一つ例を挙げるのなら、海上護衛戦の中に記述のある事例でいけば、

現場の聞き取り調査中に出てきた「敵潜は浮上中に帆をかけてジャンクの振りをしているようだ」との報告に「それは多分レーダーの事で、着眼点の良い人を現場に出さなきゃ」と書かれている。
この後何があったかというと、米軍のレーダーの性能は日本よりも良いだろうから、輸送船の見張りよりも長距離で発見しているのではないかって仮定で対策を考えるし、
夜間や霧中で対応できなくなるから護衛艦を外周警戒できるだけの隻数、電探や逆探も装備した艦の配備を急ごうという方針で進められる。

「石炭焚きの敷設艦白鷹は煙モウモウで遠くからよく見える」って話も、実際に指摘を受けた後調査実験して煤煙高い場合は5万メートル先から視認されることもあり得るって結果が出て、
その原因に商船機関部の減員運転での投炭だと海軍艦艇より黒煙が出る、海軍式に投炭員を30分交代で投炭訓練をした場合は薄煙化もできるのだけれども、燃料炭にバラつきがあるので外れを引くと黒煙が止められない。
これに対しては、重要船団には海軍用燃料を融通しようとか、火夫の配属を進めるように調整するとか、船員訓練所での訓練内容を見直すとかやって視認距離を下げていこうって対策をとっている。

こうした現場の気づきを1つ1つ潰していった後で残った違和感から見えてくるものが、暗号が破られているのだろうって確証だわな
他にも、商船のジャイロコンパスと磁気コンパスの採用比率調べて夜間変針時などの衝突せずに済む距離感覚考えたりとあの本に書かれていない「気づき」から潰していった対応は多数あるんだよ