっている