>>929
とても難しい話なんで、かなり大まかな話になるけど勘弁してくれ。
地球には、磁石のN極を垂直方向に引っ張る磁気の流れがある。
これを地磁気の垂直分力という。
ひとまず地面に対して垂直に流れる磁気の力があると思って欲しい。
さて、フネってのは巨大な鉄の塊だよな。そんなもんが海上を走ると、
船底と海底の間に走る時期の流れに乱れが生じる。
磁気信管というのは、その乱れを検出した途端に起爆するよう設計されているんだ。

だがここで問題がある。「地磁気の垂直分力」と言ったが、実際のところ
地磁気の走り方は地球の場所によって違い、垂直どころか地面に対して斜めに走ってる
こともある。よって磁気信管を調定する時には、海底の磁気の流れを数字で示した海図
が必須になる。つまり、構造も運用も非常にデリケートな兵器ってことだな。
しかし、いかに注意してもまだ不確定要素がある。垂直分力の流れは付近に鉄鉱石の鉱床
があるだけでも複雑になるし、太陽の活動によって影響を受け、乱れることもある。
ドイツの魚雷はノルウェー戦の頃、これらの不確定要素の大いに泣かされた。
そっからどう改良を加え、どう克服したのかは詳しく知らない。Eberhard Roesslerが
『Die Torpedos der deutschen U-Boote』で述べてるんだけど、技術・物理用語が難解すぎて
訳せなかったわ……物理+ドイツ語に自信ニキならどうにかなるかも知れんから、書名だけ
挙げとく。申し訳ないが、アメリカのケースは問題も解決策も知らん。