>>664
しかし、それは連合軍機側とて承知している行動である事も考えるべきだ、彼らは日本機の特性を研究し勝つ為の教育をしている。
手元の世傑No.65「隼」の「連合軍側から見た隼」項から引用すると
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英軍からの所見
「日本機は低い高度で非常に運動性が高い、とくに低速での運動性がきわめて高く、ハリケーンは常に内側に回り込まれる。
 絶対に低高度での低空格闘戦に誘い込まれてはならない。高い高度で高速を維持していればハリケーンは有利に戦えるのだが
 われわれが常にこの条件に立つことが出来たとは限らない」

米側から所見
P-38やP-47のパイロットも
「第一に格闘戦を避けなければならない。これに巻き込まれれば日本機は高い運動性を発揮し、君に勝ち目はほとんどない」
日本機との戦いで重要なのは高速の維持だということも強調され
「空戦空域に入ったら常に400km/h以上の速度を保て。必要になれば最高速度近くまですぐに加速することが出来る」
日本機の強みとされる旋回性能や運動性は低い高度と速度域でのものだった。
「高速と高い高度を保っていればP-38は日本機との旋回戦で勝てるし、上昇と降下の速度では常に優位に立っていた」

日本機に奇襲された時にP-47のパイロットがよく使った離脱の戦術がある。
「P-47は500km/hほどの速度でもエルロンの効きが良いので、敵機が射撃距離内に入る直線に鋭くエルロンを操作して半横転
し、そのまま高速旋回に入るのだ、日本機は高速時にエルロンが非常に重くなるので、我々のこの動きについてこれない。ついて
きた場合も、見越し射撃のために充分なだけの機首を振る事が出来ない」
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連合軍のパイロット達は日本機に対して何が有利で何が不利であるかをきちんと教えられ、叩き込まれ、それを心得ている。
それでも日本機が彼らを得意な戦術へ引き込めるのは「われわれが常にこの条件に立つことが出来たとは限らない」状態に
いる時を運良く捕まえられた時に過ぎない
余裕のある側ほど敵を良く観察し、有効な対策を立て、しっかり教育する、これを出来るのが彼らの強みだし、大戦後半に
押しまくられた日本側の精神力じゃどうにも太刀打ち出来ん事になった点だと思う