混ぜないと混ざらない。
重油と海水を一緒に入れるタンクは常時満タン指示、
これだと揺れても混合が進まず海水汚染されるのは境界面付近のみと限定される。
タンク内の液体が少ないと揺れで混合が進み海水汚染される重油が増えてしまう。

小型艦での満タン指示の本来の目的は艦の復元性維持のため。
タンクに空間があると自由水となって液体は揺れてしまう。
18Lや180Lのドラム缶などで比重の大きな液体が入っていると、
移動させた後いつまでも揺れているのを経験されている人もおられると思います。
硫酸やクロロホルムなんかしぶとく揺れますね。

船上で揺れ始めると容器内の液体自身が揺れの周期を持ってしまい、次第に船の揺れの周期とズレが生じてきます。
その揺れの周期が同期した時に、船は大きく傾いてしまいます、荷崩れしたのと同じ現象です。
特に小型の艦船では、大きなバラストタンクを設けることができない事もあり影響は大きくなります。

ファガラット級駆逐艦は新造時は満載排水量約2000トンですが、
改装により満載排水量は約2300トンで、このうち600トンが重油です。
コブラ台風の時はHullが残燃料70%、Monaghanが76%で、
両艦とも給油の為タンクの海水は排出しバラスト水はなかったと記録されています。
1700トンの船が400トン以上の物を積んで、それが揺れているという状況だった訳です。