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一方、日本の科学技術研究はどうなっているのか。現場を歩くと、躍進を続ける中国と対照的に悲痛な声が相次いでいた。

使えなくなる機械。減っていく研究者。いずれも背景にあるのは大学の資金不足だ。

国は10年余り前から、競争力があると見込まれる分野に研究予算を選択的に投入。
その一方で大学の運営費は減り続けている。

静岡大学の場合、この13年で13億円削られた。
(H16年度:108億円、H29年度:95億円)
「末期的な感じです。やれる実験・研究が限られてきています。そうすると限られた研究成果しか出なくなり、国際的な競争に勝てるようなレベルには、もう到達できないんじゃないかと思います。
一定の予算をつけるような形にしてもらわないと、日本の研究のすそ野はどんどんせまくなってしまいます」

危機感を募らせているのは地方大学だけではない。

「ここ数年、『先に論文を出された』と思って調べると、たいていは中国人なんです。ネイチャーやサイエンスなどの科学誌に論文を出しても、必ずっていうほど中国人に負けるんですね」

こう話すのは、東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授。
「研究者の数と研究費、それはすなわち設備になるわけですが、それらが大量に投入されると、どうしても負けてしまうという状況ですね。もうわれわれも抜かされていますね」