ステルス機オンリーなのはスクランブルに向かないって事なら既存機の活用だけども減るしな

2019/09/12論文集「海幹校戦略研究」第9巻第1号PDF版配布開始しました。

日本の航空安全保障を担するために
― 新たな脅威への対応に向け提言― 小黒 正隆

2 空自が実施する対領侵の挑戦(課題)とジレンマ
3 ジレンマ
ア 空自リソースの疲弊及び訓練機会に与える負の影響
2016年度、空自はスクランブル任務を 1,168 回実施した 17。この数はスクランブル任務を開始した 1958 年以降最大であり、
空自はその年度に2,336 機の戦闘機を離陸させたことになる。
このような状況が、戦闘機パイロット の戦闘技術を維持向上させるための訓練機会に影響を与えることは明らかである。
スクランブル任務は非常に重要であるが、任務自体はパ
イロットが最先端の兵器システムや戦闘時に用いる高機動を実施するものではなく、練成訓練上の所要を満たすものではない。

エ 戦闘機の機種更新に伴う別の痛みの発生可能性
防衛装備品の運用経費は高額であり、将来の競争に勝利する鍵の一つは費用対効果である。
日本は退役間近の F 4 を F 35 に機種更新しており、前述のとおり F 35 は 1 回の飛行あたりの費用が高額となる。
さらに、中国とロシアは自らの能力向上に役立てるため、新型戦闘機の信号情報を収集しようと試みる可能性が高い。
F 35 の持つデータ収集、分析及び分配能力は戦闘域における全ての戦闘力を強力に統合向上させるため、
競争相手は同機の信号情報収集に大いなる興味を持っている。
このような状況を踏まえ、 F 35 のスクランブル任務への使用は熟慮する必要がある。