>>681
100話
秋津艦長の熱心な提案により、空母いぶきから敵空母広東に打電をした。
横須賀の基地には許可を得ず、責任を問われかねないが独断で実施したものである。
UHF緊急周波数を使用したガードチャネルでの呼びかけであり、
敵の兵員は今回の決戦で敗れたことから、劉館長に無視することを提案する。
空母いぶきからの勝利宣言と思ったのである。
しばらくの時間ののち劉艦長から秋津艦長に応答があった。
秋津艦長はすかさず提案をする。広東艦載機は今なお上空に約20数機がとどまっている。
しかし、着陸するにも広東には着艦できず、大陸着陸には燃料が持たない。
そこで、与那国島、石垣島の空港への着陸を許可したい。
強制着陸という形にはなるが、従うのであれば攻撃、手出しはしないと約束する。
劉艦長は考え込む。従えば日本国への領空侵犯となるが、それでも攻撃しないという保証はどこにあるのか?
しかし、機と乗員の安全を確保する方法はそれ以外にない。
保証はないが、それはお互いを信じるしかないのだ。
劉艦長は東京の馬大使と相談するために、少し時間が欲しいと頼んだ。

劉館長と馬大使は通信で話す。
強制着陸はこの上ない屈辱であるが、この提案を受け入れなければ機とパイロットを救えないこと。
降伏宣言に等しい行為となるが、残念ながら現場は敗北したことなど。