>>186つまり現在の創価学会にとって、天皇とはさして
「重大」な存在ではない。実際に生前退位や女性宮家
創設論など、近年に巻き起こった皇室をめぐるさまざ
まな議論の中でも、創価学会や公明党がそこに深入り
して、何か重大な提言を行った形跡もない。創価学会
の機関紙『聖教新聞』の2019年5月2日号では、前日
の新天皇即位を1面で報道。それを祝す原田稔会長の
「謹話」も載せてはいるものの、よくも悪くも抑制さ
れた、熱狂的な雰囲気などはまるで感じさせない“落
ち着いた”文言である。
 ただ、宗教史的に創価学会は日蓮宗の系統に属する
教団だが、このように天皇を「重大」なものととらえ
ない学会の姿勢は、実は日蓮思想の中では少々特殊な
ものだ。鎌倉時代に生きた日蓮宗の開祖・日蓮は、天
変地異や政争の相次ぐ混乱した当時の世相の中で、