>>639
「銃・鉄・病原菌」の続編である「文明崩壊」だと、北欧からアイスランドに植民し、それからグリーンランドを経て
新大陸(ヴィンランド)に至ったバイキングの雄飛と衰退の過程を描いてましたな。

故郷の北欧と同じノリで森林を焼き払い牧畜を行い人口を増やしたアイスランドやグリーンランドのバイキングも、
日本の様な温帯地域の植生と違い、寒冷地の森林の再生力が極めて低い事に無頓着でした。

その結果原始のアイスランドの豊かな森林は不可逆的に失われて21世紀の今でも殆ど回復せず、グリーンランドに
至っては12-14世紀に進行した寒冷化で牧草地すら維持できなくなり、遂には植民地全滅に至りました。

そして貴重な森林を初手で消滅させたグリーンランド植民地のバイキングは、豊富な木材が無くては船も作れず
鉄も作れない(製鉄には大量の木炭が必要)ので、それらの資源すら欧州からの僅かな船便に依存する事になり
植民地の衰退を加速させました。

アイスランド植民地のバイキングらは西に向かえば豊富な森林資源と温暖で農耕に適した広大な農地がある事を知り、
乏しい船をやり繰りして入植を試みましたが、小規模なグリーンランド植民地から抽出した少数の入植団では
継続的な入植地の維持は困難だったし、何より数で圧倒的に優る現地人(インディアン)と交戦状態に陥った場合、
戦力倍増要素である鉄の武具が内製出来ないのでは、ほぼ勝ち目はありませんでした。

こうしてヴィンランドへの入植も失敗してアイスランド植民地も全滅しましたが、この辺の歴史的背景を控えておくと
「ヴィンランド・サガ」もより興味深く読めるでしょう。

バイキングが絶やした緑を取り戻せ、アイスランド森林再生の矛盾 (AFP 9/1)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190901-00010000-afpbbnewsv-int