>>613-614
>>イニシアティブ

それに近い概念は、《孫子・虚実篇》では

「故善戰者、致人而不致於人、能使敵人自至者、利之也、能使敵人不得至者、害之也、故敵佚能勞之、飽能饑之、安能動之、」

「ゆえに善く戦う者は、人を致いたして人に致いたされず。よく敵人てきじんをしてみずから至いたらしむるは、これを利すればなり。
よく敵人てきじんをして至るを得ざらしむるは、これを害がいすればなり。ゆえに敵佚いっすればよくこれを労し、飽あけばよくこれを饑うえしめ、安やすければよくこれを動うごかす。」

要するに敵の長所を回避しつつ、敵が嫌なことをする、の戦法だ。
ここで「致」という漢字がイニシアティブに近い意味として使用される。


井上成美が「漢籍は結論ありきでロジックではない」と言った、漢籍に詳しい及川古志郎を批判したらしい。それも一理ある。
これは参考でありバイブルではない。
しかし西側のように戦例を分析してから結論を得る方法を取ると文章が長くなる。
つまり孫子も(私はこの定理について真に驚くべき証明を発見したが、ここに記すには余白が狭すぎる。 )ような文献だ。