鎧はいらない
「宗室くん、言われた通り軍事報告書を持ってきたよ」 

 闘技場の入り口からとてとてと白髪の死神がこいらに来て書類を渡す。
 私はその書類に書かれている内容に目を通して顔が思わず渋くなる。

 「どうかされたのですか……?」

 「ふむ、やはり軍事費用が掛かりすぎていてね。赤字になっているのだよ」

 新しい武器にその武器の研究費、兵士達の食費に防具代も入っている。
 私はそれを読み脳内で整理をし経営対策を考えて。

 「よし、防具を全て売ってしまおう」

 「ええっ……!? 防具を売るのですか……?」

 驚きの声を上げるシオン。だがその反対、ケーレスは私の意図を読み取り頷いて異世界ガイドブックを取り出す。

 「この異世界では武器が発達しているからね、甲冑も盾も紙と変わりが無いんだよね……これ」

 盾や鎧が脆いのではなく武器が進化しすぎており、矢ではなく弓で鎧を貫通させたりもすることができる。
 その時点で鎧など只の重りだし、盾も持っていたところで役に立たない。
 それを知っていたからこそ私とケーレスはその案を浮かぶ事に成功したのだ。