こんな感じ

久山忍『蒼空の航跡』 P88より

冷たい牛乳

南の島は水が悪い。気温が高いせいだろう。生水を飲むと直ぐに腹をこわした。
そこでパイロットの体調管理と栄養補給のため、航空隊が牛乳を準備していてくれた。
それを我々は水代わりに飲んでいた。

訓練する場所は一か所しかなく、兵舎も一棟しかなかった。その兵舎に縦25センチ、
横40センチくらいの金属製の缶があり、そのなかに氷が入った牛乳がいつもいっぱいいれてあった。

牛乳の管理は主計科の兵隊が担当し、氷と牛乳の補給をこまめにしてくれた。そのおかげで、我々は冷たく新鮮な牛乳をいつでも飲むことができた。

訓練をするとのどが乾く。(原文ママ)
カラカラの喉に流し込む冷たい牛乳はおしかった。内地(日本本土のこと)では牛乳を飲んだことがなかった。
それが自由に飲める。それだけでも新鮮な驚きだった。