F3戦闘機開発計画で軋轢の不安
80年代の日米摩擦が再燃? 不安の種はF2後継機
ジェームズ・ショフ:米カーネギー国際平和財団 上席研究員


対日貿易赤字や日本の防衛協力に対する不満や文句。トランプ大統領の発言は1980?90年代の日米貿易摩擦を
思い起こさせることが多い。現在進行中の貿易交渉がいい例だ。もちろん、こうした発言には無視できないものが
あるが、日米関係はそこまで険悪になっているわけではない。米国の政財官界や軍にはトランプ氏に同調的な声が
圧倒的に少ないからだ。日米同盟に対する米国の支持は今でも根強い。

それでも、80年代とうり二つの問題が新たに浮上してきているのは気がかりだ。日本の「F3」戦闘機開発計画である。
80年代には、現在「F2」として自衛隊に配備されている戦闘機(当時はFSX=次期支援戦闘機と呼ばれた)の開発で
日米に軋轢が生じた。軍事評論家の間では、後継機のF3もその二の舞いになるのではないか、と不安視する声が
出ている(F2は国産機として計画されたが、結局は三菱重工業と米ロッキード・マーティンの共同開発になった)。

F2の共同開発事業は、日米の同盟関係を強化するどころか、反対に技術供与や日米の製造割合をめぐる
いさかいばかりが目立った。最終的には耐用年数25年超という優れた戦闘機を生み出すことができたとはいえ、
双方にかなりのしこりを残したのは事実だ。

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