【ヴェノナ文書】=中身が何もない陰謀論

この本は読んでませんが、具体的な政治工作があった事実は何一つ出てないようです。
ヴェノナ文書によって判明した事実は、アメリカにはソ連の工作員がいたと、ただそれだけです。

ソ連の工作員は、ホワイトなどアメリカの政治家や官僚、角界の有力者に多数
接触を試みていたと、わかったのはただそれだけです。
しかしそれが成功したかどうかもわかりませんし、それによって具体的な行動があったかどうかなども、
何一つ具体的な工作活動の成果の指摘もありません。

というか、そもそもソ連の工作員は情報収集活動が任務で、政治工作なんかやれとは指示されてません。

日本にいた工作員のゾルゲも同様です。
ゾルゲも情報収集だけが任務で、政治工作は本国から禁じられていたそうです。であるなら、尾崎も同様です。
尾崎がやった事も情報の売り渡しだけで、尾崎の政治活動そのものは、
コミンテルンの工作活動とは無関係です。
ですから日本政府の政策決定は、コミンテルンの活動の影響は全く受けていません。

ゾルゲら朝日の関係者はみんな市場原理主義の支持者で、共産主義者なんかいるわけがありません。
それらがソ連と親密だったのは、社会主義的な陸軍が主導権を握ることを警戒し、
陸軍による対ソ戦を阻止するために、海軍を支援したと、それだけの理由です。
海軍を支援すれば、陸軍の勢力拡大を阻止できますから。
しかしその結果、本当に対米戦争になってしまいました。

アメリカも同様です。アメリカの政策決定に、コミンテルンは関与していません。
というか、どう考えてもそこまで出来ません。

しかしこの本の宣伝者は、嘘八百を宣伝しています。
ホワイトが日本を追い詰めるためにハルノートを作ったとか、尾崎が日本を対米戦争に仕向けたとか、
ちょっと調べればわかることですが、根も葉もない、まったくの大嘘です。
この本の宣伝者の方こそが、CIAの工作員ではないでしょうか。