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中国政府、大手IT企業の経営に直接関与へ
By Li Yuan  2017年10月12日 09:30 JST

【香港】中国政府が国内の大手IT(情報技術)企業の株式を取得し、各社の経営に直接
影響力を行使しようとしている。

中国のインターネット規制当局は、民間企業の影響力が強まっていることを懸念し、国
内IT大手の株式を1%取得することについて各社と協議している。インターネットサー
ビス大手の 騰訊控股 (テンセントホールディングス)、同業の新浪(シナ)傘下の短
文投稿サイト運営会社「微博(ウェイボ)」、電子商取引最大手の 阿里巴巴集団
(アリババグループ)傘下の動画共有サイト運営会社「優酷土豆」の3社が対象という。
各社に近い関係者が明らかにした。

中国政府はすでに規制を通じて各社に影響力を行使しているが、経営に関与するように
なれば、国内に数億人の顧客を持つ革新的企業を直接管理することになる。これらの企
業は、当初のニッチ分野にとどまることなく、金融、医療、運輸、データ収集などの分
野へも進出してきた。今回の動きを巡っては、中国政府の影響力が増すとして非公式に
警戒感を示す企業もある。

IT企業に対する風当たりは強まっている。規制当局は先月、テンセント、ウェイボ、
百度(バイドゥ) が一部または全額を出資する3つの大手ソーシャルメディアが、ポル
ノ画像や偽ニュースなどの禁止コンテンツを見逃していたとして制裁金を科した。
共産党機関紙「人民日報」はテンセントの人気モバイルゲーム「オナー・オブ・キング
ス(王者栄耀)」について、若年層ユーザーが依存症になっていると批判。これを受け、
同社の株価は1日で4%下落し、140億ドルもの時価総額が吹き飛んだ。

中国政府が「特別管理株」の取得を始めたのは、新興のネットメディア企業2社が最初
だった。規制当局と人民日報(電子版)は、ニュースサイト「一点資訊」の株式と、
愛国主義的なニュースサイトを運営する北京鉄血科技の株式を2%未満ずつ取得。それ
と引き替えに、同社の取締役会に政府関係者を送り込み、経営に影響力を行使できる
ようになったと、事情に詳しい関係者は言う。