それでも自民党内に「安倍やめろ」の声があがらない理由 (田原総一郎 7/15)

東京都議選は、自民党の大敗に終わった。東京都の選挙ではあるが、話は東京都だけに留まるものではない。
これはやはり国民すべてが、安倍晋三首相に、愛想を尽かしたということだろう。
2013年の特定秘密保護法の成立、15年の安全保障関連法の成立でも内閣支持率は下がった。
ただ、それは一時的なもので、支持率はすぐに回復している。

このときはまだ、多くの国民は安倍首相の思いを理解できていたからなのだろう。
だが、「共謀罪」の強行採決、「森友学園」と「加計学園」の問題が続けて起きてしまった。これには、さすがに多くの人が安倍首相を理解できなくなった。
「森友学園」問題は、それでも財務省がふんばったせいか、決定的なものは出てこないまま終わった。

そして、「共謀罪」法案については、安倍首相の意図が透けてみえた。
高い内閣支持率に乗じて、「この際、やってしまおう」という意図だ。いわば「自信過剰」の結果だ。

さらに、「加計学園」問題だ。ここに至って、国民の大多数が、友だちへの「えこひいき」だと感じてしまった。
さすがに安倍政権に「ノー」と思ってしまったのだろう。
前川喜平前事務次官による、「行政がねじ曲げられた」という証言が、それを裏付けたと言ってもいい。
多くの国民がかなりの不信感を抱き、支持率の低下につながったのだ。

従来の自民党であれば、ここまで来たら「安倍やめろ」の声があがっただろう。 かつて何人もの首相が、そうやって辞めていった。
これまで自民党は、このようにして数々の危機をしのいできた。これを党内の「自浄作用」と言うらしい。
(続く)