>アフリカから拡散した解剖学的現生人類は、ユーラシア西部でネアンデルタール人と遭遇した。この遭遇は、現代の非アフリカ人集団のゲノムに痕跡を残した。
>解剖学的現生人類のゲノムには、ネアンデルタール人の要素が約2%含まれているのである。当初、現生人類とネアンデルタール人との間の交雑事象は1回だけであったと考えられていたが、
>東アジア人においてネアンデルタール人祖先の割合が、ヨーロッパ人よりも12〜20%高いという知見から、遭遇は複数回であった可能性が示唆されていた。

>3.遺伝子解析の結果から、現生人類の祖先と交雑していた可能性が高いことが判明した。現在パプアニューギニアに住むメラネシア人から採取したDNAと一部共通の配列が確認されたという。
>これはメラネシア人が現生人類の祖先とデニソワ人との交雑の子孫である可能性を示唆している。
>4.デニソワ人は、数千年に渡ってアジア一帯に分布していたとされるが、マックス・プランク進化人類学研究所の研究員で調査に参加したベンス・フィオラ(Bence Viola)氏は、「デニソワ人がパプアニューギニアにやって来たわけではない」と話す。
>「ネアンデルタール人がユーラシア大陸西部に分布していたのに対し、デニソワ人はユーラシア大陸東部に広く分布していたと考えられる。
>メラネシア人の祖先は、東南アジア付近でデニソワ人と出会い交雑した後、パプアニューギニアまで移動したというのがわれわれの説である」。
>10. 中国南部一帯に住む現代人の遺伝子構造の約1%はデニソワ人に由来するという。