>>720
> 純粋な電気推進は荷電粒子(電子、陽子、重陽子)などの高速噴射が地球の磁場や大気の抵抗で
> 上手くいかないので宇宙空間ならともかく大気中で使うエンジンには向かないですね。

この結論は正しいが、理由の説明は正しくない

1.電気推進つまりイオンジェットとでも呼ぶべき推進法に使う荷電粒子として「(電子、陽子、重陽子)」といった最も軽量の粒子を挙げているのは論外
  ジェット推進のエネルギー効率がジェットの噴射速度との関係でどうなるかを考えれば直ぐにわかることだが、高速すぎる噴射速度はエネルギー効率を著しく悪くする
  従って、たかだかマッハ15かそれ以下で飛行する航空機にとってイオンジェットのエネルギー効率を上げるには出来るだけ重い荷電粒子を使うことが必須になる

  実際、地球重力圏を脱して他の惑星まで飛翔せねばならない(だから第二宇宙速度の秒速11キロ余りを超える速度で飛ぶ)宇宙探査機はやぶさなどのイオンロケットでも
  噴射に使うのはキセノンという(ウランや鉛よりは軽いが)とても重い元素のイオンだ、何故なら、そのぐらい重いイオンを使わないと第二宇宙速度でさえエネルギー効率が悪いからだ

  というわけで、電気推進飛行機で使うイオンジェット(イオンロケットでなくイオンジェットと呼ぶのは酸化剤でなく推進剤を環境から調達するから)の場合、
  噴射するのは空気分子(酸素分子や窒素分子)のイオン(ウラン等の重金属を使えばエネルギー効率は上がるが、重金属という極めて重い物質を推進剤として搭載せねばならない)

2.イオンジェットが大気中で使うエンジンに向かないのは大気の抵抗ではなくエネルギー効率が悪いからで、エネルギー効率が悪い理由は2つある
  
2−1.まず一つ目の理由は、既に1で示唆したが、イオン噴射では噴射ガスが速くなりすぎてエネルギー効率が極めて悪くなる、特に空気を構成する窒素や酸素といった軽い分子のイオンを使えば尚更だ

2−2.イオンが速すぎること以前の問題として、空気を構成する窒素や酸素の分子を電離してイオン化するために投入せねばならないエネルギーが非常に大きく
     そのイオン化された空気の分子は最終的に電子と再結合してエネルギーを環境中に放出するが、この放出されるエネルギーは推進には貢献できない