F-35Bは垂直離着陸が可能な戦闘機なのですが、これまで普段の運用では短距離滑走離陸/垂直着陸で運用されていました。
これは重い兵装や燃料を積んだまま垂直に飛び上がるのは困難なので、飛び上がる時は勢いを付けて滑走しながら離陸して、降りる時は兵装や燃料を消費して軽くなっているから垂直に降りようというものでした。

飛行甲板が空母と比べて狭い強襲揚陸艦ではこの運用が基本となっていましたが、イギリス海軍は甲板の広い6万5千トンの新型空母クイーン・エリザベスでの運用にあたってF-35Bを短距離滑走離陸/短距離滑走着陸で運用することを計画し、
SRVL(Shipborne rolling vertical landing)と呼ばれる短距離滑走着艦のテストを実施しました。
これにより垂直着艦する場合よりも多くの兵装や燃料を持ち帰ることが出来ます。
他の利点としては着艦時のエンジンの負担が減るので燃料の消費も減り、
垂直着艦ならば一カ所に長い時間集中する噴射炎の熱が短距離滑走着艦なら場所が分散され時間も短く、飛行甲板が痛み難くくなります。

 F-35BのSRVLは以前に公開されたシミュレーターの画像から着艦アプローチの速度は57ノット(105km/h)で実施されていることが分かっています。
これはジェット戦闘機としては非常に遅い速度ですが、プロペラ戦闘機である零戦の着艦速度に近く、
F-35Bはこの速度で背中のリフトファンを回し機体後部のメインノズルを90度に傾けて、
ゆっくり滑り込むように着艦してからメインノズルを90度以上傾けてリバースさせ、ランディングギアの車輪の強力なディスクブレーキで機体を停止させます。
これを着艦フック及び着艦制動ワイヤー無しで行っています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20181015-00100487/