>>63
今村は無数の氷の武器を造り出しては逃げるゴブリンに向けて放つ。
 その無数の武器に対して、俺は白い液体を掛ける。すると氷の武器は、真夏の炎天下に長時間晒されたアイスのようにどろりと溶けて水になった。

 「武器が……溶けた? お前、俺のスキルに何をしたんだよっ!」
 「単にザーメンを掛けただけだよ、生命のエキスさ」

 氷に精液を掛けると精子は卵子を受精させるために孕ませ活動を始める。
 その現象を妊娠といい。その精子の発する運動エネルギーによって氷は溶けてしまうのだ。

 「精液だと? 精液で俺のスキルが……溶かされたっていうのか信じないぞ」

 彼は再び氷の武器をいくつも作り俺目掛けて撃ち込んでいく。
 その武器を僕はペットボトルを振りかけて溶かしながら歩んでいき、今村の目の前まで来て己自身を突き刺した。