>>360

>目標指示
無線電話。

信じ難いことだが、南太平洋海戦やソロモン海戦の空母戦では母艦からの無線電話が戦闘機に受信されている。

これによる混乱の事例もある。

たとえば「龍驤」にサラトガとエンタープライズからの攻撃隊が迫ったときのこと。
「龍驤」からの無線電話による命令(なぜかコールサインなし)が100km以上も離れていた
「翔鶴」「瑞鶴」の直衛戦闘機隊に受信されてしまい、戦闘機隊は「翔鶴」「瑞鶴」に敵編隊が迫っていると
思い込んで指示された方位へしばらく飛んでしまった。

「あれはひょっとして『龍驤』からの無線では……?」と思って「翔鶴」「瑞鶴」の方を振り向いたら、ガラ空きになった
「翔鶴」「瑞鶴」の頭上に敵艦爆が来ていたと言う話をその時に直衛戦闘機を率いていた新郷元空将が空自を退官後に、
海軍時代の回想として語っている。

ここでさらに信じ難いことは、それ以降も海軍戦闘機の無線電話は通じないことの方が多かった。
昭和19年末の日付の「機体やエンジンから発生する妨害電波の検査機材を開発中」と言う文書が
横浜旧軍無線史料館に現存している。

なぜこれら3空母の艦上戦闘機だけが電話が通じたのかは謎だ。
なんとかして通じるように整備していたんだろうが「どうやって」は謎のまま。

技術的には、「電信が受信できるが電話が受信できない」という良く聞く話は
「6デシベル相当の雑音電波が受信側のどこかで発生している」でFAなんだけどね。

創作的には
「陸軍なり大日本航空なり、あるいは朝日新聞や毎日新聞の航空部に個人的に要領を教わった整備兵が居て、母艦とともに沈んだ」
なんて設定も良いかもしれない。