いずも「空母化」明記 F35B搭載が念頭 防衛大綱に
2018年12月11日 13:05
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38776980R11C18A2MM0000/

> 政府は月内に策定する新たな防衛大綱に、護衛艦「いずも」を改修する事実上の「空母」導入を明記する方針を固めた。
11日午前、首相官邸で開いた「安全保障と防衛力に関する懇談会」で大綱の骨子案を示した。最新鋭ステルス戦闘機「F35B」のいずもへの搭載を想定して「STOVL機(短距離離陸垂直着陸機)の運用を可能とする」と記した。

いずもの甲板を改修してF35Bが離着陸できるようにすれば、自衛隊の活動領域が大幅に広がり、抑止力が向上する。
一方で日本政府がこれまで「保有する計画はない」と説明してきた敵基地攻撃能力にあたるとの指摘もある。

骨子案では宇宙、サイバー、電磁波を扱う電子戦など新領域への対応の重要性も指摘した。「あらゆる分野での陸海空自衛隊の統合」を進める方針を示した。全ての領域を融合した「領域横断作戦」に取り組む必要性も訴えた。

新領域に対処する具体策として「相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力」を挙げ、サイバー反撃能力を備える方針も示した。宇宙領域専門部隊を整備することも盛り込んだ。電子戦では「相手方のレーダーや通信等を無力化するための能力」を高めると指摘した。

離れた距離から敵を攻撃する「スタンド・オフ火力」に関する研究開発も進める方針だ。

安倍晋三首相は会合の冒頭で「陸海空という発想から完全に脱却し、従来とは抜本的に異なる速度で改革を図っていく」と強調した。

政府は18日にも新たな防衛大綱を閣議決定する。自民、公明両党は11日午後に大綱見直しに向けたワーキングチーム(WT)を開催。政府が示す大綱の概要を巡り協議する。
公明党はこれまでいずもの「空母化」に関して「改修の必要性や過去の国会答弁との整合性に関する政府の説明が不十分」と主張してきた。