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「プレミアム・スシ」「限定」「広告の品」といったイナセなショドーが品良く書かれたスシ・パック。
その上側には「半額」の巨大フォントがドットインパクト印字されたシールが誇らしげに貼られ、
店内を行き交う人々の購買意欲を煽っていた。

「黒潮だってよ」「これ、オーガニックウニも入ってますよ!」「マグロもだ」
憧れの黒潮が今なら半額で手に入るという、願っても無いチャンスに、
男は芋めいた欲求が己の内から湧き出てくるのを感じた。

「オヤジ、一パック…いや、三パックだ」「ヨロコンデー!」
彼は、噂を聞いてこの店に立ち寄ったのは正解だったと頷いた。
黒潮を買えるという、噂。それは確かに事実であった。
彼女を買ったら、後は激しく食べるだけだ。

ネオンサインを越えて辿り着く殆ど違法行為めいた欲求の
果てに見える光景はマグロか、或いはマンボウか。
それを知る為に、人々は今日も酸性雨の中を歩き続けるのだ。

『クロシオ・イン・ジ・アシッドレイン』 おわり