色々言われていますが、「日本築城史」や「兵器を中心とした日本の光学工業史」「日本の要塞」
などを読むと新型の八八式海岸射撃具はやはり侮れないもので決して旧式と切り捨てられないと思います。
 要塞砲の観測機である武式は垂直基線を使用できるものの旧式な図解法を使用していますが、
垂直水平両用の八八式は電気算定具を使用しますから全然世代が違うものです。

 流れとしては明治期の要塞砲などは上でも他氏によって触れられている武式や応式測遠機などを使用していましたが、
射程の延伸に伴って能力不充分となり要塞砲台は二線級となり、
軍縮条約期の要塞整理や海軍砲塔の移転を受けて近代化するする際に八八式等の新型機材の導入で遠距離射撃に対応という流れです。
 
 八八式は「日本の要塞」によれば二斉射で命中弾を見積もられるとか、1万mで左右20cm、前後20mの誤差としています。
 「日本築城史」では八八式装備の壱岐要塞黒崎砲弾の40cm砲台は16分間に8斉射で必中弾2発を期していますから、
ゆうか氏の言われる30%や「日本の要塞」の記述には及ばなくともこの時点で12.5%の命中率です。
試射を済ませた射撃をこのまま継続すれば命中率は更に向上することになりますね。机上のお話としては。

 但し既に他氏の指摘される通り実弾訓練では数ノットの低速目標を相手にしているので
高速艦艇にどの程度対応できるのか疑問視されるのも当然ではあります。
 もっとも海軍にしても10ノット台前半〜中盤の曳航標的を相手に撃っているので似たような話ではあります。