<日本政府は北朝鮮からミサイルが飛んでくるたび強い口調で非難するが、有効な対抗策は1つもない。
安倍首相があえてフタをしている直接対話を除いては>

朝起きると、北朝鮮がミサイルを発射した後だった、というのが日本人の悲しい日常になった。
それでも8月29日以前は、海岸に異常に近いところにミサイルが落下して緊張が走ることはあっても、ほとんどが日本海に落下していた。
だが昨日発射された弾道ミサイルは、日本政府の発表によれば、北海道上空を通過し、3つに分離して太平洋上に落下したとみられる。

日本は今後どう対応するのか。
安倍晋三首相は、戦後日本の歴代首相の中で最もタカ派と言っていい。
安倍は政治的な直感から、北朝鮮の挑発には断固とした立場を取らずにはいられない。
だが過去に何度も同じ立場を取り、すべて失敗した。
今や日本に残された選択肢はなく、タカ派としての安倍の面目も失われつつある。

北朝鮮によるミサイル発射は、かつてない形で日本人の日常生活に影響を及ぼしている。
8月29日朝には、日本北部の12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令された。
早朝6時過ぎに警報のサイレンが鳴り、スマートフォンからも大音量の警戒音が鳴って焦燥感をかき立てる。電車も多くが停止した。

どこにも逃げ場などない

スマートフォンのアラートは、頑丈な建物や地下に避難せよと指示を出す。
だが日本の住宅には地下室などまずない。
ミサイル発射の警報を受けても、逃げ込む場所などない。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8344.php