「訓練中止」直前まで通常交信 =対戦中僚機に指示も−空自F35墜落・防衛省

 航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが墜落した事故で、事故機は「訓練中止」を通告する直前まで、現場空域の状況や訓練内容などについて、通常の交信をしていたことが18日、防衛省への取材で分かった。
中止通告の約1分後にレーダーから消失しており、機体や身体に突発的に起きた異常で墜落した可能性がある。<下へ続く>

パイロットと機体はどこに=FDRの信号は、F35集中捜索

 「訓練中止」の理由が緊急事態に関係することなのか、現場空域などの状況からいったん訓練を中止するためだったのかは不明だ。
航空幕僚監部の事故調査委員会が訓練中の音声の記録などの分析を進めている。

 事故機に搭乗し行方不明になった細見彰里(あきのり)3等空佐(41)は見つからず、機体が沈んだ位置も特定されていない。
制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は18日の記者会見で、「海上自衛隊の艦艇などを中心に捜索活動を実施している」と述べた。

 ◇進路や気象状況交信
 防衛省によると、事故機は4機編隊の1番機として9日午後6時59分に三沢基地を離陸。
3機の僚機や地上の管制部隊(防空指令所)との間で、青森県沖の訓練空域への進出に当たっての進路や気象状況、これから実施する訓練内容などを無線交信していた。
また、戦闘機同士の訓練を実施中の僚機にも指示していた。いずれも通常、訓練を実施する際に交わす通信だった。

 事故機は9日午後7時26分ごろに「ノック・イット・オフ(訓練を中止する)」と通信し、その1分後にレーダー航跡から消失。
これまでの調査では、訓練中止の理由を示す通信は確認されていない。
これまでに海自護衛艦が墜落機の左右の尾翼を回収している(時事通信社編集委員 不動尚史)。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041900003&;g=soc